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造成 土工事 技術名 IT 土工システム ITeam 番号 No.3-5 発注者本田技研工業 ( 株 ) 施設名敷地造成所在地埼玉県大里郡工事名称ホンダ寄居新工場造成工事施工期間 1995 年 9 月 ~1996 年 6 月施工者清水建設 ( 株 ) キーワード締固め管理システム 大規模土工管理 土量バランス 3 次元 CAD (1) 概要 1) 施工条件大規模盛土工事においては 従来の転圧管理手法により 広大な転圧エリアを点管理で乾燥密度を把握するRI( ラジオアイソトープ ) や単に振動ローラの稼働時間を把握するタスクメータによる管理を適用した場合 大量の盛土量に対して測定頻度が増大し多大な労力がかかること 重ダンプや大型重機が輻輳する中での人的作業が発生するという安全性の問題が発生する さらに 盛土の品質向上を図るために必要となる盛土エリア全域での締固め状態を確認する事が必要になるなど実務上の問題があった これらの問題を解決するため施工エリア全域を管理でき かつ効率的な品質管理が可能な手法としてGPSを用いた工法規定方式による盛土の品質管理を採用した このシステムは 振動ローラにGPSを搭載し 盛土エリアの転圧回数 盛土の層厚およびローラの走行軌跡を管理するものである 本工事では 盛土の最盛期において最大で4 台の振動ローラが同時に稼働し すべての振動ローラにGPSを搭載し管理した 特に本システムは 振動ローラのキャビン内に取り付けられたノートパソコンのモニタ画面において規定の転圧回数に達した部分の色が変わるため オペレータは自らモニタ画面を見ながら 転圧状況をリアルタイムで確認しながら施工ができるようになっている なお これらの転圧管理記録は1 日の作業の終了時点で振動ローラのノートパソコンからメモリースティック等の記録メディアにより情報を読み込み 現場事務所のパソコンにて一括管理した 2) 施工内容本工事では IT 土工システムとして第二東名伊佐布インターチェンジ工事他で実績のある IT 土工システムをベースとし本工事の特性に合わせて新たに改良して導入した 図 3~6 に本工事に採用した IT 土工システム ITeam の概要を示す ホンダ寄居新工場造成工事は 本田技研工業株式会社が国内において 約 40 年ぶりに4 輪車の新工場を建設するもので 建設地の埼玉県寄居町は 県の西北部に位置し 首都圏に比較的近い距離にある 本工事の切盛土工事は 土量 453 万 m 3 ( 盛土ベース ) を準備工含めて 13 ヶ月で施工し 建築工事に引渡しをするという当社でも過去に前例のない大規模かつ短工期の工事であった この工事を進めるにあたり 急速盛土における工場基盤としての盛土の品 32

質を確保する事 大型重機使用による急速施工に対応した作業性と安全性を確保する事が大きな課題であった 3) 図面 ( 位置図 平面図 断面図 詳細図 写真等 ) 写真 -1 工場掘削後全景 写真 -2 工場掘削前全景 図 -2 横断図 図 -1 平面図 (2) 技術詳細 1) 工法フロー 図 -3 システム構成 ( 振動ローラ ) 33

図 -4 機器構成 ( 重機搭載システム ) 図 -5 GPS 基地局構成 図 -6 システムイメージ 写真 -3 振動ローラ頂部に設置 GPS 受信アンテナと運転席の PC モニタ 2) 出力帳票このようにGPSを搭載した振動ローラによる転圧管理は盛土全体の転圧面全ての管理を実現することができ 管理の精度が従来の手法に比べ飛躍的に向上した 図 7~9に出力帳票のサンプルを示す 図 -7 転圧回数色分布図図 -8 盛土管理図図 -9 転圧回数分布図 34

