りえない と明言しました こうした発言を受けて 国債利回りが改めて低下に向かうのか 9 月 日の次回会合に向けて追加 緩和期待が再び高まるのか その結果として円の上昇圧力が低下するのか 大いに注目されます 他方 米利上げ観測は低いままです FF レート ( 政策金利 ) 先物に基づけば

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また 23 日にはデットシーリング ( 債務上限 ) が復活します 当面 財務省が 奥の手 を使って資金をやり 繰りするので すぐに問題にはなりません しかし 18 年 3 月ごろには限界が来るとみられており その時点ま でにデットシーリングが引き上げられなければ デフォルト ( 債務不履行 ) の

市場調査部レポートウィークリー アウトルック 米中貿易摩擦と日米通商協議 2018 年 8 月 3 日 ( 金 ) 発行 No.186 各通貨ペアの投資戦略については Weekly 投資戦略ガイド をご参照ください 原則 毎月曜 更新 ( 次回は 8 月 6 日 ) です ファンダメンタルズ <<

相場環境 8 月の為替相場は 夏枯れ だったかもしれません ただ ブルームバーグが集計する 16 通貨のなかで 円は対ドルでの実績変動率 (8/26 までの 1 か月間 ) が南アランドに次ぐ大きさでした ( 以下 ブラジルレアル ポンド NZ ドル 豪ドル カナダドル ユーロ等の順 ) 今後 1

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次に トランプ氏は政権移行チームを立ち上げ オバマ政権からのスムーズな引継ぎを行おうとします そうした中で トランプ政権 の主要メンバーの候補が明らかになるでしょう トランプ氏が 良く知られた (=ある程度評価が定まっている ) 優秀な人材を配そうとするのか それとも 論功行賞よろしく選挙戦で貢献し

< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

日曜日夕方にお送りする経済を身近に感じるバラエティー番組 マネースクウェア ジャパンプレゼンツサポートウェルスプラス F 2016 年 10 月 2 日 ( 日 )17 時 30 分より放送開始 株式会社マネースクウェア ジャパン ( 本社 : 東京都港区 代表取締役社長 : 相葉斉 以下 当社 )

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気になるのは 2015 年 8 月の中国人民元切り下げのケースです 後に チャイナ ショック (*) と呼ばれましたが 人民元が切り下げられた 8 月 11 日と 12 日には VIX 指数はほとんど動きませんでした 人民元切り下げ ( 背景は ) 中国景気悪化 世界景気への懸念 から まず新興国市

相場環境 5 月の重要なイベント スケジュールを以下に概観します (4 月 27 日南北首脳会談 ) 5 月 1 日 NAFTA 再交渉の暫定合意目標 ( 鉄鋼 アルミ関税猶予が期限切れ ) 1-2 日米 FOMC(5/23 に議事録公表 ) 8-10 日米四半期国債入札 ( 年債 )

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2016 年 11 月 4 日 ( 金 ) 発行 No.118 市場調査部レポートウィークリー アウトルック 運命の 11 8! ブラックスワン到来に要警戒! 相場環境 そして 米大統領選挙の投票日がやってくる! 全体観 米ドル 運命の 11 8! ブラックスワン到来に要警戒! ユーロ ユーロ /

株式市場 米国株 上値が重く神経質な展開 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は下落しました FOMC( 米国連邦公開市場委員会 ) における利上げの有無 大統領選挙の動向 ドイツの大手銀行の資本不足懸念などに一喜一憂する展開となりました 月半ばにかけて 利上げ観測や原油

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株式市場 米国株 トランプ氏の政策への期待感後退で調整も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました 11 月 8 日 ( 現地 ) に行われた大統領選挙でトランプ氏が当選し 減税やインフラ投資の拡大などの同氏の政策に注目が集まりました 債券市場では金利が上

米国株 投資家心理が落ち着けば 上昇基調に回帰と想定 株式市場 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 長期金利の上昇を契機に急落米国株式市場は下落しました 月初に発表された1 月の雇用統計において 時間当たり賃金が市場予想を上回る伸び率となったことを受けて 長期金利が約 4 年ぶ

