リ - フ沖合海域海砂採取がリ - フ内海浜に与える影響評価 - 喜念浜の事例解析 西隆一郎 1 鶴成悦久 2 細谷和範 3 Mario de Leon 4 松元勇 6 佐々木秀勝 1 鹿児島大学水産学部水圏科学領域 ( 89-6 鹿児島県鹿児島市下荒田 4--2) E-mail:nishi24@fish.kagoshima-u.ac.jp 2 正会員鹿児島大学大学院連合農学研究科 ( 89-6 鹿児島県鹿児島市下荒田 4--2) 3 正会員津山工業高等専門学校電子制御工学科 ( 78-824 岡山県津山市沼 624-1) 4 College of Engineering, De La Salle University(241 Taft Avenue, Malate, Manila, 14 Metro Manila) 鹿児島県土木部河川課 ( 89-877 鹿児島市鴨池新町 1 番 1 号 ) 6 国際航業株式会社西日本事業本部九州支社 ( 812-13 福岡市博多区博多駅東 3-6-3) 本土海域とは異なり鹿児島県や沖縄県の南西諸島沿岸域では, 十分な量の陸砂や河口浚渫砂を確保しにくいために, 建設骨材や養浜材料として, サンゴ礁沖合海域海底の砂を採取し利用している. 一方, サンゴ礁内の砂浜や砂丘は海岸 海洋災害に対するバッファ - ゾ - ンとして重要なだけでなく, 生物の生息領域や観光資源としても重要である. 現在, 鹿児島県においてはサンゴ礁内の砂浜や砂地から砂を採取することはないので, 砂浜や砂丘に対する海砂採取の直接的な被害は生じていないが, 建設用骨材目的で実施しているサンゴ礁沖合海域での海砂採取が, サンゴ礁内の海浜侵食を生じさせないか定量的な検討を行う必要はある. そこで, 本研究では, サンゴ礁沖合海域で海砂採取を行っている徳之島喜念浜海域を対象に, 現地調査及び数値計算を行い, 海砂採取領域の妥当性に関する検討を行った. Key Words : offshore sand mining, coral reef,beach erosion, critical water depth, sediment analysis 1. はじめに鹿児島県や沖縄県の南西諸島沿岸域では, 建設骨材用や海岸養浜材料として, サンゴ礁沖合海域海底の砂を採取して利用している. そして, 海岸養浜材を海域から浚渫する手法については, 例えば, Dean 1) に述べられている. 我が国における砂利採取 2) 状況に関しては, 岩崎 吉田を参考にすると, 平成 6 年度 (1994 年度 ) では, 採砂量合計が 1,9 万 m 3 で, 海からの採取はその内の 23.3 %( 内訳砂利 8.9 %, 砂 91.1 %) なので, 海砂の採取量は約 3,3 万 m 3 であることが分かる. 海砂の採取に関しては, 大まかに,(i) 海岸における地形変化の限界水深よりも浅い海域での砂採取と,(ii) 地形変化の限界水深よりは深いが底質の移動限界水深よりは浅い海域での採取,(iii) 底質の移動限界水深より深い海域での採取という 3 通りの手法がある. 例えば, 鹿児島県においても昭和年代に (i) の海砂採取も行わ れたが, 現在は基本的に底質の移動限界水深より深い海域での海砂採取に移行している.(i) の様な海砂採取による海岸侵食に関しては, 宇多ら 3),4),) により, 高知海岸, 小松海岸, 住吉浜の事例が示されている. また, より浅い水域での砂利採取による地形 6) 改変の例として平井幸弘著により霞ヶ浦南部浮島沖の砂利採取で生じた湖底掘削の様子が示されている. 本研究で対象とするサンゴ礁海域での海砂採取に関して, 鹿児島県の島嶼域およびサンゴ礁海域が存在する十島村以南海域における過去 年の海砂採取状況は表 -1 に示すとおりである. 表 -1 鹿児島県島嶼部海域での海砂採取状況 ( 万 m 3 ) 年度 29 21 211 212 213 島嶼部 19.9 18.3 18.1 17. 2.2 十島村以南 19.9 18.3 18.1 17. 18.1
