資料 9 参考 グローバルな工業品先物市場を実現する 10 のアクション (2010 年策定 ) 平成 24 年 4 月 17 日経済産業省
グローバルな工業品先物市場を実現する 10 のアクション (2010 年策定 ) 1 取引所間のグローバル競争に勝つための営業 (Marketing) (1) 営業 ( 証券会社 機関投資家 石油など当業者向け ) 資産運用における商品投資のリスク分散効果について理解を醸成し 貴金属等を投資の対象とした投資信託 ETF の組成及び利用を証券会社 機関投資家等に働きかける 東工取の金の価格に連動する投資信託が平成 22 年 2 月から取扱開始 [ 資産額 48 億円 ( 平成 24 年 2 月 )] 東工取の金 白金の価格に連動するETF( 上場投資信託 ) が平成 22 年 2 月に大証において上場 [ 資産額金 :4 億円 ( 平成 24 年 2 月 ) 白金 :4 億円 ( 平成 24 年 3 月 ) ] 東工取の金 白金 銀 パラジウムの価格に連動するETFが平成 22 年 6 月に東証において上場 [ 資産額金 :222 億円 白金 :18 億円 銀 :43 億円 パラジウム :6 億円 ( いずれも平成 23 年 12 月 )] 今後とも商品を原資産とした投資信託 ETF の組成 利用を働きかけていくべきではないか 石油業界では先物市場を活用した公正で透明な価格形成と原油乱高下に対するリスクヘッジの必要性について理解が高まっており石油先物市場の活性化策を検討 実行する 東京工業品取引所において 平成 22 年 5 月から軽油取引を再開 ( 平成 24 年 3 月の平均出来高は 一日当たり 36 枚 ) 石油先物市場については上場商品の見直し 追加 当業者への働きかけ強化など更なる活性化策を検討 実行していくべきではないか 1
2 グローバルスタンダードな市場構築による参加者の参入促進 (Access) (2) アクセスの見直し ( 国内当業者 海外投資家 ) 現在取引が休止している時間帯 ( 午後 3 時半 ~ 午後 5 時 午後 11 時 ~ 午前 9 時 ) について 石油市場の当業者や貴金属の裁定取引を行う投資家等のニーズを踏まえて 見直しを行い 24 時間化を実現する 平成 22 年 9 月から東京工業品取引所の夜間立会終了時刻を午後 11 時から翌朝 4 時に延長 ( 現在の取引時間は 午前 9 時 ~ 午後 3 時半 午後 5 時 ~ 午前 4 時 ) 引き続き 投資家のニーズを踏まえて 午後 3 時半から午後 5 時までの休場時間の短縮を含め 機動的に見直しを行っていくべきではないか 米国など海外規制当局と当省との間で情報交換協定の締結を推進し 海外の取引参加者が取引スピードを高めるため 取引所システムに直接接続するダイレクトマーケットアクセスを実現する ダイレクトマーケットアクセスを実現するには 国境を越えた相場操縦行為等の不公正取引に対処するための規制当局間における情報交換協定の締結が必要となる 平成 23 年 5 月に 証券監督者国際機構 (IOSCO) の各国規制当局間の情報交換等に関する多国間覚書 ( マルチMOU) へ署名 ( 参考 )22 年 8 月にはCFTCと情報交換に関する意図表明文書 (SOI) を締結 東工取は 香港当局にダイレクトマーケットアクセスの申請書を提出中であり 香港 英国 ドバイについても申請に向けた準備を進めているところ ダイレクトマーケットアクセスを早急に実現すべきではないか 2
(3) グローバルスタンダードなルールの導入 海外からの投資家のニーズなどに応えるため 現行制度を網羅的に見直す ( 例 SPAN 証拠金 口座管理の一元化 ) 先進国の証券 商品市場と同様に リスクに見合った証拠金制度 (SPAN 証拠金 ) を平成 23 年 1 月から導入 口座管理の一元化や外貨建て取引等の実現に取り組むべきではないか (4) 税制の改善 ( 金融所得税制の一元化 ヘッジ税制 ) 現行の会計規定と 税法上のヘッジ会計の適用要件との間に相違点があることから 事業者に対する課税の適正化に向けて 関係者と調整を行う ヘッジ取引の実態を踏まえた基準となるよう関係者に働きかけを行った 引き続き ヘッジ取引の実体を踏まえたものにすべく関係者との調整を行っていくべきではないか 上場 店頭公開株式の譲渡損益や配当等 他の金融商品との損益通算を可能にするため 個人投資家に係る税制改正に向けて 関係者と調整を行う 商品先物取引等と株式の譲渡損益等との損益通算を可能にするための税制改正要望を行った ( 平成 24 年度要望 ) 金融庁と連携し 引き続き 損益通算の実現のための努力を強化すべきではないか 3
