基礎からわかる日本史 第 24 講鎌倉文化と庶民の生活 鎌倉文化 12 世紀後半 ~14 世紀初頭 特徴仏教が民衆宗教として確立した 芸術の分野でも武士の気風が反映されるようになり 絵画 彫刻ではより写実的となった ポイント 1 文学和歌 新古今和歌集 勅撰和歌集 古今和歌集 に始まる八代集の最後後鳥羽上皇の命撰者藤原定家 家隆 きんかいわかしゅう みなもとのさねとも 金槐和歌集 源実朝万葉調 山家集 西行北面の武士 あずまかがみ 史書 吾妻鏡 幕府公式歴史書日記体で記述北条政子の演説ぐかんしょうじえん 愚管抄 1220 慈円地位は天台座主 ( 最高位 ) 平家物語 道理と末法思想により歴史の推移を述べる歴史哲学書 びわほうし琵琶法師 が平曲により語る つれづれくさ随筆 徒然草 吉田兼好 ほうじょうき 方丈記 鴨長明無常 しゃせきしゅう説話集 沙石集 無住 仏教説話 ぎょくよう日記 玉葉 九条兼実弟に慈円がいる鎌倉幕府成立時期の第 1 級の史料 守護, 地頭の設置についても記述 いざよい紀行文 十六夜 ゆうそくこじつ にっき日記 きんぴしょう あぶつ 阿仏 に尼 実子と継子の訴訟裁判のため京都から鎌倉に下ったときの紀行文中世三大紀行文の 1 つ ( 他 東関紀行 海道記 ) 有職故実 禁秘抄 順徳天皇公家社会の儀式や先例を研究 2 彫刻 東大寺南大門金剛力士像運慶 快慶 ( 弟子 ) むちゃくぞうせしんぞう興福寺無著像 世親像 六波羅蜜寺空也上人像 てんとうき りゅうとうき 興福寺天灯鬼 竜灯鬼 運慶 ( 無著世親はインドの僧 ) 康勝 6 体の阿弥陀仏 康弁ユーモラス 1
第 24 講鎌倉文化と庶民の生活 3 建築 ちょうげんちんわけい大仏様 < 天竺様 > 勧進上人 ( 募金を集める ) 重源が宋の工人 陳和卿を招き採用壮大 ( ダイナミック ) な建築様式 東大寺南大門 禅宗様 < 唐様 > 細かな木材で美しさを表現 ( 整然美 ) 全体的に鋭い感じ 円覚寺舎利殿 和様伝統的な建築様式 蓮華王院本堂 ( 三十三間堂 ) 折衷様 観心寺本堂 大仏様 禅宗様 4 絵画 絵巻物北野天神縁起絵巻 にせえ似絵 おぶすまさぶろうえまき 男衾三郎絵巻 もうこしゅうらいえまき 蒙古襲来絵巻 一遍上人絵伝 菅原道真の生涯 笠懸 地方武士の生活の様子 すえなが 元寇の様子 竹崎季長 写実的な肖像画ふじわらのたかのぶ ( 伝 ) 源頼朝像 平重盛像藤原隆信 後鳥羽上皇像 ちんそう頂相 円伊備前国福岡市 ( 岡山県の定期市 ) 館の様子 藤原信実 禅宗僧侶の肖像画師が弟子に与える弟子は自分のお寺に飾る 5 神道 伊勢神道 6 教育 金沢文庫 わたらいいえゆき 度会家行 類聚神祇本源 反本地垂迹説の立場 ほうじょうさねとき 北条実時 ( 金沢 ) 称名寺内の私設図書館 2
基礎からわかる日本史 7 工芸甲冑明珍家 あわたくちよしみつ 刀鍛冶粟田口吉光 ( 京都 ) 岡崎正宗 ( 鎌倉 ) おさふねながみつ 長船長光 ( 備前 ) 陶器瀬戸焼加藤景正朝鮮陶器ではない 1 住居 武士の生活惣領制血縁的結合! おもや 住居 館 ( 母屋 うまや 厩 ば ば ものみやぐらやぐら 馬場 物見櫓 矢倉 ほり 堀 どるい 土塁 かきね 垣根 ) 形式 武家造 しょうさく 館の周囲には門田 佃 正作といわれた直営地が付属して存在していた 武士は下人 所従などの農民に耕作させ経営していた そうりょうせい 2 惣領制 内容 