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第 2 部 2 番目の講演者は畜産草地研究所飼料作物育種研究チームの間野吉郎さんです 間野さんは神奈川県横浜市の出身で 作物育種学がご専門です テオシントなどの耐湿性がなぜ強いかを知りたい そして 耐湿性の強い畑作物をぜひ作りたいという思いで お仕事をされています 先ほどの大豆の通気組織の話と対比いたしまして トウモロコシ属 イネ科の通気組織など 耐湿性関連の形質に着目しての 耐湿性畑作物の作出というお話を伺います 耐湿性育種では日本のみならず世界をリードしているというご研究で 非常に勉強になるかと思います 講演 5 トウモロコシ属における耐湿性の遺伝解析と耐湿性畑作物の作出 はじめにまず初めにこのシンポジウムで私たちの耐湿性研究を紹介するという機会をいただきました農研機構作物研究所の方をはじめとする 多くの皆様にお礼を申し上げます 講演の内容ですが まず耐湿性の遺伝資源テオシントについて 次に関連する形質の遺伝解析 そして他の畑作物への応用 この順でお話します トウモロコシについて本題に入る前にまずトウモロコシについて簡単にご説明します 教科書に載っている トウモロコシの粒の形状による分類では 大きく分けて六つに分類できます デントコーン フリントコーン この2つは飼料用です スイートコーンはご存じのように食用で その他にソフトコーン ワキシーコーン ポップコーンがあります 次にトウモロコシがどのようにできてきたのかという起源についての説が主に二つあります 一つは三部説というもので トリプサカム テオシント 野生のポッドコーン これらの三つがトウモロコシの成立に関与するという考え これが三部説です もう一つがテオシント説です トウモロコシの起源には このような二つの説がありますが このうち 現在広く受け入れられているのはテオシント説です 世界におけるトウモロコシの栽培面積は 1.5 億 ha で 主にアメリカ合衆国と中国が中心です 日本では 青刈り用のトウモロコシ栽培が主で 9.2 万 ha です 日本で利用されるトウモロコシのほとんどは輸入に頼っており 主にアメリカ合衆国から輸入しています ( 図 5-1) 以上がトウモロコシに関する説明です

( 図 5-1) 世界と日本におけるトウモロコシの栽培状況 今年の3 月に発表された新たな食料 農業 農村基本計画において 飼料の自給率を現在の 26% から 10 年後には 38% まで引き上げるという目標が設定されました そのためには飼料作物の増産 特にトウモロコシの栽培を増やすことが重要ですが 転換畑で栽培する場合に湿害が問題となります ( 図 5-2) そこで 耐湿性の強いトウモロコシを作るという研究を進めています ( 図 5-2) 日本におけるトウモロコシ耐湿性育種の必要性

耐湿性遺伝資源のテオシントそれでは本題に入ります まず 耐湿性遺伝資源のテオシントについてお話します これまでにトウモロコシをはじめ 多くの畑作物において耐湿性が強い遺伝資源は見つかっていないというのが現状です 後ほどお話しますが これまでに 大麦や小麦などに耐湿性の強い遺伝資源があるという報告がなされているものの 現在のところ実用的な耐湿性品種の開発にまでには至っておりません そこで 耐湿性の強いテオシントを遺伝資源として利用して 耐湿性の強いトウモロコシを作ることに取り組んでいます テオシントは亜種も含めて7 種あり 形態的に非常に大きな変異があります ( 図 5-3) 大きいもので ( 図 5-3) 耐湿性遺伝資源テオシント は草丈が5mくらいになり 分げつが多く発生します 雌穂は トウモロコシよりもかなり小さく5~10 粒くらいの種子がつきます 種子は5~8mm 程度の大きさです ( 図 5-4) テオシントは主にメキシコに分布し それ以外にも中米のグアテマラ ホンジュラ ( 図 5-4) テオシントの形態

ス ニカラグアなどに自生しています 特に面白いのがニカラグアのテオシントで このような水浸しのところで生育している 非常に興味深い遺伝資源です このテオシントがどれほど耐湿性が強いかということを調べましたのでご紹介します まず ポット試験の結果です 0.2% の可溶性デンプン溶液で湛水処理をして 10 日目の模様です 湛水かつ還元状態での生育比較で ご覧のようにトウモロコシは葉がしおれていますが テオシントは健全です ( 図 5-5) 次に 圃場の条件での結果を示します 今年の夏に農研機構作物研究所の川口さんたちが水田の試験圃場で湛水実験を行った結果です 真ん中のニカラグアのテオシントは両端のトウモロコシ あるいはグアテマラのテオシントと比較して格段に強いということが圃場レベルでも確認されております ( 図 5-6) ( 図 5-5) トウモロコシと Z.nicaraguensis の耐湿性 ( ポット試験 ) ( 図 5-6) トウモロコシと Z.nicaraguensis の耐湿性 ( 圃場試験 )

