ISO9001-whitepaper.pdf

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ISO 9001:2015 から ISO 9001:2008 の相関表 JIS Q 9001:2015 JIS Q 9001: 適用範囲 1 適用範囲 1.1 一般 4 組織の状況 4 品質マネジメントシステム 4.1 組織及びその状況の理解 4 品質マネジメントシステム 5.6 マネジ

どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化

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説明項目 1. 審査で注目すべき要求事項の変化点 2. 変化点に対応した審査はどうあるべきか 文書化した情報 外部 内部の課題の特定 リスク 機会 利害関係者の特定 QMS 適用範囲 3. ISO 9001:2015への移行 リーダーシップ パフォーマンス 組織の知識 その他 ( 考慮する 必要に応

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16年度第一回JACB品質技術委員会

5. 文書類に関する要求事項はどのように変わりましたか? 文書化された手順に関する特定の記述はなくなりました プロセスの運用を支援するための文書化した情報を維持し これらのプロセスが計画通りに実行されたと確信するために必要な文書化した情報を保持することは 組織の責任です 必要な文書類の程度は 事業の

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ISO/TC176/SC2/N1291 品質マネジメントシステム規格国内委員会参考訳 ISO 9001:2015 実施の手引 目次 1.0 序文 2.0 ISO 9001:2015 改訂プロセスの背景 3.0 ユーザグループ 4.0 実施の手引 4.1 一般的な手引 4.2 ユーザグループのための具

説明項目 1. 審査で注目すべき要求事項の変化点 2. 変化点に対応した審査はどうあるべきか 文書化した情報 外部 内部の課題の特定 リスク 機会 関連する利害関係者の特定 プロセスの計画 実施 3. ISO 14001:2015への移行 EMS 適用範囲 リーダーシップ パフォーマンス その他 (

4.4 マネジメントシステム プロセス 5 リーダーシップ 5.1 リーダーシップ コミットメント 組織の状況を考慮し リスク ( 不確かさに影響 ) 及び機会 ( 何かをするのによい時期 ) として取り組むことを決定した情報から適用範囲に含まれていない範囲が存在していませんか恣意的に限定した適用範

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ISO/FDIS ISO 9001 の主要な変更点 1. 附属書 SL の適用 2. 組織の状況の理解と QMS の適用範囲の決定 3. プロセスアプローチの適用向上それを支援する PDCA サイクルとリスクに基づく考え方 4. リーダーシップの強化 5. 組織の意図した結果 顧客満足の向上 パフォ

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1 主要機関の情報 ISO 改訂に関する情報 ( 調べ ) (1)( 一社 ) 日本規格協会 (JAS) の情報 第 21 回 ISO/TC207( 環境管理 ) 総会報告

よくお聞きする内部監査の課題 課題 1 毎年 同じチェックリスト ( 同じ質問 ) 課題 2 内部監査への積極的関与が乏しい 課題 3 形式的で 実用的でない ( 審査のためのもの ) 課題 4 あら探しになっている 課題 5 質問が抽象的でわかりにくい 課題 6 文書と記録ばかり求める課題 7 不

統合化の概要次回の改訂時迄には ISO D Guide83 に沿って整合性を図った 要求事項の定義 要求事項タイトル 要求事項の順番 そして定期的な適切性や妥当性有効性等の強化を含む見直しによって追加補充や変更点への対応を含めた対応が必要とされるが 統合化の構成の概要は 以下の通りススムパートナーズ

図表 11に都道府県別取得件数 ( 上位 10 位 ) を 図表 12に産業分野別取得件数 ( 上位主要産業分野 ) を 図表 13に産業分野別取得件数の推移を示します 産業分野別件数 ( 図表 12) では最も多いのが 建設 の15,084 件 次いで 基礎金属 加工金属製品 の6,434 件 電

提出を求めることが想定される 本連載は 2015 年版によるシステム変更をマニュアルに反映させるため 要求項目順に 2004 年版と FDIS の差異の説明 マニュアルの改訂例という構成で 6 回に渡り整理するものである 2.FDIS と 2004 年版の構成比較 FDIS と 2004 年版の構成

柔軟な文書化要求 それぞれの詳細説明は の ISO/FDIS14001:2015 規格説明会資料に譲りますが いずれもその考え方は既に ISO14001:2004 に含まれており 2015 年版への改訂に当たり EMS に関する 意図した成果 の達成に向けて IAF が強調しておきたいことを記載した

