意匠公知資料データベースの公開促進のための方策の在り方について(案)

Similar documents
害者等のために情報を提供する事業を行う者 ( 非営利目的の法人に限る ) を一般的に定める 上記のほか 聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人 ( 法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む ) のうち 聴覚障害者等のための複製又は自動公衆送信を的確かつ円滑に行う

Ⅰ. はじめに 近年 企業のグローバル化や事業形態の多様化にともない 企業では事業戦略上 知的財産を群として取得し活用することが重要になってきています このような状況において 各企業の事業戦略を支援していくためには 1 事業に関連した広範な出願群を対象とした審査 2 事業展開に合わせたタイミングでの

<4D F736F F D20948E8E6D8A7788CA985F95B6838A837C A936F985E82C98DDB82B582C482CC97AF88D38E968D E63594C5816A2E646F637

審査の品質管理において取り組むべき事項 ( 平成 27 年度 ) 平成 27 年 4 月 28 日 特許庁 特許 Ⅰ. 質の高い審査を実現するための方針 手続 体制の整備 審査の質を向上させるためには 審査体制の充実が欠かせません そこで 審査の効率性を考慮しつつ 主要国と遜色のない審査実施体制の確

版 知る前契約 計画 に関する FAQ 集 2015 年 9 月 16 日 有価証券の取引等の規制に関する内閣府令が改正され いわゆる 知る前契約 計画 に係るインサイダー取引規制の適用除外の範囲が拡大されています 日本取引所自主規制法人に寄せられる 知る前契約 計画 に関する主な

いる 〇また 障害者の権利に関する条約 においては 障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとされている 〇一方 成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度 ( いわゆる欠格条項 ) については いわゆるノーマライゼーションやソーシャルインクルージョン ( 社会的包摂 ) を基本理念とする成年

<4D F736F F D E9197BF A E838B C E9E91E382C982A882AF82E9926D8DE090A CC8DDD82E895FB646F632E646F63>

1 アルゼンチン産業財産権庁 (INPI) への特許審査ハイウェイ試行プログラム (PPH) 申請に 係る要件及び手続 Ⅰ. 背景 上記組織の代表者は

 

第 32 回 1 級 ( 特許専門業務 ) 実技試験 一般財団法人知的財産研究教育財団知的財産教育協会 ( はじめに ) すべての問題文の条件設定において, 特に断りのない限り, 他に特殊な事情がないものとします また, 各問題の選択枝における条件設定は独立したものと考え, 同一問題内における他の選

指針に関する Q&A 1 指針の内容について 2 その他 1( 特許を受ける権利の帰属について ) 3 その他 2( 相当の利益を受ける権利について ) <1 指針の内容について> ( 主体 ) Q1 公的研究機関や病院については 指針のどの項目を参照すればよいですか A1 公的研究機関や病院に限ら

Taro-052第6章1節(p ).jtd

1. 口座管理機関 ( 証券会社 ) の意見概要 A 案 ( 部会資料 23: 配当金参考案ベース ) と B 案 ( 部会資料 23: 共通番号参考案ベース ) のいずれが望ましいか 口座管理機 関 ( 証券会社 ) で構成される日証協の WG で意見照会したところ 次頁のとおり各観点において様々

インドネシアにおける意匠を対象にした出願前調査 Q 自社製品の意匠権をインドネシアで取得したい 出願する前にや っておいた方が良いことはあるか? 1) 調査ツールの選択インドネシアにおける意匠は インドネシア知的財産総局 ( 以下 DGIP) が提供する e-status Kekay

様式 2 特許庁長官殿 平成年月日 特定登録調査機関 印 特定登録調査機関代表者 印 先行技術調査業務規程届出書 工業所有権に関する手続等の特例に関する法律第 39 条の 7 に従い 先行技術調 査業務規程を届け出ます 添付書類 先行技術調査業務規程平成 年 月特定登録調査機関

問 2 戦略的な知的財産管理を適切に行っていくためには, 組織体制と同様に知的財産関連予算の取扱も重要である その負担部署としては知的財産部門と事業部門に分けることができる この予算負担部署について述べた (1)~(3) について,( イ ) 内在する課題 ( 問題点 ) があるかないか,( ロ )

