登録販売者用 Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 症状 部位別 ネットセミナー 基礎講座 Ⅳ-1 かぜ症候群 ( かぜ薬 ) Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 ( 登録販売者試験問題作成に関する手引き の把握 ) まずは 登録販売者試験問題作成に関する手引き を復習し 手引きの知識を確実なも のにする そして それぞれの 手引き の記載についてコメントを付し 手引き の記 載をより実践で活用できるようにまとめた 1) かぜの発症 (1) 手引き の記載かぜの症状は くしゃみ 鼻汁 鼻閉 ( 鼻づまり ) 咽頭痛 咳 痰等の呼吸器症状 発熱 頭痛 関節痛 全身倦怠感等の全身症状が 様々に組み合わさって現れる かぜ は単一の疾患ではなく 医学的にはかぜ症候群という 主にウイルスが鼻や喉などに感染して起こる様々な症状の総称で 通常は数日 ~1 週間程度で自然寛解する 原因のほとんどはウイルスの感染であるが その他 細菌の感染や まれに冷気や乾燥 アレルギーのような非感染性の要因による場合もある 原因となるウイルスは 200 種類を超えるといわれており それぞれ活動に適した環境がある そのため 季節や時期などによって原因となるウイルスの種類は異なるが いずれも上気道の粘膜から感染し それらの部位に急性の炎症を引き起こす (2) コメントかぜの正式名称は かぜ症候群 主に上気道 ( 口腔 鼻腔 副鼻腔 咽頭 喉頭 ) に急性炎症を来す症候群である 発熱や頭痛 全身倦怠感 関節痛などの全身症状を伴うこともある 原因の 80~90% がウイルス ( ライノウイルス コロナウイルス パラインフルエンザ RSウイルス アデノウイルスなど ) で 残りが細菌 マイコプラズマ ( ウイル 1
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 スよりも大きい微生物で マイコプラズマ肺炎の原因ともなる ) クラミジア( 鳥類からうつりやすく オウム病の原因ともなる ) 非感染性因子( 寒冷 乾燥 アレルギーなど ) によるとされる これに二次感染として 細菌や真菌などが関与してくることもある ウイルスに対して 抗生物質 ( 医療用医薬品 ) は効果がないが 基礎疾患のある患者や高齢の患者などに対しては 細菌による二次感染を予防して投与されることがある 2) かぜの諸症状 (1) 手引き の記載かぜとよく似た症状が現れる疾患は 喘息 アレルギー性鼻炎 リウマチ熱 関節リウマチ 肺炎 肺結核 髄膜炎 急性肝炎 尿路感染症等多数あり 急激な発熱を伴う場合や 症状が 4 日以上続くとき又は悪化するようなときは かぜではない可能性が高い また 発熱や頭痛を伴って 悪心 嘔吐 下痢等の消化器症状が現れることがあり 俗に お腹にくるかぜ などと呼ばれるが これらはかぜの症状でなく ウイルスが消化器に感染したことによるもの ( ウイルス性胃腸炎 ) である インフルエンザ ( 流行性感冒 ) は かぜと同様 ウイルスの呼吸器感染によるものであるが 感染力が強く また 重症化しやすいため かぜとは区別して扱われる 原因 (2) コメント かぜとインフルエンザの主な違い かぜ ライノウイルス コロナウイルス アデノウイルスなど 発症比較的ゆっくり急激 症状 合併症 インフルエンザ インフルエンザウイルス (A 型 B 型など ) 急な高熱(39 以上 ) と強い倦怠感や 鼻水やくしゃみ のどの痛み 咳など 筋肉痛などの全身症状がみられ 目の充上気道症状が中心 全身症状は弱い 血を伴うこともある 熱は あっても 38 くらいまで 全身症状に続いて 鼻やのどなどの症状が現れる 一般的に少ないが 小児や高齢者では細菌による二次感染がみられることがある 伝染力通常は弱い強い 発生状況散発性 肺炎 気管支炎 中耳炎 副鼻腔炎などを起こしやすい まれにインフルエンザ脳症など 重篤な合併症がみられることもある 流行性 2
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 3) かぜ薬 (1) 手引き の記載かぜ薬とは かぜの諸症状の緩和を目的として使用される医薬品の総称であり 総合感冒薬とも呼ばれる かぜの症状は 生体にもともと備わっている免疫機構によってウイルスが排除されれば自然に治る したがって 安静にして休養し 栄養 水分を十分に摂ることが基本である かぜ薬は ウイルスの増殖を抑えたり 体内から取り除くものではなく 咳で眠れなかったり 発熱で体力を消耗しそうなときなどに それら諸症状の緩和を図るものである なお かぜであるからといって必ずしもかぜ薬 ( 総合感冒薬 ) が選択されるのが最適ではなく 発熱 咳 鼻水など症状がはっきりしている場合には 効果的に症状の緩和を図るため 解熱鎮痛薬 鎮咳去痰薬 鼻炎用内服薬などが選択されることが望ましい 該当しない症状に対して 不要な成分が配合されていると 無意味に副作用のリスクを負うこととなりやすい (2) コメント顧客の症状によっては かぜ薬以外の薬効群が適している場合も少なくない 現在の状態 最もつらい症状などをよく聞き 視野を広くもって対応する ただし かぜ薬や解熱鎮痛薬 鎮咳去痰薬 鼻炎用内服薬などは成分が重複する場合も多いので 併用する場合は十分に注意する ( 図 -1) 1のどの痛み 腫れだけ うがい薬 トローチ 抗炎症薬 トラネキサム酸配合薬 解熱鎮痛薬 2ゾクゾクした寒気がする 首から肩にかけてのこわばり 麻黄湯 葛根湯 3 熱と痛み ( のど 頭 関節など ) だけ 解熱鎮痛薬 NSAIDs 4 咳と痰だけ 鎮咳去痰薬 去痰薬 5 鼻の症状 ( 鼻水 鼻づまり くしゃみ ) だけ 鼻炎用内服薬 小青竜湯 点鼻薬 6 熱 痛みと咳 痰 解熱鎮痛薬と鎮咳去痰薬 または総合感冒薬 7 熱 痛みと鼻の症状 解熱鎮痛薬と鼻炎用内服薬 または総合感冒薬 8 咳 痰と鼻の症状 鎮咳去痰薬 抗ヒスタミン剤 9 後期のかぜ 食欲不振 小柴胡湯 柴胡桂枝湯 3
