外為マンスリービュー 5月号 【ドル/円・ユーロ/円】

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外為マンスリービューⅠ北米編 5月号

外為マンスリービューⅠ北米編 2月号

外為マンスリービュー11月1日号

Microsoft Word

ファンダの鬼・柳澤 浩と小杉 篤諭の「ファンダメンタルズの学び方、活かし方セミナー!」

サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

外為ウィークリービュー 12月14日号

○ユーロ

Invesco Premia Plus Fund

TFX_フィスコ通貨ウォッチャー

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米国株 投資家心理が落ち着けば 上昇基調に回帰と想定 株式市場 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 長期金利の上昇を契機に急落米国株式市場は下落しました 月初に発表された1 月の雇用統計において 時間当たり賃金が市場予想を上回る伸び率となったことを受けて 長期金利が約 4 年ぶ

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参考資料いちよし証券投資情報部 2019 年 10 月 7 日 極端な悲観相場の修正へ 業績の下方修正リスクも織り込み 日米経済指標に注目 最終ページに お客様にご確認いただきたい重要な注意事項を記載しております 必ずご確認ください

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外為マンスリービュー11月1日号

外為ウィークリービュー 11月29日号

金融市場2018年12月号

外為マンスリービュー1月号【ポンド/円・豪ドル/円】

FOMC 2018年のドットはわずかに上方修正

Economic Indicators_  定例経済指標レポート

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Ⅰ.ファンダメンタルズ

株式市場 米国株 景気 企業業績は依然として堅調 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 貿易摩擦への懸念から下落米国株式市場は下落しました トランプ米大統領が鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限する方針を表明したことから 世界的な貿易摩擦への懸念が高まり下落して始まりました その後 貿

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外為ウィークリービュー 11月30日号

為替相場展望2018年12月号

平成 21 年 9 月 5 日 角山智 投資環境レポート (2009 年 9 月 ) 1. 主な株価指数 8 月は 中国株が大幅に値下がりしました 反面 出遅れていた英国株が好調です 市場 日本株 日本新興市場 J-REIT 米国株 英国株 中国株 ( 指数 ) (TOPIX) (JASDAQ) (

(2) 資産構成割合の推移 ( 給付確保事業 ) 1 資産配分実績の基本ポートフォリオからの乖離の推移 2 実践ポートフォリオと資産配分実績の推移 3. 運用受託機関 平成 29 年 3 月末現在 2

変額年金 ( 特別勘定 ) の現況をご覧になる方に 特にご確認いただきたい事項 投資リスクについて 変額年金保険の特別勘定の資産運用は 国内外の株式および公社債 国内外のその他の有価証券 貸付金 コールローンおよび預貯金等を主な運用対象としておりますので 株価の下落や金利の変動 為替の変動などにより

グローバル・マクロ・ウォッチ

GFT FX/CFDモーニング・コメント*9日の市場展望*

外為ウィークリービュー 11月30日号

2012 年 10 月 15 日号

オーバルネクスト ETF 情報 2010 年 2 月 15 日号 ( 株 ) オーバルネクスト 東京都中央区日本橋兜町 13-2 TEL 03(5641)5777

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マネーマーケットマンスリー 2018年3月


退職等年金給付積立金 平成30年度第2四半期運用状況

Economic Indicators_  定例経済指標レポート

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外為ウィークリービュー 5月17日号

NZD NZDANZActivityOutlook 01:00 21: NZD ニュージーランド NBNZビジネス信頼感指数 01:00 21: AUD オーストラリア HIA 新規住宅販売件数 (MoM) 01:00 21:00 0.6% AUD オーストラリア民間事業

今月の経済金融情勢2018年12月25日号

株式市場 米国株 トランプ氏の政策への期待感後退で調整も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました 11 月 8 日 ( 現地 ) に行われた大統領選挙でトランプ氏が当選し 減税やインフラ投資の拡大などの同氏の政策に注目が集まりました 債券市場では金利が上

株式市場 米国株 国内外の政治動向に注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 好調な企業決算発表を受けて上昇米国株式市場は上昇しました 月前半までは2017 年 1-3 月期の決算発表内容が総じて好調であったことが株価を支えました 月半ばには コミー前 FBI( 連邦捜査局 )

