平成30年全国証券大会における挨拶

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「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入

挨拶 本協会会長 稲野和利

経済・物価情勢の展望(2016年10月)

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

当面の金融政策運営について(貸出増加支援資金供給の延長等、12時29分公表)

当面の金融政策運営について(「量的・質的金融緩和」を補完するための諸措置の導入、12時50分公表)

挨拶 日本経済団体連合会副会長 木村 康

おカネはどこから来てどこに行くのか―資金循環統計の読み方― 第4回 表情が変わる保険会社のお金

マイナス金利付き量的 質 的金融緩和と日本経済 内閣府経済社会総合研究所主任研究員 京都大学経済学研究科特任准教授 敦賀貴之 この講演に含まれる内容や意見は講演者個人のものであり 内閣府の見解を表すものではありません

ヘッジ付き米国債利回りが一時マイナスに-為替変動リスクのヘッジコスト上昇とその理由

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情報技術と金融―中央銀行の視点―

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平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

企業活動のグローバル化に伴う外貨調達手段の多様化に係る課題

エコノミスト便り

大和証券グループ中期経営計画 Passion for the Best 年 4 月 3 日 大和証券グループ本社

ピクテ・インカム・コレクション・ファンド(毎月分配型)

日本の低金利の状況が続く中 外貨の好金利で運用し 当面の間 なるべく ふやす 外貨への関心が高まっているのをご存知ですか そして将来は たくわえた資産を 実は 家計における外貨資産は20年で約4倍に増加しています 商商商商品品品品パパパパンンンンフフフフレレレレッッッットトトト 詳細は P.25-2

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1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

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< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

受益者の皆様へ 平成 28 年 2 月 15 日 弊社投資信託の基準価額の下落について 平素より弊社投資信託をご愛顧賜り 厚くお礼申しあげます さて 先週末 2 月 12 日 ( 金 ) 以下のファンドの基準価額が 前営業日の基準価額に対して 5% 以上下落しており その要因につきましてご報告いたし

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短期均衡(2) IS-LMモデル

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「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」― 低インフレを克服するための新たな金融政策の枠組み ―

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中国におけるインフレの行方 中国経済は減速しているものの 過熱の解消にはまだ至っていない 年 9 月のリーマン ショックを受けて 中国は輸出が大幅に落ち込み 景気後退を余儀なくされたが 兆元に上る内需拡大策や 金利と預金準備率の大幅な引き下げをはじめとする拡張的財政 金融政策が実施されたことを受けて

グローバル・マクロ・ウォッチ

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生命保険商品には 終身保険のように長期にわたる契約があり このような契約では保険金 給付金をお受け取りいただく際に物価変動の影響を受ける可能性があります 当社は 円建の保険と外貨建の保険を組み合わせて持つことが 長期にわたり保険商品の資産価値をまもる解決策の一つだと考えます そしてそのことがお客さま

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わが国の経済・物価情勢と今後の展望

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1. 日本の証券市場の現状 図表 1 日本の家計資産保有率 出典 : 資金循環の日米欧比較 より引用 この図から欧米諸国と比べ預貯金の割合が高く有価証券の割合が低いといえ る 14 年 1 月には NISA( 少額投資非課税制度 ) が開始され 家計の 貯蓄か ら投資 への促進が現在行われている し

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証券市場から見た消費税引上げを巡る論点

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低インフレ 乏しい利上げ観測労働市場に目を向けると 8 月の失業率は約 年ぶりの低水準となる5.3% に低下した 雇用者数も伸びており 一部では技術者不足の声も聞かれる RBAは今後数年 失業率は自然失業率とされる5.% を目指して低下が続くとの見方を示している ただ 賃金の上昇率は ~ 月期が前年

第1章 財務諸表

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積立 NISA の創設 1. 改正のポイント (1) 趣旨 背景 1 家計の安定的な資産形成を支援する観点から 少額の積立 分散投資を促進するための 積立 NISA が創設される (2) 内容 1 積立 NISA は 20 歳以上の居住者等が金融機関に開設した非課税口座内に 積立 NISA 専用の累