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 図 -1 かぜ薬を中心とした 3 種類の薬剤との併用の可否 解熱鎮痛薬 鎮咳去痰薬 風邪薬 ( 成分 ) 解熱鎮痛薬鎮咳去痰薬鼻炎薬交感神経興奮薬抗ヒスタミン薬 鼻炎薬 高木敬次郎他 : かぜとかぜ薬. 日本薬剤師会雑誌 38(11), 1986 より一部改変 4) 主な配合成分 1 解熱鎮痛成分 (1) 手引き の記載 発熱を鎮め 痛みを和らげる成分成分名 アスピリン = アセチルサリチル酸 サザピリン サリチルアミド 特徴 注意点など ~ ピリン とつくが 非ピリン系の解熱鎮痛成分 本来バイエル社の商品名 ライ症候群との関連性が示唆 15 歳未満にはいかなる場合も使用しない 血液を凝固しにくくさせる作用がある 出産予定日 12 週間以内は使用を避ける 医療用医薬品では 血栓予防薬としても用いられている 痛風 高尿酸血症の人には販売を避ける ( 血清尿酸値に影響を与える ) 他の解熱鎮痛成分に比べると 胃腸障害が起こりやすいといわれる ~ピリン とつくが 非ピリン系の解熱鎮痛成分 ライ症候群との関連性が示唆 15 歳未満にはいかなる場合も使用しない 15 歳未満の小児で 水痘 ( 水疱瘡 ) やインフルエンザにかかっているときは使用を避ける ( 相談すること ) 4
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 エテンザミド アセトアミノフェン イブプロフェン イソプロピルアンチピリン ジリュウ 15 歳未満の小児で 水痘 ( 水疱瘡 ) やインフルエンザにかかっているときは使用を避ける ( 相談すること ) 痛みの伝わりを抑える働きが優位とされる( 他の解熱鎮痛成分は 痛みの発生を抑える働きが中心 ) 他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合されることが多い 中枢性の作用によって解熱 鎮痛をもたらすとされ 抗炎症作用は期待できない 胃腸障害は比較的少ない( 空腹時にも服用できる製品がある ) 重篤な副作用として肝機能障害 日頃から酒類を摂取することが多い人 用法用量を超えて服用した人は肝機能障害を起こしやすい アスピリン等に比べて胃腸への影響が少なく 抗炎症作用も示す 一般用医薬品では 15 歳未満が使用できる商品がない 胃 十二指腸潰瘍 潰瘍性大腸炎 クローン氏病の既往歴がある人では それらの疾患の再発のおそれがある 全身性エリテマトーデス 混合性結合組織病の診断を受けた人では 無菌性髄膜炎を生じやすいとされる 一般用医薬品では唯一のピリン系解熱鎮痛成分 ピリン系成分で薬疹( ピリン疹 ) を起こしたことがある人は使用を避ける 解熱や鎮痛の作用は比較的強いが 抗炎症作用は弱いとされる 生薬成分( ツリミミズ科のカッショクツリミミズ又はその近縁種を用いた動物生薬 ) 古くから 熱さまし として用いられてきた ジリュウのエキスを製剤化した製品は 感冒時の解熱 が効能 効果になっている (2) コメント解熱鎮痛成分を使用する小児の年齢 症状の確認を忘れない 115 歳未満の小児には いかなる場合も使用しない=アスピリン サザピリン 215 歳未満の小児で 水痘 ( 水疱瘡 ) 又はインフルエンザにかかっているとき ( 疑いがあるときも含む ) は使用を避ける=エテンザミド サリチルアミド 3 一般用医薬品では 15 歳未満の小児に使用できる製品がない=イブプロフェン * 現在では アスピリンを配合したかぜ薬は少なくなっているが 地方で昔から製造されてきた製品 配置薬などに配合されていることがある * エテンザミドやサリチルアミドは アセトアミノフェンやイブプロフェンなど 他の解熱鎮痛成分と一緒に配合されていることが多いので 注意する 5) 主な配合成分 2 抗ヒスタミン成分 抗コリン成分 (1) 手引き の記載 5
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 鼻水やくしゃみを抑える成分 ( 抗ヒスタミン成分 ) 作用副作用注意点主な成分 肥満細胞から遊離したヒスタミンが受容体と反応することを妨げることにより ヒスタミンの働きを抑える * 抗コリン作用も有する 全成分共通 : 眠気 排尿困難 口渇 便秘などメキタジン : ショック ( アナフィラキシー ) 肝機能障害 血小板減少など全成分共通 : 1 服用後は 乗物又は機械類の運転操作を避ける 2 排尿困難の症状のある人 緑内障と診断された人は服用前に相談 ジフェンヒドラミンを含む成分 : 乳児に昏睡を生じるおそれがあるため 授乳中は服用を避けるか 服用する場合は授乳を避ける クロルフェニラミンマレイン酸塩 ( マレイン酸クロルフェニラミン ) カルビノキサミンマレイン酸塩 ( マレイン酸カルビノキサミン ) クレマスチンフマル酸塩 ( フマル酸クレマスチン ) ジフェンヒドラミン塩酸塩 ( 塩酸ジフェンヒドラミン ) メキタジン 鼻水やくしゃみを抑える成分 ( 抗コリン成分 ) 作用副作用注意点主な成分 副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンと受容体の反応を妨げることで その働きを抑える 鼻炎用内服薬では 鼻腔内の粘液分泌腺からの粘液分泌を抑えるとともに 鼻腔内の刺激を伝達する副交感神経系の働きを抑える 全成分共通 : 散瞳による目のかすみや異常なまぶしさ 顔のほてり 眠気 口渇 