国民健康保険、後期高齢者医療及び介護保険に係る保険料の還付の促進及び還付加算金の取扱いの改善(あっせん)

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老発第    第 号

個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進(概要)

事務連絡(平成30年大阪府北部を震源とする地震)

報道資料

第99回行政苦情救済推進会議 付議資料

保育所に入所できないことを事由とする育児休業手当金の延長要件の見直し(地方公務員の「パパ・ママ育休プラス」の場合)(あっせん)

記 1 標準報酬月額の決定に係る制度の概要 (1) 定時決定保険者等 ( 被保険者が 全国健康保険協会が管掌する健康保険の被保険者である場合は厚生労働大臣 健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合は当該健康保険組合をいう 以下同じ ) は 健康保険法 ( 大正 11 年法律第 70 号 )

過納金とは 納付納入の時にはそれに対応する租税債務が存在していたが 結果的に不適法な納付納入となった場合における地方公共団体の徴収金のことであり 1 納付納入の時には一応適法であったものが その申告 更生 決定又は賦課決定が誤って過大にされていたため 後になって減額更正 減額の賦課決定又は賦課決定の

表紙 雛形(都道府県、市町村、関係団体)介護保険計画課

老発第    第 号

【通知】海外療養費・出産育児一時金の支給の適正化に向けた対策等について

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別紙 ( 国内における臓器等移植について ) Q1 一般の移送費の支給と同様に 国内での臓器移植を受ける患者が 療養の給付を受けるため 病院又は診療所に移送されたときは 移送費の支給を行うこととなるのか 平成 6 年 9 月 9 日付け通知の 健康保険の移送費の支給の取扱いについて ( 保険発第 1

Microsoft Word - 表紙 雛形(保険者入り)高齢者支援課180320

事務連絡 平成 30 年 7 月 31 日 各県民局健康福祉部健康福祉課御中 保健福祉部長寿社会課 高額介護合算療養費及び高額医療合算介護 ( 介護予防 ) サービス費の支給決定手続に 係る情報連携の本格運用の開始に当たっての事務の取扱いの方針について このことについて 平成 30 年 7 月 30

事務連絡平成 23 年 6 月 1 日 都道府県民生主管部 ( 局 ) 国民健康保険主管課 ( 部 ) 都道府県総務主管部 ( 局 ) 市区町村主管課 御中 厚生労働省保険局国民健康保険課総務省自治税務局市町村税課 東日本大震災により被災した被保険者に係る国民健康保険料 ( 税 ) の減免に対する財

老高発 0713 第 1 号 平成 30 年 7 月 13 日 各都道府県介護保険主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省老健局高齢者支援課長 ( 公印省略 ) 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について の一部改正について 今般 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について (

資料2-1(国保条例)

起案

01 鑑文

「公的年金からの特別徴収《Q&A

48

長は 特措法第 39 条第 1 項に規定する地域福利増進事業等を実施しようとする区域内の土地の土地所有者等の探索に必要な限度で その保有する同項に規定する土地所有者等関連情報を その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができることとなります ( 特措法第 39 条第

茨城厚生年金事案 2029 第 1 委員会の結論総務大臣から平成 24 年 10 月 10 日付けで行われた申立人の年金記録に係る苦情のあっせんについては 同日後に新たな事実が判明したことから 当該あっせんによらず 申立人のA 社における資格喪失日に係る記録を昭和 41 年 9 月 5 日に訂正し

健康保険及び厚生年金保険の滞納保険料に過誤納付が判明した場合の延滞金の取扱い(概要)-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-

表紙 雛形(都道府県、市町村、関係団体)介護保険計画課

すまい給付金事業の概要 1 消費税率引上げへの対応 平成 26 年 4 月 1 日からの消費税率の 5% から 8% への引上げに合わせて 消費税率の引上げの前後における駆け込み需要及びその反動等による影響が大きいことを踏まえ 一時の税負担の増加による影響を平準化する観点等から 平成 25 年度税制

高齢者医療制度に関する

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( 以下 対象者 という ) が健康保険法第 106 条の規定に基づく出産育児一時金の支給を受ける旨の意思表示をしたときは 健康保険の保険者が当該対象者に対して出産育児一時金の支給を行うものである また 健康保険の保険者は この法律の規定の趣旨を踏まえ 被保険者がその意思に基づき 保険給付を受けるこ