なお, 鹿児島県においては, 鹿児島県公共事業等骨材調達協議会等により海砂を含む骨材採取について検討を行い, 自然環境への十分な配慮を行う事や 将来的に減量化する等の提言をまとめている. また, 建設用骨材として海砂の需要が高い沖縄県での海砂採取状況は, 沖縄県土木建築部海岸防災課のホ-ムペ-ジ 7) を参考にすると, 平成 16 年から平成 2 年の期間では, 最小で 1,26,9 m 3, 最大で 1,46,68 m 3 の採取量となっており, 採取区域に関しては, 海岸線及び公共の施設等( 以下 海岸線等 という.) から1キロメートル以上離れ, 且つ水深が1 メートル以上の区域であること 等の規制が適用されている. サンゴ礁内の砂浜およびサンゴ礁沖合海底には, 有孔虫の殻等である炭酸カルシウム性の底質等が堆積している. 山内 8) は, 本研究で言及する徳之島を含む琉球弧の島々でのサンゴ礁内海浜地および礁原上の底質特性に関して, 岩石破片以外の炭酸カルシウム性材料 ( サンゴ破片, 貝殻破片, 有孔虫 (Baculogypsina, Calcarina) の殻 ) が卓越した構成材料であることを述べている. 世界自然遺産の候補地ともなっている奄美群島から琉球列島にかけてのサンゴ礁内の砂浜は, 生物の生息領域や観光資源として重要である. 現在, 鹿児島県ではサンゴ礁内の砂浜や砂地から砂を採取していないので, 海砂採取の直接的な被害は生じていない. しかし, サンゴ礁沖合海域で行う海砂採取が, サンゴ礁内の海浜に対して, 海浜侵食等の被災を生じないか定量的な検討を行う必要はある. そこで, 本研究では, サンゴ礁沖合海域で海砂採取を行っている徳之島喜念浜海域を対象に, 現地調査及び数値計算に基づいて影響評価を行い, 海砂採取により背後地海浜の地形変化が生じないかということを主眼に, 海砂採取領域の妥当性に関し検討する事にした. 縦断形状を図 -2 に示す. 図 -2 中には, 海砂採取が複数個所で行われている側線 2, 採取規模が比較的に小さな側線,1 箇所での採取規模が比較的に大きな側線 9 が示されている. (m) - -1-1 -2-2 -3-3 -4 - -6 - -1-1 -2 汀線 等値線上の数値は リ - フ 図 -1 調査対象地域 ( は底質採取位置 ) 側線 9 青の点線で囲む領域が海砂採取許可領域 9 9 1 1 11 2 4 6 8 1 12 14 16-36 -37-38 -39-4 -41-42 -43 リ - フ外 -42-43 -44 (m) 海砂採取後海砂採取前 -2-3 -3-4 93 94 9 96 97 98 2. 現地調査現地調査は, 主にサンゴ礁沖側のマルチナロ- 測深, リーフ内外の海浜部および海砂採取領域においての底質サンプリングである. また, 地形データの欠落している陸側は, 既存のデータでフィッティングし, 汀線位置については空中写真の判読で求めた. 海砂採取海域を含む沖合部測深結果を図 -1 に示す. 図中には海砂採取前の海底地形と岸沖方向の縦断地形を示す 1 本の側線配置が示してある. また, 海砂採取前後の海底地形デ-タに関しては, 代表的な - -6 - -1-1 -2-2 -3-3 -4 - -6-6 側線 2 4 6 8 1 12 14 16 側線 2 2 4 6 8 1 12 14 16 18 図 -2 縦断地形 - 12 12 13 13 14 14 1 1 16
リ-フエッジ周辺およびより海側の等深線を見ると, 水深 2 数 mまで急勾配のリ-フ斜面が存在し, その沖側では約 1/4 勾配で水深が深くなることが分かる. また, 海砂採取許可領域はリ-フ斜面沖合の海底斜面上に設置されていることが分かる. 深浅データおよび縦断データに基づくと, 調査領域では概ね北側よりも南側領域の方で, リ-フ幅が大きいことが分かる. 加えて, 空中写真判読等から, リ-フエッジ周辺部とリ-フ斜面部は, 基本的にサンゴ礁つまりhard bottomであり, サンゴ礁内とリ-フ斜面の沖合側で顕著な底質のやり取り ( 底質移動の連続性 ) が無いことが確認された. 3. 