イ -3 ( 法令等へ抵触するおそれが高い分野の法令遵守 ) サービスの態様に応じて 抵触のおそれが高い法令 ( 業法 税法 著作権法等 ) を特に明示して遵守させること イ -4 ( 公序良俗違反行為の禁止 ) 公序良俗に反する行為を禁止すること イ利用規約等 利用規約 / 契約書 イ -5 (

<4D F736F F D204E45444F D E836782C982A882AF82E9926D8DE0837D836C AEE967B95FB906A91E63494C BD90AC E398C8E323593FA89FC92F9816A>


拍, 血圧等 ) を, ユーザー本人または当社の提携先からと提携先などとの間でなされたユーザーの個人情報を含む取引記録や, 決済に関する情報を当社の提携先 ( 情報提供元, 広告主, 広告配信先などを含みます 以下, 提携先 といいます ) などから収集することがあります 4. 当社は, ユーザーが

平成28年度国立国会図書館活動実績評価: 目標2

研究報告書レイアウト例(当該年度が最終年度ではない研究班の場合)

事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

3 特許保有数 図表 Ⅰ-3 調査対象者の特許保有数 Ⅱ. 分析結果 1. 減免制度 (1) 減免制度の利用状況本調査研究のヒアリング対象の中小企業が利用している法律別の減免制度の利用状況を 図表 Ⅱ-1 に示す 企業数は延べ数でカウントしている 図表 Ⅱ-1 減免制度の利用状況 この結果から 産業

Microsoft Word - TechStarsプライバシーポリシー.docx

<4D F736F F D2089EF8ED096408CA48B8689EF8E9197BF E7189BB A2E646F63>

特許庁委託事業 ASEAN 各国における産業財産権情報への アクセス性に関する調査 2013 年 4 月日本貿易振興機構バンコク事務所知的財産部 協力 TMI Associates (Singapore) LLP

国立国会図書館法によるインターネット資料の収集について 国立国会図書館 最終更新 : 平成 31 年 2 月

国立国会図書館サーチとのOAI-PMH連携時に障害となるポイント

出願人のための特許協力条約(PCT) -国際出願と優先権主張-

パワーポイントの品質と生産性を向上させるデザイン・テンプレート

改正の背景等 1. 著作権等の制限規定の改正 ( 著作物の利用の円滑化 ) 1 いわゆる 写り込み ( 付随対象著作物としての利用 ) 等に係る規定の整備 Ⅳ. 分野別戦略 知的財産推進計画 2010( 平成 22 年 5 月 21 日知的財産戦略本部決定 ) 戦略 2 コンテンツ強化を核とした成長

<4D F736F F D20899E95E58AC7979D837D836A B2E646F63>

適用時期 5. 本実務対応報告は 公表日以後最初に終了する事業年度のみに適用する ただし 平成 28 年 4 月 1 日以後最初に終了する事業年度が本実務対応報告の公表日前に終了している場合には 当該事業年度に本実務対応報告を適用することができる 議決 6. 本実務対応報告は 第 338 回企業会計

インドネシアにおける意匠を対象にした無効資料調査 Q 自社製品に近いインドネシア意匠を発見した この意匠を回避す ることも選択肢ではあるが できれば無効化したい 1) 調査ツールの選択インドネシアにおける意匠は インドネシア知的財産総局 ( 以下 DGIP) が提供する e-sta

(2) ピュア型 / キャッシュ非作成型 (Limewire,Gnutella 等 ) 検索検索検索見つかると直接接続検索検索検索 図 Limewire の仕組み 1 情報管理サーバーを持たない 2ファイルの検索はバケツリレー方式で行う 3ファイルが見つかった後はピア ツー ピア通信でファイルの送受

発信者情報開示関係WGガイドライン

<4D F736F F F696E74202D E82C582E08F6F978882E98AC FA967B93C18B9692A182C582CC93C18B9692B28DB895FB B8CDD8AB B83685D>

PCT 出願人の手引 - 国内段階 - 国内編 -SA S A 1 頁 サウジ特許庁 (SPO) ( 指定官庁又は選択官庁 ) 目 次 国内段階 - 概要 国内段階の手続 附属書手数料 附属書 SA.Ⅰ 略語のリスト国内官庁 : サウジ特許庁 (SPO) Law: 特許, 集積回路配置デザイン, 植

