はじめに 平成 26 年に品確法 (*1) 及び同法に基づく基本方針 (*2) が改正され 新たに発注者の責務として 適切な工期を設定するよう努めること が規定されました 品確法では 公共工事は 国民生活及び経済活動の基盤となる社会資本を整備するものとして社会経済上重要な意義を有しており その品質は

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所において施工する場合 2 施工にあたり相互に調整を要する工事で かつ 工事現場の相互の間隔が 10km 程度の近接した場所において同一の建設業者が施工する場合 ( 別添 建設工事における現場代理人の常駐義務の緩和に係る取扱いについて に示す 参考 第 2 第 1 項第 3 号に定める該当工事 参照

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公共建築改善プロジェクト(仮)

国土入企第 5 4 号 平成 31 年 2 月 22 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局長 技能労働者への適切な賃金水準の確保について 技能労働者の確保 育成のためには 適切な賃金水準の確保等による処遇改善が極めて重要です 国土交通省においては これまでの 6 度にわたる公共工事設計労

事務連絡 平成 30 年 11 月 9 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局建設業課長 公共工事の円滑な施工確保について 公共工事の適正な入札及び契約を通じて建設業の健全な発達を図るとともに 平成 30 年 7 月豪雨や平成 30 年北海道胆振東部地震等の大規模災害からの復旧 復興の加速

2 採用する受注者選定方式の検討について廃棄物処理施設整備事業で一般的に採用されている受注者選定方式は表 -2のとおりです 受注者選定方式の検討に際しての論点を下記に整理しましたので 採用する受注者選定方式について審議をお願いいたします 本施設に求められる5つの整備基本方針に合致した施設の整備運営に

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働き方改革実現に向けた週休二日の取得に関する取組について 直轄工事における週休二日取得の取り組み 施工時期の平準化適正な工期設定 週休二日算定が可能な 工期設定支援システム の導入 工事着手準備期間 後片付け期間の見直し 余裕期間制度の活用週休二日を考慮した間接費の補正 < 週休二日対象工事 > 対

福井県建設リサイクルガイドライン 第 1. 目的資源の有効な利用の確保および建設副産物の適正な処理を図るためには 建設資材の開発 製造から土木構造物や建築物等の設計 建設資材の選択 分別解体等を含む建設工事の施工 建設廃棄物の廃棄等に至る各段階において 建設副産物の排出の抑制 建設資材の再使用および

I. 担い手の確保 育成 週休 2 日チャレンジサイト を開設し 週休 2 日の確保に取り組む現場や様々な取組の共有を図り 建設業の取り組む 働き方改革 を応援します 新規 1 整備局ホームページ内に 週休 2 日チャレンジサイト を開設し 週休 2 日の確保に取り組む企業 ( 工事 ) を紹介して

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工事の定義 1. 工事 建設業法等に定義なし 建設業法における用例 : この法律において 建設工事 とは 土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう ( 建設業法第 2 条第 1 項 ) 出典 意味 広辞苑 明鏡国語辞典 デジタル大辞泉 振動規制法 ( 昭和 51 年法律第 64 号 )

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Microsoft Word - <局長レク後>都道府県・政令市宛て(総括指摘部分修正)

れている者 個人事業所で5 人以上の作業員が記載された作業員名簿において 健康保険欄に 国民健康保険 と記載され 又は ( 及び ) 年金保険欄に 国民年金 と記載されている作業員がある場合には 作業員名簿を作成した下請企業に対し 作業員を適切な保険に加入させるよう指導すること なお 法人や 5 人

Q&A 集 Q1 社会保険等とは何か A1 社会保険等とは 健康保険 ( 協会けんぽ 健康保険組合等 ) 厚生年金保険 及び雇用保険をいいます Q2 国民健康保険組合に加入しているが 社会保険等未加入建設業者となるのか A2 法人や常時 5 人以上の従業員を使用する国民健康保険組合に加入している建設

