第 16 回市民公開がん講座 寝ている間にがんを治す放射線治
日本人は長生きし過ぎたようだ 磯野波平 (54 歳 ) 漫画 サザエさん 連載開始 ( 60 年前の平均寿命 50 歳 ) 郷ひろみ (54 歳 ) 現役歌手 バツ 2 ( 現代の平均寿命 80 歳 ) 世界一の長寿国 = 世界一のガン大国
高齢化でガン死亡は激増 2 人に 1 人がガンになり 3 人に 1 人がガンで死亡 磯野波平時代結核 日本人の疾患別死亡統計 ( 厚生労働省 ) 郷ひろみ時代がん
ガン とは何者か 人体は 60 兆個の細胞で構成 細胞分裂で毎日 8000 億個入れ替え 細胞分裂 = 細胞のコピー ガン細胞 = コピーミス 細胞分裂 正常組織細胞 新陳代謝 コピーミス = ガン細胞発生
ガンと免疫 免疫システムが ガン細胞 を敵と認識して殺す 健康人でも毎日 5000 個のガン細胞誕生 免疫力の強い若者 毎日 5000 全勝 0 敗 免疫力の衰えた老人 毎日 4990 勝時に10 敗 1 敗でもすると ガンの完全勝利
ガンの成立 免疫システムがたった 1 個のガン細胞を見逃すとガンの倍々ゲームの始まり ガン = 免疫力の衰え = 老化現象 ガンは自分自身のミスに負けた時高齢化社会の日本で急増する理由寿命 30 歳のアフリカにはガンはない
ガンの一生ガ(mm) ン100 の大10 きさ(1 直径)0.1 0 数 cmまで 5mm 以上 10 20 30 40 ( 回 ) 0 5 10 15 20 ( 歳 ) 3 年間 宿主死亡 末期ガン ( 細胞数 1 兆 ) 根治可能なガン ( 細胞数 100 億 ) 発見可能なガン ( 細胞数 1 億 ) ガン細胞の分裂回数ガン細胞の年齢
ガンから身を守るには 老化すれば 誰もがガンをもっている ガンが発見可能な大きさになってから 根治可能な大きさになるまで わずか 3 年間 早期発見できるのは 健診だけ 幸運? にもガンが見つかったら 最善の治療法を選択する知識が必要
ガンの進展様式 早期ガン 進行ガン I 期 II 期 III 期 IV 期 原発腫瘍 微少 増大 周囲を圧迫 周囲へ浸潤 リンパ節転移 無 無 有 有 遠隔転移 無 無 無 有 手術療法 治療の選択肢 放射線療法 化学療法 免疫療法
早期ガンと進行ガンの違い 早期ガン 自覚症状はほとんどない ( 健診で発見 ) 狭い範囲の手術 放射線治療が可能 副作用少なく 根治が見込める 進行ガン 自覚症状が出現することが多い 広範囲の手術 放射線治療 抗ガン剤併用が必要 副作用を伴いやすく 治りにくい 早期発見 早期治療の重要性
ガン治療の選択肢 根治的療法 単独でもガンを完治可能な治療法 手術療法 協力 放射線療法 補助 補助 補助的療法 単独ではガンを完治不能な治療法 化学療法 免疫療法 内分泌療法
ガン治療に利用される治療法の比率 ガン医療先進国放射線治療が主流 ガン医療発展途上国手術が主流 抗ガン剤 抗ガン剤 放射線治療 手術 米国 放射線治療 日本 手術 日本のガン医療はどうも変だぞ?
なぜ日本では利用率が低いのか? 日本は地球上唯一の被爆国 放射線への過剰な恐怖 拒絶反応 日本のガン医療は外科主導 放射線治療専門医の圧倒的な不足 医師 患者の放射線への誤解 放射線は副作用が多いし 治らない 高額な設備投資が必要 1 台の設置に数億円の費用
TV ドラマ 白い巨塔 敏腕腫瘍外科医浪速大学第一外科財前吾郎教授 昭和版財前教授 田宮二郎 平成版財前教授 唐沢寿明 胃癌の転移を術後肺炎と誤診不適切な治療で患者死亡 昔の日本ではガン = 胃癌 = 手術 食道癌の患者に手術だけ説明他の治療選択肢の説明義務怠慢 裁判で敗訴放射線治療は?