文書管理番号

特許庁工業所有権保護適正化対策事業

特定個人情報の取扱いの対応について

コンテンツ作成基本編

社会制度として次の点が重要な要素であることが示されている 1 1 書籍に関する著作権の権利処理の円滑化のため 権利の集中管理が必要であること 2 デジタル ネットワーク社会における出版社の機能を維持し発展させるために 出版社に著作隣接権的な版面保護する権利を付与することにより流通の主体たりうることを

イ特許専門業務特許戦略 法務 情報 調査 特許戦略に関し 次に掲げる事項について専門的な知識を有すること (1) 特許出願戦略 ( ポートフォリオ戦略等 ) (2) 研究開発戦略と特許戦略の関係 (3) 事業戦略と特許戦略の関係 (4) 標準化戦略 法務に関し 次に掲げる事項について専門的な知識を有

知的財産権の権利活用 ~警告から訴訟まで

< F2D816994D48D FA957493FC816A >

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

Microsoft PowerPoint - 【資料6】業務取り組み

ベトナムにおける意匠を対象にした出願前調査 Q 自社製品の意匠権をベトナムで取得したい 出願する前にやって おいた方が良いことはあるか? 1) 調査ツールの選択ベトナムの意匠は ベトナム国家知的財産庁 ( 以下 NOIP) が提供する IP Lib または 欧州連合知的財産庁 ( 以

特定個人情報保護評価へのご意見とご意見に対する考え方

PCT 出願人の手引 - 国内段階 - 国内編 -MY MY 1 頁 マレーシア知的所有権公社 ( 指定官庁又は選択官庁 ) 目 次 国内段階 - 概要 国内段階の手続 附属書手数料 附属書 MY.Ⅰ 国内段階移行手数料 ( 特許様式 No.2A) 附属書 MY.Ⅱ 特許代理人の選任又は変更 ( 特

Microsoft Word - ③調査仕様書.doc

意匠法第十七条の三意匠登録出願人が前条第一項の規定による却下の決定の謄本の送達があつた日から三月以内にその補正後の意匠について新たな意匠登録出願をしたときは その意匠登録出願は その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす 2 前項に規定する新たな意匠登録出願があつたときは もとの意匠登

個人情報保護法の3年ごと見直しに向けて

Microsoft Word - TM-Search

Microsoft Word - 01.表紙、要約、目次

コンテンツ作成基本編

<4D F736F F D208B4B8A6988C490528B63834B FC90B394C5816A2E646F6378>

<4D F736F F D AA96EC82CC837C815B835E838B C6782CC82BD82DF82CC92B28DB F18D908F912E646F63>

< 現行 > 対象者医療区分 Ⅰ(Ⅱ Ⅲ 以外の者 ) 1 * 医療の必要性の低い者医療区分 Ⅱ Ⅲ 1 2 * 医療の必要性の高い者 ( 指定難病患者を除く ) 3 指定難病患者 2 生活療養標準負担額のうちにかかる部分 1 日につき32 1 日につき 1 日につき < 見直し後 > 対象者医療区

 

指定 ( 又は選択 ) 官庁 PCT 出願人の手引 - 国内段階 - 国内編 - ベトナム国家知的所有権庁 (NOIP) 国内段階に入るための要件の概要 3 頁概要 国内段階に入るための期間 PCT 第 22 条 (3) に基づく期間 : 優先日から 31 箇月 PCT 第 39 条 (1)(b)

標準規格に係る工業所有権の取扱に関する基本指針e

スライド 1

<4D F736F F D208E52979C8CA C78E F88979D8BC68ED E882C98C5782E98E9696B18F88979D977697CC2E646F63>

特定個人情報の取扱いの対応について

ことができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している さらに 台湾専利法第 76 条は 特許主務官庁は 無効審判を審理する際 請求によりまたは職権で 期限を指定して次の各号の事項を行うよう特許権者に通知することができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している なお

インターネットマガジン1996年12月号―INTERNET magazine No.23

欧州特許庁における審査期間短縮手段 背景欧州出願は 日本 米国と比較して係属期間が長い また 欧州出願では 登録まで出願維持年金を特許庁に支払う必要があり 係属期間が長くなると費用が高くなる そこで 早期権利化と 権利化にかかる費用の削減のために 欧州特許庁における審査期

