既存の高越ガス設備の耐震性向上対策について

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足場関係審議会説明資料(当日配布セット版)

機関 調査を行った建築士又は建築基準適合判定資格者検定合格者 登録年月日及び登録番号登録をした者 氏建築士の場合 一級建築士 二級建築士又は木造建築士の別 建築基準適合判定資格者検定合格者の場合 4. 証明者が宅瑕疵担保責任保険法人の場合 証明を行った宅瑕疵担保責任保険法人 調査を行った建築士又は建

特定個人情報の取扱いの対応について

消防災第 71 号 平成 22 年 2 月 24 日 各都道府県消防防災主管部長殿 総務省消防庁国民保護 防災部防災課長 ( 公印省略 ) 公務員の消防団への入団促進について ( 通知 ) 消防団員は 普段はそれぞれに他の職業をもつ地域住民により構成され 非常災害が発生した際に 自らの地域は自らで守

員長及び医薬品医療機器等法登録認証機関協議会代表幹事宛て送付するこ ととしていることを申し添えます 記 1. 基本要件基準第 13 条第 5 項及び第 6 項への適合性確認の基本的な考え方について (1)2023 年 ( 平成 35 年 )2 月 28 日 ( 以下 経過措置期間終了日 という )

3. 証明者が登録宅性能評価機関の場合 証明を行った登録宅性能評価機関 調査を行った建築士又は建築基準適合判定資格者検定合格者 称印 登録年月日及び登録をした者 建築基準適合判定資格者検定合格者の場合 登録を受けた都道府県 ( 二級建築士又は木造 ) 合格通知日付又は合格証書日付 合格通知番号又は合

事務連絡 平成 29 年 10 月 25 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局建設業課長 平成 28 年熊本地震の被災地域での建設工事等における 予定価格の適切な設定等について 公共工事の予定価格の設定については 市場における労務及び資材等の最新の実勢価格を適切に反映させつつ 実際の施工

別添資料 地下階の耐震安全性確保の検討方法 大地震動に対する地下階の耐震安全性の検討手法は 以下のとおりとする BQ U > I BQ UN I : 重要度係数で構造体の耐震安全性の分類 Ⅰ 類の場合は.50 Ⅱ 類の場合は.25 Ⅲ 類の場合は.00 とする BQ U : 地下階の保有

耐震等級 ( 構造躯体の倒壊等防止 ) について 改正の方向性を検討する 現在の評価方法基準では 1 仕様規定 2 構造計算 3 耐震診断のいずれの基準にも適合することを要件としていること また現況や図書による仕様確認が難しいことから 評価が難しい場合が多い なお 評価方法基準には上記のほか 耐震等

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中央区建築物の解体工事の事前周知に関する指導要綱

Annex to compilation of comments

本ワーキンググループにおけるこれまでの検討事項

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別添 別添 地下貯蔵タンクの砕石基礎による施工方法に関する指針 地下貯蔵タンクの砕石基礎による施工方法に関する指針 本指針は 危険物の規制に関する政令 ( 以下 政令 という ) 第 13 条に掲げる地下タンク貯蔵所の位置 構造及び設備の技術上の基準のうち 当該二重殻タンクが堅固な基礎の上に固定され

事務連絡平成 30 年 10 月 26 日 各都道府県消防防災主管課東京消防庁 各指定都市消防本部 } 殿 消防庁予防課 外国人来訪者や障害者等が利用する施設における災害情報の伝達及び避難誘導に関するガイドライン のリーフレットの配布について 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会が開

Microsoft Word - 所有者周知用(全体).doc

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経済産業省 20140519 商局第 1 号 平成 26 年 5 月 21 日 各都道府県知事殿 経済産業省大臣官房商務流通保安審議官 既存の高圧ガス設備の耐震性向上対策について 高圧ガス設備については 高圧ガス保安法及び液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律 ( 以下 高圧ガス保安法 という ) に基づき 耐震設計を義務付けているところです こうした中で 平成 23 年東北地方太平洋沖地震の災害 ( 東日本大震災 ) では 鋼管ブレースを有する球形貯槽 3 基で鋼管ブレースの交差部分に亀裂を生じる事象が発生しました 鋼管ブレースの交差部分に亀裂が生じることは 球形貯槽全体の耐震性を著しく低下させることから 平成 25 年 11 月 29 日に高圧ガス設備等耐震設計基準を改正し 平成 26 年 1 月 1 日に施行したところです 当該基準への適合については 平成 26 年 1 月 1 日以降新設された球形貯槽については義務付けられますが それ以前に新設等がされた球形貯槽についても耐震性の向上を図る必要があります こうしたことから 別添 1のとおり 鋼管ブレースを有する球形貯槽の耐震性の向上について を取りまとめました また 昨年 内閣府の中央防災会議において これまでの想定を超える南海トラフ

