IAEA(国際原子力機関)の査察技術開発への協力 - 日本発の技術で核不拡散に貢献 -

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我が国のプルトニウム管理状況

我が国のプルトニウム管理状況

別紙 平成 25 年末における我が国の分離プルトニウム管理状況 1. 分離プルトニウムの保管状況 ( ) 内は平成 24 年末の報告値を示す (1) 国内に保管中の分離プルトニウム量 単位:kgPu 再 施設名 ( 独 ) 日本原子力研究開発機構再処理施設 日本原燃株式会社再処理施設 合計 処 理

A23 A24 A25 A26 A27 A28 A38 A39 燃料再処理 A40 A41 A42 A43 第 3 日 休 憩 総合講演 報告 3 日本型性能保証システム 燃料再処理 A29 A30 A31 A32 A33 A34 A35 燃料再処理 A36 A37 燃料再処理 A44 A45 A4

第28回原子力委員会 資料第3号

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第 2 日 放射性廃棄物処分と環境 A21 A22 A23 A24 A25 A26 放射性廃棄物処分と環境 A27 A28 A29 A30 バックエンド部会 第 38 回全体会議 休 憩 放射性廃棄物処分と環境 A31 A32 A33 A34 放射性廃棄物処分と環境 A35 A36 A37 A38

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高速炉技術に対する評価のまとめ 2

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日程表 mcd

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( 裏 ) ( 注 )1 1 の欄は, 記入しないでください 2 核燃料等を取り扱う行為等 の欄は, 修正申告に係るものを で囲んでください 3 2 の欄は, 茨城県核燃料等取扱税条例付則第 4 条第 1 項の規定に該当する使用済燃料について記入してください 4 3 の欄は, 茨城県核燃料等取扱税条

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研究炉に関わる研究環境と課題

内容 核不拡散 核セキュリティについて 機構の核不拡散 核セキュリティに資する活動 核不拡散 核セキュリティ分野での人材育成 むすび ~ 核不拡散 核セキュリティ分野における 取組に向けた人材育成の課題 ~ 1

2 発表内容 (1) 保障措置環境試料分析について (2) フィッショントラック- 表面電離質量分析 (3) 二次イオン質量分析 (4) プルトニウム精製年代分析 (5) まとめと今後の予定 * 本報告には 原子力規制委員会 原子力規制庁からの受託研究 保障措置環境分析調査 の成果が含まれます

原子力規制委員会について 独立性の確保 : 原子力利用における 推進 と 規制 を分離し 専門的な知見に基づき中立公正な立場から独立して原子力安全規制に関する職務を担う組織として 原子力規制委員会 を設置 原子力規制組織の一元化 : 原子力安全 核物質防護 核不拡散の保障措置等に関する規制を一元化

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資料 4 廃止措置施設における 保障措置について 2019 年 4 月 24 日 Copyright CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved. 1

免責事項 本ハンドブックは 国際 SSAC 研修コースの補助教材として JAEA の ISCN スタッフにより作成された 本ハンドブックは 研修の参考資料として利用し 配布は禁じる ISCN は本ハンドブックに記載される内容 情報又は意見について必ずしも保証を行わない 1

文部科学省所管独立行政法人の見直し当初案 資料 1-1 文部科学省所管独立行政法人の見直し当初案の内容一覧表 日本原子力研究開発機構 P.1 見直し当初案整理表 日本原子力研究開発機構 P.3

山田 

スライド 1

1 海水 (1) 平成 30 年 2 月の放射性セシウム 海水の放射性セシウム濃度 (Cs )(BqL) 平成 30 年 平成 29 年 4 月 ~ 平成 30 年 1 月 平成 25 ~28 年度 ~0.073 ~ ~0.

