医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する

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3. 報告方法 1) 報告はインシデント アクシデントレポートに記載して行う 所属長が 患者影響度レベル の判断を行った上で提出する 2) レベル3b 以上の医療事故発生時には 口頭での報告を優先し 患者の救命措置等に支障が及ばない範囲で 遅滞なく書面による報告を行う 3) 自発的報告がなされるよう

Microsoft Word - 医療安全管理指針.doc

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( 別添様式 2) 喀痰吸引等業務 ( 特定行為業務 ) の提供に係る同意書 下記の内容について十分な説明を受け内容を理解したので 喀痰吸引等業務 ( 特定行為業務 ) の実施に同意いたします 喀痰吸引等 ( 特定行為 ) の種別 口腔内の喀痰吸引該当する ( 実地研修を実施する行為 ) にチェック

医療安全管理指針

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責任者 医療安全管理者等をもって構成する (3) 委員会では 医療事故防止対策の検討 医療事故防止のために行う提言 職員に対する指示 啓発 教育 広報などの協議を行い 月 1 回開催するものとする 3 医療安全管理部門の設置 (1) 委員会で決定された方針に基づき 組織横断的に当院内の安全管理を担う

3 医療安全管理委員会病院長のもと 国府台病院における医療事故防止対策 発生した医療事故について速やかに適切な対応を図るための審議は 医療安全管理委員会において行うものとする リスクの把握 分析 改善 評価にあたっては 個人ではなく システムの問題としてとらえ 医療安全管理委員会を中心として 国府台

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2016医療安全マニュアル.pdf

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

上越地域医療センター病院 医療安全管理指針

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( 様式第 6) 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法に関する書類 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法 計画 現状の別 1. 計画 2. 現状 閲 覧 責 任 者 氏 名 閲 覧 担 当 者 氏 名 閲覧の求めに応じる場所 閲覧の手続の概要 ( 注 ) 既に医療法施行規則第 9 条の

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本院における「医療にかかる安全管理のための指針」(以後指針と記載する)を周知していただくために下記の質問への回答をお願い致します

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平成19年度 病院立入検査結果について

1 ガイドライン策定の目的防犯カメラについては テレビや新聞で報道されているように 犯罪の解決や犯罪の抑止につながることなど その効果は社会的に認められており さまざまな施設に防犯カメラが設置されております しかし その効果が認知される一方で 防犯カメラにより個人のプライバシーなどの人権が侵害される

12_モニタリングの実施に関する手順書 

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(4) インシデント ( ヒヤリ ハット ) ある医療行為が 1 患者には実施されなかったが 仮に実施されたとすれば何らかの被害が予測される場合 2 患者には実施されたが 結果的には被害がなく またその後の観察も不要であった場合等をいう ( 日常診療の現場で ヒヤリ としたり ハッ とした体験をいう

平成 29 年中の救急出動件数等 ( 速報値 ) の公表 平成 30 年 3 月 14 日 消防庁 平成 29 年中の救急出動件数等の速報値を取りまとめましたので公表します U 救急出動件数 搬送人員とも過去最多 平成 29 年中の救急自動車による救急出動件数は 634 万 2,096 件 ( 対前

第 4 条 ( 取得に関する規律 ) 本会が個人情報を取得するときには その利用目的を具体的に特定して明示し 適法かつ適正な方法で行うものとする ただし 人の生命 身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合には 利用目的を具体的に特定して明示することなく 個人情報を取得できるものとする 2 本会

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平成 26 年 3 月 6 日千葉医療センター 地域医療連携ネットワーク運用管理規定 (Ver.8) 千葉医療センター地域医療連携ネットワーク運用管理規定 第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条この運用管理規定は 千葉医療センター地域医療連携ネットワーク ( 以下 千葉医療ネットワーク ) に参加

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1 策定の目的 この手引書は 茅ヶ崎市地域防犯カメラ ( 以下 地域防犯カメラ という ) の設置及び運用について配慮すべき事項を定めることにより 地域防犯カメラの有用性とプライバシー保護等との調和を図り 地域防犯カメラを適切かつ効果的に活用し 茅ヶ崎市の安心して安全に暮らせるまちづくりを推進するこ

( 内部規程 ) 第 5 条当社は 番号法 個人情報保護法 これらの法律に関する政省令及びこれらの法令に関して所管官庁が策定するガイドライン等を遵守し 特定個人情報等を適正に取り扱うため この規程を定める 2 当社は 特定個人情報等の取扱いにかかる事務フロー及び各種安全管理措置等を明確にするため 特

