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P-2 3 自分で降りられないように ベットを柵 ( サイドレール ) で囲む 実施の有無 1 他に介護の方法がないため 2 同室者 他の利用者からの依頼 4 不穏や不安など本人の混乱を防止 5 暴力行為など他人への迷惑行為を防止の為 6 夜間以外の徘徊を防止 7 夜間の徘徊を防止 8 不随運動があ


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12★特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準について

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(2) 医療処置の状況 医療処置の状況で あてはまるものはない は 特養入所待機者が約 6 割 施設入所者が 7 割近くとなっている 医療処置が必要な場合は 褥瘡 ( 床ずれ ) の処置 ( 特養入所待機者 % 施設入所者 %) 胃ろう 経管栄養 ( 特養入所待機者 % 施設入所者 %) が挙げられ

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点検項目 点検事項 点検結果 リハビリテーションマネジメント加算 Ⅰ 計画の定期的評価 見直し 約 3 月毎に実施 リハビリテーションマネジメント加算 Ⅱ ( リハビリテーションマネジメント加算 Ⅰ の要件に加え ) 居宅介護支援事業者を通じて他のサービス事業者への情報伝達 利用者の興味 関心 身体

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保監第   号 

はじめに

ⅩⅩⅩ

測定コード石神 A002 測定日時 2011 年 03 月 14 日 00 時 20 分

改定事項 基本報酬 1 入居者の医療ニーズへの対応 2 生活機能向上連携加算の創設 3 機能訓練指導員の確保の促進 4 若年性認知症入居者受入加算の創設 5 口腔衛生管理の充実 6 栄養改善の取組の推進 7 短期利用特定施設入居者生活介護の利用者数の上限の見直し 8 身体的拘束等の適正化 9 運営推

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2) 各質問項目における留意点 導入質問 留意点 A B もの忘れが多いと感じますか 1 年前と比べてもの忘れが増えたと感じますか 導入の質問家族や介護者から見て, 対象者の もの忘れ が現在多いと感じるかどうか ( 目立つかどうか ), その程度を確認する. 対象者本人の回答で評価する. 導入の質

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高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

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目次 1. システム概要 設置手順 注意事項 動作環境 初期設定 システム設定 ( 環境設定 ) システム設定 ( ログインパスワード変更 ) システム設定 ( ファイルのパスワード変

一般枠 広島県協議会 やってみたい が生まれるメンタルスタビリティーロボット 委員長 : 高本晃司 プロジェクトコーディネーター : ニーズ森山由香シーズ坊岡正之

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

Transcription:

介護ロボットフォーラム 2016 介護ロボットを活用した介護技術開発支援モデル事業 成果報告 平成 29 年 3 月 1 日公益財団法人北九州産業学術推進機構 (FAIS) 1

国家戦略特区とは 指定された地域で規制や制度を改革し その効果を検証する社会実験の場 テーマ : 高年齢者の活躍や介護サービスの充実による人口減少 高齢化社会への対応 2

課題 少子高齢化 生産年齢人口減少による介護人材の不足 労働環境や処遇を理由とした介護職員の高い離職率 北九州市のポテンシャル 北九州市の高齢者施策に関する医療 保健 福祉の関係者の経験と実績 モノづくりの街としての高い技術力や企業集積 ( 世界的に有名なロボット企業の存在 ) 学術研究機関の集積 ( 産業医科大学 九州栄養福祉大学 九州工業大学 FAIS のコーテ ィネート機能 ) 国家戦略特区制度の活用 ユニット型特養の共同生活室の特例活用 介護の質の向上 ( 入居者の自立支援 ) 先進的介護の実現 介護職員の負担軽減 高齢者等の新たな雇用機会の拡大 地域産業の振興 介護ロボット産業の振興 介護ロボット等を活用した成功モデルの創造 発信 3

1 実証施設の決定 法人名施設名所在地 社会福祉法人孝徳会 社会福祉法人春秋会 広域型特別養護老人ホーム サポートセンター門司 地域密着型特別養護老人ホーム 好日苑大里の郷 2 実施内容 (1) 7~ 9 月 : 実証施設における作業分析 ( 作業観察 ) (2)10~11 月 : 共同生活室における介護ロボットの導入 実証 (3)12~ 3 月 : 分析 評価とりまとめ 3 介護ロボット導入 実証 2 施設で 5 分野 7 機種の介護ロボット等を実証 門司区松原一丁目 門司区大里戸ノ上四丁目 コミュニケーション PALRO ( 富士ソフト ) 本事業の対象 移乗介助 ( 非装着型 ) 移乗アシスト装置 ( 安川電機 ) 移乗介助 ( 装着型 ) マッスルスーツ ( イノフィス ) 歩行リハビリ Tree ( リーフ ) 歩行リハビリ足首アシスト装置 ( 安川電機 ) ベット見守りシステム OWLSIGHT ( イデアクエスト ) 介護記録ツール記録自動化ツール ( インフォメックス ) 4

