5. 防災 減災への取組強化 (2) 国土強靱化の理念の実現 既存施設の有効活用 ( 平常時と非常時における施設の効果的な活用 ) 既存の農地や農業用施設が有している防災機能を有効活用した防災 減災対策 ため池 空き容量の活用と低水位管理の推進 空き容量 洪水調整容量等 ため池廃止

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農業農村整備事業 ( 農業競争力強化対策 ) 課題 対策 農業競争力強化を図るためには 担い手への農地の集積 集約化に向け 農地中間管理機構とも連携した農地の大区画化 汎用化や 水管理の省力化等を実現する新たな農業水利システムの構築等を推進する必要 未整備水田は担い手への農地集積の障害 規模拡大を進

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3. 市街化調整区域における土地利用の調整に関し必要な事項 区域毎の面積 ( 単位 : m2 ) 区域名 市街化区域 市街化調整区域 合計 ( 別紙 ) 用途区分別面積は 市町村の農業振興地域整備計画で定められている用途区分別の面積を記入すること 土地利用調整区域毎に市街化区域と市街化調整区域それぞ

H28秋_24地方税財源

一太郎 10/9/8 文書

平成31年度予算概算決定額 森林整備事業 治山事業 林野公共事業 (平成30年度1次補正予算額5,199百万円 182, ,049 百万円 平成30年度第2次補正予算額 32,528百万円) 臨時 特別の措置 として31年度概算決定額44,128百万円を別途措置 対策のポイント 林業の成

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重点戦略事業土地改良事業補助事業 土地改良区が行う土地改良事業 ( 用排水施設の整備等 ) について 農家負担の軽減を図るため 事業費の一部を補助した 土地改良区が行う土地改良事業 ( 用排水施設の整備等 ) について 農家負担の軽減を図るため 事業費の一部を補助する 重点戦略事業基盤整備促進事業

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一太郎 10/9/8 文書

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地域の手で農用地 水路等や農村環境を守る取組を支援します 令和元年 7 月

第 8 回社会資本整備等 WG 説明資料 平成 28 年 2 4

1. ため池の現状 全国の農業用ため池は約 20 万か所といわれており 降水量が少なく 大きな河川に恵まれない西日本を中心に分布 特に 瀬戸内地域で 全国の約 6 割が分布 箇所数順 9,995 5,232 3,680 2,248 2,638 2, ,245 19,609

施策体系 2-1 農業 農業基盤の整備と優良農地の確保 農業経営の育成 確保 (1) 集落営農組織の育成 強化 (2) 中核農家の育成 (3) 農業後継者の育成 (4) 農地の流動化 生産 流通対策の推進 (1) 複合経営の展開 (2) 地産地消及び食育の推進 2

Ⅲ 農業 農村をめぐる情勢の変化と課題 2. 災害発生リスクの増大 地球温暖化の影響により 日本の年平均気温は上昇傾向であり それに伴う集中豪雨による水害や土砂災害が頻発 激甚化 更に 今後 発生すると予想される南海トラフ地震などの大規模地震やそれに伴う津波による災害発生リスクも増大 こうした地球規

1. ため池の現状 全国の農業用ため池は約 20 万か所といわれており 降水量が少なく 大きな河川に恵まれない西日本を中心に分布 特に 瀬戸内地域で 全国の約 6 割が分布 箇所数順 9,995 5,232 3,680 2,248 2,638 2, ,245 19,609

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の洪水調節計画は 河川整備基本方針レベルの洪水から決められており ダムによる洪水調節効果を発揮する 遊水地案 は 遊水地の洪水調節計画は大戸川の河川整備計画レベルの洪水から決めることを想定しており 遊水地による洪水調節効果が完全には発揮されないことがある 瀬田川新堰案 は 瀬田川新堰の洪水調節計画は

平成 29 年 12 月 1 日水管理 国土保全局 全国の中小河川の緊急点検の結果を踏まえ 中小河川緊急治水対策プロジェクト をとりまとめました ~ 全国の中小河川で透過型砂防堰堤の整備 河道の掘削 水位計の設置を進めます ~ 全国の中小河川の緊急点検により抽出した箇所において 林野庁とも連携し 中

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7 制御不能な二次災害を発生させない 7-1) 市街地での大規模火災の発生 7-2) 海上 臨海部の広域複合災害の発生 7-3) 沿線 沿道の建物倒壊による直接的な被害及び交通麻痺 7-4) ため池 ダム 防災施設 天然ダム等の損壊 機能不全による二次災害の発生 7-5) 有害物質の大規模拡散 流出