【事務連絡】「高額療養費制度の見直しに関するQ&A」の送付について

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【別紙】リーフレット①

保保発 0607 第 1 号 保国発 0607 第 1 号 平成 24 年 6 月 7 日 全国健康保険協会理事長 都道府県民生主管部 ( 局 ) 国民健康保険主管課 ( 部 ) 長 御中 厚生労働省保険局保険課長 厚生労働省保険局国民健康保険課長 健康保険法第 106 条の規定に基づく出産育児一時

各種健診等の連携についての考え方 一現行制度における各種健診等の連携. 基本健診において生活機能評価を同時実施 () 現在 老人保健法において 65 歳以上の対象者については 生活機能評価を基本健診において同時に実施するよう求めている 同時実施は 本人の利便性 受診率の向上 検査重複の回避に資する

番号制度の実施に伴う社会保障関係システムの改修について 国 都道府県 市町村 市町村 医療保険者等 システム名 社会保険オンラインシステム 労災行政情報管理システム ハローワークシステム 障害者福祉システム 児童福祉システム 生活保護システム 国民年金システム 国民健康保険システム 後期高齢者医療シ

08_個人住民税賦課関連事務_H3006_xlsx

特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 2 個人住民税関係事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 高島市は 個人住民税関係事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり 特定個人情報ファイルの取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を及ぼしか

第110回行政苦情救済推進会議 付議資料

特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 3 個人住民税に関する事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 羽島市は 個人住民税に関する事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり 特定個人情報ファイルの取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を

の両方を提出する必要がある 問 3 還付額は 領収証に記載されている金額を還付するのか それともレセプト情報から自己負担分を計算するのか 領収証により保険診療に係る一部負担金の額を確認して還付する 問 4 領収証の紛失 または医療機関等の全壊等により 対象の被保険者が負担した一部負担金の額の確認が取

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総務省四国行政評価支局 ( 局長秦博之 ) に マル優郵便貯金申込書に記載した氏名の字が 戸籍上の字と違っているとして マル優郵便貯金の非課税扱いを取り消されたことに納得できない とする高齢者の苦情が3 件寄せられた 当局では これら個別事案の解決と 四国管内での広域的な改善を図るため 民間有識者で

第6 北海道国民健康保険調整交付金

特別調整交付金のうち 非自発的失業財政負担増特別交付金 ( 以下 失業特別交付 金 という ) は 国民健康保険の調整交付金の交付額の算定に関する省令 ( 昭和 38 年 厚生省令第 10 号 ) 第 6 条第 12 号に規定する その他特別な事情がある場合に別に定める 額 とされているものであり

PowerPoint プレゼンテーション

起 案 書

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別添 保発 1216 第 4 号平成 28 年 12 月 16 日 全国健康保険協会理事長殿 厚生労働省保険局長 ( 公印省略 ) 出産育児一時金等の支給申請及び支払方法について の一部改正について 出産育児一時金及び家族出産育児一時金 ( 以下 出産育児一時金等 という ) の直接支払制度の取扱い

時効特例給付制度の概要 制度の概要 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律 ( 平成 19 年 7 月 6 日施行 ) に基づき 年金記録の訂正がなされた上で年金が裁定された場合には 5 年で時効消滅する部分について 時効特例給付として給付を行うこととされた 法施行前

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別添 一部負担金減免の実施に係る減免額の特別調整交付金による補填に関する Q&A ( 平成 23 年 2 月 ) Q1 平成 22 年 9 月 13 日付け事務連絡 一部負担金減免 保険者徴収に関する Q&A について 別添 一部負担金減免 保険者徴収に関する Q&A ( 以下 Q&A と いう )

- 2 - り 又は知り得る状態であったと認められる場合には この限りでない 2~7 略 (保険料を控除した事実に係る判断)第一条の二前条第一項に規定する機関は 厚生年金保険制度及び国民年金制度により生活の安定が図られる国民の立場に立って同項に規定する事実がある者が不利益を被ることがないようにする観

