工事現場における二酸化炭素排出削減量の 見える化 ( 環境家計簿 ) の取組 北海道開発局事業振興部技術管理課
北海道環境イニシアティブ の推進北海道エコ コンストラクション イニシアティブの充実 北海道エコ コンストラクション イニシアテイブ は 北海道環境イニシアテイブの一環として 2008 年にスタートして以来 5 年目 北海道の優れた自然環境 資源 特性を活かした先駆的 実験的な取り組みを積極的に推進するとともに 環境対策を促進するための制度 仕組みの導入や 連携の拡大 取り組みの普及 浸透の促進など 先導的な環境対策の充実を図る 背 景 主な取り組み 自然共生型社会 低炭素型社会 循環型社会 の実現に向けた取り組みを政府として推進 地球環境時代を先導する新たな北海道総合開発計画 ( 平成 20 年 7 月閣議決定 ) 北海道の特性と地域課題 1 人あたりの CO2 排出量は全国の 1.1 倍 産業廃棄物排出量は 2.0 倍 北海道の産業廃棄物のリサイクル率は 94.5%( 全国 93.7%) ただし 建設発生土の利用率は 76.4% と ( 全国 78.6%) に比べて低い 全国の森林面積の 4 分の 1 近く 湿地面積の 8 割を保持し 自然公園 23 箇所が指定されるなど 豊かで優れた自然環境を有する 取り組みのポイント 工事実施段階における環境対策として 北海道の資源や特性を活かした先駆的 実験的取組を積極的に推進すると共に 他地域の共通的な課題に対する先導的な取り組みを推進する 現場毎の創意工夫の取り組みの着実な推進や環境対策を促進する制度 仕組みの先導的な導入を図るとともに 連携の拡大や取り組みの普及 浸透を促進する 自然共生型社会の形成 現場における生態系保全の推進 景観との調和 緑化活動等への参加など 北海道の優れた資源 特性などを活かした先駆的 実験的な環境対策の推進北海道の優れた資源 特性を活かした農水産業や地元商工会議所などの地域産業と建設工事が連携した取り組みや 新たな技術などを利用した建設現場でのCO2 削減のための先駆的 実験的な取り組みを推進する 施工状況 植生状況 環境に関わる技術開発の推進と環境対策を促進する制度 仕組みの充実 現場条件に応じた環境対策を着実に推進するとともに 産廃物を資源ととらえ地域内での地産地消を目指した地域資源を有効活用するための仕組みの構築など 制度 仕組みの充実に取り組む また 多様な主体との連携により取組を促進する < 積雪寒冷地における LED 照明現地試験 > 浄水場より発生する汚泥と地元酪農家で生産される家畜糞尿堆肥を混合し河川堤防の法面緑化を実施 廃棄物の有効活用と伴にコスト縮減を実現 < 資源バンク> 土砂バンク 泥炭の敷均し状況 生育状況 自治体との連携により 工事で再利用することが不向きな泥炭を畑へ投入することで土壌改良材として有効活用 作物の育成改善効果が確認されている < 環境家計簿の試行 > 北海道の特性 資源等を活かし先駆的 実験的な取り組みを推進 工事目的物や施工プロセス等を工夫 北海道の地域課題の解決に貢献 循環型社会の形成 建設副産物対策 建設リサイクルの推進など 低炭素社会の形成 施工時の CO2 排出量の抑制 自然エネルギー等の活用など 地元自治体を含む産官学の推進体制の下 LED 照明 の積雪寒冷地における適合性 ( 着雪 着氷 吹雪 ) について 建設現場のフィールドを活用した現地試験を H21 H22 年度実施 従来 費用をかけて処理されていた廃棄物を リサイクル資源として地域内で有効活用する 資源バンク の取り組みを実施 H21より試行を行っている 環境家計簿 について H21 試行結果から より取り組みやすい内容に改善して試行を実施予定 2 1
