( イ ) 電気事業者の評価 送電設備のうち 架空送電設備の被害率 1 は 鉄塔等の支持物 0.25% がいし 0.05% 電線 0.02% と極めて僅少であり 基本的な耐震性は確保されていると評価できる また 液状化を原因とする供給支障やケーブル系統での電気事故も発生しておらず 設備に問題はなかっ

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まさしく先人から引き継いだ電力社員のスピリッツそのものであります 未だに余震も発生しておりますが 九州電力においては 引き続き 電力供給に最善を尽くすとともに 電事連といたしましても 必要な支援は速やかに実施してまいりたいと考えております 4 月から小売全面自由化が始まり 電力各社はお互いがライバル

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別添 表 1 供給力確保に向けた緊急設置電源 ( その 1) 設置場所 定格出力 2 発電開始 2 運転開始 公表日 3 姉崎火力発電所 約 0.6 万 kw (0.14 万 kw 4 台 ) 平成 23 年 4 月 24 日平成 23 年 4 月 27 日 平成 23 年 4 月 15 日 袖ケ浦

第 1 章実施計画の適用について 1. 実施計画の位置づけ (1) この 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画 に基づく宮崎県実施計画 ( 以下 実施計画 という ) は 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 ( 平成 14 年法律第 92 号 以下 特措法 と

熊本地震に係る対応について

特集大規模自然災害からの復旧 復興 参考 警察が検視により確認している死者数 50 名 災害による負傷の悪化または避難生活等における身体的負担による死者数 106 名 6 月 日に発生した豪雨による被害のうち熊本地震と関連が認められた死者数 5 名建物被害全壊 8,360 棟, 半壊 3

資料1 受援計画策定ガイドラインの構成イメージ

多様な入札 契約特集 2. 技術提案 交渉方式について 技術提案 交渉方式は, 品確法 第 18 条の規 定により, 発注者が, 当該工事の性格等により, 仕様を確定することが困難な場合に適用される 今回のケースでは, 北側復旧ルートは 1 日も早い完成が望まれるが, 本トンネルの十分な調査が完了し

アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

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資料 2-3 超大規模防火対象物等における自衛消防活動に係る訓練の充実強化方策 ( 案 ) 平成 30 年 10 月 31 日 事務局

(3) 設備復旧対策事例 ~ 基地局及びエントランス回線通信事業者各社で取り組んだ主な基地局あるいはネットワーク設備復旧対策としては 光ファイバー 衛星回線 無線 ( マイクロ ) 回線の活用による伝送路の復旧や 山頂などへの大ゾーン方式 ( 複数の基地局によるサービスエリアを1つの大きなゾーンとし

第 1 章熊本地震の概要 執筆 : 阿部直樹 ( 国立研究開発法人防災科学技術研究所 ) 1-1 熊本地震動の概要 2016 年 4 月 14 日 21 時 26 分頃 熊本県熊本地方の深さ約 11km を震源とする M6.5 の地震が発生し 熊本県上益城郡益城町において震度 7を観測した また約

防災業務計画 株式会社ローソン

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~ 二次的な被害を防止する ~ 第 6 節 1 図 御嶽山における降灰後の土石流に関するシミュレーション計算結果 平成 26 年 9 月の御嶽山噴火後 土砂災害防止法に基づく緊急調査が国土交通省により実施され 降灰後の土石流に関するシミュレーション結果が公表された これにより関係市町村は

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4:10 防災科学技術研究所第 2 回災害対策本部会議を開催 各班による状況報告による情報共有等を実施 9:34 防災科学技術研究所第 3 回災害対策本部会議を開催 各班による状況報告による情報共有等を実施 11:50 防災科学技術研究所職員が熊本県庁 ( 熊本県災害対策本部 ) に到着 16:00

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中核給油所 小口燃料配送拠点における災害対応ガイドライン 都道府県石油組合用 資源エネルギー庁石油流通課 平成 25 年 6 月

平成17年7月11日(月)

国土技術政策総合研究所 研究資料

地震被害予測システムにより建物被災度を予測 また 携帯電話と地図を利用した 被害情報集約システム では GPS 機能と地理情報システムとの連係により 現在位置周辺にある同社施工済物件を検索し 物件や周辺の被害状況を文字 静止画 動画を添付して報告することができる これら被害情報を地理情報システムに集

平成28年4月 地震・火山月報(防災編)

