1. 要請に基づく情報交換 要請に基づく情報交換 は 個別の納税者に対する調査において 国内で入手できる情報だけでは事実関係を十分に解明できない場合に 必要な情報の収集 提供を外国税務当局に要請するものです 国際的な取引の実態や海外資産の保有 運用の状況を解明する有効な手段となっています 具体的には

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Transcription:

平成 3 年 1 月 国税庁 平成 29 事務年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要 情報交換に関する国際的な動向経済のグローバル化の進展に伴い 個人 企業による海外取引や海外資産の保有 運用が複雑 多様化しています さらに いわゆる パナマ文書 や BEPS(Base Erosion and Profit Shifting: 税源侵食と利益移転 ) についての報道等により 富裕層による海外資産隠しや多国籍企業による国際的な所得移転に対する国民の関心が高まっています このような状況の中 G2 や OECD においては 国際的な脱税及び租税回避行為に対処するため 各国税務当局間での協力 連携を一層推進していくこととしています 国税庁としては こうした国際的な動きに対応して 今後とも 租税条約等に基づく外国税務当局との情報交換を積極的に実施して 国際的な脱税等の把握や防止に効果的に取り組んでいきます 平成 29 事務年度 ( 平成 29 年 7 月 ~ 平成 3 年 6 月 ) における我が国の情報交換の事績 は 以下のとおりです 租税条約等に基づく情報交換には 要請に基づく情報交換 自発的情報交換 及び 自動的情報交換 の 3 つの類型があり 情報交換事績もこれらの類型に分けています 我が国の情報交換ネットワークの現状については p.1 11 をご参照ください 1

1. 要請に基づく情報交換 要請に基づく情報交換 は 個別の納税者に対する調査において 国内で入手できる情報だけでは事実関係を十分に解明できない場合に 必要な情報の収集 提供を外国税務当局に要請するものです 国際的な取引の実態や海外資産の保有 運用の状況を解明する有効な手段となっています 具体的には これにより 外国税務当局から 海外法人の決算書 契約書 インボイス 銀行預金口座取引明細書などのほか 外国税務当局の調査担当者が取引担当者に直接ヒアリングして得た情報を入手できます ポイント 広範な情報交換ネットワークを活かし 要請に基づく情報交換 を実施 国税庁から外国税務当局に行った 要請に基づく情報交換 の件数は 766 件となりました 平成 25 事務年度から減少傾向にありましたが 平成 28 事務年度以降増加に転じております 地域別にみると 我が国と経済的関係が強いアジア 大洋州の国 地域向けの要請が 595 件となり 約 8 割を占めています 外国税務当局から国税庁に寄せられた 要請に基づく情報交換 の件数は 137 件 となりました 平成 25 事務年度から 3 年連続で増加していましたが 平成 29 事 務年度においては減少に転じました 2

グラフ 1 要請に基づく情報交換 の要請件数の推移 ( 件 ) 9 8 7 6 5 4 3 2 1 766 72 526 473 415 366 158 16 125 137 国税庁から行った 要請に基づく情報交換 の要請件数 外国税務当局から寄せられた 要請に基づく情報交換 の要請件数 グラフ 2 要請に基づく情報交換 の地域別件数の推移 ( 国税庁 外国税務当局 ) ( 件 ) 7 6 5 4 3 2 1 595 469 396 391 291 191 98 6 75 55 44 6 31 22 73 アジア 大洋州米州欧州 その他 3

要請に基づく情報交換 の活用例 外国税務当局から受領した情報の活用例 内国法人の法人税調査において 調査法人がA 国の法人 Bに対して多額の手数料を支払っている事実を把握した 法人 Bの形式的な所有者は調査法人ではなかったが 法人 Bの真の所有者は調査法人ではないかとの疑いが持たれた このため A 国税務当局に対し法人 Bの真の所有者がわかる資料の提供を要請した A 国税務当局から提供を受けた資料から 法人 Bの真の所有者は日本の調査法人であることがわかり 調査法人に対して外国子会社合算税制 ( ) に基づく課税を行った ( ) 外国子会社合算税制外国子会社を利用した租税回避を抑制するために 一定の条件に該当する外国子会社の所得を 日本の親会社の所得とみなして合算し 日本で課税する制度 4