環境家計簿地球温暖化ガス削減に向け 社会資本整備の実施段階においても二酸化炭素排出削減の取組が求められており 工事現場における削減を推進するため 受注者と発注者が協働で二酸化炭素削減量を見える化する取組として 環境家計簿 を試行している [ 目的 ] 工事現場での二酸化炭素排出削減量の見える化による削減活動の促進 二酸化炭素削減に対する意識の向上 [ 経緯 ] 平成 21 年度 10 工事で試行 一定の削減効果を確認 積上集計方式のため作業が煩雑であり 取組拡大のためには簡素化が必要との指摘 平成 22 年度 122 工事で試行 ( 札幌 帯広 ) 一定の削減効果を確認 日建連の算出方法を導入し 集計手間を大幅に軽減 先進的取組を別途算出 平成 23 年度 350 工事で試行 一定の削減効果を確認 算出方法を継承しつつ 事例を手引きに追加するなど改善 全道の開発建設部に展開 平成 24 年度 約 400 工事で試行中 集計表を改善しつつ 事例を更に追加 結果を年度末に公表予定 2
環境家計簿 の流れ 1 受注者と発注者による削減方策の検討 工事実施前に受発注者が協力し 現場条件 工事内容を勘案しつつ 手引きなどを参考に 工事で行う CO2 削減活動を検討 ( アイドリングストップ 省エネ運転 適正整備 工法の工夫 運搬計画の工夫 機械選定の工夫 etc.) 2 工事における CO2 削減活動の実施 CO2 削減活動の実施 CO2 排出量 削減量の集計に必要なデータの記録 3CO2 削減量の集計 公表 調査表による集計 ( アイドリングストップ 省燃費運転 etc.) 工法の工夫などの先進的取組の集計 3
参考 環境家計簿調査表 ( 受注者記入用 ) 重機 車両は延べ稼働台数を記入 タ ンフ トラック ( 場外 ) は運搬台数 平均距離を記入 発注者が二酸化炭素削減活動の実施状況を確認し 環境家計簿調査表 ( 発注者用 ) に記入する 4
平成 23 年度環境家計簿の試行結果 ~ 工事現場における CO 2 削減量の見える化 ~ 試行工事 (350 工事 ) の概要 300 250 200 150 100 50 0 180 111 38 17 3 1 道路河川農業港湾 漁港空港営繕 300 250 200 150 100 50 0 271 39 36 3 1 土木舗装維持しゅんせつ建築 二酸化炭素排出の削減量 削減率 削減量 ( 試行工事の全体 ) 1,409t-CO 2 (80 年生のスギが 1 年間に吸収する量の約 104,000 本分に相当 ) 工事件数 120 100 80 60 40 20 0 22 削減率別の工事件数 112 114 事業部門別試行工事件数 0~2% 2~4% 4~6% 6~10% 10% 以上 工事毎に排出量 削減量を公表 ( 開発局 HP) 62 40 削減率 ( 試行工事の平均削減率 ) 6.2% (%) 7 6 5 4 3 2 1 0 3.7% 0.5 3.2 H22 取組の浸透により 削減率が 2.5% 増加 特に施工方法の工夫など先進的取組が大きく伸びている 6.2% 2.3 3.9 H23 施工方法の工夫など先進的取組 アイト リンク ストッフ 省エネ運転など 工事区分別試行工事件数 受注者へのアンケート結果 あまり変化なし 5% 今年度限りとしたい 3% 変化なし 0.0% 集計費用が計上されれば継続したい 10% 内容が改善されれば継続したい 22% やや意識が向上した 64% 未回答 0.3% その他 3% わからない 0.3% 意識が向上した 31% 未回答 0.3% 95% の受注者が CO2 削減に対する意識が向上 又はやや向上と回答 今年度以降も継続したい 62% 5
平成 23 年度までに取り組まれた先進的取組事例の紹介 ( その 1) 工法の選定や運搬計画の変更 機械の選定等による CO2 削減方策などの先進的取組による削減活動を実施した場合は CO2 削減量を別途算出します 先進的取組事例については 環境家計簿の手引き 第 3 章に掲載しております ICT 施工 ( 情報化施工 ) (H23 試行件数 :6 工事削減量合計約 8t-CO2) ICT( 情報通信技術 ) を利用し 生産性の向上や品質の確保を図ることを目的とした施工技術である 施工効率の向上 施工時間の短縮により CO 2 排出削減に寄与する 従来型の施工 脱水ケーキの利用 施工の効率化 品質確保 ICT 施工 (H23 試行件数 :3 工事削減量合計約 27t-CO2) 濁水処理施設より排出された脱水ケーキを現場内で再利用することで建設副産物の活用を図ると伴に 