低インフレ 乏しい利上げ観測労働市場に目を向けると 8 月の失業率は約 年ぶりの低水準となる5.3% に低下した 雇用者数も伸びており 一部では技術者不足の声も聞かれる RBAは今後数年 失業率は自然失業率とされる5.% を目指して低下が続くとの見方を示している ただ 賃金の上昇率は ~ 月期が前年

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チャート編 1 日経平均株価 ( 日経 225) TOPIX( 東証株価指数 ) 2,0 NY ダウ工業株 30 種平均株価 ( 米ドル ) ダウセレクト配当込み指数 3,000 28,000 26,000 24, ,000 26,000 2,0 20,000 1,0 24,000 1

サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

(2) 資産構成割合の推移 ( 給付確保事業 ) 1 資産配分実績の基本ポートフォリオからの乖離の推移 2 実践ポートフォリオと資産配分実績の推移 3. 運用受託機関 平成 29 年 3 月末現在 2

2013年3月期3Q決算を読み解く ~転換期を迎えた日本企業のファンダメンタルズ~

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1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

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株式市場 米国株 高値警戒感の高まりなどから上昇一服も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました トランプ政権で閣僚などの人事において一部で混乱が見られましたが トランプ大統領の発言などにより減税 金融規制緩和などへの期待が高まったことや 発表された米国企

株式市場 米国株 先行き不透明感強いがファンダメンタルズは良好 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は下落しました 堅調な経済指標の発表を受けて米国の年内利上げ観測が高まったことで 金利動向の影響を受けやすいディフェンシブセクターの一部が軟調に推移しました また 米

( 平成 3 年 11 月 2 日 ) ユーロ / 円 ワイタ ーハ ント (25 日線 ) 3.% 7/ / ( 円 / ユーロ ) / / /15 7/13 8/1 9/7 1/5 11/

株式市場 米国株 国内の政策動向や海外の政治動向などに注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場はほぼ変わらずとなりました 月初には 2 月末のトランプ大統領の議会演説を好感して 株価は大幅上昇となりました しかし その後は 新政権の経済政策に対する期待が徐々に後退

目  次

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株式市場 米国株 国内外の政治動向に注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 好調な企業決算発表を受けて上昇米国株式市場は上昇しました 月前半までは2017 年 1-3 月期の決算発表内容が総じて好調であったことが株価を支えました 月半ばには コミー前 FBI( 連邦捜査局 )

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1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

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株式市場 米国株 景気 企業業績は依然として堅調 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 貿易摩擦への懸念から下落米国株式市場は下落しました トランプ米大統領が鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限する方針を表明したことから 世界的な貿易摩擦への懸念が高まり下落して始まりました その後 貿

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取引高について 2006 年の日経 225mini の開始以降 取引高は増加傾向 ( 単位 ) 300,000, ,000, ,000,000 日経 225mini 日経 225 先物 150,000, ,000,000 50,000,

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各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

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定期調査の質問のうち 代表的なものの結果 1. 日本の株価を 企業のファンダメンタルズと比較してどう評価するか 問 1. 日本の株価は企業の実力( ファンダメンタルズ ) あるいは合理的な投資価値にくらべて 1. 低すぎる 2. 高すぎる 3. ほぼ正しく評価されている 4. わからないという質問で

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受益者の皆様へ 平成 28 年 2 月 15 日 弊社投資信託の基準価額の下落について 平素より弊社投資信託をご愛顧賜り 厚くお礼申しあげます さて 先週末 2 月 12 日 ( 金 ) 以下のファンドの基準価額が 前営業日の基準価額に対して 5% 以上下落しており その要因につきましてご報告いたし

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スコ 連 銀 総 裁 ) 緩 やかな 利 上 げが 正 当 化 されると 引 き 続 き 予 想 している(メスター クリーブランド 連 銀 総 裁 ) など 今 のところ 利 上 げの 方 向 に 大 きな 変 化 はなさそうです また FF レート 先 物 に 織 り 込 まれている 利 下 げ

