つれづれなるままにエシカル消費 (2) 中村由美子 2 最近の生物多様性をめぐるトピックスから坂本優 6 活動報告 8 運営委員会だより 10 2015.9.30 No172 前号より新連載スタート 会員女性 2 名の対話形式による新連載 つれづれなるままにエシカル消費 がスタート 明治神宮自然観察会 10 月 19 日 ( 月 )13:30 明治神宮原宿側参道入口集合 15:30 解散予定連絡先 :09090087337 坂本 102-0083 千代田区一番町 9-7 一番町村上ビル6F TEL 03-3230-1237 FAX 03-3263-9463 http://www.geocities.jp/valdezsociety/index2.html/ 個人年会費 :7000 円郵便口座 :00100-8-12794 ハ ルテ ィース 研究会銀行口座 : みずほ銀行麹町支店 ( 普 )2041606 ハ ルテ ィース 研究会
つれづれなるままに エシカル消費 (2) エシカル消費というけれど エシカルは個人の問題?! 中村由美子 エンブレム問題って何だったの? A 最近 東京オリンピック パラリンピックのエンブレム問題が話題になったけど B まあ 訴えたベルギーのリエージュ劇場ロゴマークに似ている部分がないわけではないね 色使いは全然ちがうけど C 国際商標登録してないんだから ロゴマークのデザイナーがIOCに使用差し止めを求めて提訴するって言ったって はっきり言って売名行為じゃない? B 著作権を根拠にするんだって このへんがややこしいわけ 著作権条約には2 つあって ベルヌ条約 と 万国著作権条約 日本は両方に加入している ( 出典 ) 公益社団法人著作権情報センターホームページ 外国の著作物の保護は? より http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime5.html ( 最終アクセス 2015 年 9 月 23 日 )
C 結局 エンブレムのデザイナーが使用の取り下げを申し出て 組織委員会が了承したわけでしょ? A 結末はね このデザイナー 某プレゼントキャンペーン商品で使ったイラスト画を 所属スタッフがインターネットから無断でパクって使っちゃってたという他の問題でグレーなイメージがついちゃったわけ エンブレムがどうかは知らないけど ケチがつくとどうも立場が弱くなるよね C でもさ ネットのバッシングもひどくない? 類似デザインを探し出しては手柄のように公開してさ 陰湿さ満載 デザインが似ている 似ていないって判断に主観が入るわけだし 真似したか真似してないかも本人にしか分からないことじゃない? A オリジナリティはデザイナーが自分で主張し続けるしかないのかな 個人の良心に従って そう言えば 東京オリンピック パラリンピックエンブレムは再公募が始まるみたいね C まったく 新国立競技場に続いて 税金の無駄遣いなんだから! B 今度こそ 誰もが納得いくデザインを選んでほしいところ みんなで選ぶ方法をとるみたいだけど 候補案が公表されるとまた類似デザインを主張する輩も出てくるから厄介な話 A どうやって決めていくか注目していないとね 何をエシカルと どう決める? B どうやって決めるか それが問題 エシカル消費もそう 何をエシカルと呼ぶか みんなが納得いくエシカルって何か C でもさ 欧米人と日本人って倫理観や道 徳観が根本的に違うじゃない? B グリーン コンシューマーだってイギリス発だし エシカル消費だってそう 結局は輸入するしかないんじゃないの? 国際標準を作るのって日本は不得意だし 後手に回っているし A 確かに日本は得意とは言えないけど 文化的な違いが大きいし 教育の問題もある 社会課題を解決するための合意形成の方法論 もっと科学的に考えるべきなんじゃないかな C たとえばどういうこと? A 地域活性化や公共事業 コミュニティの社会課題解決の手法としてパブリック インボルブメント ( 住民参画 ) という合意形成の方法が 2000 年代になって米国で発展し 日本にもやってきた 少しずつ広がってきているのだけど 教育がベースにない 何をどうやって決めていくか訓練の機会がない 18 歳からの選挙権が認められたけれど 選挙だけでは意思表示の場としても しくみを変えていく場としても不十分だと思う C うーん どうすればいいのかな B そういえば 討論型世論調査 (deliberative poll: DP) が 2012 年夏に全国を対象に試みられた エネルギー 環境の選択肢 について その後も 2014 年春に札幌で 雪とわたしたちのくらし について C もうちょっとインターネットを活用してもいいんじゃない? エシカル消費を何とするか いろいろな人の意見や科学的な根拠 他国の実態などの情報が閲覧できて 最低ラインで守るべきことは何か 理想とするレベルは何かを参加者が投票で決めていくような いずれにしても 日本人が日本の実情を知りながら話し合って決めるのか 海
