Microsoft Word - 表紙.doc

Similar documents
北杜市新エネルギービジョン

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案

2 政策体系における政策目的の位置付け 3 達成目標及び測定指標 1. 地球温暖化対策の推進 1-2 国内における温室効果ガスの排出抑制 租税特別措置等により達成しようとする目標 2030 年の電源構成における再生可能エネルギーの割合を 22~24% とする 租税特別措置等による達成目標に係る測定指

スライド 1

untitled

日本市場における 2020/2030 年に向けた太陽光発電導入量予測 のポイント 2020 年までの短 中期の太陽光発電システム導入量を予測 FIT 制度や電力事業をめぐる動き等を高精度に分析して導入量予測を提示しました 2030 年までの長期の太陽光発電システム導入量を予測省エネルギー スマート社

第 3 章隠岐の島町のエネルギー需要構造 1 エネルギーの消費量の状況 ここでは 隠岐の島町におけるエネルギー消費量を調査します なお 算出方法は資料編第 5 章に詳しく述べます (1) 調査対象 町内のエネルギー消費量は 電気 ガス 燃料油 ( ガソリン 軽油 灯油 重油 ) 新エ ネルギー (

エネルギー規制 制度改革アクションプラン (11 月 1 日 ) の概要 重点課題と詳細リスト 現時点で政府が取り組むこととしている又は検討中の事項を 実施 検討事項詳細リスト (77 項目 ) として取りまとめ その中から 3つの柱で計 26 項目の重点課題を特定 1 電力システムの改革 (9 項


( 太陽光 風力については 1/2~5/6 の間で設定 中小水力 地熱 バイオマスについては 1/3~2/3 の間で設定 )) 7 適用又は延長期間 2 年間 ( 平成 31 年度末まで ) 8 必要性等 1 政策目的及びその根拠 租税特別措置等により実現しようとする政策目的 長期エネルギー需給見通

目次 平成 30 年 6 月環境経済観測調査地域別統計表 ページ 表 A 地域別対象企業数及び回答率 1 表 1-1 我が国の環境ビジネス全体の業況 主業別 2 表 1-2 発展していると考える環境ビジネス 4 表 2-1(1) 現在行っている環境ビジネス数 主業別 6 表 2-1(2) 現在行って

次世代エネルギーシステムの提言 2011 年 9 月 16 日 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター Copyright (C) 2011 The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.[tv1.0]

バイオ燃料

政策体系における政策目的の位置付け エネルギー基本計画 ( 平成 22 年 6 月 18 日閣議決定 ) において 一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合を 2020 年までに 10% とすることを目指す と記載 地球温暖化対策基本法案 ( 平成 22 年 10 月 8 日閣議決定 )

Microsoft PowerPoint METI.ppt [互換モード]

平成 21 年度資源エネルギー関連概算要求について 21 年度概算要求の考え方 1. 資源 エネルギー政策の重要性の加速度的高まり 2. 歳出 歳入一体改革の推進 予算の効率化と重点化の徹底 エネルギー安全保障の強化 資源の安定供給確保 低炭素社会の実現 Cool Earth -1-

平成 30 年度地方税制改正 ( 税負担軽減措置等 ) 要望事項 ( 新設 拡充 延長 その他 ) No 8 府省庁名環境省 対象税目個人住民税法人住民税事業税不動産取得税固定資産税事業所税その他 ( ) 要望項目名 要望内容 ( 概要 ) 再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置の延長

資料 3 ー 1 環境貢献型商品開発 販売促進支援事業 環境省市場メカニズム室

目次 1. 策定の趣旨 2 2. 水素利活用による効果 3 3. 能代市で水素エネルギーに取り組む意義 5 4. 基本方針 7 5. 水素利活用に向けた取り組みの方向性 8 6. のしろ水素プロジェクト 10 1

H28秋_24地方税財源

Microsoft Word 後藤佑介.doc

トピックス

(3) 関連指標の状況 1 2 施策 ( 評価指標 ) 県内事業者が参画する風力発電設備導入量 環境 リサイクル関連対象企業の施設整備に対する支援件数 基準値年度 年度 0 ( 累積 7,614) H24 H26 36,280 単位 :kw 181.4% 単位 : 件 80.0% H27 ( 累積

規制 制度改革に関する閣議決定事項に係るフォローアップ調査の結果 ( 抜粋 ) 規制 制度改革に係る追加方針 ( 抜粋 ) 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 番号 規制 制度改革に係る追加方針 ( 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 ) における決定内容 規制 制度改革事項 規制 制度

平成 28 年度エネルギー消費統計における製造業 ( 石油等消費動態統計対象事業所を除く ) のエネルギー消費量を部門別にみると 製造部門で消費されるエネルギーは 1,234PJ ( 構成比 90.7%) で 残りの 127PJ( 構成比 9.3%) は管理部門で消費されています 平成 28 年度エ

