AI農業の取組について

Similar documents
資料 2 農業データ連携基盤の構築について 農業データ連携基盤 (WAGRI) WAGRI とは 農業データプラットフォームが 様々なデータやサービスを連環させる 輪 となり 様々なコミュニティのさらなる調和を促す 和 となることで 農業分野にイノベーションを引き起こすことへの期待から生まれた造語

宮城県 競争力のある大規模土地利用型経営体の育成 活動期間 : 平成 27~29 年度 ( 継続中 ) 1. 取組の背景震災により多くの生産基盤が失われ, それに起因する離農や全体的な担い手の減少, 高齢化の進行による生産力の低下が懸念されており, 持続可能な農業生産の展開を可能にする 地域営農シス

資料 3-1 人工知能や IoT によるスマート農業の 加速化について ( 案 ) 平成 28 年 11 月

知創の杜2015 vol4

唐津市農業委員会 農地等の利用の最適化の推進に関する指針 平成 2 9 年 11 月 8 日 唐津市農業委員会 第 1 基本的な考え方農業委員会等に関する法律 ( 昭和 26 年法律第 88 号 以下 法 といいます ) の改正法が平成 28 年 4 月 1 日に施行され 農業委員会においては 農地

AI IoTを活用したスマート農業の加速化 人手不足への対応や生産性の向上を進めるためには ICTを活用したスマート農業の推進が重要 今後人工知能やIoT等の先進技術により 生産現場のみならずサプライチェーン全体にイノ ベーションを起こし 生産性向上や新たな価値創出を推進 1

untitled

スライド 1

<4D F736F F F696E74202D D815B F838A F A8D F8BC6816A88F38DFC97708CB48D65816A5B93C782DD8EE682E890EA97705D>

技術名

1. 実現を目指すサービスのイメージ 高齢者や障害者 ベビーカー利用者など 誰もがストレス無く自由に活動できるユニバーサル社会の構築のため あらゆる人々が自由にかつ自立的に移動できる環境の整備が必要 ICT を活用した歩行者移動支援サービスでは 個人の身体状況やニーズに応じて移動を支援する様々な情報

<4D F736F F F696E74202D D815B F8BC682CC8EE C693578A4A95FB8CFC81698A6D92E8816A2E >

<4D F736F F F696E74202D F B8817A93648AC E096BE8E9197BF E >

Microsoft PowerPoint - 資料2.pptx

平成 27 年度 ICT とくしま創造戦略 重点戦略の推進に向けた調査 研究事業 アクティブラーニングを支援する ユーザインターフェースシステムの開発 ( 報告書 ) 平成 28 年 1 月 国立高等専門学校機構阿南工業高等専門学校

平成 28 年度革新的造船技術研究開発補助金の採択結果概要 補助対象 :IoT AI 等の革新的な技術を用いた 生産性向上に資する造船技術の研究開発 ( 補助率 :1/2 以下 ) 事業予算 :0.9 億円 ( 平成 28 年度 2 次補正 ) 7 億円 ( 平成 29 年度要求中 ) 採択案件 :

「知的財産推進計画2 0 1 7 」策定に係る検討課題に関する意見書

資料 5 総務省提出資料 平成 30 年 12 月 21 日 総務省情報流通行政局

中小企業支援ツール 中小企業支援ツール は 金融機関における中小企業支援の一助となることを目的に 自社製品開発などにより下請脱却に取り組んだものづくり中小企業の知財活用を調査 分析し 経営 事業上の課題を事業ライフステージごとに整理するとともに その課題解決に向け 知財活用の観点から考えられるアクシ

日本機械学会 生産システム部門研究発表講演会 2015 資料

取組みの背景 これまでの流れ 平成 27 年 6 月 日本再興戦略 改訂 2015 の閣議決定 ( 訪日外国人からの 日本の Wi-Fi サービスは使い難い との声を受け ) 戦略市場創造プラン における新たに講ずべき具体的施策として 事業者の垣根を越えた認証手続きの簡素化 が盛り込まれる 平成 2

【千葉県事業計画】別記様式第3号別添

Bカリキュラムモデル簡易版Ver.5.0

2 1.4(0.5) 1.3(0.4) 1.2(0.4) (0.4) 3.1(0.4) 3.1(0.4)

加賀市農業委員会農地等の利用の最適化の推進に関する指針 平成 30 年 1 月 26 日制定 加賀市農業委員会 第 1 指針の目的 農業委員会等に関する法律 ( 昭和 26 年法律第 88 号 以下 法 という ) の一部改正法が平成 28 年 4 月 1 日に施行され 農業委員会においては 農地等

