3. 制度見直しの方向性 3-1. 送配電関連設備に係る費用の利用者間の負担 送配電網の利用者として 送配電網に接続している発電者と需要家が挙げられるが 現行制度上 送配電関連設備に係る費用は 発電側による電源接続時の初期費用負担を除き 需要側のみが負担 ( 小売電気事業者が託送料金を負担し それを

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部分供給については 例えば 以下の3パターンが考えられる ( 別紙 1 参照 ) パターン1: 区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ( 又は他の小売電気事業者 ) が一定量のベース供給を行い 他の小売電気事業者 ( 又は区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ) がを行う供給

FIT/ 非 FIT 認定設備が併存する場合の逆潮流の扱いに関する検討状況 現在 一需要家内に FIT 認定設備と非 FIT 認定設備が併存する場合には FIT 制度に基づく買取量 ( 逆潮流量 ) を正確に計量するため 非 FIT 認定設備からの逆潮流は禁止されている (FIT 法施行規則第 5

図 2: 今後の主な市場整備等 2. ベースロード電源市場等 2.1. 契約見直しの必要性新電力がベースロード電源 ( 石炭火力 水力 原子力等 ) にアクセスすることを容易にし 小売競争を更に活性化させることを目的として ベースロード電源市場を創設するとともに ベースロード電源を保有する旧一般電気

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1. 調整力公募について 本年 4 月に施行された第 2 弾の改正電事法により 新しいライセンス制度が導入されたことを受け 一般送配電事業者が電力供給区域の周波数制御 需給バランス調整を行うこととなっている そのために必要な調整力を調達するにあたって 一般送配電事業者は原則として公募の方法で調達する

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1. はじめに 1 需要曲線の考え方については 第 8 回検討会 (2/1) 第 9 回検討会 (3/5) において 事務局案を提示してご議論いただいている 本日は これまでの議論を踏まえて 需要曲線の設計に必要となる考え方について整理を行う 具体的には 需要曲線の設計にあたり 目標調達量 目標調達

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

前回の御議論 2 1) 第 6 回連系線利用検討会において 下記のような御意見があった 経過措置の転売を禁止することで効率性を低下させているため 転売を可能とすることについても 改めて検討すべき 経過措置が 10 年という長期であるにもかかわらず 経過措置を転売不可とすると 非効率性が増す側面もある

力率 1.0(100%) の場合 100% の定格出力まで有効電力として発電し 出力できます 力率 0.95(95%) の場合は 定格出力の 95% 以上は有効電力として出力できません 太陽光発電所への影響 パワコンの最大出力が 95% になるので 最大出力付近ではピークカットされます パワコンの出

岩手支社管内の配電用変圧器の空容量 1/4 安代配電塔 1B 伊手変電所 1B 猿ヶ石発電所 1B 遠野変電所 1B 0.0 2B 下船渡変電所 1B 0.0 2B 河原町変電所 1B 0.0 2

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1. 口座管理機関 ( 証券会社 ) の意見概要 A 案 ( 部会資料 23: 配当金参考案ベース ) と B 案 ( 部会資料 23: 共通番号参考案ベース ) のいずれが望ましいか 口座管理機 関 ( 証券会社 ) で構成される日証協の WG で意見照会したところ 次頁のとおり各観点において様々

注 1: 要件の判断に係る算定に当たっては 複数の発電用の電気工作物が同一の接続地点に接続している場合は 一つの発電用の電気工作物とみなす 注 2: 特定発電用電気工作物に該当しない電気工作物は 発電事業の要件 ( 小売電気事業用等接続最大電力の合計が 1 万 kw 又は 10 万 kw を超えるも

資料 2 接続可能量 (2017 年度算定値 ) の算定について 平成 29 年 9 月資源エネルギー庁

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仕様書 1 概要 (1) 供給場所茨城県笠間市鯉淵 6528 茨城県笠間市旭町 654 (2) 業種及び用途医療 ( 病院 ) 茨城県立中央病院 茨城県立こころの医療センター 2 仕様 (1) 電力供給条件ア電気方式交流三相 3 線式イ供給電圧 ( 標準電圧 ) 別紙 基本情報一覧表 参照ウ計量電圧

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

資料3

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整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