マートシティ 省エネルギー対策の推進 <ビル 工場等における省エネルギー対策の推進 > 大規模事業所が対象のキャップ & トレード制度 * ( 以下 C&T 制度 という ) について 2020 年度からの第 3 計画期間に向け 専門家による検討会の設置に係る準備等を実施 新規 東京 2020 大会

資料1 :住宅(家庭部門)の中期の対策・施策検討

新興国市場開拓事業平成 27 年度概算要求額 15.0 億円 (15.0 億円 ) うち優先課題推進枠 15.0 億円 通商政策局国際経済課 商務情報政策局生活文化創造産業課 /1750 事業の内容 事業の概要 目的 急速に拡大する世界市場を獲得するためには 対象となる国 地

Microsoft Word - 報告書.doc

< F2D916688C481698A A E6A>

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

本日の説明内容 1. グリーン購入法の概要 2. プレミアム基準策定ガイドライン

水素供給設備整備事業費補助金平成 28 年度概算要求額 62.0 億円 ( 新規 ) 省エネルギー 新エネルギー部燃料電池推進室 事業の内容 事業イメージ 事業目的 概要 燃料電池自動車 (FCV) は 水素を燃料とする自動車で 内外の自動車メーカーによって 開発競争が進め

White Paper on Small and Medium Enterprises in Japan

熱効率( 既存の発電技術 コンバインドサイクル発電 今後の技術開発 1700 級 ( 約 57%) %)(送電端 HV 級 ( 約 50%) 1500 級 ( 約 52%

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word - 福島市計画書.docx

参考資料3(第1回検討会資料3)


資料 5 総務省提出資料 平成 30 年 12 月 21 日 総務省情報流通行政局

学生確保の見通し及び申請者としての取組状況

沖縄公庫の業務との関連で見た 沖縄の中小企業

4 木質バイオマス発電設備 (2 万 kw 未満 木質バイオマス燃料の年間利用率 80% 以上と見込まれるもの ) < 下記要件のいずれかを満たすもの > 年間稼働率 80% 以上と見込まれるもの kw あたりの資本費一定以下 2,000kW 未満 62 万円 /kw 以下 2,000kW 以上 2

鹿児島県海洋再生可能エネルギー開発可能性調査仕様書

(2) 産 学 官 民が連携した 小浜温泉エネルギー活用推進プロジェクト 小浜温泉地域では 豊かな地熱 温泉資源エネルギーの活用がこれまでも検討されており 平成 15 年から平成 17 年には民間企業による小規模バイナリーシステム実用化開発事業 平成 16 年から平成 17 年には独立行政法人新エネ

資料2:地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ(議論のたたき台)(案)

厚生労働科学研究費補助金 (地域健康危機管理研究事業)

2010 年 12 月環境経済観測調査統計表 目次 ページ 表 1(1) 主業別 資本金別対象企業数及び回答率 1 表 1(2) 主業別 資本金別回答企業数及び構成比 1 表 2-1 我が国の環境ビジネス全体の業況 資本金別 主業別 2 表 2-2 発展していると考える環境ビジネス 資本金別 主業別

通話品質 KDDI(au) N 満足やや満足 ソフトバンクモバイル N 満足やや満足 全体 21, 全体 18, 全体 15, NTTドコモ

公開用_ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の定義と評価方法(150629)

地熱発電を中核とする地熱エネルギーの活用が 我が国の安全で安定したエ ネルギー供給に貢献し 地球温暖化対策や地域経済の発展に寄与する様 以下 の施策が実施されることを要望致します 1. 固定価格買い取り制度 の恒久的な運用 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 に基づく 再

PowerPoint Presentation

Microsoft Word - 自治体企業誘致現状(26.3概要)HP原稿

【HP公表 最終版の公表前確認修正有り】 北陸取組み(個票)

Microsoft Word - みやぎ水素エネルギー利活用推進ビジョン

RIETI Highlight Vol.66

UIプロジェクトX

対策事業推進上のポイント 1. 事業の導入フロー 再生可能エネルギー事業 省エネルギー事業 2. 事業の概要及び判断基準 ( テーマ別 ) 3. 事業導入時における実作業 (Gr 討議 ) 4. 回答例 ( 別資料 ) 5. 参加者からの意見等 2

対策名 1 温室効果ガスの排出の抑制等に資する設備の選択キ未利用エネルギーの活用のための設備導水 送水 配水等における管路の残存圧力等を利用した小水力発電設備の導入 概要 地形の高低差から生じる水の位置エネルギーがある場所や導水管路 送水管路 配水池入口等で余剰圧力が利用できる場所 あるいは弁の開度



内の他の国を見てみよう 他の国の発電の特徴は何だろうか ロシアでは火力発電が カナダでは水力発電が フランスでは原子力発電が多い それぞれの国の特徴を簡単に説明 いったいどうして日本では火力発電がさかんなのだろうか 水力発電の特徴は何だろうか 水力発電所はどこに位置しているだろうか ダムを作り 水を

宮城の将来ビジョン 富県宮城の実現 ~ 県内総生産 10 兆円への挑戦 ~ 富県宮城の実現 ~ 県内総生産 10 兆円への挑戦 ~ 認知度集計表 ( 回答者属性別 ) 内容について知っている 言葉は聞いたことがある 効知らない ( はじめて聞く言葉である ) 県全体 度数 ,172