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目次 4. 組織 4.1 組織及びその状況の理解 利害関係者のニーズ 適用範囲 環境活動の仕組み 3 5. リーダーシップ 5.1 経営者の責務 環境方針 役割 責任及び権限 5 6. 計画 6.1 リスクへの取り組み 環境目標

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概要 このホワイトペーパー ( 白書 ) は 2014 年 5 月に発行された現在のドラフト版である ISO/ DIS9001 ( 以下 DIS9001) の内容に関する見解を述べたものです このホワイトペーパーは DIS9001 のすべての要求事項を完全に解説するものではなく DIS9001 で提

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パデセア黒柳 ISO 改訂版対応 - 環境マニュアル改訂文例 第 4 回 :ISO14001:2015 逐条解説と環境マニュアルの例 (6.2~7.4.3) ISO 改訂版対応 - 環境マニュアル改訂文例 として今回は 6.2 環境目標及びそれを達 成するための計画策定 7.

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1 適用範囲 2 引用規格 3 用語の定義 69の用語 4- 組織の状況新規 4.1- 組織とその状況の理解 [1] 2 組織は 組織組織の目的目的と戦略戦略の方向方向に関係する内外の課題課題を決定しなければならない これらの課題は 想定された結果を達成する上で品質マネジメントシステムの能力に影響す

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する 2 利害関係者がこれを入手できる ISO14001 では利害関係者が入手可能なものとして 環境方針がある 環境方針と併せて利害関係者が要請した場合 渡すことが出来る状態にすることが必要である 一般的には自社のホームページに掲載していれば 誰でも入手可能な状態と言える (3) 環境マニュアルの例

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ISO 制定 / 改訂の経緯 1996 年 : ISO 発行 (JIS Q14001 発行 ) 2004 年 : ISO 第 2 版発行 (JIS Q14001 発行 ) 2011 年 : ISO/TC207/SC1において 改訂を行うことを決定 2012 年 ~

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目次 1. 一般 目的 適用範囲 参照文書 用語及び定義 内部監査 一般 内部監査における観点 内部監査の機会 監査室

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目 次 1. 適用範囲 P4 2. 引用規格 P5 3. 用語及び定義 P5 4. 組織の状況 P7 4.1 組織及びその状況の理解 P7 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 P7 4.3 個人情報保護マネジメントシステムの適用範囲の決定 P7 4.4 個人情報保護マネジメントシステム P7

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目 次 1. 適用範囲 P4 2. 引用規格 P5 3. 用語及び定義 P5 4. 組織の状況 P6 4.1 組織及びその状況の理解 P6 4.2 利害関係者のニーズ及びと期待の理解 P6 4.3 環境マネジメントシステムの適用範囲の決定 P6 4.4 環境マネジメントシステム P6 5. リーダー

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序文 0.4 Plan-Do-Check-Actモデル環境マネジメントシステムの根底にあるアプローチの基礎は Plan-Do-Check-Act(PDCA) という概念に基づいています PDCAモデルは 絶え間ない改善を達成するために用いる反復的なプロセスを示しています PDCAモデルは環境マネジメ

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プロジェクトマネジメント知識体系ガイド (PMBOK ガイド ) 第 6 版 訂正表 - 第 3 刷り 注 : 次の正誤表は PMBOK ガイド第 6 版 の第 1 刷りと第 2 刷りに関するものです 本 ( または PDF) の印刷部数を確認するには 著作権ページ ( 通知ページおよび目次の前 )

3 参照基準次に掲げる基準は この基準に引用される限りにおいて この基準の一部となる - プライバシーマーク付与適格性審査実施規程 - プライバシーマーク制度における欠格事項及び判断基準 (JIPDEC) 4 一般要求事項 4.1 組織 審査業務の独立性審査機関は 役員の構成又は審査業務

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何故 2 つの規格としたのですか (IATF 16949:2016 及び ISO 9001:2015)? 2 つの規格となると 1 つの規格の場合より, 読んで理解するのが非常に難しくなります 1 まえがき 自動車産業 QMS 規格 IATF と ISO との間で,IATF を統合文書と

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2 序文この規格は,2015 年に第 5 版として発行された ISO 9001 を基に, 技術的内容及び構成を変更することなく作成した日本工業規格である なお, この規格で点線の下線を施してある参考事項は, 対応国際規格にはない事項である 0.1 一般品質マネジメントシステムの採用は, パフォーマン

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Transcription:

ISO Revisions ISO 9001 Whitepaper 品質マネジメントシステム 2015 年改定に向けた変更点の理解

はじめに ISO 9001 はどのように役立つのでしょうか? ISO 9001 は すべての業種とすべての規模の組織に適用が可能です また 組織が顧客要求事項を理解し満たすことに焦点を当て それらを確実にするためのシステムとプロセス構築に役立ちます その実現のために 組織は顧客満足に影響を与える可能性のある事業プロセスを運営し 管理し 改善を行うことが必要とされます ISO 9001 の構造をより知りたいのですが 品質マネジメントに関して世界的に認知されている規格 ISO 9001 は PDCA アプローチに基づいて作られました これは すべての ISO マネジメントシステム規格に対する運用の原理です 品質マネジメントの状況内で考えると PDCA アプローチは次のような役割です Plan ( 計画 ): 組織の事業環境と顧客要求事項を理解し 次にそれらが組織にどのよ うに影響を与えるかを明確にします そして顧客満足改善のための 目的 目標及び実行計画を明確にします 目的 目標及び実行計画は 組織の方針の中にすべて組み入れます Do( 実施 ): 品質及びマネジメントの実行計画を実施します Check( 測定 ): 組織の目標に対するプロセスと運用状況を監視及び測定し 結果を 報告します Act( 改善 ): 継続的に顧客満足度を向上させる改善のための是正処置をとります ISO 9001:2015 が組織に与える影響 今回の変更では 顕著な影響をあたえると考えられている 3 つの重要なポイントがあります 多くのお客様が 規格と組織の事業戦略とが連携された場合に一層良い成果が得られることを認識されています よって 第一の重要なポイントは トップマネジメントの役割が鍵となる点です " リーダーシップ " を思考の中核におくことを確実にし 目標とゴールの設定を強調しています 第二のポイントは すべての規格の統合に関することです そのために作成された新しいハイレベル構造は 異なる規格においても相互に共通してサポートできることを確実にするために導入されました これから作成される規格も その構造と整合性を持たせることになっており ISO 9001 との統合もうまくできるでしょう その結果 お互いにリンクして プロセスと活動に付加価値と効率をもたらすでしょう 第三のポイントは 組織の事業マネジメントの変更に関することです そのためには 顧客要求事項を満たし 予防的アプローチをとることに影響を与えるかもしれないリスクとチャレンジをよく理解しながら進める必要があることです ISO 9001 から誰がベネフィットを得られるか ISO 9001 を新規に認証取得する組織 新たなバージョンは 使用する用語や状況の記述において サービス産業との両立をより可能としています また リスクと改善の機会のマネジメントについて強調をしており 多くのマネジメント層の現状の思考と同一線上に新たな規格はあると言えます 初期のドラフト段階では 従来の 製品 は もの に変更することになっていましたが 現在では変更前に戻り 製品及びサービス となっていることは興味深いことです 認証取得済の組織多くの認証取得済組織は 少なくなった規定的な要求事項を評価しているでしょう 新たな規格では 手順 ( 書 ) については何ら要求していません しかしながら その管理を示すことを要求しています 対象の領域を明確にし 成果物の管理ができていることを組織は実証しなければなりません それをどのように行うかは組織次第です 新たな規格での重要な目標の一つは 組織が多くのマネジメントシステム規格を 統合されたビジネスマネジメントシステムとして展開することができることです 今後すべてのマネジメントシステム規格は ISO 9001 と同じ構造になり 統合が容易となって マネジメントの改善が容易になるでしょう これにより すべての組織にとって 組織の取り組み方 マネジメントとの連携 調和のとれたシステムの提供 及び組織の全ビジネスと品質目標の達成のための支援についてレビューする機会が得られます

