小笠原・伊豆諸島周辺海域における外国漁船への対応について

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平成24年

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8 月 1 日 2 日 3 日 4 日 5 日 6 日 7 日 8 日 9 日 10 日 11 日 12 日 13 日 14 日 15 日 16 日 17 日 18 日 19 日 20 日 21 日 22 日 23 日 24 日 25 日 26 日 27 日 28 日 29 日 30 日 31 日

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U2. 北朝鮮のミサイルについて Q3. 北朝鮮によるミサイル発射の現状はどうなっているのか 北朝鮮は 過去に例を見ない頻度でミサイルを発射しており 平成 28 年 8 月以降 ミサイルが日本の排他的経済水域 (EEZ) 内に落下する事例も起こっています Q4. ミサイルは 発射から何分位で日本に飛

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その時点で改めて ミサイルが落下する可能性がある旨を伝達し 直ちに避難することを呼びかけます Q4. ミサイルが落下する可能性がある との情報伝達があった場合は どうすれば良いのでしょうか A4. 屋外にいる場合 近くの建物 ( できれば頑丈な建物 ) の中又は地下に避難してください 近くに適当な建

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小笠原 伊豆諸島周辺海域における外国漁船への対応について 平成 26 年 12 月 25 日 総 務 局 産 業 労 働 局 本年 9 月以降 小笠原諸島の周辺海域において中国漁船とみられる船舶が多数確認され 10 月 30 日には小笠原諸島から伊豆諸島にかけて最多の212 隻が確認された 都の領域である小笠原 伊豆諸島周辺海域での中国漁船の違法操業により 基幹産業である漁業に影響を及ぼすなど 島民に大きな不安を与えた 都はこれまで 知事自身による再三にわたる中国政府への要請をはじめ 違法操業の取締り強化や必要な法整備を国に強く要望してきたほか 国と連携して都の漁業調査指導船による監視活動を行うとともに 国や小笠原村との連絡会議を立ち上げ 情報の共有化 連携の強化を図ってきた また 国においては 大型巡視船等を投入した特別な体制による取締りや 法改正による罰則の強化 外交ルートでの申入れを行ってきた 11 月末には中国漁船はほぼ姿を消したものの 再び小笠原諸島周辺海域に向かう恐れがあり 今後も予断を許さない状況にある 島民の方々の安全 安心な生活を確保するため 国や小笠原村などと緊密な連携を図りながら 対応を進めていく 1 違法操業による影響等 中国漁船の違法操業による影響は 地元の漁業をはじめ 島民生活や観光面 環境面などに現れている 漁業 多数の中国漁船による違法操業や航行の妨害により 小笠原諸島周辺海域で操 業が制約されたことに加え サンゴ資源の減少 漁場の荒廃が懸念されている 島民生活 中国漁船の船員による不法上陸に対する島民の不安感が増大した 定期船や観光船が航行中に外国漁船により進路妨害を受け 迂回航行を強いられた 1

観光 環境 冬から春にかけてシーズンとなる ホエールウォッチングへの風評被害が懸念された 中国漁船が棄てたとみられるごみや網などの漁具が海岸に漂着し 海岸周辺の環境の悪化が懸念されている 2 これまでの都の対応 国への要請 10 月 10 日 海上保安庁長官 水産庁長官宛ての知事名の要望書を提出 < 要望内容 > 漁業者の安心 安全な操業を確保するとともに 貴重な水産資源を有する我が国の排他的経済水域の権益を守るため 小笠原諸島周辺海域における外国漁船による違法操業の取締り体制を一層強化すること 内閣総理大臣への要請 11 月 6 日 知事が内閣官房長官に直接面会し 内閣総理大臣宛ての知事名の要望書を提出 政府として より実効性ある対策を強く要請した < 要望内容 > 都民の安全で安心な生活を一刻も早く取り戻すとともに 貴重な水産資源を有する我が国の排他的経済水域の権益を守るため 伊豆諸島 小笠原諸島周辺海域における外国漁船に対する違法操業の取締り体制を一層強化するとともに 必要な法整備も含め 政府としてより実効性のある対策を講じること 中国政府への要請 11 月 6 日 知事が中国大使館に要請するなど 中国政府に対し 再三にわたり 厳しく違法操業を取り締まるよう強く要請した 中国政府からは 全力を挙げて対応する旨 回答を得た 漁業調査指導船による監視 海上保安庁等と連携し 都の漁業調査指導船による監視を実施 ( 漁業調査指導船が外国船を確認した場合には 海上保安庁へ通報 ) 2

