<4D F736F F F696E74202D F837C2E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

Similar documents
報告書本文

活動状況調査

寄附文化の醸成に係る施策の実施状況 ( 平成 26 年度に講じた施策 ) 別紙 1 < 法律 制度改正 > 総務省 ふるさと納税の制度拡充 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 学校法人等への個人寄附に係る税額控除の要件の緩和 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 特例控除の上限の引上げ

公益法人の寄附金税制について

市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

学生確保の見通し及び申請者としての取組状況

平成18年度標準調査票

CSR(企業の社会的責任)に関するアンケート調査結果《概要版》

Microsoft Word - fcgw03wd.DOC

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

<4D F736F F F696E74202D A B837D836C CA48F435F >

市税に係る減免措置調査票 所属名 此花区役所 1 減免対象 市税の税目 ( 該当に 印 ) 減免内容 ( 該当条例等 ) 個人市民税 法人市民税 固定資産税 軽自動車税 事業所税 児童遊園の用に供する固定資産 条例第 4 条の 3 第 4 号規則 (1) 政策目的地域コミュニティの中核的組織として

により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地


<4D F736F F D208E968BC68E7792E88F9590AC D834F E6338AFA95E58F D80>

NPO法人会計基準の改正に関するポイント解説

発行 第 4 号まで各 2,000 部発行 NPO 団体 コミュニティとの交流 連携 スタッフ研修 中間支援団体の設立支援などを実施している 25 年度からは とめ市民活動プラザ を市に移管し とめ市民活動フォーラム を NPO 法人化した上で 市が NPO 法人とめ市民活動フォーラム に運営管理を

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

東京都江戸東京博物館

untitled

目次 1. 受入団体概要 2. 調査 研究活動内容 2-1 実施期間 2-2 活動目的及び背景 2-3 調査 研究内容と結果 2-4 分析 2-5 提言 3. 参考文献 添付資料 I. 平成 20 年度 NGO 専門調査員制度海外調査報告書 II. 同別添 1 調査票 ( 事前実施 ) III. 同

IR 活動の実施状況 IR 活動を実施している企業は 96.6% 全回答企業 1,029 社のうち IR 活動を 実施している と回答した企業は 994 社 ( 全体の 96.6%) であり 4 年連続で実施比率は 95% を超えた IR 活動の体制 IR 専任者がいる企業は約 76% 専任者数は平

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション

注 : 平成 年度募集研究種目 国際的に評価の高い研究の推進 研究費の規模 / 研究の発展 H には 新たに基盤研究 (B) 若手研究 (A) の 種目に基金化を導入 若手研究 9 歳以下 ~ 年 (A) 500~,000 万円 (B) ~500 万円 研究活動スタート支援 年以内年間 50 万円以

PowerPoint プレゼンテーション

非営利組織の経営

品質マニュアル(サンプル)|株式会社ハピネックス

J-SOX 自己点検評価プロセスの構築

事例 No. 具体的な工夫 ポイントた情報発信に加え ホームページの立ち上げや SNS の活用を検討している また マスコミからの取材申し入れは全て対応している フリーペーパーの発行や Facebook などの SNS といった多様な手段により広報を実 7 施 Web デザイナーが専門家として参加す

Microsoft Word 寄付アンケート記者報告.docx

<4D F736F F D20352D318FBC8CCB8E738DC58F F5495AA90CD816A5F8F4390B38CE3816A2E646F63>

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

1. はじめに 本格的な地方分権の時代を迎え 市民に最も身近な地方自治体は 市民ニーズに応じた政策を自ら意志決定し それを自己責任の下に実行することがこれまで以上に求められており 地方自治体の果たすべき役割や地方自治体に寄せられる期待は ますます大きくなっています このような市民からの期待に応えるた

12_15_中期計画表紙.ai

2018 年度下期助成概要 応募団体の規模や活動分野 領域は問いません 申請時に 団体概要 ( 活動内容や運営方法 ) について それぞれの団体でより広範に積極的な情報公開を行うことを求めます そのことが それぞれの団体の社会 的信用を高めるとともに 広く社会に向けて 活動を広げていく 礎になると考