1. 機種 ( 株 ) 安川電機製移乗アシスト装置 移乗支援 : 非装着型 2. 製品の特長 対象者 : 要介護 3~5) 主に ベッドと車椅子間の移乗をアシスト 介助者一人で移乗可能 簡単移動 簡単操作 全方向移動キャスター採用 ベッドや居室間の移動が自由自在 アームを付けたタッチセンサにより直観的な操作が可能 介助者に抱え上げの負担を与えない 抱え上げのパワーアシストで 介助者に負担を与えない スリングシートを活用して要介護者の体系にフィットしたリフトアップが可能 次の動作に移りやすい姿勢制御 要介護者が正しい姿勢で移乗できるように 骨盤の傾斜を最適な角度にすることが可能 5 機器外観スリングシート制御姿勢 5

介護業務上の課題分析 介護ロボット導入計画の策定 研修 フォローアップ 機器 施設のセットアップや改良 実証及び評価 介護ロボットを活用した介護技術開発支援モデル事業 より 6

作業観察による介護現場の 見える化 介護職員が いつ どこで どのような作業 を どのくらいの時間 をかけて作業しているのかを明らかにする 観察方法 介護職員の動作を観察し 対応する項目をタブレットに入力することで時間が記録されていく 30 秒毎に作業姿勢評価手法の OWAS コードを入力 観察対象 観察期間: 2 施設各 5 日間約 330 時間 観察対象: 昼間 42 人夜間 2 人 収集データ: 約 37,000 (30 秒スナップリーディング ) 観察項目 1 基本的項目 日付 観察対象者( 介護職員 ) 時間(30 秒単位 ) 2 時間的負担項目 作業分類: 作業分類 (13 項目 ) 要素動作(230 項目 ) 付帯情報: 場所 介護対象者 従事人数 使用機材 3 身体的負担項目 介護業務の流れを観察 職員の動きをタフ レットに入力 作業姿勢 作業姿勢評価 心拍数 活動量レベル 歩行数 7

観察された作業分類の割合 ~ 一連の介護作業に沿って行った作業分析の結果 ~ 作業分類別では 職員の行動 食事 水分補給 排泄 移乗 移動 の順に多かった 職員の行動 では 介護記録 会話 ( 職員同士 ) の順に多く この 2 つで半数を占める 移乗 移動 では 車椅子を押す (3.4%) ベッド 車椅子の移乗 (1.7%) が多かった 移乗アシスト装置がサポートする動作 ( 車椅子移乗時のベッド上の体位変換 車椅子とベッド間の移乗 車椅子の座り直し ) が全体に占める割合は 2.4% であった 8

作業姿勢による介助作業負担推定 (OWAS 法による評価 ) 改善すべき作業姿勢 (AC3/AC4) の割合は 介護業務全体で 8.4% であった 作業分類別では 体位変換 更衣 清掃 排泄 の順に多く 2 割程度が改善すべき姿勢 要素動作別では 背臥位からの体位変換 ベッドと車椅子間の移乗支援 において 改善すべき作業姿勢が頻出していた 介護業務全体 排泄 12.1% 作業分類別 食事 水分補給 26.2% OWAS Action Category 上肢 下肢 背部 重量の組み合わせにより 作業姿勢による骨格筋系障害リスクを推定 改善すべき作業の優先順位 (Action Category) を 4 段階で評価 AC1: 改善の必要性なし AC2: 近い将来改善すべき AC3: 可能な限り早く改善すべき AC4: 直ちに改善すべき 9

施設における実証 実証期間各施設 2 回の実証 (1 回目 :1 週間 2 回目 :2 週間 ) 最終製品化直前の機種 1 台で実施 対象者 自立での起立 移乗が困難な要介護者 体格や拘縮等により 移乗負担の大きい要介護者 施設 A:5 名 ( 平均要介護度 :4.6) 施設 B:4 名 (4.3) 実証評価 測定方法 メーカー担当者と理学療法士が使用状況を観察 測定 終了後 介護職員に対するアンケート実施 実証の様子 測定項目 19 項目 使用日時 場所 目的地 介助人数 保管場所 使用スリング 移乗目的 作業時間 要介護者の状態 移乗後の姿勢の修正の有無 介助時の身体的負担 時間的負担 操作負担 ヒヤリハット コメントなど 10

操作手順及び平均作業時間 1 装置の準備 保管場所から移動 ベッド昇降 柵取り外し 2 スリング装着 スリング ストラップ装着 アーム調整など 合計 施設 A 施設 B 1:59 2:22 施設 A 施設 B 4:15 3:49 3 装置操作 抱え上げ及び降下 目的地へ移動 5 装置の片付け ベッド昇降 柵取り外し 保管場所へ移動 施設 A 施設 B 1:43 2:10 4 スリング取り外し ストラップ スリング外し 車椅子 装置移動 施設 A 施設 B 1:48 1:53 施設 A 施設 B 4:06 3:20 施設 A 13:51 施設 B 13:34 作業時間の目安 (2 3 4) 施設 A:10:09 施設 B 9:02 最も早かった職員の平均 6:26( 最速 4:50) 作業時間に差が生じた要因 短縮にあたってのポイント 職員の動線に近い保管場所の確保 施設 A: ユニット内空室 共同生活室に保管 施設 B: ユニット外廊下に保管 スリングシート及びリフト操作のスキル 使いこなしてスキルアップすることが必要 施設 A: 初めて使用 施設 B: 浴室等に天井走行式リフト設置済 居室内のベッドや家具の配置 装置の回転 施設 A:180 度 施設 B:90 度 11

