業務積算に関する問題意識 業務積算に関する問題意識 1. 現行積算基準の費目構成では 原価の概念が不明確である 2. 現行積算基準の費目構成は企業会計と乖離しており このことが積算の妥当性 説明性に影響を及ぼ している 3. 非定型業務の適正な対価を的確に算定することは難しい 4. 高度な技術力に基

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2. 提出資料一覧表 落札予定者に求める提出資料は 要請書に示す調査区分 ( 基本調査または重点調査 ) に応じて下表に を付している内容とする なお 調査区分が 基本調査 の場合は 3 頁 ~4 頁に基づき作成すること 調査区分が 重点調査 の場合は 5 頁 ~7 頁に基づき作成すること 様式番号

用地関係文書作成等業務費積算基準 第 1 適用範囲この積算基準は 用地関係文書作成等業務を委託する場合の業務費を積算する場合に適用する 第 2 業務費の構成この積算基準による業務費の構成は 原則として 次によるものとする 業務原価直接原価直接人件費 業務価格 直接経費 間接原価 その他原価 業務費

法定福利費の明示について 1 社会保険等未加入対策 建設業者の社会保険等未加入対策として 社会保険等への加入を一層推進していくためには 必要な法定福利費が契約段階でも確保されていることが重要です 建設工事における元請 下請間では 各専門工事業団体が法定福利費を内訳明示した 標準見積書 を作成しており

委託業務事務処理マニュアル

変更理由 備考 地区単価適用年月工期経費適用年月 ( 000 ) 県南 ( H3004 ) 平成 30 年 04 月自当初日数変更平成 30 年 04 月 至 至 当初金額 変更金額 設計 請負 業務価格消費税相当額業務価格消費税相当額 請負増減額 n0-00-V 狭山

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工事費構成内訳書の提出について ~ 法定福利費の明示が必要になります ~ 平成 29 年 12 月 6 日 中日本高速道路株式会社

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平成30年度収支予算

科目印収納科目一覧

I XIIII 1. 機械装置等費の中項目区分 (1) 機械装置等費の中項目 < 基本的な考え方 > 1. 土木 建築工事費 1 プラント等の建設に必要な土木工事及び運転管理棟等の建築工事費 2 付帯する電気工事等を行うのに要した労務費 材料費 旅費 消耗品費 光熱水費 仮設備費及びその他の経費 3

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第三者による品質証明制度について 参考資料 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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仮設建物費 ( 建築分野のみに適用 ) 工事等協力の対象となる地域によって 安全上の配慮から日本人常駐管理者の宿泊施設が JICA もしくは在外公館によって指定される場合には 指定された宿泊施設の中から見積を取り その金額 (JICA 等との間に料金に係る取極めがある場合にはその金額 ) に基づいて

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資料 5 論点 2 CMR に求められる善管注意義務等の範囲 論点 3 CM 賠償責任保険制度のあり方 論点 2 CMR に求められる善管注意義務等の範囲 建築事業をベースに CMR の各段階に応じた業務内容 目的ならびに善管注意義務のポイントを整理 CM 契約における債務不履行責任において 善管注

福井県建設リサイクルガイドライン 第 1. 目的資源の有効な利用の確保および建設副産物の適正な処理を図るためには 建設資材の開発 製造から土木構造物や建築物等の設計 建設資材の選択 分別解体等を含む建設工事の施工 建設廃棄物の廃棄等に至る各段階において 建設副産物の排出の抑制 建設資材の再使用および

 

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(2) 共通費 第 3 編共通費 2 第 1 章共通事項 1 共通費算定に関する数値の取り扱い (1) 率による算定共通費基準の率により算定した金額は 一円未満切捨てとする (2) 積み上げによる算定積み上げによる算定は第 4 編 1に準ずる (3) 一般管理費等イ. 算出された金額の範囲内で 原則

