1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 と

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1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

に限る ) は その追徴すべき不足税額 ( 当該減額更正前に賦課した税額から当該減額更正に基因して変更した税額を控除した金額 ( 還付金の額に相当する税額を含む ) に達するまでの部分に相当する税額に限る 以下この項において同じ ) については 次に掲げる期間 ( 令第 4 8 条の9の9 第 4

議案用 12P

ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

松戸市市税条例等の一部を改正する条例 ( 松戸市市税条例の一部改正 ) 第 1 条松戸市市税条例 ( 平成 27 年松戸市条例第 12 号 ) の一部を次のように改正する 第 11 条中 及び第 2 号 を 第 2 号及び第 5 号 に それぞれ当該各号 を 第 1 号から第 4 号まで に改め 掲

げる期間 ( 令第 48 条の9の9 第 4 項各号に掲げる市民税にあつては 第 1 号に掲げる期間に限る ) を延滞金の計算の基礎となる期間から控除する 第 40 条の各納期限の翌日から当該減額更正に基因して変更した税額に係る納税通知書が発せられた日までの期間当該減額更正に基因して変更した税額に係

た後に その賦課した税額が増加したときに限る ) は その追徴すべき不足税額 ( 当該減額更正前に賦課した税額から当該減額更正に基因して変更した税額を控除した金額 ( 還付金の額に相当する税額を含む ) に達するまでの部分に相当する税額に限る 以下この項において同じ ) については 次に掲げる期間

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

保険業務に係る情報提供料は 請求人の事業に基づいた収入であるとは いえない 第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り 棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 30

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

第 3 4 条の9 第 1 項中 第 3 3 条第 4 項の申告書 を 第 3 3 条第 4 項に規定する特定配当等申告書 に 同条第 6 項の申告書 を 同条第 6 項に規定する特定株式等譲渡所得金額申告書 に 法第 2 章第 1 節第 6 款 を 同節第 6 款 に改める 第 4 8 条第 1

第 4 審査関係人の主張の要旨 1 審査請求人の主張審査請求人は 次のとおり 本件処分は 違法又は不当である旨を主張している (1) 審査請求人が 複数の取引先から依頼を受けて行っている翻訳の業務は 法第 72 条の2 第 3 項の規定により個人事業税が課されるべきいずれの事業としても法に定められて

資料2-1(国保条例)

( 賦課期日 ) 第 4 条都市計画税の賦課期日は 当該年度の初日の属する年の1 月 1 日とする ( 納期 ) 第 5 条都市計画税の納期は 次のとおりとする 第 1 期 4 月 1 日から同月 30 日まで第 2 期 7 月 1 日から同月 31 日まで第 3 期 12 月 1 日から同月 25

をしていないもの と読み替えた場合に同号イに該当する所得割の納税義務者又は同項第 12 号中 妻と死別し 若しくは妻と離婚した後婚姻をしていない者又は妻の生死の明らかでない者で政令で定めるもの とあるのを 婚姻によらないで父となった男子であって 現に婚姻をしていないもの と読み替えた場合に同号に該当

1 審査請求人の主張 審査請求人は おおむね次のとおり主張し 本件処分が違法不当であ るとして 本件処分の取消しを求めている ⑴ 審査請求人が平成 28 年〇〇月に申し立てた婚姻費用の調停で 参加人から仕送りすべき額は毎月〇〇万円と決まったが 同月 銀行の通帳及びキャッシュカードの使用停止手続がなさ

過納金とは 納付納入の時にはそれに対応する租税債務が存在していたが 結果的に不適法な納付納入となった場合における地方公共団体の徴収金のことであり 1 納付納入の時には一応適法であったものが その申告 更生 決定又は賦課決定が誤って過大にされていたため 後になって減額更正 減額の賦課決定又は賦課決定の

<4D F736F F D2095BD90AC E D738CC2816A939A905C91E D862E646F63>

がある 7 平成 28 年 3 月 28 日 処分庁は 同日付で審査請求人に対し 借入金収入 円の未申告により生じた保護費過払い分について 法第 78 条第 1 項の規定により費用徴収を行う決定を行い 同年 7 月 7 日 費用徴収決定通知書を審査請求人に手交した 8 審査請求人は 平成 28 年

