Ⅱ 両病院の今後のあり方 1 具体的検討内容 両圏域及び両病院の現状と課題を踏まえ 以下のとおり両病院のあり方について 4 つの選択肢 を設定し メリット デメリット等の検討を行った 区 統 合 再 編 経営統合 連 携 分 今後のあり方メリットデメリット 課題 両病院を統合し 新用

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1. 北海道 ( 医師数データ集 )(218 年版 ) 目次 北海道 南渡島医療圏 南檜山医療圏 北渡島檜山医療圏 札幌医療圏 後志医療圏 南空知医療圏 中空知医療圏 北空知医

されるなど 公営企業に対する環境や評価については 今後ますます厳しくなることが予想される こうした状況の変化にも対応できるだけの経営体力を醸成することはもちろんであるが 一方で採算性の面で課題のある分野についても 公立病院が引き続き担わざるを得ない分野があると考えられる 特に救急分野においては 和歌

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2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

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H I T A C H I 課題を解決する方策 高梁 新見及び真庭における課題を解決する方策 (1) 課題 : 圏域面積が県の 32% を占める広い圏域であるが 救命救急センターや周産期母子医療センターがなく 中小規模 の病院が救急医療を担っている また 救急搬送では 圏域外搬送の割

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3) 好生館研修プログラム : 初期臨床研修スケジュール ( 例 ) 4) 臨床研修を行う分野並びに当該分野ごとの研修期間及び臨床研修病院又は臨床研修協力施設 臨床研修を行う分野 病院又は施設の名称 研修期間 *1 内科 佐賀県医療センター好生館 6ケ月 救命救急センター 佐賀県医療センター好生館

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1 検査の背景 国立大学附属病院は 平成 16 年の国立大学の法人化以降 収支の企業的管理が必要 となり 個々の国立大学附属病院がその経営について独自に責任を負うこととなった そして 医療制度改革等では 国立大学附属病院を含めた病院の役割分担による医 療提供体制の再構築が求められている さらに 医療

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7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

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医師届出票

(2) 傷病分類別ア入院患者入院患者を傷病分類別にみると 多い順に Ⅴ 精神及び行動の障害 千人 Ⅸ 循環器系の疾患 千人 Ⅱ 新生物 千人となっている 病院では Ⅴ 精神及び行動の障害 千人 Ⅸ 循環器系の疾患 千人 Ⅱ 新生物 147.

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第 2 部 医療圏と基準病床数 ( 第 1 章医療圏 ) 第 2 部 医療圏と基準病床数 医療圏とは 地域の医療需要に対応して包括的な医療を提供していくための区域であり 具体的には 医療資源の適正な配置と医療提供体制の体系化を図るための 地域的単位のこ とです 医療圏は 医療法により 初期の診断 治

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(1) 1 年目研修病院 病院の名称 所在地 受入上限 京都府立医科大学附属病院 (Aコース) 京都市上京区 18 名 京都府立医科大学附属病院 (Bコース及び周産期 ) 京都市上京区 4 名 京都第一赤十字病院 京都市東山区 6 名 京都第二赤十字病院 京都市上京区 6 名 京都鞍馬口医療センター

(2) スタッフ数診療所 ( 医科 歯科合計 ) に勤務するスタッフ数 ( 常勤換算 ) は 3 年前より 7 万人 (+7.4%) 増加し 104 万人となりました 医科診療所 73 万人 歯科診療所 31 万人の内訳です 1 施設平均のスタッフ数 ( 右図 ) は 医科診療所は 2002 年から

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2. 療養型病院 (1) 機能性の状況 療養型病院 施設数 ( 施設 ) 470 病床数 ( 床 ) 利用率 90.3 在院日数 ( 日 ) 92.7 入院外来比 0.52 新患率 日平均患者数 ( 人 ) 入院 外来 床当たり医業収益 ( 千円 )

