簡易 BCP 作成ツール 事業継続計画書 第 1 版 その作成方法と記載例 2014 年 1 月 会社名 : 株式会社 1
1 事業継続の基本方針 大規模地震が発生した場合に どのように対応するかという方針を定めたものです 社員や来訪者の安全を確保する観点 事業をどのように継続するかという観点を挙げています その他 必要に応じて 地域貢献に関する観点などを取り入れます 1. 事業継続の基本方針当社は, 以下のような方針で事業継続を行います 安全確保の観点社員や来訪者の安全を最優先として 二次災害の防止などの防災対策を進めていく 事業継続の観点 製品の製造 出荷を目標復旧時間以内に必ず再開し 事業を継続することを最優先とする その他の製品についても 可能な限り早急に再開するようにする 2 想定する緊急事態とその被害 事業継続計画書で想定する緊急事態とそれによる経営資源が受ける被害を想定しています 本 簡易 BCP では 拠点( 本社 工場 営業所など ) の横浜市において震度 6 弱の大規模地震 ( 津波被害はなし ) の発生を想定しています 作業を簡略化するために 経営資源ごとのおおまかな被害想定を最初から設定しています 緊急事態には 地震 洪水 津波といった自然災害 新型インフルエンザなどの感染症の流行 火災や爆発事故 サイバーテロなども考えられます 今回は 要員 ( 従業員 ) 建物や設備 情報及び情報システム ライフライン ( 電気 水道 電話 ) といった さまざまな経営資源に大きな被害を与える大規模地震の発生を想定しています 拠点の立地する場所によっては 地震の発生とともに 津波 液状化現象 火災の恐れがあります 横浜市のホームページ (http://wwwm.city.yokohama.lg.jp/) にある わいわい防災マップ を利用すると 想定震度 液状化危険度など防災に役立つ各種情報を得ることができます 2
2. 想定する緊急事態とその被害 当社は 以下のように緊急事態とその被害を想定する 想定する緊急事態大規模地震 ( 横浜市内で震度 6 弱 : 津波なし ) 経営資源要員 ( 役員 社員 パート社員など ) 建物設備情報 システム資材 協力会社電気 水道 電話 想定する被害業務に携わる要員が不足してしまう負傷 交通機関の麻痺等により 役員 従業員の 40% が7 日間出社できず 8 日目におおむね全員が出社する 耐震性が高い場合 (1982 年以降に建設 または耐震補強済み ) 壁や柱などにひび割れ 亀裂が入るが 引き続き利用可能 耐震性が低い場合 (1982 年以前に建設 かつ耐震補強未実施 ) 壁や柱などに ひび割れ 亀裂が多く入り 利用不能 設備が利用できない 固定していない設備 什器 備品が転倒し 破損する 固定していないデータサーバーが転倒し 破損する 図面や取引データなどを喪失してしまう 材料や商品 資材などが調達できない 資材の調達先や協力会社が近隣にある場合 被災し調達が困難になる 電気 水道 電話回線が利用できない 電気 7 日程度 水道 7 日程度 電話回線 3 日程度 利用できない なお 上記の経営資源の被害想定については 前述の わいわい防災マップ の想定震度や浸水予想などをもとに修正して構いません 浸水が想定される場合には より被害は大きくなると考えられます また 電気 水道 電話 の 電気 7 日程度 水道 7 日程度 電話回線 3 日程度 利用できない の箇所については 適宜 短い期間の想定にして構いません 想定が厳しすぎるために 有効な事業継続計画を立てられないので そもそも計画の策定自体をやめてしまう のであれば 想定の見直しをします 3
3 重要な事業とその目標復旧時間 限られた経営資源 限られた時間ですべての事業 業務を対応することはできません 自社の事業 ( 製品 サービス ) のうち 優先的に継続 早期復旧を行うものを選定します 優先度を決めるにあたり 取引先 行政 社会といった社外への影響 自社の売上 資金繰りといった社内の影響で大きなものは何か 検討します 社外への影響については 行政との協定 取引先との契約内容 法規制などの有無を 社内の影響については 他社に切り替えられて取引がなくなるときの影響を考慮します 目標復旧時間を決めるにあたり 事業が中断すると 時間の経過とともに 社会的な信用の低下や顧客離れがどのように起きるのかを加味します 影響の深刻度が大きくなるにつれて 小 中 大へと変化していきます 目標復旧時間は 影響度が 大 になる前に設定するようにします なお 事業 ( 製品 サービス ) の分け方ですが 製造業の場合 次のように考えられます ( 例 1) 事業や提供する製品 サービスで分類する 新製品開発 既存製品の製造 販売 修理サービス 校正サービス ( 例 2) 取引先で分類する A 社向け製品の製造販売 B 社向け製品の製造販売 3. 