現場代理人及び主任技術者等の資格要件について 平成 30 年 9 月 18 日 本市では この度銚子市建設工事請負契約約款 ( 工事約款 ) を一部改正し 現場代理人の常駐義務を緩和する旨の規定 ( 工事約款第 12 条第 4 項 ) を追加しました これを受け 下記のとおり取り扱うこととしますので

公共工事における予定価格設定時の 歩切り に関する調査の結果について 平成 27 年 4 月 28 日総務省国土交通省 昨年 6 月の公共工事の品質確保の促進に関する法律 ( 平成 17 年法律第 18 号 以下 公共工事品質確保法 という ) の改正により 予定価格の適正な設定が発注者の責務として

一般社団法人送電線建設技術研究会関西支部社会保険等の加入促進計画 1. はじめに 平成 27 年 4 月 24 日制定 建設産業においては 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険 ( 以下 社会保険等 という ) の 1 法定福利費を適正に負担しない企業が存在し 技能労働者の医療 年金など いざというと

A4 経営事項審査の受審状況により確認方法が異なります なお 適用除外は 労働者の就業形態等によって適用除外とならない場合もあることから 元請負人は 年金事務所等に適用除外となる要件を確認した上で判断してください 経営事項審査を受審している場合 有効期間にある経営規模等評価結果通知書総合評定値通知書

事務連絡 平成 29 年 10 月 25 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局建設業課長 平成 28 年熊本地震の被災地域での建設工事等における 予定価格の適切な設定等について 公共工事の予定価格の設定については 市場における労務及び資材等の最新の実勢価格を適切に反映させつつ 実際の施工

発注者支援業務(工事監督支援業務)のポイント

                            技管第  号

減額の理由H27.5 以降 < 調査事項及び回答の概要 > 1. 歩切りの違法性及び定義等についての理解 リーフレット ( 別添 ) の内容を確認 理解したリーフレット ( 別添 ) の内容を確認 理解していない ( 1) 1,783 団体 5 団体 ( 1) 理解していない とした主な理由 設計書

Q&A で読み解く 担い手 3 法 改正ポイント 5 月 29 日の衆院本会議で改正公共工事品質確保促進法 ( 公共工事品確法 ) 改正公共工事入札契約適正化法 ( 入契法 ) 改正建設業法の3 法が全会一致で可決 成立した 一連の法改正は インフラの品質確保とその担い手の確保を実現することを大きな

法定福利費の明示について 1 社会保険等未加入対策 建設業者の社会保険等未加入対策として 社会保険等への加入を一層推進していくためには 必要な法定福利費が契約段階でも確保されていることが重要です 建設工事における元請 下請間では 各専門工事業団体が法定福利費を内訳明示した 標準見積書 を作成しており

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中央建設業審議会による提言について ( 平成 24 年 3 月 14 日 ) 建設産業における社会保険の徹底について ( 提言 ) 建設産業においては 下請企業を中心に 雇用 医療 年金保険について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など

第三者による品質証明制度について 参考資料 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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技術者等及び現場代理人の適正配置について

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資料 5 論点 2 CMR に求められる善管注意義務等の範囲 論点 3 CM 賠償責任保険制度のあり方 論点 2 CMR に求められる善管注意義務等の範囲 建築事業をベースに CMR の各段階に応じた業務内容 目的ならびに善管注意義務のポイントを整理 CM 契約における債務不履行責任において 善管注

Ⅱ 取組み強化のためのアンケート調査等の実施 (1) 建設技能労働者の賃金水準の実態調査国土交通省から依頼を受けて都道府県建設業協会 ( 被災 3 県及びその周辺の7 県を除く ) に対し調査を四半期ごとに実施 (2) 適切な賃金水準の確保等の取組み状況のアンケート調査国は 平成 25 年度公共工事