1. 病院 医療機関名加藤病院診療科目心療内科 精神科院長名加藤一郎 住所 診療時間 竹田市大字竹田 1855 TEL FAX 月 火 水 木 金 土 特記事項 午前 9:00 ~ 12:00 9:00 ~ 12:00 9:00 ~ 12:00 9:

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8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 )

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履修案内 平成 25(2013) 年度 千葉大学医学部

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目次 Ⅰ 外来 1 アンケート様式 1 2 アンケート集計結果 2 Ⅱ 入院 1 アンケート様式 17 2 アンケート集計結果 18 Ⅲ 分析 31

患者の流れ ( 図 1) 共立蒲原総合病院組合地域医療支援室 介護施設 療養病棟 介護老人保健施設 ( 芙蓉の丘 ) ショートステイ 他医療機関 一般病棟急性期亜急性期 入院指示 訪問看護ステーション 医院クリニック 自宅 健康診断センター 集団健診人間ドック 法人契約者個人契約者 (2) 亜急性期

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別冊2017

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⑩-1【資料8カガミ】病床機能転換等の一覧

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01 【北海道】

Transcription:

資料 2-2 兵庫県立西宮病院と西宮市立中央病院のあり方検討委員会報告書概要版 ( ) Ⅰ 現状と課題 1 阪神南及び阪神北医療圏域 (1) 医療機関と医療機能 ( 参考 1) ア両圏域では 5 疾病 5 事業のうち3 次救急 小児 周産期については 阪神南 北を併せて一つの圏域 ( ) を構成している ( 小児 周産期は 三田市は神戸市とで一つの圏域を形成 ) イ高度専門医療を担う病院が阪神南圏域に集中しており 兵庫県保健医療計画においても3 次救急は南北を一体とした圏域が設定されているため 兵庫県地域医療構想を踏まえ両圏域全体をカバーできる医療提供体制と連携のあり方を考える必要がある ウ高度急性期入院患者は 阪神南圏域では約 80% が圏域内で完結し 約 9% が兵庫県外へ移動している一方で 阪神北圏域の圏域内完結率は 52.5% と低く 県外と阪神南圏域へそれぞれ約 20% ずつ移動している エ西宮市では周産期及び小児入院患者の圏域外への移動割合が高く 晩婚化の影響による高齢出産や各種合併症妊娠等のハイリスク出産が増加傾向にある中で 産科 小児科の医療提供体制のあり方を考える必要がある (2) 将来の医療需要 ( 参考 2) ア両圏域とも 将来は総人口が減少する中でも入院患者数は増加し 特に循環器系 呼吸器系疾患は顕著に増加する見込みであることから 対策が必要である イ今後ますます 75 歳以上の高齢者の人口割合が高まるため 救急対応 ( 特に2 次 3 次救急 ) も含めた医療提供のあり方を考える必要がある (3) 都市部における公立病院のあり方 ( 参考 3) 全国の政令市 中核市に比べると 市立中央病院は病床規模が小さく また市内には 500 床以上の大規模病院が 1 施設しかないため 都市部において地域医療を守っていくに当たり 経営の安定性を確保するのに適切な病床規模などを考慮する必要がある また 西宮市は 人口が集まりやすい条件 機能を持っており 今後も県内の他地域等からの人口流入が想定され 市民に対する医療提供に加え 他地域の県民の期待に応えることも考慮する必要がある 2 兵庫県立西宮病院と西宮市立中央病院 (1) 歴史 役割県立西宮病院は 災害 救急医療や腎移植等で重要な役割を果たしてきたが 今後も高度専門医療の提供など 医療機能の充実に努め 地域の医療ニーズに的確に対応する必要がある また 先進医療への取組については 腎移植医療等の更なる推進を図っており 今後も大学における高度な研究機能とも連携し 将来の医療技術の進展に対応していく必要がある 市立中央病院は 地域に密着した医療機関として がん診療における高度医療の提供と 2 次救急医療への対応をさらに積極的に行っていくこと また 将来的に増加が見込まれる呼吸器系疾患 循環器系疾患への対応強化や 災害時の医療提供を中心的に担うための体制作りが求められる (2) 施設 設備及び防災機能県立西宮病院の本館は築後年数が比較的浅いため 今後も有効活用する必要がある一方 病院敷地が狭く拡張性に乏しいため 医療環境の変化などへの対応が困難である また 救命救急センター等が地下にあるため 豪雨時等に浸水の可能性があることと ヘリポートの設置が課題である 市立中央病院は 築後 40 年を経過しており 老朽化対策及び耐震化が喫緊の課題である ( 平成 29 年度に耐震補強工事を実施予定 ) (3) 経営状況 ( 参考 4) 両病院で 在院日数が短縮されている反面 延入院患者数が減少しており 病床の有効活用が課題である 特に市立中央病院では病床利用率が 70% 未満と低く 億単位の赤字が毎年度発生しており 経営改善の取組が不可欠である (4) 医療提供体制 ( 参考 5) ア診療科両病院とも急性期 総合型病院として不足している診療科 ( 県 : 心臓血管外科等 市 : 脳神経外科等 ) があり 今後の疾患構造の変化を見据え 合併症等に対応できる診療体制を整える必要がある イ救急 手術への対応県立西宮病院では 救命救急センターの機関指定を受けているが 心臓血管外科が未設置で胸痛の救急患者等を受け入れられないため 体制整備が必要である 市立中央病院は 医師不足により必要な診療機能が一部不足しており 体制の充実が必要である ウ医療従事者両病院で 主要な診療科については一定の医師確保ができているが 市立中央病院では一部の診療科で常勤医が 1 名ないしは非常勤医などで対応しており 十分な診療機能を発揮できていない また 今後の新専門医制度に対応し 研修医 若手医師の確保に努めていく必要がある