<4D F736F F F696E74202D E291AB8E9197BF A F82CC8A A390698DF42E707074>

2. 上記活動において 会員企業の事業展開の支援について WSN 技術に精通する会員企業の 協力を得て サポート機能の整備を図る 活動に当たっては NICT が整備したワイヤレスユーティリティネットワーク施設の活用を図る WSN-IoT AWARD 2018 とは WSN 協議会が全国から応募された

<4D F736F F F696E74202D F C F E816A C835B83938E9197BF976C8EAE28382E323890E096BE89EF E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

第3節 重点的な取り組み

田原市農業委員会 農地等の利用の最適化の推進に関する指針 平成 30 年 3 月 23 日 田原市農業委員会 第 1 基本的な考え方農業委員会等に関する法律 ( 昭和 26 年法律第 88 号 以下 法 という ) の改正法が平成 28 年 4 月 1 日に施行され 農業委員会においては 農地等の利

Microsoft Word - 結果概要.doc

PowerPoint プレゼンテーション

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

研究開発投資にかかる政府目標 安倍政権が 新 3 本の矢 の 1 つとして掲げた 2020 年頃の名目 GDP600 兆円達成 の目標や 日本再興戦略 2016( 閣議決定 ) 等に基づく 今後 5 年間での民間企業の研究開発投資の対 GDP 比 3% 目標の達成には 民間企業の研究開発投資を年平均

農業指導情報 第 1 号能代市農業総合指導センター環境産業部農業振興課 発行平成 26 年 4 月 25 日二ツ井地域局環境産業課 確かな農産物で もうかる 農業!! 農家の皆さんを支援します!! 農家支援チームにご相談ください! 今年度 農業技術センター内に農家支援

Microsoft PowerPoint - ☆PTポイント・概要(セット)

4 農林業 経営耕地面積割合 ( 農家数 ) ( 平成 27 年 ) 畑 63.4% (171 戸 ) 田 11.3% (53 戸 ) 樹園地 25.3% (102 戸 )

IT活用力セミナーカリキュラムモデル訓練分野別コース一覧・コース体系

AI 農業の展開について ( 農業分野における情報科学の活用等に係る研究会 (AI 農業研究会 ) 報告 ) 1. 背景及び趣旨わが国の農業は 世界的に見ても相当に高いレベルの技術が広く普及している またそれにより 高品質の農産物が比較的低廉な価格で供給できるような農業が実現している このことは わ

農林水産省より 2015 年農林業センサス結果の概要 ( 確定値 ) が公表されましたので 富山県の概要について 次のとおりお知らせいたします 2015 年農林業センサス結果の概要 ( 確定値 ) について ( 農林業経営体調査 富山県分 ) - 農業経営体数が減少する一方 法人化や経営規模の拡大が

Microsoft PowerPoint 農業経済論9.pptx

< F835A83938A6D95F12E786C73>

国全体で高齢化が進展しつつある現在 農林水産 業をはじめとする多くの産業分野で労働力不足が深 刻な問題となっており わが国最大の農業地域であ る北海道においても 農業の担い手の減少 高齢化 といった課題が確実に進行している ( 図 2) 図 2 北海道の年齢別基幹的農業従事者数の推移 ( 男女計 )

1. 取組の背景射水市大門地域は 10a 区画の未整備な湿田が多く 営農上の大きな障害となっていた 昭和 62 年に下条地区で県内初の大区画圃場整備が実施されたのを皮切りに 順次圃場整備が進んでいる 大区画圃場整備事業が現在の 経営体育成基盤整備事業 になってからは 農地集積に加えて法人化等の担い手

1 課題 目標 山陽小野田市のうち 山陽地区においては 5 つの集落営農法人が設立されている 小麦については新たに栽培開始する法人と作付面積を拡大させる法人があり これらの経営体質強化や収量向上等のため 既存資源の活用のシステム化を図る 山陽地区 水稲 大豆 小麦 野菜 農業生産法人 A 新規 農業

国立大学法人佐賀大学農学部佐賀県生産振興部株式会社オプティム 三者連携協定調印式 rev.3 Copyright 2015 OPTiM Co. All Rights Reserved. 1

(3) 企業像農業情勢や経営環境の変化に的確に対応することが求められるなか 統合効果をさらに追及し競争力を強化します 2020 年に創立 100 周年を迎え 1 研究開発型企業 2 地域貢献型企業 3 環境共生型企業として 真に顧客から信頼される存在感のある企業を目指します (4) 資本政策の基本的