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平成 31 事業年度 自平成 31 年 4 月 1 日 (2019 年 4 月 1 日 ) 至平成 32 年 3 月 31 日 (2020 年 3 月 31 日 ) 第 15 期 事業計画 ( 案 ) 本州四国連絡高速道路株式会社 - 0 -

業種地質調査業務 (H29) 改正現行備考 第 1 章地質調査積算基準第 1 章地質調査積算基準 第 1 節地質調査積算基準 第 1 節地質調査積算基準 別表第 1 別表第 1 (1) 諸経費率標準値 (1) 諸経費率標準値 対象額 100 万円以下 100 万円を超え 3000 万円以下 3000

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別紙 1 提出書類一覧様式番号 様式 1 様式 2-1 様式 2-2 様式 3 様式 4 様式名 施工体制確認調査報告書積算内訳書内訳明細書工程計画配置予定技術者名簿 次に該当する場合は 様式 4を提出する必要はありません 一般競争入札の場合 ( 開札後に提出のある 配置予定技術者の資格 工事経歴報

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( 参考 ) 業務報酬基準の概要について ( 告示 15 号の構成 ) 建築士事務所の開設者が業務に関して請求することのできる報酬の基準を示しており 第一 ~ 第三の実費加算方法に関する項と第四の略算方法に関する項で構成されている 実費加算方法 ( 第一 第二 第三 ) 実費加算方法 : 各経費等に

(3) 中規模改修工事費 建設年代別にm2単価を設定する 大規模改修後及び改築後は 水準別にm2単価を設定し 冷房設備ありの場合は別途m2単価を設定して加算する 表 中規模改修工事費 大規模改修前 大規模改修後 改築後 中規模改修建設年代改築後改築後大規模改修後円 / m2従来改築一般施

老高発 0713 第 1 号 平成 30 年 7 月 13 日 各都道府県介護保険主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省老健局高齢者支援課長 ( 公印省略 ) 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について の一部改正について 今般 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について (

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資料6 標準見積書の活用グラフ道塗連全体


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様式 2-2 平成 27 年度耐震対策緊急促進事業補助金交付 申請 決定 額表 事業主体名 ( 単位 : 千 ) 都道府県名 市町村名 耐震診断 補強設計 耐震改修対象建築物の名称 補助金額 摘要 ( 備考 ) 1 本表は別に 2 部作成し 提出すること 2 本表は 事業ごとに作成すること

公共建築工事共通費積算基準 1 共通費の区分と内容共通費は 共通仮設費 現場管理費 及び 一般管理費等 に区分し それぞれ表 -1 表-2 及び表 -3の内容と付加利益を一式として計上する ただし 共通費を算定する場合の直接工事費には 本設のための電力 水道等の各種負担金は含まないものとする 表 -

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中央建設業審議会による提言について ( 平成 24 年 3 月 14 日 ) 建設産業における社会保険の徹底について ( 提言 ) 建設産業においては 下請企業を中心に 雇用 医療 年金保険について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など

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平成29年度_事業活動計算書(第二号第一様式).xlsx

2. 提出資料一覧表 落札予定者に求める提出資料は 要請書に示す調査区分 ( 基本調査または重点調査 ) に応じて下表のとおりとする なお 調査区分が 基本調査 の場合は 3 頁 ~5 頁に基づき作成すること 調査区分が 重点調査 の場合は 6 頁 ~20 頁に基づき作成すること 様式番号 項目 基

日本基準基礎講座 収益

(2) 予想経費項目予想経費項目として 売上原価 販売費 一般管理費等を計上していく なお 人件費に関しては 各施設への人員配置人数や年間給与等から算出される 表予想経費算出における項目の設定費用項目概要売上原価売上に要する費用 ( 直売の商品仕入代金 加工施設の材料費等 ) 販売費及び一般管理費道

平成20年度

4. 次のいずれかに該当する事業者は 添付別紙 債務超過事業者等の提出書類 に示す各書類 ( 以下 当書類 ) を その他の登録申請書類と合わせて 本年 7 月 31 日までに当協会へ提出してください (1) 上記 3.(1) の基準で対外金銭債務の不履行または履行遅延の発生後 1 年未経過であって