3)3 次元 CADによる土量管理本工事は 切土 盛土で発生する土量を場内でバランスさせる設計であるため 当初設計段階で設定した 土量変化率 =1.09の妥当性を早期に把握する必要があった これは 本工事の盛土量が453 万 m 3 と大規模なため1% の変化率の誤差で約 5 万 m 3 の土量の増減が発生することなるためである このため GPSによる転圧管理システムにおいて取得した広範囲かつ高精度な振動ローラの走行軌跡データを主とした現況地形データを3 次元 CADシステム (Autodesk Civil 3D) でモデル化した 現況地形データの測量方法は 振動ローラの走行軌跡データを利用した自動車 ( ローラ ) 測量と手持ち式 GPSを利用したポイント測量の2 種類がある 自動車 ( ローラ ) 測量は面的に測量したい時に適しており 設定により1 秒 10 秒間隔で自動的に測量データを取得することができる また ポイント測量は ローラや自動車が入れない法肩 法尻の測量や重要なポイントを計測する場合に使用する 転圧管理に使用したローラの軌跡データでも測量データとして使用可能であるが 当現場においては精度の面から 現場の全休日を利用して ローラ測量とポイント測量を一斉に実施した 図 -10 現地盤サーフェスモデル 図 -11 第 4 回実測現況サーフェスモデル (3) 結果本工事は 平成 19 年 9 月 21 日に着工し 13ヶ月という短期間で453 万 m 3 の切盛土工事を完成させた この間 当社でも前例のない日最大 35,000m 3 月最大 765,000m 3 の盛土を行った これらを施工するにあたり新技術を取り入れ 全社の土木技術を駆使し 協力業者と信頼関係を築きながら検討 改善を図り施工を進めた 参考文献 2010 土木クォータリー Vol.165 P22~ 清水建設( 株 ) 備考 - 35

造成 土工事 技 術 名 3D 土工事施工支援システム Ni-CSS 3D 番 号 No.3-6 発 注 者 中日本高速道路 ( 株 ) 施 設 名 新東名高速道路 所 在 地 愛知県新城市八束穂 ~ 静岡県浜松市北区引佐町 工事名称 新東名高速道路新城工事 施工期間 2012 年 1 月 ~2014 年 11 月 (2015 年 7 月末で進捗 97.4%) 施 工 者 西松建設 ( 株 ) キーワード 3D-CAD GNSS TS 出来形測量 3D スキャナ (1) 概要 従来の施工では 平面図 縦断図 横断図などの 2D-CAD データを組み合わせ 現場と照ら し合わせて施工を行っていた しかしこれらの図面を用いる場合 決められた断面 ( 側線 ) で の管理は容易であるが 側線から離れた任意の位置での丁張 ( 位置だし ) や施工管理は容易で はなかった 一方で 3D-CAD を活用した施工支援では データの一元管理ができ 任意位置で の断面図を作成できる利点があるが 習熟に期間と経験を要する 新東名高速道路新城工事は 新東名高速道路浜松いなさ JCT 豊田東 JCT の 55km の区間の うち ( 仮称 ) 新城 IC と浜松いなさ JCT の 10km 区間の工事であり 土工事を主体にボックス カルバートや橋台 2 基の施工を行うものである 本工事の特徴としては工事範囲が広いこと また 一部区間は切土箇所が高さ 60m を超す長大切土のり面の施工であることがあげられる このような長大切土のり面の施工では 掘削土量が大きいためのり面を安定させることが重要 であり したがって日々計測管理を行いながら施工する必要がある そこで 容易な操作性を 実現した 3D-CAD を利用した土工事施工支援 管理用システム 3D 土工事施工支援システム を開発し 現場への導入を行った (2) 技術詳細 1) 技術の特徴本技術は 3D-CAD ソフトに現場作業で必要となる測量支援 出来形管理 出来高 ( 土量 ) 管理の機能を集約した施工支援システムである これらのソフトを用いることで 設計や測量 (GNSS 測量や TS 測量 ) の3 次元データの PC への取り込みと盛土 切土形状の3 次元化が簡単にできるとともに 土量計算から帳票出力までの操作が簡易化できるため 現場での管理作業を効率化することができる 2) システムの構成本システムの構成を図 -1 に示す 本システムは 既往の 3D-CAD ソフト (Civil 3D) に 測量支援機能 出来高管理 ( 度量計算 ) 機能 出来形管理機能という3つの機能を搭載したものである これらの機能を用いて 施工支援 施工管理支援 設計支援 施工計画支援を行う 36