<4D F736F F D F193B994AD955C D9E82DD835C EC091D492B28DB8816A2E646F63>

報道各位 2017 年 10 月 10 日 株式会社ナイルワークス株式会社産業革新機構住友化学株式会社クミアイ化学工業株式会社住友商事株式会社全国農業協同組合連合会農林中央金庫 農業用ドローンのナイルワークス第三者割当増資を実施 株式会社ナイルワークス ( 以下 ナイルワークス ) は この度 株式

農業情報創成 流通促進戦略に係る標準化ロードマップ ( 第 4 版 ) 平成 3 0 年 4 月 1 7 日新戦略推進専門調査会データ活用基盤 課題解決分科会取りまとめ 改定履歴版 更新日 更新概要 1 平成 27 年 3 月 31 日 新規策定 2 平成 28 年 3 月 31 日 個別ガイドライ

Holland Horti

国産粗飼料増産対策事業実施要綱 16 生畜第 4388 号平成 17 年 4 月 1 日農林水産事務次官依命通知 改正 平成 18 年 4 月 5 日 17 生畜第 3156 号 改正 平成 20 年 4 月 1 日 19 生畜第 2447 号 改正 平成 21 年 4 月 1 日 20 生畜第 1

01-02_入稿_0415

審査の品質管理において取り組むべき事項 ( 平成 27 年度 ) 平成 27 年 4 月 28 日 特許庁 特許 Ⅰ. 質の高い審査を実現するための方針 手続 体制の整備 審査の質を向上させるためには 審査体制の充実が欠かせません そこで 審査の効率性を考慮しつつ 主要国と遜色のない審査実施体制の確

ダイバーシティ100選目次.indd

総合科学技術・イノベーション会議 政策討議

産学連携による新産業育成

社是 経営理念 長期ビジョン Ⅱ. 新中期経営計画 innovate on 2019 just move on! の概要 社是 人の和と創意で社会に貢献 経営理念 1. 最高の品質創りを重点に社業の発展を図り社会に奉仕する 2. 全員の創意を発揮し顧客のニーズに対応した特色ある技術を開発する 3.

表紙(確).xlsx

どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化

<4D F736F F F696E74202D E718E848F9194A05F96AF8AD497988A F896988E48F4390B32E707074>

農林水産省におけるスマート農業の取組について

どうして GAP を導入するの? 産地や農家が安定した経営を続けるためには 次のような取組が必要です 産地の信頼を守るための体制を作りましょう 安全な農産物の生産は農家の責務です また 産地の農家のうち 1 人でも問題を起こせば 産地全体で出荷停止や商品回収を行わなければならず その後の取引にも影響

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

IT サービスを 利用している 経営体と 利用していない 経営体の売上高増加率を比較すると IT サービスを 利用している グループの売上高増加率 (21.4%) は 利用していない グループ (17.0%) より 4.4 ポイント高くなっています また 農業所得 ( 経常利益 ) 増加率は IT

PowerPoint プレゼンテーション

めに必要な情報を提供するとともに 2 関係者一体となった契約栽培等の需要と直結した生産を推進していく また 生産者の収益性向上につながる地域の気候風土を活かした特色ある野菜等園芸作物への作付を促進し 産地づくりを進めていくため 生産者への作付誘導のインセンティブとなる産地交付金を戦略的に活用していく

資料 3 ー 1 環境貢献型商品開発 販売促進支援事業 環境省市場メカニズム室

Microsoft Word - (HP用)H31年度企画書記載例doc

スライド 1

( 参考様式 1) ( 新 ) 事業計画書 1 事業名 : 2 補助事業者名 : 3 事業実施主体名 : Ⅰ 事業計画 1 事業計画期間 : 年 月 ~ 年 月 記載要領 事業計画期間とは 補助事業の開始から事業計画で掲げる目標を達成するまでに要する期間とし その期限は事業実施年 度の翌年度から 3

<4D F736F F D E9197BF A E838B C E9E91E382C982A882AF82E9926D8DE090A CC8DDD82E895FB646F632E646F63>

平成 30 年産一番茶の摘採面積 生葉収穫量及び荒茶生産量 ( 主産県 ) - 一番茶の荒茶生産量は前年産に比べ 12% 増加 - 調査結果 1 摘採面積主産県の摘採面積 ( 注 1) は2 万 7,800ha で 前年産に比べ 400ha(1%) 減少した 2 10a 当たり生葉収量主産県の 10

Microsoft Word - 【プレス】 _ミツウロコ・京セラ・NEC_IoT協業_Final-2.docx

<4D F736F F F696E74202D C5817A8E9197BF332D8B9F8B8B91A B8CDD8AB B83685D>

ニュースリリース 農業景況調査 : 設備投資 平成 2 9 年 3 月 24 日 株式会社日本政策金融公庫 農業者の設備投資意欲が過去最高 ~ 生産効率関連の農業機械投資が最多 後継者確保に課題も ~ < 平成 28 年下半期農業景況調査関連 > ( 注 1) 日本政策金融公庫 ( 略称 : 日本公

