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技術報告集第 30 号平成 28 年 3 AWSCJ 月 下水道管路施設における効率的な点検 調査計画の事例と今後に向けた提案 極東技工コンサルタント松原浩 1. 事例業務の概要 本業務では 長寿命化支援制 度の交付金を活用した事業促進 を図りつつ 膨大な管路ストッ クを適正に管理するために状態 監

来る条件とした また本工法は がけに近接して施工する場合 掘削及び混合 攪拌から 転圧 締固め施工時 施工に伴うがけへの影響を避けることが難しいので がけに影響を与えず施工出来る場合を条件とした 具体的にはバックホー等の施工機械を がけに近接配置して施工することを避けるとともに 特にがけ近接部分の転

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値 29.5kN/m に対して 1.6kN/m と布設時の 5% 程度であり管耐力についても耐震性のない ことを確認した 2-4. マンホールマンホール形状は 多くが円形でありその構造はレンガを積上げたもので鉄筋が入っていないことから 耐震性を期待できない ( 写真 2) 矩形マンホールは 鉄筋が確

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様式-1



別紙 1 提出書類一覧様式番号 様式 1 様式 2-1 様式 2-2 様式 3 様式 4 様式名 施工体制確認調査報告書積算内訳書内訳明細書工程計画配置予定技術者名簿 次に該当する場合は 様式 4を提出する必要はありません 一般競争入札の場合 ( 開札後に提出のある 配置予定技術者の資格 工事経歴報

建設の施工企画 写真 2 浦安液状化 断層型 逆断層型 写真 3 地震の種類 北アメリカプレートと その下に 有毒ガス測定 沈み込んでいる太平洋プレートとの間で起きた 海溝型地震 3 追跡の概要 1 対象箇所の選定 対象箇所は 次に示す条件で選定した ① 震度 5 強以上が記録され

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西松建設技報

第 3 章 間知ブロック積み擁壁の標準図 133

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目 次 1. リブパイプ管路の耐震対策の考え方 1.1 下水道施設の耐震対策指針と解説 (( 公社 ) 日本下水道協会 ) での管路の耐震対策の考え方 1.2 被害調査結果から見た管路の耐震対策の考え方 1.3 リブパイプの耐震設計の考え方 2. 耐震設計 2.1 耐震設計計算の考え方 2.2 設計

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技術報告集第 32 号平成 3 年 3 月 AWSCJ 支援において 現地本部が設置されたことはなく 今回が初の試みであった 水コン協現地本部が実施した主な業務を以下に示す 1 合同連絡会議への参加 調査会社 市 支援自治体 一次調査 二次調査 (TV カメラ 人孔調査 ) 不良箇所の判定 4/17

計画 として採択を受けた施設 ( 対象管路延長 L=10.94km 図 1) は 昭和 12 年 ~ 昭和 59 年に建設された合流管であり このうち 9.80km(90%) が標準耐用年数 50 年を超過 70 年を経過している施設も 8.38km(77%) となっている 対象施設の約 50% は

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1. 西部ガス熊本支社管内の観測 SI 値 西部ガスの地震計が観測した SI 値 供給停止判断基準の SI 値 60 カイン以上を広範にわたり観測 須屋 82.4 カイン 熊本工場 77.0 カイン 津久礼 49.6 カイン 菊陽第一 69.0 カイン 徳王 83.6 カイン 竜田 カイ

災害復旧制度の目的と沿革 目的 自然災害により被災した公共土木施設を迅速 確実に復旧する 対象施設 河川 海岸 砂防設備 林地荒廃防止施設 地すべり防止施設 急傾斜地崩壊防止施設 道路 港湾 漁港 下水道 公園 沿革 古くは明治 14 年より予算補助の形での国庫補助 明治 32 年 災害準備基金特別

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国土技術政策総合研究所資料

目次 はじめに P3 1 災害 緊急の範囲 P3 2 時間と場所を考慮した対応の必要性 P3 3 時間ごとの対応 P4 4 場所ごとの対応 P5 5 デジタルサイネージの提供コンテンツ P6 6 緊急時を意識したデジタルサイネージシステム P6 7 情報の切替 復帰の条件 P7 8 緊急運用体制 P

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許可方針

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下水道管路施設における 耐震化技術の有効性 国土技術政策総合研究所下水道研究部下水道研究室 主任研究官 深谷渉 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