便秘 排尿困難など全成分共通 1 服用後 乗物または機械類の運転操作を避ける 2 排尿困難の症状のある人 心臓病または緑内障の診断を受けた人は 服用前に相談 3 高齢者では 排尿困難や緑内障の基礎疾患を持つ場合が多く 一般的に口渇や便秘の副作用が現れやすいので 服用前に相談 使用する場合は慎重に ベラドンナ総アルカロイド ヨウ化イソプロパミド (2) コメント鼻の粘膜がウイルスなどの感染によって炎症を起こすと ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出される これが鼻の分泌腺を刺激することにより 鼻汁の分泌が促進され 鼻水を生じる また くしゃみは アレルギー物質や冷気などによって鼻の粘膜が刺激されて起こる 抗ヒスタミン成分の摂取で 人により眠気が起こることはよく知られており 服用後の乗物や機械類の運転操作は避けることとなっているが 抗コリン成分でも 散瞳による目のかすみや異常なまぶしさを生じることがあるため 同様の注意が必要となる 6
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 6) 主な配合成分 3 鼻粘膜の充血を和らげ 気管 気管支を広げる成分 ( ア ドレナリン作動成分 ) (1) 手引き の記載 作用副作用注意点主な成分 1 交感神経系を刺激して気管支を拡張させ 呼吸を楽にして咳や喘息の症状を鎮める 2 交感神経系を刺激して鼻粘膜の血管を収縮させ 鼻粘膜の充血や腫れを和らげる ( 内服薬のほか 点鼻薬に配合されていることもある ) 全成分共通 : 心悸亢進 血圧上昇 血糖値上昇プソイドエフェドリン : 上記以外に 不眠 神経過敏 めまい 頭痛 排尿困難などプソイドエフェドリン 1 前立腺肥大による排尿困難のある人 心臓病 高血圧 糖尿病 甲状腺機能障害の診断を受けた人は 使用を避ける ( 禁忌 ) 2 塩酸セレギリンなどのモノアミン酸化酵素阻害薬 ( パーキンソン病治療薬 ) が処方されている人は 服用前に相談 プソイドエフェドリンの代謝が妨げられて 副作用が現れやすくなるおそれがある プソイドエフェドリン以外のアドレナリン作動成分 1 心臓病 高血圧 糖尿病 甲状腺機能障害の診断を受けた人は 服用前に相談 ( 禁忌ではない プソイドエフェドリンとの違い ) * メチルエフェドリン塩酸塩 メチルエフェドリンサッカリン塩 マオウ プソイドエフェドリンには依存性があるため 長期間に渡って連用すると 薬物依存につながるおそれがある 主に咳の症状緩和に用いられるものメチルエフェドリン塩酸塩 ( 塩酸メチルエフェドリン ) *1 メチルエフェドリンサッカリン塩トリメトキノール塩酸塩 ( 塩酸トリメトキノール ) メトキシフェナミン塩酸塩 ( 塩酸メトキシフェナミン ) マオウ主に鼻の症状緩和に用いられるもの ( 内服薬 ) プソイドエフェドリン塩酸塩 ( 塩酸プソイドエフェドリン ) フェニレフリン塩酸塩 ( 塩酸フェニレフリン ) *2 主に鼻の症状緩和に用いられるもの ( 点鼻薬 ) ナファゾリン塩酸塩 ( 塩酸ナファゾリン ) テトラヒドロゾリン塩酸塩 ( 塩酸テトラヒドロゾリン ) *1 メチルエフェドリン塩酸塩は鼻炎用内服薬に配合されることもある *2 フェニレフリン塩酸塩は点鼻薬に配合されることもある (2) コメントアドレナリン作動成分は 交感神経系を刺激してさまざまな作用を呈する 気管支拡張作用を期待してかぜ薬や鎮咳去痰薬に 血管収縮による充血除去作用を期待してかぜ薬や鼻炎用内服薬 点鼻薬などに配合されることが多い しかし 交感神経系の刺激による作用は全身に及ぶため 次のような疾患 症状を 7
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 悪化させるおそれがあり 注意が必要となる 1 心臓刺激作用による心悸亢進 心臓病 2 心臓刺激作用 血管収縮作用による血圧上昇 高血圧 3グリコーゲン分解促進作用による血糖値上昇 糖尿病 4 心悸亢進 代謝亢進 グリコ-ゲンや脂肪の分解促進など 甲状腺機能障害 5 膀胱括約筋や前立腺平滑筋の収縮による前立腺圧迫 排尿困難 前立腺肥大なお異なる作用からの気管支拡張剤としてキサンチン誘導体 (1 類のテオフィリン 指定 2 類のジプロフィリン ) がある 医療用としても喘息などによく使われているが 小児の発熱時使用の痙攣 てんかん 急性脳症 成人でのコーヒーなどとの併用による中枢神経系の興奮 心悸亢進など注意を要する 復習しよう! 副交感神経系が刺激されたときは どのような体の反応が起きるだろうか 7) 主な配合成分 4 鎮咳成分 (1) 手引き の記載 麻薬性鎮咳成分作用延髄の咳嗽中枢に作用副作用 胃腸運動を低下させる作用があり 副作用として便秘が現れることがある 作用本体のコデイン及びジヒドロコデインがモルヒネを同じ基本構造をもつ 依存性がある 注意点 長期連用や大量摂取によって倦怠感 虚脱感 多幸感が現れることがあり 薬物依存につながるおそれがある コデインリン酸塩水和物 ( リン酸コデイン ) ジヒドロコデインリン酸塩( リン酸主な成分ジヒドロコデイン ) 非麻薬性鎮咳成分作用延髄の咳嗽中枢に作用デキストロメトルファン臭化水素酸塩 ( 臭化水素酸デキストロメトルファン ) ノスカピン ノスカピン塩酸塩 ( 塩酸ノスカピン ) 主な成分チペピジンヒベンズ酸塩 ( ヒベンズ酸チペピジン ) ジメモルファンリン酸塩 ( リン酸ジメモルファン ) (2) コメント 8