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2 本紙について 本紙は 通信回線の管理者等が脆弱性評価を行うにあたって 有用と考えられるポイントを 電気通信事業者の視点で取りまとめた参考資料である 大規模災害等が発生し 電気通信ネットワークがケーブル切断等により途絶した場合 電気通信事業者は電気通信事業法第 8 条の重要通信の規定に照らし 重要

2010年2月3日

資料 2 接続可能量 (2017 年度算定値 ) の算定について 平成 29 年 9 月資源エネルギー庁

本書の目的介護保険サービス事業所は, 高齢者の方が多く利用しており, 災害発生時には避難等の援助が必要となるため, 事業者は, 災害発生時に迅速かつ適切な行動をとれるように備えておく必要があります 本書は, 介護保険サービス事業所が災害対応マニュアルを作成する際に特に留意する点についてまとめています

溶結凝灰岩を含む火砕流堆積物からなっている 特にカルデラ内壁の西側では 地震による強い震動により 大規模な斜面崩壊 ( 阿蘇大橋地区 ) や中 ~ 小規模の斜面崩壊 ( 南阿蘇村立野地区 阿蘇市三久保地区など ) が多数発生している これらの崩壊土砂は崩壊地内および下部に堆積しており 一部は地震時に

九州における 道の駅 に関する調査 - 災害時の避難者への対応を中心としてー ( 計画概要 ) 調査の背景等 道の駅 は 平成 16 年 10 月の新潟県中越地震 23 年 3 月の東日本大震災において 被災者の避難場所 被災情報等の発信や被災地救援のための様々な支援の拠点として活用されたことなどか

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「南九州から南西諸島における総合的防災研究の推進と地域防災体制の構築」報告書

1 検査の背景 我が国の防災の基本法として災害対策基本法 ( 昭和 36 年法律第 223 号 ) が制定されている 同法によれば 内閣府に中央防災会議を置くとされ 同会議は 災害予防 災害応急対策及び災害復旧の基本となる防災基本計画の作成 その実施の推進 防災に関する重要事項の審議をそれぞれ行うな

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

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資料1 第3回災害救助に関する実務検討会における意見に対する回答

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30 第 1 部現地における災害応急活動 阿蘇大橋付近の被害状況 ( 熊本県阿蘇郡南阿蘇村 ) 熊本城の被害状況 ( 熊本県熊本市 ) 2


非常災害対策の取り組み状況

第 2 佐賀県とヤマト運輸の災害時応援協定 ( 平成 24 年 2 月 ) 佐賀県とヤマト運輸株式会社佐賀主幹支店の 災害時における物資の受入及び配送等に関する協定 について 佐賀県は災害時における応急対策活動を円滑に実施するため 大規模な災害時に被災者に対して救援物資を安定的に供給できる体制を構築

1.1 阪神 淡路大震災環境省は 阪神 淡路大震災 ( 平成 7 年 1 月 17 日発生 ) の際に兵庫県及び神戸市の協力を得て 大気中の石綿濃度のモニタリング調査を実施した 当時の被災地における一般環境大気中 (17 地点 ) の石綿濃度の調査結果を表 R2.1 に 解体工事現場の敷地境界付近に

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での停電戸数は3.8 万戸となった 西原村では4 月 18 日 12 時 益城町では同日 22 時に通電が完了したとされているが 家屋倒壊や道路損壊による復旧困難箇所については復旧対象から除外されている 一方 阿蘇地方 ( 阿蘇市 高森町 南阿蘇村 ) では 大規模な土砂崩れにより66KV 送電線の

1 首都直下地震の概要想定震度分布 (23 区を中心として震度 6 強の想定 ) 首都直下地震 想定震度分布 出典 : 中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループ 首都直下地震の被害想定と対策について ( 最終報告 ) ( 平成 25 年 12 月 ) 2

目次 1. 指定引取場所の適正配置原則について 2.A B 両グループの指定引取場所の現状について 3. 指定引取場所の A B 共有化のメリットについて 4. 指定引取場所の A B 共有化に伴う統合のメリットについて 5. 指定引取場所の A B 共有化 統合について留意すべき点 6. 離島にお