下水道管路施設の耐震化率 (H22 年度末 ) 基幹的な管路 平成 9 年指針策定以前に工事発注された重要な幹線 2

下水道管路施設における耐震化の変遷 1981 耐震指針に管路施設被害事例初掲載 1995 年 1 月 17 日阪神 淡路大震災 1997 耐震指針に液状化対策 ( 地盤改良 ) 初掲載 2004 年 10 月 23 日新潟県中越地震 2004 埋め戻し 3 工法の緊急提言 2006 下水道地震対策緊急整備事業創設耐震指針の内容充実化 2007 年 3 月 25 日 能登半島地震 2007 年 7 月 16 日 新潟中越沖地震 2008 施工管理に関する提言 2008 年 6 月 14 日岩手宮城内陸地震 3

下水道管路施設耐震化の課題 財政的負担が大きい 国の財政支援 耐震対策は途についたばかり 技術開発が進むも 実績 効果は不明 各種工法の適切な選定方法が未確立 効果が正しく発揮されない事例がある 設計者の工法に対する理解不足 不適切な施工管理 4

東日本大震災における下水道管路施設の被害 約 3 千基 約 5 千箇所 約 2 千基 管きょの被害 : 600 km以上 ( 二次調査ベース ) 国土交通省下水道部調べ ( 平成 24 年 2 月 6 日現在 ) マンホールの被害 : 15,000 基以上 ( アンケートベース ) 国土技術政策総合研究所アンケート調査結果 5

本管の被害 管きょの特徴的な被害 管継手部のズレ たるみ 管の破損 取付け管の被害 取付管の抜け 支管 本管の破損取付管の刺さり込み 6

躯体ズレ マンホールの特徴的な被害 突出 土砂の堆積 7

下水道使用制限 交通障害 公衆衛生上の問題 復旧活動の遅延 早急な耐震化が必要 8

耐震化推進に向けて 東日本大震災による被害有無や対策効果の情報を蓄積するとともに 適用範囲等の整理を行い 今後の適切な工法選定に供する 効果を最大限発揮させるために 施工上の問題点等を明らかにし 品質確保を図る 耐震化技術の有効性調査 耐震化工法の実績及び効果を確認 各種工法の問題点を抽出 9

耐震化に配慮した埋め戻し 3 工法 実績有り 実績有り 締め固め 90% 以上 砕石 固化 10

砕石による埋め戻し 日本下水道協会規格 JSWAS K-13 液状化対策工法 管頂から 10 cm以上 砕石 ( 例えば C40) 透水性の高い材料 (10% 通過粒径が 1 mm以上 ) 11

砕石工法の効果 標準施工 ( 未対策 ) 被害大 液状化対策施工 被害なし 液状化対策施工 被害小 流下阻害 車両通行に影響なし ( 許容範囲内 ) 12

砕石工法の被害原因 砕石粒度が推奨 D 10 1 mmに対し D 10 0.6 mmであり 過剰間隙水圧の消散効果が低下したと推察 軟弱地盤地帯にあるため砕石の沈下が生じた可能性 矢板引き抜きに伴い地山と埋戻し部に空隙が生じ 埋め戻し部の締め固めが緩んだ可能性 液状化対策施工 被害小 13

セメント固化の効果 標準施工 ( 未対策 ) 被害大 液状化対策施工 被害なし 液状化対策施工 被害小 流下阻害 車両通行に影響なし ( 許容範囲内 ) 14

埋め戻し部のセメント固化 ( 被災延長 ) 自治体 総延長 ( km ) 被災延長 ( km ) 被災率 1 固化対策延長 ( km ) 被災延長 ( km ) 被災率 2 1 2 2/1 3 4 4/3 A 市 315 12 3.9% 2.5 0.05 2.2% B 市 142 13 9.4% 19.7 0.3 1.7% 被災率 1 > 被災率 2 ( 市全体対象 ) ( 対策エリア対象 ) 15

A 市における被災状況分析 試験項目試験方法備考 土粒子の密度試験 JIS A 1202 土の含水比試験 JIS A 1203 土の粒度試験 JIS A 1204 土の一軸圧縮試験 JIS A 1216 土の液性 塑性限界試験 JIS A 1205 土の湿潤密度試験 JIS A 1225 酸化カルシウム分析 - 蛍光 X オーダー分析 JIS R 5202 被害有りと無しの 2 箇所について 2 深度 ( 地下水位レベル 管直上 ) の各種試験を実施 16