スライド 1

目 次 作業停止調整方法の変遷と背景の振り返り 本日の議論内容 1 発電制約量売買方式 暫定運用 の調整方法 2 発電制約量売買方式 暫定運用 における費用負担 1 費用負担者 2 費用負担の対象範囲と基準値 3 発電制約量売買方式 暫定運用 における 発電制約対象設備の選定 3 今後のスケジュール

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全自病協第 582 号 平成 27 年 2 月 13 日 地方会議担当支部長様 公益社団法人全国自治体病院協議会 会長 邉見公雄 平成 27 年度地方会議における共通議題について 日頃から支部活動にご尽力をいただき感謝申し上げます さて 平成 27 年度地方会議における共通議題について 常務理事会で

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1. のれんを資産として認識し その後の期間にわたり償却するという要求事項を設けるべきであることに同意するか 同意する場合 次のどの理由で償却を支持するのか (a) 取得日時点で存在しているのれんは 時の経過に応じて消費され 自己創設のれんに置き換わる したがって のれんは 企業を取得するコストの一

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資料 4 とりまとめ骨子 ( 案 ) 平成 30 年 3 月 28 日 本資料は これまで WG で御議論いただいた制度設計の方向性について文章化したものであるが 本日は その内容について 加筆 修正すべき点も含め 御確認いただきたい 1. 我が国の電力系統を取り巻く環境変化 近年 人口減少や省エネルギーの進展等により電力需要が伸び悩む一方で 再生可能エネルギー電源の連系ニーズの拡大 送配電網の高経年化に伴う修繕 取替対応の増大等 送配電関連費用を押し上げる方向での変化も生じている これらの環境変化を踏まえ 託送料金の最大限の抑制を進めることが不可欠 2. 検討の視点 託送料金を最大限抑制していくには 一般送配電事業者による経営効率化等の取組を進めることに加え 送配電網の効率的な利用を促すことが重要 また 託送料金の最大限の抑制を図りつつも 質の高い電力供給を維持し 再生可能エネルギーの導入拡大等の新たな課題にも対応していくための必要な投資がなされるよう 送配電網の維持 運用費用回収の確実性を確保することも求められる このため 以下 2 つの観点から 託送料金制度の在り方を検討した 1 送配電網を利用する者の受益や送配電関連設備に要する費用に与える影響に応じた公平 適切な費用負担の実現 2 一般送配電事業者のみならず 送配電網の利用者たる発電側 需要側双方に対する合理的なインセンティブが働く制度設計 具体的には 現行の託送原価の範囲を変えないことを前提としながら 以下の 4 点について検討した 1) 送配電関連設備に係る費用の利用者間の負担 2) 送配電関連設備の投資効率化や送電ロスの削減に向けたインセンティブ設計 3) 電力需要の動向に応じた適切な固定費回収の方法 4) 送電ロスの補填に係る効率性と透明性向上 1

3. 制度見直しの方向性 3-1. 送配電関連設備に係る費用の利用者間の負担 送配電網の利用者として 送配電網に接続している発電者と需要家が挙げられるが 現行制度上 送配電関連設備に係る費用は 発電側による電源接続時の初期費用負担を除き 需要側のみが負担 ( 小売電気事業者が託送料金を負担し それを需要家に請求 ) しかし 今後 電力需要の伸び悩みが見込まれる一方で 電源接続ニーズは拡大しており 電源起因による送配電設備の増強費用が増加する可能性がある 加えて 高経年化対応による送配電関連費用の増加も見込まれるところ 将来にわたって託送料金の最大限の抑制と質の高い電力供給の維持を両立させるため 系統利用者による送配電網の効率的利用を促すべく 系統利用者たる発電側にも受益に応じた負担を求めることが適当である (1) 発電側基本料金の具体的な内容 1 基本的な考え方 送配電関連設備からの受益に応じた負担を実現するとともに 将来にわたって送配電関連設備を安定的に維持 運用していくため 発電側に対し 送配電関連設備の固定費について負担を求める その際 託送料金の原価総額は変えず 送配電関連設備の固定費を当該設備の受益者から公平かつ安定的に回収する仕組みとする また 発電側に起因する送配電関連設備の費用を抑制するためには 発電所の設備利用率の向上等を通じて 送配電網の効率的な利用を促すことが重要 送配電関連設備は 基本的には 最大逆潮 ( 最大受電電力 ) に応じて整備されることから 基本料金として kw 単位で課金する 2 対象費用 発電側基本料金の対象費用としては 現行の託送料金で回収することとなっている原価のうち 発電側 需要側の双方で等しく受益していると考えられる設備の固定費を 発電側 需要側の双方で等しく負担することが基本 具体的には 制度導入当初においては 送配電関連設備の費用のうち 発電側及び需要側の双方で等しく受益していると考えられる上位系統 ( 配電網以外の基幹系統及び特別高圧系統 ) に関する費用 ( 送電費及び受電用変電費のうち固定費 ) について 発電側及び需要側の双方で等しく負担する 1 発電側も需要側も kw 当たりの固定費に与える影響が基本的に同じであるとして 発電側も需要側も kw 当たりの負担が等しくなるよう 発電と需要 ( 小売 ) の課金対象 kw 比で対象費用を按分する 1 需要側の託送料金算定に当たっては これまでの託送料金原価から 発電側基本料金で負担する対象 費用を除くこととなる 2