武士一門の集団的結合の一形態で 幕府の御家人制度の基礎をなした 惣領 ( 嫡子 ) 父親から 一門の家督を継いだ者 戦時に 一門を統率する 庶子 ( 嫡子以外の兄弟 ) 自立性をもっている 相続法 { 分割相続 }= 数人の相続者が先祖相伝の所領を分割して分け合うこと いっしょけんめい一所懸命 ち の地 ( 一生懸命の語源 ) ~ 惣領 庶子はそれぞれの所領の経営にあたった のち { 単独相続 } へ移行 後期 女性について 御成敗式目に制定 ~ 比較的地位は高く 御家人 地頭になるいちごぶん例もあった また 所領 財産は相続できた= 一期分 ( 本人一代限り ) 婚姻形態 嫁入婚 ( 鎌倉時代から ) 3 日常生活つわものみち 背景 武士 ( 道徳 = 兵の道 ) は戦時の準備のため 騎射三物を行ない武芸の習練に努め た まきがり * 巻狩 獲物を囲んでおぶすま 内容 騎射三物 = 犬追物 ( 犬を弓矢で射る ) 笠懸( 的を馬上から弓矢で射る ) 男衾三 郎絵巻 流鏑馬 ( 馬を走らせながら的を弓矢で射る ) 3
第 24 講鎌倉文化と庶民の生活 地頭の荘園侵略 1 地頭の不法行為 背景 承久の乱後 約 3000 余ヶ所を没収し西国の土地に地頭が派遣されるようになる 地頭はその地で略奪を繰り返した ~ 年貢の横領 土地略奪など あてがわのしょうみん 例 1275 紀伊国寂楽寺領阿氐河荘民訴状出典 高野山文書 ゆあさむねちか 耳ヲ切リ鼻ヲソギ髪ヲキリ尼トナス 地頭 ( 湯浅宗親 ) の非法を荘園領主に訴えた 経過 荘園領主らは幕府に地頭の抑制を訴えるが効果なし とうごうのしょう 東郷荘 解決策 地頭請 = 地頭が荘園領主に対して一定額の年貢を請け負う 下地中分 = 土地を半分に分けて各々を侵犯しないようにした 強制中分 ( 幕府の裁決 ), 和与中分 ( 地頭 荘園領主の和解契約 ) 絵図 産業 社会 経済 1 鎌倉時代の庶民の生活農業 内容 米と麦の二毛作の開始 = 生産力は向上する : 麦が裏作 畿内, 西日本の温暖な地域に限られた かりしきそうもくばい 肥料は刈敷, 草木灰, 厩肥を使用した 牛馬耕が進展し 鉄製農具も普及した え副業 原料作物を栽培 荏 ごま胡麻 こうぞ ( 灯油の原料 ), 楮 あい ( 和紙の原料 ), 藍 ( 染料の原料 ) ~ 公事として荘園領主などに納入するようになる 手工業 農業生産力の向上により, 専門の手工業者が出現した 座の結成 かじ例 鍛冶 いもじ 鋳物師 こうや ( なべ かま ) 紺屋 ( 彩色業者 ) など 2 商業の発達 背景 手工業の発達 農業生産力の向上 貨幣経済 ( 宋銭 ) の進展 年貢の銭納 代銭納 ( 中世のころから使われた ) 内容 三斎市 月 3 回の定期市が寺社の門前 交通の要地を中心に発展した 絵 = 一遍上人絵伝 筆者 円伊 ~ 備前国福岡市 見世棚 常設店舗で京都 奈良 鎌倉などの都市を中心に発展した 4
基礎からわかる日本史 3 交通の発展 内容 問丸 貨物の輸送 管理や中継取引に従事した業者 ( 運送業者 ) 4 金融の発達ぼんげ 内容 借上 金銭の貸し付けを行なう高利貸業者 史料 凡下 さいふ 為替( 替銭 ) 遠隔地に金銭を輸送する場合に手形 ( 割符 ) などにより送金する手段 手形の代わりに米を用いる場合は替米という たの 頼 も し 母子 むじん, 無尽 鎌倉時代に始まった無担保の庶民間の相互金融制度 5