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2. 平成 9 年遠隔診療通知の 別表 に掲げられている遠隔診療の対象及び内 容は 平成 9 年遠隔診療通知の 2 留意事項 (3) イ に示しているとお り 例示であること 3. 平成 9 年遠隔診療通知の 1 基本的考え方 において 診療は 医師又は歯科医師と患者が直接対面して行われることが基本

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Ⅰ バイタルリンク 利用申込書 ( 様式 1-1)( 様式 ) の手続 バイタルリンク を利用する者 ( 以下 システム利用者 という ) は 小松島市医師会長宛に あらかじ め次の手順による手続きが必要になります 新規登録手続の手順 1 <システム利用者 ( 医療 介護事業者 )>

サマリー記載について

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薬事法における病院及び医師に対する主な規制について 特定生物由来製品に係る説明 ( 法第 68 条の 7 平成 14 年改正 ) 特定生物由来製品の特性を踏まえ 製剤のリスクとベネフィットについて患者に説明を行い 理解を得るように努めることを これを取り扱う医師等の医療関係者に義務づけたもの ( 特

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医療従事者が被害者である場合や廊下で転倒した場合なども含む 医療の過程 とは 医療行為はもちろん 病院内で起きるすべての事象を指す 院内における患者の転倒 転落などもアクシデントの範疇に入る C 医療過誤 医療事故の発生原因に 医療機関 医療従事者に過失があるものをいう D 病院 北福島医療センター


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研究課題名 臨床研究実施計画書 研究責任者 : 独立行政法人地域医療推進機構群馬中央病院 群馬県前橋市紅雲町 1 丁目 7 番 13 号 Tel: ( 内線 )Fax: 臨床研究期間 : 年月 ~ 年月 作成日 : 年月日 ( 第 版

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特定個人情報の取扱いに関する管理規程 ( 趣旨 ) 第 1 条この規程は 特定個人情報の漏えい 滅失及び毀損の防止その他の適切な管理のための措置を講ずるに当たり遵守すべき行為及び判断等の基準その他必要な事項を定めるものとする ( 定義 ) 第 2 条 この規定における用語の意義は 江戸川区個人情報保

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5 保険金等の支払件数 支払不可事由に該当する件数および内訳 2012 年度上半期 (2012 年 4 月 ~2012 年 9 月 ) ( 単位 : 件 ) 6 保険金 7 給付金 死亡高度障害入院手術就業不能合計その他合計 8 その他合計保険金保険金給付金給付金給付金 支払件数

資料 4 医療等に関する個人情報 の範囲について 検討事項 医療等分野において情報の利活用と保護を推進する観点から 医療等に関する個人情報 の範囲をどのように定めるべきか 個別法の対象となる個人情報としては まずは 医療機関などにおいて取り扱われる個人情報が考えられるが そのほかに 介護関係 保健関

記 1. 適用対象本通知は 製造販売業者等が GPSP 省令第 2 条第 3 項に規定する DB 事業者が提供する同条第 2 項に規定する医療情報データベースを用いて同条第 1 項第 2 号に規定する製造販売後データベース調査を実施し 医薬品の再審査等の申請資料を作成する場合に適用する GPSP 省

14個人情報の取扱いに関する規程

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301226更新 (薬局)平成29 年度に実施した個別指導指摘事項(溶け込み)

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1 検査の背景 (1) 日本年金機構における個人情報 情報システム及び情報セキュリティ対策の概要厚生労働省及び日本年金機構 ( 以下 機構 という ) は 厚生年金保険等の被保険者等の基礎年金番号 氏名 保険料の納付状況等の個人情報 ( 以下 年金個人情報 という ) について 社会保険オンラインシ

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制定 : 平成 24 年 5 月 30 日平成 23 年度第 4 回理事会決議施行 : 平成 24 年 6 月 1 日 個人情報管理規程 ( 定款第 65 条第 2 項 ) 制定平成 24 年 5 月 30 日 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 定款第 66 条第 2 項の規定に基づき 公益社団法

独立行政法人        地域医療機能推進機構    医療安全管理指針

Transcription:

大阪府立病院機構医療事故公表基準 1 公表の目的この基準は 府立 5 病院における医療事故の公表に関する取り扱いについて必要な事項を定めるものとする 病院職員は 次に掲げる公表の意義を正しく認識し 医療事故防止に努めるものとする (1) 病院職員が事故原因の分析や再発防止への取組みなどの情報を共有化し 医療における安全管理の徹底を図るため 自発的に医療事故を公表していくことが求められていること (2) 府立の病院として社会に対し事実を誠実に説明する責務を有しており 公表により病院運営の透明性を高め 府民の信頼を得ることができること (3) 医療事故に関する情報を公表することは 他の医療機関の安全管理にとっても有用となること 2 用語の定義 (1) 医療事故医療事故とは 医療に関わる場所 で 医療の全過程 において発生するすべての人身事故で 1) 次の 2 つに区分される 1 医療過誤 = 過失のある事故医療事故のうち 医療従事者 医療機関の過失により 2) 起きたもの 2 過失のない医療事故医療従事者 医療機関の過失がないにもかかわらず起きたもの また 患者や見舞客が廊下で転倒し 負傷した事例のように 医療行為とは直接関係しない施設や設備の使用 管理上の事故も医療事故に含むものとする なお 医療従事者が被害を受けたものは 本基準の対象としない 医療に関わる場所 とは 原則として病院建物及び敷地内とする 医療の全過程 とは 医療に関わる場所において医療行為を行っている状況のほ か 患者が医師等医療従事者の管理下にある状況を含む (2) ヒヤリ ハット事例医療従事者が医療を行ううえで ヒヤリとしたり ハッとした経験を有する事例 1) で 医療事故に至らなかった場合をさす (3) 合併症医療行為に際して二次的に発生し 患者に影響を及ぼす事象をいう 2) 予期しなかった合併症は過失のない医療事故に含まれる

3 医療事故 ヒヤリ ハット事例の患者影響レベルと内容 区分レヘ ル内容 ヒヤリ ハット事例 0 1 2 間違いが実施前に発見された事例 仮に実施されていても患者への影響は小さかった ( 処置不 要 ) と考えられる仮に実施されていた場合 身体への影響は大きい ( 生命に影 響しうる ) と考えられる患者へは実害がなかった ( 何らかの影響を与えた可能性は否定できない ) 2) 処置や治療は行わなかった ( 患者観察の強化 バイタルサインの軽度変化 安全確認のための検査などの必要性は生じた ) 2) 患者に影響があった事例 3 簡単な処置や治療を要した ( 消毒 湿布 皮膚の縫合 鎮痛剤の投与など ) 2) 濃厚な処置や治療を要した ( バイタルサインの高度変化 人工呼吸器の装着 手術 入院日数の延長 外来患者の入院 骨折など ) 2) 医 患者に永続的な障がいが残った事例 療 事 4 [ 軽度 ~ 中等度の傷害 ] 永続的な障がいや後遺症が残ったが 有意な機能障害や美容上の問題は伴わない 2) 故 [ 中等度 ~ 高度の傷害 ] 永続的な障がいや後遺症が残り 有意な機能障害や美容上の問題を伴う 2) 5 死亡 ( 原疾患の自然経過によるものを除く ) 2) 4 公表する医療事故の範囲及び方法 ( 別表 1 参照 ) (1) 別表 1 のレベル 4 または 5 に該当する医療事故で原因が医療過誤によるもの 1 公表時期 : 事故発生後速やかに行う 2 公表方法 : 個別公表 [ 報道機関に医療事故の概要について資料提供を行い また 必要に応じて記者会見を行うものとする ] (2) 別表 1 のレベル 4 または 5 に該当する医療事故で原因が医療過誤か合併症等過失のないものかの判断が困難なもの 医療事故調査委員会等による調査結果により公表の有無を判断

A 医療過誤 ( またはその可能性が大きい ) と判断される場合 1 公表時期 : 医療事故調査委員会等による調査結果が出て速やかに行う 2 公表方法 : 上記 (1) の 2 と同様とする B 過失が特定できなかった場合他の医療機関の事故防止につながる事例など公表することの社会的意義が大きい場合については 院長が公表の有無を個別に判断公表を行う場合は 個別公表とし 事故の概要及び再発防止策 ( または医療事故調査報告書等の概要版等 ) を当該病院のホームページに掲載する (3) 原疾患の治療中に予期しなかった合併症 予期したものを上回った合併症等により死亡した場合 原則として公表を行わないが 他の医療機関の事故防止につながる事例など公表することの社会的意義が大きい場合については 院長が公表の有無を個別に判断 1 公表時期 : 上半期の事例は 10 月 下半期の事例は翌年度 4 月 2 公表方法 : 個別公表 [ 事故の概要等を当該病院のホームページに掲載する ] (4) 患者影響レベル及び過失の有無にかかわらず多数の患者に被害が及ぶなど社会的な影響や病院運営への影響が大きいと考えられる医療事故 または医薬品の予想されていなかった副作用や 医療機器 用具の欠陥による事故等 公表することが他の医療機関の事故防止に明らかにつながる事例については院長が公表の有無を個別に判断 1 公表時期 : 院長の公表判断後 速やかに行う 2 公表方法 : 上記 (1) と同様とする (5) 別表 1 のレベル 3 以上の医療事故 1 公表時期 : 毎年度上半期分は 10 月 下半期分は翌年度 4 月 2 公表方法 : 包括公表 [ レベル毎の件数と他の医療機関の事故防止につながると考えられる事例及び再発防止策について当該病院のホームページに掲載 ] (6) ヒヤリ ハット事例の取扱ヒヤリ ハット事例 ( インシデント報告 ) については 事例に係る情報を蓄積し 集計 分析 評価を行うなど 医療事故防止の基礎資料として活用することを目的に収集しているものであり 本基準の対象としない インシデント報告の分析や評価及び事例活用の状況等については 各病院の医療 安全管理の取り組み実績として当該病院の年報等に掲載するものとする 5 公表にあたっての留意点個別公表にあたっては 患者及び家族のプライバシーに配慮するため 事前に患者 家族に公表の内容 時期 方法等を説明し 原則として書面により同意を得るものとする また 個別公表及び包括公表にあたっては 公表する内容から 患者及び当該医療事故に関わった医療従事者が特定 識別されないよう