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株式市場 米国株 新政権の政策期待による上昇も一服 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました ISM( 全米供給管理協会 ) 指数など月初に発表された経済統計がおおむね良好であったことを受け 月前半の株式市場は堅調に推移しました 月半ば以降は 高値警戒感な

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2019/10/5(土曜日) 楽天証券サービス開始20周年記念投資セミナー(東京) 「2020年に向けての相場展望と 投資ストラテジー」

目  次

株と為替の売買シナリオ

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ドル上昇トレンド 赤色スパンの向きは 上昇方向であり ドル長期上昇トレンドを示しています そして 買いシグナ ルが点灯していますが すでに 逆行パターン から 順行パターン に変化しています 遅行スパンは ゾーンやローソク足の上方を推移しており 長期的にも短期的にも ドル買い優勢 を示しています 尚

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5/14( 月 ) 5/14( 月 ) 上場通貨ペアの価格変化 ( 対円 ) ( の清算価格対比 ) 1 主要 7 通貨ペア ( 対円 ) 1.5% スイスフラン / 円 -0.5% 0.5% 豪ドル / 円 -0.7% -0.5% NZ ドル / 円 -1.1% - 米ドル / 円 -1.2% -

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市場調査部レポートウィークリー アウトルック 世界的な金融緩和の流れ!? 2016 年 8 月 5 日 ( 金 ) 発行 No.108 相場環境 世界的な金融緩和の流れ!? 全体観 米ドル 100 円台では心理的なサポートも ユーロ ユーロ / ドルは方向感を欠く展開に ポンド ポンド安誘導は 国策? 豪ドル RBA が利下げも 豪ドル売り圧力が強まる状況ではなさそう NZ ドル 11 日の利下げは織り込み済み その次 があるかどうかが焦点? ********************** 相場環境 世界的な金融緩和の流れ!? 4 日 BOE( 英中銀 ) は 利下げや債券購入を含む 異例の 包括的刺激策を発表 カーニー総裁は会見で 追加利下げの用意があると明言しました 7 月 29 日の日銀の追加緩和 8 月 2 日の RBA( 豪中銀 ) の利下げ そして 4 日の BOE と続き 11 日の RBNZ(NZ 中銀 ) の会合でも利下げが確実視されています 世界的な金融緩和の新しいラウンドが再開されたかのようです そうしたなか 今週 (4 日まで ) の通貨の強さの序列は 総じて主要国通貨 < 新興国通貨です また 一 時 40 ドルを割れた原油価格 (WTI 先物 ) は 42 ドル近辺まで反発しています 世界的な金融緩和が経済成 長に寄与し 資源価格の上昇につながるとの観測が背景にありそうです 円は 主要国通貨としては例外的に堅調でした 29 日の日銀の追加緩和が市場の期待に届かなかったことが一つ そして 発表文にあった ( 次回会合での ) 総括的な検証 ( を行う ) との文言が国債購入の減額などの金融緩和の縮小を示す可能性があるとの見方から 国債利回り ( 市場金利 ) が上昇したことがもう一つの背景でした しかし 2 日に黒田日銀総裁が そうしたこと ( 緩和縮小 ) にはならない と発言 4 日にも岩田副総裁が 早期に 2%( の物価目標 ) を達成するために何か必要か 検証する 金融緩和の程度を緩めることはあ 1 Copyright 2016 MONEY SQUARE JAPAN, INC. All rights reserved.