底質分析 ( 粒度分布 中央粒径 ) 粒度分析の結果 リ-フ沖合の採取許可区域内外に関わらず粒径が.1 mm 以下の細かな底質はほぼ存在せず, 中央粒径は. mm 程度であることが分かった. また, より大きな流体力の作用を受け易いリ-フ内海浜部においては, リーフ沖合海域よりもより細粒成分が少なく,.2 mm 以下の細粒成分はほぼ含まれず, 中央粒径が 1 mm を超え, リ-フ沖合海底の中央粒径よりも大きいことが分かった. 表 -2 に,8 試料すべての底質特性値が示されており, リ-フ沖合海域においては中央粒径が.49 mm ~.1 mm, 均等係数 ( 淘汰係数 ) が 1.77~2.161, 曲率係数が.941~1.1 の範囲で, 一方, リ-フ内海浜部においては中央粒径が.68mm~1.8mm, 均等係数 ( 淘汰係数 ) が 1.341~1.74, 曲率係数が.91~1.119 の範囲であることが分かる. つまり, リーフ斜面沖合の海砂採取区域内外およびリーフ内海浜部に計 8 地点で底質試料を採取して, 粒度分布と中央粒径, 均等係数および曲率係数を求めた. また, 試料に含まれる礫成分に関しても目視で判読した.8 試料の内, リーフ沖合部, およびリーフ内海浜地の代表的な底質試料の粒度分布を図 -3に示す. 図 -3 代表的な採取地点の粒径加積曲線 採取位置 区域外 1-1 区域外 1-2 区域内 2-1 区域内 2-2 中央粒径 d (mm) 表 -2 底質特性 均等係数 曲率係数. 2.161.978.1 2.12 1.1.1 1.77.91.49 2.6.941 3-1.74 1.74 1.119 3-2.68 1.69 1.41 4-1.91 1.341 1.2 4-2 1.8 1.411.91 粒度 含有礫の概要 微量の珊瑚片や円磨された 2mm 程度の黒色の岩石片を含む. 微細貝殻片を少量含む 2mm 程度の円磨された岩石を数個, 角貝の殻, 微細貝殻片を含む. 微細貝殻片を数個含む. 長さ 1mm 程度の珊瑚片や円磨された岩石, 貝殻片など多数含む.2 mm超の礫も混在長さ 1mm くらいの珊瑚片や mm 程度の円磨された岩石など多数含む大型の珊瑚片, 貝殻片を含む. また 2mm 程度の円磨された岩石も含む. 珊瑚片, 貝殻片, 円磨された岩石など多数含む. 3mm 超の礫, 珊瑚片も混在 リ - フ沖合海域とリ - フ内海浜部を比較した場合,
中央粒径で2 倍程度海浜部の底質が大きく, 淘汰の程度は海浜部の試料が高く, 曲率係数 ( 形状 ) に関してはほとんど顕著な差がない事が分かる. 4. 確率波浪条件の設定. 底質の移動限界水深佐藤 田中 1) による完全移動限界水深および表層移動限界水深を, 野田 橋本 11) を参考にして求める. 例えば, 表層移動限界水深の場合は,Yi の係数は.417 を用いる. 底質の移動限界水深の算定およびリーフ内外での波浪変形計算に用いる波浪条件としては 1 年確率波と 1 年確率波を用いることにした. なお, 表 -3 に示す様に 年から 年確率波条件は, 日本気象協会による波浪推算調査委託報告書 9) に記載されている. しかし,1 年確率波条件は同報告書で算定されていないため, 一次近似として, 表 -3 に示される各確率波の波高と周期を対数紙上で線形補間することにより推定した. その結果を表 -4 に示す. 有義波高 (m) 18 17 16 1 14 13 12 11 1 9 表 -3 徳之島東海域での確率波高と周期 ( 波浪推算調査委託報告書,1993) 再現期間 波高 周期 年 12.4m 13. s 1 年 14.1m 14.2 s 2 年 1.m 14.9 s 3 年 16.3m 1.3 s 年 17.2m 1.7 s 徳之島東海域 H 1/3 線形補間 H Y i =.417( L L )( d ) 1/ 3 (1) ここで, 底質移動限界水深の算定には表 -4 に示す 1 年および 1 年確率波を用いる. 以下の表 - に 1 年確率波に対する表層移動限界水深を示す. 