不具合情報受付管理 DB 不具合情報対応情報要因 履歴登録 設備情報 不具合情報 対応情報 不具合 ( 履歴 ) 情報 機器仕様 納入情報 機器部品情報 関連資料 機器情報 交換部品情報 交換履歴 交換部品情報 保有部材管理 DB 保有部材管理 不具合情報 不具合先情報 不具合復旧情報 受付情報 対

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word - keiei04.doc

下の図は 平成 25 年 8 月 28 日の社会保障審議会介護保険部会資料であるが 平成 27 年度以降 在宅医療連携拠点事業は 介護保険法の中での恒久的な制度として位置づけられる計画である 在宅医療 介護の連携推進についてのイメージでは 介護の中心的機関である地域包括支援センターと医療サイドから医

併せて 先進事例を統一的なフォーマットでデータベース化する また 意欲ある地域が先進的な取組みを行った人材に 目的に応じて容易に相談できるよう 内閣官房において 各省の人材システムを再点検し 総合的なコンシェルジュ機能を強化する 各種の既存施策に加え 当面 今通常国会に提出を予定している 都市再生法

1. よりそうスマートプロジェクト の概要 1 当社では IoT や AI などの新たな情報技術の進展を 成長の機会 ( チャンス ) と捉え 本年 4 月に バーチャルパワープラント実証プロジェクト を開始するなど お客さまサービスのさらなる向上や将来の事業領域の拡大につながる新たなビジネスモデル

市街化調整区域の土地利用方針の施策体系 神奈川県 平塚市 神奈川県総合計画 神奈川県国土利用計画 平塚市総合計画 かながわ都市マスタープラン 同地域別計画 平塚市都市マスタープラン ( 都市計画に関する基本方針 ) 平塚都市計画都市計画区域の 整備 開発及び保全の方針 神奈川県土地利用方針 神奈川県

teigen2018_03

Microsoft PowerPoint 資料.ppt

Microsoft Word - ③調査仕様書.doc

分野 コース名 基礎的 IT セミナーコース一覧 内容 I T 理解 I T スキル活用 I T 倫理 新技術動向 業務の I T 化 ネットワーク 表計算 ベデーースタ プンレ / ゼ文ン書テ作ー成ショ ホームページ 情報発信コンンプスライア 情報テセィキュリ 1 第 4 次産業革命のインパクト新

第 2 章 産業社会の変化と勤労者生活

東部地域の農業 農地の復旧 復興スケジュール 平成 23 年度平成 24 年度平成 25 年度平成 26 年度平成 27 年度 市復興ビジョン 復旧 再生期 発展 創出期 仙台の復興 仮設ポンプ設置 基盤整備対策 がれき撤去 排水機能復旧 ( 排水ポンプ場 排水路の改修等 ) 堆積土砂の除去 除塩事

医療機器開発マネジメントにおけるチェック項目

02 IT 導入のメリットと手順 第 1 章で見てきたように IT 技術は進展していますが ノウハウのある人材の不足やコスト負担など IT 導入に向けたハードルは依然として高く IT 導入はなかなか進んでいないようです 2016 年版中小企業白書では IT 投資の効果を分析していますので 第 2 章

書き方 ( 例 ) 別記第 17 号様式 農業生産法人報告書 自 至 平成 年 月 日平成 年 月 日 伊達市農業委員会会長様 平成年月日 主たる事務所の所在地伊達市 町 番地 法人の名称株式会社 代表者氏名 印電話番号 次のとおり農地法第 6 条第 1

農畜産業振興機構の組織・業務の見直しの基本的考え方

構成 1 第 1 章 IoT 時代の新たな地域資源 1. IoT 時代の新たな地域資源とその可能性 2. 新たな地域資源の活用に向けた基本的視点 第 2 章地域におけるオープンデータ ビッグデータ利活用の推進 1. 地域におけるオープンデータ利活用の現状と課題 2. 地域におけるビッグデータ利活用の

報道関係各位 2018 年 5 月 8 日 株式会社ミツウロコクリエイティブソリューションズ 日本電気株式会社 LP ガスの配送業務効率化に向けた 国内初の大規模実証を名古屋で開始 株式会社ミツウロコクリエイティブソリューションズ ( 注 1 以下ミツウロコ CS) 日本電気株式会社 ( 注 2 以

プレゼンテーションタイトル

スマート農業はもうはじまっている!