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申込代行事業者さまへのお知らせについて

(溶け込み)大阪事務所BCP【実施要領】

☆配布資料_熊本地震検証

大規模災害等に備えたバックアップや通信回線の考慮 庁舎内への保存等の構成について示すこと 1.5. 事業継続 事業者もしくは構成企業 製品製造元等の破綻等により サービスの継続が困難となった場合において それぞれのパターン毎に 具体的な対策を示すこと 事業者の破綻時には第三者へサービスの提供を引き継

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00 表紙・目次

事業継続計画(BCP)作成用調査ワークシート

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

(2) 地震発生時の状況地震発生時の運転状況ですが 現在 20 清掃工場で40 炉が稼動していますが 地震発生当日は32 炉が稼動しており 8 炉は定期補修や中間点検のため停止していました 地震後は設備的な故障で停止したのが2 炉ありまして 32 炉稼動していたうち2 炉が停止したというのが地震発生

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既存の高越ガス設備の耐震性向上対策について

報告書の主な内容 2012 年度冬季の電力需給の結果分析 2012 年度冬季電力需給の事前想定と実績とを比較 検証 2013 年度夏季の電力需給の見通し 需要面と供給面の精査を行い 各電力会社の需給バランスについて安定供給が可能であるかを検証 電力需給検証小委員会としての要請 2013 年度夏季の電

News Release 2014 年 3 月 24 日 伊丹市と新関西国際空港株式会社が 伊丹市域におけるまちづくりの推進 について合意 伊丹市と新関西国際空港株式会社は 伊丹市域の生活環境の改善 地域コミュニティの再生等を図るためのまちづくりを連携して推進するため 2014 年 3 月 24 日

1は ヘッドエンド設備に関する技術的条件である その機能 とは ヘッドエンドの機能をいう 予備の機器の設置若しくは配備の措置 とは 予備機器が既に使用場所に据付けられた状態にある場合を 設置 といい 例えば 現用設備を設置している機械室の棚等に予備機器を置いておき 現用機器の故障時に現用機器をはずし

資料 1 申込代行事業者さまにご確認 ご対応いただく内容 1. 同封資料の内容について ご確認をお願いいたします 1 今回 当社からご確認させていただく対象は ( 資料 2) 今回確認の対象となる発電所一覧 に記載している発電所です 複数の発電所を申込みいただいた申込代行事業者さまについては ダイレ

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)各 職場復帰前 受入方針の検討 () 主治医等による 職場復帰可能 との判断 主治医又はにより 職員の職場復帰が可能となる時期が近いとの判断がなされる ( 職員本人に職場復帰医師があることが前提 ) 職員は健康管理に対して 主治医からの診断書を提出する 健康管理は 職員の職場復帰の時期 勤務内容

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事務連絡 平成 29 年 10 月 25 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局建設業課長 平成 28 年熊本地震の被災地域での建設工事等における 予定価格の適切な設定等について 公共工事の予定価格の設定については 市場における労務及び資材等の最新の実勢価格を適切に反映させつつ 実際の施工

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( 社会福祉施設用作成例 ) (4) 施設管理者は, 緊急時連絡網により職員に連絡を取りましょう (5) 施設管理者は, 入所者の人数や, 避難に必要な車両や資機材等を確認し, 人員の派遣等が必要な場合は, 市 ( 町 ) 災害対策本部に要請してください (6) 避難先で使用する物資, 資機材等を準

2 被害量と対策効果 < 死者 負傷者 > 過去の地震を考慮した最大クラス あらゆる可能性を考慮した最大クラス 対策前 対策後 対策前 対策後 死者数約 1,400 人約 100 人約 6,700 人約 1,500 人 重傷者数約 600 人約 400 人約 3,000 人約 1,400 人 軽傷者

中部電力グループ アニュアルレポート2012

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この資料は速報値であり 後日の調査で変更されることがあります 時間帯 最大震度別回数 震度 1 以上を観測した回数 弱 5 強 6 弱 6 強 7 回数 累計 4/14 21 時 -24 時 /15 00 時 -24 時 30

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接続検討回答書【別添(特別高圧)】

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

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ください 5 画像の保存 取扱い防犯カメラの画像が外部に漏れることのないよう 一定のルールに基づき慎重な管理を行ってください (1) 取扱担当者の指定防犯カメラの設置者は 必要と認める場合は 防犯カメラ モニター 録画装置等の操作を行う取扱担当者を指定してください この場合 管理責任者及び取扱担当者