Ⅱ 両病院の今後のあり方 1 具体的検討内容 両圏域及び両病院の現状と課題を踏まえ 以下のとおり両病院のあり方について 4 つの選択肢 を設定し メリット デメリット等の検討を行った 区 統 合 再 編 経営統合 連 携 分 1 2 3 4 今後のあり方メリットデメリット 課題 両病院を統合し 新用地に新病院を整備 市立中央病院の機能を県立西宮病院に集約した統合新病院を設置 県立西宮病院は増築 改修工事を実施 両病院は経営を統合した上で存続 ( 並存 ) し 機能分担と連携を実施 3 4 共通 市立中央病院は老朽化対策による長寿命化を実施 両病院は診療機能の見直しを行った上で 存続 ( 並存 ) し 役割分担と連携を一層推進 診療体制や施設 設備の充実等により 勤務環境の魅力が向上し 医療従事者が集積 両病院の課題に即時的に対応 1 2 共通 総合的な診療機能を生かした高度専門 特殊医療の提供が可能 高齢化に伴う救急の増加等 将来の地域の医療ニーズに対応できる医療機能を確保でき 医療環境の向上に大きく貢献 両病院を存続させる場合と比較し 県市トータルでの運営コストが安い 県立西宮病院 ( 本館 ) の有効活用が可能 両病院の診療機能を抜本的に見直して役割分担と連携を図ることで 地域の医療ニーズに一定対応 ( 高度急性期病院と回復期病院など ) 3 4 共通 県立西宮病院 ( 本館 ) の有効活用が可能 両病院で実施している診療機能の集約による効率化 ( 産科 脳神経外科 呼吸器内科等 ) 新病院整備費の財源捻出 県立西宮病院 ( 本館 ) の有効活用が必要 適切な新病院整備地の選定 機能集約にかかる増改築と近い将来の建替が必要で 長期的に高コスト 当面の間 防災面や診療機能での課題が残る 県立西宮病院は 敷地が狭隘で増築にも限界あり 必要な機能の全てを集約できるのか懸念 増改築工事期間中に診療機能が制限 医療従事者にとって 勤務環境の大幅な魅力の向上にはつながらない 両病院の運営にかかる費用 投資がかさみ 経営面で非効率 3 4 共通 現在の課題に対して即時的な対応が困難 医療従事者にとって 勤務環境の魅力の向上につながりにくい 市立中央病院の長寿命化には限界 今後も中規模病院は 経営や医師確保の面で大規模病院と比べて不利な状況が続く見込 2 検討結果本委員会では 両病院の統合再編も選択肢の一つとして検討を重ねてきたが 以下の理由から 1の 両病院を統合し 新用地に新病院を整備する ことが最も望ましい との結論を得た 3 及び 4は メリットに乏しく 両病院の課題 ( 防災機能や建物の老朽化対策 診療機能の確保等 ) に即時的な対応ができないことや安定的な医療提供体制の構築にはつながらない等のデメリットがあり 1 及び 2と比較して劣る 2は 一定のメリットがあるものの 拡張性の乏しい県立西宮病院で大規模改修や増築等を行うことは現実的には困難な上 実施に当たり長期間の診療機能の制限が必要となる また 両病院の機能を集約し 必要な機能の全てを県立西宮病院に付加できるか不透明で 医療従事者の確保などの点でも 1に劣る 1は 診療機能の充実や医療従事者の確保等 病院として最も重要と考えられる項目においてメリットがあり 課題の多くは 今後 県市において調整を行うことで 課題解決を図ることが可能な事項であることから 4つのの中で最も優れている 3 留意事項今後 両病院の統合 ( 1) を実現していくに当たっては 以下の点に留意すること 経営主体 形態 費用の負担方法 跡地利用等 統合再編を進めるに当たっての課題解決について 兵庫県と西宮市において調整を図っていくこと 兵庫県地域医療構想 を踏まえるとともに 将来の治療方法や患者意識の変化についても意識すること 新専門医制度において できるだけ多くの領域の基幹施設として研修プログラムを提供するなど 若手医師育成の基幹病院を目指すとともに 医療従事者に対する育成 研修機能の充実を図ること 県立西宮病院の特色である先進医療への取組を引き継ぎ 再生医療等の分野においても 臨床研究 治療を実施するなど 先進医療に対応できる病院を目指すこと 統合再編新病院は 両病院が地域で果たしてきた役割を引き継ぐとともに 民間医療機関との役割分担と連携を強化し 地域全体の医療の質の向上に資すること また 統合再編を進めるに当たり地元医療機関や住民の理解が得られるよう努めること 両圏域の救命救急医療については 尼崎総合医療センター 兵庫医科大学病院との役割分担等を踏まえ 統合再編新病院に必要な機能等を検討すること 統合再編新病院は 阪神北圏域の2 次救急医療機関等との役割分担と連携を十分に考慮し 公立病院の役割を果たすとともに 阪神北圏域の公立 公的病院等が兵庫県地域医療構想に基づき行う検討とも十分に調整を図っていくこと 両圏域の3 次救急医療の充実を図るためには 統合再編新病院の機能充実はもとより 道路整備等患者搬送アクセスの拡充が望まれること