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基本問題小委員会における提言 ( 平成 26 年 1 月 ) 社会保険等未加入対策関係 1. これまでの中央建設業審議会 社会資本整備審議会基本問題小委員会における提言 1 行政 元請企業による加入指導 法定福利費確保に向けた取組等の総合的な対策を推進すべき 2 平成 29 年度を目途に 事業者単位

添付 A02 筑波大学附属病院病棟 B 改修事業にかかる技術提案 交渉方式 ( 設計交渉 施工タイプ ) による公募型プロポーザル優先交渉権者決定基準 2019 年 1 月 15 日 国立大学法人筑波大学

働き方改革 魅力ある建設業の構築に向けて 特集 域によっても大きな差があり, 北陸地方や北海道 など一部の地方では平成 28 年 10 月調査の加入率が 80% を超えているのに対し, 大都市部のある関東 地方 (55%) や近畿地方 (60%) は低い加入率に 留まっている ( ) 建設マネジメン

4. 施工者とは 当該工事の受注者をいう ( 品質証明者 ) 5. 品質証明者とは 一定の資格及び実務経験を有し 施工者と品質証明業務について契約した組織又は個人で 以下の要件に該当しないものをいう 1 組織においては 以下のいずれかに該当する者 (1) 当該工事の施工者 (2) 当該工事の施工者と

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ただし 受注者が下請業者と直接契約を締結 ( 以下 一次下請契約 という ) した請負代金の総額が3,000 万円 ( 建築一式工事の場合は4,500 万円 ) 以上の場合は 次のとおり取り扱うものとする ア主管部長 ( 岐阜市契約規則 ( 昭和 39 年規則第 7 号 ) 第 4 条に規定する部長

第 3 章認定品の利用推進に関する基本方針 ( 認定品の周知 ) 第 6 認定品の製品情報については, 環境生活部環境政策課ホームページ等を参考とするものとする ( 認定品の使用 ) 第 7 工事等において, 認定品を積極的に使用するものとし, 資材の名称, 規格 寸法等の必要項目を設計図書 ( 条

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ア事業担当課長 ( 岐阜市上下水道事業部契約規程 ( 昭和 41 年水道部管理規程第 3 号 ) 第 4 条に規定する部長 ) は 工事請負契約約款第 7 条の2 第 2 項の規定に基づき 受注者に対して 期限を定め 当該下請契約を締結した具体的な理由を載した書面を求めるものとする ( 様式 1)

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財営第   号

つがる市小形風力発電 (20kW 未満 ) 設備建設に関するガイドライン 平成 29 年 11 月 15 日公表 1 目的本ガイドラインは つがる市 ( 以下 市 という ) において小形風力発電 (20kW 未満 ) 設備及び設備建設に伴う送電線等の付帯設備 ( 以下 小形風力発電設備等 という

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表紙1_4

工事施工中における受発注者間の情報共有システム機能要件 (Rev4.0) 平成 26 年 7 月版 ( 国土交通省国土技術政策総合研究所 )( 以下 機能要件 ) ( ただし データ連携機能を除く ) 工事帳票 確認 立会願 段階確認書 工事履行報告書 材料確認願 及び 工事打合せ簿 に

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現場代理人及び主任(監理)技術者の適正な配置等について

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特定個人情報の取扱いの対応について

別記様式 2 地方整備局長 知事 支社支社長 印 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第 11 条 社会保険等未加入 業者 の通知について 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 ( 以下 法 という ) 第 11 条に基づき 弊社の発注工事において社会保険等未加入業者の存在が

第2章 材    料

公共工事等における新技術活用システムについて 別添 公共工事等に関する優れた技術は 公共工事等の品質の確保に貢献し 良質な社会資本の整備を通じて 豊かな国民生活の実現及びその安全の確保 環境の保全 良好な環境の創出 自立的で個性豊かな地域社会の形成等に寄与するものであり 優れた技術を持続的に創出して

