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2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

Transcription:

< 大動脈弁に嵌頓する左室流出路のネット状構造物を認めた一例 > 筑波大学循環器内科 町野智子, 瀬尾由広, 樋口甚彦, 石津智子, 河野了, 青沼和隆 症例 47 歳女性 主訴 動悸 既往歴 肺結核, 脳動脈瘤 ( 経過観察中 ), 慢性膿皮症, 子宮腺筋症 現病歴 2006 年頃より労作時の動悸が出現し,2007 年 4 月頃より頚部の拍動を自覚するようになり,10 月より動悸が徐々に増悪し終日持続するようになったため, 近医を受診した. 心エコー検査で重度大動脈弁逆流及び, 左室流出路の ネット状 構造物を認め, 精査加療目的で 11 月 14 日当院紹介入院となった. 身体所見 血圧 112/40 mmhg, 心音 :2RSB に最強点を有し, 頚部に放散する Levine IV/VI の拡張期収縮期 (to and fro murmur) を聴取. 検査所見 <TTE>AVD 22mm, LAD 34mm, LVDd/Ds 51/32mm, IVST/PWT 11/12mm, EF69%, FS37%, asynergy(-), Ao max PG 55mmHg, 左室側中隔基部は菲薄化し, 心筋組織がまだらに脱落した網目状の構造になっており, 内部には血流が入り込む. この網目状構造物により左室流出路に狭窄を来している (LVOT max PG88mmHg). 大動脈弁は三尖あり, 明らかな vegetation や弁輪部膿瘍は認められない.AR jet area は狭いが, 腹部大動脈の汎拡張期逆流波を認め,severe AR が疑われる. <TEE> 大動脈弁右冠尖穿孔. 右冠尖, 心室中隔に付着する嚢胞状異常エコー. 重度大動脈弁逆流と嚢胞状構造物による大動脈弁狭窄を認める. 入院後経過 サルコイドーシス, ベーチェット病等の疾患, 感染性心内膜炎等を鑑別に挙げ, 各種検査を施行したが, 特異的な所見は得られず, 複数回の血液培養は陰性, 発熱なく全身状態も良好であった. 左室流出路異常構造物による塞栓症の危険があることや, 大動脈弁逆流兼狭窄に伴う臨床症状があることから,12 月 26 日大動脈弁置換術を施行した. 病理所見では, 大動脈弁右冠尖の嚢胞性病変の一部に疣贅とその周囲に炎症細胞浸潤が認められたが, 嚢胞壁の大部分では炎症所見は認められず, 右冠尖の瘻孔は嚢胞とは別の部位に認められた. 術後症状は改善し, 退院となった. 考察 本症例は大動脈弁の多嚢胞性構造という特異なエコー所見を呈したが, 血行動態が安定していたことよりおそらく亜急性の経過でこのような構造へ変化したものと思われた. 病理所見では疣贅は嚢胞壁の一部に認められたのみであり, 組織破壊性の強い感染性心内膜炎が起こったとするには全身症状が軽微であった. 慢性炎症性疾患等ですでに大動脈弁が脆弱となっていたところに, 軽度の感染を合併した可能性も考えられ, これまでの検査で検出できなかった炎症性疾患の徴候が, 今後出現しないかを注意深く経過観察していく必要があると考えられた.

症例報告 心室細動で搬送された巨大右房の一例 北里大学循環器内科学小板橋俊美 猪又孝元 細田篤志 前川恵美 成毛崇 和泉徹 症例は 43 歳男性 平成 20 年 2 月 21 日 突然の意識消失 心室細動 心肺停止で他院の救急救命センターに搬送された 心肺蘇生にて回復し 状態安定後 ICD 植え込み術施行目的で当院に転院となった 転院時の心調律は 洞停止および補充調律であった 胸部レントゲンでは 明らかな肺うっ血所見は認めず 心胸郭比は 70 % と著明な心拡大を認めた 心エコー図では 左室駆出率は 60 % であったが 一部壁運動低下を認めた また 左室拡張末期径 収縮末期径 左房径はそれぞれ 66 mm 43 mm 55 mm と左室および左房拡大を認めた しかし 左房以上に右房の著しい拡大を認めた 更に僧帽弁は偏倚する逆流ジェットを中等度以上認めていたが 三尖弁逆流はほとんど検出できなかった また 心エコー上は心房中隔欠損症などの先天性心疾患も認めなかった 不均一に著明な右房拡大を呈する本症例の病態を考察する