3 投資家のリスク管理意識の高まりに応える行政と商品取引員ビジネス (Governance) (5) 厳正な法令の執行とそれに対応したビジネスモデル 商品取引員は投資家を取引所へ呼び込む上で重要なチャンネルであり ビジネスモデルを検討 不招請勧誘の禁止の例外 初期の投資額以上の損失が発生する可能性がない取引所取引 について早急に具体化 平成 23 年 1 月から 東京工業品取引所及び東京穀物商品取引所において 不招請勧誘の禁止等に抵触しない初期の投資額以上の損失が発生する可能性のない商品 ( スマート CX) を導入 さらに スマート CX の広報等を取り組んでいくべきではないか (6) 市場分析監視 市場分析監視室において システムを用いた分析 監視を実施 また 外国規制当局と協力し 国境を超えた相場操縦についても監視を強化する 相場操縦行為等の不公正取引を監視するため 平成 22 年から市場監視システムの運用を開始 国境を越えた不公正取引に対処するため 証券監督者国際機構 (IOSCO) の各国規制当局間の情報交換を可能とする多国間覚書 (MMOU) に署名 ( 再掲 ) 4
4 証券市場など関連市場と商品市場の連携の強化 (Inter-linkage) (7) 証券取引所との連携強化 (ETF インデックス商品 その他排出権の動き ) 商品市場の競争力強化の観点から証券市場との連携の強化が求められており 本年 7 月からは相互乗り入れが可能になる 商品 ETF など証券取引所で上場される商品を通じ商品取引所における取引を活性化する 東工取で日経 東工取指数を平成 22 年 3 月 23 日に上場開始 ( 平成 24 年 3 月の出来高は 0 件 ) 東工取の商品の価格に連動する投資信託と ETF( 上場投資信託 ) の取扱いが開始 ( 再掲 ) 指数取引の抜本的な見直しを含め 活性化 流動性向上のための具体的取組をすべきではないか (8)OTC 取引 ( 店頭取引 over-the-counter) との連携強化 事業者は価格変動リスクを回避するため取引所取引の他 金融機関等とOTC( 店頭 ) 取引を行っている 商品の生産 流通構造やOTC 取引の実態を把握し 取引所との連携策を探る G20やIOSCO( 国際証券監督機構 ) における市場の透明性の向上の要請も踏まえ OTCクリアリングや取引情報蓄積機関のあり方について検討する 日本商品清算機構により OTC 取引のクリアリングについて検討が行われた 取引所における取引に加え 我が国における OTC 取引を活性化させ 商品市場が全体としてベストミックスを構成しつつ活性化すべきと考えられるところ OTC 取引の清算機能の強化など 必要な環境を整備すべきではないか 5
5 クリアリングハウスの機能強化 (Clearinghouse) (9) スパン証拠金の導入 ( 異なる限月間の売建玉と買建玉の相殺 ) 企業のリスク管理意識の高まりに応え 商品先物市場を活性化するため JCCH( 株式会社日本商品清算機構 ) は現在の証拠金制度について 先進国の証券 商品市場と同様に リスクに見合った制度 (SPAN 証拠金 ) とする 平成 23 年 1 月からリスクに見合った証拠金制度 (SPAN 証拠金 ) を導入 ( 再掲 ) (10) 信頼性 確実性を向上させるための財務基盤の強化 JCCH は決済不履行の発生防止及び発生時の確実な損失補填の仕組みを拡充し 違約対策財源を強化する 清算手数料で運営経費をまかない 運用益で違約対策財源を積み立てるというビジネスモデルを検証 再構築する 平成 20 年度から財務基盤強化を進め 決済不履行の発生時の確実な損失補填のため 決済不履行積立金が平成 20 年度で13 億円であったところ 平成 23 年度には22 億円積立ており 引き続き違約対策財源の強化を図っているところ 平成 23 年 10 月から 清算手数料を1 枚 3 円から1 枚 5 円に引き上げ JCCH のリスク管理能力の強化の観点から クリアリング機能の強化に関する研究会 報告書にかかげられた取組事項の達成状況の検証を行い 違約対策財源の充実など十分達成できていないものについて 引き続き実現のために努力を行っていくべきではないか 6