富士見市都市計画税条例 ( 昭和 46 年条例第 40 号 ) 新旧対照表 ( 第 1 条による改正 )( 専決 ) 新 旧 附則 附則 ( 改修実演芸術公演施設に対する都市計画税の減額の規定の適用を受けようとする者がすべき申告 ) 6 法附則第 15 条の11 第 1 項の改修実演芸術公演施設につ

所得控除 雑損控除 医療費控除 社会保険料控除等 旧生命保険料控除 旧個人年金保険料控除 ( 実質損失額 - 総所得金額等の合計額 10%) 又は ( 災害関連支出の金額 -5 万円 ) のうち いずれか多い方の金額医療費の実質負担額 -(10 万円と総所得金額等の 5% のいずれか低い金額 ) 限

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

<4D F736F F D BA692E88B7982D18AD698418B4B92F D F4390B382C882B5816A2E646F63>

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が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

する軽自動車をいう 以下軽自動車税について同じ ) に対し 当該 3 輪以上の軽自動車の取得者に環境性能割によって 軽自動車等 ( 法第 442 条第 3 号に規定する軽自動車等をいう 以下軽自動車税について同じ ) に対し 当該軽自動車等の所有者に種別割によって課する 2 前項に規定するもののほか

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所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

承認第03号-都市計画税条例の一部改正(専決処分)【確定】

平成 28 年度市民税 県民税申告の手引き 申告書を提出しなければならない人平成 28 年 1 月 1 日現在 幸手市内に住所を有する人 (1 月 2 日以降に幸手市に転入した人は従前の住所地で申告を行ってください ) ただし 次に該当する人は この申告をする必要はありません 1 平成 27 年分の

計算してみましょう あなたの個人住民税はいくらになりますか? 高知市に住む T さんの場合 ( サラリーマン ) 家 族 妻 ( パートタイム労働者 収入 120 万円 : 所得 =120 万円 -65 万円 =55 万円 ) 子 人大学生 中学生 収 入 万円 社会保険料 万円 新生命保険料 万円

3 特別徴収義務者の指定及び特別徴収税額の決定手続 5. 給与所得に係る特別徴収義務者の指定等 ( 法 3の4) 市町村は 特別徴収の方法によって個人の住民税を徴収しようとする場合には 当該年度の初日においてその納税義務者に対して給与の支払いをする者のうち 所得税の源泉徴収義務がある者を 当該市町村

<4D F736F F D2095F18D9091E682518D E7390EC8E E738C7689E690C58FF097E182CC88EA959482F089FC90B382B782E98FF097E EA8C88816A B8C91CE8FC6955C E646F6378>

申告を要せず, 所得割の課税から除外する 国債の利子 9 () 申告を要せず, 所得割の課税から除外する () 申告した場合 国債の利子に係る所得が生じた年の翌年の4 月 日の属する年度分の申告書に, 当該所得の明細に関する事項の記載をして申告分離課税するときは,() を適用しない なお, この場合

返還の必要性を十分説明しており 手続は適法である 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件の争点は 本件保険が法第 4 条第 1 項に規定する 利用し得る資産 に該当するかどうかであるが その判断に当たっては 処分庁が判断の要素

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

定にかかわらず 当該都市計画税額とする 5 住宅用地のうち当該住宅用地の当該年度の負担水準が 0.8 以上のものに係る平成 21 年度から平成 23 年度までの各年度分の都市計画税の額は 第 2 項の規定にかかわらず 当該住宅用地に係る当該年度分の都市計画税額が 当該住宅用地の当該年度分の都市計画税

2 税金から控除される額 市区町村や都道府県に対する寄附金は 特定寄附金 と呼ばれ 所得税や住民税を計算するときに 寄附金控除が適用され 税が軽減されます 所得税の控除 総所得金額等の 40% が限度 2,000 円 所得税率 住民税の控除基本控除 総所得金額等の 30% が限度 2

件数表(神奈川)