国営農地再編整備事業 ニセコ地区 事業の概要あぶたぐん本事業は 北海道南西部に位置する虻田郡ニセコ町の畑地帯において 区画整理を行い 生産性の高い基盤の形成を通じて農業の振興と耕作放棄地の解消 発生防止を図るものである 事業の目的 必要性本地区の農地は 基盤整備が遅れているため 小区画や急傾斜であり

2 国全体の視点 =それぞれの 強み を活かした多様性に富む地域経済社会 - 全国一律でなく 地域主導で独自の個性を活かした多様な地域の実現 - 国全体として地域間の格差を拡大させない - 近隣地域と連携して広域化し より豊富な地域資源や広大な市場を活用 他地域との差別化を重視した特色ある技術開発戦

<4D F736F F F696E74202D A A F193B994AD955C28834B838A836F815B29817A837C E E >

Transcription:

ICT 農業の現状とこれから (AI 農業を中心に ) 食料産業局知的財産課 平成 2 7 年 1 1 月

1 農業の現状と課題 農業 農村は食料供給の役割に加え 国土の保全や自然環境の保全 良好な景観形成など様々な役割を持っている しかし 農業の就業人口は減少傾向に歯止めがかからず 後継者難が続き高齢化が進展 担い手が不足している また 耕作放棄地が増加し 生産農業所得が低下している状況にあり 農業 農村の持続性確保が懸念されている 平成 4 年 4 兆 9,309 億円 生産農業所得の低下 40% 資料 : 農林水産省 生産農業所得統計 基幹的農業従事者の年齢構成 平成 25 年 2 兆 9,412 億円 農業は暗黙知 経験則が多い 毎年異なる気象条件の中で 播種 施肥 防除 収穫をベストのタイミングで行う必要があり マニュアル通りに生産しても 篤農家と一般農家では収量 品質に大きな差がある 各地にある経験則の例豪雪の翌年は豊作 雷が多いと豊作など 60 50 40 30 20 10 0 万人 平均年齢平成 7 年 59.6 歳平成 27 年 67.1 歳 農家戸数 農業就業人口の推移 昭和 35 年 55 年 平成 12 年 22 年 27 年 農家戸数 ( 万戸 ) 606 466 312 253 215 指数 ( 昭和 35=100) 100 77 51 42 36 農業就業人口 ( 万人 ) 1,454 697 389 261 209 指数 ( 昭和 35=100) 100 48 27 18 14 うち65 歳以上 (%) - 25 53 62 64 資料 : 農林水産省 農林業センサス ( 平成 27 年数値は概数値 ) 注 : 基幹的農業従事者とは 自営農業に主として従事した 15 歳以上の世帯員 ( 農業就業人口 ) のうち 普段の主な状態が 主に仕事 ( 農業 ) である者で 主に家事や育児を行う主婦や学生等を含まない また 上記の図は販売農家のもの 資料 : 農林水産省 農林業センサス ( 平成 27 年数値は概数値 ) 注 : 農業就業人口の平成 12 年以降の数値は 販売農家のもの 農業農村の持続性確保に向けた課題 若年層の担い手をいかにして確保 育成すべきか どうすればもうかる農業ができるのか 熟練農家の高い生産技術 ( 暗黙知 経験則 ) をどう引き継ぐか 消費者ニーズに適時的確に対応できないか

2 農業の ICT 化によるメリット 生産の効率化 高付加価値化 省力化 低コスト化 作業の合理化等による生産性の向上 栽培管理の精緻化による品質の向上 自動化による省力化 資材の効率的な利用等による低コスト化が可能となり 収益の改善につながる 経営や業務運営の効率化 高度化 経営内容の把握 有利な条件での取引 販売 受発注をはじめとする事務処理 労務管理 顧客 販売管理の合理化等により 経営や業務運営の効率化 高度化が可能となる これにより 農業経営者は本来業務の経営に集中できる 暗黙知 ノウハウ等の見える化 知財化 熟練農家の暗黙知を見えるようにして活用可能なものに変えたり ノウハウの提供で利益を得ることをより容易にする 人材の育成 後継者 新規就農者 雇用者に効率よく技術や経営のノウハウを伝えることが可能となる トレーサビリティの確保 GAP への対応 効率的に生産履歴情報を記録 活用することでトレーサビリティの導入や GAP への対応が可能となり 差別化 販路の拡大 適切な危機管理対応 信頼性の向上が可能となる

