A case of severe congestive heart failure with verapamil sensitive ventricular tachycardia after myocardial infarction Key words
212 心臓 Vol.44 UPPL.3 2012 PVC PVC PVC PVC VT V1 A V2 Verapamil投与後 Ⅰ V1 Ⅰ V1 Ⅱ V2 Ⅱ V2 Ⅲ V3 Ⅲ V3 avr V4 avr V4 avl V5 avl V5 avf V6 avf V6 B VTCL 315ms 図2A 右脚ブロック型の期外収縮が頻発 した後 同じ波形で頻拍周期315msの持 続性単形性VTが出現した 図2B VTは多剤抵抗性であったが 少量verapamil投与により停止した られた Killip Ⅳ度の重症心不全に対して挿管の上 完全には抑制されず 第28病日よりICDの頻回作動を 集中治療室での加療を要した 人工呼吸器装着下にカ 認めた 図4A B 少量のverapamil静脈内投与がVT テコラミン 利尿薬 血管拡張薬にて治療を開始し 心不全の著明な改善を認め第 7 病日に抜管した 停止に有効であったが抑制しきれず 最終的に第35病 日にVTに対するカテーテルアブレーションを施行し しかし このころより頻回に 右脚ブロック上方軸 型 頻拍周期が315msの持続性単形性心室頻拍 ventricular tachycardia VT が出現した 図2A B VT た 電気生理学的検査では clinical VTは右室からのプ はlidocaine amiodarone procainamide propranolol などの薬剤が無効であったが 1.25 2.5mgの少量 が VTにより血行動態が破綻するため直流通電を要 した 洞調律時 左室後中隔心尖部側の領域にてプル キンエ電位を認め 図 5 同部位において VT中 verapamil投与により停止した しかし第20病日 VT ストームから心停止をきたした 心肺蘇生を施行した が血行動態が安定しないため 経皮的心肺補助装置 percutaneous cardiopulmonary support device PCP と大動脈内バルーンパンピング intra-aortic balloon pumping IABP を開始した 緊急冠動脈造 影を施行した結果 左前下行枝の完全閉塞を含む多枝 ログラム刺激にて再現性をもって容易に誘発された QRに75msec先行するプルキンエ電位が記録された 図 6 7 さらに 良好なペースマップが得られ 刺激 -QR間隔は80msであった 図 8 このため 同部位を中心にアブレーションを施行し clinical VT は誘発不能となった 考察 病変を認め 経皮的冠動脈インターベンション percutaneous coronary intervention PCI にて完全血行 再建を施行し 図 3 以後血行動態は安定した PCP 室起源の特発性心室頻拍 idiopathic left ventricular およびIABPを離脱後 第24病日に植込み型除細動器 implantable cardioverter defibrillator ICD 植え込 tachycardia ILVT の中では verapamil感受性 ILVTの頻度が多い 1 その機序は 主に左脚後枝領 みを施行した verapamil carvedilol amiodarone の経口投与を開始し 経過観察した しかし VTは 域 右脚ブロック上方軸型VT 稀に左脚前枝領域 右脚ブロック右軸偏位型VT におけるfascicular 器質的心疾患を伴わない特発性心室頻拍のうち 左
心臓 Vol.44 UPPL.3 2012 213 LCA RCA PCI前 図 3 冠動脈造影 左前下行枝#6完全閉塞 対角枝75 右冠動脈 #1 90 #2 75 #3 99 の狭窄を認めたた め 上段矢印 PCIによ り完全血行再建を施行 した 下段 PCI後 A VT が報告されている6 近年Hayashiらは 心筋梗塞に伴うfascicular VT FVT を報告し7 器質的疾患に伴う単形性VTの中 で左脚後枝近傍のプルキンエ組織を起源とすることを 明らかにした この心筋梗塞に合併したFVT MIFVT は 多くは右脚ブロック上方軸型を示し プル B VT キンエ組織を回路に含むリエントリー性頻拍であっ た プルキンエ電位を指標とするカテーテルアブレー ションを施行しいずれも根治にいたっており MIFVTとverapamil感受性ILVTの電気生理学的機序が 類似していることを報告している 本例では VTにて血行動態が破綻するため 詳細 な電位のマッピングが施行できず また エントレイ 図 4 ICD植え込み後 高頻拍ペーシング によるVTの 停止 A およびにDC作動 B によりVTは停止した ンメント ペーシングも施行できなかった しかし VT中のQR波形 verapamilに感受性を示したこと VT中プルキンエ電位の早期性が強い部位で良好なペー スマップが得られアブレーションに成功していること から その特性はverapamil感受性ILVTに酷似してお reentryと考えられており 束枝から連続する異常プ ルキンエ組織を含むリエントリー回路であることが報 り 同様の電気生理学的機序を有する可能性が示唆さ れた 告されている2 5 一方 器質的心疾患に伴いヒス プルキンエ系を含 当院における心梗塞後verapamil感受性心室頻拍 MI-VT の 3 例の特徴を提示する 表 2 3 例とも低 むVTとして 脚枝間リエントリー性頻拍 bundle branch reentrant tachycardia BBRT や束枝間リエントリー 心機能であり VTはすべて右脚ブロック上方軸型を 性頻拍 inter-fascicular reentrant tachycardia IFRT 呈し いずれもVTに対し少量のverapamilが有効であっ た 本例を除く 2 例は 多臓器不全 MOF や心原性
214 心臓 Vol.44 UPPL.3 2012 RV pacing Ⅰ Ⅱ avf V1 V2 V5 HI1-2 500ms HI3-4 HI5-6 C1-2 C5-6 C9-10 RVOT1-2 RVOT3-4 ABL1-2 図 5 洞調律時の心内心電 図 アブレーションカテー テル ABL を左室後 中隔領域に留置した ところ QRに先行 しプルキンエ電位 が認められた プル キンエ電位は RV pacing中はqrより も遅れて認められた HI 束電位記録 部位 C 冠状静脈 洞 RVOT 右室流 出路 ABL アブレー ションカテーテル電 位 束電位 プルキンエ電位 ABL3-4 HRA RVOT C ABL LAO LAO HRA RVOT C ABL RAO RAO 図 6 Eniteおよび透視画像に おけるアブレーション 部位を示す 左室後中 隔心尖部領域にてアブ レーションを施行した
Card Electrophysiol Rev 6 Circulation 77 PACE 20 J Am Coll Cardiol 36 J Cardiovasc Electrophysiol 12 J Cardiovasc Electrophysiol 15 Heart Rhythm 3