テオシントの耐湿性形質ではなぜテオシントの耐湿性が強いのか いろいろと調べました その結果 テオシントは 耐湿性に寄与する根のさまざまな特性を持つということがわかってきました いずれの写真も左側がトウモロコシで 右側がテオシントです テオシントはもともと根を浅く張る浅根性ですが 湛水状態では新たに地表に根を形成して 低酸素の状態を回避します また 根の切片を作成して顕微鏡で観察すると テオシントはイネと同様に 良く発達した通気組織を恒常的に形成しています さらに湛水還元状態になった場合でも トウモロコシの根は大きなダメージを受けますが テオシントの根は健全で 抵抗性を示します ( 図 5-7) ( 図 5-7)Z.nicaraguensis が持つ耐湿性関連形質 テオシントの根の特性の遺伝解析そこで ここからは 2 番目の耐湿性に関連する形質の遺伝解析のお話に入りますが 耐湿性にかかわる根の形質について遺伝解析を行うことを計画しました 野生種 あるいは近縁種と栽培種との交配は一般に困難で 作物によっては全く交配できないものもありますが 現在解析を進めているトウモロコシとテオシントについては 幸いなことに交雑が可能でした ( 図 5-8) この図の左の写真がそのF1 個体の生育の様子です F1 個体の雌穂に花粉がかかると自殖種子ができます 交雑して作った系統を材料として 耐湿性に

( 図 5-8) トウモロコシ Z.nicaraguensis の F1 関するさまざまな特性の遺伝解析を進めています 先ほどご説明した根の特性それぞれについて遺伝解析を行い 関与する遺伝子が染色体上のどこにあるかを調べています 手法としては トウモロコシとテオシントの交雑後代で形質が分離した個体群 ( 分離集団 ) を材料にして DNAマーカーを用いて連鎖地図を作り ( 図 5-9) 遺伝子型のデータと形質のデータを照らし合わせて解析します それに ( 図 5-9) トウモロコシ Z.nicaraguensis の連鎖地図

より その形質を支配する遺伝子がどこにあるかということがわかるというものです この手法を量的形質遺伝子座 (QTL) 解析と呼びます これまでの研究で 根の通気組織に関する主要な遺伝子 (QTL) が第 1 染色体にあるということがわかっています また その他の耐湿性に関わる形質についても同様にQTL 解析が進行中です また QTL 解析とは別のアプローチも進めています それは染色体部分置換系統シリーズの利用です トウモロコシ あるいはテオシントは染色体が 10 本あります ( 図 5-10) は染色体の模式図で 横は染色体番号 縦は部分置換系統の番号を示します それ ( 図 5-10) 染色体部分置換系統のシリーズ ぞれに色のついている部分がテオシントの染色体領域 色のついていないのがトウモロコシの染色体領域を示しています 部分的にトウモロコシの染色体領域がテオシントの染色体領域と置き換わった1 番から 48 番までの系統のシリーズを作っており 10 本の染色体をこの 48 系統でカバーしています この図は BC3F1 の世代のものですが これを2 回自殖させてそれぞれの置換領域を固定させたシリーズを作出しました これを一度作ると さまざまな形質を支配する遺伝子のマッピング つまり遺伝子が染色体のどの位置にあるかが容易に判別できます さらに 遺伝的背景のほとんどがトウモロコシであるのため この材料からスタートすれば 準同質遺伝子系統が迅速に作出できるというメリットがあります 今回作りました染色体部分置換系統のシリーズについて 今年の夏に圃場で栽培してさ

まざまな形質を調査しました テオシントは 自生地のニカラグアでは非常に大きくなり 高さ5m 程度になり 分げつを多く出す あるいは一カ所の節に多数の雌穂をつけるという特性があります ( 図 5-11) 一方 圃場で栽培した部分置換系統のシリーズは その大部分の遺伝的背景がトウモロコシであり 形態的にはほぼトウモロコシでありながら 部分的にテオシントの特性を持つ系統が出てきました ( 図 5-12) 形質とマーカーの情報を照らし合わせることで これらの形質に関与する遺伝子が染色体上のどこにあるかがすぐにわかります この材料を使い 現在 湛水条件下 さらに還元状態においての抵抗性についてマッピングを進めています ( 図 5-11)Z.nicaraguensis の形態 ( 図 5-12) 染色体部分置換系統のシリーズの形態