巨大地震や首都直下地震に関する報告書が取りまとめられました これらの報告書の中で 地震による危険物等の火災などでの周辺への被害等を防ぐために 高圧ガス保安法に基づく対策を進めること 高圧ガス設備などの耐震性の確保に向けた対策に取り組むこと等が指摘されています こうしたことを踏まえ 既存の高圧ガス設備の中でも地震により事故発生のリスクが高いと考えられる最新の基準に適合をしていない設備 とりわけガスの種類 ガスの貯蔵等の能力や設備が設置されている場所から事業所の敷地の境界までの距離を踏まえ 事故が発生した場合に周辺への影響が大きいと考えられる設備については速やかに耐震性の向上を図る必要があります こうしたことから 別添 2のとおり 過去に設置され最新の耐震設計基準に適合していない高圧ガス設備の耐震性の向上について を取りまとめました 貴職におかれましては 別添 1 及び別添 2で取りまとめましたことに留意され 引き続き適切な対応をお願いするとともに 貴管内の事業者に対してこの旨周知されるようお願いします また 別添 1 及び別添 2に示した設備の耐震性の向上に必要な費用については 一般財団法人エンジニアリング協会を通じ 高圧ガス設備の耐震補強支援事業費補助金 制度により耐震化工事の費用の一部を補助する制度が設けられています ( 別添 2に関しては 一部対象とはならない補強工事あり ) ので 本制度の活用により円滑に耐震補強工事が実施されるよう併せて事業者に周知されるようお願いいたします なお 本通知は 地方自治法第 245 条の4 第 1 項に基づく技術的な助言であることを申し添えます

( 別添 1) 鋼管ブレースを有する球形貯槽の耐震性の向上について 1. 目的鋼管ブレースを有する球形貯槽については 東日本大震災における被害を踏まえ 平成 25 年 11 月 29 日 高圧ガス設備等耐震設計基準を改正し 平成 26 年 1 月 1 日に施行したところである 当該耐震設計基準への適合が義務付けられない平成 26 年 1 月 1 日以前に新設等された球形貯槽についても 当該耐震設計基準に基づき耐震評価を行うとともに 必要な場合には耐震補強を行う なお 鋼管ブレースの交差部分及び支柱と鋼管ブレースの取付け部分の補強工事については ( 参考 ) における 鋼管ブレースの有効な補強方法 による場合にあっては耐震設計上軽微な変更の工事とし 当該有効な補強方法以外の補強方法による場合にあっては基礎への影響などを考慮して個別に判断するものとする 2. 対象設備球形貯槽 ( 鋼管ブレースを有するものに限る ) のうち 平成 26 年 1 月 1 日より前に 設置の許可を受けたもの 3. 耐震評価方法及び耐震工事の実施 ( 参考参照 ) (1) 耐震評価について 平成 26 年 1 月 1 日に施行した高圧ガス設備等耐震設計基準の鋼管ブレースに係る評価基準により評価を行う (2) 耐震評価の結果 十分な耐震性を有していない設備について 事業者は設備の耐震補強に向けた改修計画を策定する (3) 改修計画には改修までの間の保安の確保のための措置も併せて記載する 4. 都道府県への報告上記 3. について 事業者は 本通知の日 ( 平成 26 年 5 月 21 日 ) から 1 年以内を目途に都道府県に報告を行う なお 合理的な理由により本通知の日から 1 年以内の報告が不可能である場合には 同日までに事業者としての取組の方向性や上記 3. が終了する予定日について都道府県に報告するものとし 終了次第 再度 都道府県に報告を行うものとする