2. 自発的情報交換 自発的情報交換 は 国際協力の観点から 自国の納税者に対する調査等の際 に入手した情報で外国税務当局にとって有益と認められる情報を自発的に提供する ものです ポイント 国際協力の観点から 外国税務当局と自発的に情報を交換 国税庁から外国税務当局に提供した 自発的情報交換 の件数は 157 件と ほぼ例年並みの件数となっています 地域別にみると アジア 大洋州の国 地域への提供が 125 件ともっとも多くなっています 外国税務当局から国税庁に提供された 自発的情報交換 の件数は 574 件となっており ほぼ前年並みの件数となっています グラフ 3 自発的情報交換 の件数の推移 ( 件 ) 3,5 8, 3, 7, 6,881 2,5 4, 2, 3, 1,5 1, 5 3,62 1,258 549 574 317 186 272 33 157 国税庁から提供した 自発的情報交換 の件数外国税務当局から提供された 自発的情報交換 の件数 平成 25 事務年度においては 国外送金に関する情報を提供する特別の取組みを行ったことにより件数が多くなっています 5

グラフ 4 自発的情報交換 の地域別件数の推移 ( 国税庁 外国税務当局 ) ( 件 ) 1,2 3, 2,661 2,5 9 2, 6 1,936 2,284 3 228 74 142 13 125 74 95 15 12 32 1 アジア 大洋州米州欧州 その他 22 自発的情報交換 の実施例 国税庁から外国税務当局に情報提供をした例 内国法人は C 国に所在する法人 Dから製品を輸入しているが その代金は C 国以外の第三国に所在する法人 E 名義の口座に送金されており 法人 DがC 国において申告すべき売上を除外していると想定されたため C 国の税務当局に対し 送金や取引に関する資料を提供した 6

3. 自動的情報交換 自動的情報交換 は 法定調書から把握した非居住者等への支払等 ( 利子 配当 不動産賃借料 無形資産の使用料 給与 報酬 株式の譲受対価等 ) についての情報を 支払国の税務当局から受領国の税務当局へ一括して送付するものです 国税庁では 外国税務当局から 自動的情報交換 により提供された情報を申告内容と照合し 国外財産について内容を確認する必要があるか等の検討を行っています ポイント 海外資産に係る透明性を高めるため 金融資産等の情報を交換 国税庁から外国税務当局に提供した 自動的情報交換 の件数は 前事務年度を大きく上回る約 7 万 5 千件となりました 地域別にみると 日本からの利子 配当等の支払いが多い欧州 その他の国 地域向けの提供が約半数を占めています 外国税務当局から国税庁に提供された 自動的情報交換 の件数は前事務年度よりも減少して 約 12 万 3 千件となっています 7

グラフ 5 自動的情報交換 件数の推移 ( 千件 ) 8 7 6 5 4 3 2 1 75 531 188 25 126 133 137 132 117 123 国税庁から提供した 自動的情報交換 の件数 外国税務当局から提供された 自動的情報交換 の件数 グラフ 6 自動的情報交換 の地域別件数の推移 ( 国税庁 外国税務当局 ) ( 千件 ) 4 35 3 294 341 25 227 2 15 1 5 27 47 52 38 46 54 36 63 89 7 167 138 アジア 大洋州米州欧州 その他 8

自動的情報交換 の活用例 E 国の税務当局から提供された資料をもとに 日本の居住者 Fの申告内容を検討したところ E 国のG 銀行に預け入れた預金に係る受取利子が日本で申告されていなかったことを把握した 9

参考 我が国の情報交換ネットワークの現状 ポイント 情報交換の重要性に関する世界的認識が高まる中 我が国の情報交換ネットワークは 126 か国 地域をカバーするまで拡大 平成 3 年 1 月 1 日現在 我が国では 71 の二国間租税条約等 ( 注 ) が発効しており これらの全てに情報交換を実施するための規定が設けられています 最近では リトアニア ( 平成 3 年 8 月 ) エストニア( 平成 3 年 9 月 ) との租税条約が発効しています ( 注 ) 二国間租税条約等には 租税条約のほか租税協定 情報交換協定 日台民間租税取決めが含まれます また 平成 25 年 1 月 1 日には 多国間の枠組みとして税務行政執行共助条約 ( 以下 執行共助条約 といいます ) が我が国において発効しました 執行共助条約は 締約国間で 租税に関する行政支援 ( 情報交換 徴収共助 送達共助 ) を相互に行うための多国間条約であり 本条約の締結により より多くの国 地域と情報交換を行うことが可能になっています 平成 3 年 1 月 1 日現在 執行共助条約が発効している国は 我が国を除いて 9 か国です 二国間租税条約等及び執行共助条約を合わせると 平成 3 年 1 月 1 日現在 我が国の情報交換ネットワークは 126 か国 地域をカバーするものとなっています 1