スライド 1

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力率 1.0(100%) の場合 100% の定格出力まで有効電力として発電し 出力できます 力率 0.95(95%) の場合は 定格出力の 95% 以上は有効電力として出力できません 太陽光発電所への影響 パワコンの最大出力が 95% になるので 最大出力付近ではピークカットされます パワコンの出

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

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資料 3 平成 28 年熊本地震を受けた電気設備自然災害等対策ワーキンググループとりまとめ ( 案 ) はじめに ( 略 ) 検討のスコープ ( 原発は対象外 太陽光や風力は新エネ WG で検討 ) を明示 1. 平成 28 年熊本地震の概要 ( 略 ) 2. 主要設備 ( 水力発電設備を除く ) (1) 送電設備 ( 特に 66 キロボルト黒川一の宮線 ) 1 電気事業者からの報告 ( ア ) 設備被害の概要 送電設備については 九州電力管内全域の鉄塔総数約 28,000 基のうち その 23% が震度 5 弱以上の地震動を受けたものの 早期復旧を要する被害は 支持物で 16 基 がいし 3 基 電線 1 径間のみであった また 地中送電設備については 被害は発生しなかった 鉄塔については 地震動そのもので倒壊 折損したものはなかったが 大規模な土砂崩れにより鉄塔 1 基が傾斜した 当該鉄塔 ( 黒川一の宮線の No.7) の周辺地域では 最大震度 6 強を観測している また 地盤変状による部材損傷のため 建て替え等の改修が必要となった鉄塔は 14 基であった 傾斜 部材損傷の被害が生じた鉄塔の大半が 黒川一の宮線で発生したものである 送電設備における被害が集中した黒川一の宮線については 電力系統としては末端部にあたり 系統切り替えによる対応ができなかったことから 仮鉄塔 仮鉄柱により対応した 速やかに復旧計画を立案するとともに 九州電力社員及び協力会社計 650 名による 昼夜交代制の復旧体制を構築した 並行して 自治体 ( 南阿蘇村 ) の協力も得ながら 用地交渉にあたった なお 今回の災害現場の特殊性から 一部の現場において 仮鉄塔 仮鉄柱での復旧対応が困難なことが判明したため 他の送電線工事現場で使用予定であった鉄塔を 急遽この現場で使用することとした 工事は順調に進み 4 月 27 日 ( 水 )22 時に 仮復旧工事を終了した 1

( イ ) 電気事業者の評価 送電設備のうち 架空送電設備の被害率 1 は 鉄塔等の支持物 0.25% がいし 0.05% 電線 0.02% と極めて僅少であり 基本的な耐震性は確保されていると評価できる また 液状化を原因とする供給支障やケーブル系統での電気事故も発生しておらず 設備に問題はなかったといえる なお 傾斜した黒川一の宮線の No.7 鉄塔については 建設時のボーリング調査などを踏まえ 崖崩れなどの影響を受けないよう もともと 崖から 50 メートル離れた平地側に建設したもの しかしながら 今回のように 設備近傍の地面そのものがなくなるという事態は 稀な事象と考えている また 設備被害に伴う供給支障への対応については 黒川一の宮線において系統切り替えによる対応ができず 仮鉄塔 仮鉄柱により対応した しかしながら この仮復旧工事については 本震発生から 12 日間という短い期間の中で 用地交渉を完了させ 仮鉄塔 3 基 仮鉄柱 14 基を設置し 総計約 5 キロメートルの仮送電線ルートを構築して電力供給を再開することができており 概ね迅速に電力供給再開できたといえる なお このように迅速な仮復旧が実現できた要因としては 1 用地交渉における自治体の協力 2 復旧資機材の事前準備と臨機応変な対応 ( 他の送電線建設工事で使用予定であった鉄塔を融通 ) 3DNAとして継承されている作業員の高い使命感といった点が挙げられる 2 当 WGの評価 今回の地震を受け 供給支障につながる設備被害が複数箇所で発生したものの 設備被害が発生した震度 5 弱 ~7 の各震度における設備の被害率は いずれも極めて低く 設備の基本的な耐震性能は確保されていたといえる これまでの地震対策が有効に機能していると評価できるものであり 引き続き 今回の地震及び過去の自然災害から得られた教訓を踏まえ 継続的に対策を講じていくことが望まれる 傾斜が生じた鉄塔 1 基については 傾斜の原因は地震動ではなく 土砂崩れにあると考えられる 当該鉄塔は 建設の際に行った地盤評価を踏まえ 崖から 50 メートル離れた地点に建設されていたところ 当該事情が今回の被害拡大防止にどれだけ寄与したか その因果関係の詳細は不明であるものの 土砂災害が非常に多発した地域にあって 当該鉄塔 1 早急復旧を要する被害数 / 設備数 ( 震度 5 弱以上所在 ) 2