なぜ ISO 9001 は変更されるのか すべてのISO マネジメントシステム規格は 定めたルールの下でレビューが行われることになっています 大規模なユーザー調査の結果により ISO 9001 に責任を持つ委員会は 市場動向に関する妥当性を維持するため レビューを行うことが適切であることを決定し 次の目的を設定しました 今後 10 年間にわたり一貫した基盤を提供する 組織の活動がますます複雑になる環境を反映させる 新たな規格は すべての潜在的ユーザーグループのニーズを反映することを確実にする 顧客満足に対する組織の能力を高める 他のマネジメントシステムと統合する 組織のマネジメントに対する統合されたアプローチを提供する ISO 9001:2015 ISO 9001:2015 は Annex SL 新しいハイレベル構造 (HLS: High Level Structure) に基づいています すべてのマネジメントシステム に対し 共通の枠組みを与えます これにより一貫性を維持し 異なる マネジメントシステム規格を同一の構造で作成できるようにし トップ レベル構造に整合したサブ箇条を与え 全規格を通じて共通の用語を使 用することを支援しています PDCA アプローチをベースに ISO 9001:2015 はハイレベル構造に従って作られます 新規格が発行されれば 組織は 品質マネジメントシステムを事業の コアプロセスに包含させることが容易となり かつマネジメント層の さらなる関与の機会を得やすくなります 箇条 0 箇条 1 箇条 2 箇条 3 箇条 4 箇条 5 箇条 6 箇条 7 箇条 8 箇条 9 箇条 10 序文適用範囲引用規格用語及び定義組織の状況リーダーシップ計画支援運用パフォーマンス評価改善 提案された変更で顕著なものは何か 2015 年版に向けて 2014 年 5 月に発行された DIS での重要な変更点は 以下のようになっています : 企業ガバナンスに対して目標を設定し 遂行するために マネジメント システムにとって重要なトピックスでもあります リーダーシップの強調 リスクマネジメントに焦点 目標 監視 測定の強調 コミュニケーションと認識 少なくなった規定的な要求事項リーダーシップと事業の状況第一に 組織は 外部 内部の組織の目的に関連する課題を決定する必要があります すなわち 外部と内部で 組織の行動に影響を与える課題 又はマネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を及ぼす課題についてです ここで 課題 という言葉は 以前の規格 (ISO 9001:2008) で言及していた予防処置のテーマとして取り上げていた問題を指すのみならず 国内外の市場に対する保証及び この観点から マネジメント層は 幅広い事業環境 社会 文化及び法令を そしてそれらが顧客要求事項を満たす組織の能力に影響を与える 又はその可能性があるかを 理解していることの実証を可能にしておく必要があります 同様に組織の状況として 組織内部の強み 弱みを把握する必要があります そして これらが組織の製品又はサービスの提供能力に いかに影響を与える可能性があるかを把握する必要があります これにより 現状のそれらのプロセスに対して特定の責任を割り当てる必要性が判断でき 加えて 個々のプロセスに含まれる重要なリスクと リスクの管理 又はリスクの削減又は移転のためにとられた取り組みの状況の理解を確実に示すことを含めて ビジネスマネジメントの概念が強化されていくでしょう 今や トップマネジメントは マネジメントシステムに一層大きな関与を伴うことになります トップマネジメントは マネジメントシステムの要求事項が組織のプロセスに統合され 方針と目標が組織の戦略的な方向性と両立するものであることを確実にしなければなりません

提案された変更で顕著なものは何か ( 前ページ続き ) リスクマネジメントに焦点マネジメント層は 事業リスクを理解し それらがいかに顧客要求事項を満たす能力に影響を与えるかを理解し 実証しなければなりません 効果的なリスクマネジメントプロセスが 新しいバージョンに対して順調に認証が行われるために重要となるでしょう マネジメントシステムによって その意図された成果が達成できること 及び継続的改善が達成できることを確実にしなければなりません 箇条 6.1 リスク及び機会への取組みはこれらを包含し リスクマネジメントについて what, who, how, when を示しています 組織は これらのリスク及び改善の機会の取組みを マネジメントシステムのプロセスへ統合し 実施する方法と取組みの有効性の評価方法について計画を立てなければなりません 予防処置はリスクにとってかわりました 組織は どこでリスクが発生しているかを明確にし それらについて運営管理が行われていることを確実にする必要があります リスクは 期待されている結果に対する不確かさの影響と定義されていますが 新しい規格では 全体を通してリスクベースの考え方がさらに明確化しています コミュニケーション及び認識箇条 7.3 認識は 組織の管理下で働き 自らの権限を保有している人々に対する箇条であり 品質方針 品質目標 品質マネジメントシステムに対して自らの貢献 不適合に対する影響等を認識していることが望まれます すべての人々が マネジメントシステムの要求事項に対して適合していないということで何が起こるかの意味合いを知ることを確実にするということの認識が一層強調されています 箇条 7.4 コミュニケーション 内部と外部のコミュニケーションが要求事項になっています 何を / 誰に / いつ / どのようにコミュニケーションするかを決定するかは組織に任せています コミュニケーションは 内部及び外部の利害関係者の両方に対して重要です そして 組織はコミュニケーション計画を展開しなければなりません 誰がコミュニケーションに責任を持つかを決定すること 及び適切な権限 力量及び知識を持っていることを確実にすることが重要です コミュニケーションの計画には多様な手段を含めることができます 例えば 組織で発行を行う冊子 打合せ セミナー カンファレンス及びニュースレターです 目標と測定品質目標周辺の要求事項も一層詳細になっています 品質目標は 品質方針と一貫して整合性を持たせる必要があり ( 実践的であれば ) 測定可能なもので 監視され コミュニケーションされ 必要に応じて更新されなければなりません また 関連する部門 階層で確立されていなければなりません 目標は 結果をどのように評価するかは当然として どのように目標を達成するかの施策も計画に含めることが求められています 組織は 目標 必要な資源 実施を必要とする事項 及び期限を決めて提出する責任者を決定しなければなりません つまり 品質目標を確立するに当たって どのようにして達成するのかの計画を明示しなければならないということです そして 目標 ( 達成されるべき結果 ) は 細かな点まで具体的で 戦略的で 実施可能なものでなければならないことが重要です 少なくなった規定的な要求事項新バージョンの多くは 手順の要求事項は存在しないという事実でできているといってよいでしょう しかし文書化に対する要求事項は存在します 箇条 7.5 文書化した情報は 文書化した情報の取り扱いについて述べており 3つのサブ箇条に分かれています 一般 作成及び更新 及び管理についてです 組織は どのような情報の保持を望むか 及びどのようにそれらを更新し 適切に保護するかを決定しなければなりません 箇条 8 運用は次の事項を含みます 顧客とのコミュニケーション ( 製品についての情報 契約 注文 ) 設計 開発変更のレビュー 外部提供者に対する情報 識別及びトレーサビリティ 製品及びサービスのリリース ( 運用管理の一部となる ) 不適合プロセスアウトプット 製品及びサービス すべて管理を必要とする要求事項でできています よって 組織はこれ らの要求事項を組織内でいかに最善の方法で構築していくかを考慮して いかなければなりません