Outlook201805

GFT FX/CFDモーニング・コメント*9日の市場展望*

株式市場 米国株 上値が重く神経質な展開 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は下落しました FOMC( 米国連邦公開市場委員会 ) における利上げの有無 大統領選挙の動向 ドイツの大手銀行の資本不足懸念などに一喜一憂する展開となりました 月半ばにかけて 利上げ観測や原油

米国の利上げ見送りと日本の長期化した金融緩和

今月の経済金融情勢2018年11月30日号

平成30年度第1四半期における運用状況等

マネーマーケットマンスリー

NY マーケットレポート (2017 年 4 月 11 日 ) ニューヨーク市場で円相場が急伸し 一時 昨年 11 月中旬以来約 5 ヵ月ぶりの円高ドル安水準となる 109 円台をつけた トランプ米大統領は中国の習近平国家主席に対し 北朝鮮問題で協力するなら 中国は対米貿易でより良い条件が得られる

2013 年 8 月 19 日号

2006年2月3日

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円 N 先週のメキシコペソ相場今週の見通し 12 月 17 日 - 12 月 21 日取引レンジ 5.53 円 円想定レンジ 5.50 円 円 対円レートは強含み 大幅な歳出拡大計画の発表が期待されており 歳出拡大による景気浮揚への期待が高まったことから 投機的なペソ売り

マネーマーケットマンスリー 2018年12月

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< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

Outlook201806

FXウィークリー・レポート

株式市場 米国株 新政権の政策期待による上昇も一服 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました ISM( 全米供給管理協会 ) 指数など月初に発表された経済統計がおおむね良好であったことを受け 月前半の株式市場は堅調に推移しました 月半ば以降は 高値警戒感な

Microsoft PowerPoint - Pictet_Market_Flash_ (直近の下落).pptx

Outlook201812

低インフレ 乏しい利上げ観測労働市場に目を向けると 8 月の失業率は約 年ぶりの低水準となる5.3% に低下した 雇用者数も伸びており 一部では技術者不足の声も聞かれる RBAは今後数年 失業率は自然失業率とされる5.% を目指して低下が続くとの見方を示している ただ 賃金の上昇率は ~ 月期が前年

スライド 1

株式市場 米国株 国内の政策動向や海外の政治動向などに注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場はほぼ変わらずとなりました 月初には 2 月末のトランプ大統領の議会演説を好感して 株価は大幅上昇となりました しかし その後は 新政権の経済政策に対する期待が徐々に後退

株式市場 米国株 年末商戦や金利動向に注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米中首脳会談への期待から上昇米国株式市場は上昇しました 前半は中間選挙の結果が市場の事前想定通りとなったことなどから安心感が広がり株価は上昇しました 中旬では一部のハイテク企業が需要見通しを引き下げたこと

金融市場2017年11月号

U

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米国の対中包括関税 近く対象品目リスト公表へ 中国も対抗措置をとる構え 今回の米国による対中包括関税は 23 日発動の鉄鋼 アルミニウム関税に続くもので トランプ大統領が政権発足時に掲げた年間 8,000 億ドルにもおよぶ米貿易赤字削減に向けた施策の一環と位置付けられる 足元ではその約半分を占める中

まとめ 4 月 29 日にトランプ大統領就任 100 日を迎え 今後はマスコミから政権の公約達成に関する批判的な記事が出始め風邪当たりが強まる可能性が高い それを見聞きした国民の消費マインドは低下しやすく 今後の経済指標に表れてくると FOMC による年内残り 2 回の利上げの可能性が後退いしやすい

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株式市場 米国株 高値警戒感の高まりなどから上昇一服も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました トランプ政権で閣僚などの人事において一部で混乱が見られましたが トランプ大統領の発言などにより減税 金融規制緩和などへの期待が高まったことや 発表された米国企