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Microsoft PowerPoint - 平成22年度決算の概要(Ver2)

農業者年金の資金運用に関するアンケート 次の各問について あなたのお考え ( 率直なご印象で結構です ) に最も近い回答を 1つだけ選び 同封の回答用はがきの回答欄に記入 ( 該当する記号 ( 英字 ) を 印で囲んで ) の上 11 月 30 日 ( 水 ) までに切手を貼らずにポストに投函いただ

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月例経済報告

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経済財政モデル の概要 経済財政モデル は マクロ経済だけでなく 国 地方の財政 社会保障を一体かつ整合的に分析を行うためのツールとして開発 人口減少下での財政や社会保障の持続可能性の検証が重要な課題となる中で 政策審議 検討に寄与することを目的とした 5~10 年程度の中長期分析用の計量モデル 短

仮訳 日本と ASEAN 各国との二国間金融協力について 2013 年 5 月 3 日 ( 於 : インド デリー ) 日本は ASEAN+3 財務大臣 中央銀行総裁プロセスの下 チェンマイ イニシアティブやアジア債券市場育成イニシアティブ等の地域金融協力を推進してきました また 日本は中国や韓国を

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〇なぜ 家計の安定的な資産形成 を推進? 〇なぜ つみたて NISA? 〇職場で つみたて NISA を普及!! はじめに! 1

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「個人投資家の証券投資に関する意識調査」の結果について

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質問 1 11 月 30 日は厚生労働省が制定した 年金の日 だとご存じですか? あなたは 毎年届く ねんきん定期便 を確認していますか? ( 回答者数 :10,442 名 ) 知っている と回答した方は 8.3% 約 9 割は 知らない と回答 毎年の ねんきん定期便 を確認している方は約 7 割

年 2 月 2 8 日 日本銀行 わが国の経済 物価情勢と金融政策 茨城県金融経済懇談会における挨拶要旨 日本銀行政策委員会審議委員 鈴木人司

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金融リテラシーと老後への準備-ライフプランの設計に必要な知識が不足している

. 個人投資家の年齢層と年収 個人投資家 ( 回答者 ) の年齢層 8% 6% 28% 2~3 代 5% 2% 3% 4 代 5 代 6~64 歳 65~69 歳 7 代以上 個人投資家 ( 本調査の回答者 ) の過半数 (56%) は 6 歳以上のシニア層 昨年調査 6 歳以上の個人投資家 56%

メモ 1

することを可能とするとともに 投資対象についても 株式以外の有価証券を対象に加えることとする ただし 指標連動型 ETF( 現物拠出 現物交換型 ETF 及び 金銭拠出 現物交換型 ETFのうち指標に連動するもの ) について 満たすべき要件を設けることとする 具体的には 1 現物拠出型 ETFにつ

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なぜ「2%」の物価上昇を目指すのか

とリスク とは とは 運用を行った結果得られる損益です 収益がプラスでもマイナスでも 投資したからの差額がとなります パターン 1 が変動せずに 利息等の収益金を得た場合 利息等 パターン2 投資した商品の価格が上昇した場合 とリスクの関係 運用するときには低いリスクで高いを得ることが最も望ましいの

目次 要旨 1 Ⅰ. 通信 放送業界 3 1. 放送業界の歩み (1) 年表 3 (2) これまでの主なケーブルテレビの制度に関する改正状況 4 2. 通信 放送業界における環境変化とケーブルテレビの位置づけ (1) コンテンツ視聴環境の多様化 5 (2) 通信 放送業界の業績動向 6 (3) 国民

「つみたてNISA」専用商品の取扱開始について

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通貨及び金融の調節に関する報告書(平成30年12月)

いとなります 年 9 月 12 日現在 マネックス証券調べ マネックス証券の ideco 取扱い商品ラインアップ 分類 ( 投資対象地域 ) パッシブ 名称 ( は ideco 初 ) [ 運用会社名 ] 実質的な運用管理報酬 ( 年率 税込 ) 国内株式 DIAM DC 国内株式イン