平成 30 年 3 月 22 日 民間発注企業の長殿 国土交通省土地 建設産業局長 建設業の働き方改革の推進について 政府の 働き方改革実行計画 ( 平成 29 年 3 月 28 日働き方改革実現会議決定 ) においては 労働基準法の改正の方向性として 労使協定を結ぶ場合においても上回ることのできな

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平成 29 年 6 月 1 日 ( 木 ) 国土交通省関東地方整備局企画部 記者発表資料週休 2 日の達成を目指す試行工事をスタートします ~ 建設業が取り組む 週休 2 日の定着 を発注者としてサポート ~ 関東地方整備局においては 平成 27 年度から 週休 2 日確保試行工事 ( 以下 試行工

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社会福祉法人春栄会個人情報保護規程 ( 目的 ) 第 1 条社会福祉法人春栄会 ( 以下 本会 という ) は 基本理念のもと 個人情報の適正な取り扱いに関して 個人情報の保護に関する法律 及びその他の関連法令等を遵守し 個人情報保護に努める ( 利用目的の特定 ) 第 2 条本会が個人情報を取り扱

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女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

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なお 受注者から指定した期日までに保険加入を確認できる書類が提出されない場合は 埼玉県流域下水道事業建設工事標準請負契約約款第 7 条の3 第 1 項の規定に違反することとなる旨を併せて通知します 3 発注者が 理由書 ( 一次 ) によっても当該特別の事情を有すると認めないと判断した場合は 受注者

Q_3 現場代理人の兼務の取扱いは? A_3 下記のケースに該当する場合は現場代理人の兼務を申請することができます ケースⅠ( 次の (1)~(4) をすべて満たす場合 ) (1) 兼務するすべてが福井市発注の工事であること (2) 兼務できる工事は 2 件以内であること ( 近接工事は合わせて 1

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耐震診断 耐震改修に関する設計に係る業務報酬基準案について寄せられたご意見と国土交通省の考え方 20 名の個人 団体から合計 66 件の意見をいただきました とりまとめの都合上 内容を適宜要約させていただいております 本業務報酬基準案と直接の関係がないため掲載しなかったご意見についても 今後の施策の

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平成23年度第1回人材確保・育成部会

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様式 - 工監 1 ( 第 18 号様式 ) ( 記号 ) 第 号 平成 年 月 日 ( 受注者 ) ( 工事監督員 ) 様 ( 支出負担行為担当者 ) 印 工事監督員の指定について ( 工事番号 ) 上記建設工事に係る工事監督員を次のとおり指定したので通知します 工事監督員 所 属 職 氏 名 職


Transcription:

公共建築工事における工期設定の基本的考え方 ( 事例解説 ) 平成 28 年 6 月 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism 1

はじめに 平成 26 年に品確法 (*1) 及び同法に基づく基本方針 (*2) が改正され 新たに発注者の責務として 適切な工期を設定するよう努めること が規定されました 品確法では 公共工事は 国民生活及び経済活動の基盤となる社会資本を整備するものとして社会経済上重要な意義を有しており その品質は 現在及び将来の国民のために確保されなければならない とされています しかしながら 工事中の事故や手抜き工事の発生 地域の建設業者の疲弊や下請業者や技能労働者等へのしわ寄せ 現場の技能労働者等の賃金の低下をはじめとする就労環境の悪化に伴う若手入職者の減少 更には建設生産を支える技術 技能の承継が困難となっているという深刻な問題が発生している ことから これらを解消するために品確法が改正されました 公共建築工事においても 品質を確保し その担い手を現在及び将来にわたり育成 確保するためには 建設現場の就労環境の改善が急務かつ必要不可欠です そのためには 公共建築工事の各発注者の責務として 適正な利潤の確保とともに週休 2 日の確保等を含めた適切な工期の設定に取り組む必要があります 国土交通省では 平成 27 年度に 公共建築工事おける工期設定の基本的考え方 をとりまとめ 公表し 公共建築工事全体への普及に努めているところです 今般 公共建築工事の各発注者の理解をさらに促進するため 同基本的考え方の参考資料をとりまとめましたので ここに公表するものです *1: 公共工事の品質確保の促進に関する法律 ( 平成 17 年法律第 18 号 最終改正 : 平成 26 年 6 月 4 日法律第 56 号 ) *2: 公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針 ( 平成 17 年 8 月 26 日閣議決定 平成 26 年 9 月 30 日最終変更 ) 2