ページ設定後の書式例

< F2D91DE E8BE08B8B D8790CF97A78BE082CC>

社会通信教育に関する実態調査 報告書

第19回環境NPOリーダー海外研修 報告書

資料 目 次 事業方針 実施計画 みんなで福祉の風土を広げよう 住民 関係機関 団体のネットワークで身近な福祉活動を進めよう 一人ひとりの安全で安心な暮らしを守ろう Ⅳ 推進基盤の強化 主な年間行事等

日本企業による国外での環境への取り組みに係る

新長を必要とする理由今回合理性の要望に設 拡充又は延⑴ 政策目的 資源に乏しい我が国にあって 近年 一層激しさを増す国際社会経済の変化に臨機応変に対応する上で 最も重要な資源は 人材 である 特に 私立学校は 建学の精神に基づき多様な人材育成や特色ある教育研究を展開し 公教育の大きな部分を担っている

介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

.

年末調整のしくみ


税制について

目次 アンケート回答者属性 企業向けアンケート 弁理士向けアンケートの回答者属性 P2 1. 標準化 1-1 企業 P3 1-2 弁理士 P7 2. データの取扱い 2-1 企業 P 弁理士 P14 本調査研究の請負先 : 株式会社サンビジネス 1

基本指針の概要 1 基本指針改定の趣旨近年 地域社会における社会的課題が多様化 複雑化する中 行政 企業 NPO 自治会などが互いに協力して課題解決に取り組み 地域社会をより住み良いものとしていくことが今後ますます重要となっています このため 従前の NPO 活動に関する基本指針 の基本的な考え方を

< 用語の解説 > 税額控除制度従来 公益社団法人及び公益財団法人への個人からの寄附金については 所得控除制度が適用されていたが 平成 23 年 6 月より 公益社団法人及び公益財団法人への個人からの寄附金について 寄附文化の醸成を図るため 税額控除制度が導入された 税額控除は 寄附金額を基礎に算出

従業員に占める女性の割合 7 割弱の企業が 40% 未満 と回答 一方 60% 以上 と回答した企業も 1 割以上 ある 66.8% 19.1% 14.1% 40% 未満 40~60% 未満 60% 以上 女性管理職比率 7 割の企業が 5% 未満 と回答 一方 30% 以上 と回答した企業も 1

チェック式自己評価組織マネジメント分析シート カテゴリー 1 リーダーシップと意思決定 サブカテゴリー 1 事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている 事業所が目指していること ( 理念 ビジョン 基本方針など ) を明示している 事業所が目指していること ( 理念 基本方針

PowerPoint プレゼンテーション

一次評価 担当課による自己評価 必要性 効率性 有効性 市民や社会のニーズを的確に捉えた事業か 民間事業者や市民が自ら実施することのできない事業か 目的 目標の達成手段として適切で 優先度の高い事業か 受益者との負担関係やは妥当な水準か 他の手段や方法とのコスト比較は十分行われているか コスト削減や

PowerPoint プレゼンテーション

文化庁平成 27 年度都道府県 市区町村等日本語教育担当者研修 2015 年 7 月 1 日 生活者としての外国人 に対する日本語教育の体制整備に向けた役割分担 日本語教育担当者が地域課題に挑む10のステップ よねせはるこ米勢治子 ( 東海日本語ネットワーク )


0-1表紙

スライド 1

お客様への約束 1. 安全の確保を最優先とします - 安全確保を最優先に 全てにおいて万全のコンディションでお客様をお迎えします 2. お客様の時間を大切にします - 欠航 遅延は最小限にします - やむを得ない場合は代替の移動手段の確保に努め お客様にご迷惑をおかけしないよう全力を尽くします -

二さらに現代社会においては 音楽堂等は 人々の共感と参加を得ることにより 新しい広場 として 地域コミュニティの創造と再生を通じて 地域の発展を支える機能も期待されている また 音楽堂等は 国際化が進む中では 国際文化交流の円滑化を図り 国際社会の発展に寄与する 世界への窓 にもなることが望まれる