が倒壊を免れたことは 評価できると考える 一方 鉄塔近傍まで土砂崩れが迫り このため鉄塔が傾斜し 結果として鉄塔が使用不能となった この事実を踏まえ 今後鉄塔等の送電設備を建設する際には 引き続き 地盤調査等を通じて可能な限り強固な地盤を選択することは勿論であるが 地滑りリスクも勘案した上で 建設地点を決めるべきである また 特にカルデラ地域においては 火山灰の介在によって地滑りが起こりやすいので そのような地域にあっては 斜面近傍に建設しない等の配慮が必要である 既存設備については 周辺地域のハザードマップ等の更新があった際には 必要に応じ 補強 ( 抑止杭等 ) や基礎の打ち直し 設備の移転といった対策を講じることが必要である 次に 送電設備の設備被害に伴う供給支障に対するバックアップについては 送電ルートの冗長性が概ね確保されていたことで 系統切り替え等により大規模な供給支障は回避されており バックアップは十分な水準であったと評価できる 一方で 今回傾斜した鉄塔が配置されていた系統 ( 黒川一の宮線 ) は 系統末端に位置することもあって単一ルートとなっており 系統切り替えによる対応が困難な地域であった 立地やコストの問題から 冗長性が確保されていないルートは一定数存在することを前提とすると 冗長性が確保されていないルートのうち 電力供給という観点から重要なものについては あらかじめ 送電設備損壊時の復旧対応 2 を考えておくことが必要である (2) 変電設備 1 電気事業者からの報告 ( ア ) 設備被害の概要 変電設備については 九州電力管内全域の変電所総数 488 か所のうち 約 22% が震度 5 弱以上の地震動を受けたものの 運転継続が困難となる被害は 変圧器で 5 台 断路器では 19 台のみであった このうち変圧器については ブッシングのずれやそれに伴う漏油等が発生したものの 防油堤の存在により 構外への油の流出や 周辺環境への影響はなかった 変電設備については 上記のような設備被害が発生したものの 系統切り替えや復旧資機材による取り替えにより 電力供給に大きな支障を及ぼすような事態は生じなかった 2 今回の地震対応にあっては 電気事業者において 20 万ボルトといった大型鉄塔の在庫があったこと また こうした鉄塔を応急的に建てる際の工法を保持していたことが 早期の仮復旧に貢献した 3

( イ ) 電気事業者の評価 変電設備のうち 主要設備の被害率 3 は 変圧器 1.6% 断路器 1.1% 遮断器の被害なしと極めて僅少であった また 変圧器からの漏油も 周囲の環境に影響を及ぼすほどの被害には至っておらず 変電設備については 基本的な耐震性は確保されていると評価できる 設備被害に伴う供給支障については 系統切り替えや復旧資機材による 取り替えにより 大規模かつ長期にわたる供給支障は回避されており 変電設備のバックアップは十分であるといえる 2 当 WGの評価 今回の地震を受け 運転継続不可につながる設備被害が複数箇所で発生したものの 設備被害が発生した震度 5 弱 ~7 の各震度における設備の被害率は いずれも極めて低く 設備の基本的な耐震性能は確保されていたといえる これまでの地震対策が有効に機能していると評価できるものであり 引き続き 今回の地震及び過去の自然災害から得られた教訓を踏まえ 継続的に対策を講じていくことが望まれる 変電設備の設備被害に伴う供給支障に対するバックアップについては 系統切り替えや復旧資機材による取り替えにより 大規模かつ長期にわたる供給支障は回避されており バックアップは十分な水準であったと評価できる なお 変圧器については ブッシングのずれやそれに伴う漏油等が発生したものの 防油堤の存在により 構外への油の流出や 周辺環境への影響はなかった 当該変圧器に講じられていた対策と同等のものであれば 現状 変圧器における地震発生時の対策は 十分な水準にあると評価できる また WGでは 変電設備のうち重要なものについて震度計を設置し 地震発生時に当該設備がどれほどの地震動を受けたのか等に関する基本的なデータを取得 分析することで 当該設備に対する今後の耐震対策の検討に役立てることが有益であるとの指摘もあった (3) その他設備 ( 配電設備等 ) 1 電気事業者からの報告 ( ア ) 設備被害の概要 架空配電設備については 供給支障につながる被害として 支持物 ( 電 3 運転継続不可となる被害数 / 設備数 ( 震度 5 弱以上所在 ) 4

