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O-27567

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ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

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しなければならない 2. 乙は プライバシーマーク付与の更新を受けようとするときは プライバシーマーク付与契約 ( 以下 付与契約 という ) 満了の8ヶ月前の日から付与契約満了の4 ヶ月前の日までに 申請書等を甲に提出しなければならない ただし 付与契約満了の4ヶ月前の日までにプライバシーマーク付

(2) 総合的な窓口の設置 1 各行政機関は 当該行政機関における職員等からの通報を受け付ける窓口 ( 以下 通報窓口 という ) を 全部局の総合調整を行う部局又はコンプライアンスを所掌する部局等に設置する この場合 各行政機関は 当該行政機関内部の通報窓口に加えて 外部に弁護士等を配置した窓口を

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第 5 無効及び取消し 1 法律行為が無効である場合又は取り消された場合の効果法律行為が無効である場合又は取り消された場合の効果について 次のような規律を設けるものとする (1) 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は 相手方を原状に復させる義務を負う (2) (1) の規定にかかわらず

本人に対して自身の個人情報が取得されていることを認識させるために 防犯カメラを設置し 撮影した顔画像やそこから得られた顔認証データを防犯目的で利用する際に講じることが望ましい措置の内容を明確化するため 更新しました ( 個人情報 ) Q 防犯目的のために 万引き 窃盗等の犯罪行為や迷惑行

2 譲渡禁止特約の効力改正前は 譲渡禁止特約を付した場合は債権の譲渡はできない ( ただし 特約の存在を知らない第三者等には対抗できない ) とされていましたが 改正法では このような特約があっても債権の譲渡は効力を妨げられないことを明記しました ( 466Ⅱ 1) ただし 3に記載するとおり 債務

て 労働者派遣契約書に休業手当等の支払いに要する費用を確保するための費用負担等に関する事項を記載していないもの (1 派遣元事業所 ) ウ派遣料金額の明示派遣労働者に対して 書面の交付 ファクシミリを利用してする送信又は電子メールの送信の方法により労働者派遣に関する料金の額を明示していないもの (5

金融商品取引法の改正 ~ インサイダー取引規制に係る見直しについて 1. はじめに 2013 年 4 月 16 日に 金融商品取引法等の一部を改正する法律案 が第 183 回国会に提出され 同年 6 月 12 日に成立 同月 19 日に公布されました ( 平成 25 年法律第 45 号 以下 改正法

1. 趣旨この基本方針は 市がネーミングライツの付与に関する事業 ( 以下 ネーミングライツ事業 という ) を実施するにあたり 郡山市広告事業実施要綱 ( 平成 27 年 4 月 1 日制定 )( 以下 実施要綱 という ) 第 19 条 ネーミングライツ スポンサーの募集 に基づき ネーミングラ