下呂市は今後 市税の減収や地方交付税特例措置 の終了を見据え 大幅に支出をカットし 身の 丈に合った市政運営をしていかなければ なりません 広報紙 11月号参照 今月は支出をどう見直していく のか 予算規模縮減に向け たお話です 3 と 年度 は 前 下呂市の財政の弾力性を示す経 進む財政の硬直化

3. 助成対象活動 応募する事業は 以下の (1)~(2) の要件を全て満たしている必要があります (1) 静岡県における 障がい者のスポーツ支援活動 (2) これまでに実施されていない新しい事業 または 団体の既存の取組の課題等を改善するための事業 もしくは これまでの団体の取組を拡大した事業 応

<4D F736F F D F815B A BD90AC E93788E968BC695F18D E352E3135>

<4D F736F F D208ED089EF959F8E C82A082E482DD928692B78AFA8C7689E E358C8E816A2E646F63>

スミセイコミュニティスポーツ推進助成プログラム第 1 種 新規助成 応募企画書 応募企画書作成の手引き ( 応募企画書の後に 応募企画書作成の手引きが続きます ) 本用紙および手引きは 第 1 種助成 用です 第 2 種助成 にご応募の方は 第 2 種助成 用のデータをご覧ください 第 1 種応募用

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

用への助成を除くと 住宅に関する融資や助成制度等の情報提供の充実 との回答割合が高い( 子育て住み替え意識調査 ) 以上のことから 住宅が手狭であることを理由に市外へ転出する若い世代が相当数存在し また その傾向が強まっていることがうかがえる また 住み替え後は4LDKの間取りを中心とした持ち家 (

ISO9001:2015規格要求事項解説テキスト(サンプル) 株式会社ハピネックス提供資料

質問 1 11 月 30 日は厚生労働省が制定した 年金の日 だとご存じですか? あなたは 毎年届く ねんきん定期便 を確認していますか? ( 回答者数 :10,442 名 ) 知っている と回答した方は 8.3% 約 9 割は 知らない と回答 毎年の ねんきん定期便 を確認している方は約 7 割

. 次世代決済プラットフォームの構築 ネット決済 No. の GMO ペイメントゲートウェイ株式会社と 三井住友カード株式会社を中心としてリアル決済 No. のSMBCグループが 次世代決済プラットフォームの構築に向けた協議を開始 SMBCグループとしては新たな領域への参入となり 事業者にトータルな

3 参加しやすい工夫 ( 効果的な周知や会議運営 ( 開催時間 委員の構成等 ) の工夫 ) 4 名柳田委員 猪瀬委員 庄司委員 小橋委員 2 名関口副会長 高柴委員 1 名櫻井委員 関口副会長 パブリックの後の説明会 意見交換会の開催検討の方向性は 担当課の工夫がある 高柴委員 このバスを望んでい

地域包括ケアシステム

22222

Slide 1

< C8E C8E DA8E9F C95742E786C73>


25 周年を迎えたコミ協の新たな取組 について ( 報告 ) 20 周年に向けての見直し検討報告書 に明示された方策等の推進状況を企画総務部会で精査したところ そのほとんどが既に実施もしくは改善されていることがわかった ついては これらの事業は引き続き実施することとし 新たに 地域コミュニティ が抱

第3節 重点的な取り組み

2 マンション管理業界の課題マンション管理業界の課題理事会理事会理事会理事会とのとのとのとのコミュニケーションコミュニケーションコミュニケーションコミュニケーション管理員管理員管理員管理員とのとのとのとのコミュニケーションコミュニケーションコミュニケーションコミュニケーション学習学習学習学習 研磨研

⑴ 政策目的本件は, 我が国において開発資金のための国際連帯税 ( 国際貢献税 ) を導入し, 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ 等, 国際的な開発目標の達成に対応 貢献するために, 世界の開発需要に対応し得る幅広い開発資金を調達するもの これは, 外務省政策評価, 基本目標 Ⅵ 経済協

平成30年公認会計士試験

02 IT 導入のメリットと手順 第 1 章で見てきたように IT 技術は進展していますが ノウハウのある人材の不足やコスト負担など IT 導入に向けたハードルは依然として高く IT 導入はなかなか進んでいないようです 2016 年版中小企業白書では IT 投資の効果を分析していますので 第 2 章