重要な事業とその目標復旧時間 当社は 以下のように 重要な事業とその目標復旧時間を定めます 重要な事業とその目標復旧時間 1 各種製品の修理サービス 5 日以内 ( 試験機製造業の場合 ) 2 検査治具の製造 販売 3 各種製品の校正サービス 10 日以内 10 日以内 事業 ( 製品 サービス ) A 製品の設計 製造 販売 B 製品の製造 販売検査冶具の製造 販売各種製品の修理サービス各種製品の校正サービス 提供できなくなった場合の影響の深刻度 ( 大 中 小 ) 影響 ( 大 中 小 ) 顧客や社会自社 24 時間 72 時間 ( 生命に関わ ( 利益 資金以内以内るなど ) 繰りなど ) 1 週間 1ヶ月 以内 以内 目標復旧 1ヶ月時間超 中 大 低 中 高 3 週間 中 中 低 中 高 3 週間 中 小 低 中 高 10 日 大 中 低 中 高 5 日 大 中 低 中 高 10 日 4
建設業の場合 次のような事業 ( 製品 サービス ) の分け方が考えられます ( 例 ) 実施する工事 サービスの種類で分類する 新設工事 改修工事 修繕工事 協定に基づく安全確認 管工事 給排水衛生工事 ( 建設業の場合 ) 事業 ( 製品 サービス ) 提供できなくなった場合の影響 ( 大 中 小 ) 顧客や社会自社 ( 生命に関 ( 利益 資金わるなど ) 繰りなど ) 24 時間以内 影響の深刻度 ( 大 中 小 ) 72 時間 1 週間 1ヶ月 以内 以内 以内 1ヶ月超 目標復旧時間 施工中の工事小大低中高 2 週間 応急工事中中低中高 3 日 協定に基づく 緊急対応 大小中高 2 日 小売業 卸売業 サービス業の場合 次のような事業 ( 製品 サービス ) の分け方が考えられます ( 例 ) 事業や提供する商品 サービスで分類する 新車販売 中古車販売 修理 定期点検 保守パーツ販売 システム開発 保守サービス ソフトウエア販売 店舗での販売 通信販売 ( 自動車ディーラーの場合 ) 事業 ( 製品 サービス ) 提供できなくなった場合の影響 ( 大 中 小 ) 顧客や社会自社 ( 生命に関わ ( 利益 資金るなど ) 繰りなど ) 24 時間以内 影響の深刻度 ( 大 中 小 ) 72 時間 1 週間 1ヶ月 以内 以内 以内 1ヶ月超 目標復旧時間 新車の販売小大低中高 3 週間 定期点検中中低中高 5 日 修理大中中高 2 日 保守パーツ販売大小中高 2 日 5
4 想定する緊急事態の発生時に起こりうる事態とその対策 Ⅱ-3 重要な事業とその目標復旧時間 で設定した 重要な事業の目標復旧時間を達成するための対策を検討します まず Ⅱ-2 想定する緊急事態とその被害 をもとに 想定する緊急事態 ( 南関東地震 ) が発生したときに どのような事態が起こるのか 自社の経営資源ごとに1の 起こりうる事態 欄に記載します 次に その事態が起こった時に備えてどのような対策をとるのかを 2の その事態への対策 対応方法 欄に記載します 対策には 経営資源の被害を軽減するためのもの 経営資源が利用できない場合を想定した代替策 ( 代わりの要員 代わりの施設 代わりの設備 代わりの方法など ) を検討し 記載します すでに実施済みのもの すぐには実施できないものも記載していきます それぞれの対策 対応方法について すでに 対応済 なのか 対応時期が 1 年以内 3 年以内 時期未定 とするのかを検討し 実施時期 欄の該当箇所に をつけます 1 年以内 に実施する対策には 書類棚の転倒防止対策や重要なデータのバックアップといった それほど手間やお金のかかない また効果の高い対策を選択するとよいでしょう それぞれの対策 対応方法が必ず実行されるようにするために 実施する部門を検討し 担当部門 に記載します そして 関連する文書があればそれを 関連する文書 に記載します 4. 想定する緊急事態の発生時に起こりうる事態とその対策 当社は 緊急事態の発生時に備えて 以下の対応をとるとともに 段階的に整備します 起こりうる事態 そのための 対応方法 実施時期 対応済 1 年以内 3 年以内時期未定 担当 部門 関連する 文書 6
5 緊急時における対応の流れとその体制 緊急事態発生時の対応の総責任者 ( 通常は経営者 ) とその代行者を決めます また 本社が被災した場合の代替拠点を定めます 初動対応 事業継続 復旧のためにしなければならないことを記載していきます そして それぞれに担当部門を決めます 関連文書の欄には 詳細な手順を記載したもの ( 防災マニュアルや緊急連絡網など ) 参考にする帳票 ( 各種チェックリストなど ) を記載します 5. 