予防接種制度の概要について 3 目的 伝染のおそれがある疾病の発生及びまん延を予防するために公衆衛生の見地から予防接種の実施その他必要な措置を講ずることにより 国民の健康の保持に寄与する 予防接種による健康被害の迅速な救済を図る 予防接種の実施 予防接種法の概要 ( その 1) 対象疾病 A 類疾病 ( 主に集団予防 重篤な疾患の予防に重点 本人に努力義務 接種勧奨有り ) ジフテリア 百日せき 急性灰白髄炎 ( ポリオ ) 麻しん ( はしか ) 風しん 日本脳炎 破傷風 結核 Hib 感染症 小児の肺炎球菌感染症 ヒトパピローマウイルス感染症 ( 子宮頸がん予防 ) 水痘 B 型肝炎 ( 平成 28 年 10 月から ) 痘そう ( 天然痘 ) B 類疾病 ( 主に個人予防に重点 努力義務無し 接種勧奨無し ) インフルエンザ 高齢者の肺炎球菌感染症 は政令事項 ( なお 現在痘そうの定期接種は実施していない ) 定期の予防接種 ( 通常時に行う予防接種 ) 実施主体は 費用は負担 ( 経済的理由がある場合を除き 実費徴収が可能 ) 臨時の予防接種 まん延予防上緊急の必要があるときに実施 実施主体は都道府県又は 努力義務を課す臨時接種と 努力義務を課さない臨時接種 ( 弱毒型インフルエンザ等を想定 ) がある 8
計画及び指針の策定 予防接種法の概要 ( その 2) 厚生労働大臣は 予防接種施策の総合的かつ計画的な推進を図るため 予防接種基本計画を策定しなければならない 厚生労働大臣は 特に予防接種を推進する必要がある疾病について 個別予防接種推進指針を予防接種基本計画に即して定めなければならない ( 現在は麻しん 風しん 結核 インフルエンザ ) 副反応報告制度 医療機関等は 予防接種による副反応を知ったときは 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 へ報告 厚生労働大臣は 報告の状況について審議会に報告し 必要に応じて予防接種の適正な実施のために必要な措置を講ずる 副反応報告に係る情報の整理及び調査は ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構に委託可能 健康被害救済制度 予防接種により健康被害が生じた場合には 医療費 医療手当 死亡した場合の補償 ( 死亡一時金等 ) 障害年金等が支払われる 審議会への意見聴取 厚生労働大臣は 予防接種施策の立案に当たり 専門的な知見を要する事項について 厚生科学審議会の意見を聴かなければならない ( 例 ) 定期接種の対象年齢 使用ワクチンの決定 予防接種基本計画の策定 変更など その他 国等の責務規定など所要の規定が存在 9 各種予防接種の法的位置付け予防接種法における予防接種の類型 考え方 A 類疾病 人から人に伝染することによるその発生及びまん延を予防するため 又はかかった場合の病状の程度が重篤になり 若しくは重篤になるおそれがあることからその発生及びまん延を予防するために 定期的に行う必要がある ( 社会防衛 ) 定期接種 (5 条 1 項 ) B 類疾病 個人の発病又はその重症化を防止し 併せてこれによりそのまん延の予防に資することを目的として 定期的に行う必要がある ( 個人予防 ) 実施主体 臨時接種 (6 条 1 項又は 2 項 ) 新臨時接種 (6 条 3 項 ) まん延防止上緊急の必要がある 都道府県 ( 国が指示又は自ら実施 ) ( 都道府県が指示 ) 厚労大臣が疾病を定めた場合に実施 まん延防止上緊急の必要がある 臨時接種対象疾病より病原性が低いものを想定 ( 国が都道府県を通じて指示 ) 厚労大臣が疾病を定めた場合に実施 接種の努力義務ありなしありなし 勧奨ありなしありあり 接種費用の負担 ( 低所得者分は交付税措置 ) 低所得者以外から実費徴収可能 ( 低所得者分は交付税措置 ) 低所得者以外から実費徴収可能 都道府県が実施した場合国 1/2 都道府県 1/2 が実施した場合国 1/3 都道府県 1/3 1/3 実費徴収不可 国 1/2 都道府県 1/4 1/4 ( 低所得者分のみ ) 低所得者以外から実費徴収可能 健康被害救済に係る給付金額 ( 例 ) 高額 障害年金 (1 級 ) 496 万円 / 年死亡一時金 