本海域における表層移動限界水深は,1 年確率波に対しては底質条件により 2.8 m~31.17 m の範囲にあり, その平均は 26.4 m である. また,1 年確率波に対しては底質条件により 36.8 m~48.8 m の範囲にあり, その平均は 44.4 m である. 本海域では, これらの移動限界水深は, リ-フ斜面沖合海域に相当している. また, 現状の海砂採取は概ね水深 4 m 前後の領域で行われている. したがって, 実際に行われている海砂採取区域周辺の底質は,1 年確率波浪程度の波浪では有意な底質移動や地形変化は生じないが,1 年確率波程度の波浪が作用した場合には, 若干の底質移動が生じる可能性がある. ただし, ハ-ドボトムとなっているリーフエッジおよびリ- フ斜面の存在により, リーフ内海浜部とリ-フ斜面沖合部で底質移動の連続性が断絶し, 加えて, リ- フの存在で大きな確率波はすべてリ-フ内の局所水深に依存して砕波し波浪が急激に減衰してしまうために, どちらの確率波に対してもリーフ内海浜部の底質が沖合の外洋域に流出するとは考えにくいが, 海砂採取による沖合海底地形変化の効果で, リーフ内海浜部の底質に作用する外力が変化するかどうか 8 1 1 再現期間 ( 年 ) 表 - 1 年確率波に対する表層移動限界水深 図 -4 1 年確率波高の推定法 表 -4 本影響評価で用いる徳之島東海域での確率波高と周期 再現期間 波高 周期 1 年 9.2m 12. 秒 1 年 14.1m 14.2 秒 採取位置 中央粒径 d L / d Yi hi/l hi( 表層移動限界水深 ) (mm) 外 11.mm 44928 1.39.124 28.m 外 12.1mm 44392 1.3.1236 27.8m 内 21.1mm 44392 1.3.1236 27.8m 内 22.49mm 468367 1.327.126 28.4m 31.74mm 3314 1.148.1388 31.17m 32.68mm 33294 1.181.119 24.9m 41.91mm 246814 1.72.992 22.3m 42 1.8mm 27963 1.13.928 2.8m
を検討するために,R.Nishi et al. 12) の手法で不規則波の波浪変形計算を行い, 波高分布に有意な差が生じているか確かめることにした. 6. 1 年確率及び1 年確率波の岸沖波高分布喜念浜の沖合 m 以上の海域で海砂採取が行なわれており, その影響が底質移動の連続性の無いリ -フ内海浜地に与える影響について, 最新の深浅図データをもとに不規則波浪変形モデルを用いた数値計算により評価した. また, 数値計算に用いる入射波は, 底質の移動限界水深の算定で用いた 1 年確率波および 1 年確率波条件を用いる. 数値計算条件に関しては, 表 -6 に示すとおりである. 不規則波の波浪変形計算手法としては, 不規則波条件の下で波高分布がレーリー分布に従う様に 3 波の個々波を入射させ, 個々波の変形計算結果を累積し, 統計的な平均をとることで波高分布を求める手法を適用した. なお, 今回は当該海岸が幅広のリ -フで囲まれていることから, 計算条件の波の下ではサンゴ礁内は総て砕波領域となり屈折現象の効果は小さく, また, 離礁等が無い事から回折現象も考慮する必要が無いと考え, 平面波浪場の変形計算は行っていない. 本研究では,1 側線総てに対し波浪変形計算を行う事はせず, 測線上に海砂採取箇所が 1 箇所ある断面 ( 測線 No.7), および海砂採取箇所が複数箇所ある断面 ( 測線 No.1 および No.2) で, 海砂採取の有無による差異が生じるかについて波浪変形および平均水位の計算を行なった. サンゴ礁斜面沖合の海底で複数の海砂採取領域が存在し, 海底地形の改変度が大きい側線 2 の地形に対する,1 年確率波および 1 年確率波の波高と平均水位の計算結果をそれぞれ図 -,6 に示す. 図 -および6より, 海砂採取による海底地形の改変に伴う波高分布の差は, 図中では認識できない程度のものである. そこで, その差を分かり易くするために, 海底地形の改変がある場合と無い場合 ( 自然状態 ) における局所波高の比を求めた. 