りえない と明言しました こうした発言を受けて 国債利回りが改めて低下に向かうのか 9 月 20-21 日の次回会合に向けて追加 緩和期待が再び高まるのか その結果として円の上昇圧力が低下するのか 大いに注目されます 他方 米利上げ観測は低いままです FF レート ( 政策金利 ) 先物に基づけば 市場が織り込む年内の利上げ確率は 4 日時点で 4 割弱 換言すれば 市場は 6 割強で 年内据え置き を織り込んでいることになります 足元の景気の底堅さ 労働市場の堅調や賃金のジリ高傾向 ( 本稿執筆時点で 5 日の雇用統計は未発表 ) などから 市場の利上げ織り込み度合いはやや低すぎるように感じます もっとも 年内利上げはせいぜい 1 回 その後はしばらく据え置きが続く という程度なら ドルを大きく押し上げるには力不足でしょう ドルが上向きの推進力を得るには BREXIT( 英国のEU 離脱 ) の悪影響や世界経済の低迷にもかかわらず 米国経済が 1 人勝ちしていることが確認される必要があるかもしれません ******** 米大統領選挙では 共和党のトランプ候補が 米兵遺族に対する中傷や共和党幹部への不支持表明などで 党内からも痛烈な批判に晒 ( さら ) されています トランプ候補は 共和党幹部から路線修正を迫られても それを無視しているとのことです 共和党の選挙陣営は空中分解の危機に瀕しており トランプ候補辞退も といった憶測まで聞こえてくる始末です 8 日には トランプ候補がデトロイトで経済政策について講演する予定です 接戦州で民主党のクリントン候補にリードを広げられているとの報道もあるようですが トランプ候補はリカバリーショットを打てるのか トランプ候補の失速や選挙戦からの脱落が金融市場にどのような影響を及ぼすかは未知数ですが 引き続きトランプ候補の言動から目が離せません ******* 来週は経済指標などの相場材料に乏しい週です 7 月の米小売売上高 (12 日 ) は引き続き個人消費の堅調を示す可能性があります ガソリン価格の低下は売上高の減少要因ですが 一方で既報の自動車販売台数は昨年 11 月以来の高い水準でした また 8 月のミシガン大学消費者信頼感指数 ( 同 ) は BREXIT を受けて大きく低下した 7 月から小幅反発しそうです <チーフエコノミスト西田明弘 > 全体観 米ドル 100 円台では心理的なサポートも [ ドル / 円 来週のトレンドおよびコアレンジ予想 ] ドル / 円 : レンジ相場 :100.00-104.00 円 4 日 ( 木 ) の東京時間終盤 日銀が指数連動型の上場投資信託 (ETF) を約 700 億円買い入れ またその 前日にも 347 億円購入していることが公表され 事実上の株価 PKO( 価格維持政策 ) が執行されている東 京株式市場 これは 先の日銀会合において 質 部分である ETF 買い入れ額を現行の年 3.3 兆円から年 6 兆円と 倍増することが決定されたことに伴う措置で まさに東京株式市場に巨大なクジラが放り込まれたことと同じ と言えます ( クジラが抜ける際の出口の議論は別として ) 2 Copyright 2016 MONEY SQUARE JAPAN, INC. All rights reserved.

先般閣議決定された 28 兆円超の政府の大型経済対策とともに 市場にはじゃぶじゃぶの 官製マネー が行き渡る動きとなっており 4 日に決定された英国の異例の大規模金融緩和政策とともに 世界的なカネ 余り ( 過剰流動性資金 ) 時代への再突入となるのかもしれません そんな中 いやが上にも来月 20 21 日の日銀金融政策決定会合には注目が集まりますが 足もとの焦 点は先の日銀発表文に記載された 9 月における 総括的検証 の解釈 4 日 ( 木 ) の講演において その 総括的検証 について岩田規久男日銀副総裁は 早期に 2%( の物価目標 ) を達成するために何が必要か検証する と説明し さらに 金融緩和の程度を緩めることはありえない と強気の発言をしたことを勘案すると 総括的検証 とは大胆な金融緩和を実施するための地ならしのための修飾語と捉えてもいいのかもしれません いずれにしても 年後半のマーケットにおいても メイン プレーヤーは中央銀行であることに変わりはなく 中央銀行カジノ相場 と呼ばれるような様相はしばらく継続すると見てよさそうです その意味でも 今後の主要各国の中央銀行会合スケジュールについては相場を見る上での 1 丁目 1 番 地として押さえておく必要があると考えます 以下 FRB ECB( 欧州中央銀行 ) 日銀 BOE( イングランド銀 行 ) の年内会合スケジュールにつき 確認いただくようお願いします 3 Copyright 2016 MONEY SQUARE JAPAN, INC. All rights reserved.

