教育課程の管理 Ⅰ 教育課程の編成と実施 1 教育課程とは何か 学校において編成する教育課程は 憲法 教育基本法 学校教育法 学校教育法施行規則 学習指導要領 地方教育行政の組織及び運営に関する法律などに従い学校教育の目的や目標 を達成するために 各教科 道徳 特別活動及び総合的な学習の時間について それらの目 標やねらいを実現するよう教育の内容を学年に応じて 授業時数との関連において総合的に 組織した各学校の教育計画である したがって 各学校において教育課程を編成する場合 教育目標の設定 指導内容の組織 及び授業時数の配当が教育課程の編成の基本的な要素になってくる この3つの要素が有機 的に関連付けられ計画化されたものが教育課程であり それを作成することが教育課程の編 成である 2 教育課程の編成の原則 (1) 法令及び学習指導要領の示すところに従う 1 全国一定の教育水準の確保 2 教育委員会の規則や指導方針に従う (2) 児童 生徒の人間としての調和のとれた育成を目指す 1 心の教育の充実 2 道徳教育の充実 (3) 地域や学校の実態を十分に考慮する 1 開かれた教育活動 2 学校評価 ( 外部 内部評価 ) (4) 児童 生徒の心身の発達段階及び特性等を十分に考慮する (5) 生きる力 をはぐくむ各学校の特色ある教育活動を展開する 1 特色ある教育活動 2 学校や教師の創意工夫 3 教育課程に関する法令 (1) 教育基本法 1 教育の目的 ( 第 1 条 ) 2 教育の目標 ( 第 2 条 ) (2) 学校教育法 1 目的 小学校 ( 第 29 条 ) 中学校 ( 第 45 条 ) 高等学校 ( 第 50 条 ) 特別支援学校 ( 第 72 条 ) 2 教育課程に関する事項 教育課程 ( 第 33 条 )( 第 48 条 ) 学科 教育課程 ( 第 52 条 ) 学科 教育課程 保育内容 ( 第 77 条 ) (3) 学習指導要領 < 小 中学校 ( 例 )> 1 総則 教育課程編成の一般方針 内容等の取扱い 総合的な学習の時間の取扱い 授業時数等の取扱い 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項 2 各教科 道徳 特別活動 総合的な学習の時間 -1-
(4) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律 1 教育委員会の職務権限 ( 第 23 条 )( 第 23 条の第 5 号 ) 2 学校等の管理 ( 第 33 条 ) 3 文部科学大臣又は都道府県教育委員会の指導 助言及び援助 ( 第 48 条 ) (5) 東京都立学校の管理運営に関する規則 1 教育課程の編成 ( 第 13 条 ) 2 教育課程の編成基準 ( 第 14 条 ) 3 授業時間の割り振り ( 第 14 条の2) 4 教育課程の届出 ( 第 15 条 ) (6) 学校教育法施行規則 小 ( 1) 教育課程の編成 ( 第 50 条 ) ( 2) 授業時数 ( 第 51 条 ) ( 3) 教育課程の基準 ( 第 52 条 ) 中 ( 1) 教育課程の編成 ( 第 72 条 ) ( 2) 授業時数 ( 第 73 条 ) ( 3) 教育課程の基準 ( 第 74 条 ) 高 ( 1) 教育課程の編成 ( 第 83 条 ) ( 2) その他の教育課程の基準 ( 第 84 条 ) 併設型中高一貫校 ( 1) 併設型の教育課程の特例 ( 第 114 条 ) ( 2) 一貫教育のための教育課程 ( 第 115 条 ) 4 教育課程の編成 実施 評価 改善 (1) 教育課程の編成 1 教育課程編成の主体 教育課程編成における学校の主体性の重視 校長が責任者となって編成する 編成作業においては 全教職員の協力のもとに行う 2 教育課程編成の手順 各学校が創意工夫を生かして特色ある教育課程を編成 実施することが求められ ている ア 教員課程の編成に対する学校の基本方針を明確にする 全教職員の共通理解 イ 教育課程の編成のための具体的な組織と日程を決める 