< 兵庫県立西宮病院と西宮市立中央病院のあり方検討委員会報告書概要版 ( )( 参考資料 )> 参考 1 < 主な医療機関 > 区分阪神南医療圏阪神北医療圏 大学病院兵庫医科大学病院 (963) 備考 県立病院 市立病院 国立病院公的病院 尼崎総合医療センター (730) 西宮病院 (400) 西宮市立中央病院 (257) 市立芦屋病院 (199) 関西労災病院 (642) 三田市民病院 (300) 宝塚市立病院 (436) 市立伊丹病院 (414) 市立川西病院 (250) 兵庫中央病院 (500) 自衛隊阪神病院 (200) 公立学校共済近畿中央病院 (445) < 主な医療機能 > 区分 阪神南医療圏 阪神北医療圏 小児中核病院兵庫医科大学病院 [ 尼崎総合医療センター ] 備考 地域小児医療センター 総合周産期母子医療センター 地域周産期母子医療センター 地域がん診療連携拠点病院 尼崎総合医療センター 尼崎総合医療センター兵庫医科大学病院 西宮病院 関西労災病院兵庫医科大学病院 公立学校共済近畿中央病院 南北で一つの圏域 ( 三田市除く ) 地域医療支援病院 尼崎総合医療センター西宮病院関西労災病院 次期保健医療計画において 小児中核病院となる見込み 三田市民病院市立伊丹病院公立学校共済近畿中央病院 参考 2-1 平成 22 年 ~47 年世代別将来人口推計 阪神南圏域 ( 単位 : 人 ) 平成 22 年 1 平成 27 年 平成 32 年 平成 37 年 平成 42 年 平成 47 年 2 2/1 0~14 歳 139,056 133,094 123,393 112,170 101,422 95,083 68.4% 15~64 歳 667,840 634,470 617,626 605,531 582,465 542,881 81.3% 65~74 歳 123,317 139,503 131,012 108,142 110,971 130,167 105.6% 75 歳以上 99,408 119,228 140,204 163,797 166,717 161,728 162.7% 合計 1,029,621 1,026,295 1,012,235 989,640 961,575 929,859 90.3% 阪神北圏域 ( 単位 : 人 ) 平成 22 年 1 平成 27 年 平成 32 年 平成 37 年 平成 42 年 平成 47 年 2 2/1 0~14 歳 104,748 97,465 88,844 80,144 72,664 68,477 65.4% 15~64 歳 463,207 440,741 427,040 415,542 397,056 369,617 79.8% 65~74 歳 87,794 101,193 96,582 81,883 82,771 92,858 105.8% 75 歳以上 68,460 85,825 104,968 125,282 131,167 130,334 190.4% 合計 724,209 725,224 717,434 702,851 683,658 661,286 91.3% 国立社会保障 人口問題研究所 将来推計人口 から作成