4,340 万円 低額 障害年金 (1 級 ) 276 万円 / 年遺族一時金 723 万円 高額 障害年金 (1 級 ) 496 万円 / 年死亡一時金 4,340 万円 B 類定期と A 類定期 臨時の間の水準 障害年金 (1 級 ) 386 万円 / 年死亡一時金 3,380 万円 ( 被害者が生計維持者の場合 ) 対象疾病 ジフテリア百日せき急性灰白髄炎 ( ポリオ ) Hib 等 インフルエンザ ( 高齢者に限る ) 等 A 類疾病及び B 類疾病のうち厚生労働大臣が定めるもの B 類疾病 ( インフルエンザ等 ) のうち厚生労働大臣が定めるもの 10
定期接種の費用負担 ( 平成 25 年度予防接種法改正以降 ) A 類疾病 実施主体 負担 定期接種 (A 類疾病 ) ジフテリア 百日せき ポリオ 破傷風 麻しん 風しん 日本脳炎 BC G Hib 小児用肺炎球菌 ヒトパピローマウイルス感染症 水痘 9 割を地方交付税で手当 実費など B 類疾病 実施主体 負担 定期接種 (B 類疾病 ) インフルエンザ ( 高齢者 ) 高齢者用肺炎球菌 ( 低所得者分 ) 3 割程度を地方交付税で手当 市 町 村 ( 実費など ) インフルエンサ ( 高齢 ) について 多くので一部実費を徴収している 12 平成 28 年 10 月以降 A 類疾病 法律事項 対象疾病ジフテリア 百日せき 急性灰白髄炎 ( ポリオ ) 破傷風 定期接種の対象者 麻しん 風しん 日本脳炎 結核 (BCG) 定期予防接種対象者 : 接種時期 政令事項 第 1 期 : 生後 3 月から生後 90 月に至るまで第 2 期 :11 歳以上 13 歳未満 ( 第 2 期はジフテリア 破傷風のみ ) 第 1 期 : 生後 12 月から生後 24 月に至るまで第 2 期 :5 歳以上 7 歳未満のうち 就学前 1 年 第 1 期 : 生後 6 月から生後 90 月に至るまで第 2 期 :9 歳以上 13 歳未満 1 歳に至るまで Hib 感染症 小児の肺炎球菌感染症 ヒトパピローマウイルス感染症 生後 2 月から生後 60 月に至るまで 生後 2 月から生後 60 月に至るまで 小学 6 年 ~ 高校 1 年生相当の女子 政令事項 痘そう 定期接種は実施していない ( 生物テロ等により まん延の危険性が増大した場合 臨時の予防接種として実施 ) 水痘生後 12 月から生後 36 月に至るまで B 型肝炎 1 歳に至るまで ( 平成 28 年 4 月 1 日以降に生まれた者に限る ) B 類疾病 法律事項 政令事項 インフルエンザ 高齢者の肺炎球菌感染症 165 歳以上の者 260 歳から 65 歳未満の慢性高度心 腎 呼吸器機能不全者等 165 歳の者 260 歳から 65 歳未満の慢性高度心 腎 呼吸器機能不全者等 1 日本脳炎について 平成 7 年度 ~ 平成 18 年度生まれの者 ( 積極的勧奨の差し控えにより接種機会を逃した者 ) は 20 歳になるまで定期接種の対象 2 長期にわたり療養を必要とする疾病にかかったこと等によりやむを得ず接種機会を逃した者は 快復時から 2 年間 ( 高齢者の肺炎球菌感染症のみ 1 年間 一部上限年齢あり ) は定期接種の対象 3 B 型肝炎は平成 28 年 10 月から実施予定であり 高齢者の肺炎球菌感染症は平成 30 年度までの間 対象者を拡大する経過措置を設けている 20
5認定 否認2進達予防接種健康被害救済制度について 21 予防接種健康被害救済制度 予防接種の副反応による健康被害は 極めてまれではあるが不可避的に生ずるものであることを踏まえ 接種に係る過失の有無にかかわらず 迅速に救済 予防接種法に基づく予防接種を受けた方に健康被害が生じた場合 その健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは より給付 専門家により構成される疾病 障害認定審査会において 因果関係に係る審査 救済制度の流れ 3 意見聴取 必要に応じ 医療機関等に対し 審査に係る資料の提出を求める 厚生労働省 4 意見 疾病 障害認定審査会 ( 感染症 予防接種審査分科会 ) 都道府県 1 申請 健康被害を受けた方 6 支給 不支給 22