外から丸ごと輸入するのか 旗振り役が大事だと思うよ A 投票といってもどう集計するかで結果が変わるということが 最近政治学では注目されてますね ( 酒井豊貴 (2015) 多数決を疑う: 社会的選択理論とは何か 岩波書店 など ) どう決めるかを最初に話し合って決めておくかも重要だよね ( 次回につづく ) ( 出典 ) 札幌市役所ホームページ 雪とわたしたちのくらし ( 討論型世論調査 ) より https://www.city.sapporo.jp/somu/shiminnokoe/dp/index.html ( 最終アクセス 2015 年 9 月 23 日 )
最近の生物多様性をめぐるトピックスから ~ 野生生物による食害 2015 年環境省レッドリスト 動物愛護週間 ~ 野生生物による農作物への食害の増加ハンターの育成近年 野生生物による農作物への食害は 全国で年間数百億円規模と聞く 被害に遭われた個々の農家の方はもちろん 日本の農業にとっても決して無視できない状況だ 山間部の限界集落においては 生計や集落の維持という点からも ゆゆしい問題となっている このような状況から 最近は 実りの秋を迎える今頃の季節になると 新聞テレビでも 農作物への シカ イノシシによる食害が盛んに取り上げられる もとより食害は農作物に限られない 尾瀬などでは 被害は貴重な在来植物にも及んでおり 生物多様性の危機にもつながっている 尾瀬のニホンジカ対策事業は 重要生物多様性地域対策 として認定され 今年も環境省による支援対象となっている 環境省は 増えすぎたシカやイノシシ対策として 狩猟とジビエ利用等を通じて 駆除を経済的な活動の一環に組み込むことも目指している そのために 昨年もご紹介したが ハンターの増加を目指して 狩猟の魅力まるわかりフォーラム を 各地で開催している 入場無料 事前申込み不要 坂本優 で 今年の秋は 千葉 京都などで開催予定だ 開催場所は いずれも現地の大学で 女性を含め若い狩猟者を増やそうという意図がある このコーナーでは 昨年 食害に関連して シカ イノシシの捕食獣としてのニホンオオカミに言及し また アメリカのイエローストーン国立公園において絶滅したオオカミを カナダからの移入で復活させた例を紹介した 我が国でも以前からきわめて少数意見ながら ニホンオオカミに代えてタイリクオオカミを日本の山野に放獣することを主張する意見がある 捕食獣によって本来の生態バランス維持を図るという考え方だ ちなみに現在 ニホンオオカミも 北米のシンリンオオカミも ユーラシアのタイリクオオカミも 遺伝的には全て同一のハイイロオオカミであることが DNA 解析の結果 ほぼ明らかになっている 私自身は 事前に検討 検証すべき事柄は多いにせよ 一つの選択肢となり得るものと考えている 2015 年版環境省レッドリスト発表 9 月 15 日に 2015 年版のレッドリスト ( 環境省版 ) が発表された 2 種類の哺乳類について カテゴリーの変更があった 5
知床などで漁業に被害を及ぼしているとも言われるゼニガタアザラシが 個体数の増加を理由に 絶滅危惧 Ⅱ 類から準絶滅危惧になったことや 四国地方のカモシカが 生息数の激減により 絶滅の惧れのある地域個体群に指定されるなどの変更があった 四国地方のカモシカが急激に減っている原因は シカの増加による食物資源量の減少も大きな一因と考えられている ここでも増えすぎたシカの問題が生物多様性を脅かすものとして顕在化しつつある 動物愛護週間 ( 毎年 9/20~9/26) 個人的な感想ではあるが この半世紀のなかで 5 月の愛鳥週間 ( 毎年 5/10~5/1 6) は 農作物の害虫を駆除する野鳥の保護 という位置づけから 生物多様性保全という視点からの取組に徐々に変わってきた 同じように 9 月の動物愛護週間も 動物の保護 虐待の防止といった目的にとどまらず ペットとどのように関わるか という観点での取組が増えているように感じる ペットが生活を豊かにすることへの感謝をベースに 飼い主の責任を果たすことの重要性を啓発する という側面が強くなっているようだ 生きものは苦手な人も決して少なくない そういった面での配慮は社会生活上のマナーという側面に加え ペットに対する反感を緩和するうえでも有効だ また ペットには外来種も多い 外来種を逃がしたり放したりせず 最後まで責任を持って飼養 管理することもまた飼い主の責任であることは言うまでもない そしてそれは生きものの生命を無駄にし ないことにもつながっている 来年からアカミミガメの本格的駆除が始まる おそらく数十万匹 場合によっては数百万匹のアカミミガメが駆除されることになると予想される 彼らは飼育下から逃げたり放されたりしたペットのミドリガメ あるいはその子孫たちだ 私たちが最後まで責任をもって飼養 管理していれば イシガメが絶滅危惧種になったり ハス農家が被害を受けたりすることもなかっただろう そしてもちろん 駆除という名のもとに 数十万 数百万のアカミミガメの生命を奪わなければならないという事態も避けられたはずだ これからの動物愛護という言葉には 責任をもって最後まで管理する という意味も含まれるべきだろう 坂本優 ( さかもと まさるハ ルテ ィース 研究会議長 ) 絶滅危惧 Ⅱ 類 絶滅の危険が増大している種 準絶滅危惧 現時点での絶滅危惧は小さいが生息条件の変化によって絶滅危惧に移行する可能性 活動報告 6
