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技術報告 乾式二重床における遮音性能確保の留意点 Important notices in dry double flooring system to ensure floor impact sound insulation. 高倉史洋 *1 1. はじめに乾式二重床は により床パネルを支え 床パネルを浮かせる床下地構造であり 床下に空間ができることから配管 配線の自由度が高まり メンテナンスも容易にできることや異なる床仕上げ材 ( や畳等 ) を用いた場合でも床スラブに段差処理を行う必要がなく バリアフリーにも対応しやすいことなどから 集合住宅を中心に普及している 集合住宅における床仕上げ構造の選定では 上下階間の床衝撃音遮断性能と家具等を設置した場合の床の変位等を表す耐荷重性能が重視され 特に床衝撃音遮断性能を左右する床衝撃音低減性能は商品選定 ( 仕様選定時 ) する際に確認する必須項目となっている場合が多い 乾式二重床の床衝撃音低減性能表記方法としては 公的試験機関あるいは各メーカーの試験室等において 床スラブ素面の状態と乾式二重床を施工した状態とで測定された床衝撃音レベルの差から求めた床衝撃音レベル低減量を基に算出する 推定 L 等級 が長く用いられてきた この 推定 L 等級 は試験室における床衝撃音レベル低減量から実際の建物での床衝撃音遮断性能を推定した結果を表示するものであったが 近年 実建物の躯体条件 ( 床スラブ厚さ 床スラブの種類 梁 柱などの関係 ) や 乾式二重床の壁際施工方法 ( 納まり ) が多種多様化していることから 推定 L 等級 と実建物の竣工時の性能 ( 空間性能 ) に差異が生じていた また 推定 L 等級 は試験体の条件 ( 床高 壁際納まりなど ) が明確に定められていなかったことから 各社独自の試験条件での試験結果を表示していたために 製品の相互比較も容易ではなかった 日本騒音制御工学会研究部会床衝撃音分科会においても 乾式二重床の製品資料における床衝撃音低減性能の表記方法に関した調査 検討が行われ メーカーのカタログに記載されている性能の表記方法や試験条件の違いについて報告されている 1) 推定 L 等級 での問題点を解決するため 2008 年に製品資料 ( カタログ等 ) における床衝撃音低減性能の表現方法を統一することと その場合の試験条件を統一することを目的として 床材の床衝撃音低減性能の等級表記指針 2) が発表された この表記方法では 乾式二重床の床衝撃音低減性能を ΔL 等級 という表記方法で行い 部材性能として性能を表記する形式となった ΔL 等級による評価では 集合住宅における標準的な納まりを再現する 標準型試験体 によって 製品の相互比較が可能となり また 床端部 ( 壁際 ) も実際の建物における一般壁際部納まりの沈み対策を再現することにより 推定 L 等級 と比べると実際の建物に施工された状態に近い性能が表示されるようになった しかしながら 躯体条件が実験室とは異なり壁際納まりも様々な仕様を含む実際の建物での竣工時の床衝撃音遮断性能の予測に関しては 研究段階 3) であり 一般的に実用化された予測手法はないのが現状である そのため 実建物の竣工時の性能に関しては 予測計算手法を用いて算出した躯体の床所撃音遮断性能に 実験室での乾式二重床の低減性能 ( 床衝撃音レベル低減量 ) から統計的あるいは経験的な補正値を加えて推定しているのが実状と考えられる *1 TAKAKURA Fumihiro: 有限会社泰成電機工業管理本部長博士 ( 工学 ) 12