< B6388C491E D862E786477>

その額に老人扶養親族 1 人につき ( 当該老人扶養親族のほかに扶養親族等がないときは 当該老人扶養親族のうち1 人を除いた老人扶養親族 1 人につき ) 60,000 円を加算した額 ) (3) 条例第 3 条第 2 項第 4 号に規定する心身障害者に 扶養親族等がないときは 3,604,000

<4D F736F F D E7392AC91BA8CF095748BE08CF095748AEE8F802E646F63>

Microsoft Word - 個人住民税について(2018~2022)

新座市税条例の一部を改正する条例

新・NPO法人申請マニュアル.pwd

個人市民税 控除・税率等の変遷【市民税課】

○H30条例19-1

(1)制度創設時の考え方

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特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 7 鳥取市個人住民税事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 鳥取市は個人住民税事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり, その取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を及ぼしかねないことを認識し,

Microsoft Word - 公布文.doc

Q1 市県民税 ( 住民税 ) とはどんな税金ですか? A1 その年の1 月 1 日現在 市内に住所がある個人に対し 前年中の所得 ( 給与 年金 営業 不動産 譲渡などの所得 ) に応じて課税されます また その年の1 月 1 日現在市内に住所がなくても 市内に事務所 事業所又は家屋敷があれば課税

PowerPoint プレゼンテーション

住民税 所得税の税率国から地方への税源移譲に伴い 平成 19 年度から住民税所得割の税率が 10% に統一され 所得税の税率が 4 段階から 7 段階の累進税率に改正されています 住民税については平成 19 年度分 ( 平成 19 年 6 月納付分 ) 所得税については平成 19 年分 ( 平成 1

債務のうち所定の範囲内のものを当該事業主に代わって政府が弁済する旨規定する (2) 賃確法 7 条における上記 政令で定める事由 ( 立替払の事由 ) として 賃金の支払の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 51 年政令第 169 号 以下 賃確令 という )2 条 1 項 4 号及び賃金の支払の確

より同条例第 20 条第 1 項に規定する課税標準及び税額が過大である者 ( 第 5 において 交付対象者 という ) に交付する ( 特別返還金の交付額 ) 第 4 特別返還金の交付額は 次の各号に掲げる年度分の区分に応じ 当該各号に定める額とする (1) 平成 16 年度以後の各年度分当該対象年

30.長与町税条例等の一部を改正する条例の専決処分の承認を求めることについて

特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 2 個人住民税関係事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 高島市は 個人住民税関係事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり 特定個人情報ファイルの取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を及ぼしか

SILAND.JP テンプレート集

平成19年度分から

給与の所得金額の算出速算表 収入金額 給与所得の金額 0 ~ 650, ,000 ~ 1,618,999 収入金額 -650,000 1,619,000 ~ 1,619, ,000 1,620,000 ~ 1,621, ,000 1,622,000 ~ 1,6

以下の表のように計算されます 総 所 得 金 額 所得控除 課税総所得金額 退職所得金額 雑 損控除額 課税退職所得金額 山林所得金額 土地等に係る事業所得等の金額 土地建物等に係る譲渡所得金額 医療費 社会保険料 小規模企業共済等掛金 生命保険料 地震保険料 配偶者 配偶者特別 課税山林所得金額

妙高市 税に関するWEBページ

平成14年7月3日

301121答申件数表

承認第03号-都市計画税条例の一部改正(専決処分)【確定】

給与所得控除 給与収入の金額控除額 162 万 5,000 円以下 65 万円 162 万 5,000 円超 180 万円以下収入金額 40% 180 万円超 360 万円以下収入金額 30% + 18 万円 360 万円超 660 万円以下収入金額 20% + 54 万円 660 万円超 1,00

Microsoft PowerPoint 寄附金控除制度概要.ppt

附則第 2 項 第 3 項及び第 5 項 第 6 項又は第 14 条の規定による退職手当を受けたときは 当該職員の退職手当の基本額から 退職手当支給条例第 3 条第 1 項の規定によりその者の退職手当額を計算して得た額を差引いた残りの金額に相当する額を 退職の日におけるその者の給料月額により算定した