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プライベート・エクイティ投資への基準適用

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4 小売業商標のサービスマークとしての登録及びコンセント制度導入に対応する審査の在り方に関する調査研究 本調査研究では 委員会を組織して 日本における コンセント制度の導入 や 小売業商標のサービスマークとしての登録 及び これらに関する 現行の審査運用についての具体的な見直しの必要性 について議論した コンセント制度の導入に関しては 1 運用による準完全型コンセント制度の導入 2コンセントは商標法第 4 条第 1 項第 11 号のみ認める 3 類似商品 役務審査基準の見直しや第 3 条第 1 項柱書の運用の強化が必要等の結論が得られた 小売業商標のサービスマークとしての登録に関しては 1 小売りサービスを商標法改正により法で 商標法上の役務 として扱う 2 小売りサービスとは商品の品揃え 陳列等の需要者に対する商品購入の便宣の提供のみ ( 販売を含まない ) である 3 総合小売りサービス のみの保護でスタートすることを検討する 4 国際分類第 9 版の発効に合わせて平成 19 年 1 月 1 日 ( の出願 ) から施行する等の結論が得られた Ⅰ. コンセント制度 小売業サービスマーク導入検討の背景 企業活動においてブランド価値の創造が重要な課題となっており ブランド価値を象徴的に伝達する手段である商標を保護する商標法の在り方について 産業構造審議会知的財産政策部会商標制度小委員会で制度全般について議論を進めている その議論の中で 特に 小売業商標のサービスマークとしての取扱いを検討する 及び 類似及び混同を生ずるおそれに係る審査について コンセント制度を検討する に関しては 現行の審査運用の在り方と密接に関係するものであることから慎重な検討が必要とされている そこで 本調査研究では委員会を組織し 小売業商標のサービスマークとしての登録やコンセント制度の導入 及び 現行の審査運用についての具体的な見直しの必要性について議論した Ⅱ. コンセント制度の導入の検討 1. コンセント制度導入についての検討課題 検討事項 日本におけるコンセント制度はどうあるべきか 1. 法制化により導入する場合 (a) コンセントは どのような権利に基づくものか (b) 類似であるが登録をする のか 非類似として登録する のか (c)4 条 1 項 11 号以外の相対的理由についても認めるのか (d) 同一でも 登録を認めるのか (e) コンセントがあった旨を登録原簿等に明示する必要があるか (f) コンセントと審査官の判断の関係をどのように整理するのか (g) 同意をした商標権者以外の者も 拒絶理由通知で引用された商標権の存在による異議申立てや無効審判請求はできないとするか (h) 同意をした商標権者又は第三者が 同意をした商標権者の所有するほかの商標権の存在による異議申立てや無効審判請求は可能か (i)4 条 1 項 11 号に限定してコンセント制度を導入した場合 コンセントにより登録になった後で 同じ商標権を引用してほかの理由で異議申立てや無効審判請求をすることは可能か (j) 甲の登録商標 A 甲のコンセントを得た乙の登録商標 A がある場合 甲又は乙が それぞれ自己の登録商標と類似のものを使用した場合はどうなるのか (k) 甲の登録商標 A 甲のコンセントを得た乙の登録商標 A がある場合 甲がA 及びA の両商標に類似するA の商標を出願したときは A はA の存在により拒絶されるか (l) 甲の登録商標 A 甲のコンセントを得た乙の登録商標 A がある場合 AにもA にも類似する商標であるとする拒絶理由を通知された丙の出願商標 A が登録を受けるためには 甲及び乙のコンセントが必要か (m) 甲の登録商標 A 甲のコンセントを得た乙の登録商標 A がある場合 甲は乙に対して 又は 乙は甲に対して それぞれの登録商標の使用に対して 排他権の行使はできないということを明記するのか (n) コンセントの提出は いつでも可能とするか (o) コンセントの出願係属中の取下げや登録後の撤回は可能か (p) 対価 の問題に対する対応策はあるか (q) コンセント制度により類似商標の併存登録になることによる弊害防止のための具体的な対策を考えるべきか (r) コンセント制度導入に消極的な業界もあるが 法制化の 20