財前教授も知らない放射線治療 医学部 6 年間で学ぶ履修単位 放射線治療の単位は 0.2% 医師国家試験問題過去 6 年分 3240 問 放射線治療に関する出題 11 問 (0.3%) 日本国内の医師総数約 30 万人 放射線治療認定医は 500 人 (0.1%) 放射線治療を理解する医者に巡り合う確率 奇跡的? 最善の治療を受けるには患者も知識が必要
科学文明の進化の歴史 100 年前 交通手段計算機放射線医学 人力車 そろばん レントゲン博士が X 線発見 50 年前 蒸気機関車 電卓 古典的コバルト照射 現代 スペースシャトル コンピュータ コンピュータ制御の治療
放射線治療の過去と現在 CT コンピュータ導入以前 (10~15 年前 ) ガン病巣が体内のどこにあるか特定不能 このへんにガンがあるだろうと放射線を照射 数 cm 以上の誤差 副作用の多い治療 医学の革命 CT scan( コンピュータ断層撮影 ) の発明 ノーベル賞 CT コンピュータの普及した現在 ガン病巣の体内での広がりを正確に把握 正常部位を避け ガンに放射線を集中照射 数 mm 単位の精度 副作用ほとんどなし
放射線治療のメリット
放射線は怖くない! 身近な仲間 放射線は空間や物質を通してエネルギーを伝える電磁波の仲間 強い光 と考えるとわかりやすい 物質を透過する能力をもつものが放射線 通信料理 暖房見える日焼け医療用放射線
放射線はなぜガンに効くの? なぜ回数を分けて照射? 分割照射回数生存細胞数正常細胞は回復能力が高い 正常細胞もがん細胞も回復不能 何度も分割して弱い放射線を照射 がん細胞は回復できず死んでいく正常細胞は回復して生き長らえる
放射線はどう照射するの? 外部照射 体外から腫瘍を狙って放射線を貫通させる 内部照射 体内 ( 腫瘍内 ) に放射線を発生する物質を埋め込む 腔内照射 組織内照射 内用療法 外部照射 内部照射
放射線外部照射 放射線治療の大部分は外部照射 寝台の上に 10 分程度横たわっている間に 装置が回転して病巣のみに放射線を照射
寝ている間に治療完了 熱くない 痛くない 気分も悪くない あっ 眠ってました 熟睡できない原因 ベッドが狭く硬い 治療時間短すぎ
放射線治療の目的 根治照射 完全治癒を目指す ( 早期ガン 感受性の高いガン 進行ガンの一部 ) 緩和照射 部分的治癒で症状の緩和を目指す ( 進行ガン 感受性の低いガン ) 手術との組み合わせ 術前照射 : 手術範囲の縮小 術後照射 : 残存病変の根絶 抗ガン剤との組み合わせ 相乗効果でより治癒率を上げる
放射線治療の手順は? 担当科より放射線治療の依頼 全身状態 ガンの進行度の診察 他の治療法 ( 手術 化学療法 ) と比較し 放射線治療が最善かを検討 放射線治療により期待される効果が 副作用を十分上回るかを判定
(1) 固定器具の作成 正確に病巣に放射線を照射するために 体の部位に合わせて熱で固まるプラスチックなどを用いて固定することがあります
(2) 放射線治療計画用 CT 撮影 ガンの位置を正確に特定するため その地図となる CT 撮影を行います 皮膚または固定器具に座標を示すマーキング
(3) 照射部位 範囲の決定 放射線を照射すべき病巣範囲を決定 治療効果を最大限に発揮 放射線を照射したくない正常部位を特定 副作用を最小限に抑制
(4) 照射方法 線量分布の検討 放射線を照射する方向 形 強さをコンピュータ上でシュミレーション 照射される放射線の強さを色で表す線量分布図を作成最善の計画を選択
(5) 照射線量 回数の決定 回数と病状の重さは無関係 1 回 ~40 回 (1 日 ~8 週間 ) の範囲 個人毎のオーダーメイド治療 ガンの種類 進行度 年齢 体力を考慮 放射線治療の目的により様々 根治 緩和 手術 抗ガン剤との組合せ コンピュータで副作用の確率を予測 どの程度耐えられるかを検討