「公的年金からの特別徴収《Q&A

交野市税条例の一部を改正する条例案 交野市税条例の一部を改正する条例 交野市税条例 ( 平成 15 年条例第 38 号 ) の一部を次のように改正する 第 69 条の次に次の1 条を加える ( 法第 349 条の3 第 28 項等の条例で定める割合 ) 第 69 条の2 法第 349 条の3 第 2

Microsoft Word - 個人住民税について

湯河原町訓令第  号

退職金についての市県民税はどうなるの? 私は平成 28 年 4 月に退職しました 勤続 30 年で退職金は 2,100 万円ですがこの退職 金に対する市県民税はいくらですか 通常の市県民税の課税は前年中の所得に対し翌年課税されるしくみになっていますが 退職金に対する課税については 他の所得と分離して

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

11総法不審第120号

ている しかしながら 本件処分は条例の理念と条文の解釈運用を誤った違法なものであり 取り消されなければならない ⑶ 条例第 7 条第 1 項本文は 個人情報の外部提供の原則禁止を規定している また 同条同項ただし書の趣旨は 単に外部提供の原則禁止規定を解除したにとどまる すなわち 当該法令等が存在す

平成13年度 住民税のしおり

給与所得控除 給与収入の金額 控 除 額 162 万 5,000 円以下 65 万円 162 万 5,000 円超 180 万円以下 収入金額 40% 180 万円超 360 万円以下 収入金額 30% + 18 万円 360 万円超 660 万円以下 収入金額 20% + 54 万円 660 万円

< F2D88C E B4C8DDA82CC8EE888F881608F4390B3>

新座市税条例の一部を改正する条例

市 県民税 ( 住民税 ) 市民税は 県民税と合わせて住民税と呼ばれ 住民のみなさんがそれぞれの税の負担能力に応じて分担し合うという性格をもつ税金で 個人が負担する個人市民税と 会社などが負担する法人市民税があります 市民税には 均等の額によって納めていただく均等割と 個人の所得に応じて納めていただ

査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

不在者財産管理人:

11総法不審第120号

平成15年4月


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等調整都市計画税額が 当該商業地等に係る当該年度分の都市計画税の課税標準となるべき価格に 10 分の 6 を乗じて得た額 ( 当該商業地等が当該年度分の固定資産税について法第 349 条の 3( 第 20 項を除く ) 又は法附則第 15 条から第 15 条の 3 までの規定の適用を受ける商業地等で

11総法不審第120号

件数表(神奈川)

高島市職員措置請求に係る監査の結果について 第 1 請求の受付 1 請求書の提出平成 29 年 9 月 28 日 2 請求人 3 請求の要旨 ( 高島市職員措置請求書 の原文のまま記載) 1 請求の要旨高島市長による平成 29 年度の固定資産税の賦課において 別紙の固定資産について 家屋の未評価によ

11総法不審第120号

ご注意ください! ワンストップ特例の申請には マイナンバーの記載と添付書類の提出が必要です 1. 寄附金税額控除に係る申告特例申請書 にマイナンバー ( 個人番号 ) を記入して下さい 記入にあたっては 下記及び別紙記入例を参考にご記入下さい 2. 本人確認と個人番号確認の書類を手元に用意して下さい

議案第○○号

議案第 60 号 松阪市税条例の一部改正について 松阪市税条例 ( 平成 17 年松阪市条例第 105 号 ) の一部を次のように改正する 平成 29 年 5 月 25 日提出 松阪市長竹上真人 松阪市税条例の一部を改正する条例松阪市税条例 ( 平成 17 年松阪市条例第 105 号 ) の一部を次

イ税務署へ確定申告書を提出し 所得税の住宅ローン控除の適用を受けている 退職所得 山林所得がある方 所得税の平均課税の適用を受けている方は 住宅ローン控除申告書を提出することにより控除額が大きくなる場合があります 申告書を提出される方は3 月 15 日 ( 月 ) までに申告してください 申告しなけ