2

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東日本大震災における施設の被災 3 東北地方太平洋沖地震の浸水範囲とハザードマップの比較 4

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<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

国営農地再編整備事業 ニセコ地区 事業の概要あぶたぐん本事業は 北海道南西部に位置する虻田郡ニセコ町の畑地帯において 区画整理を行い 生産性の高い基盤の形成を通じて農業の振興と耕作放棄地の解消 発生防止を図るものである 事業の目的 必要性本地区の農地は 基盤整備が遅れているため 小区画や急傾斜であり

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(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

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病院等における耐震診断 耐震整備の補助事業 (1) 医療施設運営費等 ( 医療施設耐震化促進事業平成 30 年度予算 13,067 千円 ) 医療施設耐震化促進事業 ( 平成 18 年度 ~) 医療施設の耐震化を促進するため 救命救急センター 病院群輪番制病院 小児救急医療拠点病院等の救急医療等を担

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市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

渚泊推進対策 平成 29 年 3 月に閣議決定された 観光立国推進基本計画 において 農山漁村滞在型旅行をビジネスとして実施できる体制を持った地域を平成 32 年度までに 500 地域創出することにより 農泊 の推進による農山漁村の所得向上を実現する と位置づけられたところ 農泊 を持続的なビジネス

目次 1. はじめに 1 2. 協議会の構成 2 3. 目的 3 4. 概ね5 年間で実施する取組 4 5. フォローアップ 8

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( 注 )(1) 1 の 2 の施策を推進するために必要な 農地の確保の方針 は 市町村全体における農業の健全な発展に向けた農地の確保の取り組みについて記載する (2) 農地の利用の方針 は 農業 農村の復興マスタープラン及び復興関連施策の事業計画 工程表等を踏まえ 被災農地の復旧 復興による農地の

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事業に対する決議平成 25 年 2 月 19 日に関係市町及び土地改良区からなる大利根用水地区国営施設機能保全事業推進協議会において 平成 26 年度事業実施に向けた推進について了解を得たところであり 平成 25 年 3 月 14 日に千葉県大利根土地改良区総代会及び平成 25 年 3 月 29 日

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目 次 桂川本川 桂川 ( 上 ) 雑水川 七谷川 犬飼川 法貴谷川 千々川 東所川 園部川 天神川 陣田川

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ii 8. 河川法と漁港法との調整に関する協定 ( 抄 ) 運輸省港湾局と農林省水産庁生産部とに関連ある港湾災害復旧事業の処理について 76 第 2 漁港関係災害関連事業 Ⅰ 補助金交付要綱 1. 漁港関係災害関連事業等補助金交付要綱 77 Ⅱ 災害関連漁業集落環境施設復旧事業 1. 災

~ 二次的な被害を防止する ~ 第 6 節 1 図 御嶽山における降灰後の土石流に関するシミュレーション計算結果 平成 26 年 9 月の御嶽山噴火後 土砂災害防止法に基づく緊急調査が国土交通省により実施され 降灰後の土石流に関するシミュレーション結果が公表された これにより関係市町村は


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2. 協定数 交付金を交付した協定数は1,424 協定で 平成 21 年度の1,411 協定から新 たに13 協定増えています 県別では 岐阜県 887 協定 ( 管内の62%) 愛知県 328 協定 ( 同 23%) 三重県 209 協定 ( 同 15%) となっています うち 体制 整備単価に取

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農業 農村の多面的機能 2 土砂崩れを防ぐ機能 3 土の流出を防ぐ機能 5 地下水をつくる機能 8 農村の景観を保全する機能 1 洪水を防ぐ機能 9 文化を伝承する機能 10 癒しや安らぎをもたらす機能 4 川の流れを安定させる機能 6 暑さをやわらげる機能 7 生きもののすみかになる機能 11 体

もがみがわかりゅう 事 業 名 国営かんがい排水事業 地 区 名 最上川下流 県名 山形県 さかたしさかたしやわたまちまつやままちひらたまちつるおかしふじしままち関係市町村酒田市 ( 旧酒田市 八幡町 松山町 平田町 ) 鶴岡市( 旧藤島町 ) ひがしたがわぐんしょうないまちたちかわまちあまるめまち

浸水深 自宅の状況による避難基準 河川沿いの家屋平屋建て 2 階建て以上 浸水深 3m 以上 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 浸水深 50 cm ~3m 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難上階に垂直避難 浸水深 50 cm未満 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 自宅に待