( 別添 2) 過去に設置され最新の耐震設計基準に適合していない高圧ガス設備の耐震性の向上について 1. 目的南海トラフ巨大地震や首都直下地震等のこれまでの想定を超える地震の発生が予測される中で 既存の高圧ガス設備の中でも地震により事故発生のリスクが高いと考えられる最新の基準に適合をしていない設備 とりわけガスの種類 ガスの貯蔵等の能力や設備が設置されている場所から事業所の敷地の境界までの距離を踏まえ 事故が発生した場合に周辺への影響が大きいと考えられる設備について 耐震評価を行うとともに 必要な場合には耐震補強を行う 2. 対象設備コンビナート等保安規則第 2 条第 1 項第 22 号の特定製造事業所における高圧ガス設備等耐震設計基準の耐震設計設備及びそれらの基礎であって 当該耐震設計基準による重要度が Ⅰa 及び Ⅰ に該当するもの ( 当該耐震設計基準制定前のものを含む ) ただし 次のものを除く (1) 平成 26 年 1 月 1 日以降に 設置の許可を受けたもの (2) 平成 26 年 1 月 1 日時点の高圧ガス設備等耐震設計基準を満たすことが都道府県に報告されているもの 3. 耐震評価方法及び耐震工事の実施 (1) 耐震評価について 最新の高圧ガス設備等耐震設計基準 ( レベル 2 地震動を含む ) により評価を実施する または 最新の知見を踏まえ 当該設備が設置されている地点での最大の地震動を想定した上で耐震評価を実施する (2) 耐震評価の結果 十分な耐震性を有していない設備について 事業者は設備の耐震補強に向けた改修計画を策定する (3) 上記取組が技術的 経済的に相当程度困難である場合には 困難である理由を示した上で 他の代替措置を講じる等により リスク低減等を図る 4. 都道府県への報告高圧ガス設備等耐震設計基準による重要度が Ⅰa の高圧ガス設備については 事業者は 本通知の日 ( 平成 26 年 5 月 21 日 ) から 1 年以内を目途に 上記 3. の耐震評価の結果や十分な耐震性を有していない場合の改修計画等について都道府県に報告を行う なお 合理的な理由により本通知の日から 1 年以内の報告が不可能である場合には 同日までに事業者としての取組の方向性や上記 3. が終了する予定日について都道府県に報告するものとし 終了次第 再度 都道府県に報告を行うものとする

球形貯槽の鋼管ブレースに係る評価及び補強方法 ( 参考 ) 1. 球形貯槽の鋼管ブレースに係る評価については 以下の 鋼管ブレースの強度の評価 に基づき評価を行う 2. 上の 1. の結果 十分な耐震性を有していない場合 以下の 鋼管ブレースの有効な補強方法 に掲げる方法等で補強を行うものとする なお 鋼管ブレースの有効な補強方法 に掲げる方法以外で補強する場合には 高圧ガス設備等耐震設計基準に照らして十分な保安水準の確保ができる技術的根拠がある方法で行うものとする また 既に鋼管ブレースの交差部分を補強しているものの補強方法を評価する場合には 同様の方法で評価を行うこととする 鋼管ブレースの強度の評価 1 算定応力等について 次式により鋼管ブレースの交差部分の引張応力及びせん断応力を算出 引張応力 :σ t =σ t +σ c cos(2θ) せん断応力 :τ=σ c sin(2θ) σ t 鋼管ブレースの交差部分に生じる引張応力 τ 鋼管ブレースの交差部分に生じるせん断応力 σ t 引張応力が生じる鋼管ブレースに発生すると算定される引張応力 σ c 圧縮応力が生じる鋼管ブレースに発生すると算定される圧縮応力 θ ブレースの仰角 2 許容応力等について 鋼管ブレースの交差部分の引張応力とせん断応力の組合せに対する次式により判定 なお 支持構造材の耐震設計用許容引張応力の値 ( 材料規格値から計算された値 ) の代わりに 実際の使用材料の許容引張応力の値 ( 材料証明書の値又は実測値から計算された値 ) を用いてもよい ft 支持構造材の耐震設計用許容引張応力

鋼管ブレースの有効な補強方法 1 鋼管ブレースの交差部分鋼管ブレースの交差部分については 図 1 に示す 4 枚のダイヤフラム ( リングを含む ) または貫通ガセットにより補強を実施すれば有効 図 1: 鋼管ブレースの交差部分の有効な補強方法 2 支柱と鋼管ブレースの取付け部分支柱と鋼管ブレースの取付け部分については 図 2 に示す 2 枚のダイヤフラム ( リングを含む ) により補強を実施すれば有効

図 2: 支柱と鋼管ブレースの取付け部分の有効な補強方法 ( 参考 ) 代表的な補強 ダイヤフラムリングガセット