参考 2-2 平成 22 年 ~52 年疾患別患者数推計 増加率 1 総数 2 循環器系の疾患 20000 19,181 19,143 3500 3,414 3,506 3,500 3,555 18000 16000 16,389 17,671 18,842 19,059 3000 2500 2,448 2,805 3,119 1,000 人以上増加 14000 14,882 2000 3 新生物 4 損傷, 中毒及びその他の外因の影響 5 神経系の疾患 2,500 28.6% 増加 45.2% 増加 2000 2,273 2,253 2,269 2,000 1,935 2,217 2,045 2,122 2,163 2,171 2,188 2,014 1500 1,467 1,579 1,602 1,586 1,595 1,769 1,815 1,348 1,610 3 新生物 4 損傷 中毒 その他外因 1,214 1,500 1000 3 新生物 23.9% 増加 4 損傷 中毒等 40.9% 増加 31.4% 増加 7 消化器系の疾患 6 呼吸器系の疾患 8 筋骨格系及び結合組織の疾患 1500 1,297 1,454 1,486 1,467 1,489 1,500 1000 983 1,145 1,000 842 758 925 849 990 925 1,045 1,061 1,056 1,061 993 1,017 1,016 1,028 7 消化器系の疾患 8 筋骨格系及び結合組織 500 500 51.5% 増加 7 消化器系 23.9% 増加 8 筋骨格系等 40.9% 増加