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 コデインリン酸塩水和物やジヒドロコデインリン酸塩などを含有する鎮咳去痰薬 ( 内用液剤 ) については 大量服用や一気飲みなどの乱用やそれによる依存性が以前から問題となっている 平成 22 年 6 月 1 日 厚生労働省より コデインリン酸塩水和物及びジヒドロコデインリン酸塩等を含有する一般用医薬品の鎮咳去痰薬 ( 内用 ) の販売に係る留意事項について ( 薬食総発 0601 第 6 号 薬食安発 0601 第 3 号 ) という通知が出され 適正使用についての情報提供を徹底するため 次のような留意事項が定められた 1. コデインリン酸塩水和物及びジヒドロコデインリン酸塩等を含有する一般用の鎮咳去痰薬 ( 内用 ) の販売又は授与 ( 配置によるものを除く ) について (1) 当該医薬品の販売又は授与にあたっては 次の点に留意すること 1 販売量等は原則として一人一包装単位とすること 2 購入者等から症状を聞き 当該医薬品の効能 効果に該当することを確認すること 3 購入者等に対しては 用法 用量等に関し十分な服薬指導を行うこと (2) 購入等希望者が当該医薬品の大量使用者又は長期連用者と思われる場合には販売等を行わないこと (3) 購入等希望者が高校生 中学生等若年者の場合には次のいずれかの確認を行うこと 1 購入等希望の事実について保護者による確認 2 身分証明書等による氏名 住所 年齢 学校名等の確認 2. コデインリン酸塩水和物及びジヒドロコデインリン酸塩等を含有する一般用の鎮咳去痰薬 ( 内用 ) の配置による販売又は授与について (1) 当該医薬品の配置による販売又は授与にあたっては 次の点に留意すること 1 販売量等については 必要最低限の配置とすること 2 当該医薬品の効能 効果を消費者に十分説明し 適正配置に努めること 3 配置先に対して 用法 用量等に関し十分な服薬指導を行うこと 4 配置先に対して 高校生 中学生など若年者の使用については 過量服用 長期連用にならないよう 十分な説明を行うこと (2) 配置先が大量使用者又は長期連用者と思われる場合は配置しないこと 8) 主な配合成分 5 去痰成分 (1) 手引き の記載 作用 気道粘膜からの分泌を促進する作用を示す 主な成分グアイフェネシン グアヤコールスルホン酸カリウム クレゾールスルホン酸カリウム ブロムへキシン塩酸塩 ( 塩酸ブロムへキシン ) 9
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 作用痰の中の粘性蛋白質に作用してその粘りけを減少させる 主な成分エチルシステイン塩酸塩 ( 塩酸エチルシステイン ) メチルシステイン塩酸塩 ( 塩酸メチルシステイン ) カルボシステイン (2) コメント呼吸や嚥下の機能が低下している人 自分で痰を出すことができない人 高齢者などでは 痰の粘度が低下すると かえって痰を出しにくくなることがある 特に慢性の呼吸器疾患がある人では 去痰成分によって痰の量が増加すると 呼吸困難の症状が悪化するおそれもある 比較的 安全性は高いとされる去痰成分だが 安易な使用は控えたほうがよい場合もあり 使用する場合も 服用後の状態に注意するように伝える 9) 主な配合成分 6 抗炎症成分 (1) 手引き の記載成分名特徴 注意点 リゾチーム塩酸塩 ( 塩化リゾチーム ) セミアルカリプロティナーゼ ブロメライン トラネキサム酸 グリチルリチン酸類カンゾウ 鼻粘膜や喉の炎症を生じた組織の修復を助けるほか 痰の粘りけを弱め 気道粘膜の線毛運動を促進させて痰の排出を容易にする 鶏卵の卵白から抽出した蛋白質であるため 鶏卵アレルギーの人は使用を避ける 蛋白質分解酵素で 炎症物質 ( 起炎性ポリペプタイド ) を分解する作用を示す いずれもフィブリノゲンやフィブリンを分解させる作用があるため 血液凝固異常 ( 出血傾向 ) の症状がある人では 出血傾向を悪化させるおそれがある 体内での炎症物質の産生を抑えることで炎症の発生を抑え 腫れを和らげる 凝固した血液が分解されにくくなる働きがある 血栓のある人 血栓を起こすおそれのある人は注意 カンゾウに含まれるグリチルリチン酸の化学構造がステロイド性抗炎症成分と類似しているところから 抗炎症作用を示すと考えられる 大量摂取で 偽アルドステロン症のおそれ 1 日最大服用量がグリチルリチン酸として 40mg 以上となる製品またはカンゾウ ( 原生薬換算 ) として1g 以上となる製品については 高齢者 むくみのある人 心臓病 腎臓病 高血圧の診断を受けた人では 使用前に医師 薬剤師に相談 これらの症状や疾患がない人でも 長期連用は避ける 医薬品では 1 日摂取量がグリチルリチン酸として 200mgを超えないように用量が定められているが さまざまな薬効群の医薬品に配合されているほか 甘味料として一般食品や医薬部外品などにも広 10
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 く用いられているため 摂取されるグリチルリチン酸の総量が継続して多くならないように注意 (2) コメント偽アルドステロン症とは 体内に塩分 ( ナトリウム ) と水が貯留し 体からカリウムが失われたことに伴う症状であって 副腎皮質からのアルドステロン分泌が増えていないにもかかわらず生じることから 偽アルドステロン症と呼ばれる 尿量の減少 手足の脱力 血圧上昇 筋肉痛 倦怠感 手足のしびれ 頭痛 むくみ ( 浮腫 ) 喉の渇き 吐き気 嘔吐等がみられ さらに進行すると筋力低下 起立不能 歩行困難 痙攣等を生じる 高齢者 むくみのある人 心臓病 腎臓病 高血圧の診断を受けた人 体が小柄な人では 偽アルドステロン症を生じやすいとされる 10) 主な配合成分 7 その他 (1) 手引き の記載薬効群成分名特徴 注意点 催眠鎮静成分 制酸成分 カフェイン類 ビタミン類 ブロモバレリル尿素 ( ブロムワレリル尿素 ) アリルイソプロピルアセチル尿素 ケイ酸アルミニウム 