して 当審査会に対し諮問をした 以上の事案の経緯は 諮問書 審査請求書及び懲戒処分書から認められる 2 関係する法令等の定め (1) 司法書士に対する懲戒及びその手続についてア法 47 条は 司法書士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局

Transcription:

横浜市行政不服審査会答申 ( 第 31 号 ) 平成 30 年 3 月 14 日 横浜市行政不服審査会

1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 という ) をし その後 緑税務署において 審査請求人が同年 3 月 6 日に提出した平成 28 年分の確定申告書 ( 以下 本件確定申告書 という ) の添付資料である給与所得の源泉徴収票 ( 以下 本件源泉徴収票 という ) を確認したところ 所得控除の金額に誤りがあったことから 同年 8 月 4 日 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 ( 以下 本件処分 という ) をした 本件は 審査請求人が 緑税務署に確定申告書の添付書類として源泉徴収票を提出しているにもかかわらず 先行処分による税額を変更する本件処分を行うことは違法であり許されないとして 同年 8 月 7 日 本件処分の取消しを求めて審査請求を行った事案である 3 審査請求人の主張の要旨審査請求人が 審査請求書 反論書及び口頭意見陳述において主張している本件処分に対する主張は 次のように要約される (1) 審査請求人は 平成 29 年 3 月 6 日 審査請求人の勤務先である株式会社 A( 以下 本件株式会社 という ) が発行した本件源泉徴収票を添付し 本件確定申告書を緑税務署に提出した (2) 本件源泉徴収票には 所得控除額の内訳として 社会保険料控除額 生命保険料控除額及び地震保険料控除額の各金額の記載がある それにもかかわらず 処分庁は 本件源泉徴収票を確認することを怠り 所得控除額の内訳を誤って 社会保険料控除額 生命保険料控除額及び地震保険料控除額を区別することなく 全てを社会保険料控除額として税額を計算し 審査請求人に対して 先行処分をした (3) 審査請求人の平成 28 年分の確定申告の内容には一切変更が生じていない以上 新たに税額計算の基礎となる事実が判明したということもない し 1

たがって 先行処分による税額を変更する本件処分を行うことは違法であ り許されない 4 処分庁の主張の要旨処分庁が 弁明書において主張している本件処分に対する主張は 次のように要約される (1) 処分庁は 審査請求人が緑税務署に提出した本件確定申告書を基に平成 29 年度市民税 県民税の税額算定を行ったが その際 本件確定申告書に給与の支払者として記載されていた本件株式会社から給与支払報告書の提出がされていなかったため 審査請求人の所得控除額の内訳を確認できなかった そこで 処分庁は 所得控除額のうち 基礎控除額を除いた額を社会保険料控除額として税額算定を行った 処分庁は 先行処分を行った後 緑税務署において 本件源泉徴収票を調査 確認した 本件源泉徴収票の記載のとおりに所得控除額の内訳を変更して税額算定を行った結果 平成 29 年度市民税 県民税の税額を 1,700 円増加することとなったので 本件処分を行った (2) 本件処分は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) に基づくものであって 違法又は不当な点はない 5 審査庁の裁決についての判断本件審査請求は 棄却するべきとし その理由を審理員意見書の 6 判 断理由 に記載のとおりとしている 6 審査会の判断当審査会の判断理由は 審理員意見書の 6 判断理由 と同旨であり 次のとおりである (1) 先行処分に当たって源泉徴収票は必要であるか法第 315 条は 市町村は 第 294 条第 1 項第 1 号の者に対して所得割を課する場合においては 次の各号に定めるところによって その者の第 313 条第 1 項の総所得金額 退職所得金額又は山林所得金額を算定するものとする と定め 同条第 1 号において その者が所得税に係る申告書を提出し 2

