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1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

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遺留分 遺留分とは 一定の親族 ( 配偶者 子 親等直系尊属 ) に残しておかなければならない遺産の割合です 特に遺言を作成する場合は 遺留分に注意する必要があります なお 遺留分を侵害された相続人には 遺留分に相当する部分の取り戻しを請求 ( 遺留分減殺請求 ) することが認められています [2]

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3311

計算式 1 1 建物の価額 ( 固定資産税評価額 ) =2 長期居住権付所有権の価額 +3 長期居住権の価額 2 長期居住権付所有権の価額 ( 注 1) =1 固定資産税評価額 法定耐用年数 ( 経過年数 + 存続年数 ( 注 3)) 法定耐用年数 ( 注 2) 経過年数 ライプニッツ係数 ( 注

知識を定着 重要チェック問題 問 題 ❶ 理解度を 重要チェック問題 で確認してみよう 宅建業者A 消費税課税事業者 が売主B 消費税課税事業者 からB所有の 土地付建物の媒介依頼を受け 買主Cとの間で売買契約を成立させた場合 Aが Bから受領できる報酬の限度額 消費税を含む は いくらか なお 土

第 5 無効及び取消し 1 法律行為が無効である場合又は取り消された場合の効果法律行為が無効である場合又は取り消された場合の効果について 次のような規律を設けるものとする (1) 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は 相手方を原状に復させる義務を負う (2) (1) の規定にかかわらず

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6.( 適用外国為替相場 ) (1) この預金の預入時および払戻時に米ドルと本邦通貨との売買を行う場合は 当行店頭に表示する外国為替相場により取扱うものとします この適用外国為替相場の取引条件について いったん合意したうえは その取引実行の前後を問わず変更または取消はできません (2) 前項にかかわ

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役員の債務保証料 1. 概要オーナー社長の場合は 自社の銀行借入金に代表者個人が連帯債務保証をしている場合があります このような場合は 法人からオーナー個人に債務保証料 ( 信用保証料 ) を支払うことが出来ます 当然 会社では法人税の計算上で損金計上することが出来ます 2. 注意点 (1) 債務保

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営 ViewPoint 相 談借地上に建物を所有する場合の法律問題 Q&A 篠原徹旨部東京室 土地を借りて家を建てている場合 地主との関係で様々な法律問題が発生します 今回は 借地人にとって特に問題となりやすい場面を紹介し 解決策や基本的な考え方を解説します 1. 契約書がなくても借地権は成立するか? [Q] 父から借地上の家屋を相続しましたが 借地契約書は作成されていなかったようです 家屋には私が住むつもりですが 契約書がなくても借地権を主張できるのでしょうか [A] 契約書を作っていなくても借地権の主張は可能です しかし 後日の紛争を避けるためにもこの機会に契約内容を書面化しておくことをお勧めします 借地契約は口頭や黙示の合意でも交わすことができますから 契約が交わされていたのが確かであれば地主に借地権を主張することができます 借地契約の存在は 借地人名義の建物の存在や賃料の支払記録などから確認できるでしょう 借地権者としての地位はそのまま相続人に引き継がれますから 相続が生じたからといって契約の結びなおしや更新手続きは不要です しかし 契約が書面によらずに交わされている場合には 契約の細部について確認するのは困難かと思われます 相続は色々なことを仕切りなおす良い機会ですから 後日の紛争を避けるためにも契約条件について地主と確認し合い 書面を取り交わすことを検討すべきです [ 借地権とは何か ] 建物の所有を目的とした土地の賃借権 地上権を 借地権 と呼びます ( 地上権が設定されるのは稀ですから 本稿では主に賃借権を扱います ) 土地の利用権ですから相応の財産価値があり 相続の対象となります 1