GBRC Vol.37 No.3 2012.7 そこで 本報では 乾式二重床の床衝撃音低減性能に影響を与える要因と 遮音性能を考慮した集合住宅において標準的に用いられている乾式二重床の仕様 遮音性能を確保するための留意点等をこれまでに行った実験結果等を基に報告する 2. 乾式二重床の床衝撃音低減性能変化要因乾式二重床は 直貼り床に比べ構成部材や場所による施工方法の違いなども多く複雑であることから 床衝撃音低減性能の変化要因も多い 図 -1に乾式二重床の床衝撃音低減性能変化要因例を示す 2. 1 等の防振ゴムの硬度 形状や壁際に施工する防振システムネダには防振ゴムが付属されており 使用用途や要求性能によって 形状 ゴム硬度が決められる 防振ゴムを取り付けたあるいはネダの荷重時の変位が大きくなれば ( 柔らかくなれば ) 床衝撃音低減性能は高くなり 荷重時の変位が小さくなれば ( 硬くなれば ) 床衝撃音低減性能は低くなる傾向にある 防振ゴムはゴム硬度の高低と形状によって性能が決定されるため 同じゴム硬度でも性能が同一とはならないことがあるので注意が必要である 床衝撃音低減性能と耐荷重性能 ( 積載荷重試験 ) の関係を把握するために壁式構造実験室 ( スラブRC200mm) において床板の構成 床高 幅木との隙間 床材と壁の隙間などの条件が同一であるの異なる 4), 5) 試験体 20 体の床衝撃音レベル低減量を測定した結果を図 -2に示す 図-3に試験体断面の例を示す 測定結果は 耐荷重性能の測定結果により試験体をグループ1 3に分類し それぞれのグループの床衝撃音レベル低減量を示している 軽量床衝撃音 重量床衝撃音ともに荷重時の床の変位が大きいほど床衝撃音レベル低減量が大きくなる傾向になっており 防振ゴムの硬度 形状が床衝撃音低減性能に影響があることがわかる 2. 2 床板の構成 ( 床板の質量 剛性 ) 2.1で示したように 変位が大きい等を用いることによって床衝撃音遮断性能は向上するが 耐荷重性能の低下や歩行時に床が柔らかく感じることにつながるため 極端に変位の大きい防振ゴムの使用は避けなければならない 耐荷重性能や歩行感を損なわずに床衝撃音遮断性能を向上させるために 床パネルの上に合板等を施工し 床板の質量 剛性をあげる対策がよく取られる 乾式二重床の床衝撃音低減性能を向上させるために床板の構成材としては アスファルト系制振マットや合板 図 -1 乾式二重床の床衝撃音低減性能変化要因例図 -2 床衝撃音低減性能および耐荷重性能測定結果図 -3 試験体断面図 ( 例 ) ( 厚さ12mm) 強化せっこうボードなどがある 合板や強化せっこうボードは床衝撃音低減性能とともに耐荷重性能も向上することから 実現場においての使用事例は増加傾向にある RC150mmスラブの実験室で床板の構成を変えた場合の床衝撃音レベル低減量測定結果を図 -4に 試験体の断面図を図 -5に示す 13

GBRC Vol.37 No.3 2012.7 1 f = 2π k = ρc h k m 2 (1) f :1 次共振周波数 [Hz] m : 二重床床板の面密度 [kg m 2 ] k : 空気層のばね定数 [N/m] ρ : 空気の密度 (=1.205)[kg/m 3 ] c : 空気中の音の伝搬速度 (=340)[m/s] 図 -4 床衝撃音レベル低減量測定結果 h : 空気層厚さ [m] 図 -5 試験体断面図 軽量 重量床衝撃音ともに125Hz 帯域以上の周波数領域で合板 ( 厚 12mm) 制振マット( 厚 6mm) を施工することによって 床衝撃音レベル低減量は約 2dB 以上大きくなった 63Hz 帯域は軽量 重量床衝撃音ともに1dB 以下の変化であった 以上の結果より 合板や制振マットの施工は125Hz 帯域以上の周波数領域で有効な対策であると考えられる 2. 