第 43 回東京心エコー図研究会 肺高血圧症の合併を疑われた先天性心疾患の 1 例 順天堂大学循環器内科 宮崎彩記子, 大門雅夫, 若林景子, 木下良子 大村寛敏, 鈴木宏昌, 杢野浩司, 河合祥雄, 代田浩之 症例は 27 歳女性 出生時に心室中隔欠損症と診断されたが 日常生活に制限なく近医でフォローされていた 平成 11 年心臓カテーテル検査をおこない Qp/Qs=1.7 PA 圧 = 32/9(16) mm Hg 肺血管抵抗 1.3 であったため 経過観察となった 平成 18 年第一子を出産した その後外来での心エコー上右室圧の上昇が疑われ 平成 19 年には三尖弁逆流を用いた推定右室圧が 70 mm Hg まで上昇した 再度の手術適応評価が必要と考えられたため 平成 20 年 2 月精査目的で入院となった 再度の心エコーでは 左室からのシャント血流は右室ではなく右房に通じており 左室右房交通症と考えられた 経食道心エコーでは 明瞭に左室から膜様心室中隔を通じて右房に流入する血流が描出され 弁下型左室右房交通症と診断された 三尖弁逆流の血流と左室から右房への血流が混在し 三尖弁逆流圧較差を過大評価した原因になっていたと考えられた 入院中に行われた心臓カテーテルにおいても Qp/Qs は 1.3 右室圧は 27/3mmHg と肺高血圧は認めず 再び外来での経過観察となった 心室中隔欠損症との重要な鑑別疾患である左室右房交通症では 混在する左室から右房へのシャント血流のために三尖弁圧較差を過大評価してしまう可能性があり 注意する必要があると思われた 左室右房交通症 < 概念 定義 > 膜様心室中隔の欠損により左室と右房の間に交通を生じる疾患で 1838 年に Thurnam らが初めて報告した 先天性心疾患の 1% 未満という稀な疾患である < 分類 > 膜様心室中隔は三尖弁中隔により房室部 室間部に分けられる 房室部の欠損を弁上型 室間部の欠損を弁下型 両方にまたがるものを混合型といい 弁下型が 6 割を占めるといわれる 弁下型は基本的に心室中隔欠損であるが三尖弁中隔尖の異常 (perforation,malformation,cleft,widened commissure) をともない結果的に左室から右房への交通となる 心室中隔欠損症との鑑別は心臓カテーテルにおける右房での O2 ステップアップ 左室造影などで行う < 病態 > 左室と右房の圧較差から 出生直後より右室の容量負荷がかかる 短絡量が多いとうっ血性心不全を呈するが 少ないと無症状で経過する < 治療と予後 > 自然閉鎖は望みにくく 感染性心内膜炎の合併が多く 短絡量にかかわらず手術をすべきとの意見もあるが 通常心室中隔欠損症に準じて手術は行われる

心機能低下を来した大動脈弁閉鎖不全症の一例 あれから 4 年 1 2 黒川文夫石塚尚子古堅あずさ 2 2 2 2 谷本京美郡司一恵持田亜彩子 2 3 3 4 4 萩原誠久山嵜健二黒澤博身窪田博須藤憲一 1 東京女子医科大学病院中央検査部 2 東京女子医科大学循環器内科 3 東京女子医科大学循環器外科 4 杏林大学心臓血管外科 症例 61 歳女性 主訴 労作時息切れ 既往歴 31 歳時 : 直腸出血 34 歳時 : 口腔内潰瘍, 外陰部潰瘍,Behcet 病 42 歳時 : 直腸出血 (PSL にて加療開始 ) 51 歳時 : 右足関節手術 57 歳時 : 大動脈弁閉鎖不全症,valsalva 動脈瘤人工弁置換術後 ( 大動脈弁位 ) 59 歳時 : 急性大動脈解離 現病歴と臨床経過 生来健康 1998 年 (51 歳時 ), 心拡大を指摘されるが精査は行わなかった 2004 年 1 月, 息切れが著明となり近医受診 心雑音聴取, 胸部レントゲン写真上心拡大と胸水貯留を指摘され, 心不全の診断にて当科紹介, 当科第 1 回入院となった 精査にて心機能低下 (LVEF37%) を来たした中等度大動脈弁閉鎖不全症を認めた 心不全コントロールの後,4 月に大動脈弁置換術を施行した 基礎疾患として Behcet 病があることから, 脆弱な弁輪を補強する目的で subannular ring reinforcement 法を用いた 経過良好であり心機能も正常化したが,2006 年 7 月, 急性大動脈解離 (DeBakey I, Stanford A) を発症 他院へ搬送され緊急手術にて hemiarch replacement を施行された 8 月に心室頻拍を認めアミオダロン内服開始および植込み型除細動器植込み術を施行された 2007 年 12 月頃より労作時息切れが出現 TTE にて大動脈弁縫着部周囲に仮性瘤を形成, 弁周囲逆流を認めた 精査目的に当科第 2 回入院 TEE にて, 弁輪周囲に仮性瘤を疑う echo free space を 2 箇所 ( 肺動脈側,AM continuity 側 ) 認め, 弁周囲逆流は肺動脈側 右冠動脈周囲に認められた 再手術適応と考え, 慎重に外来にて経過観察中である 心血管 Behcet 病は全体の 3.6-7.7% に合併すると言われており, 生命予後の点から考えると重要な病態の 1 つである. 今回,Behcet 病を基礎疾患とする大動脈弁閉鎖不全症に対し弁輪補強を加えた手術を施行したが, 遠隔期に弁周囲逆流を来たした症例を経験したため, 若干の考察を加え報告する