本事例解説の位置づけ 国土交通省では 公共建築工事における工期設定の現状に関して建設業団体と意見交換を行い 問題意識を共有するとともに適切な工期を設定するための方策等について 平成 27 年 3 月 25 日付けで 営繕工事における工期設定の基本的考え方 として取りまとめました 平成 27 年春の全国営繕主管課長会議幹事会及び総会において 営繕工事における工期設定の基本的考え方 を説明 その後 地方公共団体を対象とした発注者支援に関するアンケートでの 意見を踏まえ 公共建築工事全体へ普及を促進するため 公共建築工事における工期設定の基本的考え方 として取りまとめました と地方整備局等は 各種会議等を通じて地方公共団体等への説明や意見交換を行うなどして 公共建築工事全体への適切な工期設定の普及 促進に努めています 今般 公共建築工事における適切な工期設定をさらに普及 促進させ 将来にわたる建設業の 担い手確保と公共建築工事の品質確保に資することを目的として 建設業団体のご協力により 収集した事例や意見交換をもとに 公共建築工事における工期設定の基本的考え方 に示す 第 2 適切な工期を確保するための方策 の内容について 事例解説として作成 公表するものです 3

本事例解説の構成 公共建築工事における工期設定の基本的考え方 ( 本文 ) 第 2 適切な工期を確保するための方策 発注者が調査及び設計 工事発注準備 入札契約及び工事施工の各段階で取り組む事項 1. 調査及び設計段階 (1) 次の期間の十分な想定 1 現地調査及び関係者との協議 調整に要する期間 2 設計 入札契約手続及び施工の期間 3 近隣等関係者への説明 調整に要する期間 (2) 敷地 施設現況等の事前調査の十分な実施 (3) 図面審査の確実な実施要求性能と施工中の確認事項の設計図書への明示 2. 工事発注準備段階 (1) 適切な工期の入札条件への設定 (2) 債務負担行為の積極的活用等 工事施工時期の平準化 (3) 技術者を過剰に拘束しない工期設定 3. 入札契約段階 (1) 明確な質問回答と施工条件の明示 (2) 工期短縮に関する技術提案の原則禁止 4. 施工段階 (1) 迅速な承諾行為とワンデーレスポンスの実施 (2) 工事の進捗状況の的確な把握 (3) 関係工事間の調整の適切な実施 参考事例 ( 不適切な典型的事例 ) 防止のため注意すべきポイント 適切な工期設定に役立つ参考資料 (16ページ参照) 工期設定のイメージ図 適切な工期を設定するためのチェックシート 適切な工期を設定するための事前調査票 木造事務庁舎の合理的な設計における留意事項等 4

基本的考え方1. 調査及び設計段階 (1)-1 第 2 適切な工期を確保するための方策 発注者は 適切な工期を設定するため 調査及び設計 工事発注準備 入札契約及び工事施工の各段階において以下の事項に取り組む 1. 調査及び設計段階 (1) 事業全体の工程 ( スケジュール ) が的確に進捗するよう 次に示す調整等に要する期間を十分想定した上で予算要求を行うなど適切に事業の企画を行う 1 現地調査及び調査結果に基づく施設管理者 官公署 公共インフラ事業者等との協議 及び調整に要する期間 参考事例として示されている箇所 参考事例ポイント5 改正景観条例に関する情報収集が十分ではなく 追加資料の作成 外装材の一部変更等に追加の期間を要し 工事の着手が遅延した 必要な各種申請内容とそれに要する期間を幅広く確認 把握するとともに 工事発注までに関係官公署等と十分な調整を行うことができる期間を見込む