図 -7に, 入射波条件としてより厳しい1 年確率波に対する波高比を示す. 図より, リーフ沖合 4 m 以深領域で海砂を採取した影響は, 海砂採取海域においては最大で.1 % 程度のオーダ-と微小で, リ-フ内海浜の地形変化に対する影響もほぼ無いと推測できる. 地形 波高 水位 (m) 地形 波高 水位 (m) 2 1-1 -2-3 -4 - -6 海底地形 ( 海砂採取後 ) 海底地形 ( 海砂採取前 ) 有義波高 ( 海砂採取後 ) 有義波高 ( 海砂採取前 ) 平均水位 ( 海砂採取後 ) 平均水位 ( 海砂採取前 ) 1 年確率波高 (H 1/3 =9.2m) 2 4 6 8 1 12 14 16 図 - 1 年確率波の波高 水位分布 ( 測線 2) 2 1-1 -2-3 -4 - -6 海底地形 ( 海砂採取後 ) 海底地形 ( 海砂採取前 ) 有義波高 ( 海砂採取後 ) 有義波高 ( 海砂採取前 ) 平均水位 ( 海砂採取後 ) 平均水位 ( 海砂採取前 ) 1 年確率波高 (H 1/3 =14.1m) 2 4 6 8 1 12 14 16 図 -6 1 年確率波の波高 水位分布 ( 測線 2) 表 -6 数値計算の実行諸元 計算ケース case1 ( 測線 No.7) case2 ( 測線 No.1) case3 ( 測線 No.2) 海砂採取箇所が 1 箇所 採取箇所が複数箇所 計算条件 地形海砂採取前断面, 海砂採取後断面 波浪条件 1 年確率波 : 波高 =9.2m, 周期 =12.s 1 年確率波波高 =14.1m 周期 =14.2s 計算範囲 :-16m( 岸 - 沖方向 ) 計算項目 : 有義波高分布, 平均水位分布 地形 (m) 2 1-1 -2-3 -4 - -6 海底地形 ( 海砂採取後 ) 海底地形 ( 海砂採取前 ) 有義波高比 ( 採取後 / 採取前 ) 97 2 4 6 8 1 12 14 16 1 年確率波高 (H 1/3 =14.1m) 12 図 -7 海砂採取前後の断面上での 1 年確率波の波高比 11 1 99 98 波高比 (%)
7. まとめサンゴ礁海域での海砂採取例として, 鹿児島県徳之島喜念浜海域を取り上げ, 海砂採取がリ-フ内海浜地の底質移動および地形変化に影響するか考察し, 以下のことが明らかにされた. (i) 現地踏査, 測深作業および空中写真判読により, 現況のリ-フ内海浜とリーフ沖合海砂採取域は, 岩礁地形と言えるリ-フフラットおよび急勾配のリ- フ斜面で分断されており, 基本的には, リ-フ内とリ-フ沖合は別の漂砂系と考えるべきである. (ii) 粒度分析より, リーフ内海浜地の底質粒径とリーフ沖合海砂採取領域の中央粒径は,(.68~1.8 mm ) および (.49~.1 mm ) と, リーフ内の底質中央粒径が大きくなっている. また, 均等係数によれば, リ-フ内底質は淘汰がかなり良い. (iii) 本海域における表層移動限界水深は,1 年確率波に対しては底質条件により2.8 m~31.17 mの範囲にあり, その平均は26.4 mである. 一方,1 年確率波に対しては底質条件により36.8 m~48.8 mの範囲にあり, その平均は44.4 mである. (iv) 波高分布としては水深 4 m 以深の海砂採取孔周辺では局地的に最大で.1 % 程度の波高変化が生じるが, リーフ内海浜部においては, ほぼ波高比が 1 % であり, リーフ沖合 4 m 以深領域での海砂採取の影響がリーフ内海浜地の波高分布に基本的に寄与しないことが分かった. (v) 海砂採取区域は1 年確率波に対する完全移動限界水深と重なる領域があり, 海砂採取で直接海底地形が変化した箇所周辺では, 底質移動および地形変化に微小な影響が及ぶ可能性はある. 参考文献 1) R.G.Dean; Chapter 2 Method of and dredging equip-ment for beach nourishment (pp.