図 -1 3D 土木施工支援システムの構成 3) システムの特徴本システムは 3D の設計データから丁張りした点の座標を算出 出力するとともに 測量データから2 次元モデルを作成し 日々の測量データを 3D-CAD で一元管理する ( 図 -2 図 -3) 3 次元測量モデルから土量を算出して帳票出力する作業を簡易化し 効率的に出来高管理できる 具体的には 以下にあげる特徴をもつ 盛土工事の管理に必要な機能を一つに集約し 3D-CAD 上で簡単に操作できる 施工の進捗状況を 3 次元的に把握できるため理解がしやすい 平均的断面法により土量を自動で計算し 帳票出力までの一連の作業が簡易化される 国交省のデータ交換基準に対応 市販 TS 出来高管理システムとの互換性もある 現場管理業務に必要な各機能を 1 つのタブに集約 ユニット化して操作を容易化した 図 -2 システムの運用フロー 図 -3 測量点群データによる現状地形の 3D モデル 37

(3) 結果 1) 導入の結果本システムを盛土工事現場へ運用することで 次に挙げる効果が得られた 1 測量データの取り込みから帳票出力までの手順をシステム上で一括して行うことで 作業時間を短縮することができた 2GNSS のワンマン測量を導入することで 測量人員の省力化を図り 作業時間を短縮することができた 33 次元モデルで表示することで 全体の施工状況の把握が容易になった ( 図 -4) (a) 現状地形の 3 次元表示例 (H24.5) (b) 測量データの 3 次元表示例 (H26.7) (c) 3 次元による出来形管理の表示例 (d) 断面図 ((c)a-a) による出来高管理の表示例図 -4 3D-CAD を用いた出来高管理 2) 今後の展開測量データだけでは形状の十分な再現が難しく 境界線や小段ラインの設定を追加して入力する必要があり 操作性の高いシステムを構築する必要がある 3) その他の適用事例 200 万m3の盛土工 : 新東名高速道路猪名川東工事 猪名川中工事 発注者は西日本高速道路株式会社 16,000 m3 ( ソイルセメントを含む ) の盛土工 : 金沢東環御所トンネル (2 期線 ) 工事 発注者は国土交通省北陸地方整備局 3D 情報化施工支援ツールの開発 : 西松建設 ( 株 ) 原久純他 西松建設技報参考文献 Vol.38 No.10 2015 年備考 - 38