(4) 業務履行体制計画書 (5) 手持ち業務の状況及び従事技術者 ( 様式第 2 号 ) (6) 配置予定技術者名簿 ( 様式第 3 号 ) (7) 技術者の専任配置誓約書 ( 様式第 4 号 ) (8) 照査技術者名簿 ( 様式第 5 号 ) (9) 手持機械の状況 ( 測量 に限る )( 様式

懸念事項

資金収支内訳表 第一号第二様式 勘定科目社会福祉事業公益事業収益事業合計内部取引消去法人合計 介護保険事業 386,515,649 72,527, ,043, ,043,312 医療事業 6,093,073 6,093,073 6,093,073 事収経常経費寄附金 675,

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事業活動内訳表 第二号第二様式 勘定科目社会福祉事業公益事業事業合計内部取引消去法人合計 介護保険事業 386,515,649 72,527, ,043, ,043,312 医療事業 6,093,073 6,093,073 6,093,073 サ収経常経費寄附金 675,00

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Microsoft PowerPoint - (資料2)控除対象財産

事務連絡 平成 29 年 10 月 25 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局建設業課長 平成 28 年熊本地震の被災地域での建設工事等における 予定価格の適切な設定等について 公共工事の予定価格の設定については 市場における労務及び資材等の最新の実勢価格を適切に反映させつつ 実際の施工

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社会保険等加入及び法定福利費を内訳明示した見積書に関する実態調査について 1. 調査の目的 これまでに実施してきた各施策に関する各建設企業における取組状況および施策の現場への浸透状況等を総合的に把握し 社会保険等未加入対策の目標達成を見据えた加入徹底方策を検討することを目的とする 2. 調査の概要

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A4 経営事項審査の受審状況により確認方法が異なります なお 適用除外は 労働者の就業形態等によって適用除外とならない場合もあることから 元請負人は 年金事務所等に適用除外となる要件を確認した上で判断してください 経営事項審査を受審している場合 有効期間にある経営規模等評価結果通知書総合評定値通知書

1 標準見積書とは 1-1 目的は 法定福利費 の原資確保 社会保険未加入の対策を進めるためには法定福利費の原資確保が重要である しかし従来は見積時から法定福利費が明確になっておらず その扱いが分かりにくい状況となっていた 今後は工事費総額ではなく その中に含まれる法定福利費を明示して必要な原資を確

国立大学法人富山大学 PPP/PFI 手法導入優先的検討要項

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標準見積書に計上する 法定福利費 の算出は次の2つの方法とし 手順は以下の通り 1 施工見積の取付費総額から労務費を算出し それに法定福利費の保険料率を乗じる 2 これまでの施工実績をもとに施工従事者に支払った正味労務費から各商品の単位当りの法定福利費をあらかじめ算出した上で 法定福利費を簡便に算出

手法 という ) を検討するものとする この場合において 唯一の手法を選択することが困難であるときは 複数の手法を選択できるものとする なお 本規程の対象とする PPP/PFI 手法は次に掲げるものとする イ民間事業者が公共施設等の運営等を担う手法ロ民間事業者が公共施設等の設計 建設又は製造及び運営

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平成 30 年度 施工パッケージ型積算方式標準単価表 (30 年 4 月 1 日以降入札を行う工事から適用 ) 国土交通省 港湾空港関係

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西川計測 (7500) 2019 年 6 月期第 2 四半期決算短信 ( 非連 添付資料の目次 1. 当四半期決算に関する定性的情報 2 (1) 経営成績に関する説明 2 (2) 財政状態に関する説明 2 (3) 業績予想などの将来予測情報に関する説明 2 2. 四半期財務諸表及び主な注記 3 (1

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資金収支内訳表 第一号第二様式 ( 第十七条第四項関係 ) 社会福祉事業 公益事業 収益事業 合計 内部取引 消去 法人合計 介護保険事業 97,352, ,352,644 97,352,644 借入金利息補助金 事収経常経費寄附金 業入受取

