ができるようになったソフトによって あらためて解析し直しました (2) これらの有効詳細フォームにおける 全重心の水平速度が最大値をとるところ を パワ ポジション ( キックポイント ) と見なしました (3) それらの脛角 (θs) と太もも角 (θt) をプログラムソフトによって求め これを図

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本文/扉1

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平成20年5月 協会創立50年の歩み 海の安全と環境保全を目指して 友國八郎 海上保安庁 長官 岩崎貞二 日本船主協会 会長 前川弘幸 JF全国漁業協同組合連合会 代表理事会長 服部郁弘 日本船長協会 会長 森本靖之 日本船舶機関士協会 会長 大内博文 航海訓練所 練習船船長 竹本孝弘 第二管区海上保安本部長 梅田宜弘

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本文/目次(裏白)

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N cos s s cos ψ e e e e 3 3 e e 3 e 3 e

y = x x R = 0. 9, R = σ $ = y x w = x y x x w = x y α ε = + β + x x x y α ε = + β + γ x + x x x x' = / x y' = y/ x y' =

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さくらの個別指導 ( さくら教育研究所 ) 1 φ = φ 1 : φ [ ] a [ ] 1 a : b a b b(a + b) b a 2 a 2 = b(a + b). b 2 ( a b ) 2 = a b a/b X 2 X 1 = 0 a/b > 0 2 a

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4 4 θ X θ P θ 4. 0, 405 P 0 X 405 X P 4. () 60 () 45 () 40 (4) 765 (5) 40 B 60 0 P = 90, = ( ) = X

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変 位 変位とは 物体中のある点が変形後に 別の点に異動したときの位置の変化で あり ベクトル量である 変位には 物体の変形の他に剛体運動 剛体変位 が含まれている 剛体変位 P(x, y, z) 平行移動と回転 P! (x + u, y + v, z + w) Q(x + d x, y + dy,

1 12 *1 *2 (1991) (1992) (2002) (1991) (1992) (2002) 13 (1991) (1992) (2002) *1 (2003) *2 (1997) 1

.5 z = a + b + c n.6 = a sin t y = b cos t dy d a e e b e + e c e e e + e 3 s36 3 a + y = a, b > b 3 s363.7 y = + 3 y = + 3 s364.8 cos a 3 s365.9 y =,

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剛体過去問解答例 2 1.1) 長さの棒の慣性モーメントは 公式より l I G = Ml /12 A 点のまわりは平行軸の定理より 2 2 I A = Ml /12 + M ( l / 2) = Ml 2 / 3 B y 2) 壁からの垂直抗力を R, 床からの垂直抗力と摩擦力を N,f とすると

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2 図微小要素の流体の流入出 方向の断面の流体の流入出の収支断面 Ⅰ から微小要素に流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅰ は 以下のように定式化できる Q 断面 Ⅰ 流量 密度 流速 断面 Ⅰ の面積 微小要素の断面 Ⅰ から だけ移動した断面 Ⅱ を流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅱ は以下のように

I-2 (100 ) (1) y(x) y dy dx y d2 y dx 2 (a) y + 2y 3y = 9e 2x (b) x 2 y 6y = 5x 4 (2) Bernoulli B n (n = 0, 1, 2,...) x e x 1 = n=0 B 0 B 1 B 2 (3) co

II Karel Švadlenka * [1] 1.1* 5 23 m d2 x dt 2 = cdx kx + mg dt. c, g, k, m 1.2* u = au + bv v = cu + dv v u a, b, c, d R

(4) 左眼右眼奥2. 網膜像差の幾何学的表現 図 A2 に網膜像差 観察距離 対象の奥行き量間の幾何学的関係を模式的に表現してい 行き観察距離d 図 A2. 奥行きをもった対象が作りだす網膜像差 F δf N δn 両眼間距離 ステレオグラム 網膜像 nl fl fr nr る ( 図 A2 は


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Transcription:

