1. 件名 2. 概要 目的 2011 年 3 月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震により引き起こされた東京電力福島第一原子力発電所事故については 現在廃止措置に向けた取組みが進められているが 廃止措置を安全に進めるためには 早期の炉心燃料の取出しが不可欠である 福島第一原子力発電所 1~3 号機では 炉心溶融が発生し 核燃料が炉内構造物の一部やコンクリート等と溶融した上で再度固化した状態 ( 燃料デブリ ) となって原子炉圧力容器下部及び格納容器内に存在すると考えられる 燃料デブリは 米国スリーマイルアイランド原子力発電所 2 号機 ( 以下 TMI-2 と称す ) と同様な取り出し作業が計画されており 燃料デブリを適切に収納 移送 保管することが重要である 福島第一原子力発電所でも 現時点では燃料デブリの位置 性状は不明なものの TMI-2 の実績は参考になると考えられるが 海水注入による腐食の進行や TMI-2 より燃料の燃焼度等が高いなど より収納条件が厳しくなると推定される そのため 安全に燃料デブリを取り出し 移送後 安定的に保管できる 福島第一原子力発電所に適用可能な燃料デブリ収納 移送 保管の技術開発が必要となる 以上のような状況を踏まえ 燃料デブリを収納する収納缶の開発 設計に資するため 収納缶内水分の放射線分解による水素発生量評価試験を実施する必要がある 本件は この水素発生量評価試験および試料の化学分析作業を外注するものである 3. 実施内容本事業 水素発生量評価試験および試料の化学分析 ( その 1) における実施項目は以下とする 3.1 水素発生量評価試験 3.1.1 概要収納缶内水分の放射線分解の模擬として 海水成分とヨウ素の共存体系における水の放射線分解による水素発生量評価試験を実施する 水素発生量評価試験装置の概略図を図 1 に示す 希釈人工海水 ( 塩化物イオン ) とヨウ化物イオンを加えた試験水を入れた試験容器にγ 線を照射し 照射期間中における試験容器内圧の増分を測定することで 水の放射線分解により発生した水素量を評価する 3.1.2 試験条件試験条件を表 1 に示す 試験ケースは全部で 6 ケースとする 塩化物イオン濃度は全ケースで 2.8 10-3 mol/l とする ヨウ化物イオン濃度はパラメータとし 0~10-4 mol/l とする 気液比 ( 試験容器内の液相部体積に対する気相部体積の割合 ) はパラメータとし 0% 50% 900% とする ここで 測定方法の観点から気相が全くない体系で試験を実施することは難しいため 実際の試験では気相部が数 % 存在する体系としてよい なお 試薬並びに試験器具は発注者より支給し 発注者の施設で試験を実施する 本作業は放射線管理区域内で実施する 3.1.3 試験手順試験手順は以下のとおりとする 1 試験水を表 1 に示す条件に調整し 所定量を試験容器内に入れ試験の準備を行う 員数は 6 とする 2 試験容器に圧力計 安全弁 バルブを設置し 試験容器内を密閉する 1 / 5
3 試験容器を γ 線源周囲に設置し γ 線を照射する 照射時間は最大 1,000 時間とする 4 照射期間中における 照射室内温度 大気圧 試験容器内圧を 所定時間ごとに記録する 5 所定時間ごとの試験容器内圧の変化率が一定値以下となるか 照射時間が 1,000 時間に到達した時点で試験を終了する 6 各試験ケースについて 照射室内温度 大気圧 試験容器内圧の測定結果をまとめる 測定結果の整理例を図 2 に示す 3.2 化学分析 3.2.1 概要 3.1 の試験終了後の試料について 試験容器内のガスおよび試験水の化学分析を実施する また 3.1 の試験前の試験水について 化学分析を実施する 分析項目は 試験容器内ガスについては水素濃度 酸素濃度とし 試験水については ph 塩化物イオン濃度 臭化物イオン濃度 ヨウ化物イオン濃度 過酸化水素濃度および硝酸イオン濃度とする 3.2.2 分析方法試験容器内ガス中の水素濃度および酸素濃度については ガスクロマトグラフを用いて測定する 試験水について ph はガラス電極式 ph 計を用いて測定する 塩化物イオン濃度 臭化物イオン濃度 ヨウ化物イオン濃度 硝酸イオン濃度についてはイオンクロマトグラフ法を用いて測定する また 全ハロゲンについて ICP-MS を用いて測定する 過酸化水素濃度についてはチタン法を用いて測定する 各分析方法は JIS 規格に準拠する 各分析項目の検出下限値については表 2 に示す値に従うこと