138 木材 木質材料の加圧式保存処理方法 蒔田 章 日本木材防腐工業組合 1. はじめに木材に発生する劣化を防ぐ処理には, 表面処理 ( 木材の表面に塗布や吹付と言った簡易な方法で薬液を付着させる処理 ), 加圧注入処理 ( 専用の大型設備で機械的圧力差を利用した高度な保存処理 ) がある どちらの処理方法を採用するかは, 木材をどのような環境で使用し, どの程度の耐用年数を期待するのかによる 本稿は, 木材内部まで保存剤を注入することが出来る加圧注入処理について, 設計者 施工者が保存処理木材を選択するとき, どのような品質のものを選べば良いのか, どのように使えば良いかを判断するときの参考にして頂きたく作成した 2. 木材保存剤木材はそれが使われる使用環境, 例えば接地 ( 木材が水分を受け易い地面 コンクリートと接する環境 ) 暴露( 木材に雨がかかる環境 ), 非接地 ( 木材が水分を受け易い地面 コンクリートと接しない環境 ) 暴露, 非接地 非暴露 ( 木材に雨がかからない環境 ) によって, 劣化外力に大小がある 木材の生物劣化を防ぐには, 木材保存剤の種類, 木材保存剤の木材への注入量 浸潤度を考えて保存処理を行う必要がある 2.1 加圧注入処理用木材保存剤の種類加圧注入処理に用いる木材保存剤は JIS K 1570 ( 木材保存剤 ) 1) に規定されている 2010 年度版に記載されている木材保存剤について, その種類, 処理木材の特徴, 有効成分の概要を表 1に示した 木材保存剤は, 水溶性, 乳化性, 油溶性及び油性木材保存剤に区分されている 水溶性は水に溶かして使用する製剤, 乳化性は非水溶性の成分を乳 化した製剤で水で希釈して使用する 油溶性木材保存剤は有効成分を有機溶媒に溶かして使用する製剤で, 乾式注入処理で使用する クレオソート油に代表される油性木材保存剤は, それ自体が油状の木材保存剤で, 石炭の乾留で得られるコールタールを蒸留して製造される 現在汎用されている主な木材保存剤には, 第四級アンモニウム化合物系 (AAC), 銅 第四級アンモニウム化合物系 (ACQ), 銅 アゾール化合物系 (CUAZ) などがある 2.2 金属等との相互作用保存処理木材と金属等の相互作用について検討した結果, 金属類を含まない AAC 系や AZN 系木材保存剤ではコントロール材と同様に金属腐食性が起こりにくいこと, 銅を含有する ACQ や CUAZ 等の木材保存剤では AAC 系より激しい金属腐食性が見られたこと, 最近開発された防錆処理した接合金物では AAC 系や銅系木材保存剤でも, 金属腐食性が少なかった これらの結果を 長期耐用化住宅のための仕様書 に反映させた 2) 3. 加圧注入法 3.1 前処理としてのインサイジングと乾燥防腐品質の安定した保存処理木材を製造するには, 注入前の素材管理が重要である 注入前の主な前処理には素材のインサイジングと乾燥があり, とりわけインサイジングは製品の品質を左右する重要なポイントである インサイジングは古くから, 品質の安定化を図る目的で枕木の製造で使われてきた技術である インサイジングは, 小さな刃物で材料の表面に傷をつけ, 木材表面から, 木材保存剤の均一な浸潤を確保するための前処理である
分類保存処理薬剤の種類有効成分特徴水仕上がりは木材色乳化材保存剤 仕上がりは木材色油溶 139 表 1 我が国で汎用されている加圧用木材保存剤の有効成分と処理木材の特徴 溶性化合物系 DDAC アゾール 第四級アンモニウ 第四級アンモニウム化合物系 DDAC 銅 アゾール化合物系 銅 第四級アンモニウム化合 酸化銅 物系 BKC ほう素 第四級アンモニウム ホウ酸 ム ネオニコチノイド化合物 系 アゾール 第四級アンモニウム 非エステルピレスロイド化合物系 酸化銅シプロコナゾール シプロコナゾール DDAC イミダクロプリド シプロコナゾール DMPAP エトフェンプロックス 第四級アンモニウム 非エス DMPAP テルピレスロイド化合物系 シラフルオフェン DDAC を主成分とした木材保存剤で, 処理木材は木材色の仕上がり 銅を主成分とし, 銅耐性菌対策としてアゾールを配合した木材保存剤 青緑色に仕上がる 銅と BKC を主成分とした木材保存剤 処理木材は青緑色の仕上がり ホウ酸と DDAC を主成分とした木材保存剤 処理木材は木材色の仕上がり DDAC