原子炉の原理と構造

会場 F 会場 (40 人 ) 日時北九州国際会議場 31 会議室 10:00 中性子源, 中性子工学 9 月27 日( 木 ) 12:00 13:00 14:30 17:00 F01~08 医療用原子炉 加速器 / 中性子源, 中性子工学 F09~13 中性子源, 中性子工学 F14~17 ~16

新旧対照表

使用済み燃料の処理 処分の観点からの核燃料サイクルにおける高速炉の意義と 高速炉使用済み燃料再処理の 技術動向と課題 資料 2 鈴木達也 長岡技術科学大学 1

資料3-1東京工業大学における核不拡散・核セキュリティに関する研究と 人材育成(パワーポイント資料)(東京工業大学説明資料)

実用発電用原子炉の設置 運転等に関する規則 ( 抜粋 ) ( 昭和 53 年 最終改正 : 平成 25 年 )( 通商産業省令 ) ( 工場又は事業所において行われる廃棄 ) 第九十条法第四十三条の三の二十二第一項の規定により 発電用原子炉設置者は 発電用原子炉施設を設置した工場又は事業所において行

原子力機構_2018_P01-53_1025.indd

高 核燃料サイクル施設に対する効果的な保障措置アプローチの確立 追加議定書 取り扱う核物質のの観点からの注目度 廃棄物処分 採鉱製錬 在来型保障措置 MOX 燃料加工 ウラン燃料加工 プルトニウム転換 ウラン転換 Reactor 再処理 ウラン濃縮 低 施設の能力の観点からの注目度 高 ウランプルト

第39回原子力委員会 資料第1-1号

目次 1 最近の主な国際動向のまとめ イラン核協議 再度包括的合意期限延長

サイエンスカフェ結果報告「核燃料サイクルを考える――環境社会学の視点から」

放射性廃棄物の発生 Q 放射性廃棄物 ってなに? 放射性廃棄物の発生場所 使用済燃料のリサイクルに伴って発生する廃棄物 放射性廃棄物 は 原子力発電や 使用済燃料のリサイクルなどに伴って発生する ( 放射線を出す ) 放射性物質を含む廃棄物 です 原子力発電所の運転に伴って発生する放射性廃棄物 ラン

42 青森県核燃料物質等取扱税条例 ( 課税の根拠 ) 第 1 条地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 4 条第 3 項の規定に基づき この条例の定めるところにより 核燃料物質等取扱税を課する ( 用語の意義 ) 第 2 条この条例において 次の各号に掲げる用語の

我が国における放射性廃棄物処分に係る規制動向Ⅲ 文部科学省における取組について

開催日時 平成25年11月14日 木 9:3 17: 会場 東海大学高輪キャンパス1号館 第2会議室 講師 東海大学工学部原子力工学科 教授 大江 俊昭 氏 講義 課題1 放射性廃棄物処分の安全評価解析の基礎 Ⅰ 浅地中ピット処分の事例分析 Ⅱ 地層処分の事例分析 課題2 放射性廃棄物処分の安全評価

別紙 1 防災訓練結果報告の概要 1. 訓練の目的本訓練は 核物質管理センター六ヶ所保障措置センター原子力事業者防災業務計画第 2 章第 5 節第 2 項 防災訓練 に基づき 原子力災害を想定した総合訓練を実施することで 原子力防災組織が有効に機能することを確認する 訓練後は訓練モニターの評価結果

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リスク分布予備評価

生産ライン・設備機器メーカー双方の課題をIoTで解決!

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

原子炉物理学 第一週

第 4 部 核不拡散 第 1 章 地域の不拡散問題と日本の取組 第 1 節 北朝鮮 1. 北朝鮮をめぐる最近の情勢北朝鮮の核 ミサイル問題は 国際社会の平和と安全に対する重大な脅威であり 特に核問題は国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦である 2002 年 10 月に北朝鮮がウラン濃縮計画を有して

卵及び卵製品の高度化基準

適正処理の実現に向けた社内の取組内容 従業員の教育訓練の実施状況 社内研修を実施している ( 研修の内容 ) 廃棄物処理法について安全性の確保について ( 研修の頻度 ) 年 1 回半年に1 回 3ヶ月に1 回月 1 回 ( ) 外部研修を受講させている ( 研修の内容 ) 安全運転教育 事故時の対

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ニュースレター「SEI WORLD」2016年6月号

核兵器の種類 濃縮ウランU-235 広島投下原爆 ウラン爆弾の濃縮は困難 兵器製造は容易 高濃縮ウラン25kgで兵器製造 小規模の施設で濃縮可能のため探知困難 プルトニウムPu-239 長崎投下原爆 Pu 製造は比較的容易だが 兵器製造は困難 8kgで兵器製造 米国は原子炉級の19% 超の Pu-2