酸化マグネシウムなど カフェイン水和物 ( カフェイン ) 無水カフェイン ビタミンC ビタミンB 2 ヘスペリジンビタミンB 1 脳の興奮を抑え 痛み等を感じる感覚を鈍くする作用を示すといわれ 解熱鎮痛薬に補助成分として配合されていることが多い 眠気を催すため 服用後の乗物または機械類の運転操作は避ける 依存性があり 反復して摂取すると依存を生じることがある ブロモバレリル尿素は胎児障害の可能性があるため 妊娠中の使用は避けることが望ましい 解熱鎮痛成分による胃腸障害を減弱させることを目的として配合されている場合がある 解熱鎮痛成分の鎮痛作用を助ける目的で配合されている場合がある カフェイン類が配合されていても 抗ヒスタミン成分等による眠気が解消されるわけではない 粘膜の健康維持 回復を助ける ビタミンCの吸収を助ける 疲労回復を助ける (2) コメント 11
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 現在 催眠鎮静成分を配合したかぜ薬はほとんどなく 主に解熱鎮痛薬に配合されている ( 乗物酔い防止薬 催眠鎮静薬に配合されていることもある ) 催眠鎮静成分のうち 特にブロモバレリル尿素は 排泄されるのに時間がかかり 体内に蓄積されやすい性質をもつ このため 過量摂取や連用によるブロム中毒が問題となることが少なくなく 依存性が問題となることも多い 本やインターネット上で 本成分による自殺方法が紹介されていることもあり 自殺を目的とした使用もみられる 本成分を配合した商品をまとめ買いしようとする顧客や頻繁に購入しようとする顧客に対しては必ず声をかけ 注意を呼びかけるなど 不適切な使用を防ぐための対応が求められる 11) かぜに用いられる漢方処方製剤 (1) 手引き の記載漢方処方製剤適す人 適す症状適さない人 適さない症状体の虚弱な人 ( 体力の衰えている人 かぜのひき始めにおける諸症状 頭痛 体の弱い人 ) 胃腸の弱い人 発汗傾向葛根湯肩こり 筋肉痛 手足や方の痛みがあるの著しい人では 悪心 胃部不快感等場合の副作用が現れやすい 麻黄湯 小柴胡湯 柴胡桂枝湯 小青竜湯 桂枝湯 香蘇散 かぜのひき始めで 寒気がして発熱 頭痛があり 体のふしぶしが痛い場合 胃腸の弱い人 発汗傾向の著しい人では 悪心 胃部不快感 発汗過多 全身脱力感等の副作用が現れやすい かぜのひき始めから数日たって症状が体の虚弱な人 ( 体力の衰えている人 長引いている状態で 疲労感があり 食体の弱い人 ) 欲不振 吐き気がする場合 胃腸虚弱 * インターフェロン製剤で治療を受け胃炎のような消化器症状にも用いられている人は使用しない ( 間質性肺炎る の副作用が現れるおそれが高まる ) かぜのひき始めから数日たって微熱があり 寒気や頭痛 吐き気がする等のかぜの後期の症状に適すとされ 腹痛を伴う胃腸炎にも用いられる 体の虚弱な人 ( 体力の衰えている人 くしゃみ 鼻汁 鼻閉 ( 鼻づまり ) 等の体の弱い人 ) 胃腸の弱い人 発汗傾向鼻炎症状 薄い水様の痰を伴う咳 気管の著しい人では 悪心 胃部不快感等支炎 気管支喘息等の呼吸器症状に適すの副作用が現れやすい等 不向きとさとされる れる 体力が衰えたときのかぜのひき始めに適すとされる 胃腸虚弱で神経質の人におけるかぜの 12
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 ひき始めに適すとされる 半夏厚朴湯 麦門冬湯 気分がふさいで 咽喉 食道部につかえ感があり ときに動悸 めまい 嘔気などを伴う人における咳 しわがれ声 不安神経症 神経性胃炎に適すとされる 痰の切れにくい咳 ( 喉の乾燥感 ) 気管支水様痰の多い人には不向きとされる 炎 気管支喘息の症状に適すとされる 調べてみよう! 上の漢方処方製剤のうち マオウを含むもの カンゾウを含むものはどれか (2) コメント 一般用医薬品のかぜ薬の中には 漢方処方製剤を含有しているが 西洋薬のような 商品名のもの 西洋薬と漢方処方製剤が一緒に配合されているものなどもある 漢方処方製剤名 製品名 ( メーカー名 ) の例 備考 カコナール2 内服液 ( 第一三共 HC) 葛根湯濃縮液 葛根湯 ルルかぜ内服液 ( 第一三共 HC) 葛根湯エキス 新タウロ感冒レッド ( 日邦薬品 ) 葛根湯 + 西洋薬 柴胡桂枝湯 アルペン F こどもかぜシロップ ( ラ柴胡桂枝湯 + 西洋薬イオン ) 小青竜湯 ストナデイタイム ( 佐藤製薬 ) 小青竜湯 + 西洋薬新ハイピロガンK( クラシエ ) 小青竜湯 + 西洋薬 12) 主な副作用 (1) 手引き の記載かぜ薬における重篤な副作用は 解熱鎮痛成分 ( 生薬成分を除く ) が配合されていることによるものが多い まれに ショック ( アナフィラキシー ) 皮膚粘膜眼症候群 中毒性表皮壊死症 喘息 間質性肺炎が起こることがあり これらは かぜ薬 ( 漢方処方成分 生薬成分のみから成る場合を除く ) の使用上の注意では 配合成分によらず共通の記載となっている このほか 配合成分によっては まれに重篤な副作用として 肝機能障害 偽アルドステロン症 腎障害 無菌性髄膜炎を生じることもある また その他の副作用としては 一般的な皮膚症状 ( 発疹 発赤 掻痒感 ) 消化器症状 ( 悪心 嘔吐 食欲不振 ) めまい等のほか 配合成分によっては 眠気や口渇 便秘 排尿困難等が現れることがある 13