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2 地震 津波対策の充実 強化 (1) 南海トラフ地震や首都直下地震の被害想定を踏まえ 地震防災上緊急に整備すべき施設整備 津波防災地域づくりに関する法律 の実効性確保 高台移転及び地籍調査の推進など事前防災や減災に資するハード ソフトの対策を地方公共団体が重点的に進めるための財政上の支援措置を講じ

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5. 防災 減災への取組強化 (2) 国土強靱化の理念の実現 -2 1 重点化 優先順位付けとハード ソフトの効果的な組合せ ため池の一斉点検の実施による効率的かつ重点的な防災 減災対策の推進 ため池一斉点検調査 目 的 近年頻発している集中豪雨や東日本大震災でのため池の決壊による被害の発生を踏まえ 施設の現状を把握するとともに 被災の可能性や被災した場合の影響を改めて確認し 今後の効率的かつ重点的なため池の防災 減災対策の推進に活用 期間 対象 点検期間平成 25 年度 ~26 年度の 2 か年で全国約 20 万か所のため池のうち約 11 万か所を予定 年度対象箇所数 H25 受益面積 2ha 以上のため池約 6.3 万約 6.4 万 決壊した場合 下流へ影響が生じる恐れがある等の防災重点ため池 ( 上記と重複あり ) 約 0.9 万 H26 受益面積 0.5ha 以上 2ha 未満のため池約 4.4 万 平成 26 年 3 月末時点 対象ため池の分布 全ため池 ( 約 20 万か所 ) うち点検対象 約 11 万か所 受益面積 0.5ha 以上 受益面積約 4.4 万か所 (H26) 2ha 以上約 6.3 万か所 (H25) 防災重点ため池約 0.9 万か所 (H25) 対策検討に当たっての基本的考え方 詳細な調査を要するため池 点検実施 点検結果 平成 25 年度点検結果 ( 平成 26 年 7 月時点 ) 点検対象予定の 7 割程度完了 今後詳細な点検を要するため池 うち防災重点ため池 46,107 か所 8,978 か所 2,056 か所 平成 25 年度に点検を完了できなかったため池は 平成 26 年度に実施 詳細な調査の結果 整備が必要な場合は ハードとソフトを組み合わせた対策の実施 なお 対策においては以下の事項を考慮し優先順位付け 被災の大半は豪雨であることから 豪雨対策を優先 地震対策は南海トラフ地震等のエリアを優先 防災重点ため池から優先実施 整備が必要 ハード対策 全面更新 部分改修 修繕 更新 ため池の廃止( 定額 ) 注 ) 赤字は H27 拡充要求事項 詳細調査 監視体制の強化 整備不要 日常管理 ソフト対策 ハザードマップの作成 情報連絡体制整備 ハード対策までの間の管理体制の整備 強化 ハード対策の着手を促進する権利関係の調整等 33

5. 防災 減災への取組強化 (2) 国土強靱化の理念の実現 -3 34 2 既存施設の有効活用 ( 平常時と非常時における施設の効果的な活用 ) 既存の農地や農業用施設が有している防災機能を有効活用した防災 減災対策 ため池 空き容量の活用と低水位管理の推進 空き容量 洪水調整容量等 ため池廃止 廃止ため池を貯留施設として活用できるよう整備 耕作放棄地を利用した貯留 外周の畦畔嵩上げ + 側溝等 田んぼダム 水田一時貯留のための整備 受益面積の減少等により空き容量が生じたため池のうち 安全性が確保されているものは 空き容量を洪水調節容量に活用することを推進 利水に支障を与えない範囲で非かんがい期における低水位管理を推進 市街地 農道 災害時の農道の多面的活用 農業用水 ( 農業水利施設 ) ( 東日本大震災の際の岩手県陸前高田市の例 ) 災害時に被災した国道や県道に代わり 農道を避難路や物資輸送路等として活用 大規模災害などの緊急時には農業用水を消火用水や被災後の生活雑用水として活用 災害時の農業用水の多面的利用 揚水機場における応急ポンプ訓練 パイプラインへの消火栓の設置 調整板を設置し 水田貯留量を増加 洪水調節機能の向上により 下流の市街地等の洪水被害を軽減

