平成 27 年 10 月 1 日に被用者年金制度が一元化 共済組合員は厚生年金に加入 1 改正の趣旨これまでの 民間被用者の厚生年金 公務員の共済年金と負担割合や給付割合が異なっていたものを将来に向けて 同一の報酬であれば同一の保険料を負担し 同一の公的年金給付を受けるという公平性を確保することにより 公的年金全体に対する国民の信頼を高め公的年金制度の安定を図る 具体的には 厚生年金に公務員及び私学教職員も加入することとし 2 階部分の年金は厚生年金に統一する 2 公的年金制度の仕組み賦課方式 年金受給者の年金を現役世代の保険料で負担する方式 賦課方式では 物 ( 現在の年金制度 ) 価や賃金の水準に合わせた保険料が年金給付の財源となるため インフレの影響を抑える効果がある 問題点 年金受給者を支える現役世代が減少すると世代間の不公平が生じたり 制度が維持できなくなる 高齢者世代と若い世代との間で年金保険料負担と年金給付の比率に格差が生まれている 若い世代になるほど保険料をより多く負担するが将来受け取る年金額の水準は低くなる 積立方式 将来の年金給付に必要な原資を予め保険料で積立てる方式 掛金 負担金を個人毎に管理するイメージで 自分のために保険料を負担する という意識が強くなる 問題点 物価が安定している間いが インフレになると積立てている原資の価値が目減りする (1) 現行の公的年金 企業年金の各年金制度の位置づけを図で示すと下図のようになる ( 自営 農業従事者等 ) ( 民間会社員 ) ( 公務員 私学職員 )2 号の被扶養配偶者 1 号 2 号 2 号 3 号 1
保険者現行制度概況 ( 平成 24 年 3 月末現在 ) ( 被用者年金制度 ) 被保険者組合員数 ( 万人 )A 退職年金受給権者数 ( 万人 )B 年金扶養比率 A/B 積立金 ( 兆円 ) 厚生年金 3,451 1,484 2.33 108.5 国家公務員共済 106 70 1.52 7.9 地職 31 23 1.35 1.0 公立 95 69 1.38 5.7 地方公務員共済 警察 29 14 2,07 2.4 市町村 131 87 1,51 11.8 計 286 193 1.48 37.7 私立学校教職員共済 49 12 4.09 3.4 合計 3,892 1,760 2.21 157.5 ( 国民年金制度 ) 被区分被保険者組合員数 ( 万人 )A 1 号 1,904 2 号 3,790 3 号 978 合計 6,672 等受給権者数 ( 万人 )B 各共済組合拠出金含む 年金扶養比率 A/B 積立金 ( 兆円 ) 2,864 2.33 7,7 (2) 一元化後平成 27 年 10 月 1 日 (2 階部分の年金は厚生年金に統一される ) ( 自営 農業従事者 ) ( 民間会社員 公務員 私学職員 ) 2
3 年金一元化前後の年金支給の内訳 年金払いの退職給付は 65 歳から支給 ( 繰上げ制度あり ) 4 年金払い退職給付 の創設 共済年金の職域部分廃止後の新たな年金として 年金払い退職給付 が創設される 公務員について退職給付の官民均衡を図る観点から 以下の対応を行う 3
職域年金相当部分 モデル年金月額約 2 万円 / 月 ( 想定 ) 賦課方式 終身年金 (2 万円 ) 年金払い退職給付 モデル年金月額約 1.8 万円 / 月 ( 想定 ) 積立方式 ( 注 1) 有期年金 (20 年 10 年 一時金 ) (9 千円 ) ( 注 2) 終身年金 (9 千円 ) モデル年金月額は 標準報酬月額 36 万円 40 年加入等一定の前提をおいて試算 ( 注 1) 有期年金 受給権者が死亡した場合は 残額を一時金で遺族に支給する ( 注 2) 終身年金 受給権者が死亡した場合は 死亡したときに消滅する 職域部分と年金払い退職給付の違い 