生産システム工学科 年後期必修 単位 : センシング演習基礎第 回 素子の最大定格と分圧回路の計算 講義の必要性 学習意義, 習得していないと困ること 電気回路の理論では, 例えば 5V の電源に Ω の抵抗をつなぐと.5A の電流が流れる. これは 理論 であるから, すべての素子が理想特性を持っている前提である. しなしながら, 実際には簡単に思いつくだけでも, 電源 ( 器 ) が.5A の電流を出力できるかどうか, 抵抗に.5A を流すことが本当にできるかどうか, 電源の 5V や抵抗の Ω と言う値は実際にはいくらなのか ( 理想ではないので誤差があるという事実 ), と言う事を気にしなければならない. 5V の電圧を同じ抵抗 本で直列につないで分圧する場合 ( 抵抗に含まれる誤差は考えないことにする ) は,00kΩ と 00kΩ でも,00Ω と 00Ω でも,Ω と Ω でも, それぞれの抵抗には 抵抗あたり.5V の電圧がかかる計算になる. 本当に?? 理論では本当です. 実際にやってみると, 抵抗が燃えるか, 電源が壊れるか, ブレーカーが落ちるか, いずれにしても悲惨なことが起きる ( 可能性が限りなく高い ) 組み合わせがある. さて, 理論に足りないことはなんだったのか. 今日はそのことを学習しよう. あとで詳しく勉強するが, センサの出力は ある明るさ以上になったら光センサの抵抗値が kω 以下 曲げセンサを60 以上曲げると, センサの抵抗が 00Ω 以上 など抵抗変化型が多く, さらに その結果, ある抵抗の電圧が 0.7V になると LD を光らせよう のように設計することが多い. つまり, センサと抵抗を直列につないで, センサ側の電圧を 0.7V にする条件であり, これはまさしく分圧である. この計算ができないと明るいのにライトが光ったり, 何も曲げていないのにスイッチが ON になったりしてしまう. 目的に応じて抵抗値を 設計 することを覚えよう. 演習前の準備と注意. ブレッドボードを用意して, 電解コンデンサ をブレッドボードの電源ラインにさします. このとき, 足の長いほうをプラスの赤ラインに, 白いタテ線がある足の短いほうを青いグランドラインにさしてください. これは直流電源のノイズを取る おまじない です. 詳細な理由は付録ファイルを見てください.. テスターを箱から出して使う準備しておく. 電源は危険防止のためコンセントから抜いておく. 4. 機器の使用に不安がある場合は 機器使用の注意 ファイルをよく見ておくこと. 電解コンデンサ : 極性 ( プラス, マイナス ) があ り, 足の長さが違う
. 素子の定格 (rating) と絶対最大定格 (absolute maximum rating ). 定格値とは定格とは, この値で使ってください という推奨値のことで, それ以外の数値で使うと性能を発揮できなかったり破損する可能性があります. ふつうは示された定格通りの値で使用します.. 絶対最大定格とはすべての素子には それ以上は素子が破壊される という電圧上限, 電流上限, 電力上限, 温度上限などが決められていて, これらを素子の絶対最大定格値といいます. 電圧なら最大定格電圧, 電流なら最大定格電流といいます. ( 絶対 ) 最大定格 V, A の素子では一瞬でも V 以上の電圧をかけたり,A 以上の電流を流したりしてはいけないという決まりです. これは素子の破壊は安全につながります.V,A と言う事は 最大定格電力 W と同じことですが, 電力表示の場合は電圧の上限値や使う値が一定値の場合です.W になる組み合わせはたくさんあるので 00V,0.A での W だと素子は電圧に耐えられないでしょう. 実はこの講義で使用する抵抗もふつうに使う分には定格電圧は 50V と決まっています. それらの数値がどこに書いてあるかと言うと, 素子の説明書 ( これをデータシートといいます. のち に勉強します ) にあります. 本気で設計するときはデータシートが絶対に必要です. 今日の講義で絶対に覚えてほしい事 : 素子の最大定格値は絶対に守る 確認 : 本講義で使用する AC アダプタ GF8US50 の資料を次ページに示しています. 以下について調べてみましょう. 海外製品も多く, データシートの読み取りには英語力が必要となります. エンジニアに英語は必要なのです. 入力電圧は最大何ボルトまで許されていますか? ( クイズ : どうして入力電圧に幅があるか考えてみましょう ) このアダプタは最大何アンペアまで出力することができますか? AC アダプタ : ジャックは 加工しています