A 市における被災状況分析 ( 一軸圧縮強度試験結果 ) 被害なし 被害小 72.0kN/ m2 12.4kN/ m2-1.9m -2.3m -3.1m 30.5kN/ m2 12.0kN/ m2-4.8m 目標固化強度 (50~100kN/ m2 ) 17

A 市における被災状況分析 現地土質試験等 目標固化強度 (50~100kN/ m2 ) を一部満足していない 深い位置ほど 強度が発現していない ( 締め固め不足 ) 酸化カルシウム分析による推定セメント量は 配合試験時の添加量 (50kg/m 3 ) の 70% 以上を確認 セメント量は適正であったが 強度が発現しなかった 施工方法の確認 セメント混合は現地攪拌 ( バックホウによる 3 回攪拌 ) であった セメント混合後の仮置きが 1 日程度あった 攪拌不足 解きほぐしの可能性 強度低下傾向は国総研過年度成果とほぼ一致 18

国総研過年度研究 セメント系改良土の発現強度は 仮置き期間 締固め度 養生方法 に大きくの左右される 同じセメント配合量であっても 埋め戻し環境の違いにより発現強度の違いは最大 5 倍程度ある 配合強度は 仮置き期間が長いほど小さく 締固め度が低いほど小さい 配合強度は 配合から3 日目までに急激に強度が増加する 国土技術政策総合研究所資料 531 下水道管路施設埋め戻し部へのセメント系改良土の適用性に関する報告書 19

ケース 養生方法 試験条件仮置き日数 締固め度 凡例 case1 全水浸養生 無し 90% case2 空気中 3 日 + 水浸 4 日 無し 90% case3 全水浸養生 1 日 90% case4 全水浸養生 3 日 90% * case5 全水浸養生 無し 80% case6 空気中 3 日 + 水浸 4 日 無し 80% case7 全水浸養生 1 日 80% + case8 空気中 3 日 + 水浸 4 日 1 日 90% case9 空気中 3 日 + 水浸 4 日 1 日 80% 20

国土技術政策総合研究所資料 531 空中 3 日 + 水中 4 日養生 & 仮置き無し & 締固め 90% 以上 の条件における強度 ( 標準条件強度 ) を 1.0 とすると 発現強度は ( 式 1) となる 発現推定強度 (kpa)= 標準条件強度 (kpa) 強度発現率 (%) ( 式 1) 強度発現率は 仮置き期間 締固め度 養生方法 の条件毎に設定した係数 ( 下表 ) を乗じて算出する ( 式 2) 強度発現率 (%)= 仮置き係数 締め固め係数 養生係数 100 ( 式 2) 項目 条 件 係数 1 仮置き 仮置き無し 1.0 仮置き1 日 0.7 仮置き3 日 0.6 2 締固め 締固め度 90% 以上 1.0 締固め度 90% 以下かつ仮置き無し 0.75 締固め度 90% 以下かつ仮置き1 日 0.4 3 養生方法 空中 3 日水中 4 日養生かつ仮置き無しかつ締固め90% 以上 1.0 その他条件 0.75 21

B 市における被災状況分析 処理区 A 処理分区 B 処理分区計 施工年度 整備延長 (m) 被災延長 (m) 被災率 (%) 整備延長 (m) 被災延長 (m) 被災率 (%) 整備延長 (m) 被災延長 (m) 被災率 (%) H17 3,238 243 7.5 2,453 52 2.1 5,690 294 5.2 H18 3,104 0 0 2,096 0 0 5,201 0 0 H19 3,769 41 1.1 2,114 0 0 5,883 41 0.7 H20 2,256 0 0 0 0 0 2,256 0 0 H21 632 0 0 0 0 0 632 0 0 計 12,999 284 2.2 6,663 52 0.8 19,662 336 1.7 22

B 市における被災状況分析 施工方法の確認 平成 17 年度は 耐震化事業に着手した初年度であり 施工管理において十分な指導ができていなかった 平成 18 年度より 事前配合の立ち会いや指示等の適正化を図った 施工管理の適正化において留意した事項は下記の通り 現地でのセメント混合時の立会い ( 全数量に対して実施 ) 現場発生土毎 (1 工事あたり 3 箇所 ) に事前配合試験実施 この結果 平成 18 年度以降の施工箇所については ほとんど被害がない 23