項番 場所 コメント 確認事項等 ご説明 / 確認事項 ご説明日面談を踏まえた対応方針案 主 -5 対応方針案 貯槽に貯留されている廃液の核種 数量及びその処理など 廃止措置段階における各種の明確化のための見直しを行う 放射性廃液の処理工程が明確でない ( コメント150,151,152,153,1

高レベル放射性物質研究施設視察報告 2008 年 4 月 16 日 13 時 30 分 ~17 時視察参加者 :10 名 視察の記録 2008 年 1 月 16 日視察実行委員会 3 月 10 日事前説明会 4 月 16 日視察 ホットセル施設 分析室 実験室地下施設 6 月 5 日視察レポート提出

日・インド原子力協定

試験研究炉の状況について

研究開発の位置づけ エネルギー基本計画 ( 平成 26 年 4 月閣議決定 ) 高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取り組みの抜本強化のための方策として 地層処分の技術的信頼性について最新の科学的知見を定期的かつ継続的に評価 反映するとともに 幅広い選択肢を確保する観点から 直接処分など代替処分オ

日本産食品の輸入規制の撤廃の要請,3 原子力安全 ( 安全最優先の原子力発電所の再稼働,IRRSフォローアップミッション実施の要請,OSARTフォローアップミッション受入れ等 ),4 原子力の平和的利用 ( 平和と開発のための原子力 に係る天野事務局長の取組への支持, 本年 11 月の原子力科学技術

管理下にない放射性物質を見つけたら ~ 放射性物質が思わぬところから発見されることがあります ~ 原子力規制委員会原子力規制庁原子力防災政策課事故対処室安全規制管理官 ( 再処理 加工 使用担当 ) 付放射線対策 保障措置課放射線規制室放射線対策 保障措置課保障措置室監視情報課

核軍縮 2017 年 7 月に核兵器禁止条約 (TPNW) が成立しました しかしながら 核軍縮の実質的な進展は依然として見通せない状況が続いています 核 兵器を保有する国々は核戦力の近代化 強化を進め また安全保障環境 が不安定化する中で 核抑止の役割を再認識しつつあります 核兵器 のない平和で安

目次 1 核不拡散 核セキュリティに関するトピックス 米印原子力協力協定に基づく協力の実施に係る両国の合意について ( 概要 ) 米印原子力協力協定は 2008 年 10 月に署名 同年 12

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もんじゅ研究計画

スタート! RI119

4 会計監査人有限責任あずさ監査法人の監査の方法及び結果は相当であると認めます 5 事業報告書は 法令に従い 法人の状況を正しく示しているものと認めます 6 法人の業務に関する個別意見は別紙のとおりです Ⅲ 独立行政法人改革等に関する基本的な方針等過去の閣議決定において定められた監査事項についての意

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核軍縮・核不拡散体制の維持・強化

目 次 Ⅰ. 背景 1 Ⅱ. 調査方法 1 Ⅲ. 調査結果及び今後の対応 3 Ⅳ. 原子力機構の対応 10

( ブランクページ )

2 号機及び 3 号機 PCV - 分析内容 原子炉格納容器 (PCV) 内部調査 (2 号機平成 25 年 8 月 3 号機平成 27 年 10 月 ) にて採取された (LI-2RB5-1~2 LI-3RB5-1~2) を試料として 以下の核種を分析した 3 H, Co, 90 Sr, 94 N

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謝辞

食肉製品の高度化基準 一般社団法人日本食肉加工協会 平成 10 年 10 月 7 日作成 平成 26 年 6 月 19 日最終変更 1 製造過程の管理の高度化の目標事業者は 食肉製品の製造過程にコーデックスガイドラインに示された7 原則 12 手順に沿ったHACCPを適用して製造過程の管理の高度化を

とを目指す必要がある このためには以下の10 領域における政策課題に取組む必要がある また 分類 Ⅳに分類される意見に基づく場合であっても 原子力施設の廃止措置やこれまで原子力発電の利用に伴い発生した放射性廃棄物の処分の取組に関するこれらの領域における政策課題に取組まなければならない (1) 福島第