3 課金方法 受益と負担の観点から また 特定の電源に有利 不利が生じないよう 送配電網に接続し かつ 系統側に逆潮させている電源全てを課金対象とすることを基本とする その他 詳細については 需要側の託送料金における基本料金の扱いと同様とすることを基本とする 2 (2) 発電側基本料金の転嫁の円滑化 発電側基本料金については 発電側にとって新たな固定費負担となる一方 需要側の託送料金はその分減額されることから 市場や当事者間の交渉の中で 卸料金へ転嫁されることが想定される ただし 既存相対契約については 契約の見直しが行われないと制度変更に伴う負担を発電側が一方的に負わされることになることから 発電と小売との協議が適切に行われることが適当である このため 適正な取引が行われるよう その考え方をガイドラインに示すとともに 契約交渉等の手続が適正に進んでいるか等の監視を行うこととする なお kwh 単位で取引される取引への転嫁も含め 取引価格は 市場や当事者間の交渉に委ねられるのが基本と考えられるが 他の市場設計における発電設備の固定費回収効果との整合性にも留意し 実態を踏まえつつ 制度導入までの間に転嫁の在り方について必要な検討を更に進める 3-2. 送配電関連設備の投資効率化や送電ロスの削減に向けたインセンティブ設計 発電側基本料金を kw 課金として導入することは 発電所の設備利用率向上等を通じた送配電網の効率的な利用を促し 送配電関連費用を抑制する一定の効果が期待される 加えて 需要地近郊や送配電網が手厚く整備されている地域など 送配電網の追加増強費用が小さい地域に電源を誘導することも重要 このため 電源の立地地点に応じて発電側基本料金を軽減する制度を導入する これにより 発電 送配電全体のコスト削減 最適化を図る (1) 投資効率化等割引制度の具体的な内容 A: 基幹系統投資効率化 送電ロス削減割引 1 基本的な考え方 基幹系統の将来的な投資を効率化し 送電ロスを削減する効果のある電源について 発電側基本料金を割り引く 2 例えば 1 発電側基本料金は 当該料金に係る契約の開始日から料金が発生することとする 21 カ 月全く不使用の場合は発電側基本料金を半額とする 3 毎月払いとする といった内容が挙げられる 3