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 (2) コメント 副作用 添付文書に記載されている薬効群 成分 肝機能障害 アセトアミノフェン アスピリン アスピリンアルミニウム イ ブプロフェン 小柴胡湯 柴胡桂枝湯 葛根湯 麦門冬湯 小青 竜湯 偽アルドステロン症 グリチルリチン類 カンゾウ 腎障害 イブプロフェン 無菌性髄膜炎 イブプロフェン 胃痛 胃部不快感 口内炎イブプロフェン 眠気 抗ヒスタミン成分 催眠鎮静成分 口渇 抗ヒスタミン成分 抗コリン成分 便秘 コデインリン酸塩水和物 ジヒドロコデインリン酸塩 排尿困難 抗ヒスタミン成分 抗コリン成分 頻尿 血尿 残尿感 小柴胡湯 柴胡桂枝湯 * ショック ( アナフィラキシー ) 皮膚粘膜眼症候群 中毒性表皮壊死症 間質性肺炎 喘息 については 配合成分によらず すべてのかぜ薬に共通の記載事項となっている ( 漢方処方 成分 生薬成分のみからなる場合を除く ) 13) 相互作用 (1) 手引き の記載かぜ薬は 通常 複数の有効成分が配合されているため 他のかぜ薬や解熱鎮痛薬 鎮咳去痰薬 鼻炎用薬 アレルギー用薬 鎮静薬などが併用されると 同じ成分又は同種の作用をもつ成分が重複して 効き目が強すぎたり 副作用が起こりやすくなるおそれがある かぜに対する民間療法としてしばしば酒類 ( アルコール ) の摂取がなされることがあるが アルコールが医薬品の成分の吸収や代謝に影響を与え 肝機能障害等の副作用が起こりやすくなるおそれがあるため かぜ薬の服用期間中は 酒類の摂取を控える必要がある (2) コメント かぜ薬には 多くの成分が配合されているため 他の薬剤との成分の重複に注意する 一般用医薬品のかぜ薬などに配合されている成分 14
解熱鎮痛成痰成炎症成眠鎮静成フェイン類Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 分アド咳レ成ナリン作動成分鎮分去分抗ヒコスリタンミ成ン成分抗分抗分催分カかぜ薬 解熱鎮痛薬 鎮咳去痰薬 鼻炎用内服薬 乗物酔い防止薬 : 多くの製品に配合されている : 一部の製品に配合されている 14) 受診勧奨 (1) 手引き の記載かぜ薬の使用は 発熱や頭痛 関節痛 くしゃみ 鼻汁 鼻閉 ( 鼻づまり ) 咽頭痛 咳 痰等の症状を緩和する対症療法である 一定期間又は一定回数使用して症状の改善がみられない場合は かぜとよく似た症状が現れる別の重大な疾患 細菌感染等の併発が疑われるため 一般用医薬品によって対処することは適当でない こうした場合 医薬品の販売等に従事する専門家においては 購入者等に対して かぜ薬を漫然と使用を継続せずに医療機関を受診するよう促すべきである 特に かぜ薬を使用した後 症状が悪化してきた場合には 間質性肺炎やアスピリン喘息等 かぜ薬自体の副作用による症状である可能性もある なお 高熱 黄色や緑色に濁った膿性の鼻汁 痰 喉 ( 扁桃 ) の激しい痛みや腫れ 呼吸困難を伴う激しい咳といった症状がみられる場合は 一般用医薬品によって自己治療を図るのではなく 初めから医療機関での診療を受けることが望ましいとされている 高齢者であっても 日頃健康な身体状態が保たれていれば 通常の成人と同様の対応で問題ない しかし 慢性呼吸器疾患 心臓病 糖尿病等の基礎疾患がある人 ( 高齢者に限らない ) では 基礎疾患の悪化や合併症の併発を避けるため 初めから医療機関の受診が望ましい 小児のかぜでは 急性中耳炎を併発しやすい かぜの症状の寛解とともに自然治 15
療機関診療Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 癒することも多いが 耳の奥の痛みや発熱が激しい場合や長引くような場合には 医療機関に連れていくことが望ましい (2) コメント 受診と自宅療養の判断の目安 臨床症状と所見自38 以下発熱 39 以上宅透明感あり鼻汁療黄色 緑色 ( 混濁 ) 養医軽い場合咽頭痛激しい痛み 腫脹軽い場合咳激しい場合 発熱 38~39 では 他の複数の症状がみられる場合には医療機関受診を奨める 成人気道感染症診療の基本的考え方 より作成 15) 一般用医薬品に関する主な安全対策 1 アンプル入りかぜ薬 (1) 手引き の記載解熱鎮痛成分としてアミノピリン スルピリンが配合されたアンプル入りかぜ薬の使用による重篤な副作用 ( ショック ) で 1959 年から 1965 年までの間に計 38 名の死亡例が発生した アンプル剤は他の剤型 ( 錠剤 散剤等 ) に比べて吸収が速く 血中濃度が急速に高値に達するため 通常用量でも副作用を生じやすいことが確認されたため 1965 年 厚生省 ( 当時 ) より関係製薬企業に対し アンプル入りかぜ薬製品の回収が要請された その後 アンプル剤以外の一般用かぜ薬についても 1970 年に承認基準が制定され 成分 分量 効能 効果等が見直された (2) コメント 一般用医薬品製造( 輸入 ) 承認基準 ( 以下 承認基準 ) は 一般用医薬品の製造販売について承認を与えるときの審査基準 有効成分の種類 1 日 ( または 1 回 ) 最大分量 配合ルール 剤型 用法 用量 効能 効果などが定められている 現在のところ かぜ薬 解熱鎮痛薬 鎮咳去痰薬 胃腸薬 瀉下薬 鎮暈薬 眼科用薬 ビタミン主薬製剤 浣腸薬 駆虫薬 鼻炎用点鼻薬 鼻炎用内服薬 外用痔疾用薬 みずむし たむし用薬の 14 薬効群について 承認基準が制定されている こ 16