短距離ランニングフォーム解析 (17) FK 選手の 100m と 200m のパワーポジションによるランニングフォーム分類 黒月樹人 (KULOTSUKI Kinohito @ 9621 ANALYSIS) パワーポジションによるランニングフォーム分類 スプリントランニングフォームの分類 というページで キック局面のパワーポジション位置のフォームについて 脛の立位角 (θs) と太ももの立位角 (θt) を指標として さまざまなランニングフォームの値をプロットしたところ 次の図中のグラフのような結果が得られ これに基づいて クランクキックやピストンキックを分類しました ここに示されているεクランクキックは走幅跳の踏切 1 歩前で現れるものです スタートダッシュのフォームについては調べていません これらは 中間疾走からトップスピードのランニングフォームについて調べたものです パワーポジションというのは キックの局面において 地面に最も大きな力が加えられるときを意味します しかし このグラフを構成したときのことを思い出すと 全身の重心についての水平速度のピーク位置としていたようです この位置を キックポイント と呼ぶことにします 図 1 パワーポジションでの脛角 (θs) と太もも角 (θt) による分類 FK 選手の 100m と 200m のパワーポジションによるランニングフォーム分類解析内容の変更手順を次に示します (1) FK 選手の 100m と 200m のランニングフォームについて より精密な解析 1

ができるようになったソフトによって あらためて解析し直しました (2) これらの有効詳細フォームにおける 全重心の水平速度が最大値をとるところ を パワ ポジション ( キックポイント ) と見なしました (3) それらの脛角 (θs) と太もも角 (θt) をプログラムソフトによって求め これを図 1 のグラフに照らし合わせてフォームの分類を行いました (a) 有効キック区間 (b) キックポイント (d) 全重心速度 / 黒 水平 / 緑 鉛直中 全身 / 下 キック脚図 2 FK100m(1) δクランクキック 図 2 から図 11 まで (a)~(e) の解析図やグラフをまとめました これらはすべて 画像 4 コマのステックピクチャーから構成しています 2 コマ間のフォームを 10 分割した詳細フォーム 0~30 を キック足スパイク面あたりをそろえて描き これらの重心を求め まず (d) の全重心速度を描きます ここにおける黒いプロットが全重心の水平速度です これのピーク位置の詳細フォームを (b) キックポイントとします これのキック脚における 脛と太ももの 水平面から測った角度を 脛角 (θs) と太もも角 (θt) とし のグラフで フォームの種類を求めます (d) の黒い全重心水平速度のパターンから 有効キック区間を判定し その前後に縦線を引きます (e) は スウィング脚重心 全身の重心 ( 全重心 ) キック脚重心の それぞれの水平速度だけをプロットし 2

たものです 図 2 の FK100m(1) のフォームはδクランクキックとして分類されます (e) を見ると 黒い全重心水平速度のピーク位置が d17 のところにあるのに対して 赤いスウィング脚重心水平速度のピーク位置が 有効キック区間外の d21 あたりにあります うまくあっていません 逆に考えると スウィング脚は d21 あたりに動きのピークをもってきて 全重心の速度を高めようとしているのに このことがうまくいっていないことになります (a) 有効キック区間 (b) キックポイント (d) 全重心速度 / 黒 水平 / 緑 鉛直中 全身 / 下 キック脚図 3 FK100m(2) βクランクキック 図 3 の FK100m(2) のフォームはβクランクキックとして分類されます (e) のパターンを見ると 黒い全重心の水平速度が 有効キック区間でほぼ一定であるのに対して 青いスウィング脚重心水平速度のピークが有効キック区間の初めにあって 赤いキック脚重心水平速度のピークが有効キック区間の終わりのほうにあります あまり合理的な動きとはなっていません スウィング脚はすばやく動かされているようですが このとき キック脚のほうにあまり力が込められていないようです 3

(d) 全重心速度 / 黒 水平 / 緑 鉛直中 全身 / 下 キック脚図 4 FK100m(3) δクランクキック 図 4 の FK100m(3) のフォームはδクランクキックとして分類されます (e) のパターンを見ると 赤いスウィング脚重心水平速度と 青いキック脚重心水平速度のピー位置が 有効キック区間の終わりあたりにありますが 黒い全重心水平速度が そこで高まっていません 黒い全重心水平速度が 100m の 4 歩のフォームの中では もっとも大きな値でピークを生み出しています (a) 有効キック区間のフォームにおいて スウィング脚の膝が折りたたまれすぎていません しかし スウィング脚の動きは それほど強調されているようには感じられません キック脚のほうでは 全般的に高い水平速度となっています 4