住宅宿泊事業の宿泊実績について 令和元年 5 月 16 日観光庁 ( 平成 31 年 2-3 月分及び平成 30 年度累計値 : 住宅宿泊事業者からの定期報告の集計 ) 概要 住宅宿泊事業の宿泊実績について 住宅宿泊事業法第 14 条に基づく住宅宿泊事業者から の定期報告に基づき観光庁において集計

資料3-1 温室効果ガス「見える化」の役割について

しかし その使途について 例えば 電源立地促進対策交付金は 道路や公共施設の建設等に限定されているなど 交付を受ける地方公共団体からは その使い勝手に不満も出ていた このような状況を受け 資源エネルギー庁では 平成 15 年 発電用施設周辺地域整備法及び電源開発促進対策特別会計法の一部を改正する法律

ポイント 藻類由来のバイオマス燃料による化石燃料の代替を目標として設立 機能性食品等の高付加価値製品の製造販売により事業基盤を確立 藻類由来のバイオマス燃料のコスト競争力強化に向けて 国内の藻類産業の規模拡大と技術開発に取り組む 藻バイオテクノロジーズ株式会社 所在地 茨城県つくば市千現 2-1-6

目次 要旨 1 Ⅰ. 通信 放送業界 3 1. 放送業界の歩み (1) 年表 3 (2) これまでの主なケーブルテレビの制度に関する改正状況 4 2. 通信 放送業界における環境変化とケーブルテレビの位置づけ (1) コンテンツ視聴環境の多様化 5 (2) 通信 放送業界の業績動向 6 (3) 国民

別添 表 1 供給力確保に向けた緊急設置電源 ( その 1) 設置場所 定格出力 2 発電開始 2 運転開始 公表日 3 姉崎火力発電所 約 0.6 万 kw (0.14 万 kw 4 台 ) 平成 23 年 4 月 24 日平成 23 年 4 月 27 日 平成 23 年 4 月 15 日 袖ケ浦

望の内容平成 30 年度税制改正 ( 租税特別措置 ) 要望事項 ( 新設 拡充 延長 ) ( 経済産業省中小企業庁経営支援部創業 新事業促進課 ) 制度名 産業競争力強化法に基づく創業支援事業計画の認定自治体における登録免許税の軽減措置の延長 税 目 登録免許税 ( 租税特別措置法第 80 条第

目次 1. 奈良市域の温室効果ガス排出量 温室効果ガス排出量の推移 年度 2010 年度の温室効果ガス排出状況 部門別温室効果ガス排出状況 温室効果ガス排出量の増減要因 産業部門 民生家庭部門

22. 都道府県別の結果及び評価結果一覧 ( 大腸がん検診 集団検診 ) 13 都道府県用チェックリストの遵守状況大腸がん部会の活動状況 (: 実施済 : 今後実施予定はある : 実施しない : 評価対象外 ) (61 項目中 ) 大腸がん部会の開催 がん部会による 北海道 22 C D 青森県 2

第6回議論における補足資料

資料 2 接続可能量 (2017 年度算定値 ) の算定について 平成 29 年 9 月資源エネルギー庁


PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F D E835E E8FEE95F CC8A E646F63>

平成 31 年 3 月 20 日更新 全国女性の参画マップ 平成 30 年 12 月作成 内閣府男女共同参画局

これだけは知っておきたい地震保険

 

お知らせ

環境税導入の都道府県別負担の評価

平成29年3月高等学校卒業者の就職状況(平成29年3月末現在)に関する調査について

イノベーション活動に対する山梨県内企業の意識調査

平成 22 年度エネルギー消費統計結果概要 経済産業省資源エネルギー庁平成 24 年 4 月 エネルギー種別に見ると 最終エネルギー消費総量の 37.5% が燃料 54.8% が電力 7.4% が熱となっています 調査の対象となった非製造業 製造業 ( 石油等消費動態統計対象事業所を除く ) 業務部

新電力会社(登録小売電気事業者)の実態調査2018年

< E188CA8C9F8FD88A65955C2E786C73>

表 1) また 従属人口指数 は 生産年齢 (15~64 歳 ) 人口 100 人で 年少者 (0~14 歳 ) と高齢者 (65 歳以上 ) を何名支えているのかを示す指数である 一般的に 従属人口指数 が低下する局面は 全人口に占める生産年齢人口の割合が高まり 人口構造が経済にプラスに作用すると

P00041

共通基準による観光入込客統計 ~ 共通基準に基づき 平成 22 年 月期調査を実施した 39 都府県分がまとまりました~ 平成 23 年 10 月 31 日観光庁 各都道府県では 平成 22 年 4 月より順次 観光入込客統計に関する共通基準 を導入し 信頼 性の高い観光入込客統計調査を

< E B B798E7793B188F5936F985E8ED EA97975F8E9696B18BC CBB8DDD816A E786C7378>

レビューの雛型(ワード)