又は政府が総所得金額 退職所得金額若しくは山林所得金額を更正し 若しくは決定した場合においては 当該申告書に記載され 又は当該更正し 若しくは決定した金額を基準として算定する と定めるところ 本件確定申告書の提出により 総所得金額が決定されているから 平成 29 年度市民税 県民税の税額は 本件確定申告書に記載された金額を基準として算定することとなる そして 本件確定申告書のごとく 所得税に係る申告書について 法第 325 条は 市町村長が市町村民税の賦課徴収について 政府に対し 所得税又は法人税の納税義務者が政府に提出した申告書 を閲覧し 又は記録することを請求した場合においては 政府は 関係書類を市町村長又はその指定する職員に閲覧させ 又は記録させるものとする この場合において 政府が行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律第 4 条第 1 項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用して当該関係書類を閲覧させ 又は記録させるときは 情報通信の技術の利用における安全性及び信頼性を確保するために必要な基準として総務省令で定める基準に従って行うものとする と定めるところ 国からの通知である 所得税申告書等の地方団体への電子的送付について ( 平成 22 年 6 月 29 日総税企第 71 号 ) によって 市民税 県民税の算定の基礎となる金額が記載された確定申告書が国税庁から各地方団体に対して電子的に送付されることとなっている したがって 確定申告書を提出し 総所得金額が決定されている場合においては 処分庁は 確定申告書のみで 適法に市民税 県民税を賦課できるのであるから 源泉徴収票の確認をしていないとしても それゆえに市民税 県民税賦課決定処分が違法となるものということはできない なお 本件では 緑税務署から本件確定申告書の電子的送付を受け 先行処分を行っているのであるから 先行処分は この点において何ら違法な点はない (2) 本件における税額変更の必要性審査請求人は 審査請求人の平成 28 年分の確定申告の内容には一切変更が生じていない以上 新たに税額計算の基礎となる事実が判明したということもない したがって 先行処分による税額を変更する本件処分を行うことは違法であり許されない と主張する 3

この点 法第 321 条の2 第 1 項は 市町村長は 普通徴収の方法によって徴収する個人の市町村民税について所得税の納税義務者が提出した修正申告書又は国の税務官署がした所得税の更正若しくは決定に関する書類を第 325 条の規定により閲覧し その賦課した税額を変更し 又は賦課する必要を認めた場合には すでに第 315 条第 1 号ただし書若しくは第 2 号又は第 316 条の規定を適用して個人の市町村民税を賦課していた場合を除くほか 直ちに変更による不足税額又は賦課されるべきであった税額のうちその決定があった日までの納期に係る分を追徴しなければならない と定める ところで 処分庁においては (1) のとおり 確定申告書のみにより 市民税 県民税を賦課しているものであるが 本件株式会社からは横浜市市税条例 ( 昭和 25 年 8 月横浜市条例第 34 号 ) 第 35 条の2 第 1 項の規定に基づき 本件源泉徴収票と同内容の給与支払報告書が提出されるため 実務上は 本件確定申告書の記載内容の確認は行えることとなっている ところが本件においては 本件株式会社から処分庁に対して 給与支払報告書が提出されなかったことから 処分庁は 平成 29 年 6 月 1 日付けの先行処分の後 法第 325 条の規定により 本件源泉徴収票の閲覧をし その結果 先行処分に係る所得控除に誤りがあることが判明したことは その内容も含め 証拠上明らかといえる そうである以上 本件においては 平成 29 年 6 月 1 日付けの先行処分により賦課した税額を変更する必要があることは法第 321 条の2 第 1 項の定めからも明らかといえる したがって 審査請求人の確定申告の内容に修正等がないとしても 本件処分が違法となる理由はないから 審査請求人の主張には理由がない (3) 本件処分による平成 29 年度市民税 県民税の税額の適法性法は 賦課期日現在 市内に住所を有する個人に対して 均等割額及び所得割額の合計額によって市民税 県民税を課すこととしているところ ( 法第 23 条 第 24 条第 1 項第 1 号 第 39 条 第 41 条第 1 項 第 292 条 第 294 条第 1 項第 1 号及び第 318 条 ) 審査請求人に賦課されるべき市民税 県民税の均等割額及び所得割額は次のとおりとなる ア均等割額市民税の均等割額について まず 横浜市市税条例第 25 条は 同条例 4