財務省 72 条約等 126 か国 地域適用 /218 年 1 月 1 日現在 ( 注 1)( 注 2) 欧州 (42) アイルランド ハンガリー イギリス フィンランド イタリア フランス エストニア ブルガリア オーストリア ベルギー オランダ ポルトガル スイス ポーランド スウェーデン ラトビア スペイン リトアニア スロバキア ルクセンブルク スロベニア ルーマニア チェコ ガーンジー ( ) デンマーク ジャージー ( ) ドイツ マン島 ( ) ノルウェー リヒテンシュタイン ( ) ( 執行共助条約のみ ) アイスランド クロアチア アルバニア サンマリノ アンドラ ジブラルタル キプロス フェロー諸島 ギリシャ マルタ グリーンランド モナコ アフリカ (11) エジプト南アフリカザンビア ( 執行共助条約のみ ) ウガンダ セネガル ガーナ チュニジア カメルーン ナイジェリア セーシェル モーリシャス 中東 (9) アラブ首長国連邦イスラエルオマーンカタール ロシア NIS 諸国 (12) アセ ルハ イシ ャン ウス ヘ キスタン ジョージア ベラルーシ アルメニア カザフスタン タジキスタン モルドバ ウクライナ キルギス トルクメニスタン ロシア クウェートサウジアラビアトルコ ( 執行共助条約のみ ) バーレーンレバノン 租税条約情報交換協定税務行政執行共助条約のみ日台民間租税取決め アジア 大洋州 (24) インド シンガポール ニューシ ーラント フィリピン マレーシア ペルー マカオ ( ) インドネシア スリランカ パキスタン ブルネイ サモア ( ) モンセラット台湾 ( 注 3) オーストラリア タイ ハ ンク ラテ シュ ベトナム マカオ ( ) 韓国 中国 フィジー 香港 台湾 ( 注 3) ( 執行共助条約のみ ) クック諸島ナウルニウエマーシャル諸島 北米 中南米 (28) アメリカカナダチリブラジルメキシコケイマン諸島 ( ) 英領ハ ーシ ン諸島 ( ) パナマ ( ) バハマ ( ) バミューダ ( ) ( 執行共助条約のみ ) アルゼンチンアルバアンギラウルグアイキュラソーグアテマラグレナダコスタリカコロンビアセントクリストファー ネーウ ィスセントヒ ンセント及びク レナテ ィーン諸島セントマーティンセントルシアターコス カイコス諸島バルバトスベリーズ ( 注 1) 税務行政執行共助条約が多数国間条約であること 及び 旧ソ連 旧チェコスロバキアとの条約が複数国へ承継されていることから 条約等の数と国 地域数が一致しない ( 注 2) 条約等の数及び国 地域数の内訳は以下のとおり 租税条約 ( 二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止を主たる内容とする条約 ): 59 本 7 か国 地域 情報交換協定 ( 租税に関する情報交換を主たる内容とする条約 ): 11 本 11 か国 地域 ( 図中 ( ) で表示 ) 税務行政執行共助条約 : 締約国は我が国を除いて 9 か国 ( 図中 国名に下線 ) 適用拡張により 17 か国 地域に適用 ( 図中 適用拡張地域名に点線 ) このうち我が国と二国間条約を締結していない国 地域は 44 か国 地域 日台民間租税取決め :1 本 1 地域 ( 注 3) 台湾については 公益財団法人交流協会 ( 日本側 ) と亜東関係協会 ( 台湾側 ) との間の民間租税取決め及びその内容を日本国内で実施するための法令によって 全体として租税条約に相当する枠組みを構築 ( 現在 両協会は 公益財団法人日本台湾交流協会 ( 日本側 ) 及び台湾日本関係協会 ( 台湾側 ) にそれぞれ改称されている ) 11