ISO 9001:2015 発行および移行スケジュール 2014 2015 2016-18 5 月 DIS( 国際規格案 ) 公表 パブリックコメント受付開始 7 月 FDIS( 最終国際規格案 ) 9 月 ISO( 国際規格 ) 発行 2018 年 9 月 移行完了 BSI Group BSI-JP-561_00-Marketing-0914 上記スケジュールは 変更となる場合があります 現在は DIS( 国際規格案 ) の段階です DIS に対するフィードバックにより FDIS( 最終国際規格案 ) が 2015 年夏に公表される予定です 最終版は 2015 年 9 月に予定されています 組織は 規格発行後 新たな要求事項に対して 3 年の間に移行を完了する必要があります 移行期間を長く感じられるかも知 れませんが BSI では 今から移行に向けた準備をおすすめします 移行への準備について 規格書 (DIS) の購入 DIS 版の規格購入からスタートすることを推奨いたします 日本規格協会 ( http://www.webstore.jsa.or.jp/webstore/top/index.jsp) から購入が可能です トレーニングの機会 BSI では お客様が最終目標に到達するプロセスには相当の時間を要すると考えています よって できるだけ早く移行準備に取り掛かっていただくことを推奨しています 貴社の事業において 現在は移行についての話し合い 新たな規格について理解を行うステージであるかと考えます また それは例えば 実行プロセスに関係したり 内部監査に関係する方々といった移行にたずさわる方々への教育 訓練を始める絶好の時期でもあります BSI は DIS( 国際規格案 ) 発行に伴い最新の改定セミナーを実施しています ISO 9001 の DIS の要求事項を 2008 年版と比較しながら また 附属書 SL の説明や要求事項の詳細解説をいたします 2008 年版とは大きく異なった 2015 年版の詳細について学びたい方は 本セミナーのご受講をお勧めいたします また FDIS 発行後は 現在提供中のトレーニングコースにその内容を盛り込んでいきます コースの詳細や最新スケジュールに関しましては BSI ジャパンのウェブサイトにアップしておりますのでぜひご確認ください また BSI ジャパンの審査員にぜひお声かけください 移行完了まで 貴組織が移行をスムーズに完了できるよう審査員への教育 訓練も開始しています お客様が移行への準備をどのように進めていらっしゃるかを拝見し 教育 訓練やサポート用資料の必要性などを分析しながら 従来以上に密接にお客様のサポートをさせていただきます 最新情報は下記 Website をご覧ください www.bsigroup.com/ja-jp/iso9001/iso9001rev/ BSI グループジャパン株式会社 T: +81 (0)3 6890 1172 www.bsigroup.com/ja-jp/