<4D F736F F D F8D9197A78FEE95F18A778CA48B868F8A8A778F B B4B92F65F89FC92E888C42E646F6378>

研究レビューミーティング プレゼン資料 テンプレート

インターネットマガジン2004年6月号―INTERNET magazine No.113

504 特定事業等に係る外国人の入国 在留諸申請優先処理事業 1. 特例を設ける趣旨外国人研究者等海外からの頭脳流入の拡大により経済活性化を図る地域において 当該地域における特定事業等に係る外国人の受入れにあたり 当該外国人の入国 在留諸申請を優先的に処理する措置を講じることにより 当該地域における

ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場

PowerPoint プレゼンテーション

< F2D E682518FCD825290DF D A97B98F4390B396B32E6A7464>

PCT 出願人の手引 - 国内段階 - 国内編 -RU RU 1 頁 連邦知的所有権行政局 (ROSPATENT)( ロシア連邦 ) ( 指定官庁又は選択官庁 ) 目 次 国内段階 - 概要 国内段階の手続 附属書手数料 附属書 RU.Ⅰ 特許国内処理請求様式 附属書 RU.Ⅱ 実用新案国内処理請求

10 解説 p1 ⑵⑶ ⑷ 11

国会への法案提出を目指すこととする としている 同方針をもとにパーソナルデータに関する検討会が立ち上げられ, 平成 26 年 (2014 年 )6 月 9 日付けで パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱 ( 事務局案 ) が示されたところである しかしながら, その結論によっては, 個人に関

1. データベースへのアクセス トルコ特許を収録したデータベースとしては 無料のものとして下記のような情報源が存在する このミニガイドでは原則無料 かつ数年間にわたり安定運用されているトルコ特許庁のデータベースと Espacenet の検索方法を紹介する * トルコ特許制度の詳細については 世界の産

宇佐美まゆみ監修(2011)『BTSJ入力支援・自動集計システム』、及び

インターネットマガジン2003年4月号―INTERNET magazine No.99

米国における意匠を対象にした侵害防止調査 Q 自社で開発した商品を米国で販売したい 意匠侵害で訴えられ ることは避けたいが どうしたら良いか? 1) 調査ツールの選択米国における意匠は 米国特許商標庁 ( 以下 USPTO) に直接出願するルートとハーグ協定を経由するルートが存在する

Microsoft Word - guideline02

<4D F736F F D208B8F91EE89EE8CEC93998C5F96F18F912E646F63>

インターネットマガジン1998年6月号―INTERNET magazine No.41

No. コメントの概要 金融庁 警察庁の考え方 本人確認方法 ( 規則第 3 条第 1 項第 1 号及び第 3 号 ) 1 規則第 3 条第 1 項第 1 号チでは 特定の預金又は貯金口座における口座振替の方法により決済されるもの という項目を追加しているが 口座振替の方法によって決済されるもの と

指定 ( 又は選択 ) 官庁 CL PCT 出願人の手引 - 国内段階 - 国内編 -CL 国立工業所有権機関 ( チリ ) 国内段階に入るための要件の概要 3 頁概要 CL 国内段階に入るための期間 PCT 第 22 条 (1) に基づく期間 : 優先日から 30 箇月 PCT 第 39 条 (1

日本医療情報学会

Excel で学ぶ統計解析入門 ―Excel 2013/2010 対応版―

( 経済産業省素形材産業室発表 ) 金型図面や金型加工データの意図せざる流出の防止に関する指針について 指針策定に係る経緯 1. 最近 金型の製造委託取引において 金型図面等が 金型発注企業 ( 以下 ユーザー ) に提出させられた後 金型製造業者の同意のないまま 海外で二番目の金型や類似の金型の製

インターネットマガジン2003年11月号―INTERNET magazine No.106

Microsoft Word 資料1 プロダクト・バイ・プロセスクレームに関する審査基準の改訂についてv16

Edyメールマガジン利用規約

はじめに 意匠登録出願に関する早期審査 早期審理は 昭和 62 年 12 月 15 日に導入されて以来 意匠の早期保護という社会的ニーズに的確に対応すべく運用されてきています ( 平成 5 年 1 月 平成 9 年 9 月一部改正 ) このガイドラインの内容を十分にご理解の上 本制度を有効に活用して