柱 ) の倒壊が 35 本 流出が 56 本発生した これらは いずれも地盤の影響 ( 崖崩れ等 ) や建物倒壊によるものであり 地震動そのものによる支持物倒壊等の被害は 確認されていない 次に 電線については 322 径間で断線し また変圧器については 316 台でブッシングの破損が生じた 一方 地中配電設備については震度が大きい震源地付近に設備がなく それ以外の地中設備も被害はなかった また 上記配電設備の被害に伴う感電等の公衆災害も発生しなかった 配電設備については 上記のような設備被害が発生したものの 発電機車による供給や復旧資機材による取り替えにより 電力供給に大きな支障を及ぼすような事態は生じなかった また 発電設備については 管内の火力発電所 地熱発電所ともに 最大で震度 5 強の地震動を受けたものの 発電支障に至る設備被害は発生しなかった ( 水力発電所については後述 ) ( イ ) 電気事業者の評価 架空配電設備の被害率 4 は 支持物 0.13% 電線 0.04% 変圧器 0.14% と極めて僅少であり 基本的な耐震性は確保されていると評価できる また発電設備 ( 火力 地熱 ) については 発電支障に至る設備被害がそもそも発生しておらず こちらも 基本的な耐震性は確保されていると評価できる 設備被害に伴う供給支障については 発電機車によるスポット エリア供給や復旧資機材による電柱 架空配電線等の取り替えにより 大規模かつ長期にわたる供給支障は回避されており 配電設備のバックアップは十分であるといえる 2 当 WGの評価 今回の地震を受け 設備被害が複数箇所で発生したものの 設備被害が発生した震度 5 弱 ~7 の各震度における設備の被害率は いずれも極めて低く 基本的な耐震性能は確保されていたといえる これまでの地震対策が有効に機能していると評価できるものであり 引き続き 今回の地震及び過去の自然災害から得られた教訓を踏まえ 継続的に対策を講じていくことが望まれる 設備被害に伴う供給支障に対するバックアップについては 発電機車によるスポット エリア供給や復旧資機材による電柱 架空配電線等の取 4 供給支障につながる被害数 / 設備数 ( 熊本県 大分県における震度 5 弱以上所在 ) 5

り替えにより 大規模かつ長期にわたる供給支障は回避されており バックアップは十分な水準であったと評価できる ( 復旧オペレーションの詳細は後述 ) その他設備 ( 火力 地熱発電所 地中配電設備 ) については 特に目だった被害もなかったため 現状取り組まれている対策に新たな課題は見つけられなかった 3. 復旧オペレーション (1) 停電の復旧 1 電気事業者からの報告 ( ア ) 復旧経緯等 前震 (4 月 14 日 ( 木 )21 時 26 分頃 ) 発生後 九州電力は直ちに非常災害対策本部を設置するととともに 九州各県から 被害が集中した熊本配電センターへの応援を派遣した 地震により最大 16.7 千戸の停電が発生したものの 益城町役場や避難所等の重要施設に対しては発電機車によるスポット送電を行うとともに 配電設備の復旧を行い 4 月 15 日 ( 金 ) の 23 時には 高圧配電線までの送電を完了 ( 停電状態を解消 ) した 本震 (4 月 16 日 ( 土 )1 時 25 分頃 ) 発生時には 地震に伴う変圧器の停止や鉄塔傾斜 配電設備の流出等により 最大 476.6 千戸の停電が発生した 発電機車によるスポット送電を行うとともに 順次設備の復旧を行い 阿蘇地区以外については 2 日後の 4 月 18 日 ( 月 )21 時 50 分に高圧配電線までの送電を完了した スポット送電に関しては 本震発生から 3 時間後に 四国電力より応援に関する打診あり これを受け同日 6 時 30 分に 九州電力から中国電力 四国電力に対し スポット送電に必要となる発電機車の応援を要請した その後 自治体や経済産業省等からの要請も踏まえ 自社及び中国電力 四国電力の発電機車を使い 避難所や医療施設等へのスポット送電を逐次開始した 阿蘇地区については 鉄塔が傾斜した黒川一の宮線の仮復旧には時間を要するため 停電が長期化すると見込まれたことから 発電機車による面的送電を実施し 5 日後の 4 月 20 日 ( 水 )19 時 10 分に 崖崩れや道路の損壊等により復旧が困難な箇所を除き 高圧配電線の送電を完了した なお 黒川一の宮線の仮復旧工事は 4 月 27 日 ( 水 )22 時に終了し その後発電機車から商用電源に随時切り替えを行い 翌 4 月 28 日 ( 木 )21 時 36 分に全ての発電機車の切り離しを完了した 6