グローバル株式市場を俯瞰する~2015年8月末データで見る市場動向~

米労働市場は直近の回復基調に変化なし ~FRB出口政策への影響は限定的~

2017年上半期の為替相場展望

目  次

南十字星(オセアニアレポート)(No

1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

目  次

Currency201207

Outlook201901

外為ウィークリービュー 12月7日号

オンラインセミナー 柳澤浩 & 高野やすのりの 雇用統計直前セミナー ( 第 8 回平成 26 年 11 月 5 日 ) 1

FXウィークリー・レポート

FXウィークリー・レポート

MONEX 個人投資家サーベイ 2016年2月調査

為替相場展望2018年10月号

GFT FX/CFDモーニング・コメント*9日の市場展望*

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2018 年 10 月号 中国の金融経済動向について 中国の AI 動向について 千葉銀行上海駐在員事務所

2014 年 2 月 2 月 5 日ロックハート アトランタ連銀総裁 経済データの内容は強弱まちまちだが 一般には 2014 年に関して前向きな見方が強まっている それには妥当な理由があると考えられる 講演で 月 6 日ドラギ ECB 総裁 今日 行動しないことを決めた理由は実のとこ

定期調査の質問のうち 代表的なものの結果 1. 日本の株価を 企業のファンダメンタルズと比較してどう評価するか 問 1. 日本の株価は企業の実力( ファンダメンタルズ ) あるいは合理的な投資価値にくらべて 1. 低すぎる 2. 高すぎる 3. ほぼ正しく評価されている 4. わからないという質問で

Transcription:

2018/05/01 トランプ リスク 薄れる 通貨ペア基調ページ数 ドル / 円 上昇トレンドへの転換なるか 予想レンジ :107.000~112.000 円 2-3 ユーロ / 円 ユーロ高に陰り 予想レンジ : 128.500~134.000 円 4-5 通貨ペアをクリックすると そのページにジャンプします 本レポートは 投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり 投資勧誘を目的として提供するものではありません 投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします また 本レポートに記載された意見や予測等は 今後予告なしに変更されることがございます なお 本レポートにより利用者の皆様に生じたいかなる損害についても 株式会社外為どっとコム総合研究所ならびに株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承願います Copyright 2018Gaitame.com Research Institute Ltd. All Rights Reserved. www.gaitamesk.com 1