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 れらの承認基準に適合するものは 厚生労働大臣から都道府県知事に承認権限が委任 されている ( 薬効群や品目などによっては 厚生労働大臣あての申請となる場合もあ る ) 16) 一般用医薬品に関する主な安全対策 2 小柴胡湯 一般用かぜ薬による間質性肺炎 (1) 手引き の記載 1 小柴胡湯による間質性肺炎については 1991 年 4 月以降 使用上の注意に記載されていたが その後 小柴胡湯とインターフェロン製剤の併用例による間質性肺炎が報告されたことから 1994 年 1 月 インターフェロン製剤との併用を禁忌とする旨の使用上の注意の改訂がなされた しかし それ以降も慢性肝炎患者が小柴胡湯を使用して間質性肺炎が発症し 死亡を含む重篤な転帰に至った例もあったことから 1996 年 3 月 厚生省 ( 当時 ) より関係製薬企業に対して緊急安全性情報の配布が指示された 22003 年 5 月までに 一般用かぜ薬の使用によると疑われる間質性肺炎の発生事例が計 26 例報告された 厚生労働省では 一般用かぜ薬は 一般の生活者が自らの選択により購入して使用するものであること 間質性肺炎は重篤な副作用であり その初期症状は一般用かぜ薬の効能であるかぜの諸症状と区別が難しく 症状が悪化した場合には 注意が必要なことを踏まえ 同年 6 月一般用かぜ薬全般につき使用上の注意の改訂を指示することとした それ以前も一般用かぜ薬の使用上の注意において 5~6 回服用しても症状が良くならない場合には服用を中止して 専門家に相談する 等の注意がなされていたが それらの注意に加えて まれに間質性肺炎の重篤な症状が起きることがあり その症状は かぜの症状と区別が難しいため 症状が悪化した場合には服用を中止して医師の診療を受ける 旨の注意喚起がなされることとなった 3 通常の肺炎は 気管支又は肺胞が細菌に感染して炎症を生じたものであるのに対し 間質 ( 肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織 ) で起きた肺炎を間 質性肺炎という 間質性肺炎では 肺胞と毛細血管の間でのガス交換率が低下して 17
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 血液に酸素が十分取り込めずに低酸素状態となる 息切れ 息苦しさ等の呼吸困難 空咳 ( 痰の出ない咳 ) 発熱等が 医薬品の使用から1~2 週間程度の間に起こる 息切れは 初期には運動時又は坂道や階段を上がるときに起きるが 進行すると歩行だけでも息切れを感じるようになる 発熱は 必ずしも伴わないことがある これらの症状は かぜ 気管支炎等との区別が難しいこともあり 注意が必要である 症状が一時的で改善することもあるが 悪化すると肺線維症 ( 肺が線維化を起こして硬くなってしまう状態 ) となる場合がある 重篤な症状への進行を防止するため 原因と思われる薬剤の使用を中止して 速やかに医師の診療を受ける必要がある (2) コメント間質は肺胞と毛細血管の間にある支持組織で ここに炎症性細胞などが入り込んで炎症を起こし 酸素と二酸化炭素の交換がスムーズに行われなくなるのが 間質性肺炎である ( 図 -2) 血液中に酸素が十分に取り込まれなくなるため ちょっと動いただけでも息切れや息苦しさを感じるようになるほか 空咳や発熱などもみられる リウマチなどの疾患に伴って起こる場合もあるが 医薬品の副作用によって起こることもある 医薬品の副作用による間質性肺炎は進行が非常に速いため 息切れや息苦しさ 空咳などの症状がみられたら すぐに医療機関に連絡し 指示を受けることが大切である 図 -2 正常肺と間質性肺炎の肺出典 : 調剤と情報 :V.11(1)p.41(2005) 二酸化炭素 酸素 二酸化炭素 酸素 肺胞と血管の間 ( 間質 ) に炎症性細胞などが入り込んで線維化が進む 18
Ⅰ. かぜ症候群とかぜ薬の基礎知識 17) 一般用医薬品に関する主な安全対策 3 塩酸フェニルプロパノールアミ ン含有医薬品 (1) 手引き の記載塩酸フェニルプロパノールアミン (PPA) は 鼻みず 鼻づまり等の症状の緩和を目的として 鼻炎用内服薬 鎮咳去痰薬 かぜ薬に配合されていた PPA 含有医薬品については 2000 年 5 月米国において 女性が食欲抑制剤 ( 我が国での鼻炎用内服薬等における配合量よりも高用量 ) として使用した場合に 出血性脳卒中の発生リスクとの関連性が高いとの報告がなされ 米国食品医薬品庁 (FDA) より 米国内におけるPPA 含有医薬品の自主的な販売中止が要請された 我が国では食欲抑制剤として承認されていないことなどから 同年 11 月 直ちに販売を中止する必要はないものとして 心臓病の人や脳卒中の既往がある人等は使用しないよう注意喚起を行っていた しかし 2003 年 8 月までに PPAが配合された一般用医薬品による脳出血等の副作用症例が複数報告され それらの多くが用法 用量の範囲を超えた使用又は禁忌とされている高血圧症患者の使用によるものであった そのため 厚生労働省より製薬企業等に対して 使用上の注意の改訂 情報提供の徹底等を行うとともに 代替成分として塩酸プソイドエフェドリン (PSE) 等への速やかな切り替えにつき指示がなされた (2) コメント アドレナリン作動成分を参照 19
Ⅱ. 症状別の対応法 Ⅱ. 症状別の対応法 < ケース 1> 1) 顧客の訴え 2 歳の男児 昨日から鼻をぐずぐずさせている 今のところ 熱はなく 咳も出ない ので ひどくならないうちに治したい 2) 対応鼻以外の症状はないとのことなので かぜ薬ではなく 鼻炎用内服薬で対応する 剤型としては 2 歳児なのでシロップ剤か散剤になるだろう 鶏卵アレルギーの有無を確認することはもちろんだが リゾチーム塩酸塩を初めて服用したときに ショック ( アナフィラキシー ) を生じたとの報告があることから 服用後の乳児の様子や体調の変化などには十分注意する < ケース 2> 1) 顧客の訴え 5 歳の女児 熱が 38 近くある 機嫌もよく 元気にしているが 念のため 薬がほ しい 2) 対応症状は熱だけとのことなので 解熱鎮痛薬で対応できる 発熱は からだに備わった防御反応なので 熱があっても元気がよいようであれば 無理に熱を下げることはない 元気がない 機嫌が悪い 食欲がないなどの症状がみられるときや 熱性痙攣の経験がある場合などは 様子を見て 解熱鎮痛薬を使用するように伝える 小児に対する解熱鎮痛成分としては 主にアセトアミノフェンが用いられる 比較的安全性の高い成分とされているが 使い過ぎや内服薬と坐薬の併用などにより 低体温を起こすことが知られている すぐに熱が下がらないからといって 間隔をおかずに服用させるようなことは避け 用法 用量を守って使用することが大切である 20