閑話休題 以下 ドル / 円 日足 一目均衡表 + パラボリック +DMI をご覧ください 上記チャートを見てみると 1) ローソク足が先行スパン ( いわゆる 雲 ) の下方にあること 2) 遅行線がロ ーソク足と絡み合っていること 3) DMI が -DI>+DI となっていることから 足もとのドル / 円相場は上値の重い 横ばい基調 ( レンジ相場 ) を示唆しています 上記チャートから勘案するドル / 円の上値メドは 先行 1 スパン (= 雲 の下辺 ) である 103.91 円 上値に関しては 概ね 104 円台で頭が抑えられる展開を想定していますが 下値については先述した通 り (9 月の ) 総括的検証 という心理的抵抗もあり 100 円台を大きく割り込んでいくような相場展開にはなり にくそうです あくまで米 7 月雇用統計発表前時点での予測ですが 次週ドル / 円のコアレンジは 100~104 円と予想し ます < チーフアナリスト津田隆光 > 4 Copyright 2016 MONEY SQUARE JAPAN, INC. All rights reserved.

ユーロ ユーロ / ドルは方向感を欠く展開に [ ユーロ / 円 ユーロ / ドル 来週のトレンドおよびコアレンジ予想 ] ユーロ / 円 : レンジ相場 :110.40-117.00 円 ユーロ / ドル : レンジ相場 :1.1000-1.1220 ドル 早速ですが 以下 ユーロ / ドルの日足 一目均衡表 + パラボリック +DMI をご覧ください 上記チャートを見てみると 1) ローソク足が先行スパン ( いわゆる 雲 ) の下方にあること 2) 遅行線がロ ーソク足と絡み合っていること 3) DMI が +DI>-DI となっていることから 足もとのユーロ / ドル相場は上下の 力が相殺される形での 横ばい基調 ( レンジ相場 ) を示唆しています 上記チャートから確認できるユーロ / ドルの喫緊のポイントは 先行 2 スパン (= 雲 の上辺 ) である 1.1262 ドル ユーロ / ドルが当該レベルを上抜けた場合は 三役好転 となり 上昇フローが加速することが予想され 中期的な上昇トレンドのトリガーとなる可能性もあります ただし ユーロ圏自独自の材料は来週乏しいこともあり 足もとでは 5 日 ( 金 ) の米 7 月雇用統計結果がそ の動意となりそうです 5 Copyright 2016 MONEY SQUARE JAPAN, INC. All rights reserved.

ユーロ / ドルは 対ドルでの力学とともに対ポンドでの力学も孕むため 足もとの方向性は副次的となり 結 果的には方向感を欠くレンジ相場主体の展開となりそうです < 津田 > ポンド ポンド安誘導は 国策? [ ポンド / 円 来週のトレンドおよびコアレンジ予想 ] ポンド / 円 : 戻り売り相場 :129.00-139.00 円 以下 ポンド / 円 日足 ボリンジャーバンド + パラボリック +DMI をご確認ください 上記チャートを見てみると 1) 21MA(21 日移動平均線 ) が横向きであること 2) DMI が -DI>+DI となって いることから 足もとのポンド / 円相場は 横ばい基調 ( レンジ相場 ) を示唆しています ただし 方向性を示す DMI が -DI>+DI つまりマイナスの方向性が優位であるため 今後は下降トレンドが 強まる可能性もあります そのトリガーとなり得るのが 日足 -2σ ライン ( 130.97 円 ) 凡そ 131 円台割れが示現した場合は ポンド / 円の下落スピードが加速する可能性も 4 日 BOE( イングランド銀行 ) が約 7 年ぶりとなる政策金利の引き下げと量的緩和 (QE) の再開を決定し さらに国債買い入れ枠拡大や社債の購入 また新たな民間銀行向け供給スキーム (TFS) といった 異例 の 包括的かつ大胆な金融刺激策を実施したことは周知の通りです 6 Copyright 2016 MONEY SQUARE JAPAN, INC. All rights reserved.