考え方基本的支障なく完成しているべき期間 ( 公共建築工事標準仕様書 1.1.2(23) より ) 参考事例ポイント基本的考え方参考事例1. 調査及び設計段階 (1)-23 2 設計 ( 計画通知手続き期間等を含む ) 入札契約手続き及び工事着手から工事完成 までの施工 ( 資機材の調達に要する期間等を含む ) のそれぞれに要する期間 建物の竣工日間際に受電日を設定したため 設備機器等の試運転調整に要する期間が確保できず 工事の完成が遅延した 受電の時期及び設備の総合試運転及び諸検査等に必要な期間を考慮し 適切に概成工期 を設定する 概成工期 : 建築物の使用を想定して総合試運転調整を行ううえで 関連工事を含めた各工事が 3 近隣 建物利用者等の工事の影響を受ける関係者に対し 事前に工事概要 工事内容等を説明し 理解を得るための調整に要する期間 解体工事の振動 騒音に係る近隣からの苦情による工法 工程の見直しにより 工事の完成が遅延した ポイント近隣建物の状況調査を行い それを踏まえた工法 重機等を選定するとともに 事前に工事内容等を工事の影響を受ける関係者へ説明する 6

1. 調査及び設計段階 (2) 考え方基本的7 参考事例ポイント参考事例ポイント(2) 敷地や施設の現況などを的確に設計図書に反映するため 事前の調査を十分に行う 設計与条件で 無 とされていた地下掘削時の湧水が施工時に確認され 工期延期が必要となり工事の完成が遅延した 当該敷地の調査を実施し 地下水の有無や地歴等の情報を可能な限り把握し 的確に設計図書に反映しなければならない 建物解体時に設計図書に記載のないアスベスト含有建材が確認され 工期 延期と費用の増額が発生した 既存建物の解体や改修を行う場合には 建設時期や修繕履歴等を確認すると ともに 現地調査を行い可能な限り有害物質 ( アスベスト等 ) の有無を把握し 的確に設計図書に反映しなければならない

1. 調査及び設計段階 (3) 考え方基本的8 参考事例ポイント参考事例ポイント(3) 設計図書と施設の現況又は設計図書間の不整合を生じさせないよう 設計段階での図面審査を確実に行う また 要求性能を明確に反映した設計図書とするとともに 施工段階で要求性能の確認等を要するものにあっては その内容を設計図書に明示する 電気埋設配管盛替工事で 施工段階で既設配管の現況の確認を行ったところ 施設の改修履歴から設計図書への反映が漏れていた配管が確認され 工事の着手が遅延した 設計図書作成前に 既存の図面や改修履歴を確認するとともに 現地調査を必ず 行い 可能な限り施設の現況を把握した上で設計図書を作成しなければならない 免震改修工事において 外構既設設備配管切り回しを行うため工事にて調査を行ったところ 建築工事と設備工事の設計図書の内容に不整合があったため その対応に時間を要し 工事の着手が遅延した 建築工事と設備工事の設計図書間に不整合がないよう図面審査を確実に 行わなければならない

2. 工事発注準備段階 (1) 考え方基本的9 参考事例ポイント参考事例ポイント(1) 調査及び設計内容に基づく工事内容 施工条件等を適切に反映した工期を入札条件として設定する 外壁改修工事において外壁タイルの撤去作業は 土日及び祝日のみの作業であったが 施工条件に明示されていなかったため 工事の完成が遅延した 工事内容や施工条件等を明示し これらを適切に反映した工期を設定する 必要がある 実際の施工手順は 別敷地に仮設施設を新築 既存施設を解体し 新施設を新築 仮設施設を解体 であったが 施工条件で明示していたのは新施設の完成予定日のみであったため その後の調整に時間を要し 工事の完成が遅延した 設計図書において 仮設施設の完成 引渡時期等の施工条件を明示する必要がある