3 床高 ( 床下空気層の厚さ ) 乾式二重床上に大きな衝撃が加わると 床板が変形し 床下空気層が圧縮される そのため 床下の空気がばねの作用をし 共振周波数域で床衝撃音が増幅する現象がみられる この現象は 床下空気層の容積の小さい ( 床面積の小さい ) 居室 ( 壁先行工法の場合 ) や 幅木がと接触して施工され 空気層が密閉状態となる場合に顕著に表れ 重量床衝撃音遮断性能を低下させる 空気ばねによる1 次共振周波数は式 1によって計算される 式 (1) によって計算した ( 厚 20mm) 合板( 厚 12mm) ( 厚 12mm) で構成される床板の場合の床下空気層厚さと共振周波数の関係を図 -6に示す 図-6より共振周波数が63Hz 帯域になるのは空気層の厚さが15 ~ 60mmであるが 計算と 図 -6 床下空気層厚さと共振周波数の関係図 -7 吸音材の有無による床衝撃音レベル低減量の差実測値の差異 床スラブの不陸 防振ゴムのばね等の影響を考慮すると80mm 程度以上とするのが重量床衝撃音の対策と考えられる 2. 4 床下空気層への吸音材の設置実際の集合住宅の洋室で床下空気層に吸音材 (70mm 厚 : 不織布 ) を入れた場合と入れない場合の床衝撃音レベル低減量の測定結果を図 -7に示す 軽量床衝撃音では125Hz 帯域で2dB 程度吸音材を設置することによって床衝撃音レベル低減量が大きくなっ 14

GBRC Vol.37 No.3 2012.7 た 重量床衝撃音では63Hz 帯域において 吸音材を入れると約 5dB 床衝撃音レベル低減量が小さくなった これは吸音材を入れることによって加振時の空気の流通が遮られ 空気ばねによる共振現象によって床衝撃音が大きくなったものと考えられる 以上の結果より 床下への吸音材の設置は軽量床衝撃音では性能の差はほとんどなく 重量床衝撃音では室面積の小さい洋室等でこのような性能が低下する現象が顕著に生じるため 注意が必要である 2. 5 床端部の納まり ( 支持方法 施工方法 ) 床端部の支持方法による床衝撃音低減性能の変化を確認するために壁式構造実験室 (RC200mm) でその他の条件は同一にして 試験体端部の支持方法を 1 固定木際根太 2 防振システムネダにし 床衝撃音レベル低減量の測定を行った 図 -8に試験体断面図( 壁際 ) 図 -9 に床衝撃音レベル低減量測定結果を示す 防振システムネダに比べ固定木際根太にすると軽量床衝撃音では125Hz 帯域から500Hz 帯域まで4dB 以上床衝撃音レベル低減量が小さくなった 重量床衝撃音では床衝撃音遮断性能が決定することが多い63Hz 帯域で2dB 125Hz 帯域以上で5dB 以上 床衝撃音レベル低減量が小さくなった このことから一般部の仕様が同一であっても壁際の支持方法 ( 納まり ) によって床衝撃音低減性能が1ランク以上変化する可能性があり 壁際の納まりは性能に大きく影響すると考えられる 2. 6 幅木の種類 施工方法床と壁の隙間を隠すことや 壁の保護のために施工される幅木の種類や施工方法による床衝撃音低減性能の変化について検証するため 壁式構造実験室で乾式二重床の仕様は同一にして 現在 集合住宅において施工されている3 種類の幅木及び施工方法 ( 仕様 A. 幅木とを密着 仕様 B. 幅木をから2mm 浮かせて施工 仕様 C. 軟質ヒレ付き幅木とと密着させて施工 ) による床衝撃音レベル低減量を測定した 図 -10に壁際納まり断面図を 図-11に床衝撃音レベル低減量測定結果を示す 軽量床衝撃音レベル低減量の試験結果では 仕様 Aに比べ 仕様 B Cはすべての周波数帯域で床衝撃音レベル低減量が3 ~ 5dB 大きくなっており 幅木とを接触させないあるいは軟質材を介して接触させることにより床面から幅木 壁材 階下へと伝達する振動が低減された効果によるものと考えられる 重量床衝撃音レベル低減量の試験結果では 63Hz 帯域において 仕様 Bに対して仕様 A Cは5dB 程度性能が 図 -8 壁際試験体断面図図 -9 壁際支持方法による床衝撃音レベル低減量の差図 -10 壁際試験体断面図 ( 幅木の仕様 ) 図 -11 幅木による床衝撃音レベル低減量の変化 15