資料4 国土交通省資料

貿易特化指数を用いた 日本の製造業の 国際競争力の推移

200kW 未満 272 万円 /kw 以下 200kW 以上 1,000kW 未満 109 万円 /kw 以下 1,000kW 以上 3 万 kw 未満 39 万円 /kw 以下 4 木質バイオマス発電設備 (2 万 kw 未満 木質バイオマス燃料の年間利用率 80% 以上と見込まれるもの ) <

参考 内部評価結果調書 ( 施策評価 4) 施策名 新しいしいエネルギーエネルギーの導入導入と活用 担当部局 農林水産環境部 担当部局長の氏名 緒方和之 PLAN 総合計画 ( 前期基本計画 ) 基本方針 ( 政策 ) 計画項目 ( 施策 ) Ⅱ 環境循環都市 2 新しいエネルギーの導入と活用 施策

平成20年度税制改正(地方税)要望事項

129

npg2018JP_1011

Transcription:

2010 年 6 月 25 日 日本銀行大分支店 再生可能エネルギーの利用拡大による大分県経済の活性化に向けて 照会先 : 日本銀行大分支店総務課 (TEL:097-533-9106 FAX:097 538-7085) 本レポートはインターネット (http://www3.boj.or.jp/oita/) からもご覧いただけます 本稿の内容について 商用目的で転載 複製を行う場合は 予め日本銀行大分支店までご相談ください 転載 複製を行う場合は 出所を明記してください

要旨 大分県は 豊富な温泉 ( 地熱 ) 資源や森林資源を背景に 自然エネルギー供給量 や 自然エネルギー自給率 が全国 1 位となっており 再生可能エネルギー利用にかかる先進県として 県内外から注目を集めつつある 県内における再生可能エネルギーの利用状況をみると 大型の地熱発電所の立地もあって大半を地熱エネルギーが占めており 一般家庭を含めた温泉熱利用のウエイトも高い このほか 木くず等を利用したバイオマス発電の電力供給量も全国有数の水準となっている こうした中 近年の取組み状況をみると 環境問題への取組み や 再生可能エネルギーの利用推進 を自社の成長戦略における重点項目と位置付けて 研究 開発や新規事業分野を立ち上げる動きが広がってきている 県内企業の具体的な取組みをみても 太陽電池関連事業への参入 国内外への販売や マイクロ ( 小型 ) 水力発電装置の設計 開発 様々な産業廃棄物を用いたバイオマス発電への応用など 今後の成長に繋がるいくつもの芽吹きがみられてきている また 当県の特性を踏まえると 既に大手企業や県内企業で実用化され 一部販売を開始している温泉水を利用した低温エネルギーの発電システムは 温泉旅館等での自家発電装置として 省エネ需要が見込まれるほか 天候に左右される太陽光発電と比較しても効率が高く 今後の普及が期待される こうした 再生可能エネルギー の利用拡大に向けた取組みは 環境先進県 として大分県をアピールすることでブランド力を高め ひいては観光振興にも繋がるなど 幅広く県内の活性化に繋がる可能性がある 1. はじめに 近年 世界人口の増大や新興国の急速な経済発展等に伴い 地球温暖化が進んでいると言われる こうした状況のもと 2009 年 12 月に開催された第 15 回気候変動枠組条約締約国会議 ( 通称 COP15) において 政府は 2020 年までに温室効果ガスを 1990 年対比 25% 削減する という目標を掲げており 2010 年 6 月には 具体的施策の 1 つとして 再生可能エネルギーの利用拡大 を謳った 新成長戦略 を閣議決定している ( 図表 1) ( 図表 1) 新成長戦略のポイント 2020 年までに実現すべき目標 強みを生かす成長分野 2020 年までに実現すべき目標 ( ク リーン イノヘ ーション分野 ) 具体的政策 ( ク リーン イノヘ ーション分野 ) 名目成長率 3% 実質成長率 2% を上回る成長 2011 年度中には消費者物価上昇率をプラス 早期に失業率を 3% 台に低下 グリーン イノベーション ( 環境 エネルギー ) ライフ イノベーション ( 医療 介護 ) アジア 観光 地域 科学 技術 情報通信 雇用 人材 金融 再生可能エネルギー関連市場 10 兆円 再生可能エネルギーの国内 1 次エネルギー供給に占める比率を 10% に 世界トップクラスの環境未来都市の創設 木材自給率 50% 以上 注 固定価格買取制度 の導入等による再生可能エネルギー( 太陽光 風力 中小水力 バイオマス 地熱等 ) 急拡大 環境未来都市 構想 森林 林業再生プラン ( 注 ) 再生可能エネルギー発電施設の初期投資負担を軽減することを目的に 売電による収益を保証する国の助成金制度 ( 資料 ) 政府 新成長戦略 ( 一部抜粋 ) 1