5. 防災 減災への取組強化 (2) 国土強靱化の理念の実現 -4 3 地域共同力 ( 農村コミュニティの活用 ) による防災 減災力の強化 農村コミュニティを活用した地域住民による防災 減災活動の取組 農村コミュニティの維持 向上 多面的機能支払等を利用して 地域住民を含む多様な主体が参画し 施設の補修や農村環境保全活動等を実施 防災意識の啓発 普及 土地改良施設の保全管理に関する活動への参加を通じて 地域住民の防災機能を有する施設への関心を高めることで 非常時の災害リスクの認識を図る 防災 減災活動の取組 地域住民の防災意識が高まることで 施設の見回り点検作業や 災害後の復旧作業等の防災 減災の活動に参加 消防団 農業者 PTA 排水路沿線の植栽 危険ため池のパトロール 都市住民 水土里ネット JA 等 多様な主体が参画 自治会 地域住民 NPO ため池の かいぼり 作業 降雨後の水路の見回り 施設の点検 機能診断 水路の補修 池干しを利用した生物観察会 集中豪雨後の復旧作業 ( 排水路の泥上げ ) 水田魚道の設置 35

事例 地域共同力による防災 減災の取組事例 ( 多面的機能支払等を活用した取組 ) 36 活動組織名 主な構成員 じょうないかみく おのだ城内 上区集落活動組織 ( 宮城県加美町 ) 農業者 非農家 行政区 婦人会 子供会 老人会 JA 土地改良区 にいなづめ 元気な美しい里新名爪 ( 宮崎県宮崎市 ) 自治会 子供会 婦人会 消防団 JA 土地改良区 取組の背景 本活動組織は活動の一環として 仙台市の中学校などの農業体験や農家民泊を受け入れるなど 都市住民との交流を図っており これをきっかけ として 仙台市内の町内会との交流が盛んになり 災害時の相互支援協定を結ぶこととなった 本地区はため池を水源とする水田地帯であるが ため池の造成年次は明治大正期と古く老朽化が著しい 下流には住宅や店舗が広がり ため池の堤防決壊に 備え 市や消防団の働きかけもあり 防災意識の高い地域であったが 交付金を活用した活動組織による防災 減災活動の取り組みを実施 防災 減災に関する取組 協定では 想定される宮城県沖地震の備えてお互いの不足部分を補い合えるように 食料 飲料水 医薬品などの救助活動に必要な物資の運搬や人員の相互派遣が盛り込まれ 平成 22 年 10 月に協定の調印が行われた その矢先 平成 23 年 3 月に 東日本大震災 が発生し その際には発生翌日から仙台市の避難所へ駆けつけて直接状況把握を行い 要請を受けた救援物資の搬送等を行っており その後も断続的に災害支援を実施している 市と連携した防災体制を整備しており 豪雨時は市からため池の管理者である活動組織の代表者に情報が伝達される 活動組織では 大雨に備えたため池の水位管理や排水操作 点検 監視等を行っており 年に 1 回 消防団と連携して池干しによる点検を実施するとともに 地域の子供を対象にウナギ等のつかみ取りなどのイベントを実施し ため池への認識を高めてもらうことで 防災 減災への意識醸成を図っている 支援物資の運搬 中学校体験学習受け入れ ため池の水位管理 ため池の池干し点検に合わせたイベントの実施

( 参考 ) 農村地域防災減災事業 平成 27 年度概算要求 ( 拡充 ) 農村地域の総合的な防災減災計画に基づき 優先順位に応じて各種防災 減災対策を一体的に推進 耐震調査等を定額で実施 ( 平成 27 年度まで ) ため池の一斉点検の結果を踏まえ 施設が決壊した場合 下流へ影響が生じるおそれがある等のため池に対し ハード対策が講じられるまでの間の監視 管理体制の強化やハード整備の着手を促進させるための権利関係の調整等を行い 災害を未然に防止 1. 事業内容 1 計画の策定内容 : 耐震調査 計画策定等 堤体の調査 2 農業用施設等の整備内容 : ため池整備 湛水防除 地すべり対策等 総合的な防災減災計画に基づき 優先順位に応じて以下の防災 減災対策を推進 長寿命化対策長寿命化計画策定施設の補修 補強 調査計画計画策定ハザードマップの作成 農業用施設等災害管理対策危機管理向上施設の整備 農業用河川工作物応急対策河川工作物の補強 撤去 防災ダム整備洪水調整 地すべり対策地すべり防止施設の整備 改修前 改修後 3 ため池の一斉点検結果を踏まえた対策等 ( ため池緊急防災体制整備促進事業の創設 ) 内容 : 監視 管理体制の強化観測機器の設置 技術研修の開催等 ハード整備の着手促進のための権利関係の調整整備着手前の整理すべき権利関係を調整 ため池の定額での廃止切開や切り下げ等 緊急的な防災対策の実施施設の軽微な補修 排水ポンプの設置等 減災対策の実施ハザードマップ作成 避難訓練の実施 用排水施設整備湛水の解消地盤沈下対策 農地保全整備農用地侵食防止防風施設の整備 避難所 水質保全整備用水路と排水路の分離水質浄化施設の設置 避難経路 被害想定域 公害防除対策客土 排土 区画整理 ため池整備ため池の改修管理 監視体制の強化等 農村防災施設整備避難路 避難施設の整備安全施設等の整備 耐震対策耐震調査 整備 ため池 廃止ため池の切り下げ ハザードマップ作成 防災訓練の実施 37