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税の申告説明会を行うこととし その開催方法 時期等については 地区税務協議会等において事前に十分協議を行うこととする イ 税務広報の推進 国及び都道府県は 市 ( 区 ) 町村の協力を得ながら 広報誌等各種広報媒体の活用 広報資料の窓口への備付け等により 消費税 地方消費税の広報宣伝を行うこととし

特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 4 個人住民税賦課事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 三条市は 個人住民税賦課事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり 特定個人情報ファイルの取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を及ぼしか

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が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

議案用 12P

1 2

青森国民年金事案 697 第 1 委員会の結論申立人の昭和 51 年 9 月から 54 年 3 月までの国民年金保険料については 納付していたものと認めることはできない 第 2 申立の要旨等 1 申立人の氏名等氏名 : 男基礎年金番号 : 生年月日 : 昭和 25 年生住所 : 2 申立内容の要旨申

特定健康診査及び特定保健指導に係る自己負担額の医療費控除の取扱いの一部変更について(厚生労働省健康局長、保険局長:H )


2 た金額の百分の三十に相当する金額によるものとする )の合算額がた金額の百分の三十に相当する金額によるものとする )の合算額が地方税法第三百十四条の二第二項に規定する金額にその世帯に属する地方税法第三百十四条の二第二項に規定する金額にその世帯に属する被保険者の数と特定同一世帯所属者の数の合計数に五

7 固定資産税に関する事務 基礎項目評価書

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表紙 雛形(都道府県、市町村、関係団体)3課連名

厚生局受付番号 : 東北 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 東北 ( 国 ) 第 号 第 1 結論昭和 52 年 4 月から同年 8 月までの請求期間及び昭和 52 年 9 月から昭和 56 年 12 月までの請求期間については 国民年金保険料を納付した期間に訂

特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 7 鳥取市個人住民税事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 鳥取市は個人住民税事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり, その取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を及ぼしかねないことを認識し,

国立大学授業料の納付方法の拡大(あっせん)

第 3 条条例第 3 条第 2 項第 2 号の所得割の額 ( 以下 所得割の額 という ) の算定は 次の各号に掲げる場合に応じ 当該各号に定める方法により行うものとする (1) 地方税法第 314 条の7 並びに附則第 5 条の4 第 6 項及び第 5 条の4の2 第 6 項の規定による控除をされ

年管管発第 1026 第 2 号平成 24 年 10 月 26 日 地方厚生 ( 支 ) 局年金調整 ( 年金管理 ) 課長殿 厚生労働省年金局事業管理課長 ( 公印省略 ) 生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について ( 通知 ) に基づく保護を受けている外国人の国民年金保険料免除の申請の

1 検査の背景 (1) 日本年金機構における個人情報 情報システム及び情報セキュリティ対策の概要厚生労働省及び日本年金機構 ( 以下 機構 という ) は 厚生年金保険等の被保険者等の基礎年金番号 氏名 保険料の納付状況等の個人情報 ( 以下 年金個人情報 という ) について 社会保険オンラインシ

☆表紙・目次 (国会議員説明会用:案なし)

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国民健康保険料の減額・減免等

02【通知案】年管管発 第号(周知・機構宛)

スライド 1

「配偶者からの暴力を受けた被扶養者の取扱い等について」の一部改正について

(1) 理由付記等

第 5 章国税の還付及び還付加算金 第 5 章国税の還付及び還付加算金 第 1 節国税の還付 学習のポイント 1 国税の還付金等とはどのようなものか 2 充当とはどのようなものか 1 還付金等の種類国税の還付には 還付金の還付と過誤納金の還付の二種類があり 還付金と過誤納金を併せて還付金等という (

1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

ただし 森林の土地の所有権の取得と併せて 当該森林について法第 10 条の2の規定に基づく開発行為の許可を受けて他の用途へ転用する場合など 地域森林計画の対象とする森林から除外されることが確実であるときは 届出書の提出を要さないものとして運用して差し支えない (2) 土地の所有者となった日届出書の提

老人医療給付費等の国庫負担(補助)について

特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 5 国民年金関係事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 亀山市は 国民年金関係事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり 特定個人情報ファイルの取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を及ぼしかねな

