ネフローゼ症候群について 原発性と続発性の違い
1. 診断名 ( 小児突発性 一次性 ) ネフローゼ症候群 ( 微小変化群 ) 2. 診療機関 3. 羅患時期 1980 年 6 月年齢 11 歳 ~1987 年年齢 18 歳
腎臓の主な働き 血管を濾過し 老廃物や毒素を排泄 尿をつくる 体液の量や質 ( 電解質組成 浸透圧 ph など ) を調節 維持する レニンを生成し 血圧を調整する エリスロポエチンを分泌し 造血を調節する ビタミン D の活性化を行い Ca 動態を調節する ( 柴田 T の臨床医学各論資料より抜粋 )
腎臓の構造 1
腎臓の構造 2
4. 症候 一般 特徴的症状 : 高度の蛋白尿 低蛋白血症 浮腫 高脂血症自覚症状 : 食欲不振 全身倦怠感 走ると呼吸が苦しくなる 二週間ほど高熱 嘔吐で寝込む 他覚症状 : 顔 まぶた 足のむくみ 胸 腹水がたまる 尿の異常 ( 尿量減少 泡立ちが激しい 尿の色が濃い ) 直接症状 : 尿蛋白が減りコレステロールが増える 高脂血症 間接症状 : 筋肉の萎縮 低血圧 ( 小児 ) 腎静脈血栓症 肺塞栓症などの合併症などが起きる
5. 検査の種類と目的 尿検査 : 蛋白尿 血尿 尿量血液検査 : 尿素窒素 (BUN) クレアチニンクリアランス 尿酸 電解質 赤血球 ヘモグロビン ヘマトクリット 血清総蛋白 血清アルブミン 血中総コレステロール 中性脂肪画像検査 : 腎盂造影 腎血管造影 CT 検査 ( コンピュータ断層撮影 ) MRI( 磁気共鳴画像法 ) 腎生検 ( バイオプシー )
腎生検参考図
尿素窒素について 1 血清成分からタンパク質を取り除いた残余窒素 アンモニアを無害化する為に 二酸化炭素と結びついて出来たもの 尿素窒素の値は 蛋白摂取量 蛋白代謝機能 腎機能が関連 基準値は 8~21mg/dl( ミリグラム パー デシリットル ) 40mg/dl 以上 腎不全が考えられる 100mg/dl 以上 尿毒症の可能性が高く かなり危険な状態
尿素窒素について 2 尿素窒素高値 : 腎臓の働き低下 蛋白質の取り過ぎ 大量の消化管出血 甲状腺機能亢進症 悪性腫瘍 脱水症状 糖尿病 癌 尿素窒素低値 : 蛋白質の摂取不足 尿崩症 肝臓の働きが悪い場合 ( 重症肝障害 肝不全など )
腎臓のはたらき
クレアチニンについて クレアチンが代謝されてできた老廃物 クレアチニンの数値を測定することにより 腎臓の機能低下の程度を把握できる 多いと 腎機能の障害 筋肉量に比例した量 軽度の腎機能障害の判定にはクレアチニン クリアランスを行なう
クレアチニンクリアランスについて 検体採取方法 / 短時間法 (1 回法 2 回法 ) (1) 排尿後微温水 500ml を飲む ( 2 ) 飲水後 6 0 分に放尿させ 完全に排尿し終わった時刻を正確に記録する ( 試験開始 ) (3) 開始 30 分後採血 3ml( クレアチニン測定用 ) (4) 開始 1 時間後完全排尿 尿量及び終了時間を正確に記録 (1 回法 ) (5) 正確を期する場合は 開始 1 時間 30 分後第 2 採血 2 時間後第 2 採尿を行い ( 重複試験 )2 回の平均値をとる (2 回法 )
クレアチニンクリアランス参考図
クレアチニンクリアランスでわかること 糖尿病性腎症 ( 初期高蛋白食 ) 妊娠などクレアチニンクリアランスは正常 腎機能軽度低下 腎機能中度低下 腎機能高度低下 腎不全 尿毒症期
6. 予後判定 再発を繰り返すが良好 腎機能低下なし ( 微小変化群 )
再発について ストレス 疲労 日焼け 風邪をひく事で再発の可能性がある 寛解後 5 年間は再発リスクが高い 寛解後 10 年経過後でも再発の可能性あり
7. 手当 治療など 薬物療法 : 副腎皮質ステロイドホルモン( プレドニゾロン ) 経口投薬 アルブミンの輸注( 点滴 ) 利尿剤 免疫抑制剤
ステロイドの有効疾病 急性炎症 慢性炎症 自己免疫疾患 アレルギー性疾患 ショック 痛風 メニエール病 突発性難聴 急性白血病 ネフローゼ症候群 移植片拒絶反応 その他炎症