具体的には 各供給エリア内で 基幹変電所 開閉所単位で見て 相対的に限界送電費用 ( 後述 ) が小さい地域に立地する全ての電源について 基幹系統の固定費の一部の費用負担を割り引く 2 投資効率化効果等の評価方法 基幹系統の投資効率化効果は 各基幹変電所 開閉所に電源容量 (kw) を仮に限界的に追加した場合に想定される各供給エリアの基幹系統の潮流がどの程度変化し 仮に潮流混雑を解消する場合に標準的にどの程度費用がかかるかを試算したもので評価する 送電ロスの削減効果は 各基幹変電所 開閉所に電源容量 (kw) を仮に限界的に追加した場合に想定される各供給エリアの基幹系統の潮流変化が 送電ロスをどのように変化させるか それを調達する場合に標準的にどの程度費用がかかるかを試算したもので評価する 両者を総合的に評価することとする 具体的には 両者の合計値を 限界送電費用 として それを基に割引対象地域や割引単価を設定する 3 割引対象地域 限界送電費用が供給エリア内の平均値を下回るエリアは 相対的に投資効率化効果及び送電ロス削減効果がある地点であることから割引対象とする 4 割引単価 kw 当たりの割引単価は 発電側基本料金との整合性を図る観点から 基幹系統に係る減価償却費及び事業報酬のうち 発電側基本料金で回収する金額を 発電側の課金対象 kw で除した金額を kw 当たりの割引単価の最大値とする その上で 限界送電費用について 最下位グループと下位グループに分け 前者の地域は満額 後者の地域は半額の割引を適用する 加えて 基幹系統に接続する電源の割引単価は 特別高圧系統に接続する電源の割引単価の半額とする B: 特別高圧系統投資効率化割引 ( 高圧 低圧接続割引 ) 1 基本的な考え方 特別高圧系統の将来的な投資を効率化する効果のある電源について 発電側基本料金を割り引く 具体的には 高圧又は低圧接続電源のうち一定条件を満たす場合 特別高圧系統の固定費の一部の費用負担を割り引く 4

2 割引対象地域 以下の条件を全て満たす地域を割引対象地域とする 3 基幹系統投資効率化 送電ロス削減割引の対象地域であること 代表的な断面 ( 例えば 重負荷断面 または 最過酷断面 ) において 特別高圧に対して逆潮流していないこと 空き容量マップにおいて 空き容量がゼロより大きいところ 3 割引単価 kw 当たりの割引単価は 特別高圧の減価償却費及び事業報酬のうち発電側基本料金で回収する金額を 発電側の課金対象 kw で除した金額を割引単価とする なお 割引対象地域の評価を詳細に行うことは基幹系統投資効率化 送電ロス削減割引に比べて困難であり 制度の簡潔性を考慮して 対象電源については 単一の割引料金を適用する (2) 割引対象地域の見直しのタイミング 現行制度上 需要地近接性評価割引制度は 5 年で見直すこととされていることから 基幹系統投資効率化 送電ロス削減割引 特別高圧系統投資効率化割引も同様に 5 年で見直しを行うことを基本とする この場合 投資の予見可能性の観点から 経過措置の必要性について これまでの需要地近接性評価割引制度の運用や 料金実務が過度に煩雑になりすぎないとの観点も留意しつつ検討を行う なお 現行の託送料金の需要地近接性評価割引制度は 取引所経由の取引に対応できないことに加え 新たに発電側に導入する基幹系統投資効率化 送電ロス削減割引と趣旨 割引の考え方が重複している面もあることから 需要地近接性評価割引制度は廃止することを基本とする また 需要側の託送料金における地点別インセンティブについては 長期的な検討課題とする ( 後述 ) (3) ノンファーム型接続に対するインセンティブ付与 ノンファーム型接続は 系統側の最大潮流管理や Dynamic Rating などの技術を活用することで空き容量がある場合にのみ送電し 送配電関連設備を効率的に利用し 過剰な送配電関連設備への投資抑制に貢献するものであり 現在 基本的な方向性の提示や重要論点に係る議論は国 ( 再生可能エネルギー大量導入 次世代電力ネットワーク小委員会等 ) で行うとともに 3 配電用変電所単位での評価については 配電用変電所の数が多いこと 下位系統は基幹系統に比べて 複雑な構造にあり 実態と乖離したり 対象が複雑化しすぎる可能性があるため その場合には 需 要地近接性評価割引制度のように 行政区分等の手法についても 引き続き検討することとする 5