-19), Beach nourishment : Theory and practice, World Scientific Publishing Co. Pte. Ltd., 22. 2) 岩崎孝, 吉田和男 ( 編 ): 砂利採取業務主任者のための Q&A- 現場必携 - 法規編 / 技術編, 技術書院, 1986. 3) 宇多高明, 弘田英人, 三波俊郎 : 郷土史に基づく南部石川海岸の侵食原因調査, 海洋開発論文集, 第 17 巻,pp.71-76, 21. 4) 宇多高明, 上森千秋, 中條徳翁 : 海底掘削に伴う海浜変形, 第 32 回海岸工学講演会論文集,pp.41-414, 198. ) 宇多高明, 清野聡子, 釘宮浩三, 芹沢真澄, 古池鋼, 三波俊郎 : 海底掘削穴岸側での急激な土砂堆積と砂嘴の大変形の機構, 海岸工学論文集, 第 48 巻, pp.66-61, 21. 6) 平井幸弘著 : 湖の環境学,186p. (22pに霞ヶ浦南部浮島沖の砂利採取のための湖底掘削の様子が示されている.), 199. 7) http://www.pref.okinawa.jp/kaigannbousai/con13/13_ 1umizuna.htm 8) 山内秀夫 : サンゴ礁海岸の砂, 熱い自然 -サンゴ礁の環境誌, サンゴ礁地域研究グル-プ編集, 古今書院発行,pp.11-117,199. 9) 出典 : 波浪推算調査委託報告書, 財団法人日本気象協会福岡本部, 平成 年 3 月. 1) 佐藤昭二, 田中則男 : 水平床上における波による砂移動, 第 9 回海岸工学講演会講演集,pp.9-1,1962. 11) 野田英明, 橋本宏 : 漂砂と海岸保全施設, 技法堂出版株式会社発行, 1981. 12) R.Nishi, M.Sato and N.Kraus: Probability of wave breaking on a plane beach,proc. of International Symposium; Waves -Physical and Numerical modeling, pp.773-782, 1994. IMPACT OF OFFSHORE SAND MINING ON SANDY BEACH IN CORAL REEF ENVIRONMENT - CASE STUDY IN KINENHAMA BEACH, TOKUNOSHIMA ISLAND, JAPAN Ryuichiro NISHI, Yoshihisa TSURUNARI, Kazunori HOSOTANI, Mario de Leon, Isao MATSUMOTO and Hidekatsu SASAKI Offshore sand minig for the construction and beach nourishment purposes has been conducted in subtropical and tropical islands inkagoshima and Okinawa prefectures. Sand mining is usually conducted in an aeria deeper than the critical water depth for sediment movement. However, environmental concirns such as a cause of beach erosion might be expressed by local residents. Therefore, a case study on impact of offshore sand mining in coral environment on sandy beach erosion had been conducted in Kinenhama beach, Tokunoshima Island, Japan. The study shows little impact is caused on sandy beach due to the current offshore sand mining.