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(2) 技術開発計画 1 実施体制 3 目標設定 過去の実績 新型二次 (SCiB TM ) の乗用車 EV 採用 ( 三菱自動車向けに 2011 年より量産中 ) 最終的な目標 : EV バス運行目標 :39.7kWh の容量の 50% 程度使用で約 17km の営業路線を走行 (1 日 6~8

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力率 1.0(100%) の場合 100% の定格出力まで有効電力として発電し 出力できます 力率 0.95(95%) の場合は 定格出力の 95% 以上は有効電力として出力できません 太陽光発電所への影響 パワコンの最大出力が 95% になるので 最大出力付近ではピークカットされます パワコンの出

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平成20年度税制改正(地方税)要望事項

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これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

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資料2:地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ(議論のたたき台)(案)

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事業名 離島 漁村における直流技術による自立分散エネルギーシステム技術の実証研究 代表者 神戸大学玉置久 実施年度 平成 24 ~ 26 年度 (1) 技術開発概要 1 技術開発の概要 目的 地球温暖化や自然災害に対応する自立 分散エネルギーシステムの確立のため 本申請では 総合特別区域指定を受けた あわじ環境未来島構想 でエネルギー自立島を目指す離島 沼島 をフィールドとし 直交流電力変換ロスを最小化する直流給電方式を基本に 汎用型モバイルバッテリーとダイナミックプライシングを組み入れることにより蓄電池投入量を抑制し 自然エネルギーを有効に活用しつつ全体の投資コストを抑制するエネルギー自立島を構築するための実証を行う 期待されるCO2 削減効果 2020 年時点の削減効果 ( 試算方法パターン B-a,Ⅰ) 2020 年に全国の第 1 種漁港の1 割の200か所導入を目標 現状の1か所当たりのCO2 排出量は約 2,300t-CO2 太陽光発電を直流給電とし高効率変換器を導入することによる削減効果(0.15) 蓄電池による太陽光発電の余剰の有効利用( 効果 0.05) ダイナミックプライシングによる消費行動の抑制( 効果 0.10) 年間 CO2 削減量は 2,300 {1-(1-0.15) (1-0.05) (1-0.1)} 200 = 12.6 万 t-co2 3 システム構成 太陽電池 (PV) DC/DCコンバータ バッテリー 風力発電機 2 技術開発の詳細 (1) 直流マイクログリッドの開発高性能半導体による電力変換効率を大幅に向上する直流マイクログリッドを開発する 交流システムとは異なる保護制御技術が必要となり 直流系統の設計 機器の保護方式 機器間の絶縁方式の開発を行う また DC/DC コンバータ AC/DC コンバータ DC/AC インバータの開発が必要であり 試作機による基礎検証を行った後 高密度実装化したプロトタイプを使用してフィールド評価試験を行う (2) 高効率な固定 モバイルバッテリーの開発高効率充放電方式を導入した大容量の固定型バッテリー 多目的使用可能なモバイル型バッテリーおよび Ship-to-Grid(S2G) を開発する モバイルバッテリーは フレキシブルなエネルギー源として使用可能であり 例えばハイブリッド漁船に搭載することにより 災害時にハイブリッド漁船が電源 (S2G) の機能を発揮できるようになる また 過充電及び過放電を避けることのできる間歇制御充電手法を用いることにより バッテリーの高寿命化を達成する (3) ダイナミックプライシングによる電力消費抑制行動を促進する手法の開発自然エネルギーの発電量に応じて 時間帯別に電力価格を変動させ電力需要管理を行うことにより ピーク時の電力消費抑制を行う (4) 全体システムの最適化電力設備の投入量を最小化するため発電量及び消費電力の実測に基づき 電力インフラが導入された場合の効率についてシミュレーションベースで試算し 需給システムの最適化を行う プラグインハイブリッド船 直流家電 1