地域子育て支援拠点事業について

<355F838A E837D836C B E696E6464>

女性の活躍促進や仕事と子育て等の両立支援に取り組む企業に対するインセンティブ付与等 役員 管理職等への女性の登用促進 М 字カーブ問題の解消には企業の取組が不可欠 このため 企業の自主的な取組について 経済的に支援する 経営上のメリットにつなぐ 外部から見えるようにし当該取組の市場評価を高めるよう政

<4D F736F F D20826D826F826E82D682CC88CF91F58E968BC682C982A982A982E DC58F4994C5816A2E646F63>

平成22 年 11月 15日

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F D E518D6C C A95CA93595F8CC2906C8FEE95F182CC8EE688B595FB906A816982D082C88C60816A2E646F6378>

人材育成 に関するご意見 1) 独立行政法人情報通信研究機構富永構成員 1 ページ 2) KDDI 株式会社嶋谷構成員 8 ページ 資料 7-2-1

受付番号 Panasonic NPO/NGO サポートファンド for SDGs [ 国内助成 ] 2019 年募集 新規助成応募企画書 ( 様式 1) パナソニック株式会社御中 応募要項に記載の 個人情報の取り扱い に同意の上 応募します 応募日 :2019 年月日 (1) 応募団体

平成 25 年度農林水産省委託業務報告書 平成 25 年度 水資源循環の見える化 調査 検討事業 報告書 平成 26 年 3 月 みずほ情報総研株式会社

ISO9001:2015内部監査チェックリスト

政策評価書3-3(4)

( 仮称 ) 大阪新美術館の運営への PFI 手法導入に向けた マーケット サウンディング ( 市場調査 ) 実施要領 平成 29 年 11 月 大阪市経済戦略局

<4D F736F F D C7689E C4816A81798D82926D8CA793968F89817A>

応 募 要 項

取組みの背景 これまでの流れ 平成 27 年 6 月 日本再興戦略 改訂 2015 の閣議決定 ( 訪日外国人からの 日本の Wi-Fi サービスは使い難い との声を受け ) 戦略市場創造プラン における新たに講ずべき具体的施策として 事業者の垣根を越えた認証手続きの簡素化 が盛り込まれる 平成 2

Transcription:

我が国における国際協力 NGO 等による ファンド レイジング方法に係る調査 元 ( 財 ) 国際開発センター IMG 山田健二

調査の目的 日本国内で活動している国際協力 NGO や国際機関のうち ファンドレイジングに秀でた団体から ファンドレイジング方法 テクニックを聴取して 苦労している NGO の人達の役に立つような報告書を作成する

ヒアリング先 A SEED JAPAN オイスカ NPO 推進ネット 難民を助ける会 シーズ = 市民活動を支える制度をつくる会 シャンティ国際ボランティア会 シャプラニール 世界自然保護基金ジャパン JHP 学校をつくる会 ハンガー フリー ワールド ナマケモノ倶楽部 ワールド ビジョン ジャパン 味の素 The BODY SHOP 日本航空 リコー

日本の NGO の財政状況 欧米との比較 欧米の大規模な NGO に比較すると募金額 収入額は全体的に少ない ワールドビジョン USA の募金額 : 約 600 億円 (2002 年 ) 日本ユニセフ教会の募金額 : 年間 168 億円 (2004 年 ) 日本フォスター プラン協会 : 年間 35 億円 (2004 年 ) 国内の比較 日本国内における NGO 間の規模にも大きな格差がある 上位 10 団体の収入合計は約 100 億円で NGO 全体の収入の 52% に達する 約 5 割にあたる 200 団体近くが 1,000 万円を下回る収入規模

資金調達の弱さの理由 従来の理由付け 寄付に対する税制の違い 寄付文化の違い 問題 欧米と日本の NGO の格差の理由は説明できる しかし 日本国内の格差については説明できない 日本の NGO 自身の資金調達の努力の弱さ

東京財団 インディアナ大学による日本のファンドレイジングに関する調査結果 ファンドレイジング手法の活用が不十分である 手法が 申請書作成 に偏っており 個人寄付者開拓活動が消極的である ファンドレイジングが お金を頼む活動 と一面的に捉えられている 事前準備と寄付者との関係強化の部分が弱い ファンドレイジングにあたっての正当性 ニーズ 具体的手法を明示する企画書作成が弱い 資金調達担当者 / 機能が不足している ボランティアの活用が不足している