<4D F736F F D D87817A8DDD F189FC92E893C197E192CA926D82CC88EA959489FC90B32E646F6378>

標準例6

Microsoft Word - 【施行】180406無低介護医療院事業の税制通知

0 表紙

Microsoft PowerPoint 寄附金控除制度概要.ppt

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

厚生局受付番号 : 近畿 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 近畿 ( 厚 ) 第 号 第 1 結論請求者のA 社における平成 26 年 8 月 25 日及び同年 12 月 25 日の標準賞与額を 150 万円に訂正することが必要である 平成 26 年 8 月 2

【⑨】固定資産税の税額更正に伴う山口市国民健康保険料等過誤納返還金支払事務要領(26_4_1)

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平成30 年大阪府北部を震源とする地震による被災者に係る被保険者証等の提示等について(厚生労働省保険局医療課:H )

Transcription:

総評相第 111 号 平成 28 年 6 月 24 日 厚生労働省老健局長保険局長 殿殿 総務省行政評価局長 国民健康保険 後期高齢者医療及び介護保険に係る保険料の還付の促進及び還付加算金の取扱いの改善 ( あっせん ) 当省では 総務省設置法 ( 平成 11 年法律第 91 号 ) 第 4 条第 1 項第 15 号に基づき 行政機関等の業務に関する苦情の申出につき必要なあっせんを行っています この度 当省に対し 母の後期高齢者医療の保険料について 所得税や地方税と同様に過去 5 年間分について遡及して還付してほしい との申出と 保険料の還付加算金は これを受ける権利の消滅時効は 5 年であるが 2 年と解している市がある との申出がありました これらの申出を受け 当省は 国民健康保険 後期高齢者医療及び介護保険の 3 つの保険制度の平成 26 年度までに賦課決定された保険料のうち減額賦課事由が生じている場合の減額賦課の取扱状況について 抽出した市町村及び全国 47 の都道府県後期高齢者医療広域連合 ( 以下 広域連合 という ) に確認しました その結果 3 つの保険制度のいずれについても 地方税の税額を減少させる賦課決定が地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 ) の規定により 5 年以内とされていることから 5 年程度は遡及して減額賦課すべきところを 2 年と解して減額賦課しているところがみられました また 3 つの保険制度ともに 還付加算金は 消滅時効を 5 年として加算することとされているにもかかわらず 抽出調査した市町村の中には 2 年と解して加算しているところがみられました これらについて 総務大臣が開催する行政苦情救済推進会議において民間有識者の意見を聴取するなどにより検討した結果 当省としては 3 つの保険制度の保険料に関し ⅰ) 平成 26 年度までに賦課決定された保険料のうち減額賦課事由が生じているものについては いずれの市町村及び広域連合においても適正に減額賦課され 過徴収の保険料が還付されるようにする必要がある ⅱ) 還付加算金については いずれの市町村においても 消滅時効を 5 年として適正に加算されるようにする必要があると考えます ついては 貴省において 下記を踏まえ必要な措置を御検討ください なお これに対する貴省の措置結果について 平成 28 年 9 月 30 日までにお知らせください 1