際に配慮は必要か (s) 事実上完全型であれば 運用でも十分可能ではないか 2. 運用により導入する場合 (a) コンセントがあることで登録する場合 非類似で登録する建前でよいか (b) 引用商標権者のコンセントを最大限に尊重するという審査運用は可能か 3. その他 (a) 同意書の取扱い (b) コンセントを交渉中なので審査を猶予して欲しいという上申書があった場合の取扱い (c) 類似商品 役務審査基準の見直しや 全類指定出願の排除等の不使用商標対策等の施策の必要性 (d) 商標の補正で要旨変更の基準を緩和して欲しいとの要望についての考え方 (e) 商標ブローカー対策 2. 検討課題に対する意見 (1) 日本弁理士会商標委員会の意見 1.(a) コンセントは 先行権利者の商標排他権に基づく (b)11 号とコンセントの関係は 類似であっても混同を生ずるおそれがない という建前 したがって 法改正が必要 (c) コンセントは相対的拒絶理由に該当する先行権利のすべてに認めるべき (d) 同一商標 同一商品 ( 役務 ) については 混同を生ずるおそれがある として 登録は認められない (e) 公報に公示し 登録原簿にも記載すべき (f) コンセントが提出されて登録される場合でも コンセントの必要性を明確にするため 審査官は 再度 類否判断をし その結果に基づいて審査手続を進めるべき (g)-(i) 異議申立てや無効審判請求は可能 (j) 甲又は乙は お互いに排他権を行使することは可能 (k) 商標 A は 登録商標 A の存在を理由に拒絶 (l) 甲 乙のそれぞれからコンセントを得なければ拒絶 (m) 明記する必要はない (n) コンセントの提出はいつでも可能 (o) 登録査定後は撤回できない (p) 対価を要求し得るか否かは 経済界における慣行に従って判断すべき (q)24 条の4 52 条の2の適用を考える (r) 特段の配慮は必要ない (s) 完全型を採る場合 運用では対処できない 2.(a) 非類似で登録 (b) 審査基準に明記することは可能だが その徹底化が図れるかが問題 3.(a) コンセントは 発行者の代表権限のある者の記名 押印のある書面によりなされるべき (b) 審査の猶予期間に 一定の制限を設ける しかし コンセントは最終的には登録査定時にあればよいとすることは必要 (c) 類似商品 役務審査基準 の見直し 指定商品 役務の記載の在り方は コンセント制度と関係なく 積極的に進めるべき (d) 見直しが必要 (e) 要はモラルにあり 商標制度の適正な運用に係っている (2) 日本知的財産協会商標委員会の意見 1.(a) コンセントとは先願商標権に基づく同意 (b) 出所の混同を生ずるおそれがなく非類似とされるべき商標について 取引の実情をもっとも反映する当事者の意見を考慮し 登録を認めるのが本制度の趣旨 (c)4 条 1 項 11 号のみ (d) 任意の二つの商標が 社会通念上同一の範囲にある場合はコンセントがあっても登録されるべきでない (e)(f) コンセントの有無の公開 明示を求める (g) 異議申立てや無効審判請求はできない 同意をした商標権者以外の者については 異議申立てや審判請求を行うこと自体は可能とする意見有り (h) 異議申立てや無効審判は可能 (i) 異議申立てや無効審判請求はできない 同意をした商標権者以外の者については 異議申立てや審判請求を行うこと自体は可能とする意見有り (j) 甲又は乙はそれぞれ排他権の行使が可能 (k) 別途 乙からコンセントを得ない限り 登録商標 A の存在により拒絶される (l) 丙の出願商標 A は 甲及び乙からコンセントを受けなければ登録は取得できない (m) 明記は必要ない (n) コンセントの提出はいつでも可能とすべき (o) 出願係属中のコンセントの取下げは可能 (p) 対価を求めてはならない旨の規定は不要 (q)24 条の4 及び52 条の2に相当する手当を考えるべき (r) コンセントを与えなければ済む問題 (s) 商標法の趣旨に沿い かつ実効性を確保した制度の実現が可能であれば 法制化には固執しない 2.(a) コンセントがあることによって 混同の生ずるおそれがないと判断できるものについては登録するという考え方に賛成 (b) 審査基準での明記は最低限必要 3.(a) 同意書は必要最小限の情報のみを求める簡便なフォーマットを希望 21

