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Transcription:

我が国における研究不正の状況について 平成 26 年 7 月 29 日 ( 火 ) 文部科学省大臣官房参事官 松尾泰樹

1. 我が国における研究不正の状況 1

情報管理 2013 年 6 月号 ( 独 ) 科学技術振興機構松澤孝明 研究活動の不正行為への対応のガイドライン の見直し 運用改善等に関する協力者会議 ( 第 2 回 ) (2013 年 12 月 6 日 ) 松澤参事役説明資料 研究不正の内容 1. ガイドライン上の不正行為 捏造 改ざん 盗用 (FFP) に限定 2. ガイドライン上の 不正 とまではいえない 不適切 な行為 (QRP) 二重投稿 ( または 多重投稿 ) 不適切なオーサーシップ 臨床研究にかかる手続き違反 その他 ( 業績水増し サラミ出版 等 ) 全体の約 6 割が盗用型 約 3 割が捏造 改ざん型 1 自然科学系 : 捏造改ざん型が 56% 2 人文 社会科学系 : 盗用型が約 90% わが国における研究不正の内容 (113 件 ) 倫理規定違反 3% 二重投稿 4% 盗用型約 6 割 オーサーシップ 1% 盗用型 58% その他 5% 研究不正等の内容 ( フラクショナルカウント ) 捏造 16% 改ざん 7% 流用 使いまわし 6% 捏造 改ざん型約 3 割 ( 注 ) 事案に対する各不正の寄与率を考慮した換算法で計算 National research integrity System, JST Matsuzawa 2

情報管理 2013 年 6 月号 ( 独 ) 科学技術振興機構松澤孝明 40.0 研究不正等が発生した専門分野 研究不正等の件数及 び 大学等の研究本務者数 の専門分野別構成比 ( 単位 :%) 研究活動の不正行為への対応のガイドライン の見直し 運用改善等に関する協力者会議 ( 第 2 回 ) (2013 年 12 月 6 日 ) 松澤参事役説明資料 35.0 30.0 25.0 医歯薬系が最多 ( 全体の約 3 割 自然科学系の約 6 割 ) ( ただし 研究者規模に比べて少ない ) 教育 経済系も多い ( 研究者規模に比べて多い ) % 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 医 歯 薬学 農 獣医学生物 化学 応用化学 自然科学系の約 75% がライフ 物理 地学その他理工学 文学哲学 心理学教育 専門分野 史学その他の人文法学 政治 研究不正件数 ( 累計 ) 大学等の本務研究者数 (2012) 商学 経済 社会学 その他の社会科学 その他 ( 不明 ) National research integrity System, JST Matsuzawa 3

2. 研究活動における不正行為に関する大学等の研究機関の取組状況について ( 調査結果 ) 4

1. 調査の趣旨 概要 調査期間平成 25 年 1 月 11 日 ~28 日 調査対象大学及び文部科学省所管の研究機関等 1,236 機関 大学 780 機関 ( 国立 :86 機関公立 :82 機関私立 :612 機関 ) 短期大学 361 機関 ( 公立 :19 機関私立 :342 機関 ) 高等専門学校 57 機関 ( 国立 :51 機関公立 :3 機関私立 :3 機関 ) 大学共同利用機関法人 4 機関 国立教育政策研究所 科学技術政策研究所 文部科学省所管の独立行政法人 32 機関 回収率 89% (1,100/1,236 機関 ) 5

2. 調査結果 規程の整備状況 調査対象機関の 90% 以上は 研究活動における不正行為に関する規程を既に整備している 或いは整備する予定となっている < 全体 > 43 機関, 4% 1 機関 < 大学 > 72 機関, 10% < 短期大学 > 18 機関, 20 機関, 7% 2% 1 機関 124 機関, 11% 50 機関, 18% 932 機関, 85% 633 機関, 88% 213 機関, 75% 整備済み整備する予定整備する予定なし未回答 整備済み整備する予定整備する予定なし 整備済み整備する予定なし 整備する予定未回答 6

告発窓口の設置状況 調査対象機関の約 90% は 告発等の受付窓口を設定しているが そのうち約 83% は告発等を受けた実績がない ( 機関 ) 大学 短期大学 その他 計 設置済み 670 234 89 993 うち 告発等受付実績あり 72 3 9 84 うち 告発等受付実績なし 545 213 69 827 うち 告発等受付実績未回答 53 18 11 82 設置する予定 44 36 1 81 設置する予定なし 9 14 3 26 合計 723 284 93 1100 不正行為に関する調査等の実施のための体制整備の状況 調査対象機関の約 84% は 不正行為に関する調査の実施や不服申立てへの対応のための体制を整備しているが 短期大学においては 整備状況がやや遅れている < 全体 > < 大学 > 13 機関, < 短期大学 > 149 機関, 13% 30 機関, 3% 90 機関, 12% 2% 58 機関, 20% 14 機関, 5% 921 機関, 84% 620 機関, 86% 212 機関, 75% 整備済み整備する予定整備する予定なし 整備済み整備する予定整備する予定なし 整備済み整備する予定整備する予定なし 7