(2) 技術開発計画 1 実施体制 事業総括 神戸大学代表者玉置久 協力者 : 南あわじ市沼島地区あわじ環境未来島構想推進協議会関西電力 カネカ 2 実施計画 全体システム最適化 事業総括及び全体システムの最適化 神戸大学大学院システム情報学研究科 ( 自立分散の研究実績 ) 立命館大学理工学部 ( 最適化シミュレーションの実績 ) 兵庫県立工業技術センター ( 自立分散システムシミュレーション実績 ) 高効率電力変換器を適用した高性能直流マイクログリッドの開発 神戸大学大学院海事科学研究科 ( 高効率交換器の開発実績 ) 兵庫県立工業技術センター ( マイクログリッドの要素開発 ) 富士電機 ( 株 ) 社会システム事業本部 ( 直流給電の実証実績 )( 再委託 ) ( 株 ) 三社電機製作所 ( コンバーター製造実績 )( 再委託 ) 高効率充放電方式を導入したバッテリーの多目的モバイル化及び最適化 立命館大学理工学部 ( 蓄電池の残量計 ) 三洋電機 ( 蓄電池の開発実績 ) 中西金属工業 ( 株 )(IC&C 充電技術の開発実績 ) 兵庫県立工業技術センター ( 蓄電池性能評価実績 ) 大阪市立大学大学院工学研究科 ( ハイブリッド船の開発実績 ) ダイナミックプライシングによる電力消費抑制効果実証の手法開発 立命館大学経済学部 ( ダイナミックプライシング手法の研究実績 ) 慧通信工業 ( スマートメーターの開発実績 ) 兵庫県立工業技術センター ( うちエコ診断研究実績 ) H24 年度 H25 年度 H26 年度 9,210 千円 29,831 千円 36,754 千円 高効率電力変換器を適用した 高性能直流マイクログリッドの開発 72,834 千円 162,206 千円 34,005 千円 高効率充放電方式を導入したバッテ リーの多目的モバイル化及び最適化の開発 75,490 千円 63,460 千円 14,136 千円 ダイナミックプライシングによる 電力消費抑制効果実証の手法開発 15,863 千円 20,463 千円 19,364 千円 合計 173,397 千円 275,960 千円 104,259 千円 3 目標設定 達成可能性 過去の実績 各種電力変換器の高周波化による小型 軽量化 また高効率化 ( 神戸大学三島 ) 直流給電システム構築 ( 富士電機 ) 組電池化可能な小型リチウムイオン電池モジュール ( 三洋電機 ) 負担別環境配慮行動の直接的 間接的要因に関する探索的研究 ( 立命館大学島田 ) 電力設備の最適配置と電力融通による効果のシミュレーション ( 富山県立大学榊原 ) 最終的な目標 高効率変換器を用いた直流給電によるエネルギー使用削減率 :15% 自然エネルギーの蓄電による系統電力使用抑制によるエネルギー使用削減率 :5% ダイナミックプライシングによる消費行動抑制によるエネルギー使用削減率 :10% 沼島 ( 人口 564 人 ) のCO2 削減量 :314t/ 年 4 事業化 普及の見込み 高性能直流マイクログリッドは富士電機 が製造販売化を行う 高効率充放電方式を導入したモバイルバッテリーは中西金属工業 が製品化していく 高精度蓄電残量計および間歇制御充電手法は中西金属工業 が製造販売する 事業化計画 2016 年を目処として 1 号システムを沼島に導入する 2018 年までに総合特別区域指定を受けた あわじ環境未来島構想 の重点地区 7 地区へ導入 2020 年に全国の第 1 種漁港の概ね1 割の200か所に導入 事業展開における普及の見込み (~2020 年 ) 実用化段階コスト ( イニシャル+ランニング30 年 ) 目標 :17 億円 ( 平均的な第 1 種漁港 1か所あたり ) 年度 2016 2017 2018 2019 2020 目標販売台数 ( 台 ) 目標販売価格 ( 百万円 / 台 ) CO2 削減量 (t-co2/ 年 ) 1 7 50 100 200 900 1,300 1,300 1,200 1,000 314 4,400 31,400 62,800 126,000 2