(b) 合理的期間であれば猶予を認めるべき (c) 類似商品 役務審査基準の見直しは随時行うべき 又 全類指定の排除等 不使用商標対策も検討は必要だが慎重を要す (d) 慎重な検討を要望 (e) 特に本制度導入に際して設けるべき必要性は見いだせない (3) 委員会での主な意見 1.(b) 類似するが混同のおそれがないから登録する について現行法で類似するが混同しないという解釈は成り立たない この場合は法改正をせざるを得ない 非類似で登録する について形式的には類似するかもしれないが混同のおそれはない だから非類似という理論を取り得るのではないか 非類似だから登録するなら問題ない (d) 商標同一かつ商品 ( 役務 ) 同一の場合はコンセントがあっても登録を認めない (o) 登録になったら 確定してしまうため コンセントは撤回できない 3. 外国におけるコンセント制度 (1) コンセントを認めない法域 : オーストリア等 (2)(ⅰ) 留保型コンセント制度 を採用する法域:( 法制化 ) ノルウエー等 ( 運用 ) アメリカ等 (ⅱ) 完全型コンセント制度 を採用する法域: イギリス等 (3) 絶対的拒絶理由の審査しか行わない法域 :OHIM 等 4. 我が国におけるコンセント制度の導入について (1) コンセント制度導入の考え方 (ⅰ) コンセント制度導入の趣旨コンセント制度は 商標の類否判断について 取引の実情に合わせてより適正な判断を確保するため 職権主義の下で行われる審査官の審査を補完するものとして導入すべき (ⅱ) コンセント制度の内容 1 混同を生ずることが明らかな以下の商標は コンセントがあっても登録を認めない (a) 引用の商標権と指定商品 ( 役務 ) も同一で 商標も同一 ( 社会通念上同一と認められる商標を含む ) の場合 (b) 引用の登録商標が周知 著名商標である場合 2コンセントは 商標法第 4 条第 1 項第 11 号のみ認める (2) コンセント制度のモデルケース (ⅰ) 審査官をどの程度拘束することとするのか 純粋な完全型及び純粋な留保型の折衷案である 準完全型 ( コンセントがあった場合には (1)(ⅱ)1(a) (b) の場 合を除きすべて登録する ) が現実的な解決法 (ⅱ) 法律上明文化すべきか 1 運用による準完全型審査基準等により統一した運用によって コンセントがあった場合に (1)(ⅱ)1(a) (b) の場合を除きすべて登録 登録の考え方は 引用商標権者のコンセントがあった場合には 出願商標は 引用商標と非類似と推定して登録する 2 法制化による準完全型 ( 混同概念導入型 ) 法律に コンセントがあった場合には (1)(ⅱ)1(a) (b) の場合を除きすべて登録する 旨を明記する方法で 現行商標法の4 条 1 項 11 号の規定の中に 混同の概念 を導入した上で準完全型のコンセントに関する規定を設ける 登録の考え方は 引用商標権者のコンセントがあった場合には 出願商標は 引用商標とは類似であっても混同を生じないものとして登録する (3) コンセント制度検討の方向 (ⅰ) 本委員会では まず 運用による準完全型 で行うこととし その後 不都合が出てくるような場合に 改めて法改正を含めて検討するという意見が多数を占めた 法制化 ( 混同概念導入型 ) については 混同を生ずるほどに類似 という概念が商標法全体に導入されることになるのであれば コンセント導入の法制化もスムーズになし得るため この場合は 法制化による準完全型 ( 混同概念導入型 ) も取り得る (ⅱ) コンセント制度の運用に関しての必要な検討 1コンセント交渉のための特別な期間は設ける必要はない 2コンセントがあった旨の情報は 公報 IPDL 等で開示すべき 3 同意書の内容は 出願に係る商標の登録について同意する 旨で足りる (ⅲ) コンセント制度の導入に併せて必要な検討 1 類似商品 役務審査基準の見直しを行うべき 2 第 3 条第 1 項柱書の運用の強化を図るべき Ⅲ. 小売業商標のサービスマークへの拡大の検討 1. 小売業商標をサービスマークとしての登録についての検討課題 検討事項-1 (1) 小売りサービスの内容 及び いかなるものとして登録するのか (a) 商標法上の商品 役務は 独立して商取引の目的たり得べきもの という要件が必要か 22

(b) 特定の店舗内における商品の品揃え等の顧客に便宜を図るためのサービス自体が 近年 独立した経済価値のある役務として認め得る状況が形成されてきていると言えないか (c) 役務の具体的な内容は 特定の商品の品揃え 陳列等 顧客の便宜を図るためのサービス であって 商品の販売 は含まないでよいか (d) インターネット等を利用した 顧客の便宜を図るためのサービス も同様に考えられるか (e) 総合小売業 のみか 単品小売業 もか (f) 法改正は必要か (g) 経過措置は必要か (2) 小売業商標のサービスマークとしての指定役務の表示の在り方の検討 (a) 小売り に係るいかなる権利をサービスマークとして認めるのか (b) 小売りサービス に 商品の販売 を含まない場合 役務の適切な表示は どうあるべきか (c) 指定役務の表示は どうあるべきか (d) 小売業商標に係る指定役務の表示に関する具体的運用案の提示 検討事項-2 商標権に係る商品 役務の指定の在り方 と 商標の定義 商標の使用の定義 との関係等の検証 (1) 商標の使用が問題になったとき 商品商標とサービスマークとでは立証の仕方に相違があるか (2) 小売業商標のサービスマークとしての登録に関して 保護対象を 総合小売り のみならず 役務と言えるもの はすべて対象とすることはできるのか 検討事項-3 (1) 登録を認める小売業商標に係る役務と他の商品 役務との類似関係はどうするか また 登録を認める小売業商標に係る役務同士の類似関係の整理はどうするか 2. 検討課題に対する意見 (1) 日本弁理士会商標委員会の意見 検討事項-1 (1)(a) 小売りサービスの本質は 顧客の商品購入の便宜を図るための品揃えというサービスを提供すること と考えられ その対価はそのサービスの提供を受ける個々の消費者が支払う商品購入価額に上乗せされていると考えれば 小売りサービスは 他人のために行う便益の提供であって それ自体が商取引の目的 となっていると考えられる (c) 商品を販売する ことは 有償で顧客に商品を譲渡することであり 小売りする サービスは 有償で顧客に対する商品購入の便宜を提供するサービスである (d) インターネット等を利用した 顧客の便宜を図るためのサービス も (c) と同様 (e) 総合小売業と個別商品の小売業とを商標登録の指定役務とした場合 差別する必要はない (2)(a) 小売りサービスを 顧客の商品購入の便宜を図るための品揃えというサービス と解すれば 登録された商標に与えられる権利の範囲は 係るサービスの範囲になる (b)-(d) ~の小売り ~の卸売り という表示は認められるべき 検討事項-2 (1) 商標が商品商標である場合とサービスマークである場合とで 当該標識が指定商品に使用されているのか 役務に使用されているのかの確認に差異はない (2) 商品の小売り の本質は 顧客の商品購入の便宜のために商品の品揃えをする ということであり これは 総合小売り に限られるものでない 検討事項-3 (1) 商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあり 役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあることは 商標法に定められているところである 審査の場においては 4 条 1 項 11 号ではなく 15 号適用の問題と考えられ それをもって処理されている 小売りサービスと商品との関係も 同様に考えてよい (2) 日本知的財産協会商標委員会の意見 検討事項-1 (1)(a)2 条 1 項 2 号の括弧書きは 小売業商標 を役務商標として理解する可能性を排除するものではない (b) 小売業商標 は 各種商品の品揃え 陳列 接客等を中心とした顧客への労務又は便益を識別し選択するための標識として 通常の役務商標と何ら変わりのない出所表示機能 品質保証機能 広告宣伝機能といった商標の基本的機能を果たしており 小売業者に係る信用が化体する役務商標として保護に値する財産的価値を十分有している 独立取引性 とは 商標がある行為について使用されたときにその行為を表象する商標として保護に値する財産的価値を有するか否かという観点から弾力的にとらえても実質的に問題ない (c) 小売り という役務の内容は 商品の販売に当たり 当該商品を販売する者により提供される品揃え 陳列 接客等顧客の購入の便宜を図るためになされる一連のサービス (d) インターネット等の提供形態においても 商品の販売に当たり 品揃え 陳列 サイバー空間の特質を利用したユニークな接客等顧客の購入の便宜を図るためになされる一連のサービス がある (e) まずは 総合小売り のみ法上の役務として登録を認め 23