再生可能エネルギーとは 化石燃料等のように枯渇する心配が無く 繰り返し使用することができるエネルギーであり 太陽光 風力 小水力 地熱 太陽熱 バイオマスエネルギー等のことを指す 1 環境省の試算によれば 再生可能エネルギーの利用拡大による国内での経済効果 ( 便益 ) は 2020 年累計で約 30 兆円 2030 年累計では約 60 兆円に上るとされ 雇用創出効果も 59~68 万人が見込まれており 全国的に再生可能エネルギーの利用拡大に向けた機運が高まっている ( 図表 2 3) ( 図表 2) 再生可能エネルギー導入による費用と便益 ( 割引率 3% 2010 年価値換算 ) 2020 年累積 2030 年累積 燃料価格固定 ( 兆円 ) 燃料価格上昇 ( 兆円 ) 燃料価格固定 ( 兆円 ) 燃料価格上昇 ( 兆円 ) 1 化石燃料節約による経済効果 2.2 3.3 8 13.1 2CO2 排出抑制による経済効果注 1 0.4 0.6 1.5 2.3 3 太陽光 風力 小水力及び地熱の導入拡大による粗付加価値額拡大効果注 2 26 26 48 48 便益合計 (1+2+3) 29 30 58 64 費用合計 13 13 25 25 ( 注 1) 燃料価格固定 クレジット価格固定 燃料価格上昇 クレジット価格上昇に対応させた ( 注 2) 付加価値額拡大効果のうち 直接効果に伴う拡大効果分は 費用側で計上しているものとみなし こ こでは1 次および2 次の波及効果に伴う付加価値額拡大効果のみ累積額を計上 ( 資料 ) 環境省 ( 図表 3) 再生可能エネルギー導入による雇用創出効果雇用創出 ( 万人 ) 2020 年 59 2030 年 68 ( 資料 ) 環境省 こうした中 大分県は 自然エネルギー 2 供給量 自給率 3 が共に全国 1 位となっており 再生可能エネルギー利用の先進県となっている また 2009 年 8 月には 経済産業省による 次世代エネルギーパーク 4 に採択されるなど 県内外から注目を集めつつある そこで 本稿では 大分県内における再生可能エネルギーの利用状況および地場企業の関連産業への参入状況を整理するとともに 今後の利用拡大および関連産業の育成による 県内経済の活性化に向けた課題について考察を行う 2. 県内の再生可能エネルギーを巡る状況 (1) 県内の再生可能エネルギー利用状況 都道府県別の自然エネルギー利用状況をみると 大分県は 自然エネルギーの供給量 自給率共に全国 1 位であり 再生可能エネルギーの利用が進んでいる ( 図表 4) エネルギー種別の内訳では 大分県は 全国トップの温泉源泉数 湧出量を誇っている 1 再生可能エネルギーの定義は諸説あるが 本稿では ダム等を用いた大規模水力を除いた定義を用いる 2 再生可能エネルギーとほぼ同義であるが 統計の出典元である Sustainable Zone 2008 上で用いられている表記を使用 3 各都道府県における民生部門 農業 水産部門の年間消費電力 年間消費熱量に占める 自然エネルギーによる電力 熱供給の比率 4 再生可能エネルギーを含む次世代のエネルギーについて 国民の理解の増進を図ることを目的に 経済産業省が認定した計画 07 年度以降全国 25 の自治体の計画が採択されており このうち県全体で認定を受けたのは 大分県を含めて 8 県 2