ステロイドの副作用 免疫機能低下 それによる感染症 副腎皮質機能不全 クッシング症候群 胃潰瘍 神経 精神症状 骨粗鬆症 白内障 Na 及び体液貯留 ( むくみ ) 食欲増進 脂肪の異常沈着ムーンフェース 傷の治りが悪い 成長障害 いらいら感 不眠 長期間プレドニゾロンを使用した場合 急に止めるとさまざまな離脱症状があるため 時間をかけて徐々に減薬していかないとならない うまくコントロール出来ないと再発の原因となる
ムーンフェイス ( 参考資料 )
8. 疫学的背景 成人よりも小児の方が罹りやすい 男児の方が罹りやすい 年長になると男女間の差はなくなる 原因は年齢によって異なる 原発性で一般的なもの: 微小変化群 巣状分節性糸球体硬化症および膜性腎症 続発性で一般的なもの: 糖尿病性腎症と子癇前症 50% 以上を占めるアミロイドーシス 4%
9. 疾患の法的背景 児童福祉法第 21 条の9の2 小児慢性特定疾患治療研究事業慢性腎疾患ネフローゼ症候群
10. 疾患の病理学的分類 原発性 : 微小変化群巣状糸球体硬化症膜性腎症膜性増殖性糸球体腎炎
10. 疾患の病理学的分類 続発性 : アミロイドーシス 膠原病 多発性骨髄腫ホジキン病 エイズウイルス感染 B 型肝炎ウイルス感染糖尿病
11. 病因の病理学的考察 1 病因の分類上の位置 構造 性質 原発性 ( 原因不明 )
11. 病因の病理学的考察 2 病変部の解剖と生理 ネフロンは腎小体 ( 糸球体 ボーマン嚢 ) と尿細管を合わせたもの ネフローゼとは糸球体から血液中の蛋白質が漏れて 尿に出てしまう病気 細尿管に蛋白変性 脂肪変性が見られる
糸球体を構成する 3 つの主要な細胞 血管内皮細胞 : 輸入細動脈 輸出細動脈の内皮から続く血管内皮細胞 ざるの目のように孔が空いていて 血液はこの孔から外に漏れる 内皮のすぐ外には基底膜がある タコ足細胞 ( 上皮細胞 ): 多数の偽足を伸ばして基底膜の周囲を取り囲んでいる 偽足と偽足の隙間は濾過スリットと呼ばれ 基底膜を通過した液体がボーマン嚢に出る ボーマン嚢上皮と繋がっている メサンギウム細胞 : 毛細血管と毛細血管の間のスペースをメサンギウムという メサンギウム細胞と IV 型コラーゲンで構成されている 血管を締め付け, 糸球体濾過量を調節する働きがある 輸入細動脈と繋がっており, 同一の起源を持っていると思われる 糸球体内と糸球体外のものがある
正常糸球体の構造 1 内皮細胞 メサンギウム細胞 + 基質 基底膜 位置関係を簡単に表すと 上皮細胞 血管腔側 内皮細胞 メサンギウム細胞 (+ 基質 ) 基底膜 尿管腔側上皮細胞 ( たこ足細胞 ) 内皮細胞メサンギウム細胞 + 基質 基底膜上皮細胞
正常糸球体の構造 2 血管極 レニン分泌細胞 毛糸細球血体管 皮内細胞 た細こ胞足 細胞核 たこ足細胞 ボーマン嚢 ボーマン嚢腔 近位尿細管 尿管極 基底膜
11. 病因の病理学的考察 3 組織 細胞のミクロのレベルにおける障害の状況 基底膜の透過性上昇 尿タンパク露出 ( 漏れる ) 上皮細胞の働きをサイトカインと呼ばれる物質が障害する サイトカインはT 細胞が活性化することによって作り出される T 細胞の機能障害が原因?
微小変化群 光学顕微鏡 : 殆ど変化が見られない 電子顕微鏡 : 基底膜上皮細胞の足突起が扁平化している 小児 若年者に多く 予後は良い 高蛋白尿は分子量の小さいアルブミンによるもの
微小変化群の電子顕微鏡像 更に拡大すると ミクロ像 (PAS 染色強拡大 ) 基底膜の肥厚や沈着物はみられない 微小変化群の電子顕微鏡象上皮細胞足突起の癒合 ( 矢印 ) が特徴的である
巣状糸球体硬化症 正常に見える糸球体と病変のある糸球体が混在する 皮質の深い部分にある一部の糸球体に硬化 硝子化などの変化が見られる 10~20% はステロイドに対する反応が悪い 腎不全に移行することが多い 小児 若年者に多く50 歳以上では少ない ネフローゼ症候群の5~10% 予後:20 年で57% が末期腎不全に至る画像は見つかりませんでした
膜性腎症 光学顕微鏡 : 進行度に応じて糸球体基底膜のさまざまな肥厚が見られる 電子顕微鏡 : 糸球体基底膜上皮に沈着物が付着している 免疫複合体の沈着のため 糸球体基底膜が肥厚して見える
膜性腎症の電子顕微鏡像 ミクロ像 (HE 強拡大 ): 糸球体毛細管係蹄が全節性に肥厚している ( 赤色矢印 ) メサンギウム細胞の増殖は目立たない ミクロ像 (PAM 染色強拡大 ): 上皮細胞側に突出する spike を糸球体基底膜に認める ( 赤色矢印 ) また一部の糸球体基底膜は二重化を示している ( 青色矢印 )