第 21 条第 1 項第 1 号 ( 区内に住所を有する個人 ) 又は第 2 号の者に対して課する均等割の税率は 年額 3,000 円とする旨を定めており その上で 同条例附則第 9 条の4の2は 平成 26 年度から平成 35 年度までの各年度分の個人の住民税に限り 均等割の税率は 第 25 条の規定にかかわらず 同条に規定する額に 500 円を加算した額とする と定めている そして 横浜みどり税条例 ( 平成 20 年 12 月横浜市条例第 51 号 ) 第 2 条第 2 項は 平成 26 年度から平成 30 年度までの各年度分の個人の市民税の均等割の税率は 市税条例附則第 9 条の4の2の規定にかかわらず 同条に定める額に 900 円を加算した額とする と定めているから 市民税の均等割額は 4,400 円となる 次に 県民税の均等割額について 神奈川県県税条例 ( 昭和 45 年神奈川県条例第 26 号 ) 第 11 条は 個人の均等割の税率は 1,000 円とする と定め その上で 同条例附則第 7 項は 平成 26 年度から平成 35 年度までの各年度分の個人の県民税の均等割の税率は 第 11 条の規定にかかわらず 1,500 円とする と定めている そして 同条例附則第 39 項は 平成 29 年度から平成 33 年度までの各年度分の個人の県民税について 均等割の税率は 同条例第 11 条及び附則第 7 項の規定にかかわらず 1,800 円とする と定めているから 県民税の均等割額は 1,800 円となる したがって 本件処分における市民税 県民税に係る均等割額は 6,200 円となる イ所得割額所得割の額は 課税総所得金額 課税退職所得金額及び課税山林総所得金額の合計額を基に算定することとされており ( 法第 35 条第 1 項及び第 314 条の3 第 1 項 ) 課税総所得金額は 前年の総所得金額から法第 34 条の規定による所得控除をした後の金額とされている ( 法第 35 条第 2 項及び第 314 条の3 第 2 項 ) 本件において 審査請求人の平成 28 年の給与所得は 証拠によれば 3,058,770 円であるところ 法及び所得税法 ( 昭和 40 年法律第 33 号 ) の規定により給与所得控除額を控除した総所得金額は 1,959,200 円となる ( 法第 32 条第 1 項及び第 2 項並びに第 313 条第 1 項及び第 2 項並びに所得税法第 22 条第 2 項並びに第 28 条第 1 項及び第 4 項 ) 5

そして 処分庁は 先行処分においては 社会保険料控除額 577,862 円 医療費控除額 31,272 円及び基礎控除額 330,000 円の合計 939,134 円を所得控除の合計額とし 総所得金額 1,959,200 円からこれを控除した 1,020,000 円 ( 法第 20 条の4の2により 1,000 円未満切り捨て ) を課税総所得金額としたが 本件処分においては 社会保険料控除額 522,042 円 医療費控除額 31,272 円 生命保険料控除額 35,000 円 地震保険料控除額 2,910 円及び基礎控除額 330,000 円の合計 921,224 円を所得控除の合計額として 総所得金額からこれを控除した 1,037,000 円 ( 法第 20 条の4の 2により 1,000 円未満切り捨て ) を課税総所得金額としていることが認められる この点 本件処分における所得控除についてみると まず 社会保険料控除額は 前年中に給与から控除される金額とされているところ ( 法第 34 条第 1 項第 3 号及び第 314 条の2 第 1 項第 3 号 ) 本件源泉徴収票において社会保険料等の金額として 522,042 円の記載があるから 本件処分における社会保険料控除額は 522,042 円となる 次に 医療費控除額は 所得税法第 73 条第 1 項において 総所得金額等の合計額の 100 分の5に相当する金額を超えるときは その超える部分の金額とされているところ 本件確定申告書における医療費控除の金額として 31,272 円の記載がある そして 法においても 医療費控除額については 所得税法のかかる規定と同様の定めをしているから ( 法第 34 条第 1 項第 2 号及び第 314 条の2 第 1 項第 2 号 ) 本件処分における医療費控除額は 31,272 円となる 次に 生命保険料控除額は 前年中に支払った旧生命保険料の金額の合計額が7 万円を超える場合には 35,000 円とされているところ ( 法第 34 条第 1 項第 5 号イ (2)(ⅳ) 及び第 314 条の2 第 1 項第 5 号イ (2)(ⅳ)) 本件源泉徴収票において旧生命保険料の金額として 191,263 円の記載があるから 本件処分における生命保険料控除額は 35,000 円となる 次に 地震保険料控除額は 所得税法第 77 条第 1 項において その年中に支払った地震保険料の金額の合計額を総所得金額から控除することとされているところ 本件源泉徴収票には 地震保険料控除の金額として 5,820 円の記載があるから 審査請求人が平成 28 年中に支払った地震保険 6