また ph の精度は小数点第一位までとすること 3.2.3 分析手順分析手順は以下のとおりとする 1 試験前の試験水を水素発生試験容器とは別に取り置き ph 塩化物イオン濃度 臭化物イオン濃度 ヨウ化物イオン濃度 過酸化水素濃度および硝酸イオン濃度について分析する 2 試験完了後の各試験ケースの試験容器内ガスおよび試験水をサンプルし 分析を行う 分析項目は 試験容器内ガスについては水素濃度 酸素濃度とし 試験水については ph 塩化物イオン濃度 臭化物イオン濃度 ヨウ化物イオン濃度 過酸化水素濃度および硝酸イオン濃度とする 3 試験ケースごとの分析結果を整理する 分析結果の整理例を表 3 に示す 4. 実施期間委託契約日から 平成 28 年 1 月 29 日まで 5. 提出図書 以下の図書を各 2 部提出のこと また 最終的に図書の電子データを収めた CD-ROM を 2 枚提出のこと (1) 実施計画書 ( 実施工程を含む ) : 注文書受理後 2 週間以内 [ 要承認 ] (2) 実施体制表 : 注文書受理後 2 週間以内 [ 参考用 ] (3) 月報 : 注文書受理後毎月 [ 参考用 ] (4) 打合せ議事録 : 打合せの都度 [ 参考用 ] 1) (5) 報告書注 2) : 納期までに注 [ 参考用 ] 2 / 5
注 1) 報告書は Microsoft word にて作成のこと ( 添付資料は pdf 形式でも可 ) 注 2) 試験結果および分析結果をまとめたドラフト (1 部 ) を納期の 2 週間前までに提出すること 6. その他提出物 3.1 の照射室内温度 大気圧 試験容器内圧の測定記録および 3.2 の分析結果をまとめた電子データを提出すること 7. 納入場所宛先 : 日立 GEニュークリア エナジー株式会社日立事業所原子力資材調達部住所 : 317-0073 茨城県日立市幸町三丁目 1 番 1 号 8. 実施場所 3.1 については 実施場所は以下とする 本作業は放射線管理区域内で実施する 場所 : 株式会社日立製作所エネルギーイノベーションセンター第二工学研究棟住所 : 319-1221 茨城県日立市大みか町七丁目 2 番 1 号 宿泊および勤務方法は 受注者で用意すること 作業時の居室は実施場所内 ( 放射線管理区域内 ) に用意する 9. 検収条件提出図書および電子データの受領をもって検収とする 10. その他条件 (1) 見積は 3. 項に示す実施内容ごとに算出すること (2) 化学分析技術を有すること および分析環境を既に有していること (3) 放射線管理区域内での作業のため 放射線従事者手帳を有すること (4) 受注者は発注者の要請に応じて 試験 分析の進捗状況について適宜報告すること (5) 本事業は 国からの補助金事業であることから 支払いに当たっての記録を保管すること - 以上 - 3 / 5
ケース (1) 温度 ( ) 表 1 水素発生量評価試験条件 希釈人工海水濃度 ( 塩化物イオン濃度 ) (mol/l) ヨウ化物イオン濃度 (mol/l) 気液比注 1 ( 気相部体積 / 液相部体積 ) (%) 2.8 10-3 0 900 (2) 2.8 10-3 10-4 900 (3) 2.8 10-3 10-5 900 室温 (4) 2.8 10-3 10-7 900 (5) 2.8 10-3 10-4 50 (6) 2.8 10-3 10-4 0 注 2 注 1 試験容器内の液相部体積に対する気相部体積の割合を示す 注 2 測定方法の観点から気相が全くない体系で試験を実施することは難しいため 気相部が数 % 存在する体系としてよい 表 2 分析項目の検出下限値相項目検出下限値 気相部水素濃度 1000 ppm 酸素濃度 1000 ppm 液相部 塩化物イオン濃度 0.1 mg/l 臭化物イオン濃度ヨウ化物イオン濃度過酸化水素濃度硝酸イオン濃度 0.1 mg/l 表 3 化学分析結果の整理例 試験ケース 気相部 水素 酸素 濃度 濃度 ph 塩化物イオン濃度 液相部 臭化物イオ ヨウ化物イ ン濃度 オン濃度 過酸化水素濃度 硝酸イオン濃度 (1) (2) (3) (4) (5) (6) 4 / 5
圧力計 : トランスデユーサ式 0.001~1 MPa 0.XX MPa サンプルコネクタ バルブ安全弁 : 最大 1MPa 温度 : 室温 γ 線 気相部 試験水 ( 液相部 ) 照射容器試験容器 (200mL) 図 1 水素発生量評価試験装置の概略図 大気圧 照射容器内圧 温度 照射期間 図 2 水素発生量評価試験結果の整理例 5 / 5