にアゾールとイミダクロプリドを配合した木材保存剤 処理木材は木材色の仕上がり DMPAP にアゾールとエトフェンプロックスを配合した木材保存剤 仕上がりは木材色 DMPAP にシラフルオフェンを配合した木材保存剤 性ナフテン酸銅系 ナフテン酸銅 処理木材はナフテン臭を有する 仕上がりは緑色 ~ 暗緑色を呈する ナフテン酸亜鉛系 ナフテン酸亜鉛 処理木材はナフテン臭を有する 仕上がりは木材色 バーサチック酸亜鉛 ピレス バーサチック酸亜鉛 脂肪酸金属塩にピレスロイド系殺虫剤を配合した木 ロイド系 ペルメトリン 性ナフテン酸銅系 ナフテン酸銅 ナフテン酸亜鉛系 ナフテン酸亜鉛 アゾール ネオニコチノイドシプロコナゾール乾式注入処理用の木材保存剤で, 化合物系イミダクロプリド仕上がりは木材色油性クレオソート油コールタール蒸留物 処理木材はナフテン臭を有す 仕上がりは木材色 乾式注入処理用 処理木材はナフテン臭を有する 仕上がりは緑 ~ 暗緑色 乾式注入処理用 仕上り褐色, クレオソート臭あり 有害なベンゾピレン類は規制値以下 インサイジングを行う上での留意点としては, 強度低下の問題が懸念されている 製材の日本農林規格 ( 以下 製材 JAS という) ではインサイジングの取り扱いについて インサイジングは欠点と見なさない ただし, 曲げ強度性能の低下率はおおむね10% を超えないこと と規定されている 保存処理木材の製造工場では,10% 以上の強度低下がないことが確認されたインサイジング機を用いてインサイジング作業を行っている 一般的な刃物の形状は幅 10mm 長さ 10~ 15mm 厚さ2~4mm で, インサイジング密度は3,000~4,000 個 /m 2 である インサイジング機 ( 刃物部分 ) を写真 1に, パターンを写真 2に, 浸透性に及ぼすインサイジングの効果を写真 3に示す 注入性改善策としてインサイジング技術は重要 であるが, 樹種によって注入性に難易があることは, よく知られた事実である 森林総合研究所監修 木材工業ハンドブック第 4 版 3) によれば, 写真 1 製材用インサイジング加工機 ( 刃物部分 )
140 写真 2 写真 3 代表的な製材用インサイジングのパターン * インサイジング密度 :3,500 個 /m 2 インサイジング加工が木材保存剤の浸透性に及ぼす効果左 : ヒノキ ( インサイジングなし ) 右 : ヒノキ ( インサイジングあり ) 国産材樹種では, 注入性がやや良好な樹種として スギ が, 困難な樹種として エゾマツ, トド マツ, ヒノキ が, 極めて困難な樹種として カ ラマツ が記載されている カラマツでは, 所定 の条件で加圧注入処理しても製材 JAS の K3 基 準 (4.1 参照 ) を満足することは難しいことから, 乾燥度合いの調整, 浸透性良好な木材保存剤の選 択, インサイジングの高密度化 (7,000~8,000 個 / m 2 ) 等の対策 4) が必要である その例として, 乾式処理では有機溶媒に有効成分を溶かしている ため, 薬液の浸透性が高く, インサイジング密度 を高密度化することで, カラマツ集成材への保存 処理を実用化している 一般的に加圧注入処理では注入前材料の乾燥管 理は,JAS や AQ に定める保存処理基準を満足 した製品を製造するための重要な前処理である JIS A 9002( 木質材料の加圧式保存処理方法 ) 5) には, 乾燥の目安として含水率 30% 以下にすることが記されており, これを基準にした作業標準を作成, 注入不良を防止している 3.2 加圧注入法加圧注入法の基本的な事項は,JIS A 9002に規定されている 参考までに, 一般的な加圧注入処理装置を写真 4に, 加圧式保存処理木材の製造工 6) 程の概要図を図 1に示す 保存処理木材の製造工程を図 1に示す 木材を注薬缶に搬入し前排気, 所定の圧力と時間, 加圧操作を継続し, 目的とする品質が確保できる圧入量に達したら加圧注入工程を終了する 缶だし後, 注入量等の検査, 定着 養生工程, さらに, 湿式処理では乾燥工程を経て保存処理木材は製造される なお, 乾式注入処理では処理液を排出したのち, 有効成分の溶解に使われた有機溶媒回収操作を行うことで, 乾燥された保存処理製品が製造される このように, 木材の保存処理工程は単純な工程であるが, 