テオシントとの交雑によるトウモロコシの耐湿性系統の作出これまでの研究でテオシントの持つ根の通気組織 あるいは還元状態における抵抗性という形質について 関与する遺伝子が染色体上のどこにあるかということがわかってきましたので その遺伝子を交雑によりトウモロコシの優良系統に導入し また それらを集積して耐湿性が非常に強い優良系統を作ることを進めています ( 図 5-13) ( 図 5-13) 高度耐湿性トウモロコシ作出の流れ 麦の耐湿性検定 3 番目の話題の畑作物への応用についてご説明したいと思います これまではトウモロコシ属の話題でしたが 主に麦と大豆を対象としたシンポジウムということですので 麦の研究例を紹介します まず 岡山大学資源植物科学研究所の武田和義先生によって行われた研究についてお話します 今から 20 年以上前に 麦では 4,000 品種 さらに これ以降の試験で1 万以上もの品種を使って検定しておられます 小麦では 2,000 品種の耐湿性を検定をしています その結果 極めて耐湿性が強い品種が大麦 あるいは小麦について見つかっており さらに 大麦の実験では 幼植物から生育後期まで一貫して湛水処理を行った場合においても出穂するという 耐湿性の極めて強いものが得られたということが報告されております そこで 私たちは武田先生が選抜した大麦の遺伝資源を岡山大学資源植物科学研究所大

麦 野生植物資源研究センターの佐藤和広先生から分譲いただき いろいろな条件で耐湿性の検定を試みました そこで ( 図 5-14) のようにはっきりとした品種間差異が出る ( 図 5-14) 大麦の幼植物における耐湿性検定 条件を設定することができました これまでに検定した中では カナダの六条皮麦で A 301 という品種が有望で 最も耐湿性が強いという結果が得られています( 図 5-1 5) 作物の耐湿性検定は再現性が低いという問題があり 研究の発展を妨げていましたが ( 図 5-15) 耐湿性の強い大麦品種 A301

本研究において 20 年以上前の結果を再現することができました このようなユニークな遺伝資源は今後の麦類の耐湿性研究を進めるに当たり非常に重要であると言えると思います 麦への応用今から 25 年ほど前に発表された ストレス耐性資源作出におけるバイオテクノロジーと遺伝資源 と題する論文 ( 武田和義 1986, 農業技術 41:501-507) を紹介します そこには 畑作物にイネやハトムギ並みの耐湿性を付与することが可能かどうかは分らないが 従来は予想されなかったような方法で生物の遺伝的特性が改変されることも夢ではないとすれば 様々な植物の遺伝的特性を検索 解析しておくことが 人類にとって必須の食糧資源を確保 拡大することにつながるであろう と書かれ 遺伝資源の検索 遺伝解析 材料作りの重要性が述べられています また 本文中にある 従来は予想されなかったような方法 には 現在一般的になっている遺伝子単離や遺伝子導入も含んでいると思います イネ あるいはそれに匹敵するような耐湿性が強い遺伝資源を見つけてしっかり材料作りを行うことで 遺伝子単離などの手法を用いて 耐湿性が強い畑作物を作ることが可能であると思います そこで 現在進めている 画期的な耐湿性畑作物を作るという共同研究を紹介したいと思います 全体の流れとして 耐湿性の強いテオシントが持っている特性を耐湿性の弱い畑作物に導入することを考えております ( 図 5-16) これは生研センターのイノベーシ ( 図 5-16) テオシントの耐湿性遺伝子の他作物への利用

ョン創出事業のひとつとして実施しておりますが テオシントの形質の中で通気組織に着目し その形成に関与する遺伝子を単離して小麦に導入し 湿害に強い小麦を作ることを目指しています ( 図 5-17) その内容を少し詳しく説明しますと テオシントの通気組 ( 図 5-17) テオシントの通気組織に関連する遺伝子の小麦への利用 織の遺伝子を交雑によりトウモロコシに導入した準同質遺伝子系統を作り レーザーマイクロダイセクション法と網羅的な遺伝子発現解析で遺伝子単離を行い 耐湿性の弱い小麦に遺伝子導入するという研究です ( 図 5-18) トウモロコシでは テオシントとの交雑 ( 図 5-18)