てもいい (f) 小売業商標を役務商標として登録を認めるとした場合に 2 条 1 項の改正の可否については 現行のまま2 条 1 項 2 号で十分読めるし また これに起因した使用の定義 (2 条 3 項 ) の改正も必要ではない ただし 確認的に 小売り を商標法上の役務として扱う旨の規定を置くことは 検討に値する (g) 経過措置については その対象を 総合小売り に限り また 解釈論で解決できるのであれば 商標法施行規則別表の改正をもって その他特段の措置は必要ない (2)(c) 単なる 小売りサービス のみの表示には反対であるが 小売り の用語の点については議論する必要を感じない (d) 総合小売りサービスの表示例としては 1 Aにおける B 2 AによるB の態様が考えられ 1の場合 Aへの挿入例は 百貨店 等 特定の単品商品を想起しない販売店の名称であればよく Bへの挿入例は 他人の便宜のために各種商品を揃え ( 運搬を除く ) 顧客がこれらの商品を見 かつ 購入するために便宜を図るサービス 等で十分である 2の場合 Aへの挿入例は カタログ販売 等 特定の単品商品を想起しない販売方法の名称であればよく Bへの挿入例は1と同様 検討事項-3 (1) 総合小売り のみ法上の役務として登録を認めるのであれば クロスサーチの必要もないと割り切ってもいい (3) 委員会での主な意見 検討事項-1 (1)(a) 小売りサービスに独立の商取引性の要件を認める場合 小売りサービスは通常考えられている独立の商取引対象とは言えないので 運用で割り切って考えてしまうか それが無理ならば 法改正するしかない 等の意見があった (b) 日本のブランドを高め 経営の資源として考えることが知財推進計画で言われているところなので その観点から保護すべきものなのかどうかの議論をしても良いのではないか コンビニエンスストアで品揃えがいいというのも確かに価値のあるようなサービスだし そこで使っている標章というのは保護しなくてはいけない また 三越で買えば真正品がいつでも買える また 包み紙にオーソリティーがあるといったようなことに期待している それであれば そこにも価値を認めていいのではないか 等の意見があった (c) 小売りサービスのサービスマークとして認めるところのポイントは 買い物のために品を揃える 陳列するというところにサービスの本質がある 国際的なサービスの記載の仕方に沿って 販売を外したらいい 小売りサービスが販売を含むか含まないか どちらでもよい 法改正の要否だけが問題である 実態的には変わらない 等の意見が あった (d) ニーズだけでいくのであれば総合小売りだけでいい 等の意見があった 検討事項-3 (1) 百貨店の小売りサービスについては 小売りサービスと商品商標との類否判断は 販売を含めるか 含めないかとは関係無しに 類否判断をする必要がない 商品との類否判断は 小売りサービスに販売を含めるか否かに関係無しに 本来はやる必要がある 等の意見があった 3. 外国における小売業サービスマーク (1) 小売りサービスを役務として認めない国 : ドイツ等 (2) 小売りサービスを役務として認める国 1 小売りサービス という広い指定役務を認める国: オーストラリア等 2 百貨店 百貨店の小売りサービス 特定商品の小売りサービス という小売りサービスに係る分野や形態表示を認めている国 : アメリカ等 3ニース国際分類第 8 版に記載されている表示 他人の便宜のために各種商品を揃え ( 運搬を除く ) 顧客がこれらの商品を見 かつ 購入するために便宜を図ること と記載する国 : イギリス等 4. 小売業商標のサービスマークとしての登録について (1) 商標法上の役務について商標法上の役務については 独立して商取引の目的たり得べきもの であることが必要 (2) 小売りサービスの独立性小売りサービスを商標登録の対象とするためには 法で 商標法上の役務 として扱う という法改正対応による考え方が適当 (3) 小売りサービスの内容 ( 販売 を含むか否か) 小売りサービスとして保護して欲しいというニーズがあるのは 品揃え 陳列等 であること 小売りサービスには 販売も含まれる という考え方を採ると これまで販売標識として位置付けてきた商品商標に係る商標権との整理が困難になることから 商標登録の対象とする 小売りサービス とは 商品の品揃え 陳列等の需要者に対する商品購入の便宣の提供のみである の考え方が適当 (4) 総合小売りサービスのみか 単品小売りサービスもか 小売りサービスとしての商標登録のニーズは 総合小売りサービス のみであることから まず 総合小売りサービス のみの保護でスタートすべきで このような方向性の適否をパブリックコメントに付すことが適当 24