(d) 全重心速度 / 黒 水平 / 緑 鉛直中 全身 / 下 キック脚図 5 FK100m(4) δクランクキック 図 5 の FK100m(4) のフォームはδクランクキックとして分類されます (e) のパターンを見ると 赤いスウィング脚重心水平速度と 青いキック脚重心水平速度のピー位置が 有効キック区間の終わりあたりにありますが 黒い全重心水平速度が そこで効果的に高まっていません わずかに増えていますが ほぼ一定値と見なせます 5

(d) 全重心速度 / 黒 水平 / 緑 鉛直中 全身 / 下 キック脚図 6 FK200m(1) δクランクキック 図 6 の FK200m(1) のフォームはδクランクキックとして分類されます (e) の 3 種類の水平速度パターンは 自然な右上がりを示しています 調和のとれたフォームと見なせますが とくに力を込めて加速しようしているものではないようです 6

(d) 全重心速度 / 黒 水平 / 緑 鉛直中 全身 / 下 キック脚図 7 FK200m(2) αクランクキック 図 7 の FK200m(2) のフォームはαクランクキックとして分類されます αクランクキックは そのあとの水平速度が低下したため 最初のフォームが最大値を生み出しているということを示しています そう考えると これは明らかに 減速フォーム です (e) の 3 つの水平速度のプロットも そのことを表わしています 7

(d) 全重心速度 / 黒 水平 / 緑 鉛直中 全身 / 下 キック脚図 8 FK200m(3) δクランクキック 図 8 の FK200m(3) のフォームはδクランクキックとして分類されます 減速フォーム のあとに このような 加速フォーム がくるのは 自然なことかもしません 100m の 4 歩と 200m の 6 歩のフォームの中で このフォームがもっともうまく加速できています 赤いキック脚重心水平速度の変化と 青いスウィング脚重心水平速度の変化が うまく同調して 全重心の水平速度を高めようとしています どうやら FK 選手が得意としていて 目指そうとしているのは このようなフォームのようです 8

(d) 全重心速度 / 黒 水平 / 緑 鉛直中 全身 / 下 キック脚図 9 FK200m(4) γクランクキック 図 9 の FK200m(4) のフォームはγクランクキックとして分類されます (e) のパターンを見ると 全体的にプロットの 山 が低く また 青いキック脚重心水平速度のパターンだけが 有効キック区間の終わりに 峰 をもっていて 結果的に 無駄な動きとなっています 9

(d) 全重心速度 / 黒 水平 / 緑 鉛直中 全身 / 下 キック脚図 10 FK200m(5) γクランクキック 図 10 の FK200m(5) のフォームはγクランクキックとして分類されます (e) のパターンより 赤いキック脚重心水平速度が右下がりです また スウィング脚も それほど効果的に動いていません このような状態であるにもかかわらず 黒い全重心水平速度は比較的大きな値となっています FK 選手はγ クランキックをあまり目指そうとはしていないようですが ガトリン選手が得意としているのは (c) の位置より もう少しだけ下のところにあるフォームです 10

(d) 全重心速度 / 黒 水平 / 緑 鉛直中 全身 / 下 キック脚図 11 FK200m(6) δクランクキック 図 11 の FK200m(6) のフォームはδクランクキックとして分類されます しかし (c) のパターンを見ると 図 11 の (c) と 図 10 の (c) とは わずかな違いしかありません (e) のパターンでは 赤いスウィング脚重心水平速度がユニークな変化を見せています (a) のフォームを見れば このことの理由が分かります スウィング脚が膝できょくたんに折り曲げられているため 腰を中心とした回転運動となって あまり水平速度を大きくできないところがあるからです でも 前方へと動くときには コンパクトになっている分 動かしやすいということなのでしょう ただし このような変化の差は相対的なものであり 絶対的な速度の大きさという面では 図 4 の FK100m(3) や図 8 の FK200m(3) のスウィング脚のほうがすぐれています (Written by KULOTSUKI Kinohito, Nov 8, 2012) 11