2 採用する受注者選定方式の検討について廃棄物処理施設整備事業で一般的に採用されている受注者選定方式は表 -2のとおりです 受注者選定方式の検討に際しての論点を下記に整理しましたので 採用する受注者選定方式について審議をお願いいたします 本施設に求められる5つの整備基本方針に合致した施設の整備運営に

Q&A 集 Q1 社会保険等とは何か A1 社会保険等とは 健康保険 ( 協会けんぽ 健康保険組合等 ) 厚生年金保険 及び雇用保険をいいます Q2 国民健康保険組合に加入しているが 社会保険等未加入建設業者となるのか A2 法人や常時 5 人以上の従業員を使用する国民健康保険組合に加入している建設

Transcription:

平成 20 年 8 月 25 日第 7 回設計コンサルタント業務等成果の向上に関する懇談会 資料 1-1 調査設計業務等の積算について Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

業務積算に関する問題意識 業務積算に関する問題意識 1. 現行積算基準の費目構成では 原価の概念が不明確である 2. 現行積算基準の費目構成は企業会計と乖離しており このことが積算の妥当性 説明性に影響を及ぼ している 3. 非定型業務の適正な対価を的確に算定することは難しい 4. 高度な技術力に基づいた知的生産活動に対して 報酬面での評価が不十分との意見がある 5. 給与の引き下げと技術者単価の引き下げが連鎖する懸念があるとの意見がある 6. 発注条件が不明確なため 実施コストの変動リスクを受注者が負っている場合があるとの意見がある 7. 再委託と積算基準の関係が必ずしも明確になっていない 検討すべき事項 A) 業務積算の費目構成を再検討 B) 業務の実施に必要な原価の把握方法について再検討 C) 低価格入札への対応として 1 業務コスト調査により損益の実態を把握 2 応札データに基づく緊急歩掛調査など よりタイムリーな基準改定手法を検討 D) 技術者単価の調査 分析方法の更なる改善 E) 条件明示の更なる徹底方策を検討 1

現行積算基準の費目構成 土木事業に係る設計業務等の業務委託料の算定は 設計業務等標準積算基準を適用 業務委託料の費目構成は以下の通り 直接人件費 ( 業務処理に従事する技術者の人件費 ) 直接経費 技術経費建設コンサルタント等における平素からの技術能力の高度化に要する経費等 諸経費 ( 業務管理費及び一般管理費等 ) 各費目の算出方法 業務処理に必要な経費 ( 例 ) 業務処理に従事する技術者に係る事務用品 旅費交通費 電子計算機使用料 業務処理に必要な経費のうち直接経費以外のもので 当該業務担当部署の事務職員の人件費および福利厚生費 水道光熱費等の経費 建設コンサルタント等の当該業務担当部署以外の経費 ( 例 ) 役員報酬 従業員給与手当 退職金 法定福利費 福利厚生費 動力用水光熱費 地代家賃 租税公課等 建設コンサルタント等を 継続的に運営するのに要する費用 ( 例 ) 法人税 地方税 株主配当金 役員賞与金 内部留保金 支払利息及び割引料 支払保証料その他の営業外費用等 ( 直接人件費 ) = ( 歩掛 ) ( 技術者単価 ) 概ね 5 年おきに 業務ごとの作業実態を調査し 各工種単位数量当たりの作業量を設定 ( 直接経費 ) 積み上げ計上 一部の経費は直接人件費に対する率で計上 毎年度 建設コンサルタント等に従事する職員の給与実態を調査し 職種ごとに技術者の単価を設定 土木関係の設計業務等 ( 調査 計画 設計 ) の技術者単価 (7 職種 ) 主任技術者 54,100 円 ~ 技術員 22,100 円 ( 諸経費 ) 直接人件費の 120% を計上 ( 建設コンサルタントへ発注する場合 ) 財団法人へ発注する場合は直接人件費の 100% 毎年度 建設コンサルタント等の実態を調査し 諸経費率の妥当性を検証 ( 技術経費 ) ={ ( 直接人件費 ) + ( 諸経費 ) } 20~40% 業務の難易度に応じて設定 毎年度 建設コンサルタント等の実態を調査し 平均的な技術経費率が 30% 前後で妥当であることを検証 2