(5) 小売りサービスに係る役務商標と商品商標との審査上の類否判断総合小売りサービスのみが商標登録の対象であれば 商品商標との類否は不要 (6) 小売りサービスに係る役務商標同士の審査上の類否判断 総合小売りサービス のみの保護を考える場合 (ⅰ) すべての総合小売りサービス同士を類似の扱いにするという考え方と (ⅱ) 同じ総合的な小売りサービスであっても その内容によって非類似と整理する必要もあるという考え方がある (7) 指定役務としての表示例小売りサービスの指定役務表示は 商品商標との混乱を生ぜしめないように 小売り の用語は使用せずに 例えば 商品の購入の便宜の提供 等の用語を使用すべき なお 総合小売りサービス の具体的表示を検討する際は 総合小売りサービス として認め得る具体的な範囲について 今後検討していく必要がある (8) 施行日 小売りサービス についての国際分類の注釈が変更される国際分類第 9 版の発効に合わせて 平成 19 年 1 月 1 日 ( の出願 ) から施行することが適当 (9) 経過措置の必要性商標登録の対象を 総合小売りサービス のみとした場合で 小売りサービスには販売は含まない 審査上は 小売りサービスに係る役務商標と商品商標間の類否判断は不要 という考え方で整理するのであれば 最小限の経過措置で済み 大掛かりな経過措置は必要ないと考えられるが 具体的な内容については 今後検討していく必要がある Ⅳ. まとめ 本委員会では コンセント制度の導入及び小売りサービスのサービスマークとしての登録の可能性について 議論を行い Ⅱ.4 及びⅢ.4に示すような結論に至った 残された課題は コンセント制度に関しては 不使用商標問題について 全類指定 の排除だけでは到底解消できないので 別の不使用商標対策を考える必要があること 準完全型コンセント制度の前提とも言われる 類似商品 役務基準 の見直しの検討 ( 短期間で コンピュータシステムを含む大変な作業とコストを伴うため このようなロードを特許庁に求めることが可能かどうか等の検討 ) 等であり 小売りサービスに関しては 小売りサービスの標識に係る商標権の効力範囲及びみなし侵害となる範囲 商標法 50 条の商標の使用の範囲といった制度の根幹にかかわる部分 指定役務としての表示例 経過措置の必要性の有無についての運用上の問題等である ( 担当 : 主任研究員内山誠治 ) 25