熱発電 発電所および PR 施設等の周辺施設を地域観光の目玉として利用して 観光客を誘致 小水力発電温泉熱ことから 大半を地熱エネルギーが占めている この間 エネルギー利用別では 当地は大型の地熱発電所が立地しているため 地熱発電を中心に約 2/3 を発電事業が占めている また 宿泊 観光施設のほか 一般家庭での温泉利用が多いため 温泉熱利用も 2 割を占めているなど 発電事業だけでなく 熱利用も進んでいる ( 図表 5 6 7) ( 図表 4) 都道府県別自然エネルギー供給量 自給率ランキング 順位 供給量自給率都道府県供給量 (TJ) 都道府県自給率 (%) 1 大分県 19,598.5 大分県 25.2 2 長野県 16,947.6 富山県 16.8 3 北海道 15,525.7 秋田県 16.5 4 富山県 13,555.0 長野県 11.2 5 秋田県 13,076.6 青森県 10.6 6 福島県 12,212.6 岩手県 10.4 7 新潟県 11,655.1 鹿児島県 9.7 8 青森県 11,285.5 福島県 8.7 9 鹿児島県 10,331.0 熊本県 8.6 10 岩手県 10,200.9 鳥取県 8.5 ( 資料 ) 千葉大学公共研究センター NPO 法人環境エネルギー政策研究所 Sustainable Zone 2008 ( 図表 6-1) 大分県の自然エネルギー ( エネルギー源別 ) バイオマスエネルギー 3.77% 太陽エネルギー 6.71% 小水力エネルギー 16.54% 風力エネルギー 1.22% ( 図表 5) 都道府県別温泉源泉数 湧出量源泉数湧出量順位都道府県源泉数 ( 本 ) 都道府県 湧出量 ( リットル / 分 ) 1 大分県 4,788 大分県 295,740 2 鹿児島県 2,824 北海道 260,397 3 北海道 2,304 鹿児島県 200,694 4 静岡県 2,283 青森県 171,961 5 熊本県 1,388 熊本県 132,084 6 青森県 1,117 長野県 121,734 7 長野県 1,017 静岡県 119,672 8 福島県 794 岩手県 113,224 9 宮城県 767 福島県 90,654 10 栃木県 624 秋田県 89,684 ( 資料 ) 環境省 平成 20 年度温泉利用状況 ( 図表 6-2) 大分県の自然エネルギー ( 利用別 ) 一般住宅用太陽光発電 1.51% 温泉熱 ( 他目的利用 ) 1.18% 温泉熱 ( 浴用 ) 19.91% 事業用太陽光発電 0.10% 事業用風力発電 1.22% 一般住宅用太陽熱 5.09% バイオマス発電 3.77% 地熱エネルギー 71.77% ( 資料 ) 千葉大学公共研究センター NPO 法人環境エネルギー政策研究所 Sustainable Zone 2008 小水力発電 16.54% 地熱発電 50.68% ( 資料 ) 千葉大学公共研究センター NPO 法人環境エネルギー政策研究所 Sustainable Zone 2008 ( 図表 7) 県内における再生可能エネルギーの利用事例地 地熱発電所 ( 電力会社 民間企業 ) は 5 か所 (7 施設 ) が立地 (2009 年 3 月現在 ) 九州電力八丁原発電所は 日本最大の地熱発電所 小水力発電設備 ( 出力 10,000kW 以下でダムを使用しないもの ) は 電力会社 自治体合わせて 30 か所以上 (2009 年 3 月現在 ) 宿泊 観光施設での浴用利用 それに伴う観光客の誘致 一般家庭での浴用利用 3

水力発電バイオマス光(2) 近年における再生可能エネルギー利用拡大の取組み このように 当地は 従来から恵まれた天然資源を活かす形で大企業 ( 電力会社による大型の地熱発電所等 ) や一般家庭を中心に 再生可能エネルギーの利用が活発であったが 近年では 環境問題への取組み や 再生可能エネルギーの利用推進 をスローガンに 自治体に加えて地場企業が地熱発電以外を含めた再生可能エネルギーの利用を推進する動きがみられている 特に 小水力発電 バイオマス関連では 低炭素社会の実現に向けて 官民一体となって取組む先進的な事例もみられている また 地場企業の中には 再生可能エネルギー分野の成長をビジネスチャンスと捉え 新たなイノベーションを通じて異業種から同分野に参入する動きがみられているなど 今後の成長に繋がる芽吹きがみられてきている ( 図表 8 9) ( 図表 8) 近年の県内における再生可能エネルギー利用の動き小 流量の少ない農業用水路でも十分な発電量を得られる小型の水力発電装置を地場企業が開発 農林水産省の支援事業 ( 小水力発電工事等技術強化対策事業 ) に採択されたことがきっかけとなり 地場企業 5 社が協力して設置に漕ぎ着けた 同発電所による電力は 近隣の道の駅へ供給され 同施設内にあるイチゴ栽培ハウス等の電源に使用しているほか 余剰分は電力会社へ売電している バイオマス発電 熱利用 燃料製造施設 ( 自治体 民間企業 ) は 46 施設 (2009 年 3 月現在 ) バイオマス原料には 農業 林業等で発生し 従来有償で処理せざるを得なかった産業廃棄物 ( 木くず 建築廃材 豚糞尿 生ごみ 焼酎かす等 ) を活用 日田市では 2005 年のバイオマスタウン 5 認定を機に 全国有数のバイオマス施設が複数立地 大分県は バイオマス発電による電力供給量が全国の都道府県の中で 4 位 観 蒸し料理の体験調理を行う等の温泉熱を利用した体験型観光施設の開業 ( 図表 9) 県内企業による再生可能エネルギー関連産業への参入事例 電気機械メーカーの A 社では 太陽電池の品質検査に使用されるセルテスター モジュールテスターの製造 販売に取組んでいる 足もと国内メーカーだけではなく 海外メーカーにも拡販しており 更なる受注拡大を目指すべく 技術開発に注力している 流体機械設計業の B 社では 前述の小水力発電工事等技術強化対策事業において 僅かな水の落差があれば発電可能な小型の水力発電装置を設計 地場メーカーと協力し 製造 設置を行った また 同社では 温泉の排熱を利用した小型発電装置 (p.6 参照 ) の開発に成功 今後の拡販を目指している 5 バイオマスの発生から利用までが効率的なプロセスで結ばれた総合的利活用システムが構築され 安定的かつ適切なバイオマス利活用が行われているか あるいは今後行われることが見込まれる地域 内閣府 総務省ら関係府省からなる バイオマス ニッポン総合戦略推進会議が募集 認定する 4