心嚢液貯留の原因として Valsalva 洞動脈瘤破裂が疑われ 緊急手術を施行した 1 例 1 日本大学医学部内科学系循環器内科学分野 2 日本大学医学部外科学系心臓血管外科学分野 1 相澤芳裕 1 笠巻祐二 1 田野絢子 1 杉山啓子 1 太田昌克 1 東海康太郎 1 藤井信如 1 山田健史 1 中井俊子 1 國本聡 1 渡邉一郎 2 吉武勇 2 木村玄 2 瀬在明 2 秦光賢 2 南和友 1 平山篤志 抄録症例は 56 歳女性 平成 19 年 12 月心嚢液貯留の原因精査のため入院 精査するも原因不明であり 外来にて経過観察中であった 平成 20 年 3 月中旬頃より呼吸困難が出現し 当院循環器内科受診 理学的所見上 連続性雑音を聴取 心電図は心拍数 66/ 分の正常洞調律であり 特記すべき異常なし 胸部 X-P 上 著明な心拡大を認めた 経胸壁心エコーでは Ao (RCC)-RV (RVOT) shunt を疑う異常血流を認め 中等度の心嚢液貯留を認めた 経食道心エコーでは Ao (RCC) から RV 方向に向かうモザイク血流を観察した また RA と RV の境界部分には血腫様の塊状エコーを認め 内部構造は一部 low echoic であり 一部は紐状エコーとして RA 内にヒラヒラと羽ばたく様に観察された 塊状エコー内部には 管腔構造を認め 収縮期から拡張期にかけて連続的にモザイク血流を認めた 以上の結果から Valsalva 洞動脈瘤破裂が疑われ 緊急手術が施行された 術中 大動脈弁 Valsalva 洞の形態異常はなく Valsalva 洞動脈瘤破裂は否定された 房室溝から周囲に腫瘍様の組織を認め 右房には約 2cm の破裂部位が観察された 右室前面は壁内血栓を伴い 血腫様であった 破裂部位を詳細に観察すると 肺動脈前面まで及ぶ数珠状の異常構造物を認めた 肺動脈前面に認めた血管腫様病変を剥離 切除したが 後日 切除標本からの病理組織学的検査にて angiosarcoma と診断された 今回 術前診断では Valsalva 洞動脈瘤破裂が疑われたが 最終診断では angiosarcoma と確認された極めて稀な症例を経験した 本例は 時間的経過から 初回の心嚢液貯留も一元的に説明すれば angiosarcoma によるものと思われるが 初回入院時には経胸壁心エコー上 Ao (RCC)-RV (RVOT) shunt 様の異常血流を認めず 極めて難解な症例であったと考える

演題名 右心房内に浮遊する索状腫瘤の 1 例 演者名 中村文昭 芝田貴裕 堤穣志 浦部晶博 森力 梶原秀俊 栗須崇 妹尾篤史 谷口正幸 吉村道博 所属 東京慈恵会医科大学第三病院循環器内科 東京慈恵会医科大学循環器内科 症例 84 歳 男性 主訴 労作時息切れ 現病歴 約 9 年前に肺血栓塞栓症に罹患し近医にて血栓溶解療法を施行した その後 永久式下大静脈フィルター (Greenfield filter) を移植されている 退院後 数年間はワルファリンによる抗凝固治療がおこなわれていたが受診する医療機関が変わったことによりいつのまにか内服中止していた 今回 約 2 ヶ月前より労作時の呼吸困難感が出現 徐々に増悪していった 原因精査目的にて当科受診した 胸部造影 CT 所見より両側肺動脈に陰影欠損を認め 肺動脈血栓塞栓症と診断した 心エコー検査にて拡張した右心系と右房内で浮遊する索状腫瘤を認め 索状物は一部下大静脈より派出している所見を認めた 下大静脈フィルターの頭側より発生した血栓が右房まで伸展してきた可能性が示唆された 浮遊する索状腫瘤は肺動脈に飛散する危険性が高いと考え緊急手術をおこなった 手術所見より肺動脈に多量の血栓を確認できた 考察 肺血栓塞栓症に罹患し下大静脈フィルターを挿入したにもかかわらず 9 年という長い経過をへた肺動脈血栓塞栓症の再発した一例を経験した 下大静脈フィルター内に捕捉された血栓が頭側に成長し飛散した可能性が示唆され 心エコー検査にてその状況を詳細に観察された興味ある一例と考え提示する