小笠原諸島及び伊豆諸島周辺海域における外国漁船の違法操業に関する連 絡会議 の開催 国や小笠原村など関係機関との更なる情報共有と連絡の強化を図るため 開催参加機関 : 小笠原村 外務省 海上保安庁 水産庁 都 ( 総務局 産業労働局 ) 警視庁 11 月 13 日第一回連絡会議を開催海上保安庁及び水産庁から 違法操業船の取締り等に関しての取組状況 外務省から 中国への外交ルートでの対応状況などについて報告小笠原村から 漁業に対する被害や観光業への影響の懸念 島民の不安の高まりなどについて報告 11 月 26 日第二回連絡会議を開催海上保安庁から 取締り体制の強化 水産庁から 法改正による罰金等の引き上げ 外務省から ホームページでの情報発信 警視庁から 現地への警察官派遣などについて報告小笠原村から 各省庁 国会議員への要望活動などについて報告 3 今後の都の対応 11 月末には中国漁船はほぼ姿を消したものの 再び小笠原諸島周辺海域に向かう恐れがあるなど 島民生活や漁場等への影響が懸念されている 島民の方々の安全 安心な生活を確保するため 都では関係機関と連携しながら 状況に応じて必要な対策を講じていく 状況に応じて 国や中国政府に対し 違法操業の取締り強化など要請 海上保安庁等と連携し 都の漁業調査指導船 興洋 による監視を継続 中国漁船が違法操業を行っていた海域を中心に漁場への影響を調査漁業調査指導船を活用した試験操業を 12 月から開始した 小笠原における漁獲の主要魚種となっている ハマダイなどの漁獲量や魚体サイズ等のデータを収集していく こうした調査と漁業者の漁獲状況等も踏まえ 国と連携し漁場への影響を分析していくなど 貴重な水産資源の保全に向けた取組を強化していく 国や小笠原村など関係機関と引き続き情報共有 連携の強化 ( 連絡会議の開催等 ) 3

都の漁業調査指導船 興洋 4

参考 中国漁船の視認状況小笠原 伊豆諸島周辺海域内における中国漁船とみられる船舶の視認数は 10 月 30 日の212 隻をピークに 11 月 27 日には0 隻となり 12 月 23 日現在も視認数は0 隻である 海上保安庁発表による 4 月 13 日 4 隻 11 月 7 日 191 隻 11 月 26 日 4 隻 7 月 30 日 2 隻 11 月 8 日 192 隻 11 月 27 日 0 隻 9 月 15 日 17 隻 11 月 10 日 141 隻 11 月 28 日 0 隻 9 月 23 日 25 隻 11 月 12 日 117 隻 11 月 29 日 3 隻 10 月 1 日 42 隻 11 月 13 日 145 隻 12 月 1 日 1 隻 10 月 13 日 46 隻 11 月 14 日 116 隻 12 月 2 日 0 隻 10 月 14 日 31 隻 11 月 15 日 57 隻 12 月 7 日 1 隻 10 月 20 日 24 隻 11 月 16 日 58 隻 12 月 17 日 1 隻 10 月 21 日 51 隻 11 月 17 日 70 隻 12 月 18 日 1 隻 10 月 23 日 113 隻 11 月 19 日 44 隻 12 月 19 日 3 隻 10 月 26 日 102 隻 11 月 20 日 47 隻 12 月 21 日 2 隻 10 月 30 日 212 隻 11 月 22 日 33 隻 12 月 23 日 0 隻 11 月 3 日 205 隻 11 月 24 日 8 隻 海上保安庁巡視船による中国人船長の逮捕実績 ( 平成 26 年 10 月 5 日以降 ) 日付 場所 位置 違反内容 10 月 5 日父島南 約 10km 領海内 領海内操業 10 月 16 日嫁島西南西 約 61 km EEZ 内 立入検査忌避 10 月 23 日父島西南西 約 57 km EEZ 内 立入検査忌避 10 月 27 日北之島北西 約 40km EEZ 内 立入検査忌避 10 月 30 日北之島北北西約 34km EEZ 内 無許可操業 11 月 13 日父島北西 約 54 km EEZ 内 立入検査忌避 11 月 18 日母島東 約 46km EEZ 内 立入検査忌避 11 月 21 日嫁島南西 約 15km 領海内 ( 夜間 ) 領海内操業 11 月 23 日嫁島南 約 9km 領海内 ( 夜間 ) 領海内操業 12 月 21 日鳥島北北西 約 6km 領海内 ( 夜間 ) 領海内操業 EEZ: 排他的経済水域 5