平成**年*月**日

自動車環境基準の審査

海外における高レベル放射性廃棄物 処理 処分の取組み事例について 平成 26 年 2 月 18 日 公益財団法人原子力環境整備促進 資金管理センター 1

7 設していたことが明らかになりました これらの問題をめぐって 英仏独(EU3)とイラン政府との間で交渉が始まりましたが 遅々として進展は見られませんでした こうしたなかで 〇五年にアフマディネジャド政権が成立し 〇六年にはウラン濃縮が再開されるに至りました この問題は国連安保理に持ち込まれ イラン

平成28年版原子力白書 ~概要~

IAEA 核セキュリティ シリーズ 核物質及びその他の放射性物質及びそれらの関連施設に係る盗取 妨害破壊行為 無許可立入及び不法移転又はその他の悪意のある行為に対する 防止 検知及び対応に関係した核セキュリティの問題は IAEA 核セキュリティ シリーズの文書で取扱われる これらの文書は 改正された

日商PC検定用マイナンバー_参考資料

労働者派遣契約書(雛形)

よる 誓約 への留意 ( パラ 139) 核兵器使用の影響は瞬時又は長期的な結末をもたらし, それが以前理解されていたよりもずっと深刻であることを確認 ( パラ 140) あらゆる核兵器の使用による壊滅的で非人道的な結末に関する深い懸念は, 核軍縮分野における努力を下支えし続けるべき鍵となる要因であ

熊原第 号 廃止措置実施方針 ( 公表 ) 平成 30 年 12 月 25 日 原子燃料工業株式会社 熊取事業所

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平成 28 年度 事業報告書 平成 28 年 10 月 3 日から平成 29 年 3 月 31 日まで 使用済燃料再処理機構

福島第一発電所構内で採取した建屋内瓦礫の放射能分析

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研究炉班 : 審査会合 (28 回実施 ) ヒアリング (111 回実施 ) 地震津波班 : 審査会合 (33 回実施 ) ヒアリング (73 回実施 ) 新規制基準対応の想定スケジュール (HTTR) 設置変更許可申請 : 平成 26 年 11 月 26 日 第 1 回 : 平成 28 年 10

資料 平成 29 年度活動結果概要 2018 年 3 月 20 日 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構核不拡散 核セキュリティ総合支援センター 平成 29 年度第 2 回核不拡散科学技術フォーラム

科研バックエンド問題研究会 高レベル放射性廃棄物 (HLW) 処理 処分施設の社会的受容性に関する研究 第 8 回研究会 2017 年 6 月 1 日 福島原発事故後の原子力政策の課題と展望 核燃料サイクル政策からみるバックエンド問題 明治大学法学部 勝田忠広 はじめに なぜ 日本の原子力 核燃料サ

PowerPoint プレゼンテーション

東 京 都 小 金 井 市

Transcription:

平成 20 年 2 月 19 日第 3 回東海フォーラム IAEA( 国際原子力機関 ) の査察技術開発への協力 - 日本発の技術で核不拡散に貢献 - 独立行政法人日本原子力研究開発機構プルトニウム燃料技術開発センター技術部次長高橋三郎 1

原子力開発を支える 4 つの車輪 核不拡散 原子力 核物質防護 情報公開 保障措置 安全確保 人類の豊かな生活へ 2

核不拡散 ( 核物質防護と保障措置 ) 核物質防護 : 核物質の盗取や施設の破壊を防ぐこと カメラシステム 車両ゲート磁気カードサーベランスシステム 監視室 侵入検知センサー 出入管理システム 保障措置 : 核物質の平和利用を世界に証明すること 3

保障措置の仕組み 国際原子力機関 (IAEA) 報告 評価結果 文部科学省 査察 報告 査察 核物質の計量管理 原子力施設 4

国際原子力機関 (IAEA) 原子力の平和利用を推進 原子力の軍事目的への転用を検知 監視 IAEA IAEA 本部本部 (( オーストリア ウィーンオーストリア ウィーン )) IAEA IAEAとエルバラダイ事務局長ノーベル平和賞を受賞 (2005 (2005 年 )) 5

計量管理 計量管理とは 原子力施設にある核物質の所在 量 形状 組成を厳密に管理すること ( 例 MOX 燃料施設の場合 ) 搬入量 移動量移動量移動量 搬出量 原料 粉末ペレット燃料ピン集合体 測定 記録 報告 国及び IAEA 6