酒造メーカーの C 社では 自社が建設したバイオマス施設 ( メタン発酵施設 ) を利用して 工場や蒸留所から出る焼酎かすを加工し 家畜用の飼料 食品素材として販売している 建設業 電気工事業の D 社では 急速な需要増加が見込まれる太陽光発電装置の拡販を行うため 営業スタッフ 施工スタッフの採用を積極的に行っている (3) 県内自治体による支援状況 この間 県内の自治体でも 再生可能エネルギーの利用推進や 関連産業への参入を目指す企業をサポートする施策を強化しているほか 足もと 資金需要が乏しい中で貸出が伸び悩んでいる金融機関も 今後成長が見込める分野として期待を強めている状況にある ( 図表 10) ( 図表 10) 大分県による支援状況の例 [ 大分県次世代エネルギー導入促進事業 大分県太陽電池関連産業研究開発モデル事業 ] 今後成長が見込まれる太陽電池関連産業の集積促進を図るため 1 太陽電池応用製品の高効率化 低コスト化技術の実証に関する経費の 2/3 以内 ( 限度額 600 万円 ) を補助 2 研究開発費の 1/2 以内 ( 限度額 1,500 万円 ) を補助 [ 大分県地域結集型研究開発プログラム ] 次世代電磁力応用機器開発技術の構築 プロジェクトを推進 同技術を水力発電や風力発電に応用して 低炭素社会の実現を図る [ 新エネルギー活用推進事業 ] 県では 新エネルギー 6 等の利活用を推進するため 新エネルギーの賦存量 利用可能量の調査事業および新たなエネルギービジョンの策定を開始する計画 同事業では マイクロ水力発電 バイオマス資源に関連して 実証化に向けた調査も行うこととしている 3. 今後の課題と展望 以上 県内における再生可能エネルギーの利用拡大 関連産業への参入に向けた取組み状況を整理してきたが 現状では 県内総生産を大きく押し上げるまでの規模には至っていない もっとも 今後こうした取組みが進めば 企業の設備投資に繋がるとみられるほか 雇用創出効果についても期待出来る 加えて 企業が再生可能エネルギーの利用を進めることにより 光熱費の節約や電力会社への売電 グリーン電力証書 7 の取得を通じた収入増など 企業収益の向上にも資すると考えられる また 他の都道府県の取組み状況をみると 小水力発電によって得られる電力を観光用の電気バス等に供給し エコ温泉地 化を図るといった先進的な取組みがみられているほか 自治体と企業の研究開発により 温泉熱等の低温熱源を利用した発電システムが実用化されている事例がみられている 大分県でも 温泉熱発電を含めた再生可能エネルギーの活用に 6 新エネルギーの利用等の促進に関する特別措置法 にて定められたエネルギー源 全て再生可能エネルギーである ( 太陽光発電 熱利用 バイオマス発電 熱利用 燃料製造 小水力発電 地熱発電 < バイナリー発電のみ > 風力発電など 10 種類 ) 7 再生可能エネルギーによって得られた電力の環境付加価値を 取引 ( 売買 ) 可能な証書にしたもの 東京都では 一定規模以上の事業所などに温室効果ガスの削減を義務化する一方で グリーン電力証書の購入を温室効果ガスの削減実績として算入することを認めている 5

対する官民一体となった取組みを通じて 環境先進県 としてアピールを進めることは 地域ブランド力の向上 ひいては観光振興に繋がるとみられる このように 再生可能エネルギーの活用は 当該事業者のみならず 幅広く県内の活性化に繋がる可能性がある ( 図表 11) とりわけ 当県の特性を踏まえると 既に大手企業や県内企業で実用化され 一部販売を開始している温泉水を利用した低温エネルギーの発電システム ( 図表 12) は 温泉旅館等での自家発電装置として 省エネ需要が見込まれるほか 天候に左右される太陽光発電と比較しても効率が高く 投資回収期間も短いことから 今後の普及が期待される ( 図表 11) 他都道府県における先進的な取組みの例 富山県の宇奈月温泉では 小水力発電により得られる電力を 街路灯や観光用の電気バス 電動自転車等に供給する実証実験を行っており エコ温泉地 としてのブランド力 集客力の向上を目指している また 従来街路灯の電気料金や送迎バスの燃料費等は 地域のホテル 旅館等が負担していたが 同電力を利用することで こうした先の負担低減にも繋がっている 群馬県の草津温泉では 草津町が大手電気メーカーと共同して 温泉熱を利用した発電に取組んでおり 既に発電装置として実用化され 24 時間稼働しているほか 災害などによる停電時も利用できる電力として注目を集めている 新潟県の松之山温泉では ホテル 旅館等での導入を想定した温泉熱発電の実証実験が進められている 同地域は 温泉を持つ宿泊施設の数が全国 3 位であり 今後温泉熱発電の導入が進めば 同地域のイメージ向上や宿泊施設のコスト競争力強化に繋がると期待されている 熊本県の水俣市では 過去の公害発生を教訓に 環境モデル都市 として ごみの高度分別やバイオエタノールを含めた新エネルギーの積極的な活用等の環境整備を図っており 各地からの視察研修を受け入れているほか 修学旅行客の増加に繋がっている ( 図表 12) 温泉水 ( 低温熱源 ) を利用した発電システムについて 60~90 蒸気温泉水 タービン発電機 電気 給湯利用等 沸騰熱交換機 熱交換機 50 液化 冷却水 浴用湯 ( 特徴 ) 工場の排熱や 地熱など低温熱源を活用し その熱で沸点が水より低い代替フロンやアンモニアを気化させ その蒸気でタービンを回し発電する仕組み 温泉水の場合 利用後には浴用湯や給湯用として利用でき 既に源泉を確保している場合は新たな採掘等が必要ない 既に 大手企業のほか地場企業でも実用化に向けた取組みが行われている しかしながら 現状 地場企業が再生可能エネルギーの利用 関連産業への参入を進めるにあたっては 1イニシャルコスト ( 導入費用 ) の高さ 2 自然公園法 温泉法といった諸規制の存在 3 新規参入を行うための技術 ノウハウや販路の不足といった面で課題 6