組織的 計画的な実施 ウ 教育課程の編成のための事前の研究 調査をする 法的基準の理解 地域や学校の実態 エ 学校の教育目標など 教育課程編成の基本となる事項を決める オ 教育課程を編成する 教育目標の実現を目指し 教育内容を選択 組織し授業 時数を配当する (2) 教育課程編成上の配慮事項 1 児童 生徒の言語事項の適正化 2 体験的 問題解決的な学習及び自主的 自発的な学習の推進 3 学級経営と生活指導の充実 4 課題選択や自己の生き方を考える機会の充実 5 指導体制の工夫 改善 個に応じた指導の工夫 6 障害のある児童 生徒の指導 7 海外からの帰国児童 生徒などの指導 8 コンピュ-タ等の教育機器 教材教具の工夫 9 学校図書館の利用 10 学習指導の改善と評価の工夫 11 家庭 地域社会との連携及び学校相互の連携協力 -2-
(3) 教育課程の評価 1 評価の観点 学習指導要領総則に示された事項が押さえられているか 学習指導要領 国 教育委員会の示す基準が満たされているか 学校の教育目標が具現化されているか 児童 生徒の実態 教職員の実態 施設 設備の諸条件と適合しているか 保護者や地域社会の期待と適合しているか 2 評価の方法 全教職員の共通理解を図り 組織的に進める 評価を年間計画に位置付ける 多面的 継続的 客観的に評価する (4) 教育課程の改善編成した教育課程をより適切なものに改めること 学校は教育課程を絶えず改善する基本的態度をもつことが必要である 改善の手順 評価の資料を収集し 検討する 整理した問題点を検討し 原因と背景を明らかにする 改善案をつくり 実施する -3-
Ⅱ 教育課程編成上の課題 1 特色ある教育課程編成上の課題の視点 (1) 学校の自主性 自律性の確保 1 開かれた学校づくり 2 学校の説明責任 3 地区教育委員会の行政課題の具現化 (2) 教育課程編成の際に重視する視点 1 年間授業時数の確保 2 各教科等の指導の充実 3 道徳の時間の充実 ( 小 中学校 ) 4 総合的な学習の時間の充実 5 選択教科の充実 ( 中学校 ) 6 進路指導の充実 7 学校行事の適切な扱い 2 各学校における教育課程の編成上の課題 (1) 教育課程の認識の問題 (2) 教育計画に対する認識の問題 (3) 組織の一員としての自覚意識の問題 (4) 教職員の経営参画意識の問題 ( 意識改革 ) 3 教育課程の改善のための編成上の課題 (1) 目標管理の課題 特色ある教育課程編成と 自校における 教育課程の特色 への共通理解 認識 (2) 進行管理の課題 教育課程による教育活動の推進と評価 開かれた学校づくり 学校評議員 学校の説明責任 授業改善 ( 指導力の向上 ) 業績評価の活用 学校経営方針 ( 学校経営計画 ) と自己申告 自己評価 校内研修の充実 学校評価の工夫 教育課程実施への反映 幼稚園 小学校 中学校 高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について ( 平成 20 年 1 月 17 日中教審答申 ) 学習指導要領改訂の基本的な考え方 ( 1) 改正教育基本法等を踏まえた学習指導要領改訂 ( 2) 生きる力 という理念の共有 ( 3) 基礎的 基本的な知識 技能の習得 ( 4) 思考力 判断力 表現力等の育成 ( 5) 確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保 ( 6) 学習意欲の向上や学習習慣の確立 ( 7) 豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実 -4-