2. 地主が変わった場合 契約はどうなる? [Q] 地主が土地を処分したのですが 新しい地主から条件を変えて契約を結びなおすよう要求されています 地主が変わると前の地主との契約は無効になってしまうのですか [A] 借地人名義の建物の登記があれば 土地の利用を継続できます 借地人と土地の買主との土地の利用に関する優先順位は 次の登記を備えた順番によって決定します 借地人 : 借地権の登記または借地人名義の建物の登記買主 : 土地所有権の移転登記借地人の登記が買主の登記よりも先になされていれば 今後もこれまでの借地契約の内容で土地の利用を継続することができます 建物を建てた場合は登記をするのが通常ですから 本ケースでは借地権者が優先することになります つまり あなたは契約の結び直しに応じる義務はないということです なお 建物の登記があったとしてもそれが借地人本人の名義ではない場合 買主に借地権を主張できないとするのが裁判所の扱いです 例えば あなたが借りた土地の上にご子息名義の建物が建っているような場合は 買主に土地の明け渡しを迫られても対抗できませんので注意してください ( 下図 ) 登記名義 借地権 A 借地契約 登記名義 C 借地権 A 借地契約 所有権 売買 B 所有権 売買 B 借地人 = 登記名義人の場合 A と B は早い者勝ち 借地人 登記名義人の場合 A の負け [ 補足 : 登記情報の確認が大切 ] 本ケースの他に 融資の担保になっている借地が競売された場合がよく問題となりますが この場合は担保権の設定登記と借地人の登記の先後で優先順位が決定されます 登記を巡る 早い者勝ち のルールは 両立し得ない権利が対立する場面に広く適用されますから 不動産取引では現況確認と並んで登記情報の確認が大切です 登記情報は法務局で手数料を納めて確認する他 登記情報提供サービス (http://www1.touki.or.jp/gateway.html) でも有料で確認することができます 2

3. 建物を売却 賃貸することに問題はあるか? [Q] 土地を賃借して住居を構えていますが 遠方に転勤することになったため引っ越さなければなりません 建物は売却か賃貸を検討していますが 地主に黙って進めても問題ないでしょうか [A] 建物を売却する場合は地主の承諾が必要です 土地の利用者を地主に無断で変更するのは問題があります 法律上 無断で賃借権を譲渡したり土地を転貸したりすると 地主から契約を解除できると規定されているためです 建物が売却された場合 借地権は建物と共に新しい所有者のものになると考えられています これは明らかに 賃借権の無断譲渡 に当たりますから もし売却を考えている場合は地主の承諾を必ず取りましょう ただし 借地契約はあくまで 建物を所有する という目的で交わされるので 建物の所有者が変わらなければ 賃借権の無断譲渡 や 土地の転貸 をしたことにはならないと考えられています つまり 建物を賃貸する場合は 建物の所有者に変更はないため地主の承諾は必ずしも要求されません なお 建物の売却にあたり地主に承諾を拒否された場合 借地人の変更が地主の不利にならないならば 承諾に代わる裁判所の許可を得る手続きもあります 詳しくは弁護士等にごください [ 地主との信頼関係を築くために ] 承諾の要否は別として 土地の利用状況が変わった場合はこまめに地主と連絡を取ることをお勧めします 借地関係は非常に長期間にわたるのが通常ですので 契約更新などの手続きをスムーズに進めるためにも日頃から信頼関係を築いておくことが大切です 4. 建替えに地主の承諾は必要か? [Q] 古くなった自宅の建替えのため金融機関にローンを申し込んだところ 担当者から地主の承諾を得るように言われました なぜ自分の建物を建替えるのに承諾を得なければならないのですか [A] 借地条件の変更になるような建替えには地主の承諾が必要です また 承諾を取ると借地権の存続期間が伸長されることがあります 自分の建物を建替えるのは自分の自由 というのは勿論なのですが これが地主との契約内容に抵触する場合は一定の制限を受けます 一般的な借地契約書の多くは 増改築には地主の承諾を要する との規定を含んでいますから まずは契約内容をご確認ください さて 契約書にこのような条項がない場合でも 借地条件の変更になる場合はやはり地主の承諾が必要になります 例えば 建築できる建物の種類が木造建築に限定されている場合に 木造以外の建物に建替えると借地条件の変更にあたります この点で特に注意を要するのは 平成 4 年 8 月よ 3