記 1 保険料の還付の取扱い (1) 制度の概要国民健康保険 後期高齢者医療及び介護保険の 3 つの保険制度それぞれの平成 26 年度までに賦課決定された保険料について減額賦課事由が生じている場合 国民健康保険及び介護保険では保険者である市町村が 後期高齢者医療では運営主体である広域連合が減額賦課し 過徴収となっている保険料 ( 過誤納金 ) を還付する必要がある その場合 遡及して減額賦課しなければならない期間について 3 つの保険制度では それぞれ 次のとおり取り扱うことが厚生労働省から示されており いずれも 地方税の税額を減少させる賦課決定が地方税法の規定により 5 年以内とされていることから 5 年程度は遡及して減額賦課することとなる 1 国民健康保険 国民健康保険質疑応答集 ( 平成 17 年 ) において 国民健康保険税を減額賦課する期間が 5 年であることに鑑み 徴収権の時効期間経過後であっても減額更正を行うのが妥当である とされている 2 後期高齢者医療 保険料賦課額の減額等に係る取扱いについて ( 平成 26 年 8 月 5 日付け保高発 0805 第 1 号都道府県後期高齢者医療主管課 ( 部 ) 長 都道府県後期高齢者医療広域連合事務局長宛て厚生労働省保険局高齢者医療課長通知 以下 厚生労働省高齢者医療課長通知 という ) において 減額更正を行う場合は期間の制限なく更正できる とされている 3 介護保険 保険料賦課額の減額等に係る取扱いについて ( 平成 25 年 6 月 14 日付け老介発 0614 第 2 号都道府県介護保険療主管部 ( 局 ) 長宛て厚生労働省老健局介護保険計画課長通知 以下 厚生労働省保険計画課長通知 という ) において 保険料を徴収する権利の消滅時効の 2 年を超えて 遡って保険料賦課額を減額できる なお 地方税の課税標準又は税額を減少させる賦課決定は 地方税法の規定により 5 年以内とされていることから この場合は 5 年程度遡った減額が想定されることとなる とされている なお 3 つの保険制度ともに 平成 27 年度以降に賦課決定された保険料については 平成 26 年 6 月に改正された関係法において 賦課権に 2 年間の期間制限が設けられている 2

(2) 当局の調査結果 ア平成 26 年度までの保険料の減額賦課の取扱い 当局が 3 つの保険制度の平成 26 年度までに賦課決定された保険料のうち 減額賦課事由が生じている保険料の減額賦課の取扱いについて 国民健康保 険は 20 市町村 ( 注 1) を 介護保険は 22 市町村 ( 注 2) をそれぞれ抽出して 後期高齢者医療は全国の 47 広域連合全てを対象に調査した その結果 平 成 27 年 8 月 1 日時点において 次のとおり 3 つの保険制度のいずれについ ても 減額賦課事由が生じている保険料については 5 年程度は遡及して減 額賦課されなければならないが 2 年と解して減額賦課が行われているとこ ろがあった ( 表 1 参照 ) ( 注 )1 抽出した 22 市町村のうち 国民健康保険について国民健康保険税としている 2 市町村を除く 20 市町村である ( 注 )2 介護保険の 22 市町村には 複数の市町村で構成される広域連合が含まれており これも 1 市町村と数えている 1 国民健康保険 抽出した 20 市町村のうち 6 市町村では 減額賦課事由が生じている保 険料について 遡及期間を少なくとも 5 年として減額賦課され 過徴収と なっている保険料が還付されているが 14 市町村では遡及期間を 2 年と解 して減額賦課されていた 2 後期高齢者医療 47 広域連合のうち 44 広域連合では 減額賦課事由が生じている保険料 について 遡及期間を少なくとも 5 年として減額賦課され 過徴収となっ ている保険料が還付されているが 3 広域連合では遡及期間を 2 年と解し て減額賦課されていた 3 介護保険 抽出した 22 市町村のうち 2 市町村では 減額賦課事由が生じている保 険料について 遡及期間を少なくとも 5 年として減額賦課され 過徴収と なっている保険料が還付されているが 20 市町村では遡及期間を 2 年と解 して減額賦課されていた 3