個人情報保護規定

( 問 3) 売却証明書を発行することができるのは どのような市場ですか 売却証明書を発行できるのは 以下の市場において売却した場合です 1 家畜市場家畜取引法 ( 昭和 31 年法律第 123 号 ) 第 2 条第 3 項に規定する家畜市場及び同法第 27 条に規定する臨時市場 2 中央卸売市場

個人情報保護方針の例

借入先一覧 ( 別紙 1) 私が自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン ( 以下 本ガイドライン という ) に基づく債務整理の対象としたい借入先等は下表のとおりです 下表の内容に漏れや誤りがあり その結果 登録支援専門家として私又は下表の借入先等と利害関係のある者が委嘱された場合 登録

Transcription:

資料 2 意匠公知資料データベースの公開促進のための方策の在り方について の検討内容 ( 案 ) 1. 課題特許庁では 意匠審査のための資料として 意匠登録公報のほか 雑誌 カタログ インターネットに掲載されているデザイン情報等を収集しており 審査サーチの効率化を図るためにこれらの資料から製品の図や写真等を抽出して電子化し データベース化して審査に使用しているこのデータベースに対し 意匠制度ユーザーから公開を求める要望があるが これら写真 図面等のイメージデータは 各企業等が著作権を保有するため 著作権者の許可無く公開することができない そのため 平成 16(2004) 年度 調査研究事業により 委員会を設置し 審査資料( 公知資料 ) の内容充実及び公開に関する調査研究報告書 ( 平成 1 7 年 3 月社団法人日本デザイン保護協会 ) をまとめた 上記調査研究の結果を受け 各企業担当者に電話あるいは面会にて事業趣旨を説明し 試行的に公開利用ができるよう許諾して頂くための公開利用許諾事業を実施した さらに平成 17(2005) 年度からは 前年度に蓄積された国内のインターネット情報に対しても 公開利用の許諾を取得する事業を実施している 平成 20(2008) 年度以降 上記許諾取得対象を国内の雑誌 カタログまで対象を広げ 特許電子図書館 (IPDL) 上で公開している なお 知的財産推進計画 2009において 意匠の権利範囲 ( 登録意匠の類似範囲や部分意匠の権利範囲 ) の明確化及びデザイナーの創作基盤の整備を図るため ( 中略 ) 特許庁の公知意匠資料データベースの公開促進のための方策の在り方について検討を行い 2009 年度中に結論を得る こととされたため 意匠審査基準ワーキンググループにおいて 意匠公知資料の公開促進の在り方について さらなる検討を行なった 2. 現状 (1) 許諾取得方法について意匠公知資料が掲載された雑誌 カタログ インターネット情報を公開した企業等に対して 各社の著作物であるカタログ等のイメージデータについて公開利用許諾を行う まず 意匠公知資料を特許庁から複写の上送付してよいかを事前に確認する ( 第 1 事業 ) 次に 送付確認を得た許諾依頼先に対し 対象公知資料を閲覧できる許諾作業用データ及び許諾書を送付し 各資料ごとにイメージデータの公開許諾を求めている ( 第 2 事業 )

(2) 公開対象資料数平成 17(2005) 年度以降 前年度に蓄積された国内のインターネット情報に対して許諾を取得する事業を開始し 平成 20(2008) 年度には 国内の雑誌 カタログまで対象を広げて36,463 件の公開許諾を頂き これまで合計 43,133 件の公開許諾を得て 特許電子図書館 (IPDL) 上で公開している 3. 検討内容 (1) 意匠公知資料の公開による効果について権利範囲の明確化に関して 登録意匠の権利範囲が理解しやすくなるなど 意匠公知資料データベースの公開は効果的であるという意見に加えて デザイナーの創作基盤としても データベースが公開されていれば 出願事前調査に活用することができるので 重複的なデザイン開発を防ぐことが可能 また若いデザイナーへの教育的効果も期待できるとの意見があり 今後も意匠公知資料データベースの公開促進を図ることは適当である 一方で 意匠公知資料の特許電子図書館 (IPDL) による公開が外国における模倣を助長させることにならないかと懸念する意見があるが 意匠公知資料として公開する雑誌 カタログに掲載された写真は 製品設計図面等とは異なり 特徴的な面のみ等の限られた形態情報しか開示されておらず これらの情報のみを用いて模倣品を製作することは必ずしも容易でないことから 仮にそのようなことが全くないとはいえないとしても 公開の促進を図るメリットの方がはるかに大きいと考えられる (2) 意匠公知資料の公開促進の在り方について 1 許諾取得の在り方について意匠公知資料データベースの充実のために より多くの公開許諾取得する方策 また許諾依頼先への負担を軽減させる方策について議論 検討を行なった (ⅰ) 許諾の有償化特許電子図書館 (IPDL) による公開を許諾することに対し対価を支払う ( 有償化 ) ことにより より多くの許諾を取得する案が議論されたが 国庫負担の観点及び また対価を支払うべき対象となる著作権が発生している各種イメージデータを特定することが容易ではなく 実現は難しいとの結論に達した (ⅱ) 資料収集と同時に許諾依頼作業効率を改善するため 資料収集と同時に許諾を依頼する案が議論されたが 以下の問題点があり 資料収集の際の許諾取得は困難である上に かえって資料化したデータそれぞれについて公開許諾を求める現状の方法より 許諾 2