従来の 2 人介助から一人での移乗が可能 実証対象者 9 名の内 3 名に 2 人介助を要していた 1 名は 不随意運動があり 従来どおり 2 人介助で対応 2 名は 装置を利用することで 1 人介助で移乗可能となった 介護職員が他の 1 名を呼びに行く必要が無くなり 移乗のタイミングを待つということが無くなった チルト機構による骨盤傾斜角度調整 ( 車椅子移乗時の姿勢修正回数の減少 ) 修正回数 車椅子上 リクライニング車椅子上 ベッド上 0 回 60% 65% 77% 1 回 35% 23% 22% 2 回 5% 12% 1% 実証期間が短期間で 操作に慣れない職員も多い状況ではあったが 姿勢修正回数の減少効果はある程度でていると推測される 機能を正しく理解するとともに 装置操作のスキルアップにつれて 有効性が発揮されていく 12

FACE スケールによる要介護者の状態評価 0 1 2 3 4 5 3.5% 13.4% 24.6% 36.6% 21.8% 0.0% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2 及び 3 が多く 全体の約 70% と 概ね平穏な状態であった 一方で 4 も約 22% であり 装置での移乗が初めてで不安な様子の要介護者も見られた そのような場合に 声掛けを十分に行いながら操作していた介護職員では 要介護者に安心した様子が見られた 声掛けなどコミュニケーションを図りながら使用することが必要 13

装置導入前の人的介助と比較して 5 段階で評価 かなり痛くない 少し痛くない を合わせて約 72% と 腰痛に対する負担軽減効果が出ているものと推測される 人的介助に比べて腰痛があったと回答した割合は約 12% であり 車椅子着座時のスリングシート敷き込み時が最も多く 次いで要介護者を抱え上げた状態での装置移動であった 少し痛い の回答割合施設 A:23% 施設 B( リフト設置済 ):6% 施設 A の割合が多い理由として スリングシートの使用に慣れていないこと 床材が柔らかく装置のキャスタが沈み込むため 移動時に負担がかかることが考えられる 14

身体的 時間的 操作に対する負担感を 4 段階で評価 身体的負担は 感じられないか あっても軽度である 要領をつかむまで移動時に重さを感じる 動かし始めが重い とのコメント 時間的負担は 軽度に感じる職員が多く かなり 大いに 感じる職員も見られる 腰への負担は軽減したが 装置の準備 移動に時間がかかる 時間さえかかなければ素晴らしい とのコメント 操作負担は 軽度に感じる職員が多く かなり 感じる職員も見られる もう少しコンパクトな方が扱いやすい とのコメント 時間的負担及び操作負担は 使用回数の増加とともに 少し感じた 感じない へ改善する傾向にあった 15

直接介護と間接介護 ( 人に接する作業と人に接しない作業 ) 介護動作を支援するロボット導入を検討 人の替わりをするロボット導入を検討 直接介護 (45.5%) 間接介護 (54.5%) 各介護作業における割合 移乗 移動支援 運動 リハビリ支援 生活支援 ( 食事 入浴 排泄 ) コミュニケーション支援 見守り支援など 介護記録支援 搬送ロボット ( 食事 リネン ) など 16

時間的負担軽減 ( 業務効率化 ) と 身体的負担軽減 の視点 この 2 つを両立する介護ロボットが望ましいが 効率化と負担軽減を図る介護ロボットの併用も 正しい使用方法の理解 習得とスキルアップ ( 使いこなし ) 効果が得るまでには 一定の時間が必要 導入研修 ( 複数回に分けて ) 練習機会の確保 職員間の情報共有 使用のタイミング ( 場面 ) を計画的に設定 介護ロボット活用を前提とした計画作成 ( 現状の計画にロボットを組み込むのではなく 時間増加を織り込んだ計画へ ) 24 時間シートの活用 徐々に使用のタイミング ( 場面 ) を広げる ( 余暇 食事 入浴等 ) 居室や共同生活室 保管場所等の配置の重要性 介護ロボットを取り扱いやすい空間になっているか 移乗支援 ( 非装着 ) の場合は 床の材質 ベッドの配置も重要 17

ご清聴ありがとうございました < 問い合わせ先 > ( 公財 ) 北九州産業学術推進機構 (FAIS) 産学連携統括センター国家戦略特区担当住所北九州市若松区ひびきの北 1-103 電話 093-695-3046