ができますので それによって耐湿性の強いものが作出できそうなのですが 小麦など 交雑ができない畑作物についても 遺伝子単離と遺伝子導入という手法を用いれば 耐湿性が強いものを作ることが可能と考えられます このようにして 転換畑における小麦の安定栽培 さらには自給率向上につながると考えております 最後になりますが 貴重な遺伝資源 テオシントをいただいたCIMMYT( 国際小麦 トウモロコシ改良センター ) 並びに 多くの方々にご指導 ご支援をいただきましたことにつき お礼申し上げます ( 図 5-19) ありがとうございました ( 図 5-19) [ 質疑応答 ] 川口どうもありがとうございました 講演の中でも引用してご発表されていましたが 遺伝資源の大切さと材料づくりの大切さ テオシントという非常におもしろい重要な遺伝資源 その長所を生かして育種に使っていこうということだと思います 例えば私は小麦の研究をしていますが その立場から言えば よい材料に恵まれたトウモロコシの研究は非常にうらやましく思います ただ いいところばかりではなくて 実はトウモロコシはとても大きくなるので トウモロコシの形質評価はすごく大変です 皆さん 苦労してお仕事をされていることは同じと感じております 最後には 私の表現は悪いですが 小麦もテオシントの遺伝子のおこぼれにあずかって 耐湿性の向上に生かせるのではないかというところまで発表いただきました ありがとうございます

耐湿性に関わる QTL の遺伝様式と実用育種小田 ( 作物研究所 ) 非常におもしろい話をどうもありがとうございました 先ほどテオシントの通気組織を作る QTL や 浅根性の QTL を使うという話がありましたが その QTL の遺伝は優性遺伝なのでしょうか劣性遺伝なのでしょうか なぜこういうことを聞くかというと トウモロコシはF 1 ハイブリッドで使うので 優性でないと利用するのが難しいと思います もしくは 劣性遺伝であれば ハイブリッドで利用する際には両親がその形質を持つ必要があるかと思ったのでお聞きしました 間野通気組織形成に関しては不完全優性ですので その形質を十分に発現させるためには遺伝子を両親ともに入れる必要があると思います ただ 通気組織遺伝子をヘテロで持った場合でも 通気組織の形成程度は生育初期では小さいのですが 生育が進むに伴いしっかりとした通気組織が形成されますので 生育が進んだ段階では問題はないと思います 生育の早い段階で通気組織の遺伝子を利用するとなると両親に入れる必要があると思います 浅根性などについても不完全優性の場合が多いです 川口実際に耐湿性品種を作出して普及する上で 種子生産をする段階ではそういうところがかかわってきます 通気組織形成能と還元耐性との関係 Q: 間野さん どうもありがとうございました 間野さんのご説明だと通気組織の形成と 還元抵抗性とを分けて テオシントの場合には両方の形質が耐湿性に寄与しているというご説明でした 一方 大豆の島村さんの講演では 通気組織を形成し酸素を供給する能力が還元抵抗性にも寄与しているというお話だったかと思います テオシントの場合と大豆の場合では違うと考えてよいのでしょうか 間野耐湿性に寄与する複数の要因を分解して解析するということにつきまして 例えば通気組織や浅根性というような形質でしたらはっきりしているのですが 還元抵抗性というのは漠然とした性質であり ここには複数の要因が関係していると思います Q: 通気組織だけでは説明できない部分があるということでしょうか 間野そうです 通気組織プラス根の酸化力の強さとか 要因はいろいろあると思います 実際に還元状態に強い あるいは弱い材料ができつつありますので その両者を比較して 還元抵抗性には通気組織が関係しているのかとか 他に何が影響しているかを調べたいと思っています Q: 両者は関係しており 完全に一致ではないけれども 違う部分もあり得る つまり 還元抵抗性に関しては通気組織による酸素の供給能以外の形質も寄与し得るということでしょうか 間野その可能性はあると思います 川口おもしろい切り口だと思って聞いておりました 通気組織というと形態をあらわす表現ですけれど 湛水還元抵抗性というのは性質をあらわす表現ですので 多分 重な