GBRC Vol.37 No.3 2012.7 低下している 仕様A Cは床端部に空気が流通する隙 間がないことから 床下空気層が密閉状態になったこと により空気ばねの共振の影響で仕様Bに比べ性能が低下 壁先行工法 したものと考えられる 以上のように 幅木の仕様 施工方法による床衝撃音 低減性能への影響は音源によってそのメカニズムが異な るので 注意が必要である 3. 工法による床衝撃音低減性能の変化 乾式二重床の施工方法としては 壁先行工法と床先行 工法がある 住戸内の間仕切壁を施工した後に各居室の 床下地を施工する壁先行工法に対し 床先行工法は住戸 床先行工法 内の水廻り部を除く部分の床下地を連続して施工し 床 下地上に間仕切壁を施工し 各居室を形成する工法であ る 床先行工法は床下地の施工時間の短縮や床下配管 配線の自由度がさらに上がることなどから超高層集合住 宅を中心に増加傾向にある 3. 1 床衝撃音遮断性能のばらつき 床下地や床仕上げ材と壁が接触すると 接触部分を介 赤点線が隙間を管理する箇所 必ずしも隙間を空けるということでは なく 空ける 空けない 隙間幅を管理する箇所 図-12 床材と壁材の隙間を管理する箇所 して下階に振動が伝達し 軽量床衝撃音低減性能が低下 する また 床材と壁材の隙間が小さいと床下空気層が 密閉状態に近くなるため 重量床衝撃音低減性能が低下 する そのため 床材と壁材の隙間の管理は施工時の重 要確認事項である また 施工時に隙間が管理されてい ても木質系建材で構成される乾式二重床は温湿度環境の 変化によって構成部材が収縮し 施工時と竣工時におい て床材と壁材の隙間が変化している可能性がある 床衝 撃音遮断性能を確保するためにはこのような伸縮も考慮 して施工する必要がある 図-12に同一プランの住戸に おいて 壁先行工法と床先行工法の場合の床材と壁材の 隙間を管理する箇所を示す 図中の赤点線 壁先行工 図-13 同一プランの軽量床衝撃音レベル測定結果 図-14 同一プランの重量床衝撃音レベル測定結果 法が各居室の周囲のほとんどが管理箇所であるのに対 し 床先行工法では 戸境壁部と水廻り部のみであり 壁先行工法と比較すると 管理箇所は非常に少ない そ のため 施工精度や伸縮の影響を受けにくく 床衝撃音 遮断性能は安定する 図-13 14に床先行工法で施工さ れた集合住宅における同一プランの居室 14室 の床衝 撃音レベル測定結果を示す 3. 2 実生活上の性能差 図-15に上下階の床衝撃音遮断性能を考慮した場合の 敷居部における床先行工法の納まりと一般的な壁先行工 法による敷居部の納まりを示す 壁先行工法では木枠上 に敷居を施工する方法があるが 敷居上での歩行時 物 の落下時 襖の開閉時に敷居部に発生する振動が下階へ 16

GBRC Vol.37 No.3 2012.7 畳 合板 敷居 仕様 A 床板の剛性が低い 木枠 補強用 ゴム硬度 83 度 防振システムネダ ゴム硬度 70 度 床板の剛性が低いため 間仕切壁部には非防振タイプ 壁先行工法 のを補強脚として施工 合板 敷居 畳 合板 仕様 B 合板 床板の剛性が高い 補強用 ゴム硬度 70 度 補強用 ゴム硬度 70 度 床板の剛性が高いため 間仕切壁部には防振タイプの を補強脚として施工可能 床先行工法 図-15 壁先行工法と床先行工法の敷居部の納まり 伝搬し 下階で放射される音は大きくなる 床先行工法では を施工し 床下地の剛性を 強化することにより 敷居部の下を防振タイプの 防振ゴムの硬度70 75度程度 で支持することが可能 図-16 床先行工法間仕切壁部断面 間仕切壁部に補強脚を施工する 補強脚の種類 ゴム硬 度等 は乾式二重床の床板構成により決められる 図 -16に床先行工法における間仕切壁部の断面を示す 仕様Aの場合 プラン変更により間仕切壁を移動すと となり 下階への音の伝搬は壁先行法に比べ小さくなる 補強が室中央に配置される可能性もあり その場 実建物において床衝撃音遮断性能を測定する方法 JIS 合には床衝撃音遮断性能が低下する 仕様Bの場合では A 1418-1 2 では 加振点は壁から50cm以上離すため 間仕切壁部補強脚に防振タイプのを施工すること 敷居上を加振することはなく 居室全体の床衝撃音遮断 が可能であるが 一般部のよりも性能の低い補強 性能としては表れてこないが実生活上では下階へ放射さ 脚であれば床衝撃音遮断性能が低下する れる音の大きさが工法によって異なる 3. 