違法操業等に対する罰則の強化 外国漁船の違法操業に対する抑止効果を最大限に高めるため 罰金の上限を大 幅に引き上げる法律が 11 月 19 日に成立し 12 月 7 日に施行された 罰金についての改正内容 領海内 根拠法令違反内容罰則 領海内操業 1 外国人漁業規制法 3 年以下の懲役又は 400 万円以下の罰金 3 年以下の懲役又は 3,000 万円以下の罰金 EEZ 2 漁業主権法 立入検査の忌避 我が国 EEZ 内における無許可操業及び禁止海域内操業 立入検査の忌避 6 年以下の懲役又は 30 万円以下の罰金 6 年以下の懲役又は 300 万円以下の罰金 1,000 万円以下の罰金 3,000 万円以下の罰金 30 万円以下の罰金 300 万円以下の罰金 1: 外国人漁業の規制に関する法律 2: 排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する 法律 担保金についての改正内容 無許可操業及び禁止海域内操業に対する担保金の基準額 :3,000 万円 立入検査の忌避に対する担保金の基準額 :300 万円 違法に採捕されたサンゴに対する加算金 :600 万円 /kg 6

各計画での取組について都では島しょ地域での振興等を図るため 小笠原諸島振興開発計画 東京都離島振興計画 を策定している 各計画では以下の取組を実施することとしており 今後の外国漁船への対応を念頭に置きながら 効率的 効果的な事業執行を図っていく 小笠原諸島振興開発計画 計画期間 : 平成 26 年度 ~ 平成 30 年度 試験研究や漁業資源の調査等を行うとともに 漁業技術の改善 普及に努め 生産性の向上及び持続可能な漁業経営の安定化を目指し 水産業の振興に努める 漁船漁業については 水深 500m 以上の深海魚場や新たな漁場を探索し 未利用資源や漁場の開発による漁船漁業の多様化 メカジキの回遊経路や餌料環境等を調査 解析し 漁業者に情報発信をしていく 小笠原諸島における海岸漂着物対策推進計画に基づき 関係者間の連携により事業を実施していくとともに おおむね3 年程度の実績を踏まえ 社会環境の変化に対応した計画内容の見直し等を行っていく 海岸漂着物への対策は 関係する主体が役割分担の下相互に協力し 継続的に適正な処理を実施するため 関係機関と調整していく 国境離島としての役割を発揮するため 領土保全や海洋資源確保をはじめ 密入国 密輸の防止など我が国の安全確保のための港湾施設の活用について検討する 振興開発の推進に当たっては 行政機関 住民 関係団体 NPO 等の多様な主体が連携 協力し それぞれの特性や役割を生かした地域の主体的な取組を推進する 東京都離島振興計画 計画期間 : 平成 25 年度 ~ 平成 34 年度 国や関係県との連携による 科学的知見に基づいた水産資源管理や 漁場整備等による水産資源の増殖など 持続可能な水産業の展開を図っていく 海岸漂着物対策の地域計画を策定した上で 海岸管理者や地元住民等と連携し 相互協力できる役割分担の下 海岸漂着ごみの適正な処理を実施していく 総合地方行政機関である支庁が 町村等との役割分担を明確にした上で 各島に共通する課題について積極的にコーディネートを行い 支庁と町村等とが一丸となって解決に取り組んでいく体制を強化していく 7