生物多様性研究会 2015 年 8 月 17 日 明治神宮にて自然観察会今年に入ってから 継続して明治神宮境内で 観察会を実施している 前回 6 月のときと同様 木々の葉が密度濃く広がっているため 森の生きものの姿はなかなか見ることができない しかし 雨の中 行く先々で野鳥がさえずり 更には それらを押し包んでしまうように 蝉しぐれが降り注いでいた 区域によって明確に分かれている訳ではないが ツクツクボウシの声は北池周辺でよく聞こえ クマゼミは山手線側 ヒグラシは代々木公園側 ミンミンゼミやアブラゼミは全域で同じように聞こえてくる印象だった ( 午後 13:30~15:00) ヤマガラ シジュウカラ キジバト ムクドリ ハシボソとハシブトのカラス 2 種など観察しやすい野鳥に加え カワセミは今回も参加者全員が観察できた 雨の中でも蝉しぐれは絶えることがなかった 当日撮影 北池のカイツブリ 坂本優 ( さかもとまさる生物多様性研究会代表 ) あいにくの雨の中 観光客も少なかったが 涼しい一日となり 暑さに疲れた体には 息抜きともなった 当日撮影 有害化学物質削減ネットワーク活動報告 (1) 企業へのアンケート調査とリスクコミュニケーション 7
調査票を 9 月末をめどに作成中 200~300 社に送付予定 (2) 家庭内の有害化学物質に関してのアンケート調査 せっけん運動ネットワークに協力依頼し 8 月 26 日に調査票を発送した 10 月末までに調査票の回収と集計を行う予定 (3) SAICM2020 年目標の達成に関する地域セミナー 3 か所でセミナーを開催する予定で 開催地候補の協力団体と交渉中 (4) 連続講座 歴史に学ぶ くらしの安全講座 の開催 第 1 回 (9/25 に終了 ) 究極の環境破壊 ( 講師 : 小出裕章氏 ) を皮切りに 5 回シリーズで開催 参加費は1 回 1,000 円 ( 会員 500 円 ) 5 回連続受講券 4,000 円 会員 2,500 円 水情報センターが協賛 第 2 回以降は以下のとおり 第 2 回 10 月 24 日 ( 土 ) 14 時 ~16 時 30 分 * 里見宏氏 ( 健康情報研究センター代表 ) 食べ物の安全と食品添加物食品公害の歴史と子どもの健康を考える * 全水道会館中会議室 (5F) 第 3 回 11 月 14 日 ( 土 ) 14 時 ~16 時 30 分 * 中地重晴氏 ( 熊本学園大学教授 /Tウオッチ理事長) 飲料水の安全と水循環河川汚染の歴史と界面活性剤を考える * 全水道会館中会議室 (5F) 第 4 回 12 月 12 日 ( 土 ) 14 時 ~16 時 30 分 * 鹿庭正昭氏 ( 元日本生協連 / 元国立医薬品食品衛生研究所 ) 住まいの安全と家庭用品中の化学物質家庭用品による健康被害と安全対策の動向 * 中央大学駿河台記念館 620 号 第 5 回 1 月 30 日 ( 土 )14 時 ~16 時 30 分 * 中下裕子氏 ( ダイオキシン 環境ホルモン対策国民会議事務局長 / 弁護士 ) いのちとくらしの安全のための選択農薬被害の歴史と環境ホルモン最新情報から * 寺田良一氏 (Tウオッチ理事/ 明治大学教授 ) 特別報告家庭の中の有害物質調査報告 * 全水道会館中会議室 (5F) (5) その他 8 月上旬 SAICM 国内実施計画の進捗に関するパブコメを提出した 第 8 回 化学物質と環境 政策対話が9 月 3 日 ( 木 ) 午後 大手町で開催 ICCM4 に向けた取り組みと今後の持ち方について報告と提案が出され 意見交換を行った 9 月末開催の ICCM4に中地理事長含め4 名が出席中 報告会は 10 月 30 日 18 時 30 分から中央大学駿河台記念館 320 号室で開催 原発事故情報共有学習会: 次回は 10 月 16 日 ( 金 ) にIAEAの報告書を中心に開催する 8
T ウオッチ通信 32 号 (2015 年 8 月 25 日号 ) を発送した 次号は 11 月中旬発行予定で進める * 活動の最新情報 詳細等はウエブサイトをごらんください http://toxwatch.net/ 角田季美枝 ( つのだ きみえ / 会員 ) 運営委員会だより 第 260 回運営委員会 日時 :2015 年 9 月 3 日 ( 木 )18:30~ 出席 : 坂本 澤井 1. 情報交換等 電機メーカーの技術者としての澤井さんの経験を通じての技術の歴史についての 話題 ( 人工衛星や空対地ミサイルの開発や技術の変遷なども ) 2. 通信 172 号の内容 女性会員 2 名によるエシカル消費についての連載 坂本さんの連載継続 次回運営委員会 11 月 5 日 ( 木 )18:30~ 9