境省経済産業省資源エネルギー庁農林水産省が存在している こうした課題を克服するためには 産学官 ( 企業 大学 行政 ) の意識的な協働が必要である 行政においては 助成金制度の拡充 再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度の整備等を通じて 企業サイドが導入メリットを享受し易い環境を整えるとともに 規制緩和により 再生可能エネルギーの普及を後押しする施策が求められる 他方 地場企業 大学においては 利用可能な助成金制度等を有効に活用し 技術 ノウハウの蓄積や共有を図るなど 今後の再生可能エネルギー利用拡大に向けた努力が重要となる ( 図表 13) ( 図表 13) 国 独立行政法人等による補助制度の例環[ 廃棄物処理施設における温暖化対策事業 ] 廃棄物 バイオマスによる発電 熱供給 燃料製造施設の整備等を行う者に対し 事業費の 1/3 および 1/2 以内を補助 [ 温泉施設における温暖化対策事業 ] ヒートポンプによる温泉熱利用 温泉付随ガスの熱利用 温泉付随ガスのコージェネレーション事業を行う者に対し 事業費の 1/3 および 1/2 以内を補助 [ 地域新エネルギー等導入促進対策事業 ] 地域の取組みとしての先進性等がある新エネルギー等を導入する事業に対し 必要経費の 1/2 以内 ( エネルギー等の種類によっては上限あり ) を補助 [ 新エネルギー等事業者支援対策事業 ] 先進的な新エネルギー等設備を導入する事業に対し 必要経費の 1/3 以内 ( エネルギー等の種類によっては上限あり ) を補助 [ 農業水利施設利用小水力発電導入促進事業 ] 小水力発電施設の機器に関する情報収集および提供を行うとともに 小水力発電低コスト実証地区の技術検討等を行う者に対し 1,080 万円を上限に必要経費を補助 NEDO[ 中小水力発電開発事業 ] 出力が 1,000kW を超え 30,000kW 以下の水力発電施設の設置等を行う者に対し 事業費の 10%~50% 以内を補助 [ 地熱発電開発事業 ] 地熱を利用する発電施設等の設置または改造にかかる調査井掘削や地熱発電施設の設置を行う者に対し 事業費の 1/2 および 1/5 以内を補助 ( 注 1) 公募終了されているものも含む ( 注 2) 経済産業省資源エネルギー庁の事業は 間接補助事業であるため 事業者への補助金の交付は 経済産業省からの公募に採択された法人から行われる また 地場企業が自立し 健全な成長および県内経済の活性化に繋げるためには 前述した産学官の連携だけではなく 金融機関による資金供給 ビジネスマッチングの仲介機能や販路拡大 経営課題克服に向けた助言といった形での 幅広いサポートが不可欠である 7

4. 終わりに 大分県は 地熱 ( 温泉熱を含む ) 水力等のエネルギー資源が他地域よりも豊富に存在している こうした中 最近では 温泉熱や水力を利用した小規模発電といった新技術が開発されており 同技術が普及することで 県内の再生可能エネルギーの利用がさらに進むことが期待される また 大分県は 長年に亘り 半導体産業の育成 企業誘致による産業集積を推進してきた結果 地場企業の中には 太陽電池産業に応用可能な技術を持った 8 企業が複数存在している こうした中 再生可能エネルギー 特に太陽電池産業の市場規模は 今後 急速に拡大する見通しであることから 同分野への進出が新たなビジネスチャンスに繋がることが期待される このように 大分県は 今後の再生可能エネルギーの利用拡大に向けた大きな可能性を有している これを現実のものにし 県内経済の活性化に繋げるためには 上述のとおり 産学官や金融機関が一体となって取組みを進めていくことが重要である こうした取組みを通じて 大分県が引き続き再生可能エネルギーの先進県として わが国の環境ビジネスを牽引していくことに期待したい 以 上 8 太陽電池の製造工程は 半導体の製造工程と類似しているため 特に太陽電池製造 検査装置や太陽電池モジュール等の製造において 技術の転用が可能であるといわれている 8