査察ではどのようなことが行われるの? (1) 計量管理記録の検査 計量管理記録の確認作業 計量管理記録に不整合がないかの確認 7

王冠シール貯蔵容器査察ではどのようなことが行われるの? (2) 封印と監視 監視カメラ 貯蔵庫 貯蔵庫は常時監視されている 8

査察ではどのようなことが行われるの? (3) 重量測定と破壊分析 重量測定試料の採取と破壊分析 + 輸送 IAEA の標準分銅 IAEA 分析所 測定結果の解析測定結果の解析 高精度に核物質量を確認 核物質分析装置核物質分析装置 9

査察ではどのようなことが行われるの? (4) 非破壊測定 中性子 検出器 中性子の数で Pu 量を測定 短時間で核物質量を確認 10

核燃料サイクル工学研究所 ( サイクル研 ) (1) どのような原子力施設があるか? サイクル研において研究開発を実施している施設 MOX 燃料 転換 ウラン濃縮 MOX 燃料施設 高速増殖炉 ( もんじゅ 常陽 ) 次世代燃料 サイクル 高速炉燃料再処理 (R&D 施設 ) 軽水炉燃料サイクル軽水炉燃料再処理 燃料加工 廃棄物処理 処分 (R&D 施設 ) 軽水炉 高レベル放射性物質研究施設 ガラス固化技術開発施設 (TVF) 地層処分基盤研究施設 ( エントリー ) 再処理施設 11

サイクル研 (2) 再処理施設 査察の特徴 運転中 : 毎日査察を実施 ( 査察官が常駐 ) 停止中 : 毎月毎月 1 回の査察を実施 ( 査察官 1 人が人が5 日間日間 ) 12

サイクル研 (3)MOX 燃料施設 査察の特徴 毎月毎月 1 回の査察を実施 ( 査察官 7 人が人が2 日間日間 ) 13

サイクル研 (4) 査察の実績 プルトニウムを取扱う施設では ウランだけを取扱う施設に比べてより厳しい査察を実施 有意量 * 査察の頻度査察での測定数 プルトニウム 8 kg Pu 1 ヶ月毎多 ウラン 75 kg U235 (3% の濃縮 U の場合 2.5 ton U に相当 ) *: 核爆発装置 1 個の製造に必要な核物質のおおよその量 1 年毎少 日本 約 2,300 人 日 MOX 燃料施設約 500 人 日 その他の国 その他の施設 再処理施設約 600 人 日 世界の査察実績 ( 約 10,000 人 日 ) 日本の査察実績 14

保障措置技術開発 (1) その必要性 ( 施設の大型化 自動化への対応 ) 大型 自動化施設の特徴 核物質の取扱い量の増大 設備の自動化 従来の査察方法 IAEAが査察機器を持ち込み 核物質に直接接近して測定 従来の査察方法を踏襲した場合の課題 査察業務量の増加 施設停止日数の増加 査察に伴う被ばくの増加 自動化設備と調和した保障措置システムの開発 15

保障措置技術開発 (2) 査察官非立会測定システムの開発 中性子測定装置を核物質の自動搬送台車に組込むことにより 査察官がその場にいなくても 施設運転中に査察に必要なデータを自動的に取得できるシステム 貯蔵容器 世界で初めて開発及び実証 査察業務量の低減に寄与 世界の原子力施設において広く採用 移動監視装置 非破壊測定データ ( 移動方向 ) ( 中性子計数率 ) ( 時間 ) 自動搬送台車 貯蔵庫 容器番号読み取りカメラ 非破壊測定装置 画像データ 非破壊測定データ ( プルトニウム量 ) 貯蔵容器測定システム 日付 No.001 No.001A No.001 2001/1/23 2001/1/23 2001/1/23 時刻 計数値 01/1/23 10:01 3232±12.2 01/1/23 10:02 3216±11.8 01/1/23 10:03 3178±11.1 01/1/23 10:04 3265±12.1 16