第 24 講鎌倉文化と庶民の生活 6
基礎からわかる日本史 (1) 惣領制に関して述べた文のなかで, 誤っているものを選べ (a) 一族の統率者である惣領が 幕府の命令を一族に伝達した (b) 惣領以外の兄弟を庶子といい, 原則, 単独相続により得た所領の経営にあたった (c) 惣領制は惣領 庶子の血縁的結合により成り立っていた (d) 庶子は鎌倉後期以降, 自立性を強めて現地での地縁的結合を強化していった (2) 鎌倉時代の産業 社会 経済について述べた文として, 誤っているものを選べ (a) 米や麦の二毛作が開始され 肥料は刈敷や草木灰が使用された (b) 灯油の原料となった荏胡麻や染料の原料となった藍などが栽培された (c) 月 3 回の定期市が寺社の門前 交通の要地を中心に発展した (d) 遠隔地に現金を輸送する場合手形などにより送金する手段を頼母子といった (3) 騎射三物として, 誤っているものを選べ (a) 犬追物 (b) 流鏑馬 (c) 笠懸 (d) 巻狩 (4) 以下の空欄 ( ア )( イ ) にあてはまる適語として正しい組合せを選べ 刈り取った草葉を地中に埋めて腐敗させて使用した肥料を ( ア ), 草葉を焼いた灰を ( イ ) といい, その普及より地味の向上に役立った (a) ア刈敷 イ草木灰 (b) ア草木灰 イ刈敷 (c) ア金肥 イ油粕 (d) ア油粕 イ金肥 (5) 和紙の原料となった原料作物として, 正しいものを選べ (a) 楮 (b) 荏胡麻 (c) 藍 (d) 漆 (6) 鎌倉時代の農業 副業に関して述べた文として, 正しいものを選べ (a) 牛馬耕の進展により三毛作が全国的に普及し, 農業生産力が飛躍的に向上した (b) 刈敷や油粕などの金肥が普及して, 地味も向上した (c) 和紙の原料 荏胡麻や灯油の原料となり楮などの原料作物が栽培された (d) 畿内 西日本一帯では麦を裏作とする二毛作が普及した 7
第 24 講鎌倉文化と庶民の生活 (7) 一遍上人絵伝 に描かれている福岡市の所在地として, 正しいものを選べ (a) 伯耆国 (b) 備前国 (c) 肥前国 (d) 長門国 (8) 地頭の荘園侵略に対して, 荘園領主らが講じた解決策を述べた次の文 X Y の正誤の組 合せとして, 正しいものを選べ X 地頭へ土地を折半する半済が行われた Y 地頭へ使節遵行権といった行政権を付与した (a)x- 正 Y- 誤 (b)x- 正 Y- 正 (c)x- 誤 Y- 正 (d)x- 誤 Y- 誤 (9) 宋の工人 陳和卿の協力を得て, 東大寺再建にあたった勧進上人として, 正しいものを選べ (a) 忍性 (b) 重源 (c) 親鸞 (d) 叡尊 (10) 鎌倉文化期の彫刻として, 正しいものを選べ (a) 観心寺如意輪観音像 (b) 興福寺阿修羅像 (c) 興福寺無著 世親像 (d) 平等院鳳凰堂阿弥陀如来像 (11) 細かな木材を組み合わせて, 整然とした美しさを表現した禅宗様を採用した建造物して, 正しいものを選べ (a) 東大寺南大門 (b) 蓮華王院本堂 (c) 室生寺金堂 (d) 円覚寺舎利殿 (12) 以下の空欄 ( ア )( イ ) にあてはまる適語として正しい組合せを選べ 個人の肖像を描く写実的な ( ア ) には,( イ ) 信実父子の名手がでた (a) ア頂相イ藤原隆信 (b) ア頂相 イ藤原隆家 (c) ア似絵イ藤原隆信 (d) ア似絵 イ藤原隆家 8