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気象衛星ひまわりの品質評価における衛星シミュレータの利用 気象庁気象衛星センター 村田英彦 2015/03/27 第 8 回気象庁数値モデル研究会 数値予報を用いた衛星観測シミュレーション

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日本の静止気象衛星 ひまわり の歴史 GMS (Geostationary Meteorological Satellite) GMS (Himawari) GMS-2 (Himawari-2) GMS-3 (Himawari-3) GMS-4 (Himawari-4) GMS-5 (Himawari-5) (GOES-9) Jul 1977 Aug 1981 Aug 1984 Sep 1989 Mar 1995 One of the tri-ranging Station for GMS was operated by Australian Bureau of Meteorology Back-up operation of GMS-5 with GOES-9 by NOAA/NESDIS May 2003 - June 2005 MTSAT (Multi-functional Transport SATellite ) MTSAT-1R (Himawari-6) (Himawari-7) Satellite Observation period GMS 1977 1981 GMS-2 1981 1984 GMS-3 1984 1989 Himawari-8 Himawari Himawari-9 GMS-4 1989 1995 GMS-5 1995 2003 Feb 2005 Feb 2006 2014 2016 GOES-9 2003 2005 MTSAT-1R 2005 2010 2010 Himawari-8 Launch in 2014 Himawari-9 Launch in 2016 3

ひまわり 8 号経過と予定 2014 年 10/07 : 打ち上げ 10/16 : 東経 140.7 度に静止化 12/18 : 初画像公開 2015 年 3 月末 : 軌道上試験の終了 夏頃 : 運用開始 ( 年度 ) H17 2005 H18 H19 H20 H21 H22 2010 H23 H24 H25 H26 H27 2015 H28 H29 H30 H31 H32 2020 H33 H34 H35 H36 H37 2025 H38 H39 H40 H41 運輸多目的衛星新 1 号ひまわり 6 号運輸多目的衛星新 2 号ひまわり 7 号 観測 待機 待機 観測 待機 静止地球環境観測衛星ひまわり 8 号ひまわり 9 号 一括調達 衛星製作衛星製作 打上 打上 観測待機 待機観測 待機 4

可視赤外放射計 Advanced Himawari Imager (AHI) 相当のバンド バンド 波長帯 ひまわり 8 号 9 号 波長帯 空間分解能 0.47μ m 0.51μ m 0.64μ m 0.86μ m 1 0.47 μm 1km 2 0.51 μm 1km 3 0.68 μm 0.64 μm 0.5km 1.6μm 2.3μm 3.9μm 6.2μm 4 0.86 μm 1km 5 1.6 μm 2km 6 2.3 μm 2km 7 3.7 μm 3.9 μm 2km 8 6.8 μm 6.2 μm 2km 9 6.9 μm 2km 6.9μm 7.3μm 8.6μm 9.6μm 10 7.3 μm 2km 11 8.6 μm 2km 12 9.6 μm 2km 10.4μm 11.2μm 12.4μm 13.3μm 13 10.8μm 10.4 μm 2km 14 11.2 μm 2km 15 12.0 μm 12.4 μm 2km 16 13.3 μm 2km 5

品質評価の局面 衛星打ち上げ後の初期評価 衛星の観測機能を確認 処理アルゴリズム不具合改修 運用開始後の系統的誤差 経年劣化 季節変化 日変化 特性変質 補正して使用する目的 気候目的の長期データセット 突発的な異常の検出 階調異常 迷光など 異常を報知する目的 6

品質評価手法いろいろ さまざまなデータと比較する 手法 可視近赤 赤外 時間分解能 空間分布 精度即時性備考 他の静止衛星の似たセンサーと直接比較 極軌道衛星の似たセンサーと直接比較 可可 可可 応答関数の違いを考慮する必要あり 応答関数の違いを考慮する必要あり 場所と時間が限られる 極軌道衛星のハイパースペクトルセンサーで応答関数を再現して比較? 可 場所と時間が限られる 統計値で比較 ( 発達した積乱雲 ) 可? 数値予報モデルを入力としたシミュレーション画像と比較 他の衛星等でリトリーブしたパラメータを使って作成したシミュレーションデータと比較 可可 可? 月観測可? 応答関数の違いを考慮する必要あり 長期トレンド用 数値予報モデルの誤差を考慮する必要がある 雲パラメータを極軌道衛星からリトリーブ 場所と時間が限られる 月観測データが必要 長期トレンド用 太陽光拡散板可 / ひまわり 8 号に搭載 常時観測は出来ない 他にも手法はあると思います 赤字 : 衛星シミュレータ ( 放射伝達モデル ) の利用場面 7