作業の負担が増加する恐れが指摘された 収集段階では 例えば 1 冊の雑誌からどの製品写真を抽出するか決まっていないため 冊子単位での許諾が必要となるが 一冊の中に複数の著作権者が存在しており 冊子単位での包括的な許諾は困難 雑誌 カタログにおいては発行の日 インターネットにおいては情報の更新の日にあわせてそれぞれに許諾書が必要となり 許諾者側にとっても管理負担が大きなものとなる (ⅲ) 公開許諾可能な資料を特許庁へ寄贈する各企業から前もって公開許諾可能な雑誌 カタログ資料を特許庁へ提供していただく案が議論されたが 以下の問題点があり 許諾取得方法の改善にはつながらないことが指摘された カタログの場合 公正な公知日 ( 受入日 ) の確保が困難 雑誌 カタログ インターネット全ての情報を提供できるわけではないので 結局のところ収集 許諾事業は無くならない 例えばカタログを提供したとしてもインターネット情報については公開許諾依頼することになってしまう 提供資料の許諾書及び許諾データの作成と 通常の許諾事業における許諾書及びデータ管理とがばらばらになり 管理負担が大きくなる 以上の検討より 現状の意匠公知資料収集及び許諾取得方法に替わる効果的な方策は見当たらず 現状の方策の枠組みの中で より多くの公開許諾取得し また許諾依頼先への負担を軽減させる改善を施していくのが適切である 具体的には以下の改善策が考えられる (ⅳ) イメージデータの抽出時における改善許諾依頼先からいただいた意見の中で 許諾できない理由として挙げられるものの中に イメージデータ中にタレント画像等の他社との権利調整が必要なものが含まれる また 当時の価格情報等 営業上支障のある情報が含まれている といった事情を挙げるケースが散見された 意匠公知資料について 今まで審査資料という視点で作成していたが 今後はこの視点に加え 後に公開することも視野に入れ資料の作成方法を精選化し 収集対象製品が含まれる写真等が複数存在する場合は できる限り対象商品以外の情報が含まれない写真等を選択して抽出する方法に改める (ⅴ) 契約時における改善許諾依頼先からいただいた意見の中で 許諾できない理由として挙げられるものの中に カメラマン等との権利調整に時間がかかる ことを挙げるケース 3