円 N 先週のメキシコペソ相場今週の見通し 12 月 17 日 - 12 月 21 日取引レンジ 5.53 円 円想定レンジ 5.50 円 円 対円レートは強含み 大幅な歳出拡大計画の発表が期待されており 歳出拡大による景気浮揚への期待が高まったことから 投機的なペソ売り

平成29年度公金管理運用計画

Transcription:

1. 2018 年 9 月 2 7 日 日本銀行 平成 30 年全国証券大会における挨拶 日本銀行総裁 黒田東彦

1. はじめに 本日は 平成 30 年全国証券大会にお招き頂き 誠にありがとうございま す 日本証券業協会 全国証券取引所協議会 投資信託協会に加盟の皆様に おかれましては 常日頃より証券市場の発展に尽力され これを通じて日本 経済の安定的な成長に貢献されています 皆様のご努力に対し 日本銀行を 代表して 心より敬意を表します いぶりまた 先般の西日本集中豪雨 台風 21 号 北海道胆振東部地震によって 被災された地域の皆様には 心よりお見舞い申し上げます 各地の財務局と 日本銀行の連名で 金融上の措置 を要請しておりますが 被災地の金融機 関におかれては 引き続き弾力的な対応に努めていただくようお願いします 日本銀行としても 中央銀行の立場から 適切な貢献をしてまいりたいと考 えています 本日は 最初に 最近の金融経済情勢と日本銀行の金融政策運営について ご説明し 次に 金融システムの現状と証券業界への期待についてお話しし ます 2. 最近の金融経済情勢と日本銀行の金融政策運営まず わが国の経済情勢についてお話しします わが国の景気は 緩やかに拡大しています 実質 GDP 成長率をみますと 1~3 月期は9 四半期ぶりのマイナスとなりましたが 4~6 月期は年率で+3.0% としっかりとした伸びになりました 先行きについても 最近の保護主義的な動きなどには注意が必要ですが 景気は緩やかな拡大を続ける可能性が高いとみています 一方 消費者物価の前年比は プラス基調を続けていますが 景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べ なお弱めの動きとなっています これについては 長期にわたる低成長やデフレの経験などから 企業の慎重な賃金 価格設定スタンスや家計の値上げに対する慎重な見方が根強く残っているこ 1

とが 大きく影響しています 加えて 企業の生産性向上余地が大きいことや近年の技術進歩が コストの高まりにもかかわらず 企業が値上げに対して慎重なスタンスを維持することを可能にしている面もあります もっとも こうした物価上昇を抑制してきた要因の多くは 景気の拡大に伴い 次第に解消していくものです 実際 最近では 労働需給の着実な引き締まりを背景に パート賃金の上昇が続いているほか 夏の賞与も大きく増加しています こうしたもとで 幅広い企業で販売価格を引き上げる動きも見られています 先行き 需給ギャップがプラスの状態を続けることにより 実際に価格引き上げの動きが拡がっていけば 人々の予想物価上昇率も高まっていくとみられます この結果 消費者物価の前年比は 2% に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えています 金融政策運営面では 現在の強力な金融緩和を粘り強く続け 需給ギャップの改善を起点とした物価上昇メカニズムを維持していくことが重要です こうした認識のもと 7 月の金融政策決定会合において 次のとおり 現在の政策の枠組みを強化することを決定しました 第 1に 政策金利のフォワードガイダンスを導入しました 具体的には 2019 年 10 月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済 物価の不確実性を踏まえ 当分の間 現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する ことを 対外的に約束しました 政策金利に関するこうした明確なコミットメントは 強力な金融緩和を粘り強く続けるという日本銀行の金融政策運営に対する信認の確保に繋がると考えています 物価安定の目標 の実現に向けた日本銀行の政策スタンスに揺るぎはありません 第 2に 今後とも強力な金融緩和を継続していくため 金融市場調節や資産の買入れをより弾力的に運営することとしました 例えば 長期金利については ゼロ % 程度 という操作目標を維持したうえで 実際の金利は 経済 物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうることを示しました 金利 2