膜性増殖性糸球体腎炎の電子顕微鏡像 ミクロ像 (HE 強拡大 ): 糸球体毛細管係蹄の肥厚 メサンギウム細胞の増生 メサンギウム基質の増加を認める 一部では糸球体係蹄が分葉状を示す ( 黄色点線 ) ミクロ像 (PAM 染色強拡大 ): 糸球体基底膜が不規則に肥厚し 二重化を示している ( 赤色矢印 ) 小児に多く 難治性で腎不全へ移行することが多い
萎縮腎 正常糸球体 腎皮質内間質にリンパ球滲潤 ボウマン嚢の肥厚 血管壁の肥厚
糸球体の構成要素と糸球体腎炎の関係 内皮細胞 メサンギウム細胞 + 基質 基底膜 上皮細胞 管内増殖性糸球体腎炎 メサンギウム増殖性糸球体腎炎 膜性増殖性糸球体腎炎 膜性腎症 管外増殖性糸球体腎炎 ( 半月体形成性糸球体腎炎 + ) 層状分節性糸球体硬化症
11. 病因の病理学的考察 4 上記と全身への影響の関係など 最近指摘されているもの ( 二次性 原因 ) IgA 腎症 悪性リンパ腫や食物アレルギー 薬剤 : 抗生物質 ( インターフェロン アンピシリン リファンピシン チオプロニン等 ) NSAID( 非ステロイド性抗炎症薬 ) 重金属 ( リチウム ) 昆虫の毒素
慢性腎炎 腎硬化 腎不全
12. 東洋医学的考察 1 腎には蔵精 主水 納期の 3 つの機能がある 蔵精 : 腎が精を貯蔵している 不足すると 子供では成長の遅れ 成人では性機能の減退 身長が余り伸びなかったのはそのせい? 物忘れが増える 足腰がだるく 転びやすい 老化現象 腰が悪いのはそのせい? 物忘れが多いのはこのせいと思いたくない 精は髄を生じ 骨や脳に入る 腎精が足りないと骨や歯がもろくなり 脳の働きが悪くなる
12. 東洋医学的考察 2 主水 : 水分の代謝を調整 膀胱が尿を出すタイミングの決定 腎が変調すると : 水分が停滞し むくみになる 実際にむくんだ尿が出なくなる 逆に頻尿 失禁したりする 実際に尿が出なくなった 納気 : 肺が大気から吸い込んだ清気を腎に納めること 納気が出来なくなると : 肺が呼吸した気が腎に下がらない息切れ 呼吸困難になる
12. 東洋医学的考察 3 その他の腎の働き 作用 : 腎は 耳と外生殖器 肛門などと強くかかわっている 腎が弱ると耳鳴りや難聴があらわれ 大小便を失禁するようになる つばは津液であり 腎の変調でつばの量が変化する 発祥初期は唾気が出にくく口の中が粘々としていた 恐怖の感情は 腎と深く関わるとされる 強い恐怖を感じると腎を痛めることになる 怖くて尿を漏らすのは 膀胱を閉じる機能が失調してしまう 白髪になったり 毛が抜けるのも同様
12. 東洋医学的考察 4 ネフローゼの治療灸 : 中脘 水分 肓兪 気海 百会 身注 至陽 脾兪 腎兪 命門 次髎 曲池 足三里 太渓 ( 沢田流 ) 鍼 : 滑肉門 大巨 脾兪 三焦兪 腎兪 三陰交 地機 咽頭炎を伴うネフローゼ灸 : 兪府 神蔵 中脘 水分 肓兪 気海 風門 身注 肺兪 脾兪 腎兪 次髎鍼 : 人迎 ( 洞刺 ) 兪府 滑肉門 大杼 脾兪 腎兪 尺沢 三陰交 中封
13. 一番伝えたいことは何か? 抗生剤は必ず飲みきる
14. 参考文献 ホームページ ホームページ : ネオーラルホームページ GOOヘルスケア メルクマニュアル医学百科 症候群.C OM ウキペディア 病院の検査の基礎知識 MyMed ナオルコム 厚生労働省 わかりやすい? 特定疾患 北京中医針灸院 順天堂大学付属病院 / 腎 高血圧内科 医学用語読み方辞典 FGSLIFE Feedback Note of Madic ine 病理コア画像 書籍 : ビジュアルノート 治験例を主とした針灸治療の実際 ( 下巻 ) 新 病体生理できった 科学 3 腎疾患
クラスの評価 4,4 ネフローゼにもいろいろな型があると分かりました 少し時間がかかりすぎた 図や文が短くまとめられていて 理解しやすかった 教科書でよく聞くものの 複雑でわかりづらかった疾患に興味がもてました とてもくわしく調べてあり大変だったと思います ネフローゼ症候群のことが良くわからなかったのですが 少しですが理解しました 発表の時は声をもっと張って欲しかった 腎臓の解剖と病理画像についてよく調べてあった