が多い 本事業への理解と普及を推進し あらかじめカメラマン等との契約の際に 意匠公知資料データベースとして公開を可能とすることについて 契約内容に盛り込む等の改善を訴えていくことが必要である (ⅵ) 広報用ウェブサイトの活用許諾依頼先の中には 広報用の二次利用可能なイメージデータを掲載したウェブサイトを有しており 当該サイト中のイメージデータであれば 許諾依頼は必要ないという意見があった 今後 インターネット情報から作成する意匠公知資料の公開においては 広報用ウェブサイトの活用を検討する (ⅶ) 依頼送付事前確認 ( 第 1 事業 ) の省略現状の許諾取得方法は 意匠公知資料を特許庁から複写の上送付してよいかを事前に確認 ( 第 1 事業 ) した後に 送付確認を得た許諾依頼先に対し 対象公知資料を閲覧できる許諾作業用データ及び許諾書を送付し 各資料ごとにイメージデータの公開許諾を求めている ( 第 2 事業 ) 毎年同様の許諾事業を行うことから 事業の主旨説明と意匠公知資料を特許庁から複写の上送付することへの同意を得ることは 一度行えばよい 毎年聞かれるのは聞かれるほうも手続きが面倒である との意見もあり 依頼送付事前確認の際に 以後 事前確認は不要 との記載欄を設け できる限り双方の事務負担を減らす努力と改善を行う (ⅷ) 雑誌情報の公開許諾依頼の見直し雑誌の許諾率は極めて低く またイメージデータの公開の可否ついては ほとんどの場合 当該雑誌の出版社のみで判断することができず 多大な負担を強いることになっている さらに雑誌情報については カタログ情報 インターネット情報と比較して資料数が少なく 雑誌情報からの意匠公知資料の許諾取得は費用対効果の点から見直す必要がある また 今年 1 月 1 日に施行された改正著作権法により 国立国会図書館においては 図書館資料の原本に代えて公衆の利用に供するための電磁的記録を 必要と認められる限度において作成することができることとすること とされた 今後 それらの蓄積された電磁的記録の利用のあり方についても 引き続き動向を注視する必要がある 2 公開の在り方について現状の特許電子図書館 (IPDL) 上での公開といった方法に加え 権利範囲の明確化に資する有効な公開方法及び情報提供方法について議論 検討を行なった (ⅰ) 特許庁内専用端末での意匠公知資料公開特許庁内での専用端末を用いた意匠公知資料の閲覧設備を提供する案が議論 4

されたが 庁内で という限定があるとしても この利用方法が著作権法で許容されている範囲と解釈することには異論があることから 現時点でこの利用方法を特許庁が採用することはできないものと考えられる (ⅱ) 登録査定時における参考文献情報のイメージ添付登録査定書の送付時に イメージ情報を含む参考文献情報を提示して権利範囲の明確化に役立たせる案が検討されたが 以下の問題点があり 著作権侵害の恐れがあるので困難と考えられる 登録査定書の送付時 は すでに審査は終了しており 著作権法第 4 2 条第 2 項に規定される 審査に関する手続き に該当しないのではないか 何人も 登録となった出願資料について 閲覧若しくは謄写又は書類の交付を請求することができる ( 意匠法第 63 条 ) こととなるが 著作権法第 42 条第 1 項 第 2 項に規定される権利制限規定は ここまで予定していないのではないか なお 現在 文部科学省に設置されている文化審議会において 著作権法の権利制限の一般規定 ( フェアユース ) の導入について検討が行われているところであり 今後の動向を注視する必要がある 以上の検討より 現状の公開方法に加え 新たな公開方法 情報提供方法を構築する方策は現時点では見出せず 現状の公開方法をより適切なものに改善していくことが早急に取り組むべき課題である 具体的には以下の改善策が考えられる (ⅲ) インターネット情報のURL 情報リストの公開出願人により多くの情報を提供するために イメージデータの公開を許諾していただけなかったインターネット情報を含め 審査用に蓄積されたインターネット情報抽出元 URLリストを公開する 公開に際しては 特に重要な項目と考えられる公知資料番号 URL 情報 日本意匠分類の情報のみリスト化して公開する またリスト公開の際においては 抽出元 URLが 会員制ホームページ 等非公開情報ではないことに細心の注意を払うこととし また すでにリンクが途絶えているURLも多数存在するため 必ずしも現在の情報を示したものでないことを注記することとする (ⅳ) 意匠公知資料と登録意匠の関係についての明記公開された意匠公知資料と登録意匠の関係が明記されておらず 誤解を招く恐れがあるといった指摘が許諾依頼先から寄せられた この点については 下 5

記の改善をする必要がある 許諾依頼先に対する注意書き意匠公知資料と登録意匠の関係については 20 年度事業で電話問い合わせの多かった項目なので 対応として 21 年度事業は送付資料に よくあるご質問 として 対象資料は意匠出願と直接関係がない 旨記載したが 21 年度の問い合わせにおいても同様の質問を多数受けた 今後の事業推進にあたって 送付物の記載をさらに分かりやすいものに改善する必要がある 公開時における注意書き公開時において 特許電子図書館 (IPDL) 上に 意匠公知資料は登録意匠と直接の関係がない 旨の記載を付記する 6