既設マンホールにおける耐震化工法 重量化 過剰間隙水圧抑制 アンカー 支持層 24

既設マンホール耐震化工法の実績 工法区分 過剰間隙水圧消散 重量化 杭 アンカー 主たる工法数 4 工法 3 工法 2 工法 施工実績約 9,000 基約 1,000 基 2 基 うち東北 3 県約 40 基約 200 基 0 基 うち関東 3 都県約 8700 基約 500 基 0 基 採用自治体数約 20 約 30 2 25

東日本大震災での被害状況 工法区分調査者調査対象被害有無備考 過剰間隙水圧消散 関係団体 1 詳細調査 :72 基なし東京湾沿岸, 石巻市, 東松島市 関係団体 2 一次調査 :24 基なし栗原市, 登米市, 石巻市 女川町 重量化 関係団体 3 国総研 一次調査 :309 基なし宮城県, 浦安市 詳細調査 :21 基なし浦安市, 栗原市, 東松島市 26

重量化工法の効果 耐震化済みマンホールのうち 1 本震の震度が 6 強以上 2 調査対象マンホール周辺で液状化被害有り 3 調査対象マンホールに近接または同一路線上に未対策マンホール有りの条件を満たす場所を 4 地区選定して現地調査 調査内容は以下の通り 1 マンホールの周辺地盤変位を含めた隆起測定 2 同一路線におけるマンホール高さの測定 3 マンホール内および管口の破損状況 4 流下観察 5 周辺道路および構造物 ( 家屋 擁壁 水路等 ) の被災状況 27

重量化工法の効果 ( 抜粋 ) MH 番号液状化対策突出量 MH 内調査流下観察 周辺道路構造物状況 1 有 +6 mm異常なし異常なし舗装亀裂 2 有 +14mm コンクリート一部剥離 異常なし 舗装亀裂 陥没 3 有 ±0mm 異常なし 異常なし 舗装亀裂 4 無 +159 mmコンクリート一部剥離 流量小 ( 上流で閉塞 ) 舗装亀裂 陥没 28

重量化工法の効果 未耐震 種別 : 公共 MH 被害 : 浮上 種別 : 流域 MH 被害 : なし 過去 3 年で約千基の実績 道路全体が大きく変状するも 対策済みマンホールは元の地盤高を維持するなど 被害はなし 国総研 メーカー合同調査 29

( 参考 ) 過剰間隙水圧消散工法の効果 過去 3 年で約 9 千基の実績 東京都や宮城県で施工実績があり 被害はなし メーカー自主調査結果 30

まとめ 管きょの耐震化工法に関して 砕石及び固化による耐震化の効果が確認された 一部の耐震化済み管きょにおいて 被害があるも軽微であり許容範囲内であった 一部被害の原因は 施工管理上の問題 ( 適正材料 現場の施工環境等 ) によるもの マンホールの耐震化工法に関して 被災状況を確認した結果 被害はなかった 現場の施工環境等に基づく適正な配合など 施工管理方法及び基準等の重要性が指摘された 適正な施工方法の周知 各工法に対する理解の向上が必要 31

今後の展望 1 液状化対策工法の事例再整理 管きょ及びマンホールの液状化対策工法について 施工実績や施工性 適用条件等を整理し 現場条件に適した工法選択が可能なようにする 2 液状化対策工法の施工管理手法 液状化対策を要する場所は 交通量の多い重要路線 高い地下水位 軟弱な地盤等の施工上の問題を抱える場合が多い 液状化対策の効果を確実に発揮するために施工管理方法及び品質管理方法について検討を行う 32

その他活動 東日本大震災で得られた教訓 調査結果 下水道地震 津波対策技術検討委員会への資料提供 構造 性能基準を具体的に明示し 今後の下水道耐震設計指針等の改訂に反映 今回地震を考慮した下水道 BCPマニュアルの改訂支援 効率よい応急復旧に役立つアセットマネジメント導入支援 広域的な災害発生時の支援のあり方の検討 33

ご清聴ありがとうございました 一日も早い復興を望み支援します 国土技術政策総合研究所下水道研究部下水道研究室 http://www.nilim.go.jp/lab/ebg/