参考 3-1 都市部における公立病院の状況 < 全国政令市 中核市における大規模病院 (500 床以上 ) の設置件数 > 区分 ( 施設数 ) 団体数 備考 10 施設以上 3 7~9 施設 2 4~6 施設 12 2~3 施設 28 1 施設 19 西宮市 ( 参考 ) 兵庫医科大学病院 963 床 なし 3 合計 67 < 全国政令市 中核市における公立病院の設置状況 ( 病床数が最大の施設の病床規模 )> 区分 ( 病床規模 ) 団体数 備考 700 床以上 13 600 床以上 700 床未満 10 500 床以上 600 床未満 13 400 床以上 500 床未満 11 西宮市 ( 参考 ) 県立西宮病院 400 床市立中央病院 257 床 300 床以上 400 床未満 5 300 床未満 4 設置なし 11 合計 67 参考 3-2 年齢区分別転入超過 ( 日本人 ) の状況 ( 平成 26 年 ) 区分 総数 ( 含年齢不詳 ) 0~14 歳 ( 単位 : 人 ) 15~19 歳 20~24 歳 25~29 歳 30~39 歳 40~49 歳 50~59 歳 60~64 歳 65~74 歳 75 歳以上 兵庫県 7,092 13 45 2,931 2,009 981 485 339 124 139 117 阪神南地域 79 726 362 567 217 120 95 77 75 97 35 尼崎市 1,037 899 203 505 19 729 88 82 55 47 28 西宮市 612 79 115 117 217 509 81 201 44 74 25 芦屋市 346 94 44 55 19 100 74 42 24 24 18 総務省 住民基本台帳人口移動報告 から作成

参考 4 両病院の経営状況 県立西宮病院 西宮市立中央病院 経営指標 経営状況 経営指標 経営状況 区分単位 ( 税込 ) 平成 22 年度平成 23 年度平成 24 年度平成 25 年度平成 26 年度 2-1 1 2 増減率 病床利用率 % 88.0 87.5 87.8 81.2 81.9 6.1 6.9% 延入院患者数人 128,474 128,160 128,133 118,535 119,630 8,844 6.9% 新規入院患者数人 9,568 9,828 10,230 10,010 10,975 1,407 14.7% 入院単価円 48,284 50,234 52,906 55,972 58,858 10,574 21.9% 平均在院日数日 12.4 12.0 11.5 10.8 9.9 2.5 20.4% 延外来患者数人 171,132 164,283 162,246 156,080 160,592 10,540 6.2% 外来単価円 12,402 13,190 13,807 14,341 14,463 2,061 16.6% 経常収支比率 % 100.8 102.8 103.7 105.4 103.9 3.1 医業収益百万円 8,587 8,871 9,285 9,113 9,615 1,028 12.0% 経常収益百万円 9,732 10,088 10,615 10,426 11,094 1,362 14.0% 医業費用百万円 9,261 9,506 9,993 9,676 10,484 1,223 13.2% 経常費用百万円 9,656 9,817 10,233 9,895 10,677 1,021 10.6% 経常損益百万円 76 271 382 531 416 340 447.4% 当期純損益百万円 56 254 376 530 405 349 623.2% 病床利用率 % 83.1 79.0 73.7 67.6 67.3 15.8 19.0% 延入院患者数人 58,526 55,772 51,920 47,590 47,415 11,111 19.0% 新規入院患者数人 3,989 4,043 4,142 4,192 4,344 355 8.9% 入院単価円 37,659 40,271 44,140 45,494 48,224 10,565 28.1% 平均在院日数日 14.7 13.7 12.5 11.4 10.9 3.8 25.9% 延外来患者数人 124,682 125,677 124,783 121,676 120,424 4,258 3.4% 外来単価円 9,281 9,473 9,522 10,485 10,800 1,519 16.4% 経常収支比率 % 88.7 88.4 90.8 90.7 89.8 1.0 医業収入百万円 3,879 3,969 3,965 3,966 4,132 253 6.5% 経常収益百万円 4,567 4,606 4,617 4,630 4,697 131 2.9% 医業費用百万円 5,004 5,059 4,953 4,992 5,118 114 2.3% 経常費用百万円 5,147 5,212 5,082 5,105 5,233 86 1.7% 経常損益百万円 580 606 465 475 535 44 7.7% 当期純損益百万円 587 575 471 484 1,541 954 162.6% 中央病院 : 平成 26 年度は会計制度の変更により 特別損失を約 10 億円計上 参考 5-1 両病院の標榜診療科目 ( 平成 28 年 12 月 1 日現在 ) 区分県立西宮病院市立中央病院 診療科目 内科 消化器内科 血液内科 腎臓内科 内科 消化器内科 呼吸器内科 循環器循環器内科 小児科 外科 消化器外科 内科 糖尿病 内分泌内科 ペインクリ乳腺外科 整形外科 脳神経外科 泌尿ニック内科 外科 消化器外科 呼吸器器科 産婦人科 眼科 耳鼻咽喉科 リハ外科 乳腺外科 整形外科 脳神経外科 ヒ リテーション科 放射線科 麻酔科 救急科 ペインクリニック外科 小児科 皮膚科 病理診断科泌尿器科 産婦人科 ( 産科は休止 ) 眼科 耳鼻咽喉科 歯科口腔外科 放射線科 麻酔科 リハヒ リテーション科 臨床検査科 20 科下線は 一方の病院にしかない診療機能 特色を示す 24 科