3 床先行工法の注意点 床先行工法は 床下地上に間仕切壁を施工するため 将来的なプラン変更の場合 床下地は解体 再施工する プラン変更に対応するためには 補強脚を施工するこ となく 間仕切壁施工時および家具設置に床の変位が少 ない仕様にする必要がある 図-17に間仕切壁部に補強脚が不要な床下地の割付 必要がないという特徴がある 通常の床先行工法の場合 図-18に断面図を示す この仕様は の施工間隔 間仕切壁近傍に家具を設置することにより床下地が変位 を小さくするとともに床板の剛性を高くし 耐荷重性能 し 間仕切壁及び天井の仕上げクロスへ影響 クロスの を向上させている 本仕様の床衝撃音低減性能および耐 破損など を及ぼす可能性があるため その対策として 荷重性能の測定結果を図-19に示す 床衝撃音低減性能 17

GBRC Vol.37 No.3 2012.7 幅木 と 2mm の隙間を設けるか ヒレ付き幅木 床端部防振タイプ ゴム硬度 70 度 隙間の確保 床材-壁材 下地材 防振タイプ ゴム硬度 65 度 緩衝材 1820mm 600mm 445 465mm ゴム硬度 60 70 度程度 目地 約15mm 307.5 310mm 防振システムネダ ゴム硬度 70 75 度程度 を追加 図-20 図-17 床衝撃音遮断性能を考慮した 乾式二重床の一般的な仕様 例 間仕切壁部に補強脚の施工が不要な 乾式二重床の床下地割付 間仕切壁 幅木 メーカー指定の専用目地材 下地合板 12mm 硬質せっこうボード 12.5mm 20mm 合板等の目地が合 わないようにする 図-21 防振タイプ 間仕切り壁下に 補強タイプ不要 石仕上げ乾式二重床の仕様 4. 実際の建物での納まり事例 床衝撃音遮断性能を考慮する建物における乾式二重床 図-18 間仕切壁下への補強脚の施工が 不要な乾式二重床の断面 の一般的な断面 例 を図-20に 石仕上げの乾式二重 床の断面図を図-21に示す 石仕上げの場合 荷重時における石の破損 ひび割れ 欠け を防止することを目的に 一般的に床パネル上に 合板を2層施工する その際 合板の1層目と2層目の目 地をずらして施工することにより床板を一体化し 場所 による強度の差が小さくなるようにする 石仕上げは 合板を2層施工することや仕上げ材の質 量が大きいことから 通常の仕上げの仕様 図-20 に比べると基本的に床衝撃音低減性能は向上す るが 軽量床衝撃音の場合 石上を加振すると音源室内 に高周波数領域の音が大きく発生し 開口部等を通って 下階へ伝搬する側路伝搬音 空気伝搬音に注意が必要で ある 図-19 床衝撃音低減性能および耐荷重性能測定結果 実際の建物での納まり事例を図-22 25に示す 乾式 二重床での床衝撃音遮断性能の低下要因としては 硬質 部材 固定木際根太や非防振タイプの システム はΔLL Ⅱ -3 ΔLH Ⅱ -2であり 耐荷重性能は変位 ネダ の使用と床材と壁材の接触による振動伝達である の最大は2.2mm 局部集中荷重試験 載荷板φ80mm ことから 可能な限り床材と壁材の間は隙間を設けて施 100kgf であった 工し 硬質部材を用いなくてもいいように見切り材等を 18