料の金額の合計額は 5,820 円と認められる そして 法において 地震保険料額は 前年中に支払った地震保険料の金額の合計額の2 分の1に相当する金額とされているから ( 法第 34 条第 1 項第 5 号の3 及び第 314 条の2 第 1 項第 5 号の3) 本件処分における地震保険料控除額は 2,910 円となる したがって その他所得控除として控除すべき金額は認められず 本件処分における所得控除の額は これらに基礎控除額 330,000 円 ( 法第 34 条第 2 項及び第 314 条の2 第 2 項 ) を加えた額 921,224 円となるから 処分庁の決定に何ら違法な点はない そして 市民税の所得割額については 課税総所得金額 課税退職所得金額及び課税山林所得金額の合計額に 100 分の6を乗じて得た金額とする と定めるところ ( 横浜市市税条例第 29 条の2 第 1 項 平成 29 年 10 月横浜市条例第 34 号による改正前のもの ) 1,037,000 円に 100 分の6を乗じて得た金額は 62,220 円となり 本件においては ここから調整控除額 1,500 円 ( 法第 314 条の6) を控除した 60,700 円 ( 法第 20 条の4の2 により 100 円未満切り捨て ) が 本件処分における市民税に係る所得割額となる また 県民税の所得割額については 課税総所得金額 課税退職所得金額及び課税山林所得金額の合計額に 100 分の 4.025 を乗じて得た金額とすると定めるところ ( 神奈川県県税条例附則第 39 項第 1 号 平成 29 年神奈川県条例第 48 号による改正前のもの ) 1,037,000 円に 100 分の 4.025 を乗じて得た金額は 41,739 円となり 本件においては ここから調整控除額 1,000 円 ( 法第 37 条 ) を控除した 40,700 円 ( 法第 20 条の4の2により 100 円未満切り捨て ) が 本件処分における県民税に係る所得割額となる 以上のとおり 審査請求人に課されるべき市民税 県民税の合計額は 市民税 65,100 円 ( 均等割額 4,400 円 所得割額 60,700 円 ) 県民税 42,500 円 ( 均等割額 1,800 円 所得割額 40,700 円 ) の合計額 107,600 円であるから 本件処分による平成 29 年度市民税 県民税の税額には何ら違法な点はない (4) 審理員の審理手続本件審査請求に係る審理手続は 適正に行われたものと認められる 7

(5) 結論 る 以上のとおりであるから 5 の審査庁の裁決についての判断は 妥当であ 8

参考 1 審理員の審理手続の経過 年月日 審理手続の経過 平成 29 年 9 月 12 日 審査請求書( 副本 ) 送付及び弁明書の提出等依頼 平成 29 年 9 月 29 日 弁明書の受理 平成 29 年 10 月 13 日 弁明書( 副本 ) の送付及び反論書の提出等依頼 平成 29 年 10 月 23 日 反論書の受理 平成 29 年 10 月 31 日 反論書( 副本 ) の送付 平成 29 年 12 月 1 日 口頭意見陳述 平成 29 年 12 月 1 日 処分庁に対する質問書の送付 平成 29 年 12 月 11 日 処分庁から質問に対する回答書の受理 平成 30 年 2 月 15 日 審理手続の終結 平成 30 年 2 月 21 日 審理員意見書の提出 参考 2 審査会の調査審議の経過年月日調査審議の経過平成 30 年 2 月 21 日 審査庁から諮問書及び事件記録等の写し受理 調査審議平成 30 年 3 月 14 日 調査審議 9