ドル / 円 4 月の推移 USD/ JPY 4 月のドル / 円相場は105.659~109.537 円のレンジで推移し 月間の終値ベースでは約 2.8% の上昇 ( ドル高 円安 ) を記録した 前半は 米中貿易戦争への懸念と米国によるシリア攻撃の可能性などが重しとなり伸び悩んだ しかし 習近平 中国国家主席が10 日に自動車輸入関税の引き下げを発表した事で貿易戦争への懸念が緩和 13 日夜には 米英仏がシリア化学兵器施設を攻撃したが 攻撃は 一回限り とされ 泥沼化する事はないとの見通しが強まった さらに 通商問題で米国から難題を突き付けられるとの見方もあった17-18 日の日米首脳会談も無難に通過するなど 次第に トランプ リスク が薄れていった そうした中 原油高などもあって米長期金利が上昇すると日米金利差拡大観測からドル買い 円売りが活発化 米 10 年債利回りが3.00% の節目を超えて上昇すると 109 円台半ばまで上値を伸ばした 四本値 2 日 6 日 11 日 OPEN 106.264 27 日 HIGH 109.537 4 日 16 日 LOW 105.659 CLOSE 109.313 2 日 4 日 6 日 11 日 16 日 27 日 米 3 月 ISM 製造業景況指数は 59.3 と市場予想 (59.6) を下回り 前回 (60.8) から低下 トランプ米大統領が 郵政公社 (USPS) がアマゾンで利益を得ているというのは愚か者かそれ以下の人間だけだ USPS は莫大な損失を蒙っている だが この状況は変わる また 税金を満額納めている小売業者の閉店が相次いでいる 公平な競争の場ではない とツイートした事を受けてアマゾン株とともに他のハイテク IT 銘柄も軒並み下落する中 リスク回避の円買いが強まった 中国政府が 米国の対中関税への報復措置として大豆 自動車 化学製品 一部航空機 トウモロコシ製品など農産物を含む米輸入品 106 品目に 25% の追加関税を課すと発表すると一時円買いが強まった しかしその後 米国家経済会議 (NEC) のクドロー次期委員長が 株式市場は米中貿易をめぐる緊張に過剰反応すべきではない 両国の案は最初のステップで まだ実行に移されていない と述べた事などから貿易戦争に対する過度な懸念が後退 一時 500 ドル超下落していた NY ダウ平均が持ち直すと円売りが優勢となった トランプ米大統領が 米通商代表部 (USTR) に中国への 1000 億ドルの追加関税が必要か検討するよう指示したと伝わると 一時円買いが強まった その後 米 3 月雇用統計が冴えない結果となった事もあって米長期金利が低下する中 ドル売りも強まった なお 米 3 月雇用統計は 非農業部門雇用者数 10.3 万人増 ( 予想 18.5 万人増 ) 失業率 4.1%( 予想 4.0%) 注目の平均時給は前月比 +0.3% 前年比 +2.7% といずれも予想通りだった トランプ米大統領が ロシアは準備せよ ミサイルがシリアに来る とツイートし シリア攻撃を示唆すると米長期金利や NY ダウ平均先物の急落とともにドル売り 円買いが強まった その後 米 3 月消費者物価指数が前年比 +2.4% コア前年比 +2.1% と予想通りに前回 (+2.2% +1.8%) から加速したが ドルの戻りは鈍かった また 米連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事録は 全てのメンバーは更なる利上げの正当化 ほとんど全てのメンバーが段階的な利上げに同意 多数のメンバーはインフレがこの何カ月かで目標圏に上昇し その水準で安定することに自信 全てのメンバーがここ数カ月の経済見通しが強含んだことに同意 などとタカ派的な内容となったが ドル買いは続かなかった 米 3 月小売売上高は前月比 +0.6% と 4 カ月ぶりに増加して市場予想 (+0.4%) を上回る伸びを記録 なお 自動車を除いた売上高は前月比 +0.2% と予想通りであった これに対する市場の反応は小さかったが 直後にトランプ米大統領が 米国が利上げを続けているときにロシアと中国は通貨切り下げゲームに興じている 容認できない とツイッターに投稿すると ドルが売られた 日銀は金融政策決定会合を開き 予想どおりに金融政策の現状維持を決定 ただ 同時に発表した展望リポートでは これまで 19 年度頃 としていた物価目標 2% の達成時期に関する文言を削除した 黒田日銀総裁はその後の会見で 2% 達成時期と政策変更を結びつける見方があった 2% 達成時期が文書に書いてあると 政策変更とリンクしているように誤解される などと削除の理由を説明した上で 2019 年度頃に物価が 2% 程度に上昇する見方は変わらない と述べた 2

USD/ JPY 米 2 年債利回り 米 10 年債利回り 日経平均 NY ダウ平均 OPEN 2.2741% OPEN 2.7589% OPEN 21441.57 OPEN 24076.60 HIGH 2.5039% HIGH 3.0334% HIGH 22495.56 HIGH 24858.97 LOW 2.2298% LOW 2.7153% LOW 21056.02 LOW 23344.52 CLOSE 2.4879% CLOSE 2.9531% CLOSE 22467.87 CLOSE 24163.15 4 月のポジション動向 5 月の日 米の注目イベント 4 月米 ISM 製造業景況指数 (1 日 ) 4 月米 ADP 全国雇用者数 (2 日 ) FOMC 政策金利発表 (2 日 ) 4 月米 ISM 非製造業景況指数 (3 日 ) 3 月米貿易収支 (3 日 ) 4 月米雇用統計 (4 日 ) 4 月米生産者物価指数 (9 日 ) 4 月米小売売上高 (15 日 ) 1-3 月期日本 GDP 1 次速報 (16 日 ) 4 月米住宅着工件数 (16 日 ) 4 月米鉱工業生産 (16 日 ) 4 月日本消費者物価指数 (18 日 ) 4 月日本貿易収支 (21 日 ) FOMC 議事録 (23 日 ) 4 月米耐久財受注 (25 日 ) 5 月米 ADP 全国雇用者数 (30 日 ) 1-3 月期米 GDP 改定値 (30 日 ) 4 月米コア PCE デフレーター (31 日 ) 5 月の見通し 月間指標カレンダー ( 外部リンク ) ドル / 円相場は4 月に比較的大きく反発したが 上昇トレンドへの転換を判断するのはまだ早いかもしれない 週足チャートを確認すると 13 週移動平均線こそ上抜けたものの26 週 52 週の移動平均線を依然として下回っている 日足でも100 日移動平均線は突破したが 200 日移動平均線はまだ捉えられていない 下げ止まりからの自律反発局面が終了するのか 上昇トレンドへの転換点となるのか 5 月の相場展開が中長期トレンドのカギを握る事になりそうだ まずは 2 日の米連邦公開市場委員会 (FOMC) と4 日の米 4 月雇用統計に注目したい 米 FOMCは利上げを見送る公算だが 6 月利上げに向けた地ならしが行われると見られている 足元のインフレ上昇などに鑑みて 年内にあと3 回の利上げ (FOMCはあと2 回の見通しを示している ) 観測が市場で高まれば ドルを後押しするだろう そのためには 米 4 月雇用統計で賃金の伸びが高まる事も必要となる ドル / 円相場は 仮に200 日移動平均線 (1 日時点 110.232 円 ) や52 週移動平均線 ( 同 110.462 円 ) を上抜けすれば 112 円台の回復も視野に入りそうだ 一方 円高リスクとして トランプ米政権による貿易摩擦問題の蒸し返しを警戒する必要があるほか 念のため 日本の政局動向にも注意が必要だろう 100 日移動平均線 (1 日時点 108.821 円 ) を下抜ければ 13 週移動平均線 ( 同 107.061 円 ) 付近まで調整余地が広がると考えられる ( 神田 ) ( 予想レンジ :107.000-112.000 円 ) 3