外部照射 ( 直線加速器 ) のしくみ 電子を加速させ 金属と衝突 治療計画通りにコンピュータが瞬時に鉛の絞りを制御 腫瘍形状に合わせて鉛の絞りで放射線を自由自在に成形
コンピュータでガンを狙い撃ち 多方向から病巣に合わせた形で放射線をガンに集中照射 正常組織を避けながら病巣に放射線を絞り込む
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放射線治療に適するガン 放射線感受性の高いガン 悪性リンパ腫 白血病 子宮頚ガン 皮膚ガン 手術で機能 形態が失われるガン 脳腫瘍 頭頚部ガン ( 顔面 咽頭 喉頭 口腔 ) 肺ガン 食道ガン 乳ガン 前立腺ガン 症状を緩和できるガン 転移性脳腫瘍 転移性骨腫瘍 リンパ節転移 皮膚 骨 乳 脳 顔面咽頭喉頭口腔 肺リンパ節食道 子宮前立腺
放射線治療に適さないガン 手術が標準 基本治療であるガン 消化器系 胃 小腸 大腸 肝臓 膵臓 胆道のガン 尿路系 腎臓 尿管などのガン 放射線感受性の低いガン 悪性黒色種 甲状腺癌 骨 筋肉に初発する肉腫 消化器尿路系 ガンが全身に広く転移している場合
放射線治療のおかげで乳房温存 昔は早期乳癌でも乳房なくなりました 術後放射線治療をしないと 30% も局所再発するため乳房切除術しかなかった 今は早期乳癌なら乳房そのまま残せる 術後放射線治療をすれば局所再発は 5% に低下乳房温存術が可能
進行肺ガン III 期 心臓 食道にガン浸潤あり 手術不可能 抗ガン剤を併用した 30 回の入院治療 治療前 協力 : 呼吸器内科 放射線治療後
定位放射線照射 ( ピンポイント照射 ) 多方向から病巣の一点に集中的にピンポイント照射 大量の放射線を短期間 (1~10 日間 ) で照射する技術 周囲正常組織を傷つけず 副作用もなし 3cm 以下の腫瘍であれば 90% 程度の局所制御率 脳腫瘍 肺腫瘍 脳腫瘍 肺腫瘍
転移性脳腫瘍に定位放射線照射 治療前 30 分で治療完了 放射線治療後 肺癌脳転移左半身麻痺 手術をすれば永久に左半身麻痺 腫瘍消失左半身麻痺改善
肝臓ガンに定位放射線照射 定位放射線照射を通院でたった 1 週間 手術をすれば 肝臓の半分失う大手術 治療前 放射線治療後
早期肺ガンに定位放射線照射 定位放射線照射を通院で 1 週間 手術すれば 左肺の半分以上を失う 治療前 放射線治療後
早期肺ガン ( 手術 vs 放射線治療 ) 早期肺ガン (stage IA) に対する治療を比較 ガイドライン手術 vs 放射線局所制御 5 年生存費用入院傷 痛み 標準治療 開胸手術 ( 片肺の1/3 切除 ) 90% 以上 70% 以上 150 万円以上 新しい治療 定位放射線照射 90% 以上 70% 以上 63 万円 ぽっきり 3 週間以上通院 2 週間 有り 無し
放射線治療の副作用 脳 ( 頭痛 吐き気 脱毛 ) 口腔 咽頭 ( 味覚障害 粘膜炎 唾液分泌低下 ) 皮膚 ( 皮膚炎 強い日焼けの症状 ) 肺 ( 肺炎 肺線維症 ) 食道 胃 ( 吐き気 食道炎 潰瘍 ) 小腸 大腸 直腸 ( 吐き気 下痢 潰瘍 ) 膀胱 ( 膀胱炎 頻尿 ) 副作用は照射している部位のみに時に起こります多くの患者様には副作用は起きないよう治療可能
通院で治療できるのか? 通院 60% 以上 入院 入院治療を受ける理由 遠方で通院不能 抗ガン剤治療を併用 ガンによる強い症状 他の検査 治療がある 当院での放射線治療患者の入院 通院の比率 放射線治療は通院が基本
最後に 早期発見 早期治療が重要 早期ガンなら幅広い治療選択肢が選べる 手術でも放射線治療でも副作用少なく 治りやすい 迷ったらセカンド オピニオン ガンになったら 放射線治療医に相談してみては? 放射線治療は患者さんに優しい治療法 通院治療で心 体 財布にも負担が軽い 放射線治療は手品や魔法ではなく ガン治療法