規程や告発窓口に関する教員等への周知の状況 調査対象機関の約 90% は 研究活動における不正行為に関する規程や告発窓口の設置場所等について 機関内の教員等に周知を行っている ( ) 周知している には 規程を整備した際や窓口を設置した際に周知している も含む < 全体 > 21 機関, 2% 84 機関, 8% 2 機関 < 大学 > 43 機関, 6% 8 機関, 1% 1 機関 < 短期大学 > 10 機関, 4% 37 機関, 13% 1 機関 993 機関, 90% 671 機関, 93% 236 機関, 83% 周知している ( ) 今後予定している周知していない未回答 周知している ( ) 今後予定している周知していない未回答 周知している ( ) 周知していない 今後予定している未回答 研究者倫理の向上のための取組 ( 1) の実施状況 特に 学生を対象とした研究者倫理の向上のための取組を実施していない機関が多い < 対象者 : 教員 研究者 > < 対象者 : 学生 > ( 機関 ) 600 (77.2%) (78.4%) 558 ( 機関 ) 600 567 500 400 400 (93.7%) 200 266 (22.8%) (63.4%) 300 (21.6%) 165 180 (36.6%) (88.2%) 200 156 (87.1%) 104 82 (6.3%) (12.9%) (11.8%) 81 100 11 18 12 0 0 大学 短期大学 その他 ( 2) 大学 短期大学 その他 実施している 実施していない 実施している 実施していない ( 1) 研修会やパンフレットの配布等 ( 2) その他 は大学 短期大学以外の調査対象機関 8

2014 年 7 月 29 日日本学術会議主催学術フォーラム 研究倫理教育プログラム 閉会の挨拶に代えて 科学技術振興機構 大竹 暁

科学と社会の関係 政策決定者 : 社会のリーダー より良い判断 をなすため 人々 身近な科学 ( 例 : 科学コミュニケーション ) 現代 古くは 公共財 私財組織的 非組織的制度的 非制度的 リソースの提供 支援の要請 科学 ( の営み ) 真理の探究疑問の解決 考える葦 の知的な営み 触発 新知見 ニーズ問題意識 人々が信じられる公正な研究の姿勢 新たな技術 方法 社会 新しい経済的価値 ( 例 : 新製品 ) 新しい社会的価値 ( 例保険 ) 人類共通の財産 ( 知識の蓄積 )

科学と社会の関係を考える 科学も科学者も社会の中にある 今日 科学は公的な支援のもので行われており スポンサーは社会であり 人々である 科学者 科学コミュニティは社会の信任を得なければ 一般的に研究を行う権利を保有できないのではないか 研究不正は 社会の信任を失うことにつながる 従って 研究倫理の問題は大変重要

研究倫理は誰が確保するのか (1) 研究機関やファンディング機関は研究不正が行われないように万全の備えをする 例えば JSTは 参画する研究者への研究倫理教材の受講を義務化してきた また ガイドラインの改定を踏まえ 今後は研究倫理教育についての体制を整備した研究機関の研究者が応募資格を有する方向で検討中 しかし 研究倫理教育についての議論は 常に科学コミュニティが自ら行うべきではないか

研究倫理は誰が確保するのか (2) そもそも研究の健全性 (Research Integrity) は 科学の公正性を担保する本質的なもの 誰かからこうすべし言われる とか 誰かに強要されて行うものだろうか 科学者 技術者など研究に携わる者が自律的に行うべき事柄で 学問の自由と相補的な関係にあると考えられる

世界の動向を見ると 各国関係者や Global Research Council では研究の健全性 (Research Integrity) とオープン化の二つが最近の話題 この二つは実に表裏の関係になる 科学論文のオープンアクセスはすでに大きな流れになっているが 次に来るのはオープンデータ 科学の流れは 仮説を立て それに基に実験 計算 シミュレーションで検証し その結果をデータ 写真など客観性の高い形で示すことで 説として裏付ける つまり 再検証可能な形で示すこと 研究の健全性はこのプロセスが真っ当に行うことが担保されること

データを公開することで健全性を示す オープンデータはデータの質を求め その扱いについてきちんとした認識を求めることになる そういう認識を持つ人々が デファクトスタンダードを作り 研究のルールを定めることになる 認識を持たない人はフォロワーになって人が作ったルールで窮屈な形で研究するか 研究の質を疑われて退出させられる可能性もある 研究倫理もオープンデータも科学コミュニティが自覚を持たないと 将来大きく自由度を奪われる可能性

科学者 科学コミュニティの自覚を 求めます 科学者 技術者が研究するのは自らの名声のためだけではないはず なぜなら 科学は社会の中にあるので では 自身の科学の関心だけを追っていれば良いわけではない 科学と社会の関係を常に念頭に だとすると研究倫理は研究を行うものの必須要件 加えて オープンデータを迎えて 様々なたしなみが求められる データを公正に扱い 処理することの必要性 例えば 統計学の基本は 研究をする者の基本的なたしなみ ( 世界では常識 )

人々や社会の理解なしに科学の研究はあり得ない そのためには科学者や科学コミュニティは襟を正して 公正な研究の推進に努めるべき かつては Publish or Perish 今や Publish, Public or Perish PublicはPublic Engagementで 科学コミュニケーションなども重要だが 何より研究の健全性の確保 研究倫理やたしなみの教育を確立し 研究に従事する者の自覚を高めないと 科学研究は支持されない!

本日のフォーラムを契機に 皆さんで取り組みましょう