意識改革の必要性 1. 外的制約は克服できる 2. 社会的使命を達成するにはファンドレイジングが重要である 3. ファンドレイジングは お金を頼む活動 だけではない 最も重要な活動は 寄付者との信頼関係を醸成 強化することである

意外に多い寄付者の数 内閣府の調査結果 1 年間に寄付をした人はアンケート対象者の 70.5% もいる 寄付が名の通った大規模な団体に集中している コミュニケーション不足と NGO/NPO に対する不信感がある きっかけや機会がない : 半数以上 NPOに関する情報がない : 約 3 割 NPOについて 信頼できる : 約 3 割

信頼関係の醸成 強化 大阪大学の調査結果 寄付先に対する信頼感の有無が市民の行動に大きく影響する 寄付金額を増やすための条件 経済的に余裕があること :62.5% 寄付先の団体の活動に関する報告が行われていること :43.5% 寄付の手続きが簡便であること :38.9% 寄付先の団体の会計に関する報告が行われていること :33.5% 寄付の方法がすぐに分かること :25.6% 税の優遇措置が受けられること :20.7% 寄付をするための条件 財政的に余裕があること :60.8% 寄付の手続きが簡便であること :32.7% 団体の活動に関する報告があること :31.5% 団体の会計に関する報告があること :30.3% 寄付の方法がすぐ分かること :26.1% 税の優遇措置が受けられること :15.7%

ファンドレイジングの重要性 あまりにも活動を重視するあまり 活動には資金が必要であり 財政基盤を強化しなければ社会的使命も達成できないという現実が軽視されている 悪循環 資金不足 人材不足 資金調達担当者が配置できない 資金不足 WVJ の基本的考え方 募金活動は海外事業と全く同じレベルで取組むべき NGO 活動である 募金活動を通し 途上国の受益者だけでなく 支援者に対しても利益やサービスをもたらすことをミッションとする

ミッションの明確化と戦略 計画策定 日本の NGO の出発点 そこにニーズがあるから現場へ出て行くという行動主義 団体としてのビジョンとミッションを明確にして それに基づき具体的な戦略 計画を策定した上で事業を展開するという面が弱い 資金調達を団体のミッションや戦略の中で明確に位置づける 大阪大学の調査結果 寄付先の選定理由として 活動内容への共感が重要で 寄付を増やすには市民が団体の提示する課題を自分の課題として関心を持つことが必要である WVJ の考え方 募金の拡大は 単に資金集めをするというのではなく 募金をする支援者を増やすことで 多くの人々の意識や生活を変えていくような働き方をすることを目指す

自主財源の拡大 NGO の財源 会費 組織の運営一般に充当され 特に使途限定はない 返済義務もなし 寄付金 その他の財源では調達しにくい資金ニーズを満たせる 受益者へのサービス シードマネー 調査研究 広報活動 事業収入 本来の活動以外の収益事業から得た収入で 自由に使える 自己目的化の危険 補助金 助成金 政府部門や民間部門から提供される資金 補助 助成対象活動が特定されているのが一般的 返済義務なし 委託金 特定の業務を委託者から委託する対価として 委託者から支払われる 使途制限は厳しく 間接日は認めてもらえない場合が多い 自己目的化の危険性 自由度のたかいのは会費 寄付金 事業収入であり NGO の自主性 主体性を大事にしてゆくのならこの部分を多くしていくことが必要

シャプラニールの 自主財源拡大プログラム ファンドレイジングの方針 募金することで活動に参加するというモチベーションを与える 運動性と事業性のバランスを取る 助成金や委託金に依存しすぎないようにするために自己資金率を 75% 以上にする 自己財源拡大プログラム フェアトレード ( 毎年 5,000 万から 6,000 万円の収入 ) 支援者 ( 会員 ) の拡大 (1991 年から 7 年間 会員拡大キャンペーンを行い 会員数を 800 人から 4,000 人と 5 倍増大 ) 募金 寄付 夏季と年末年始に支援者への定期的募金の依頼 プロジェクト指定寄付 クラフト購入時に端数を募金してもらう端数募金 インターネット募金 ステナイ生活プログラム 書き損じハガキ 中古 CD ゲームソフト 古本などを収集して現金化 2004 年度は 750 万円の収入をあげる