参考 5-2 平成 25 年度 ~28 年度両病院の常勤医師数の推移 ( 正規 + 専攻医 ) ( 単位 : 人 / 各年度 4 月 1 日時点 ) 区 分 平成 25 年度平成 26 年度平成 27 年度平成 28 年度 H28-H25 うち専攻医うち専攻医うち専攻医うち専攻医うち専攻医 麻酔科 6 2 9 3 10 4 8 1 2 1 内科系計 30 3 33 9 35 10 33 7 3 4 内科 21 2 23 5 23 5 22 3 1 1 循環器内科 4 0 3 0 5 1 4 0 0 0 糖尿病 内分泌内科 5 1 7 4 7 4 7 4 2 3 外科系計 22 5 22 6 25 9 23 7 2 2 呼吸器内科 外科の体制が弱い 心臓血管外科がない 外科 13 3 12 3 14 5 13 4 0 1 県立西宮病院 整形外科 6 2 7 3 8 4 8 3 2 1 脳神経外科 3 0 3 0 3 0 2 0 1 0 小児科 6 3 6 2 5 0 7 3 1 0 産婦人科 9 4 10 5 11 6 9 5 0 1 救急科 7 0 9 2 8 2 9 2 2 2 泌尿器科 6 1 5 1 5 1 6 1 0 0 眼科 3 0 3 0 3 1 3 1 0 1 耳鼻咽喉科 1 0 2 0 2 1 3 1 2 1 リハビリテーション科 1 0 1 0 1 0 1 0 0 0 放射線科 3 0 3 0 4 0 4 0 1 0 病理診断科 2 0 2 0 2 0 2 0 0 0 合計 96 18 105 28 111 34 108 28 12 10 ( 参考 ) 臨床研修医 13 14 17 19 6 西宮市立中央病院 麻酔科 5 0 5 0 5 0 7 0 2 0 内科系計 17 1 19 5 21 5 22 4 5 3 消化器内科 6 0 9 3 8 2 7 2 1 2 呼吸器内科 6 0 5 0 7 1 8 2 2 2 循環器内科 2 0 2 0 3 0 4 0 2 0 糖尿病 内分泌内科 3 1 3 2 3 2 3 0 0 1 外科系計 12 1 12 1 11 0 11 1 1 0 消化器外科 6 1 6 1 5 0 5 0 1 1 呼吸器外科 2 0 2 0 2 0 2 1 0 1 乳腺 内分泌外科 1 0 1 0 1 0 1 0 0 0 整形外科 3 0 3 0 3 0 3 0 0 0 脳神経外科 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 小児科 5 1 4 1 4 0 4 1 1 0 産婦人科 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 泌尿器科 2 0 2 0 2 0 3 0 1 0 眼科 1 0 1 0 1 0 1 0 0 0 耳鼻咽喉科 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 リハビリテーション科 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 皮膚科 3 0 3 0 3 0 3 0 0 0 放射線科 1 0 1 0 2 0 2 0 1 0 歯科口腔外科 1 0 1 0 1 0 1 0 0 0 病理検査科 1 0 1 0 1 0 1 0 0 0 常勤医 1 名 ~ 不在の科がある 合計 48 3 49 7 51 5 55 6 7 3 ( 参考 ) 臨床研修医 8 9 7 7 1