均一で安定した防腐品質を確保した保存処理木材を製造するには, 適切な管理が必要である 設計者 施工者等が自身の購入する保存処理木材の品質について知りたいときは, 処理工場が発行する薬剤名, 樹種, 材積, 圧入量等のデータが記載された 防腐 防蟻処理証明書 6) で確認できる 湿式処理 と 乾式処理 の長所 短所など, その特徴を表 2に整理した 乾式処理は今後要望が増大する可能性のある集成材等, エンジニアードウッドの処理には, 注入後の再乾燥等の手間がかからず, 便利な方法であるが, 使用する有機溶媒は比較的高価であり, また処理工場においては, 溶媒の取扱への配慮が必要である 写真 4 一般的な注薬設備の一例 ( 注薬缶 )
141 図 1 加圧式保存処理木材の製造工程 表 2 乾式処理と湿式処理の比較表 項目乾式処理湿式処理 使用薬剤の剤形油溶性 ( 非極性溶媒 ) 水溶性 乳化性 ( 水 極性溶媒 ) 処理後の寸法変化小さい大きい 再乾燥の有無再乾燥は不要再乾燥が必要 防腐 防蟻性能湿式処理と同等乾式処理と同等 その他事項 集成材等の乾燥した材料の処理に最適な処理方法 高価な溶媒を用いるので回収率が製造コストに大きく影響 溶媒による作業環境への影響に配慮が必要 集成材等の乾燥材料の注入後に再乾燥工程が必須 溶媒に水を使用するため薬剤単価は安価 4. 品質基準 4.1 製材の日本農林規格における保存処理基準製材 JAS では, 薬剤と木材の使用環境による性能区分 (K1~K5) ごとに性能基準が規定されている ( 表 3) また, それに対応する優良木質建材等認証 (AQ) 基準も定められている 6) 規定される項目として木材保存剤の種類と性能区分ごとの保存性能, すなわち浸潤度と吸収量が規定されている 一般的に保存処理木材の性能は, 浸潤度と吸収量で決まる 製材 JAS に規定され 6) ている浸潤度基準をイメージ図で表 4に示す これによると, 浸潤度基準は心材の耐久性が大きい D1 樹種と心材の耐久性の比較的小さい D2 樹種に区分し, 注入製品としての防腐 防蟻性能を規定している 4.2 優良木質建材等認証 (AQ) 制度における保存処理基準保存処理集成材等の新しい木質建材が次々に開発され, 日本農林規格 (JAS) だけでは対応が追い付かない状況が続いている 新たに開発された製品の品質性能を認証する制度が AQ 制度である AQ は昭和 49 年から農林大臣の行う制度として運用されてきたが, 昭和 63 年度からは ( 公財 ) 日本住宅 木材技術センターの運営する優良木質建材等認証 (AQ 認証という ) である JAS に保存処理の基準が規定されていない集成材, 単板積層材及び合板などについては, 防腐 防蟻処理として AQ 認証で対応している 主な AQ 認証製品の概要を表 5に示す 防腐 防蟻処理構造用集成材は, ラミナを処理したのち集成化するもの, 完成品を処理するもの, 中断面
142 表 3 製材 JAS における性能区分と対応する AQ 性能区分加圧式保存処理木材の使用状態 AQ K1 K2 K3 K4 K5 AQ の性能区分は JAS 相当 屋内の乾燥した場所に使用する木材に, 乾材害虫 ( ヒラタキクイムシ ) に対する防虫性を付与する処理 ( 防虫処理木材 ) 北海道など気温の低い地域で使用する木材に, 防腐 防蟻性能を付与する処理 建築用など非接地 非暴露で使用 日本全国で使用する木材に, 防腐 防蟻性能を付与する処理 屋外 建築用など非接地 暴露で使用 屋外で風雨に曝される厳しい環境で使用する木材に, 防腐 防蟻性能を付与する処理 屋外など接地 暴露で使用 屋外の風雨に曝される厳しい環境で, 枕木のような土中に埋設, 又は海中で使用する木材に高度の耐久性能を付与する処理 - 3 種 2 種 1 種 - 表 4 製材 JAS に規定されている浸潤度基準 性能区分樹種群浸潤度 ( イメージ図 ) 解説 K2 D1 辺材部分の 80% 以上 材面から 10mm までに存在する心材部分の 20% 以上 K3 D2 全ての樹種 D1 辺材部分の 80% 以上 材面から 10mm までに存在する心材部分の 80% 以上 K4 D2 (90mm 以下 ) D2 (90mm を超えるもの ) 辺材部分の 80% 以上 材面から 15mm までに存在する心材部分の 80% 以上 辺材部分の 80% 以上 