3 農業分野における ICT 活用事例 農業分野においては これまでにさまざまな形で ICT が利用されてきている 我が国の ICT を利用するデバイスや ICT 利用環境のレベルは 質 量ともに世界で先導的な位置づけにあり 今後の農業分野における国際展開を通じて 大きな貢献が期待される 農業分野への ICT の導入において とりわけ緊急度や重要度が高いと考えられるのは 人材育成における ICT の活用であるが この部分についての取組はまだ始まったばかりである ハウス内の各種センサ データ管理 PC 画面 施設栽培における統合環境制御 ハウス内に設置する各種センサにより気温 湿度等の各種環境データをモニタリングし 各種計測データを基に温湿度 CO 2 濃度等を制御 栽培管理時間の効率的生産管理情報をデータベース化 栽培作物の品質向上 GPS スプレイヤー高速連動モニター 屋根部分に GPS 受信アンテナを取り付けたトラクター GPS 車両ナビゲーションシステムの導入 [ 北海道 津別市 ] GPS によりほ場の面積 形状 位置を正確に測定 走行経路等が表示されるコントローラーに表示された走行ラインに合わせて農業機械を走行させ 耕起 整地 肥料散布 防除等の作業を実施 作業効率の向上 効率的な肥料散布による低コスト化 発情発見システムの導入 [ 愛知県 新城市 ] 植物工場における統合環境制御 グラフ化された歩数 無線機を内蔵した万歩計を繁殖雌牛に装着し 運動量 ( 歩数 ) を計測し その情報をパソコンへ送信歩数情報を解析し 発情時期を判定 受胎率向上による省力化 植物工場において 温湿度 照度等を最適に制御することにより 年間を通して野菜の安定供給を達成 栽培管理時間の効率化生産管理情報をデータベース化 栽培作物の品質向上 万歩計 植物工場内の様子

4 AI( アグリ インフォマティクス ) 農業 農水省が 2009 年に設置した 農業分野における情報科学の活用等に係る研究会 (AI 農業研究会 ) において 人工知能を用いたデータマイニングなどの最新の情報科学等に基づく技術を活用して 短期間での生産技能の継承を支援する新しい農業 として はじめてそのコンセプトが提示された 具体的には センサーによって取得した作物情報 環境情報と 篤農家の 気づき 判断 の情報を的確に統合することにより 篤農家の 経験 や 勘 に基づく 暗黙知 を 形式知 化し 農業者の技能向上や新規参入者の技能習得に活用する農業である AIシステムとは 1. 日々の情報を記録するデータベース と 1 過去のある状態 ( 日時 作物 ほ場 気候 ) の時に 2 ある行為 ( 農作業 ) をした結果 3 どういう状態に変化したかを蓄積 2. 確立した技術に関する文字情報 と熟練農家の技や農作業に関する過去の文献など 3. AIエンジン で構成データを解析して一定の判断を行う学習型アルゴリズム 自動モニタリング 1 作物の状態 栽培環境 1 センサーを介して 日々の情報を送信 端末 AI システム 2 3 作業内容を入力 1 AI エンジン が過去のデータベースを参照 解析し 行うべき作業を送信 することをお勧めします 農業者は 目指す経営の方向を AI システムに登録 AI システムは 農業者から送られてくるデータに基づき データベースと当該農業者の現在の状態を比較 解析し 最適なアドバイス ( 将棋の 次の一手 のようなもの ) を提供 送られて来た情報に基づき農作業を実施 1~4 のプロセスが 多数繰り返されデータベースが充実 自律的に精度が高まっていく仕組み センサー 4

5 世界最先端 IT 国家創造宣言における位置づけ AI 農業は 世界最先端 IT 国家創造宣言に明確に位置づけられている 世界最先端 IT 国家創造宣言 ( 平成 25 年 6 月 14 日閣議決定 平成 27 年 6 月 30 日改訂 ) (2)IT を利活用した日本の農業 周辺産業の高度化 知識産業化と国際展開 (Made by Japan 農業の実現 ) 農業情報の創成 流通を大幅に促進することにより 農業の IT 利活用の分野で我が国が世界最先端を達成し 我が国農業の産業競争力 国際競争力を飛躍的に高めるとともに 我が国の地方創生にも貢献する 1 農業の産業競争力向上 高品質の農産物を生産する我が国の農業とこれを支える周辺産業において 篤農家の知恵を含む各種情報を高度に利活用する AI( アグリインフォマティクス ) 農業 の取組が進められていることを踏まえ これら成果を活用した農業ビジネスモデルの構築等により農業の知識産業化を図り 海外にも展開する Made by Japan 農業 を実現する 2 関連産業の高度化 農業資材 機械などの農業関連の周辺産業において AI 農業 など農業情報の活用のほか 農業機械へのセンサ搭載による圃場や収穫物に係る収集データを活用した圃場ごとのきめ細かな肥料散布や GPS 準天頂衛星による自動走行システムを活用した農業機械の協調走行による生産性向上などのスマート農業と呼ばれる取組が検討 実現されてきている 多種多様な農業関連の流通情報 ノウハウの利活用によるソリューション展開 ( 流通する情報 ノウハウを商品とセットで販売するなどの複合的なサービスの展開 ) を図り 2018 年までに業界の主要収益源の一つに成長させる 3 市場開拓 販売力の強化 農場から食卓までの情報流通を加速するため バリューチェーンの構築に資するための施策に各省連携で取り組む