っていたり 関係する要因がまだ他にもあるかもしれないと思います 交雑と遺伝子組換え技術の使い分け Q: お話を承って思いついたのですが 圧倒的に過湿に強い植物は レンコンや イネ科の竹などではないかと思います これらは 多分 テオシントとは耐湿性のメカニズムが違うかもしれませんが 遺伝子組換えを 田んぼにはそれを使うということを前提にして研究したらと思うのですが どのようなものでしょうか 川口実用品種を作るときの作り方の問題ですが 今 テオシントの遺伝子を研究しているけれど 手法として組換え技術を使うよりも従来の方法を使ってほしい イネも 先ほどおっしゃったレンコンも例えば麦に交雑できないので 交雑できる範囲の中でやってほしいというお話だと思って聞きました Q: 逆に遺伝子組換えを前提にして 交雑は余り考えないでという意味でした 交雑では徐々にしか進歩しないと思うのです 川口交雑という手法もあるけれど そうではなくて遺伝子導入で研究を進めて欲しいというご意見でした 勘違いして失礼いたしました 格段に進歩するには交雑だけに頼らないほうがよいのではないかというお話です Q: そういう 交雑に頼るという発想がまずいのではないかということです 間野まず耐湿性を発揮させるような遺伝子を単離する必要があり それには やはり交雑という方法を使って地道な材料づくりが必要だと思います それができれば遺伝子単離 遺伝子導入と進んでいくことができると思います 従って まず遺伝子組換えを行う前段階として ご紹介したような地道な仕事をしております 本当に使える遺伝子が単離できれば 将来的には短期間に おっしゃるようなものができてくると考えております 川口例えばレンコンでは メカニズムが違うとおっしゃったように レンコンのメカニズムを解明するのにも 多分 第二の間野さんが必要でしょうし 耐湿性の強化のためには人材的にも広く必要なのだろうなと感じます 圃場での耐湿性検定 Q: 大麦のお話で 今回の幼苗検定の結果ではカナダの品種の耐湿性が強いということですが それを圃場レベルで耐湿性を検定されているかどうか教えてください 間野私たちは圃場レベルではまだ検定しておりません 今回ご紹介した試験は4 回程度 異なる環境で試験をしました その結果に再現性はありましたが さらに 現在も再試験をして幼苗段階でチェックしております 圃場レベルでの検定は今の段階では考えておらず 幼苗段階でしっかりデータを蓄積して遺伝解析をした後に圃場レベルでの調査を考えたいと思っています 圃場レベルでの検定に関しては 岡山大学資源植物科学研究所の武田先生が圃場において収穫期までの耐湿性を評価されたという事例があり エチオピアに強い品種があったということです

耐湿性の強い系統を用いた育種 Q: 大麦の強い品種が過去に得られていたのに 実用化までうまくいかなかった原因に関してお聞きしたいと思います それは形質の評価がうまく再現できなかったためなのか 強いという形質が複数の因子によって達成されているためなのか あるいはそれ以外なのかということを教えてください 間野実は大麦につきましては 20 年ほど前に得られた結果までで研究が止まっていて それで 最近また私が始めたと考えています 過去に強い品種が得られていましたが そこまでで研究が途切れており それを実際 実用化したらうまくというところまではやっていないと思います 川口空白の 20 年があったということだと思います Q: 20 年前と今と変わらない 川口変わらないというか 再発見 再スタートということですね ( 編集注 : 会場ではこれで議論を終えたが 知りうる限り 岡山大学資源植物科学研究所では 20 年ほど前に精力的な品種選抜試験が行われ その後も十数年前までは耐湿性の遺伝実験などの研究が進められていた また 農研機構中央農研北陸研究センターにおいても武田先生の選抜した大麦品種を交配母本として耐湿性品種を得ようとする努力がなされている 実用化を目指した耐湿性品種の開発を阻むハードルや それを乗り越えるために必要な技術的な問題に関してはさらに議論が可能であろう ) 遺伝資源の分布と耐湿性の強弱森 ( 作物研究所 ) 大麦 小麦の遺伝資源で耐湿性が強いものについて 地理的な分布の特徴がわかっていれば教えてください 間野地理的分布については 降水量の多いアジア由来のものが多いようですが 実は乾燥地の品種でも非常に強いというのもあり 一概には言えないと思います ( 編集注 : エチオピアや北米の品種に強いものがある これは 国全体としては半乾燥地帯だとしても 低地に湿潤地帯があるなど局地的な環境に起因するかも知れない また 品種の来歴が不明 あるいは不確実な場合も多いことなどが影響しているのかもしれない 一方 大麦種子の発芽における耐水性に関しては 明らかに東アジアの品種が強く これは自然淘汰の結果だと思われる ) 各種ストレスに対する交差反応森 ( 作物研究所 ) 耐湿性に強い系統は 他のストレスにも強いというような関係性はあるでしょうか 間野耐湿性とその他の形質との関係については 十分な検討がなされているわけではありませんが 私の知る範囲内では関連性はないと思います

川口どうもありがとうございました ホームページ版