2. 工事発注準備段階 (2) 考え方基本的10 参考事例ポイント(2) 工事着手から工事完成までの期間が長く 複数年度にわたる工事については 債務負担行為の積極的な活用等の措置を講ずる また 地域における建設工事量の把握に努め 年度当初からの予算執行 建設工事の繁忙期を避けた発注時期及び工事完成 時期の検討等 工事施工時期の平準化に努める 単年度予算による工事において 想定が不十分であったことから次年度にまたがる工期延期が必要となり 繰越手続き及び工期延期に伴う経費の増額措置に時間を要し 工事が一時中止となり 工事の完成が遅延した 予算要求段階で 工事に必要な期間を十分に見込み 年度をまたぐ工期が 想定される場合には 債務負担行為を活用すべきである

2. 工事発注準備段階 (3) 考え方本的参考事例ポイント(3) 建設資材や労働者の確保等の準備のための工事着手までの余裕期間の設定といった 基契約上の工夫等を行い 技術者を過剰に拘束しない ゆとりある工期設定に努める 機器製作等が含まれる工事で 常駐を要しないこととすることができる期間にも現場代理人の常駐義務を課したため 入札が不調に終わった 契約直後の準備段階や機器の工場製作のみが行われている期間 完成検査終了後の後片付段階では 現場代理人の常駐義務や監理技術者等の専任義務を緩和することを条件明示するなど 受注者に過度な負担とならないよう配慮すべきである 11

3. 入札契約段階 (1) 考え方基本的12 参考事例ポイント参考事例ポイント(1) 設計図書に関する質問回答において 工事の施工条件 施工手順その他工期に影響する事項については 可能な限り明確な回答に努め 発注前に不明な事項があれば 追加にて条件明示するなど施工条件の明示に努める 工事の入札手続きにおいて 工事開始前のアスベスト粉じん濃度測定の有無 の質問に対して 事前調査結果を十分確認せずに測定不要と回答を行ったが 結果的にアスベスト含有建材が発見され 追加の調査等により 工事の完成が遅延した 設計図書に関する質問回答は 調査結果等に基づき正確に回答する必要が ある 設計図書にボーリング調査結果を記載せず ボーリング調査結果の質問に対して図面によるとの回答を行ったが 契約締結後に図面と異なることが明らかになり 杭の変更契約により工期延期の必要が生じた 工事の施工条件 施工手順その他工事に影響する事項 ( 敷地や建物調査結果 等 ) を入札契約段階で可能な限り明示する必要がある

考え方本的発生し 工事の完成が遅延した 基参考事例ポイント3. 入札契約段階 (2) (2) 発注する工事の内容に照らして真に必要と認められる場合を除き 工期短縮に 関する技術提案は求めてはならない 総合評価落札方式において 工期短縮の提案を求め採用したが 工事中に事故が 品質や安全面における問題が生じる可能性があるため 工期短縮に係る技術提案は求めない 13

基本的考え方参考事例ポイント基本的考え方参考事例4. 施工段階 (1)(2) (1) 工程に遅延が生じないよう 施工計画 施工図等の承諾を速やかに行うとともに ワンデーレスポンスの実施に努める 発注者に部屋名称の決定期限の要望を提出したが 期限までに決定されなかったため 中央監視設備のデータ製作に取りかかれず 工事の完成が遅延した 工程に遅延が生じないよう 受注者からの質問 協議への回答は基本的に その日のうち に行うこととし 即日回答が困難な場合は回答期限を設定 するなど 必要な事項の決定を速やかに行う必要がある (2) 受注者が作成し 発注者が承諾した実施工程表に基づき 工事の進捗状況を的確に 把握し 遅延の有無を確認する 発注者が実施工程を考慮せず設計変更を数度にわたり通知した結果 工事の進捗が遅延した ポイント設計変更に当たっては 実施工程に遅れが生じないよう実施する必要がある また 設計変更に伴い実施工程に影響がある場合には 設計変更ガイドライン を参考とし 工期延期を検討する 営繕工事請負契約における設計変更ガイドライン ( 案 ) http://www.mlit.go.jp/common/001090867.pdf 14