材面から 20mm までに存在する心材部分の 80% 以上 心材の耐久性区分樹種群 D1 心材の耐久性区分樹種群 D2 ヒノキ, ヒバ, スギ, カラマツ, ベイヒ, ベイスギ, ベイヒバ, ベイマツ, ダフリカカラマツ, サイプレスパイン D1 以外の樹種 集成材 ( 完成品 ) に仕口加工等を施したのち処理するもの, また, 単板積層材や構造用合板ついても製品 ( 完成品 ) 処理, 単板処理など, 多様な基準が定められている 集成材の浸潤度基準には, 製材 JAS と同様, 材表面から10mm 層の80% 以上を満足する製品, ラミナ注入集成材では材表面基準に加え全断面積の80% 以上の浸潤性能を満足した製品などが規定されているので, 設計者 施工者はその使用目的に合った製品を選択して使うことを勧める また, 使用環境と密接な関係のある吸収量についても, 製材 JAS 基準と整合性が 図られており,AQ2 種 ( 製材 JAS の K3 相当 ), AQ3 種 (JAS の K2 相当 ) の品質が規定されている これらの相互関係は表 3に示した なお, インサイジングしたラミナを用いて作製した集成材の接着力への影響, 集成材の強度性能 7) に及ぼす影響についての検討結果によると, 浸漬はくり試験, 煮沸はくり試験及びブロックせん断試験等の接着力についてはインサイジングの影響は見られなかった 曲げ強度については, 片面インサイジングでは10% 程度の低下率であった また, 曲げヤング係数についてはいずれの条件で
143 表 5 加圧注入処理による主な保存処理木質材料の AQ 認証 木質材料の名称記号対象建材の範囲性能基準 ( 浸潤度 ) 防腐 防蟻処理集成材 防腐 防蟻処理合板等 C-1 C-2 C-3 C-5 D-2 加圧処理法により防腐 防蟻処理を施したラミナを使って製造した製品 ラミナにインサイジングを施した製品は土台に限る 製品の強度性能はインサイジング後のラミナの強度性能による構造用集成材 ( 完成品 ) に加圧処理法により, 防腐 防蟻処理 ( 評価基準を定めた薬剤は油溶性木材保存剤のみ ) を施した製品構造用集成材 ( 完成品 ) に加圧処理法により, 防腐 防蟻処理 ( インサイジングは可 ) を施した製品中断面の構造用集成材 ( 完成品 ) に加工を施したのち防腐 防蟻処理を施した製品 合板等 ( 単板積層材含む ) を加圧処理法又は単板処理することで防腐 防蟻処理を施した製品 全断面積の 80% 以上, かつ, 材面からの深さ 10mm までの部分の 80% 以上 全断面積の 80% 以上, かつ, 材面からの深さ 10mm までの部分の 80% 以上 製材の JAS の K2(3 種 ),K3(2 種 ) と同じ 製材の JAS の K2(3 種 ),K3(2 種 ) と同じ 各層の単板に薬剤が確認できること LVL は, 全断面積の 60% 以上, かつ, 材面からの深さ 10mm までの部分の 80 % 以上 も低下率は10% 以内であった 木材保存剤が接着力に及ぼす影響については, AAC 系及び銅系木材保存剤で検討され 8), いずれも問題ないことが示されている 写真 5に浸透性の良好なラジアータパインとオウシュウアカマツのインサイジングラミナを使った防腐防蟻処理集成材, 製品インサイジング集成材の薬剤浸潤状況を示したので, 使用場面に合わせた製品を選択する時の参考にしてほしい これらの JAS や AQ に定められた性能基準は, 使用環境において長期耐久性が期待できるものとして定められた基準で, 各防腐工場では基準に 100% 合格する品質の保存処理木材を製造するた め, 適正な品質管理を行っている 4.3 木材保存剤の認定システム新規の木材保存剤が開発された場合の実用化プロセスについて簡単に説明する 新規木材保存剤が開発されると, 木材保存剤等審査事務局を経由し,( 公財 ) 日本住宅 木材技術センターに設置された専門家委員会に於いて, 木材保存性能は勿論, 人畜や環境に対する安全性など広範囲にわたる性能について審査され, 優良木材保存剤と判断された木材保存剤は,( 公社 ) 日本木材保存協会の実施する優良木材保存剤等の認定制度により認定を取得, 実際の防腐工場で使われる その後の使用実績等を考慮して JIS K 1570( 木材保存剤 ) 写真 5 保存処理集成材の樹種 処理による薬剤浸潤状況の比較左 : 製品注入 ( オウシュウアカマツ ): インサイジングあり中 : ラミナ処理 ( オウシュウアカマツ ): インサイジングあり右 : ラミナ処理 ( ラジアータパイン ): インサイジングなし