職域部分 年金払い退職給付 年金の性格 公的年金である共済年金の一部 ( 社会保障制度の一部 ) 退職給付の一部 ( 民間の企業年金に相当 ) 財政方式 賦課方式現役世代の保険料収入で受給者の給付を賄う世代間扶養の方式 ( 現役世代減少の影響を受ける ) 積立方式将来の年金給付に必要な原資を予め保険料で積み立てる方式 ( 現役世代減少の影響を受けない ) 保険料率 職域部分も含めた 2 階 3 階部分の保険料率で計算 新たに 3 階部分として 労使合計で 1.5% の掛金率を設定 4
生年月日 退職共済 ( 老齢厚生 ) 年金支給開始年齢 60 歳 職域年金相当部分 職域年金相当部分 ( 保障 ) 昭和 28 年 4 月 1 日 厚生年金相当部分 厚生年金 職域年金相当部分 職域年金相当部分 ( 保障 ) 昭和 29 年 10 月 1 日 厚生年金相当部分 厚生年金 65 歳 昭和 25 年 10 月 2 日特別支給の退職共済年金老齢厚生年金 61 歳 65 歳 昭和 28 年 4 月 2 日特別支給の退職共済年金老齢厚生年金 61 歳 65 歳 昭和 29 年 10 月 2 日 職域年金相当部分 ( 保障 ) 昭和 30 年 4 月 1 日 特別支給の老齢厚生年金 老齢厚生年金 62 歳 65 歳 昭和 30 年 4 月 2 日職域年金相当部分 ( 保障 )+ 年金払い退職給付 ( 退職年金 ) 昭和 32 年 4 月 1 日特別支給の老齢厚生年金老齢厚生年金 63 歳 65 歳 昭和 32 年 4 月 2 日職域年金相当部分 ( 保障 )+ 年金払い退職給付 ( 退職年金 ) 特別支給の昭和 34 年 4 月 1 日老齢厚生年金老齢厚生年金 64 歳 65 歳 昭和 34 年 4 月 2 日 職域年金相当部分 ( 保障 )+ 年金払い退職給付 ( 退職年金 ) 昭和 36 年 4 月 1 日 特別支給の老齢厚生年金 老齢厚生年金 65 歳 昭和 36 年 4 月 2 日 平成 27 年 10 月 1 日以降の新規採用者は 年金払い退職給付 ( 退職年金 ) のみとなる 職域年金相当部分 ( 保障 )+ 年金払い退職給付 ( 退職年金 ) 老齢厚生年金 5
5 共済年金と厚生年金との制度的な差異の解消 共済年金 ( 現行 ) 厚生年金 ( 一元化後 ) 被保険者の年齢制限年齢制限なし 70 歳まで 未支給年金の給付範囲遺族 ( 死亡した者によって生計を維持していた配偶者 子父母 孫 祖父母 ) 又は遺族がいないときは相続人保険料率毎年 0.354% 引き上げ平成 30 年 18.3% で上限 死亡した者と生計を同じくしていた配偶者 子 父母 孫 祖父母 兄弟姉妹 甥姪など 毎年 0.354% 引き上げ平成 29 年 18.3% で上限 保険料及び年金給付額の算定基礎 給料表に定める給料に手当率 (1.25) を乗じて得た額と期末手当等 標準報酬制 ( 標準報酬月額と標準賞与額 ) 毎年 4 月から 6 月までの報酬の平均額を基に 標準報酬月額 を原則 年 1 回決定 ( 定時決定 ) し これをその年の 9 月から翌年の 8 月までの標準報酬月額とし保険料等の算定基礎とする 老齢給付の在職支給停止 遺族年金の転給 退職共済年金受給者が次に該当した場合 年金の一部又は全部を支給停止する 組合員となった場合 ( 賃金 + 年金額 ) が 28 厚生年金被保険者となった場合 ( 賃金 + 年金額 ) が 46 先順位者が失権した場合 次順位者に支給される 妻 父母等 老齢厚生年金受給者が 組合員又は民間に再就職し 厚生年金の被保険者となり次に該当した場合 年金の一部又は全部を支給停止する 65 歳まで ( 賃金 + 年金額 ) が 28 65 歳以降 ( 賃金 + 年金額 ) が 46 先順位者が失権した場合 次順位以下の者に支給されない 妻 父母等 女性の支給開始年齢 (( 経過措置 ) 一元化後も年金の支給開始年齢の引き上げは男性と同じスケジュールとする 参考 : 厚生年金制度の場合 支給開始年齢引き上げは 男性の 5 年遅れのスケジュール 6