基本的考え方参考事例ポイント4. 施工段階 (3) (3) 一つの工事現場において 複数の契約に基づく工事が実施される場合は 全体の 工程に遅延が生じないように 各工事間の調整を適切に実施する 建築 電気設備 機械設備の分離発注工事において 建築工事の工程変更が設備工事の施工業者に伝わらず 予定していた設備工事を行うことができない期間が発生し 工事の完成が遅延した 一つの工事現場で複数の契約に基づく工事が実施される場合には 全体工程に遅延が生じないように 各工事間の施工手順 進捗状況等を把握し 各工事の受注者の協力のもと 必要な調整を適切に実施する 公共建築工事標準仕様書等において 別工事の施工上密接に関連する工事では 各工事の受注者は監督職員の調整に協力する義務がある旨規定している ( 公共建築工事標準仕様書 1.1.7 より ) 15

適切な工期設定に役立つ参考資料 (1) 公共建築工事における適切な工期の設定にあたり 参考となる資料の例として次のものがある 工期設定のイメージ図 調査及び設計段階等における具体的な工期設定の事例 本事例はあくまで一例であり さまざまなケースが考えられる http://www.mlit.go.jp/common/001133185.pdf 適切な工期を設定するためのチェックシート 調査及び設計段階における事前調査で確認すべき事項のチェックシート 各発注者が適切に工期を設定するためには 調査及び設計段階で各種の調査 調整を詳細かつ十分に実施することが極めて重要である 本チェックシートは 各発注者の実情を踏まえ カスタマイズして使用するものである http://www.mlit.go.jp/common/001133186.xlsx 適切な工期を設定するための事前調査票 調査及び設計段階において敷地 使用者の要望等 当該工事の工期を適切に設定するための前提 条件とすべき事項の調査票 本調査票は 各発注者の実情を踏まえ カスタマイズして使用するものである http://www.mlit.go.jp/common/001133187.doc 木造事務庁舎の合理的な設計における留意事項 木造庁舎の整備にあたり 工期やコストに影響を及ぼす留意事項をまとめたもの http://www.mlit.go.jp/gobuild/moku_torikumi.html#moku_ryuuijikou 16

適切な工期設定に役立つ参考資料 (2) 公共建築工事における適切な工期の設定にあたり 参考となる資料が関連団体により作成されている 建築工事適正工期算定プログラム (( 一社 ) 日本建設業連合会 = 日建連 ) 新築工事における用途 構造 規模等の建物データを入力することにより 完全週休 2 日 8 時間労働 長期休暇の取得を考慮した適正工期をネットワーク工程表として簡便に作成することができるツール 本プログラムの適正工期は 主に都市部における標準的な工期を示しており 設備工事の工程が全体工期に影響する場合 労務調達等が円滑でない地域の場合等では別途考慮が必要である また 地中障害物 埋蔵文化財の有無や官公庁手続 周辺住民との調整等個々の事案によって別途考慮すべき要素が異なるので 各発注者において十分な事前調査が重要である http://www.nikkenren.com/kenchiku/proper.html( 日建連ホームページへ ) 自家用電気工作物の設置及び受電時期設定の手引き (( 一社 ) 日本電設工業協会 = 電設協 ) 電気設備工事について 契約時から竣工までの業務に従事する際の確認事項や 施設利用者等の 関係者へ説明するための知識等を整理した手引き http://www.jeca.or.jp/ex/120326a.html( 電設協ホームページへ ) 17