医療費 臨時接種及び A 類疾病の定期接種 健康保険等による給付の額を除いた自己負担分 ( 入院相当に限定しない ) 医療手当通院 3 日未満 ( 月額 ) 通院 3 日以上 ( 月額 ) 入院 8 日未満 ( 月額 ) 入院 8 日以上 ( 月額 ) 同一月入通院 ( 月額 ) 障害児養育年金 障害年金 死亡した場合の補償 1 級 ( 年額 ) 1,550,400 円 2 級 ( 年額 ) 1,242,000 円 1 級 ( 年額 ) 4,962,000 円 2 級 ( 年額 ) 3,969,600 円 3 級 ( 年額 ) 2,976,000 円 死亡一時金 43,400,000 円 34,300 円 36,300 円 34,300 円 36,300 円 36,300 円 B 類疾病の定期接種 A 類疾病の額に準ずる ( 入院相当 ) A 類疾病の額に準ずる 1 級 ( 年額 ) 2,756,400 円 2 級 ( 年額 ) 2,205,600 円 生計維持者でない場合遺族一時金 7,232,400 円 生計維持者である場合遺族年金 ( 年額 )2,410,800 円 (10 年を限度 ) ( 参考 ) 医薬品副作用被害救済制度生物由来製品感染等被害救済制度 健康保険等による給付の額を除いた自己負担分 ( 入院相当 ) 通院 3 日未満 ( 月額 ) 34,300 円通院 3 日以上 ( 月額 ) 36,300 円入院 8 日未満 ( 月額 ) 34,300 円入院 8 日以上 ( 月額 ) 36,300 円同一月入通院 ( 月額 )36,300 円 ( 通院は入院相当に限定 ) 1 級 ( 年額 ) 861,600 円 2 級 ( 年額 ) 690,000 円 1 級 ( 年額 ) 2,756,400 円 2 級 ( 年額 ) 2,205,600 円 生計維持者でない場合遺族一時金 7,232,400 円 生計維持者である場合遺族年金 ( 年額 )2,410,800 円 (10 年を限度 ) 葬祭料 206,000 円 A 類疾病の額に準ずる 206,000 円 介護加算 予防接種に係る健康被害に対する給付額の比較 1 級 ( 年額 ) 839,500 円 2 級 ( 年額 ) 559,700 円 ( 注 1) 単価は平成 28 年 4 月現在 ( 注 2) 具体的な給付額については 政令で規定 ( 注 3)B 類疾病の定期接種に係る救済額については 医薬品副作用被害救済制度の給付額を参酌して定めることとされている ( 注 4) 介護加算は 施設入所又は入院していない場合に 障害児養育年金又は障害年金に加算するもの ( 注 5) 新臨時接種 ( 接種の勧奨は行うものの 接種の努力義務のかからない接種 ) については 給付の内容は A 類疾病の定期接種と同様ではあるものの 給付水準は A 類疾病の定期接種と B 類疾病の定期接種の中間的な水準としている 24
副反応報告制度について 副反応報告制度 副反応報告 ( 予防接種法 ) と副作用等報告 ( 医薬品医療機器等法 ) を ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構に一元化し 医療機関の報告事務を簡素化 報告を受けた副反応報告の個別事例について 厚生労働省が ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構に情報整理及び調査を委託 厚生科学審議会が薬事 食品衛生審議会と連携して副反応報告に係る評価を行った上で 厚生労働省が必要な措置を行う 医療機関 ( 調査への協力 ) 地方公共団体 ( 注 ) 被接種者や保護者等からも従前どおり副反応報告を集める 1 副反応報告 ( 薬事制度上の副作用等報告と一元化 ) 5 調査 1 副反応報告 ( 保護者報告 ) 3 副反応報告の情報提供 ( 医療機関報告 ) 9 必要な措置 ( 情報提供 接種の見合せ等 ) ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構 (PMDA) 2 副反応報告の共有 4 調査 情報整理委託 6 調査結果等の通知 厚生労働省 ( 国立感染症研究所と協力 連携 ) 薬事 食品衛生審議会 連携 8 意見 厚生科学審議会 ( 審議 評価 ) 7 調査結果等の報告 意見聴取 29