6 月の Brexit( 英国の EU 離脱 ) 決定直後に 英経済や金融政策システムを守るために躊躇しない との 言葉を有言実行したカーニー BOE 総裁ですが 額面通りに受け止めると 今後も 国策 としてのポンド安誘 導は継続すると捉えてよさそうです < 津田 > 豪ドル RBA が利下げも 豪ドル売り圧力が強まる状況ではなさそう RBA( 豪中銀 ) は 2 日 政策金利を 0.25% 引き下げ 過去最低の 1.50% にすることを決定しました 利下 げは 5 月以来 今年 2 回目です 声明では 最近のデータは インフレ率が依然として極めて低い水準であることを確認 非常に抑制され た労働コストの伸びや海外の極めて低いコスト圧力を踏まえると この状況はしばらく続く可能性が高い と指 摘しました 労働市場や豪ドルに関する文言は 前回 7 月からほとんど変わりませんでした 一方 住宅市場については 7 月から変化 最新の情報では 住宅価格は今年に入ってからほんの緩やかに上昇していることを示唆 住宅向け貸し出しの伸びは今年 若干減速した と指摘 そのうえで 低金利が住宅市場におけるリスクを増幅させる可能性が低下したことを示唆している としました 前回は 住宅価格の上昇はこの数か月 多くの地域で再び上昇した でした 今回の利下げは 4-6 月の CPI( 消費者物価指数 ) などでインフレ圧力の弱さが確認されたことが主な理 由のようです 住宅市場が一段と過熱するリスクが低下したことで より利下げに動きやすくなったと考えられ ます RBA は声明の最後を 理事会は 今回の会合で金融政策を緩和する (= 利下げ ) ことによって インフレ 率が徐々に目標に戻り 経済が持続的に成長するとの見通しが改善されると判断した と締めくくり 今後の 金融政策について言及しませんでした RBA の次の一手は 利下げ とみられます ただし 実際に利下げに踏み切るかどうかはデータ次第 特にインフレ統計が重要と考えられます 5 月の利下げは 1-3 月期のインフレ率の低さが主な理由 今回も 4-6 月期のインフレ率が発表された後の会合です 10 月 26 日に発表される 7-9 月期のインフレ統計まで待ち そこでインフレ圧力が依然として弱いことが確認されれば 11 月の会合で追加利下げに踏み切るかもしれません 市場の金融政策見通しを反映する OIS( 翌日物金利スワップ ) が織り込む RBA が 9 月の会合で利下げを行う確率は 3.6%(4 日時点 ) 利下げの確率は 10 月までで 18.4% 11 月までで 38.9% へと上昇するものの 当面は 据え置き との見方が有力であることが確認できます 利下げがあるとしてもしばらく先と考えると 利下げ観測を背景に 豪ドルに対して売り圧力が強まる状況ではないのかもしれません <アナリスト八代和也 > 7 Copyright 2016 MONEY SQUARE JAPAN, INC. All rights reserved.

NZ ドル 11 日の利下げは織り込み済み その次 があるかどうかが焦点? 11 日に RBNZ(NZ 中銀 ) が政策金利を発表します その結果が NZ ドルの動向に影響を与える可能性が あり 注目です 経済指標などをみると 追加利下げが決定される可能性が高いとみられます NZ の 4-6 月期の CPI( 消 費者物価指数 ) は前年比 +0.4% と RBNZ のインフレ目標の下限である +1.0% を 7 四半期連続で下回りま した インフレ期待や賃金上昇率は依然として低水準です 一方 NZ ではオークランドを中心に住宅市場が過熱気味にあり 一段の利下げは住宅市場をさらに過熱するおそれがあります ただ それに対しても RBNZ は 7 月に住宅ローン規制を強化する措置を打ち出しました この措置により RBNZ は利下げに動きやすくなったと考えられます ( 利下げの障害となっている住宅市場の過熱にブレーキがかかる?) 市場は 11 日の利下げをほぼ確実視 OIS( 翌日物金利スワップ ) では 0.25% の利下げが 89.0% 織り 込まれ 0.50% の利下げも 11.0% 織り込まれています (4 日時点 ) RBNZ の利下げは NZ ドルにとってマイナス材料です ただし 上述の OIS を参考にすると 利下げはすでに市場に織り込まれています そのため 利下げ自体はそれほど材料視されないかもしれません 焦点は その次 の利下げがあるかどうかになりそうです 市場では 8 月を含めて年内に 2 回利下げが行われるとの見方もあります 11 日に利下げを行い さらに声明で追加利下げの可能性が示されれば 利下げ観測が残ることから NZ ドルが下落する可能性があります 一方 声明が利下げ打ち止めを示唆する内容の場合 NZ ドルが上昇するとみられます < 八代 > 出所 :Bloomberg より作成 8 Copyright 2016 MONEY SQUARE JAPAN, INC. All rights reserved.