表 1 調査した市町村及び広域連合における平成 26 年度までに賦課決定された保険 事項 料に減額賦課事由が生じている場合の減額賦課の取扱状況 保険制度別 遡及期間を少なくとも 5 年 として減額賦課 遡及期間を 2 年と解して減 額賦課 ( 単位 : 団体 %) 国民健康保険後期高齢者医療介護保険 6(30.0) 44(93.6) 2 ( 9.1) 14(70.0) 3 ( 6.4) 20(90.9) 計 20 ( 100) 47 ( 100) 22 ( 100) ( 注 )1 当局の調査結果に基づき作成した ( 注 )2 国民健康保険については 国民健康保険税としている 2 市町村を除いている ( 注 )3 平成 27 年 8 月 1 日現在の数である ( 注 )4 ( ) は 構成比である イ遡及期間を 2 年と解して減額賦課している理由 ( ア ) 国民健康保険抽出した 20 市町村のうち 14 市町村は 平成 26 年度までに賦課決定された保険料に減額事由が生じた場合の減額賦課の遡及期間を 2 年と解して減額賦課しているが その理由は ⅰ) 厚生労働省が平成 17 年の 国民健康保険質疑応答集 において示した取扱いを承知していなかったこと (8 市町村 ) 及び ⅱ) 保険料の徴収権の時効 (2 年 ) の規定 ( 国民健康保険法 ( 昭和 33 年法律第 192 号 ) 第 110 条第 1 項 ) を援用できると誤解していたこと (12 市町村 ) のいずれか又はその両方である また これら 14 市町村のうち 13 市町村では 仮に 2 年を超えて遡及して減額賦課する場合には 既存の国民健康保険に係る被保険者の資格管理や保険料の賦課 徴収等の事務を電算で処理するためのシステム ( 以下 国民健康保険システム という ) の改修が必要であるとしている しかし 13 市町村では いずれもその具体的な検討が行われていない このため 改修の規模や経費については不明である ( イ ) 後期高齢者医療平成 26 年度までに賦課決定された保険料に減額事由が生じた場合の減額賦課の遡及期間を 2 年と解して減額賦課している 3 広域連合では そのような取扱いとしている理由として 次のことを挙げている 1 既存の後期高齢者医療に係る被保険者の資格管理や保険料の賦課 徴収等の事務を電算で処理するためのシステム ( 以下 後期高齢者医療シス 4

テム という ) では 2 年を超えて遡及して減額賦課できないので システムの改修が必要となること (2 広域連合 ) 2 当広域連合に加入している市町村のうち 人口規模が大きい 3 市については 市町村の後期高齢者医療に関する事務 ( 市町村が保有する情報から被保険者等の所得 課税情報を抽出し広域連合に提供 保険料の徴収 ) を電算で処理するためのシステム ( 以下 市町村の後期高齢者医療システム という ) では 2 年を超えて遡及して減額賦課が必要な者を抽出できないこと (1 広域連合 ) 一方 それら 3 市のうち 2 市では 広域連合から要請があれば 2 年を超えて遡及して減額賦課が必要な者を抽出し 当該者に係る所得情報を提供するよう対応したいとしている ( ウ ) 介護保険抽出した 22 市町村のうち 20 市町村は 平成 26 年度までに賦課決定された保険料に減額事由が生じた場合の減額賦課の遡及期間を 2 年と解して減額賦課しているが その理由は 平成 25 年 6 月 14 日付けの厚生労働省保険計画課長通知を受けたにもかかわらず 2 年を超えて遡及して減額賦課する必要はないと認識していたことによるものである また これら 20 市町村のうち 19 市町村では 仮に 2 年を超えて遡及して減額賦課する場合には 既存の介護保険に係る被保険者の資格管理や保険料の賦課 徴収等の事務を電算で処理するためのシステム ( 以下 介護保険システム という ) の改修が必要であるとしている しかし 19 市町村では いずれもその具体的な検討は行われていない このため 改修の規模や経費については不明である ウ減額賦課事由が生じている保険料について工夫して対応している例 ( ア ) 国民健康保険平成 26 年度までに賦課決定され減額賦課事由が生じている保険料について 5 年程度は遡及して減額賦課している 6 市町村の中には 次のとおり 手作業と既存の国民健康保険システムとの組合せにより対応している例がある A 市では 平成 25 年度から 減額賦課について 2 年を超えて遡及して行うこととし 毎月 同市住民税部局から全市民の所得異動情報を入手し 当該情報から ⅰ) 国民健康保険料の減額賦課が必要な対象者を抽出し ⅱ) 対象者の所得情報を国民健康保険システムに入力し 減額賦課している ( 平成 26 年度の所得異動情報約 1,000 件のうち 2 年を超え 5