(3) 技術開発成果 1 これまでの成果 高性能直流マイクログリッドシステムの構築システム全体の電力変換効率 90% の達成 電力消費量 20% 削減 =CO2 排出量 20% 削減効果を確認 ダイナミックプライシングによる電力消費抑制手法の開発可視化とダイナミックプライシングにより 10% 強の電力需要削減を確認 夏季と冬季の分析結果を比較すると 夏季は可視化による効果が大きく 冬季はダイナミックプライシング効果が大きいことを確認 全体システム最適化のためのシミュレーションモデルの開発沼島全体に高性能マイクログリッドシステムを構築するのに必要な設備等の試算 ( 高効率沼島モデル ) 一例として 沼島全体に再生可能エネルギーを有効利用した直流電力供給システムを構築し 太陽光発電のみでエネルギー自立島とするには 17.8 億円の設備投資が必要 20 年での償却を仮定すると 8,900 万円 設備費に 2/3 の国庫補助金等が入るとすると 現状に近い電気料金での自立が可能 本シミュレーションモデルは 他地域の電力設備最適投入量等算出にも応用可能 4 技術開発終了後の事業展開 2 CO2 削減効果 2020 年時点の削減効果 ( 試算方法パターン B-a,Ⅰ) 2020 年に全国の第 1 種漁港の 1 割の 200 か所導入を想定 現状の 1 か所当たりの CO2 排出量は約 2,300t-CO2 太陽光発電を直流給電とし高性能マイクログリッドシステムを導入することによる削減 ( 効果 0.20) ダイナミックプライシングによる消費行動の抑制 ( 効果 0.10) 年間 CO2 削減量 : 2,300 {1-(1-0.20) (1-0.10)} 200 = 12.8 万 t-co2 3 成果発表状況 ISCIE/ASME 2014 International Symposium on Flexible Automation (ISFA2014), オーガナイズドセッション : Nushima Project -- An Experimental Study on a Self-Sustainable Decentralized Energy System for an Isolated Island ( 発表 5 件 ) Innovations in Information and Communication Science and Technology (IICST 2014), オーガナイズドセッション : An Experimental Study on a Self-Sustainable Decentralized Energy System ( 発表 5 件 ) 平成 26 年 4 月 1 日, 日刊工業新聞, 直流電力供給実証スタート, 神戸大学など産学グループ 平成 26 年 4 月 7 日, 日経 BP 社サイト メガソーラービジネス, 兵庫県の沼島で 直流マイクログリッド の実証開始, 太陽光と蓄電池で 招待講演 : 玉置久, Nushima Project -- An Experimental Study on a Self- Sustainable Decentralized Energy System for an Isolated Island, Aalborg 2015 Symposium on Microgrids 再生可能エネルギーを最大限導入した自立分散エネルギーシステムの確立という社会的ニーズに対する一つのモデルを示すために 本実証試験では 既存の電力系統と地域資源である再生可能エネルギーを電源とする高性能直流マイクログリッドシステムを開発したもので 離島 漁村を対象に実証研究を行った 開発成果は広く国内外で活用できるものである マイクログリッドシステムは 2020 年に全国の第 1 種漁港 ( その利用範囲が地元の漁業を主とするもの ) の概ね 1 割の 200 か所導入を目標としており それによる CO2 排出の削減だけでなく 津波による陸路 系統電力の寸断が想定される漁村の災害時エネルギー自給が可能となり 限界集落化の傾向のある漁村の活性化にもつながることが期待される 実用化 普及拡大に向けては 実証研究用のプロトタイプから商品化に向けて性能アップ コスト対応など商品化に向けた更なる開発が必要であり 各要素技術についても商品化に向けての完成度を高める必要がある 3

資 1

資 2

CO 2 排出削減対策技術評価委員会による終了課題事後評価の結果 評価点 6.3 点 (10 点満点中 ) 評価コメント 直流技術によるマイクログリッドは事例が少なく これに関連したシミュレーションモデルや要素技術の開発によって様々な場所に適用可能となったことは評価できる 交流ではなく直流にすることの優位性 全体システムの中での直流システムとダイナミックプライシング等の効果について検証が必要である 本事業では風車の出力が小さく多様性に乏しいため 風力を始めとする多様なシステムとの実践的な応用を続けることを期待する StoG を含めた直流給電システムが実際に動いている漁港を実現し 社会に強く訴求できるよう引き続き努めること 今後 CO 2 削減を目指したシステムとして実用化 事業化を進める上では 従来の方式に対し今回の実証で投資コストがどのように抑制されたかの比較検討を行うとともに コスト低減に向けたより一層の取組を行うこと