6 その他の計画 提言における位置づけ 農業分野における ICT の導入は 各種計画や提言に盛り込まれている AI 農業についても前出の 世界最先端 IT 国家創造宣言 を踏まえた 農業情報創成 流通促進戦略 のほか 下記のように多数の計画等に位置づけられている 農業情報創成 流通促進戦略の概要 抜粋 情報流通によるバリューチェーンの構築 生産者の出荷実績等の情報流通 活用 出荷実績に基づく 優れた生産者のブランド化 評価に基づく販売先の拡大 単価向上 評価を利活用した新ビジネスの創出 付加価値情報 ( 特別な品質や栽培方法等 ) の流通による農産物の評価の向上 海外市場拡大 市場開拓 販売力強化 AI 農業 等農業情報を活用したビジネスモデル構築 知識産業化農業の産 コスト低減業競争力 生産予測の精緻化 安定出荷の実現向上 新規参入 担い手農家の早期育成 付加価値向上 ( 高品質化 / 収穫量 up 等 ) 情報の創成 流通促進 情報 ノウハウ等を活用した複合的な資材 サービスの展開 流通した情報 ノウハウの利活用による農業機械や施設のソリューション展開 モノ創りノウハウの利活用 多様な資材 サービスの新たな連携 組合せ関連産業の高度化 情報 ノウハウの価値に関する普及啓発 情報 ノウハウの海外流出防止のための留意事項に関する普及啓発 農業情報創成 流通促進戦略 ( 平成 26 年 6 月決定 ) 農林水産業 地域の活力創造プラン ( 平成 26 年 6 月改訂 ) 農林水産省知的財産戦略 2020 ( 平成 27 年 5 月公表 )

7 AI システム実証事業 (H24~26 年度 ) AI システム を構成する要素技術のうち 実用化段階にある技術を生産現場に導入して実証することにより 熟練農家の生産管理やノウハウ ( 暗黙知 ) を継承するシステムの普及を図る補助事業 AI システム実証事業 を実施 AI システム : センサーによる作物の状態 栽培環境のモニタリングとデータマイニング技術を組み合わせることにより 篤農家の 経験 や 勘 に基づく 暗黙知 を 形式知 化するシステム 農業者の技術向上や新規参入者への技術支援に活用できる 全国検討会 大学等において開発された AI システムを構成する要素技術のうち 実用化段階にあると考えられる技術 現場での実証試験の設計及び指導 実証試験結果の評価 AI システムの高度化に向けた検討 報告書の作成 等 現場での検証 複数の地域 作物を対象に農業の現場で実証試験を行い 熟練農家の匠の技を継承するための AI システムの普及を図るとともに データを蓄積し AI システムの高度化に貢献 データ収集 複数の地域 作物を対象に 実証試験を実施 気温 日照等とあわせて農作業データを収集 データの活用 収集したデータを基に 熟練農家の匠の技を 見える化 し 一般農家に継承 AI システムの普及熟練農家の匠の技の継承を促進

8 AI システム実証事業の成果 AI システム実証事業 を通して 熟練農家の生産管理ノウハウ ( 暗黙知 ) を継承する学習指導システムが開発された 農業情報科学 (AI システム ) を活用した学習支援システムの開発 ~ 科学の力で技能を継承 ~ (JA ふくおか八女 ) 1 概要 福岡県八女市のカンキツ産地では 被覆資材 ( マルチ ) と点滴灌水 ( ドリップ ) を組み合わせた栽培法を一部で導入 生産者の高齢化に伴い 熟練農家が長年の経験により蓄積してきた栽培ノウハウの継承が課題 気づきデータ写真 対象箇所 判断理由 マニュアル化が困難とされていた熟練農家の高度な生産技術を ICT を活用して 見える化 し 新規就農者の学習に活用する実証試験を平成 24 年度から実施中 2 取組の特徴 熟練農家の着眼点を記録するアイカメラや 動きを捕捉する位置情報 動作センサー等の ICT を活用して 熟練農家のノウハウをデータ化して蓄積 蓄積したノウハウデータをタブレット端末等で参照して学習することで 新規就農者等が短期間で熟練農家並みの高度な栽培技術を身につけられる 平成 26 年度の実証においては ミカンの摘果作業のポイントを AI システムにより学習することで 新規就農者が栽培するミカンの最終の品質 ( 評価点 ) が 9% 向上 全ての生産者が熟練農家と同等の技術をもってミカンを栽培する環境を作出し 地域全体として収量や品質の向上に取り組む タブレットを用いて新規就農者が栽培技術のポイントを学習するシステムの導入により ミカンの品質が向上 3 今後の展開方向 主要作業のうち 摘果作業については学習システムが完成し 有効性を検証する段階にあるが その他作業についてもデータ蓄積 検証等を進め 統合したカンキツ栽培学習システムの構築を図る