ユーロ / 円 4 月の推移 EUR/ JPY 4 月のユーロ / 円相場は129.980~133.480 円のレンジで推移し 月間の終値ベースでは約 0.8% の小幅な上昇 ( ユーロ高 円安 ) となった 2 月鉱工業生産や3 月消費者物価指数など ユーロ圏の経済指標に冴えない結果が目立っており 欧州中銀 (ECB) による早期の量的緩和 (QE) 終了期待は萎みがちだ それでも 米中貿易戦争への過度な懸念やシリアおよび北朝鮮の地政学リスクが後退する中 円安が進んだため ユーロ / 円は小幅に上昇した なお 4 月のユーロは円に対して上昇したが 米ドルに対して下落 ポンドや豪ドルに対しては ほぼ横ばい圏で取引を終えている 相手によってマチマチの動きであり 決め手を欠く相場展開であった 17 日 23 日 四本値 9 日 OPEN 130.883 10 日 12 日 18 日 20 日 26 日 HIGH 133.480 LOW 129.980 CLOSE 132.042 9 日 10 日 12 日 17 日 18 日 20 日 23 日 26 日 ECB の年次報告で ドラギ総裁が 将来について言えば ユーロ圏の景気拡大は 2018 年を通じて力強いペースを維持する との楽観的な見通しを示した事を受けてユーロが上昇 ただ 総裁は インフレ率は中期的に目標値に向かって収れんしていくと引き続き確信するが 経済に存在するスラック ( たるみ ) の規模には依然不透明性がある との見解も示した 習近平 中国国家主席がボアオ アジアフォーラムで 中国は今年 自動車輸入関税を引き下げる などと発言した事を受けて米中貿易摩擦を巡る懸念が後退するとアジア株の上昇とともに円売りが活発化 ノボトニー オーストリア連銀総裁が 今は金融政策の段階的な正常化に向かうべき時だ とした上で ECB は金利正常化の第一段階として中銀預金金利を - 0.4% から -0.2% に引上げる事が可能だ と発言した事を受けてユーロ買いが強まった ユーロ圏 2 月鉱工業生産は 前月比 -0.8% と予想 (+0.1%) を大幅に下回り 3 カ月連続で減少 ECB 議事録では インフレが持続的だとの証拠は不十分だと幅広く合意 ユーロの上昇は インフレに対してネガティブな影響をもたらす 3 月に世界経済のリスクは下振れ方向へ傾いた などと ハト派的な見方が示された 独 4 月 ZEW 景気期待指数は -8.2 となり 3 カ月連続で低下 市場予想 (-1.0) を下回り 前回 (5.1) から悪化した なお 欧州経済研究センター (ZEW) 所長は 期待指数低下の理由は主として米国との国際的な貿易摩擦だ との見解を示した 米朝首脳会談への期待などからリスク選好ムードが広がる中 ユーロ買い 円売りが優位となっていたが ユーロ圏 3 月消費者物価指数 (HICP) 確報値が前年比 +1.3% に下方修正 ( 速報値 +1.4%) されるとユーロ買いは勢いを失った 米長期金利の上昇を背景にドル買い ユーロ売りが強まると対円でもユーロが下落 ECB 当局者らは債券購入プログラムを終了させる手順について 7 月会合まで発表を待てると考えている などとする関係者の発言が伝わるとユーロ売りに拍車がかかった ただ ドラギ ECB 総裁が 最新の経済指標はユーロ圏の成長サイクルがピークを越えた可能性を示唆しているものの 成長の勢いは続くだろう などとする見解を示すとユーロ売りは一服した 独 4 月製造業 PMI 速報値は 58.1 と 市場予想 (57.5) を上回ったが 前回 (58.2) から僅かに減速 その後 ユーロ圏 4 月製造業 PMI 速報値も 56.0 に減速 ( 前回 56.6 予想 56.1) した ECB は予想通りに政策金利据え置きを決定 ドラギ ECB 総裁は会見で 潤沢な水準の金融緩和が必要 金利は量的緩和 (QE) の終了後も相当な期間現在の水準に留まる と述べたほか ユーロ圏の経済については 経済指標は景気拡大ペースが緩和していることを示唆 としつつも 底堅く幅広い成長が続く との見通しを示した これを受けて一時ユーロが強含む場面もあったが ドラギ総裁が 金融政策そのものについては議論しなかった 事を明らかにすると QE の早期終了期待が後退したためユーロが反落 ユーロ / ドルでオプション取引に絡む売りが出たとの観測も相まって下げ幅が大きくなった 4