に 個人情報の保護に十分注意する 6 その他院長は 個別公表の内容等を決定した場合には その経過 理由等を記録し 保管する 7 適用この基準は 平成 19 年 4 月 1 日から適用する 引用文献 1) リスクマネージメントマニュアル作成指針 ( 厚生労働省 平成 12 年 8 月 ) 2) 国立大学附属病院における医療上の事故等の公表に関する指針 ( 平成 17 年 3 月 )

公表する医療事故の範囲及び方法別表 1 区 分 ヒヤリ ハット事例 レベル 0 1 内 容 間違いが実施前に発見された事例仮に実施されていても患者への影響は小さかった ( 処置丌要 ) と考え られる 仮に実施されていた場合 身体への影響は大きい ( 生命に影響しうる ) と考えられる 患者へは実害がなかった ( 何らかの影響を不えた可能性は否定できない ) < 過失のある事故 > 医療過誤 公表基準 < 過失の疑いのある事故 > 医療過誤か合併症等過失のない事故かの判断が困難なもの < 過失のない事故 > 予期しなかった合併症 予期したものを上回った合併症等 2 処置や治療は行わなかった ( 患者観察の強化 バイタルサインの軽度変化 安全確認のための検査などの必要性は生じた ) 患者に影響があった事例 ヒヤリ ハット事例 ( インシデント報告 ) については本基準の対象としない インシデント報告の分析や評価及び事例活用の状況等については 各病院の医療安全管理の取り組み実績として当該病院の年報等に掲載するものとする 医 3 簡単な処置や治療を要した ( 消毒 湿布 皮膚の縫合 鎮痛剤の投不など ) 濃厚な処置や治療を要した ( バイタルサインの高度変化 人工呼吸器の装着 手術 入院日数の延長 外来患者の入院 骨折など ) [ 包括公表 ] 療事故 患者に永続的な障がいが残った事例 [ 軽度 ~ 中等度の傷害 ] 永続的な障がいや後遺症が残ったが 有意な機能障害や美容上の問題は伴わない 1 医療事故 ( レベル 3 以上 ) のレベル毎の件数と他の医療機関の事故防止につながると考えられる事例及び再発防止策について当該病院のホームページに掲載する 2 公表は 毎年度上半期分を 10 月に 下半期分を翌年度 4 月に行う 4 5 [ 中等度 ~ 高度の傷害 ] 永続的な障がいや後遺症が残り 有意な機能障害や美容上の問題を伴う 死亡 ( 原疾患の自然経過によるものを除く ) 個別公表 公表 事故発生後 速やかに公表する [ 報道機関に医療事故の概要について資料提供を行い また必要に応じて記者会見を行う ] 個別公表 原則事後公表 医療事故調査委員会等による調査の結果 A 医療過誤 ( またはその可能性が大きい ) と判断される場合は速やかに公表する [ 報道機関に医療事故の概要について資料提供を行い また必要に応じて記者会見を行う ] B 調査の結果 過失が特定できなかった場合は 他の医療機関の事故防止につながる事例など公表することの社会的意義が大きい場合については 院長の判断により公表する [ 事故の概要及び再発防止策等を当該病院のホームページに掲載する ] 原則公表しない他の医療機関の事故防止につながる事例など公表することの社会的意義が大きい場合については 院長の判断により公表する ( 事故の概要及び再発防止策等を当該病院のホームページに掲載する 上半期の事例は 10 月 下半期の事例は翌年度 ) 注 ) 患者影響レベル及び過失の有無にかかわらず多数の患者に被害が及ぶなど社会的影響や病院運営への影響が大きいと考えられる場合 又は医薬品の予想されていなかった副作用や 医療機器 用具の欠陥による事故等 公表することが他の医療機関の事故防止に明らかにつながる事例については 院長の判断により個別公表を行う