来週の主要経済指標 イベント 当社予想市場予想前回値 8 月 11 日 6:00 NZ RBNZ 政策金利発表 2.00% 2.00% 2.25% 市場は利上げをほぼ確実視 声明で 9 月以降にさらに利下げを実施する可能性が示されるかどうかに注目 8 月 12 日 21:30 米 小売売上高前月比 (7 月 ) 0.6% 0.4% 0.6% ガソリン価格の下落は小売売上高の足を引っ張るが 既報の自動車販売台数は昨年 11 月以来の高水準だった 23:00 米 ミシガン大消費者信頼感 (8 月 ) 92.0 91.5 90.0 7 月は 2 か月連続で低下し 今年では 4 月に次いで低い水準だった 雇用堅調を反映して上昇か 市場予想は Bloomberg 8 月 5 日 10:00 現在 発表日時は日本時間 2016 年 12 月までの金融政策の市場予想 政策金利 % 利下げ現状維持利上げ 米国 0.25-0.50 0% 69% 31% 英国 0.25 41% 59% 0% NZ 2.25 100% 0% 0% カナダ 0.50 17% 83% 0% ユーロ圏 -0.4 55% 45% 0% 豪州 1.50 49% 51% 0% * ユーロ圏は下限金利の中銀預金金利 OIS( 翌日物金利スワップ ) を用いた確率 8 月 4 日時点英国は 8 月 5 日 11 時時点出所 :Bloomberg より作成 9 Copyright 2016 MONEY SQUARE JAPAN, INC. All rights reserved.

< 執筆者 > 西田明弘 ( にしだあきひろ ) 市場調査部チーフエコノミストマクロ経済 マーケット全般 1984 年 日興リサーチセンターに入社 米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て 三菱 UFJ モルガン スタンレー証券入社 チーフエコノミスト シニア債券ストラテジストとして高い評価を得る 2012 年 9 月 マネースクウェア ジャパン (M2J) 入社 市場調査部チーフアナリストに就任 現在 M2J の WEB サイトで 市場調査部レポート 市場調査部エクスプレス 今月の特集 など多数のレポートを配信する他 TV 雑誌など様々なメディアに出演し 活躍中 津田隆光 ( つだたかみつ ) 市場調査部チーフアナリストマーケット全般 米ドル ユーロ ポンド担当日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト (CMTA) 主に国際商品市況のマーケット業務に従事し 2008 年 1 月マネースクウェア ジャパン入社 シニアテクニカルアナリストとして独自のアレンジを取り入れた各種テクニカル分析レポートを執筆する傍ら セミナー講師やラジオ NIKKEI 番組コメンテーターなどを務める 2016 年 4 月 市場調査部チーフアナリストに就任 八代和也 ( やしろかずや ) 市場調査部アナリスト豪ドル NZドル トルコリラ 南アランド カナダドル担当 2001 年 ひまわり証券入社後 コールセンター 為替関連の市況ニュースの配信 レポートの執筆など FX 業務に携わる 2011 年 12 月 マネースクウェア ジャパンに入社 市場調査部に所属し 豪ドルや NZ ドルといったオセアニア通貨にフォーカスした オセアニア レポート を執筆している FX に携わり 13 年 10 Copyright 2016 MONEY SQUARE JAPAN, INC. All rights reserved.

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