緊急時における対応の流れとその体制 当社の被災時における対応の流れとその体制は, 以下のとおりとします 全社対応の総責任者社長 ( 代行 ) 専務取締役 本社被災時の代替拠点 1 工場 2 営業所 地震発生当日 ~( 初動対応 ) 対応の流れ担当部門など関連文書 身の安全の確保, 地震情報の収集, 安全措置 ( 緊急停止等 ) 各人で対応する 防災マニュアル 初期消火, 火災時の通報初期消火担当 負傷者の救出救護救出 救護担当 二次災害対策の実施店舗 ( 店長 ) 建物 周辺の安全確認, 安全な場所へ避難誘導避難 誘導担当 従業員, 家族の安否確認 総務部 緊急連絡網 被害状況把握, 施設 設備の点検 総務部 被害状況チェックリスト 顧客 協力会社の被害状況把握と被害報告購買部 - 地震発生から数日以降 ( 復旧活動 ) 対応の流れ 担当部門など 関連文書 施設 設備 データの復旧 総務部 - 資材会社の被害状況 把握必要資材の調達 購買部 - 従業員の家族への援助活動 総務部 - 7
6 教育 訓練 作成した事業継続計画書に関わる定期的な教育や訓練を実施する時期を決めておきます 定期的な教育や訓練をすることで いざという時に事業継続計画書のとおりに対応できるようにします 事業継続計画書で定めた様々な対策のうち 例えば 従業員の安否確認や自家発電機のように 普段は実施や利用しないものについて その方法を教育し 実際にやってみることが大切です この教育 訓練は定例の実施のほかに 新入社員入社時などに随時 実施します 6. 教育訓練計画 当社は 防災対策や事業継続に関する以下の教育や訓練活動を行います 教育 訓練の名称その目的実施時期 事業継続計画の説明事業継続計画の概要, 変更点を周知する毎年 8 月 避難訓練の実施 避難計画や避難経路図をもとに安全に避難が実施できるかを確認する 毎年 9 月 安否確認訓練あらかじめ決めた方法を確認する毎年 4 月 緊急参集訓練 休日にあらかじめ決められた拠点へ参集することができるかを確認する 毎年 3 月 上記の教育訓練は定例の実施時期のほかに 新入社員入社時などに教育を行います 8
7 見直し計画 作成した事業継続計画書について 定期的な見直しを実施する時期を決めておきます 定期的な見直しをすることで 実態に即した事業継続計画書にします 事業継続計画書を変更しなければならない事態としていくつか考えられます 例えば 4. 想定する緊急事態の発生時に起こりうる事態とその対策 で 1 年以内 に対応予定とされていた対策が実施された場合 5. 緊急時における対応の流れとその体制 の責任者が退職した場合 組織変更があった場合などが挙げられます このような事態が起こり 実態と事業継続計画書が合致しないということにならないように 少なくとも年 1 回は計画書の見直しをしましょう 事業継続計画書発行時 事業継続計画書 事業継続計画書発行後に 各種責任者の退職 実施予定だった対策の完了 組織変更実態とのかい離の修正 見直し後 事業継続計画書 改訂版 7. 見直し計画 当社は 以下の頻度で 事業継続計画 の内容の見直しを行います 定期 1 年に 1 回 ( 3 月 ) 不定期 緊急時の各担当者の退職や設備等の導入 廃棄などの変更が発生したときなど 9
8 各種リスト 以下の各種リストは 多くの企業で作成が必要と考えられるものになります すでに別の様式で作成済みであれば そちらをご使用ください また 不要なもの 追加で必要なものがあれば 適宜 追加 削除をしてください リスト 1 連絡先リスト 連絡先名担当者名電話番号 FAX 番号 メールアドレスなど ( 株 ) ( 株 ) ( 株 ) 課長 ***-***-**** FAX ***-***-**** ******@****.co.jp ***-***-**** FAX ***-***-**** ******@****.co.jp ***-***-**** FAX ***-***-**** ******@****.co.jp : : : 連絡先には 顧客 資材仕入先 協力会社 設備やシステム会社 金融機関 ライフライン事業者 公共機関 病院などを記載します リスト 2 備蓄品リスト 備蓄品名必要量更新時期購入済み保管場所 : : : : 携帯用ラジオ ( 電池 2 回分 ) 台 総務部 非常食料 食 * 年 * 月 倉庫 飲料水 (1 人 1 日 2l) 本 年 月 : : : : 10
リスト 3 緊急参集リスト 氏名所属役職 緊急参集の必要性 ( 必要あればレ点 ) 緊急参集地 緊急時の役割 製造部部長 工場製造部の指揮 購買部部長 工場購買部の指揮 営業部部長 本社営業部の指揮 総務部部長 本社 総務部課長 本社 災害対策本部の設置 運営災害対策本部の設置 : : : : : ( 緊急事態発生後に記入する ) リスト 4 安否確認リスト 氏名所属役職 安否確認 ( 確認後にレ点 ) 出勤可否 ( 可能ならレ点 ) 製造部部長 備考 購買部部長 営業部部長 総務部部長 家族とともに避難所へ避難している 総務部課長 総務部 公共交通機関再開まで出社不可能 : : : : 11