( 参考 ) 国営地域防災対策一体型かんがい排水事業 平成 27 年度概算要求 ( 新規 ) 38 農業水利施設は 食料の安定的な生産の基盤となるものであり 適時適切な更新等の整備を行っていくことが必要 一方 近年 気候変動に伴う集中豪雨等の異常気象の増加から 農村部においても湛水被害等の自然災害の増加が懸念されており 都市化 混住化が進む農村部では 農地のみならず家屋 公共施設等の浸水被害も懸念されるなど 地域の防災対策が求められている 農業用の排水機場や排水路等の排水施設は 農業生産のために必要なだけでなく 地域排水による防災としての役割も担う等 公益的機能 ( 地域排水機能 ) を有していることから これらの活用を最大限図っていくことが必要 農業水利施設の整備に当たり 流域開発等の他動的要因により機能低下が著しい農業用の排水施設の機能を一体的に回復することにより 農業生産性の維持と地域の防災 減災力の向上を一体的に推進 老朽化 機能向上対策と地域防災対策を一体的に実施 老朽化 機能向上対策 内容 農業用用排水施設の新設又は変更( 老朽化対策や機能向上対策等 ) 国営かんがい排水事業国営施設機能保全事業国営施設応急対策事業 末端支配面積 :500ha 以上 に同じ 水路の補修 補修された水路 地域防災対策 内容 流域開発 地盤沈下等の他動的要因により 機能がおおむね 30% 以上低下している農業用の排水施設及び当該施設に関連する施設 ( 国営総合農地防災事業に同じ ) 排水施設を対象に同施設を活用した豪雨前の事前排水や施設情報の共有化等を内容とする地域防災連携強化計画を策定 末端支配面積 :300ha 以上 都市化 混住化する地域 排水機場

( 参考 ) 日本型直接支払の概要 農業 農村は 国土保全 水源かん養 自然環境保全 景観形成等の多面的機能を有しており その利益は広く国民全体が享受しているが 近年 農村地域の高齢化 人口減少等により 地域の共同活動等によって支えられている多面的機能の発揮に支障が生じつつある状況 また 地域の共同活動の困難化に伴い 水路 農道等の地域資源の維持管理に対する担い手の負担が増大し 担い手の規模拡大が阻害されることも懸念される状況 このため 平成 27 年度から施行される 農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律 ( 平成 26 年 6 月 13 日成立 ) に基づき 農業 農村の多面的機能の発揮のための地域活動や営農の継続等に対して支援を行い 多面的機能が今後とも適切に発揮されるようにするとともに 担い手の育成等構造改革を後押ししていく必要 制度の全体像 多面的機能支払 農地維持支払 多面的機能を支える共同活動を支援 担い手に集中する水路 農道等の管理を地域で支え 農地集積を後押し 資源向上支払 地域資源 ( 農地 水路 農道等 ) の質的向上を図る共同活動を支援 支援対象 農地法面の草刈り 水路の泥上げ 農道の路面維持等の基礎的保全活動 農村の構造変化に対応した体制の拡充 強化 保全管理構想の作成等 農地法面の草刈り 支援対象 水路 農道 ため池の軽微な補修 植栽による景観形成 ビオトープづくり 施設の長寿命化のための活動等 水路のひび割れ補修 水路の泥上げ 植栽活動 中山間地域等直接支払 環境保全型農業直接支払 中山間地域等の農業生産条件の不利を補正することにより 農業生産活動を将来に向けて維持する活動を支援 中山間地域 ( 山口県長門市 ) 自然環境の保全に資する農業生産活動の実施に伴う追加的コストを支援 カバークロップ ( 緑肥 ) の作付け 39