土砂の掘削や運搬に要する燃料を削減し CO 2 排出削減に寄与する 施工時間短縮 脱水ケーキの盛土施工状況 骨材運搬管理システム (H23 試行件数 :1 工事削減量約 0.5t-CO2) 骨材運搬用ダンプトラックに非接触式電子的情報交換システムの IC タグを搭載し 情報伝達機能で骨材運搬を管理するシステムである 骨材誤投入防止による品質管理の向上 無人化による安全性の向上が図られる また 各設備付近での待機時間を短縮することで 骨材運搬のサイクルタイム短縮を図り CO 2 排出削減に寄与する 中温化アスファルト混合物の使用 (H23 試行件数 :3 工事総減量合計約 3t-CO2 ) 通常のアスファルト混合物に比べて製造時の温度が 20~30 低い中温化アスファルト混合物を使用することにより CO 2 排出削減に寄与する 中温化アスファルトの施工状況 6
平成 23 年度までに取り組まれた先進的取組事例の紹介 ( その 2) 工法の選定や運搬計画の変更 機械の選定等による CO2 削減方策などの先進的取組による削減活動を実施した場合は CO2 削減量を別途算出します 先進的取組事例については 環境家計簿の手引き 第 3 章に掲載しております 防寒養生の工夫 (H23 試行件数 :7 工事削減量合計約 5t-CO2) 寒中コンクリート施工時の防寒養生において パネルや高保温性のシートを使用することにより熱損失量を抑えることで保温のための燃料消費量を削減する 養生時の燃料削減により CO 2 排出削減に寄与する ハイブリッド機械の導入 (H23 試行件数 :22 工事削減量合計約 29t-CO2) バックホウ等の作業機械をハイブリッド仕様に変更することにより 燃料消費量を低減し CO 2 排出削減に寄与する パネル敷設状況 シート敷設作業状況 ソーラーパネル等の利用 (H23 試行件数 :73 工事削減量合計約 120t-CO2) 工事用電光標識に使用する電力を 発動機や仮設電源の電力からソーラーパネルに変更し 燃料や電力使用量を削減し CO 2 排出削減に寄与する 風力発電機の使用 (H23 試行件数 :1 工事削減量約 0.01t-CO2) 現場事務所等に風力発電機を取り付け 電力をまかなうことで 電力使用量の低減を図り CO 2 排出削減に寄与する 現場の休憩所における設置状況 ( ソーラーパネル搭載型 ) 7
環境家計簿 の改善点と検討の方向 試行工事において 一定の二酸化炭素削減効果と現場の意識向上が見られたが 以下の改善を講ずることにより 取組が一層 浸透 定着するよう取組を充実させる予定 [ 改善点 ] 1 先進的取組などの事例の充実 H23 アンケートにおいて事例の充実要望があり H24 の試行により詳細な事例情報を収集整理し 分類方法など工夫のうえ 手引きに反映する予定 2 受注者の参考となるデータ 今後の展開に必要なデータの収集 分析 初期コスト ランニングコスト 施工性 安全性など阻害要因に関するアンケート項目を設けるとともに 工種別のデータを収集し これらを整理 分析することで今後の展開に反映する予定 3 現場からの改善意見の反映 講習会の企画 即時性のある現場への還元 実効性のある PR 方法など現場での取組を効果的に行うための環境整備の検討を行う [ 検討の方向 ] 上記改善による取組内容の充実と一般化に向けた検討 次年度以降の取組充実に向け 手引きを改訂する 試行工事の決定にあたり 選択制を導入するなど一般化を視野に入れ検討する 資材調達段階なども含めた集計方法 説明力の確保 ( いいとこ取りの排除 ) 工期全体の排出量や削減量の推計手法など 継続して検討する 8
参考 シンボルマークを活用した広報 講習会など 環境家計簿のシンボルマーク 省エネ運転講習会の開催状況 環境家計簿説明会の開催状況 環境家計簿の取組の詳細については北海道開発局 HP をご覧下さい http://www.hkd.mlit.go.jp/zigyoka/z_jigyou/gijyutu/kankyokakeibo.html 北海道開発局トッフ ヘ ーシ >> 防災 技術 機械 電気通信 >> 環境家計簿 9