り前に設定された借地権 ( 旧借地法に基づく借地権 ) です 堅固建物 ( 鉄筋コンクリート造など ) と非堅固建物 ( 木造など ) では法律上の扱いが異なっており 非堅固建物を堅固建物に建替えると契約上に明確な制限がない場合でも借地条件の変更となるため 地主の承諾が必要になります 承諾を得るための交渉は負担ですが 建替え後の建物が当初の借地契約の満期を越えて存続するであろう場合には 承諾日か建替え日のいずれか早いほうから20 年間 ( 旧借地法に基づく借地権は建物滅失の日から堅固建物 30 年間 非堅固建物 20 年間 ) 借地権が存続します 承諾が得られるようなら 承諾が不要な場面でもなるべく承諾を得るようにしたほうがよいでしょう [ 旧借地法と借地借家法 ] 借地権について定めた法律は二つあり 平成 4 年 8 月より前の借地権は旧 借地法 それ以後の借地権は 借地借家法 が適用されます ( 本稿で扱う範囲の多くは旧借地法と借地借家法で扱いが同じであるため 違いのある場合のみ指摘しています ) 旧借地法の時代に設定された借地権は 今後更新しても引き続き旧借地法の適用を受けますので これからも旧借地法が適用される借地権は多数残存することが予想されます 5. 更新を拒絶されたときはどうすればよい? [Q] 借地契約の満期が到来するにあたり 地主から契約更新を拒絶されました 長男が自宅を建てるため とのことですが 受け入れるしかないのでしょうか [A] 更新拒絶には 正当な事由 が必要です 借地契約は何度も更新を繰り返して長期的に継続することを想定されているものです よって 更新を拒絶するには拒絶されても仕方がないと評価できるだけの 正当な事由 が必要とされます では 正当な事由 に該当する場合とはどのような状況をいうのでしょうか 裁判所は 地主が土地の使用を必要とする事情 や 借地人の土地利用状況 立退き料の提供 など 様々な要素を総合的に斟酌して妥当性を判断しています その上で判例の傾向を見てみますと 一般的に 長男が自宅を建てる という事由のみで正当性が認められる可能性は低いと考えられます 個別性の強い問題ですので まずは弁護士等の専門家にごのうえ 対応を検討なされてはいかがでしょうか なお 仮に正当事由がない場合には引き続き借地権を主張することができますが これは借地期間の満期到来時点で建物が残っている場合に 借地人が土地の利用を継続するか地主に更新の請求をすることが前提となりますのでご注意ください [ 更新を前提としない借地契約 ( 定期借地権 )] 借地権は更新を前提とする非常に強い権利ですが 借地借家法では一定期間で契約を終了して更新をしない旨の特約をすることも可能です これを定期借地権と呼びます 普通借地権に比べて弱い権利ですから 地代などの負担は軽くなる傾向にあります 4

6. 地代の受け取りを拒否されたが どうすべきか? [Q] 地主と契約の更新についてもめており 地代の受け取りを拒否されています このような場合 どういった対応をすべきでしょうか [A] 支払を止めてはいけません 地代を供託すれば 地主に地代を提供する必要はなくなります 本ケースにおいては2 通りの対応方法が考えられます 一つは支払期が到来するたびに地代を用意し 地主に受領を催告することを繰り返す方法 もう一つは供託所に地代を供託する方法です 更新拒絶が可能かどうかで争いが生じている場合 地主が地代の受領を拒否することは珍しいことではありません 地主は 契約期間の満了により借地契約は終了した という立場ですから 地代 ( 借地契約の対価 ) は発生しない と考えるのです 地代を受け取っていると 借地人から 契約の更新を認めたことになる と主張されかねません その反面 借地契約の継続を主張する借地人としては 受領を拒否されたからといって地代の支払をする義務がなくなるわけではありません 支払の提供すら止めてしまうと 結局は地主に債務不履行を主張されて正式に契約を解除されかねません しかし 更新の可否を巡って紛争中であるのに 更に地代の受領を巡って交渉を持つのは気が重いでしょう そこで この場合は地代の供託を検討することになります 供託とは 債権者の受領拒否など一定の場合に 債権者への弁済に代えて 供託所に債権の目的物や金銭を預ける制度です 供託すれば債権者本人に支払ったのと同様の効果が生じます 本ケースのような場面では 地代を供託することで地代の支払義務を免れることが一般的に行われています [ 供託所と供託手続き ] 地代を供託する場合の 供託所 とは 地主の住所を管轄する法務局です 手続きは司法書士などの専門家に代行してもらうこともできます また 自力で手続きをする場合は法務局の窓口でしたり 法務局ホームページ (http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/index.html) を参照したりすることで手続きについて調べることができます 内容は 2010 年 3 月 31 日時点の情報に基づいて作成されたものです 本情報は 法律 会計 税務等の一般的なご説明をしたものです 個別具体的な法律上 会計上税務上等の判断や対策などについては専門家 ( 弁護士 公認会計士 税理士等 ) にごください また 本情報の全部または一部を無断で複写 ( コピー ) することは著作権法上での例外を除き 禁じられています みずほ総合研究所部東京室 03-3591-7077 / 大阪室 06-6226-1701 http://www.mizuho-ri.co.jp/ 5