現行積算基準の費目構成に関する課題 現行基準の課題 1) 積算基準と企業会計が乖離しているため 積算基準の検証が困難 技術経費は企業会計上存在しない費目であるため 現行の実態調査では妥当性を検証することが困難 企業会計では 原価と販管費に仕分けしているが 積算基準では原価の一部である直接人件費とその他諸経費に仕分けしているため 諸経費に相当する分を企業会計で求めることが困難 2) 諸経費の算定方法が誤解を生みやすい 現行基準では 諸経費は直接人件費に対する率で計上することとなっているが 企業会計でいう経費とは異なる概念であるため 対外的に誤解を受けやすい ( 平均売上総利益率 ( 粗利率 ): 約 25%, 諸経費率 :120%) 現行積算基準 ( 再掲 ) 直接人件費 直接経費 技術経費 諸経費 ( 業務管理費及び一般管理費等 ) 原価計算論に基づく委託費の構成 ( 企業会計ベース ) 原価 直接材料費 直接労務費 直接経費 間接材料費 間接労務費 間接経費 販売費及び一般管理費 営業利益 直接原価 当該業務に直接的に帰属すると判断することが可能な人件費 業務に必要な物品 設備及び経費 ( 旅費など ) 間接原価当該業務に間接的に帰属すると判断することが可能な人件費 業務に必要な物品 設備及び経費 ( 旅費など ) 例 ): 技術者に手持ち業務がない場合の給料 外注費 水道光熱費 他業務にも使用可能な消耗品 ( ボールペン ) など 3

課題 A: 新たな積算基準における費目構成の考え方 新たな積算基準は 企業会計に即したものであることが重要 ( 業務委託料の妥当性の検証が容易となるため ) 原価と販管費等の二大区分とする 新たな積算基準の費目区分イメージ 原価 ( 完成業務原価 ) 販売費及び一般管理費 販管費等 営業利益 原価については 積み上げ方式 単価方式 見積方式などいろいろな積算方法が考えられる 課題 B: 原価の積算手法 売上総利益率 を用いて設定 業態ごとに財務諸表より算出 4

課題 B: 原価の積算手法 業務の性質や想定される契約の相手方に応じて 様々な原価の積算手法が考えられる 原価の把握手法について今後詳細な検討が必要 1-1: 原価全体を把握する方法 原価 販管費等 ( 共通 ) 販管費等は原価に対する率で計上 損益計算書等を基に 業態別の販管費等を定める 実績や見積を基に原価全体を算定 ( 想定例 ) ユニットプライス方式 ( 定型業務 ) 1-2: 直接原価を把握する方法 直接労務費 直接原価 直接材料費及び直接経費 間接原価 1-3: 直接労務費を把握する方法 率計上 率計上 間接原価 販管費等 販管費等 積上げ等により直接原価を算定し 間接原価は直接原価に対する率で計上 ( 想定例 ) 市場単価方式 ( 地質調査 ) 企業の配賦基準等を調査し 間接原価率の算出法を検討 積上げ等により直接労務費を算定し その他原価は直接労務費に対する率で計上 ( 想定例 ) 歩掛方式 ( 詳細設計業務 ) 設計等主要業態の経費調査により 原価率を定める 2: 業務委託費総価を把握する方法 業務委託費 見積等により販管費等を含む委託費全体を算定 ( 想定例 ) 販管費率の設定が困難な特殊業務 5