9 農業 ICT に関する知的財産活用のための実証事業 ( 平成 27 年度 ) 平成 26 年 6 月に閣議決定された 世界最先端 IT 国家創造宣言 に掲げられた 熟練農家のノウハウを ICT の活用によりデータ化し 農業資材とセットで販売する等の新たなビジネスモデルを構築する取組を支援し 農家の貢献度に応じた収益還元のあり方 データ化された知的財産の保護等 実用化に向けた課題について検討を行う AI システムにより集積した匠の技データを活用した農業周辺産業の活性化 篤農家のノウハウを活用し 各種資材の販売等を促進 施設園芸における温湿度等の管理 露地カンキツ等における養水分管理 土地利用型作物における農作業効率化等 AI システム データ ( ノウハウ ) の提供 収益の還元 誰の所有物? どの範囲で共有? 保護のあり方は? 収益の還元方法は? 篤農家 AI システムを搭載した新商品開発をモデル的に実証することにより AI を活用した事業の収益が篤農家に還元される新たなビジネスモデルを提示 知財の価値や取扱に関する認識が不十分 創造 匠の技 (AI システム ) 保護 匠の技データの権利化 ( ノウハウ含む ) 活用 篤農家への収益還元 農業分野への自律的な ICT 導入の推進 篤農家の匠の技の継承を促進 農家の所得向上 ( 知財で稼ぐ ) 検討会の開催 普及啓発 学識経験者 弁護士等により構成する検討会を設置し 篤農家の貢献度に応じた収益還元 データ化された知的財産の保護等の課題について検討 AI:Agri Informatics ( 農業情報科学 ) モデル実証事業 1 AI システムと商品 サービスとのマッチング篤農家の栽培管理技術を AI システム搭載商品が再現 ( 商品開発においては データのインターオペラビリティやポータビリティにも要配慮!) 2 開発した新商品 サービスにおける AI システム導入効果の検証とシステム普及上の課題の抽出

10 農業 ICT 標準化推進事業 ( 平成 28 年度新規要求 ) ICT を活用してきめ細かな生産管理を行うとともに データを集約し ( ビッグデータ ) 更なる生産管理の改善に活用する ICT 農業が施設園芸を中心に普及 しかし 我が国では海外メーカーの ICT システムを使用している農業者が多く ICT 農業に不可欠なデータが海外に流出している実態 ICT 規格の標準化に向けた調整や 国内メーカー間の ICT システムの接続性の確保により ビッグデータを活用した農業技術の高度化を実現 あわせて 日本の ICT 技術をアジアを中心とする途上国に普及し 農業関連産業の海外展開を目指す ICT を活用した農業 現状の課題 温湿度 CO2 濃度 土壌水分 土壌栄養分等を計測 センサー データの流れ コントローラ センサーからの情報と連携した加温機や灌水装置等の制御 サーバー しかし 多くの農業者が海外メーカーの ICT システムを使用しており データが国内に集積しない ( 知的財産の海外流出 ) 国内メーカーの ICT システムは 製品間の接続性が低く ICT 農業の実施に支障 今後 農業の ICT 化が進む途上国で海外製品が標準として導入されるおそれ 品質センサーデータや消費者の嗜好データ等も含めたビッグデータを活用し より効率的な栽培管理を実施 栽培管理 期待される効果 農業データが国内に集約されることにより 知的財産の海外流出を防止 ビッグデータを活用できる環境が醸成され 農業技術が高度化 蓄積されたデータをフィードバック 途上国において 我が国 ICT システムが普及し 農業関連産業の海外展開が促進 ビッグデータ活用ノウハウを輸出に活用することも可能 事業の取組内容 農業分野の ICT 規格の標準化に向けた調整 実証圃における複数メーカーのシステムの接続試験 アジアを中心とする政府関係者等との連携を通じた海外展開支援

AI ホームページ URL http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sosyutu/ aisystem/aisystem.html お問い合わせ 農林水産省食料産業局知的財産課知的財産調整班 TEL:03-6738-6442 FAX:03-3502-5301