衛星シミュレータ ( 放射伝達モデル ) 用途 : 1 シミュレーション値 ( 計算値 ) と観測値を比較する 2 応答関数の違いを考慮する 横軸 : 波長 (μm) ひまわり 8 号の応答関数 の応答関数標準大気における輝度温度の計算結果 横軸 : 波数 (cm -1 ) 晴天の放射 O 3 CO 2 H 2 O 地表面 雲 エーロゾルの効果 エーロゾル 入力をどうするか? 数値予報モデル 他の衛星によるプロダクト ( 雲パラメータ等 ) 気候値 標準大気 8

数値予報モデルを入力としたシミュレーション画像 (RSTAR) シミュレーション 赤外 11μm 観測 2012/09/28 06UTC 衛星シミュレータで作成した画像と 実際の観測データを直接比較して 観測上層雲少ないデータの品質についての絶対的評価を行うことは難しい 可視 上層雲少ない 海面少ない ( 下層雲多いので ) 下層雲多い 下層雲多い http://www.data.jma.go.jp/mscweb/en/himawari89/space_segment/spsg_ahi_proxy.html 9

シミュレーション画像を用いた品質モニター ( 案 ) 観測画像シミュレーション画像観測 - シミュレーション 衛星シミュレータには RTTOV(v10.2) を使用 水蒸気チャンネル 2013/04/08 13UTC ( 正常時 ) 観測画像シミュレーション画像観測 - シミュレーション 2013/04/08 14UTC ( 異常時 ) 統計量の時系列を監視することで 突発的な異常の検出などは出来る 14 12 6 時間毎の初期値から 9 時間先までの毎時について シミュレーション画像を作成 10 観測 - シミュレーションのヒストグラム 数値予報モデルの誤差 放射伝達モデルの誤差等に起因して 両者は一致はしないものの 正常時には似たような統計的性質になるはず 平均 標準偏差 歪度 尖度などの統計量を時系列でモニター 8 6 4 2 0-2 -4 2013/04/07 18:00 2013/04/08 00:00 2013/04/08 06:00 2013/04/08 12:00 通常と異なる挙動 2013/04/08 18:00 2013/04/09 00:00 2013/04/09 06:00 2013/04/09 12:00 2013/04/09 18:00 2013/04/10 00:00 10 2013/04/10 06:00 MEAN STD SKEW KURT MED MODE 10

他の衛星でリトリーブしたパラメータを使って作成したシミュレーションデータと比較 ( の可視チャンネルの例 ) 較正テーブルを再作成する目的で 静止衛星観 測値を RSTAR による放射伝達計算を介した計算 値で値付けする 可視チャンネルの観測輝度範囲を網羅するため 様々な輝度のターゲットを採用 晴天海面 晴天陸面 ( オーストラリアの砂漠 ) 一様な水雲 発達した対流雲 (Deep Convective Cloud) 雲の計算に必要なパラメータは 他の衛星 (Aqua,Terra/MODIS) の観測値からリトリーブ 誤差を軽減するため 空間的 時間的な変化の 小さいエリア ( ターゲット ) を選択 Simulated reflectivity Result of in Feb. 2011 Observed reflectivity この手法で得られた長期トレンドを他の手法と比較 詳細 : http://ds.data.jma.go.jp/mscweb/data/monitoring/gsics/ vis/techinfo.html Δslope [%] 11

他の衛星の似たセンサーと直接比較 特徴 他の衛星に搭載された 特性の似たセンサーと観測値を直接比較し 過大 / 過少などの評価を行う 精度がよく知られたセンサーと比較するとよい 問題点 他のセンサーの応答関数は 似ていても異なる そのため 同じ時刻 同じ場所を同じ条件 ( 衛星天頂角 太陽天頂角等 ) で観測していても 観測結果は異なる 解決策 (1) ハイパースペクトルセンサーから 応答関数を再現した観測データを作成し どの程度の違いになるのかを把握しておく (2) 放射伝達モデルによるシミュレーションで どの程度の違いになるのかを把握しておく Himawari-8/AHI と Suomi-NPP/VIIRS の応答関数 ( 可視 ) 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 Himawari-8-AHI NPP-VIIRS Band1 M03 Band2 I01 Band3 0 0.4 0.45 0.5 0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 12