形成の柔軟性を高め 市場機能への負の影響を和らげることは 政策の持続性強化に繋がります 7 月の決定以降 国債市場では 一頃に比べて値動きが幾分増しており 8 月に実施した 債券市場サーベイ では 約 3 年ぶりに 市場機能度が 改善した と答えた先が 低下した と答えた先を上回りました 市場機能の回復度合いについては これからも しっかりと確認していきたいと考えています 今回の政策対応は 強力な金融緩和をさらに継続していくという意味で 金融政策の緩和効果を全体として強化するものです こうした対応は 経済や金融情勢の安定を確保しつつ 2% をできるだけ早期に実現することに繋がると考えています 日本銀行は 金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行いながら 引き続き 適切な政策運営に努めてまいります 3. 金融システムの現状と証券業界への期待次に 金融システムの現状と 証券業界に期待する役割について お話ししたいと思います わが国の金融システムの現状をみると 国内の金融仲介活動は引き続き積極的な状況にあり 景気の緩やかな拡大を支えています 金融機関は 貸出や有価証券投資において積極的なリスクテイクを行っており 金融資本市場における金融仲介活動を見ても CPや社債による企業の資金調達は 発行レートがきわめて低い水準で推移するもとで増加基調を続けています こうしたなか 企業や家計の資金調達環境はきわめて緩和した状態にありますが 金融循環の面で目立った過熱感は窺われません 今後も 日本経済の持続的成長を実現していくうえで 証券業界の果たす役割は大きいものがあります こうした認識を踏まえつつ 皆様に期待する役割を3 点申し上げます 第 1に 金融資本市場を通じたリスクマネーの円滑な供給です 企業は 3

景気拡大に伴って増加する設備投資資金や事業拡大のためのM&A 関連資金の調達を目的として 社債やCPの発行を増やしています また 投資適格に満たない企業の社債が国内で初めて発行されるなど 発行企業の裾野も広がりが見られます 一方 投資家サイドでも 低金利環境が続くなか より高い利回りを求め 積極的な社債購入スタンスを維持しています 今後とも 証券業界においては 事業の拡大や財務基盤強化にかかる企業の資金調達ニーズと投資家の運用ニーズを積極的に汲み取り 双方のニーズを満たしていくことが期待されます 第 2に 家計の中長期的な資産形成を支援していくことです 家計はリスク性資産の積み増しに引き続き慎重ですが 一方で 個人のライフサイクルに応じた運用収入の獲得や老後の生活資金の確保といった資産形成ニーズを抱えています こうした家計の資産形成ニーズの強さは 本年 1 月に つみたてNISA が開始された NISA 関連の口座数の大幅な増加や 昨年 1 月から加入対象範囲が拡大された 個人型確定拠出年金 (ideco) の新規加入者の増加にも表れています 金融機関は こうした投資環境の整備と歩調を合わせながら 投資信託等の商品の充実やラップ口座の拡充に取り組んでいますが 引き続き スマートフォン AI ビッグデータ分析などの新しいデジタル技術を活かした金融サービスも提供しながら 家計の多様な資産形成ニーズに応えていくことが期待されます 第 3に 市場インフラの整備に取り組んでいくことです 国内の証券取引では 本年 5 月に国債決済期間のT+1 化が実現されたほか 来年 7 月には株式決済期間のT+2への短縮が実施される予定です この間 分散型台帳など新たな技術の証券決済への応用が様々な国で試みられています こうした動きも踏まえつつ 今後とも 証券業界には 決済リスク削減や効率性向上を通じて わが国金融資本市場の機能や競争力の向上を進めることが期待されます 4

日本銀行としては 今後も皆様方と協力しながら 決済サービスの高度化 市場慣行の整備などを通じ わが国金融資本市場の安定性と機能度の向上に貢献していきます また 金融広報中央委員会の活動を通じ 家計の金融リテラシー向上にも証券業界の皆様とともに貢献していきたいと考えています 4. おわりに最後になりましたが 今後とも 皆様方のビジネスの発展 そしてわが国金融資本市場のさらなる発展を祈念いたしまして 私からのご挨拶とさせて頂きます ご清聴ありがとうございました 以 上 5