技術的な内容を含む詳細検討は電力広域的運営推進機関において行うとの検討体制で 導入に向けた検討が進められている ノンファーム型接続は 事業者の合意の上 系統制約時の出力抑制を条件に系統連系を認めるものであるため この形態の接続による電源については 通常の接続形態と比べて送配電設備の維持 運用費用に与える影響が小さくなると考えられる このため 今後 技術面 運用面の検討状況を踏まえ 出力抑制の条件に応じた発電側基本料金の課金方法の検討を進めることとする 3-3. 電力需要の動向に応じた適切な固定費回収の方法 送配電関連費用に占める固定費は約 8 割だが 現行の託送料金の多くは二部料金制を取っており 基本料金による回収は約 3 割 残りは従量料金により回収している 足下の状況では 沖縄電力を除く全ての一般送配電事業者が料金認可時点の想定需要量 (kwh) に比べて 実績需要量 (kwh) は下回っており 現行の託送料金が維持される中で 託送料金算定の前提となっている固定費回収ができない状況が起きており 今後もその傾向が続く可能性がある このような状況が継続すれば 託送料金の最大限の抑制と新たな環境変化に対応した適切な送配電関連設備投資を両立することが困難となり 安定供給に必要な送配電網の維持 運用について 将来的に支障をきたす可能性がある このため 託送料金の原価総額は変えず 固定費については 原則として 基本料金で回収する方向で 申請主義の制度の下で国も一定の関与をしつつ 見直しが行われることが適当である また 現行制度では 全てを小売電気事業者から託送料金として回収しているところ 系統に接続している電源全てからも発電側基本料金として回収する制度の導入 ( 先述 ) とあわせ 固定費回収の確実性向上に資すると期待される ただし 小売電気事業者に課金する託送料金の基本料金回収率の見直しは直接的に小売料金に影響を及ぼす可能性があることから 小売料金への影響を慎重に見極めながら見直しが行われることが望ましい 特に 低圧需要家向けの小売料金については 現行の託送料金が小売の経過措置料金を上回らないように設定されていることを踏まえて 当面の間 見直しを行わないこととする また 送配電設備の効率的な利用を促す観点から 例えば 近隣に多くの電源が存在するような地点について 大口需要家などの需要側の託送料金を割り引き より効率的に送配電設備を利用できるよう需要を誘導する措置を取ることも議論されたが そのような需要側の地点別託送料金の導入については その効果 影響や実務上の課題等を引き続き精査する必要があるため 長期的検討課題とする 6

3-4. 送電ロスの補填に係る効率性と透明性向上 現行制度において 送電ロスは各エリアの一般送配電事業者が設定する託送供給等約款に定められた一定のロス率を踏まえて小売電気事業者が補填することとなっている このため 発電側 小売側はもちろん 一般送配電事業者においても 送電ロスを削減するインセンティブが働きにくい また 送電ロスの削減は 電力に係る全体のコスト抑制につながる重要な取組であるが 電圧別等の送電ロスの詳細な発生実態や一般送配電事業者による高圧化等の送電ロス削減に向けた取組の実態は公表されていない このため まずは 送電ロス発生の実態を詳細に把握 公表し 透明性の向上を図る 具体的には 一般送配電事業者に送電ロスに係る実態に関する情報の公表を求める また 託送収支の事後評価を通じて 送電ロス削減に向けた取組を促すとともに 託送供給等約款上のロス率との乖離が大きい場合等にロス率の見直しを求めることとする 送電ロスの調達 補填主体については 一般送配電事業者がこれを行うことにより メリットオーダーに基づき最も低価格で調達 補填できる可能性がある 一方 新市場の制度設計をはじめ調達環境によっては現行どおり小売電気事業者による調達 補填の方が効率的という可能性もある このため 一般送配電事業者による調達 補填に移行することを基本としつつ その具体的な仕組みについて 新市場等の動向も踏まえ 今後検討を深める 更に 送電ロスを削減するような地点への電源立地を促す方向で 地点別にロス率を設定することについても議論されたが まずは 基幹系統投資効率化 送電ロス削減割引の導入効果を見定めることとし 中期的な検討課題とする 4. スケジュール 2020 年以降できるだけ早い時期を目途に導入することを目指す ただし 関連する制度改革の進捗との整合性やシステム開発等の各事業者の準備期間等を適切に考慮する 送電ロスの一般送配電事業者による一括補填 調達への移行や送電ロスの料金制度については今後検討を深めていくこととなるが 当該見直しにあたっては 発電側基本料金等の他の見直しと必ずしも時期を合わせる必要はなく 取引所の活性化状況などを踏まえつつ 適切な導入時期を検討する 以上 7