144 に, さらに,JAS には木材保存剤として追加さ れる なお, 加圧注入製品は ( 公財 ) 日本住宅 木材技術センターの実施する優良木質建材等 (AQ) 認証の対象製品になる 5. 保存処理木材 木質材料の使用上の留意点 製材 JAS 基準 ( 表 4) では, 材料への木材保 存剤の浸潤は, 中央部分において材表面から 10mm 層の 80% 以上を求めている 言い換えると 材料の中心部分には木材保存剤が注入されていな くてもよいことになる このような材料を使用す る場合, そのままの形状で使えば問題は起こらな いが, 切断や仕口の加工など, 二次加工を行うこ とで, 薬剤の未浸潤な部分 ( 写真 6) が露出し, 耐久性確保の面からは弱点になる その場合には, ( 公社 ) 日本木材保存協会 (JWPA) 等が認定す る表面処理用木材保存剤を充分に塗付処理するこ とで対応している 塗布処理では, 無処理に比べ 3~5 倍程度の耐用年数が延長される 3) なお, JWPA 認定の表面処理用木材保存剤は油溶性剤 や水ベースの可溶化剤など種々あるので, 用途に 適した製剤を選択して使うよう心掛けることが肝 要である 長期耐用を目的に保存処理木材の作り方 使い 方については, 日本木材防腐工業組合の纏めた小 冊子 加圧式保存処理木材の手引き 6) に記載さ れているので, 以下に留意すべき事項を整理して 紹介する 材料選択時の留意点として, 加圧式保存処理木 写真 6 保存処理木材の仕口加工と木材保存剤の浸潤状況 ( 薬剤の未浸潤の部分に仕様に則り充分な量を処理する ) 材には使用環境に応じた性能基準が決められてい るので, 使用される環境と期待する耐用年数に応 じた品質の材料を選択することや, 湿度や水分の 滞留し難い設計時の構造上の配慮も必要である 保存処理を行う時の留意点としては, インサイ ジング, 素材の乾燥など注入処理前作業の徹底と, 加圧注入後の材料の加工は薬剤の未浸潤部が露出 し耐久性の低下につながるので, 前もって加工し た後, 加圧注入処理を行うことを推奨する やむ を得ず, 保存処理木材を現場で加工した場合には, その部分に ( 公社 ) 日本木材保存協会の認定品で ある優良木材保存剤を未浸潤な部分に十分, 表面 塗布処理を行うなどの配慮が必要である 6. 新しい耐久性付与の方法 木材保存剤を使用せず木材の耐久性を確保し, 都市の木質化や外構部材等に活用する方法がいく つか開発されている 高温熱処理木材 9), 低分子 フェノール樹脂処理木材 10), フェノール樹脂含浸 積層材 (LVL), 化学修飾木材が該当する 参考文献 1) 日本工業規格 (JIS)K 1570( 木材保存剤 ). 2 ) 日本木材防腐工業組合 : 長寿命化住宅仕様書作成委員会報告書,2010 年 3 月 31 日. 3 ) 森林総合研究所監修 : 木材工業ハンドブック改訂 4 版 p.808,p.829 平成 16 年 3 月 30 日発行. 4 ) 日本木材保存協会 : タナリス CY 研究会 ( 追加樹種カラマツへの加圧注入処理 ) 平成 15 年 2 月. 5 ) 日本工業規格 (JIS)A 9002( 木質材料の加圧式保存処理方法 ). 6 ) 日本木材防腐工業組合 : 加圧式保存処理木材の手引き, 平成 27 年 1 月. 7 ) 日本住宅 木材技術センター : 防腐 防蟻処理構造用集成材 ( ラミナ処理 ) インサイジング加工強度試験研究報告書 ( 建設省委託事業 ), 平成 8 年 2 月. 8 ) 公益社団法人日本木材保存協会 : 日本農林規格 ( 集成材 ) の保存性能 JAS 基準化に関する研究 ( 事業完了報告書 ), 平成 25 年 3 月 14 日. 9 ) 森田珠生, 荘保伸一, 山口秋生, 今村祐嗣, 桃原郁夫 : 熱処理木材の耐久性, 耐蟻性について, 日本木材保存協会第 25 回年次大会研究発表論文集,2009,pp.2-7. 10 ) 内倉清隆 : エコアコールウッド ( 低分子フェノール樹脂処理木材 ) について, 木材保存,35 (2),66-70(2009).