て遡及して減額賦課した件数は 11 件 ) なお A 市では 2 年を超えて遡及して減額賦課する取扱いをするために 新たな費用は生じていないとしている ( イ ) 後期高齢者医療平成 26 年度までに賦課決定され減額賦課事由が生じている保険料について 5 年程度は遡及して減額賦課している 44 広域連合の中には 次のとおり 手作業と既存の後期高齢者医療システムとの組合せにより対応している例がある 1 B 広域連合では 既存の後期高齢者医療システムと手作業とを組み合わせて減額賦課している また B 広域連合では 各都道府県の広域連合の後期高齢者医療システムは同一であり 他の広域連合でも同様の対応が可能であるとしている 2 C 広域連合では 加入している市町村に対し 平成 20 年度以降に賦課決定した保険料のうち 2 年を超えて遡及して減額賦課が必要な保険料の納付義務者等の所得異動情報を提供するよう要請し 市町村から得た当該情報を基に既存の後期高齢者医療システムと手作業とを組み合わせて減額賦課している また 要請を受けたD 市では 既存の市町村の後期高齢者医療システムでは対応できないことから 同市住民税部局から平成 19 年以降の全住民の所得異動情報を入手し 手作業で対象者を抽出し C 広域連合に情報提供している ( ウ ) 介護保険平成 26 年度までに賦課決定され減額賦課事由が生じている保険料について 5 年程度は遡及して減額賦課している 2 市町村では 次のとおり それぞれ介護保険システムを改修して 又は手作業と既存の介護保険システムとの組合せにより対応している 1 E 市は 減額賦課事由が生じている保険料について 2 年を超えて遡及して減額賦課できるよう 平成 26 年度に介護保険システムを改修 ( 費用約 1,400 万円 ) して対応している 2 F 市では 既存の介護保険システムと手作業とを組み合わせて減額賦課している 具体的には 同市住民税部局から 毎月全市民の所得異動情報を紙媒体で入手し 当該情報から ⅰ) 介護保険料の減額賦課が必要な対象者を抽出 ⅱ) そのうち介護保険システムで既に減額賦課されている者を 6

除外し 減額賦課している ( 平成 26 年度の所得異動情報約 6 万件のうち 2 年を超えて遡及して減額賦課した件数は 25 件 ) なお F 市では 2 年を超えて遡及して減額賦課する取扱いをするために新たな費用は生じていないとしている 2 保険料を還付する場合の還付加算金の取扱い (1) 還付加算金に係る規定等 3 つの保険制度ともに 保険料が減額賦課された場合に過徴収となっている保険料 ( 過誤納金 ) については 地方税法第 17 条の規定に基づき遅滞なく還付することとされている また その際 同法第 17 条の 4 の規定に基づき 還付すべき金額に年 7.3% の割合を乗じて計算した金額 ( 以下 還付加算金 という ) を加算することとされている 厚生労働省は 還付加算金の消滅時効については これまで市町村からの照会に対して 地方自治法 ( 昭和 22 年法律第 67 号 ) 第 236 条第 1 項の規定により 保険料が納付された日の翌日から 5 年とする解釈を示している 還付加算金を計算する場合の起算日については 平成 24 年 6 月以降において 個人住民税を還付する場合の還付加算金の起算日の適用に誤りがあるとの報道を受け 全国の市町村において平成 25 年度から 26 年度にかけて個人住民税や 3 つの保険制度の保険料等の還付加算金の起算日の適用の誤りの有無に関する自主的な調査 ( 以下 還付加算金の起算日適用誤り調査 という ) が行われた その結果 誤りが判明し 未払いとなっている還付加算金については 還付される措置が講じられた (2) 保険料の過誤納金の還付における還付加算金の取扱いの是正ア時効期間の解釈今回 当局が 3 つの保険制度の保険料の減額賦課の取扱いについて抽出して調査した市町村における保険料の還付加算金の取扱いをみたところ 還付加算金の消滅時効について 5 年とすべきところを 2 年と解し加算している市町村が それぞれ次のとおりみられた ( 表 2 参照 ) 1 国民健康保険については 20 市町村のうち 5 年としているものが 11 市町村ある一方 2 年と解しているものが 9 市町村ある 2 後期高齢者医療については 22 市町村のうち 5 年としているものが 20 市町村ある一方 2 年と解しているものが 2 市町村ある 3 介護保険については 22 市町村のうち 5 年としているものが 9 市町村ある一方 2 年と解しているものが 13 市町村ある 7