GBRC Vol.37 No.3 2012.7 内装壁 せっこうボード 3 5mm 15mm 程度 幅木 5 15mm 断熱材 採用することが床衝撃音遮断性能を確保するためには重 要となる 5. 施工管理 実建物において床衝撃音遮断性能を確保するために は 商品 仕様の選定と同時に施工管理にも留意する必 要がある 乾式二重床は構成部材が複雑であり 同一住 戸においても納まりが異なる場合がよくあるため 詳細 防振システムネダ 部分についても発注者 建設会社 工事業者で認識を統 図-22 壁際納まり例 一し 施工状況を管理する必要がある また そのため には施工要領書を作成し それに基づいて施工を行うこ WD 枠 床見切り材 とが重要である 表-1に施工要領書を基にした性能を確 保するためのチェック項目の例を示す ΔL等級の試験結果を基に床仕様を選定する場合 Δ L等級の試験時には再現されない掃出し部 敷居部 出 入口部の納まりに留意する必要がある 床衝撃音遮断性 能を低下させないためには 試験時に用いた部材と同じ 防振タイプ ものを使用する必要があり 硬質部材を使用すると性能 が低下する可能性がある また逆梁部において床高が確 保されない場合の施工方法や 施工途中での床の養生状 図-23 扉部納まり例 況などもあらかじめ決めておくことで 施工途中でのト ラブルや竣工後の不具合の発生を未然に防ぐことに役立 床見切り材 つ 表-1 施工要領書による確認項目 ΔL 等級試験時と同じ部材 納まり条件であるか 床パネルの割付 最少寸法 目地幅許容値など 防振システムネダ 防振システムネダの割付 間隔許容値 仕様箇所など 留め付け方法 釘 ビスの仕様 留め付け間隔など 接着養上期間 床下地材上への資材の仮置き量 補強箇所の有無 重量家具の設置予定箇所 図-24 掃出し部納まり例 特殊事例の有無 ピアノ 水槽の設置予定 逆梁部 断面詳細図 床下地割付図 パッキン材 温水式床暖房パネル 6. まとめ 本報では 乾式二重床の床衝撃音低減性能変化の要 因 傾向と 実建物における床衝撃音遮断性能確保の留 意点について示した 床衝撃音遮断性能の確保のために 防振タイプ は硬質部材を用いないこと 幅木や見切り材などを活用 して振動伝達経路を排除していくなどの対策を取る必要 があるが 快適な生活環境の構築には その他の性能評 価項目との関係にも留意する必要があり 耐荷重性能や 図-25 間仕切壁部納まり例 歩行感 意匠 経年変化 性能変化 など様々な項目を 総合的に考慮して仕様等を設定していく必要がある また 乾式二重床は 床下空間の有効利用 床衝撃音 19

GBRC Vol.37 No.3 2012.7 低減性能 歩行感などの利点がある床仕上げ構造であるが 構成部材が多く 納まりが場所によって異なるなど直貼り工法に比べ複雑である 一部の施工方法の管理不足から大きく性能が低下する可能性があるため 施工要領書を基にした施工管理の徹底が性能確保には必要不可欠であると考えられる なお 本報は 平成 24 年 2 月 ~ 同年 3 月に実施された ( 財 ) 日本建築総合試験所主催の業務説明会 床材の床衝撃音低減性能の等級表記と遮音性能確保の要点 での筆者の報告内容の一部をまとめたものである 参考文献 1) 岡野利行他 : 乾式二重床のカタログにおける床衝撃音遮断性能表示の実状調査, 日本騒音制御工学会春季研究発表会講演論文集,pp.47-50,2006.4. 2) 財団法人日本建築総合試験所 : 床材の床衝撃音低減性能の表現方法に関する検討委員会報告書,2008.3. 3) 黒木拓他 : 乾式二重床を含む重量床衝撃音レベル予測計算法に関する検討, 日本建築学会大会学術講演梗概集,D-1 分冊,pp.193-194,2011.8. 4) 三室敬史他 : 同一試験体による乾式二重床の床衝撃音遮音性能および耐荷重性能についてその 1 試験体および試験方法の概要, 日本建築学会大会学術講演梗概集,D-1 分冊, pp.233-234,2007.8. 5) 佐藤英規他 : 同一試験体による乾式二重床の床衝撃音遮音性能および耐荷重性能についてその 2 試験結果の概要, 日本建築学会大会学術講演梗概集,D-1 分冊,pp.235-236, 2007.8. 執筆者 *1 高倉史洋 (TAKAKURA Fumihiro) 20