課題 B: 原価の積算手法 定型 想定される原価の積算手法 ユニットプライス又は原価 < 原価 > 市場単価 < 直接原価 > 歩掛 < 直接労務費 > 見積り 積算方法 ユニットプライス又は原価を設定 販管費等は率計上 直接原価は物価資料 間接原価 販管費等は率計上 直接人件費は歩掛 直接経費は積み上げ その他原価 販管費等は率計上 直接原価 間接原価 販管費等を参考見積もりで積算 < 直接原価 > 原価及び販管費等を参考見積もりで積算 < 原価 > 総価で参考見積もりを徴収 < 総価 > 各費目の妥当性検証方法 業務種別ごとの実態調査により ユニットプライス又は原価を設定 販管費等率は実態調査 市場単価部分は物価資料より 間接原価率 販管費等率は実態調査 歩掛部分は歩掛実態調査 技術者単価は実態調査 その他原価率 販管費等率は実態調査 条件明示 販管費等率は実態調査( 幅広く業態別に調査 ) 実績 DB 非定型 6

定型業務における原価の実態調査について 実態調査の目的 業務種別ごとの原価を設定するため 国交省発注業務の実施に要した費用の実態調査を行う 実態調査の概要 各業務の実施に要した原価 ( 直接原価 間接原価 ) 販管費及び営業利益を調査 ( 下図参照 ) 対象業務 積算基準が定められている業務のうち 発注件数の多い業務 調査票の作成方法 業務の実態に即した調査票とするため 建設コンサルタントの協力を得て調査票を作成 ( 現行積算基準の単位 補正係数に拘らない ) ( 例 ) 道路詳細設計 (A) の調査票 ( 案 ) の一部抜粋 直接原価部分 作業区分 作業範囲 直接原価積算条件人件費委託費 ( 候補 ) ( 千円 ) ( 千円 ) 設計数量 設計計画 業務内容の確認 - 延長業務計画書の作成 - 平面線形の再確認 延長 - 縦断線形の決定 複断面の有 - 平面 縦断計画高計算無 - 設計平面細部検討 - ( km) 分離歩道構造検討 - ( km) 土層線の想定 - のり面勾配と構造の決定 - ( 箇所 ) 横断設計 道路横断の詳細構造設計 - のり面安定計算 箇所数検測 計算断面数 ( 箇所 ) 擁壁 - ( 箇所 ) 道路付帯構函渠 - ( 箇所 ) 造物設計管渠 ( 径 60cm 以上かつ道路横断 ) - ( 箇所 ) 間接原価 販管費 営業利益道路詳細設計に要した間接原価 販管費を記入営業利益はその総額と受注金額の差額で把握 7

技術力に応じた対価の算定について 現行積算基準の技術経費 ( 再掲 ) 建設コンサルタント等における平素からの技術能力の高度化に要する経費等であり 業務の難易度に応じて計上 : ( 直接人件費 + 諸経費 ) (20~40%) 積算基準における技術力に応じた対価のあり方 技術者に対する報酬として支出される費用として 原価で計上することが適切 定型業務においては 積算上の補正係数 ( 自然条件や社会条件等 難易度に応じた補正係数 ) に反映される 非定型業務においては 見積における原価に反映される 更なる検討課題 業務の成果に応じて対価を支払う仕組み (VE やリバースオークションの例 ) 業務の完了時点で 成果を定量的に評価できる業務であることが必要 例 ) 建設資材価格 購入先調査 ( リバースオークション ) 会社 オークション会社を選定し 資材調達に係るオークションを実施する業務 購入先 A 購入先 B 購入先 C リバースオークションの実施に係る事務的な業務の他に 以下に示す技術的な業務を実施するが これらに要した費用と成果とに関連性があると考えられることから これらに対する費用を成果の程度に応じて支払う 対象資材についての潜在的な企業の発掘 リバースオークションの参加企業への情報提供 絞込み 最低調達条件等 リバースオークション要件定義作成支援 オークションの結果 当初想定された資材調達価格の削減率を上回った場合 その分に応じて対価を支払う 8