表 2 抽出調査した市町村における還付加算金の消滅時効の取扱い ( 単位 : 市町村 % ) 保険制度別 還付加算金 国民健康保険 後期高齢者医療 介護保険 の消滅時効 2 年と解している市町村 9 (45.0) 2 ( 9.1) 13 (59.1) 5 年としている市町村 11 (55.0) 20 (90.9) 9 (40.9) 計 20 ( 100) 22 ( 100) 22 ( 100) ( 注 )1 当局の調査結果に基づき作成した ( 注 )2 平成 27 年 8 月 1 日現在の数である ( 注 )3 ( ) は構成比である イ還付加算金の起算日適用誤り調査における時効期間の適用状況全国の市町村において行われた還付加算金の起算日適用誤り調査の結果をみると 適用の誤りがあった市町村は ⅰ) 国民健康保険では 当局が抽出調査した 20 市町村のうちの 9 市町村 ⅱ) 後期高齢者医療では 同 22 市町村のうちの 10 市町村 ⅲ) 介護保険では 同 22 市町村のうちの 14 市町村であった また これら適用の誤りがあった市町村が還付加算金の起算日適用誤り調査において遡及して調査した期間をみると 本来遡及すべき 5 年ではなく 2 年以上 3 年未満としていた市町村が ⅰ) 国民健康保険では 9 市町村のうち 6 市町村 ⅱ) 後期高齢者医療では 10 市町村のうち 4 市町村 ⅲ) 介護保険では 14 市町村のうち 5 市町村あった ( 表 3 参照 ) 一方で 遡及して調査した期間を 5 年以上としている市町村の中には 当初は 2 年以上 3 年未満しか遡及して調査していなかったが 還付加算金を受ける権利の消滅時効が 5 年であると判明したため 改めて 5 年を対象として再調査している市町村もみられる ( 国民健康保険が 2 市町村 後期高齢者医療が 3 市町村 介護保険が 3 市町村 ) 8

表 3 還付加算金の起算日適用誤り調査で適用誤りが判明した市町村における遡及調査期間 ( 単位 : 市町村 %) 遡及調査期間 保険制度別 国民健康保険後期高齢者医療介護保険 2 年以上 3 年未満 6 (66.7) 4 (40.0) 5 (35.7) 5 年以上 3 (33.3) 6 (60.0) 9 (64.3) 計 9 ( 100) 10 ( 100) 14 ( 100) ( 注 )1 当局の調査結果に基づき作成した ( 注 )2 平成 27 年 8 月 1 日現在の数である ( 注 )3 ( ) は構成比である 3 改善の必要性市町村及び広域連合における上記 1 の保険料の減額賦課の取扱い及び上記 2 の保険料を還付する場合の還付加算金の取扱いについて 行政苦情救済推進会議において検討した結果 次の意見があった 1 介護保険の保険料を減額賦課する場合には 原則として期間制限に服さないとする大阪高等裁判所の判決が平成 25 年 5 月に確定しており ( 介護保険料減額更正請求事件 ) この判決の趣旨も踏まえ 3 つの保険制度の 26 年度までに賦課決定され減額賦課事由が生じている保険料については 5 年程度は遡及して減額賦課され 過徴収となっている保険料 ( 過誤納金 ) が納付義務者に適正に還付されるよう 厚生労働省は 市町村及び広域連合に改めて周知を図る必要がある その際 それぞれの保険制度について 減額賦課事由が生じている保険料の還付が適切に行われている市町村又は広域連合の中には 保険料の徴収 還付等の事務に係るシステムを改修することなく それぞれの市町村の実情に応じて工夫して取り組んでいるところがあり そのような取組例が参考とされる必要がある 2 3 つの保険制度の保険料の還付加算金については 消滅時効を 5 年として加算しなければならないことを厚生労働省は市町村に周知する必要がある この行政苦情救済推進会議の意見を踏まえ 当省が検討した結果 国民健康保険 後期高齢者医療及び介護保険の 3 つの保険制度の保険料に関し 厚生労働省は 次の措置を講ずる必要がある 9

1 平成 26 年度までに賦課決定された保険料のうち減額賦課事由が生じている保険料については いずれの市町村及び広域連合においても 5 年程度遡及して適正に減額賦課され 過徴収の保険料が還付されるよう改めて周知すること 2 還付加算金については いずれの市町村においても 消滅時効を 5 年として適正に加算するよう周知すること 10