( イ ) 電気事業者の評価 設備被害率は低く 崖崩れや道路の損壊等により復旧が困難な場所を除き 地震発生から 5 日で高圧配電線への送電が完了したことから 速やかな停電復旧を果たせたといえる すなわち ハード ソフトを含めた総合的な電力供給システムとしての耐震性は 十分確保されていたと評価できる 黒川一の宮線における仮鉄塔 仮鉄柱による仮復旧工事についても 前述のとおり 迅速な対応ができたといえる また 停電解消までの間における発電機車によるスポット送電についても 熊本県の災害対策本部や経済産業省とも連携の上 50 カ所に及ぶ重要施設に対し 速やかに送電できたといえる なお スポット送電先については 多方面から一度に数多くの情報が寄せられたため 社内でその優先順位付けに苦慮した面もあったことから 今後は 情報の連絡窓口を一本化する等の検討が必要ではないか 発電機車への燃料供給については 今回は大きな支障は生じなかったものの 円滑な燃料供給に向けては 燃料供給事業者と電気事業者との間で 平時からの関係構築と密なコミュニケーションが必要ではないか また 大規模災害時などは 一企業だけでは十分な燃料確保が困難な場合も想定されることから 国 ( 経済産業省 ) も交えた 燃料供給体制の検討 構築が必要ではないか 2 当 WGの評価 今回の地震を受け 最大 476.6 千戸の停電が発生したものの 平時からの資機材の備えや訓練等により 速やかな停電復旧対応がなされたと評価できる 引き続き 万一に備えた資機材の確保と 平時からの訓練等を継続していくことが期待される また 電気事業者間における災害時の相互応援 協力体制については 応援が実施された経緯を踏まえると 適切に構築されていると評価できる 停電復旧を待つ間のスポット送電については 結果として 当時の状況にかんがみ概ね適切に実施されていたと評価できる しかしながら 優先的にスポット送電すべき施設等の情報伝達ルートについては 改善の余地があると考える すなわち 当時 どの施設に優先的にスポット送電すべきかについて 複数のルート ( 災害対策本部 県 市町村 等 ) から電気事業者に情報がもたらされたことから 電気事業者内において情報の整理等を行う際に 一部混乱が見られた 災害時において 優先 7

復旧すべき重要設備の状況をどのように把握し 優先順位を 誰がどう決定し それをどういうルートで電気事業者に伝えるべきか 改めて検討する必要がある また 電気事業者においては 平時から 管轄地域内の実情も踏まえつつ 管轄地域内の重要施設 5 の把握を進めており その取組を継続することが肝要である 発電機車への燃料供給については 周辺電気事業者 燃料供給事業者からの応援等もあり 概ね円滑に実施されたと評価できる ただし 今回の燃料供給にあたって 現場で多少の混乱 6 が生じたこともまた事実であり 今後の災害時において 一層円滑な燃料供給を実現するべく 燃料供給事業者と電気事業者との間で 平時からの関係構築に努めるとともに 災害時における協力協定の締結など 具体的な協力体制を構築していくことが必要である (2) 電源車による面的送電 1 電気事業者からの報告 ( ア ) 対応の経緯等 本震発生から 3 時間後に 四国電力より応援に関する打診あり これを受け 同日 6 時 30 分に 九州電力から中国電力 四国電力に対し スポット送電に必要となる発電機車の応援を要請した その後 自治体や経済産業省等からの要請も踏まえ 自社及び中国電力 四国電力の発電機車を使い 避難所や医療施設等へのスポット送電を逐次開始した 再掲 阿蘇地区については 本震発生日早朝のヘリ巡視の結果 送電線による供給が可能と判断したため 追加の発電機車の要請等は不要と判断 しかしながら 同日午後実施した地上からの巡視の結果 当該地区の送電線が使用不能と判明した これを受け 電源容量等諸条件の検討を行った結果 発電機車について他電気事業者からの追加応援を受けることがより早期の復旧に資すると判断し 同日夕方 追加応援を要請した また 合わせて 燃料確保のためのタンクローリーの派遣についても 他電気事業者に依頼した 追加要請の結果 4 月 20 日 ( 水 ) 朝までに 他電気事業者から合計 110 台の発電機車が阿蘇地区に集結 自社分 59 台と合わせて 計 169 台の 5 重要施設としては 官公庁等の復旧対策本部や主要病院 避難所といったものが考えられるが 熊本地震の際は 水道施設 ガソリンスタンド 小規模な病院等への優先供給ニーズが寄せられた 6 発災初期 電源車の台数や配置場所が刻々と変化する中 電気事業者が燃料配送を依頼した事業者が他の事業者に配送を依頼するケース等において その旨が現場へ十分に伝わっておらず 受入が円滑に進まない場面があった 8