( 参考 : ドイツの報酬規定 ) 概要 HOAI(Honorarordnung Honorarordnung für f r Architekten und Ingenieure, 建築家 エンジニアのための報酬規程 ) は法律ではないが 同等の位置付けであり 官民を問わず 設計業務の報酬規定として遵守されている 1970 年代の建設ラッシュ時に コンサルタント業者が不当な利益を得ないように報酬を規定したもの 工事目的物の工事費 業務の難易度 業務段階に応じて 設計業務の報酬 設計業務の報酬( 諸経費含む ) を規定している 発注者にとっての上限額 受注者にとっての下限額を規定している 対象業務 基本業務と特殊業務に大別され 基本業務は報酬額が規定されているが 特殊業務は時間給のみ規定されている 特殊業務には 補助的な施設の審査補助 高速道路など難易度の高い業務の入札支援などが含まれる 工事費の変動と設計業務の報酬 設計業務の報酬は 工事費 難易度 実施した業務段階によって規定されるが 事業進捗によって工事費が変わることがある このとき 工事費の変動に伴って設計業務の報酬額も変動工事費の変動に伴って設計業務の報酬額も変動する 工事費の変動によって設計業務の報酬が変動させない契約 施工時のコスト縮減額の10% を受け取る契約もある 報酬表 工事費 下限額と上限額 難易度区分 Kosten ZoneⅠ ZoneⅡ ZoneⅣ ZoneⅤ von bis von bis von bis von bis 50,000 4,650 5,850 5,850 9,430 9,430 10,630 60,000 5,400 6,760 6,760 10,850 10,850 12,210 70,000 6,110 7,630 7,630 12,210 12,210 13,730 80,000 6,790 8,470 8,470 13,500 13,500 15,180 報酬額 15,000,000 462,910 530,060 530,060 731,510 731,510 796,660 20,000,000 583,780 665,630 665,630 911,180 911,180 993,030 30,000,000 809,550 917,620 917,620 1,241,810 1,241,810 1,349,880 9

( 参考 : 建築設計の積算手法 ) 官庁建築の事例 算定手法 総工事費に基づく算定 図面目録に基づく算定 適用される業務 基本設計を含む業務に対応 ( 建築設計を一括して委託する特殊な建築物 ) 実施設計業務に対応 ( 宿舎や庁舎等の一般建築物の改築 改修で 標準的な仕様 ( 基本設計 ) がある建築物 ) 業務委託料の積算 直接人件費 =( 総工事費 建築物の用途係数 人日数係数 ) 人件費業務委託料 =( 直接人件費 )+( 諸経費 )+( 技術経費 )+( 特別経費 ) 直接人件費 =( 図面の総所要工数 業務区分比率 依頼度 ) 人件費業務委託料 =( 直接人件費 )+( 諸経費 )+( 技術経費 )+( 特別経費 ) 民間建築の事例 ( 一般住宅 ) 算定手法 業務委託料の積算 備考 ( 手法の適用率 ) 工事費 工事費比率に基づく算定 建設省告示第 1206 号に基づく算定 総工事費 5~13%( 概略 ) 直接人件費 =( 工事費と建築物用途から構成される人日数の工数 ) 人件費業務委託料 =( 直接人件費 )+( 諸経費 )+( 技術経費 )+( 特別経費 ) 73%=24 社 /33 社 9%=3 社 /33 社 82%=27 社 /33 社 面積 延べ床面積に基づく算定 又は 坪数 延べ床面積 15 千円 ~20 千円 / m2 ( 概略 ) 坪数 50 千円 ~75 千円 / 坪 ( 概略 ) 15%=5 社 /33 社 図面 図面目録に基づく算定 図面枚数 18 千円 / 枚 ( 概略 ) 3%=1 社 /33 社 民間建築の事例は 民間建築設計事務所等 33 社のホームページに公開されている設計料 ( 業務委託料 ) に係る情報をとりまとめたものである ( 各社において経費等の考え方が違うため 費用等は概ねの値である ) 10