寄付財源の多様化 寄付は多様な人々が重層的な動機から支出している 必ずしも余裕のある階層においてのみ発生しているのではない それぞれの所得階層において質の異なる寄付が発生する コミュニティのメンバーが当然支払うべき費用 余裕が出来たときに個人の意志に基づいて支出される寄付 寄付者自身の関心事や関心のある組織を支援する場合 多様な寄付者の多様な動機に応えられるような 様々な寄付の受け入れ方法を用意する必要がある 香典寄付 遺産寄付 不用品収集 あまった外国通貨 リサイクル募金箱 ボーナス時期の寄付依頼, 等

寄付ルートの開拓 寄付方法の容易さが 寄付金額を増やしたり 寄付をするための条件として上位を占める ( 大阪大学の調査 ) 多様な寄付実行のルートを用意することが重要 難民を助ける会における寄付ルート インターネットからのクレジット決済 インターネットからのコンビニエンス払い インターネットからの電子マネー決済 郵便振込 電話 郵送でのクレジットカード決済 現金書留 銀行振込 事務所への持込

寄付者 会員との関係強化 ファンドレイジングで最も重要なことは 市民と NGO の信頼関係を醸成 強化すること 米国での基本 お礼の手紙や領収書による迅速な感謝の表明 寄付者リストの作成 寄付の市と報告 プロジェクトの進展や統計の報告 評価を含めた報告書を送る 日本での事例 支援者情報の蓄積によるテーラーメイドの礼状の発送 支援者への直接訪問による 顔の見える 関係作り 寄付後の報告の重視と成果体験プログラム 支援者と受益者との交流 等

寄付者 会員のニーズを反映させる 運営メカニズムの構築 NGO の運営に対して寄付者や会員の声が反映するようなメカニズムを作る必要 活動が組織内部のニーズや都合で進められ 寄付者や会員のニーズに合わなくなることを回避 NGO の活動に対する寄付者や会員のオーナーシップを高めることにより 継続的 拡大的な支援につながる 日本での事例 会員との定期的なミーティング 会員による理事会構成 支援者が主体となる活動の推進

市民ボランティアの取り込み ボランティアは人件費を抑えるだけでなく 団体とコミュニティの架け橋として寄付者開拓と関係構築にきわめて重要な役割を果たす ボランティアにとっては NGO スタッフと一緒にキャンペーンで資金を調達し 自分たちのコミュニティを支える実感が持てる 大阪大学の調査によれば ボランティア活動が積極的な世帯では 寄付活動も積極的に行っている傾向が見られる 今後 ボランティア活動が積極的になると予想される階層 高齢者 専業主婦

コミュニティ ネットワークの活用 人々のネットワークを含め 資金以外のコミュニティの資源を発掘し ファンドレイジングに活用することが重要 日本での事例 ボランティアグループによる地域での活動 地方会員主体の活動 地方におけるボランティア活動の組織化

企業や財団の CSR との連携 NGO と民間企業や財団の社会貢献活動との連携が 今後 増大することが予想される 2007 年には CSR が国際標準化機構 (ISO) の規格に組み込まれる予定 CSR との連携は法人から個人寄付者への更に拡大する可能性がある 様々な協働方法が考えられる 協働のプロジェクト推進 眠っている特許や物品寄付の譲り受けの事業化 事業やサービスに寄付を上乗せする等

組織基盤の強化 人的基盤の強化 スタッフの待遇改善による人材の確保 ステークホルダーとのリンケージの強化 受益者 会員 ボランティア 支援者 支持者 寄付者 これらステークホルダーとの関係の維持 拡大 アカウンタビリティの確保 ステークホルダーに対して 充分に理解 納得が出来るように説明や情報開示をすることにより 関係を強化することが重要 NGO の活動には共感を呼ぶことと信頼を得ることの 2 つが欠かせないもので バランスよく情報を発信していく必要がある