EUR/ JPY 日経平均 独 D A X 独 2 年債利回り 独 10 年債利回り OPEN 21441.57 OPEN 11997.47 OPEN -0.602% OPEN 0.497% HIGH 22495.56 HIGH 12647.16 HIGH -0.497% HIGH 0.656% LOW 21056.02 LOW 11792.35 LOW -0.607% LOW 0.479% CLOSE 22467.87 CLOSE 12612.11 CLOSE -0.586% CLOSE 0.559% 4 月のポジション動向 5 月のユーロ圏の注目イベント 3 月ユーロ圏失業率 (2 日 ) 1-3 月期ユーロ圏 GDP 速報値 (2 日 ) 4 月ユーロ圏消費者物価指数 (3 日 ) 3 月ユーロ圏小売売上高 (4 日 ) 3 月独鉱工業生産 (8 日 ) 3 月独貿易収支 (8 日 ) 3 月ユーロ圏鉱工業生産 (15 日 ) 5 月独 ZEW 景気期待指数 (15 日 ) 3 月ユーロ圏貿易収支 (17 日 ) 4 月独 / ユーロ圏製造業 PMI(23 日 ) 5 月独 Ifo 景況感指数 (25 日 ) 5 月独雇用統計 (30 日 ) 5 月独消費者物価指数 (30 日 ) 4 月ユーロ圏消費者物価指数 (31 日 ) 5 月の見通し 月間指標カレンダー ( 外部リンク ) 4 月のユーロ相場は 相手の通貨によってまちまちの動きであった これまで ユーロの買い材料として強く意識されてきた欧州中銀 (ECB) の金融政策正常化観測は 消滅こそしていないものの ユーロ圏の景気が足踏みし始めた事でやや後退気味だ 5 月のユーロ圏主要経済指標をチェックしたいところだろう 中でも 2 日の1-3 月期ユーロ圏 GDP 速報値や3 日の4 月ユーロ圏消費者物価指数 4 月の独およびユーロ圏製造業 PMI(23 日 ) などは注目しておきたい 仮に 冴えない結果が目立つようなら シカゴ通貨先物市場における投機筋の買い越し額が依然として大きい点から見ても ユーロが全面的に上昇する事は考えにくくなる また 5 月のユーロ / 円は 円安の継続性もカギを握りそうだ 世界的な貿易摩擦問題や 北朝鮮問題の行方などに加え 日本の政局動向が市場センチメントにどう影響するかが重要だろう ( 神田 ) ( 予想レンジ :128.500-134.000 円 ) 5