( 資料 :AC アダプタのデータシート GF8US50 )
. 抵抗の最大定格電力 直流回路の場合は, 電力は単純に電力 PW= 電圧 VV 電流 A です. 電力, つまりエネルギーはモータの回転力や LD などの光, そして熱として消費されます. 0V の電源で A を流したければ, オームの法則から抵抗は単純に 0Ω になります. 本当にそれでいいのでしょうか? 市販されている抵抗を見てみましょう. 炭素皮膜抵抗 /4W 型炭素皮膜抵抗 /6W 型セメント抵抗 5W 型 図. 抵抗と最大定格電力値 抵抗には必ず抵抗値とともに最大定格電力値が規定されています. もちろん定格電圧や定格電流も決まっていますが, その値は 50V であったり, 普通に ( 安全に ) 使う電圧の範囲よりはずっと大きいので省略されることが多いのです. この中で一番小さいのは /6W 型 =0.67W (67mW) となっています. 大きな熱に耐えられるセメント抵抗ですら 5W ですから,0V A の 0W はとても一つの抵抗では耐えられません. こういうときは複数の直列抵抗の合成抵抗で 0Ω を作ります. すると, 電力もそれぞれの抵抗で分け合うので一つ一つは耐えられる値となります. このように, 電流と電圧だけの数値だけで抵抗値を決めると電力が定格オーバーして燃えてしまうこ とになります. テキストの最初に書いた組み合わせで, 危ない組み合わせ がどれか, もうわかります ね? 今日の講義で絶対に覚えてほしい事 : 抵抗にも最大定格電力がある. 最大定格電力も考えながら設計する必要がある 4
. 分圧回路の計算 ( 電気回路の復習 ) 分圧 と 分流 を理解していなければセンサを自分の思い通りに動作させられません. この先の図や数式では, 単位を省略してある場合はすべて抵抗は Ω, 電圧は V, 電流は A です. なお, 電子回路では A は相当に大きな電流で, ミリやマイクロが標準です. 逆に抵抗ではキロ やメガを使います.. 直列接続 V V V 電流 A 電源 V 直列の場合, 電流は同じ電流が流れ, 電圧は各抵抗で分圧 される. 各抵抗に生じる電圧の和は電源に等しい 直列なので合成抵抗は 0=Ω であるから, オームの法則より回路を流れる全電流は =/ ()A である. したがって, それぞれの抵抗では, オームの法則から V V となる. 他の抵抗に生じる電圧も同様に 5
6, V V V V となります. 全電圧に対する各抵抗の両端電圧の比率はこの式から ( 全部 ) 足した分の自分 ( の抵抗 ) と覚えておくと便利です. これは抵抗がいくつでも ( すべてが直列なら ) 同じことです. 並列接続並列の場合, 電圧は同じ電圧がかかり, 電流は各抵抗に分流する. 各抵抗に流れる電流の和は全体電流に等しいこれまでの学習内容では 抵抗の合成抵抗を求めてからオームの法則により全電流を求めるのだが, ここでは逆に枝電流から求めて最後に全体電流を求めることにします. 並列では電圧が等しいという条件から, それぞれの抵抗でオームの法則により,, A となるので, これらの合計により全体電流は A 全体電流 A 電源 V
7 となります. やっぱり並列の方が少し計算が面倒になります. ここで, 並列の場合に限定して考えてみましょう. A 全体の電流 を基準にしてそれぞれの電流を表すと, A 同様に, A と表すことができます. こうなると全体電流からの二並列の場合の分流の比率は ( 全部 ) 足した分の相手 ( の抵抗 ) と覚えることができます. 電圧 分流は, オームの法則で考えるとすべて解決できますが, 抵抗が二つの場合は分圧の法則 : ( 全部 ) 足した分の自分 ( の抵抗 ) 分流の法則 : ( 全部 ) 足した分の相手 ( の抵抗 ) として全体に対しての比率を覚えておくと何かと便利です. ただし, 並列は二並列限定です. 演習前の確認 : 半固定抵抗の二本の足をテスターで測定して, 可変であることを確認してください全体電流 A 電源 V