[ 参考 ] 厚生年金被保険者となったときの在職支給停止 ( 例 ) 生年月日 昭和 28 年 9 月 3 日 年金支給開始年月日 平成 26 年 10 月 1 日 平成 26 年 3 月 31 日 退職 (61 歳 ) 平成 26 年 4 月 1 日 民間会社に就職 ( 厚生年金加入 ) 加給年金額 0 円 職域年金相当部分 306,000 円 標準報酬 ( ) 月額 250,000 円 厚生年金相当部分 1,529,933 円 定額部分 0 円 平成 25 年 12 月の期末勤勉手当額 1,054,000 円 年金額 ( 合計 ) 1,835,933 円 平成 26 年 6 月の期末勤勉手当額 300,000 円 1 現行 年 金 報酬など A 年金額 (1+2+3+4) (100 円未満切捨て ) 1,835,900 円 1 加給年金 127,491 円 362,833 円 0 円合算 2 職域年金相当部分の額 306,000 円 基本額 (A-(1+2) 1/12 収入月額 標準月額相当額 5+8 5 標準報酬 ( ) 月額 3 厚生年金相当部分の額 490,324 円 1,529,933 円 6 H25.12 賞与額 1,054,000 円 4 定額部分の額 46 万円を超えているため 年金 7 H26.6 賞与額 300,000 円 0 円が一部支給停止される + 250,000 円 8 支給停止対象月の前月以前 1 年間の標準賞与の総額 1/12 ((6+7)/12) 112,833 円 2 一元化後 支給停止額 ( 月額 ) =( 基本月額 + 標準月額相当額 - 46 万円 ) 1/2 15,162 円 =( 127,491 円 + 362,833 円 - 46 万円 ) 1/2 支給額 ( 月額 ) = 年金額 1/12( 月額 ) - 支給停止額 ( 月額 ) 137,829 円 = 152,991 円 - 15,162 円 平成 26 年 10 月は H25.12+H26.6の賞与が対象となるため 支給停止額は 15162 円となる 平成 27 年 1 月以降は H26.6+H26.12が賞与の対象となる 年金基本額 退職共済年金の年金額 ( 注 1) 1/12 ( 注 1) 職域年金相当部分 加給年金額 経過的加算額及び繰り下げ加算額は除く (1,835,900 円 -306,000 円 ) 1/12 = 127,491 円 その月の標準報酬月額 +( その月以前 1 年間のボーナス等の総額 ( 注 2) 1/12) ( 注 2) 退職前の公務員であった期間に支給された額も含む 250,000 円 +(1,054 千円 +300 千円 ) 1/12 = 362,833 円 年金基本額 + の合計額が28 万円を超えている 490,324 円 いいえ 職域年金相当部分の額を除き 年金は支給されます 年金基本額が28 万円を超えている いいえ が 46 万円を超えている が46 万円を超えている いいえ いいえ - - - {(46 万円 + 年金基本額 - - ( + ( -46 万円 1/2) 1/2 28 万円 ) 1/2+( -46 万円 )} 年金基本額 -28 万円 ) 1/2 の額が支給されます の額が支給されます の額が支給されます の額が支給されます 47,829 円 計算の結果 支給額が 0 円又はマイナスとなる場合は 全額支給停止となります 支給停止額 ( 月額 ) 支給額 ( 月額 ) 105,162 円 47,829 円 7