保障措置技術開発 (3) 遠隔監視システムの開発 施設内に蓄えられた査察データを査察側事務所に伝送することにより 査察側が遠隔地で査察情報を自動的に取得できるシステム 世界で初めて開発及び実証 ( 非破壊測定情報 ) 査察官の施設訪問を不要 施設運転の透明性を向上 IAEA IAEA GPS 時間信号 インターネット データ評価用コンピュータ NDA データ機器情報データ MDS 収 集 転 送 防護評価暗号化 / 認証 JSGO国 VPN PCAS 計数装置 ( AMSR ) データ収集用コンピュータ データ転送用サーバ 遠隔監視システム データ評価用コンピュータ 17

保障措置技術開発の成果 (1) 核不拡散への貢献 1 IAEA 保障措置への貢献 査察業務量の削減に寄与 開発技術の他国での活用 (IAEA 査察技術の標準化 ) 2 解体核の検証への貢献 Pu Pu 在庫量と在庫量と IAEA IAEA 査察業務量の推移査察業務量の推移 88 年を 100 とした相対値 (%) 400 350 300 250 200 150 100 50 0 フ ルトニウム在庫量査察業務量 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 ( 暦年 ) NPT 保障措置適用開始 第三開発室運転開始 Pu 転換,Pu 第一, 第二, 第三開発室を対象 米国とロシアの解体核の検証技術ワークショップの風景 18

保障措置技術開発の成果 (2) 六ヵ所核燃料サイクル施設への貢献 六ヵ所核燃料サイクル施設 ( 再処理施設及び MOX 燃料加工施設 ) への技術移転 サイクル研で開発された保障措置技術 六ヶ所 計量管理システム 廃棄物測定システム ガラス固化体モニタリ ングシステム 技術移転技術移転 東海 集合体測定システム 溶液モニタリングシステム ハルカスク測定システム 19

新しい保障措置への取組み (1) IAEA 保障措置の強化 イラクの核開発計画の発覚 (1991 年 ) 北朝鮮の核開発疑惑 (1993 年 ) それまでの IAEA のやり方では不十分 IAEA に新たな権限を付与 (1997 年 ) 新たな権限で強化された保障措置従来の保障措置申告された核物質及び原子力活動のみ確認 未申告の核物質及び原子力活動を探知 高度環境分析所 ( 原子力科学研究所 ) 日本でも強化保障措置を実施 (2000 年 ) 20

新しい保障措置への取組み (2) IAEA 保障措置の合理化 従来の保障措置 + 強化保障措置 両者を統合し運用すること 120 100 査察量の減少で 合理化を図る査統合保障措置 問題がない国については査察レベルを緩和 80 察量60 40 20 この分を 問題がありそうな国にまわすのじゃな! 0 従来の保障措置 統合保障措置 21

新しい保障措置への取組み (3) 日本における統合保障措置 IAEA は 2004 年 9 月に 日本に対して統合保障措置への移行を決定 その他の保障措置 8 北朝鮮 1 大規模な原子力活動を行っている国としては 日本が初めて統合保障措置への移行が認められた 従来の保障措置 + 従来の保障措置 77 IAEA の保障措置下にある国 156 ヶ国 強化保障措置 70 このうち 9 ヶ国 (*) が統合保障措置への移行が認められた (2005 年末現在 ) ウラン取扱い施設は適用開始 軽水炉 研究炉 ウラン加工施設 *: 日本 オーストラリア ハンガリー インドネシア ノルウェー ペルー ウズベキスタン ブルガリア スロベニア プルトニウム取扱い施設へのプルトニウム取扱い施設への適用方法を検討中適用方法を検討中 22

新しい保障措置への取り組み (4) 抜き打ち査察 プルトニウムを取扱う施設の統合保障措置手法 サイクル研が開発した技術の最適な組合せ ( 査察官非立会い検認システムや遠隔監視システム等 ) 抜き打ち査察の導入 さて 今日の抜き打ちはどの施設にしようかな? 抜き打ち査察とは? 抜き打ち査察は 直前 ( 短時間 ) の通告で いつでも どこでも立ち入り可能 効果 不正な原子力活動の抑止効果の向上 23

新しい保障措置への取組み (5) サイクル研の今後の役割 サイクル研は これまで開発してきた技術を基に 統合保障措置手法を構築し IAEA に提案 世界で初めて プルトニウム取扱い施設で統合保障措置を実証する ( 予定 ) サイクル研は今後も核不拡散分野において先導的役割を果たしていく 24