造成 土工事 技 術 名 ICT 土工管理システム 番 号 No.3-7 発 注 者 北海道電力 ( 株 ) 施 設 名 京極発電所 所 在 地 北海道京極町 工事名称 京極発電所新設工事のうち土木本工事 ( 第 4 工区 ) 施工期間 2001 年 3 月 ~2014 年 9 月 施 工 者 前田建設工業 西松建設 戸田建設 荒井共同企業体 キーワード RTK-GNSS 測量 3D-CAD 統合データベース (1) 概要 ロックフィルダムは 材料のゾーン境界が厳密に管理されており 施工においては施工厚さ 転圧回数などの管理が重要となる また北海道のような豪雪地帯では 一年の中の施工可能期 間が短く 効率的な施工が求められる 京極ダム新設工事は 京極町に建設する純揚水式発電 所のうち 下部調整池として中央遮水壁型ロックフィルダム ( 京極ダム ) を建造 ( 堤体積 131.8 万m3 堤高 54m) するものである この施工において ブルドーザおよびバックホウのマシン ガイダンス技術 GNSS による締固め管理技術を導入し それらを包括して管理する3D データ を基盤とした ICT 土工管理システムを構築 運用して 施工の合理化を行った (2) 技術詳細 1) 技術の特徴本技術を用いることで 堤体の3D モデルから材料別の数量を迅速に算出できるため 短時間で複数のリフト計画を立案し比較検討することができる また施工時には無線通信を使い施工指示データを重機に送信し 重機から施工結果を受信する 施工指示の例として 以下のようなものが挙げられる オペレーターは 施工指示データや施工結果をモニターで管理しながら施工を行えるため 円滑に工事を進めることができる ブルドーザの敷均し厚さの施工指示を与える バックホウのリップラップ整形形状の施工指示を与える GNSS 締固め管理により 転圧回数をカウントして施工指示を与える 2) システムの詳細本システムは 3D-CAD を基盤とした統合 DB により施工計画 施工 品質管理の合理化 高精度化することを目的に 統合 DB 上でデータ管理とブルドーザ バックホウマシンガイダンスなどの運用管理を行うものである 統合 DB は現場内に構築された無線 LAN ネットワークを介して 施工によって得られた情報を逐次 DB に統合し 遠隔での施工状況確認や施工結果の帳票作成が可能である ( 図 -1) 39

図-1 ICT 土工管理システムの概図 3) 統合 DB システムの詳細 設計図面 基礎地盤の詳細な3次元測量結果から堤体と基礎地盤の境界が現実の形状と合 致する3D モデルを基盤として統合 DB を構築した 図-2 統合 DB は3D モデルと施工に必 要な情報 および施工を進めていく中で取得される情報が連携し 施工指示データの抽出を 行っている また 堤体盛立のリフト計画は堤体3D モデルから材料別の数量を迅速に算出 できるため 短時間で複数のリフト計画を立案し比較検討することが可能であり 施工計画 の高度化 効率化を図ることができる a) 基礎地盤 3D モデル b) 堤体 3D モデル c) 堤体 3D モデル任意断面表示 図-2 統合 DB のベースとなる 3D-CAD データ (3) 結 果 ICT 土工管理システムを導入することにより 施工精度 施工能力 安全性が向上された 以下に統合 DB ブルドーザマシンガイダンス バックホウマシンガイダンス GNSS 締固め管理 システムの4つの項目別の導入効果を示す 1) 統合 DB の効果 ① コア材のリフト計画が 短時間で複数案検討できた 図-3a 40

② ICT 施工の重機への施工指示データの作成が行えた 図-3b ③ 施工時に入手したデータは逐次統合 DB へ格納される a) コア材のリフト計画例 b) 施工指示データ 図-3 統合 DB システムの利用例 2) ブルドーザマシンガイダンスの効果 ① 測量作業の待ち時間を軽減できる ② 0.5m ピッチの高精細な施工指示 色 数値 ができる 図-4 ③ 現場内の人員を削減できることで 安全性が向上する ④ 従来施工と比較して コア材の敷均し精度が向上する 図-5 図-4 RTK-GNSS を用いたブルドーザの施工指示 3) バックホウマシンガイダンスの効果 ① 測量作業の待ち時間を軽減できる ② モニターで仕上がり確認ができるため 図-6 作業効率と安全性が向上する 4) GNSS 締固め管理システム 自動帳票作成システムの効果 ① ゾーン境界 リフト境界などの締固めが確実に管理できる ② 複数の重機 材料の締固め結果を自動で帳票出力できる 41

図-5 ブル敷均し精度の比較 上 従来施工 下 ICT 施工 図-6 RTK-GNSS を用いたバックホウの施工指示 ロックフィルダム盛立における ICT 施工の定量評価 前田建設の ICT 土工 参考文献 管理システム 松尾健二 建設機械 Vol.50 No.10 p59-65 2014 年 10 月 備 考 42