発電機車を活用し 面的送電を実施した ( イ ) 電気事業者の評価 時々刻々と状況が変化していたことを踏まえると 面的送電による対応 への方針転換や それを受けた他の電気事業者に対する応援要請は 妥 当なタイミングで行われたといえるのではないか また 今回面的送電 が実施できた背景には 当該エリアに配電線の設備被害がほとんどなか ったことや送電すべきエリアの負荷とバランスがとれること あるいは 発電機車の駐車スペースが容易に確保できたこと等 いくつかの好条件が重なったこともあるのではないか また 他の電気事業者において 追加応援要請がなされていない段階から 連絡体制の強化や応援可能な車両の確認を進めるなど 先手先手で応援要請を見据えた準備を行ったことも 早期復旧を果たせた要因といえるのではないか 2 当 WGの評価 意志決定のタイミングについては 各局面において九州電力が把握できていた情報 ( 鉄塔の状況の確認結果等 ) や 面的送電の実施可否にあたって様々な検討 ( 電源容量 必要となる発電機車の台数 輸送ルート 燃料調達手段等 ) が必要であったことを踏まえると 九州電力による面的送電実施の決断及び他の電気事業者への追加応援要請のタイミング ( 本震発生日の夕方 ) は 概ね妥当であったと評価できる 九州電力からの要請を受け 他の電気事業者から速やかに発電機車と必要な人員が提供されており 電気事業者間における災害時の相互応援 協力体制は 適切に構築されていると評価できる また他の電気事業者においては 発電機車の追加要請がまだなされていない段階から もしも に備えて 連絡体制の強化や応援可能な車両の確認などの準備を行っていた 災害時においては 今後とも 先手先手で自発的に準備を進めていくことが強く期待される また 各電気事業者において 今回の面的送電に係る一連のオペレーションに参加したことで得られた気づき 教訓を 適切かつ確実に社内で引き継いでいくとともに 業界内においても水平展開していくことが期待される 次に 面的送電の評価であるが 仮鉄塔等による復旧に時間を要することが予想されていた中 被災エリアにおける長期的な停電を速やかに解消する上で 発電機車による面的送電は 非常に大きな役割を果たしたと評価できる これほどの規模 ( 計 169 台 ) での発電機車による電力供給は 初の試みであったが 今回の一連の対応は 今後地震等の災害に 9

より同様の状況に陥った場合の対策の ひな形 の一つとなりうる事例 であるといえる ただし 同時に 面的送電は必ずしも 万能薬 ではない という点は 改めて認識する必要がある 電気事業者の評価にもあるとおり 送電すべきエリアの設備被害や負荷の状況 駐車スペースの有無等の諸条件によっては 面的送電が必ずしも実施が可能ではない場合もある点に留意が必要である したがって 今後の停電復旧対応としては 従前より行っている系統復旧による再送電を基本ラインとしつつも 現場の状況等によっては 面的送電が有効なオプションになりうることを踏まえ 復旧計画を立案していくべきと考える < 以下の項目については 今回の議論を踏まえて作成 > 4. 水力発電設備 5. 報告書を踏まえた今後の対応 おわりに ( 略 ) 以上 10