ひまわり 8 号の可視 近赤外バンドを Suomi-NPP/VIIRS と比較 (2015/02/20) データの分布 VIIRS バンド 1(0.47) M03 AHI バンド 2(0.51) M03 試験観測中データの仮評価 今後 処理手法変更に伴って特性が変わる可能性がある バンド 3(0.64) I01 VIIRS バンド 4(0.86) M07 バンド 5(1.6) M10 バンド 6(2.3) M11 AHI 応答関数の違いによる観測値の違い ( バンド 2 の例 ) (SCIAMACHY のデータを使用した NASA のツール ) http://angler.larc.nasa.gov/cgi-bin/site/showdoc?mnemonic=sbaf B01 B02 B03 B04 B05 B06 SCIMACHY 0.966 1.052 1.003 0.991 0.998 --- RSTAR 0.975 1.051 1.002 0.991 1.004 1.000 黒 :1 対 1 の直線 ( 応答関数が違うので 比較した結果 この線に乗るとは限らない ) 赤 : 応答関数を考慮した場合の参考値 ( 期待される関係 ) 青 : 実際のデータによる回帰直線 応答関数を考慮した場合 どれくらいの傾きになるはずか を見積もった結果 (1) ハイパースペクトルセンサーで応答関数を再現して見積もる方法と (2) 放射伝達モデルで見積もる方法がある 13

ひまわり 8 号を と比較 2 つのセンサーで応答関数が違うので 同じ観測条件 ( 場所 時間 衛星天頂角等 ) でも同じ観測値にはならない シミュレーション結果を用いて特性の近いバンドを選んでおく 観測値同士の比較結果と シミュレーション値同士の結果を比較する 静止衛星同士の比較は 絶対的な精度はないが 面的な特徴を 即時的に掴むことが出来る ( 絶対精度は ハイパースペクトルセンサーで応答関数を再現した方法で確認 ) モデルの誤差等で一致しない 観測値ひまわり 8 号 シミュレーションひまわり 8 号 応答関数の違い等による差異がある この関係を比較する 応答関数の違い等による差異を再現できる 観測値 シミュレーション # Himawari-8 中心波長 (μm) 1 0.47 2 0.51 中心波長 (μm) 3 0.64 0.68 4 0.86 5 1.6 6 2.3 7 3.9 3.7 8 6.2 6.8 9 6.9 10 7.3 11 8.6 12 9.6 13 10.4 10.8 14 11.2 15 12.4 12.0 16 13.3 14

試験観測中データの仮評価 今後 処理手法変更に伴って特性が変わる可能性がある 観測 2015/03/14 06UTC ひまわり 8 号バンド 15(12.4μm) IR2(12.0μm) ひまわり 8 号の方が輝度温度が低い ひまわり 8 号 - シミュレーション 2012/09/28 06UTC それはシミュレーションで再現できている ひまわり 8 号バンド 15(12.4μm) IR2(12.0μm) ひまわり 8 号 - シミュレーションに使用したデータの日付は同じではない 15

二次元ヒストグラムの比較 試験観測中データの仮評価 今後 処理手法変更に伴って特性が変わる可能性がある ひまわり 8 号 : バンド 15(12.4μm) :IR2(12.0μm) 二次元ヒストグラム上の同じような範囲に点が分布 観測結果がシミュレーション結果と調和的 観測 (2015/03/14 06UTC) シミュレーション (2012/09/28 06UTC) 縦軸 : ひまわり 8 号 - 縦軸 : ひまわり 8 号 - 横軸 : 輝度温度 横軸 : 輝度温度 シミュレーションに使用したデータの日付は同じではない 16

まとめ 気象衛星ひまわりの品質評価において さまざまなデータとの比較を行っている ( さらに拡充の予定 ) 衛星シミュレータは ひとつのツールとして 直接的 または間接的に利用できる さまざまな手法により 多角的 総合的に評価することで 評価結果の確からしさが増す 17