Ⅲ 教育課程管理上の課題 1 教育課程の管理とは 教育課程の編成 実施 評価 改善のそれぞれの場面で教育課程が適正に実施されている かを管理すること (1) 管理職に求められる教育課程の管理 目標管理 日々の教育活動が学校の教育目標や学校経営方針 ( 学校経営計画 ) の もとに進められているか 進行管理 日々の教育活動が適切に実施されているか また それらを支える指 導組織や教材 設備等の条件整備が効果的に進められているか (2) 教育課程の管理の具体的な方策 1 計画に基づいた教育活動の実施 各教師による自己点検 自己評価の実施 ア 学年 学級 教科経営案 イ 週ごとの指導計画 ウ 自己申告 2 共通理解の実施 教職員組織による自己点検 評価 ( 主幹 主任のリーダーシップ ) ア 職員会議 イ 分掌部会 各種委員会 ウ 学年会 エ 校内研修 研究会 3 管理職による自己点検 評価 ア 日常の校内巡視 イ 教育活動の点検 ウ 報告 連絡 相談体制の確立 エ 授業観察 オ 面接指導 ( 自己申告 人事考課制度 ) 4 学校関係者による評価の活用 ア 学校評議員 イ 保護者 地域等の意見 アンケート等 ウ 保護者 地域等の学校教育活動への参加 エ 教育委員会の指導 助言 (3) 東京都公立小 中学校 教育課程編成のための資料 平成 12 年 3 月 東京都公立小学校 学校評価資料 平成 13 年 2 月 東京都公立中学校 学校評価資料 平成 12 年 12 月 参照 東京都立高等学校 学校評価基準 平成 14 年 9 月 東京都立盲 ろう 養護学校 学校評価基準 平成 15 年 1 月 義務教育諸学校における学校評価ガイドライン平成 18 年 3 月 義務教育諸学校における学校評価ガイドライン改訂平成 18 年 1 月 -5-
2 教育課程管理のためのマネジメントサイクル教育課程を効率よく管理 運営する上での一つの手法である 教育課程の編成と進行管理( 例 ) 教育課程の編成 教育課程の管理 学校全体の取り組み ( 具体的な取り組み ) 確認事項 編成教育課程の編成 学年配置 校務分掌 分掌内容の明確化 ( Plan ) 教育目標の具現等の校内組織の編成 ( 開かれた学校づくりに向けた) 化に向けての重 教育課程に対する共校内組織の目標 活動内容の設点化通理解定具体的な教育計 教育課程編成の方針に基づいた画の作成教育計画の作成 ( 分掌 委員会 学年 学級 教科 ) 保護者 地域等への教育内容についての説明資料作成 教育内容に関する情報発信の方針の作成 予算編成の適正化など 実施教育計画に基づ 計画に基づいた教育 計画に基づいた校内組織( 分掌 ( Do) いた教育活動の活動の推進委員会 研究 研修 ) の運営 実施 分掌 学年 学級 点検各教科の教育計画に 計画に基づいた教育活動( 各教基づいた教育活動の科 道徳 総合的な学習の時間実施 特別活動等) の推進 点検 ( 週ごとの指導計画等の確認 授業観察等 ) 学校公開( 授業公開 ) の実施 月 学期ごとの授業時数の管理 ( 週ごとの指導計画の整理 点検 ) 予算執行の管理 評価教育活動の実施 教育課程の実施状況 評価方法 内容の検討 ( Check) 結果についてのについての評価 教職員による自己点検 自己評評価 評価の分析と考察価の実施 学校評価( 外部 内 校内組織( 分掌 委員会 研部評価 ) の検討と実究 研修 ) についての評価 施分析 まとめ 計画に基づいた教育 教育活動( 各教科 道徳 総活動の評価 分析 合的な学習の時間 特別活動まとめ等 ) の評価 分析 まとめ 学校運営連絡協議会 保護者 児童 生徒等の授業評価の整理分析 まとめなど 改善次年度に向けて 評価を活用した改善 教育活動充実に向けての評価の ( Action) の改善案と次年と次年度計画の作成活用方針の作成度教育課程の編 短期 中期 長期的 各教科 分掌 委員会 学年成な視点に立った改善ごとの次年度に向けた改善案と次年度計画の作成 ( 特色ある教育課程編成に向けた ) 改善案 次年度計画の共通理解など など 連絡 調整を密にする- 校長 副校長 主幹教諭 主任 教職員の役割に基づいた連絡 調整の在り方を共通理解する ( 情報の伝達ルート 集約の方法等 ) 評価 改善の考え方 - 短期的に行うもの 長期的に行うものという視点で分類 整理する 着手可能なことは年度途中でも即実施する -6-