Ⅱ. 症状別の対応法 < ケース 3> 1) 顧客の訴え 6 歳の男児 咳や鼻水が少し出て 熱っぽい 両親もかぜ気味なので 家族でのめる かぜ薬がほしい 錠剤かカプセル剤を希望 2) 対応 15 歳未満の小児には使用しないこととされているアスピリンやサザピリン 15 歳未満の小児に使用できる製品がないイブプロフェンなどを配合しているものを避け 6 歳児の用法 用量が設定されている製品を選ぶ ただし 水痘やインフルエンザのおそれがあるときや 周囲でこれらの疾患が流行しているときは エテンザミドやサリチルアミドを配合した製品も避ける また 家族の中にアレルギー体質の人はいないか 薬や食品などでアレルギーを起こしたことがある人はいないかなども確認し 鶏卵アレルギーの人がいればリゾチーム塩酸塩を配合したものを避けるなどの注意も必要となる このケースのように家族でのめるファミリーユースタイプのかぜ薬を希望されることも少なくない しかし 家族であっても 年齢や体質 症状は異なり 薬の効き方や副作用の発現には個体差もあるので このタイプのかぜ薬は 常備薬として応急処置的に使用するとよいだろう 調べてみよう! このケースに適した製品としては 具体的にどのようなものがあるだろうか < ケース 4> 1) 顧客の訴え 20 代女性 微熱があり 咳はあまり出ないが 鼻水が出る 母親がピリン系のかぜ薬 で湿疹が出たことがあると聞いたので ピリン系の成分を含まないものがいい 2) 対応 熱があってつらそうな場合はかぜ薬 熱があってもあまりつらくないようであれば鼻 炎用内服薬で対応する 21
Ⅱ. 症状別の対応法 かぜ薬を選ぶ場合は 顧客の訴えから ピリン系の解熱鎮痛成分であるイソプロピル アンチピリンを含まないものを選ぶが 顧客の中には アスピリンやサザピリンなどを ピリン系の成分と誤解しているケースもあるので 念のため 確認する < ケース 5> 1) 顧客の訴え 30 代男性 38 近い熱があり のどの痛みが強い からだもだるいので かぜ薬と栄 養剤 ( ドリンク剤 ) がほしい 2) 対応熱が高く のどの痛みが強いことから 解熱鎮痛成分としては抗炎症作用にもすぐれているイブプロフェンを第一候補と考える のどのかぜに とうたっているかぜ薬にはイブプロフェンを配合したものが多いが 抗炎症成分であるリゾチーム塩酸塩やトラネキサム酸 グリチルリチン酸二カリウムなどを配合したものもある 副作用などでイブプロフェンを使用できない場合は これらの成分を配合した製品を選んでもよいだろう また ほとんどのかぜ薬 ( 漢方処方製剤を除く ) にはカフェインが含まれているため 栄養剤 ( ドリンク剤 ) としては カフェインを含まないものを選ぶ これは カフェインの重複を防ぐだけでなく かぜの回復に不可欠な睡眠を妨げないようにするという意味合いもある 復習しよう! イブプロフェン リゾチーム塩酸塩 トラネキサム酸 グリチルリチン類で気をつけることは? 調べてみよう! カフェインを含まないドリンク剤には どのようなものがあるだろうか 1) 顧客の訴え < ケース 6> 40 代女性 ゾクゾクした寒気があり かぜをひきそうな予感がする 首から肩にかけ 22
Ⅱ. 症状別の対応法 て こった感じがする 2) 対応顧客の訴えから 葛根湯が適切なのではないかと思われる カコナール2 や ルルかぜ内服液 ( いずれも第一三共ヘルスケア ) のように 製品名に 葛根湯 とついていなくても成分は葛根湯であるものなどもあるので注意する このケースでは 顧客の症状から葛根湯が適していると判断されるが よく知られている漢方処方製剤だけに かぜをひいたら葛根湯 どんなかぜでも葛根湯 と思い込んでいる人も少なくない 葛根湯 ください と指名買いされるケースでは 体質や症状 症状が出てからの日数などを必ず確認する < ケース 7> 1) 顧客の訴え 40 代男性 熱っぽい感じがして 咳や鼻水も出る 以前のんだかぜ薬で すごく眠く なったので 眠くなりにくいかぜ薬がほしい 2) 対応以前に どのようなかぜ薬をのんで眠くなったかを確認する 製品名や配合成分 ( 特に抗ヒスタミン成分 ) がわかれば それらを避けて製品を選ぶ わからない場合は 改源 ( カイゲン ) や パブロン 50 ( 大正製薬 ) のように抗ヒスタミン成分を含まないものを選択してもよいが 鼻水には効果がないので鼻の症状が強い場合は適切とはいえない その場合は ストナデイタイム ( 佐藤製薬 ) のように小青竜湯と西洋薬 ( 抗ヒスタミン成分は除く ) を配合した商品などを考えるか 小青竜湯と咳止めの組み合わせを 顧客の症状や希望に合った製品を選ぶためには 過去にどんな薬をのんだか のんでみてどうだったか どんな副作用がみられたかなどを知る必要がある そこで 顧客には 一般用医薬品についても それらの事項を お薬手帳 に書き留めておくことを勧めることも忘れないようにしたい 調べてみよう! お薬手帳ってなんだろう? 23
Ⅱ. 症状別の対応法 < ケース 8> 1) 顧客の訴え 50 代女性 時々 コンコンと咳が出て のども痛い 熱や鼻の症状はない 高血圧の ため 病院に通っており 血圧を下げる薬をもらっている 2) 対応高血圧の診断を受けているとのことから アドレナリン作動成分 ( マオウも含む ) やグリチルリチン類 ( カンゾウも含む ) を配合していないものを選択することが望ましい アドレナリン作動成分を配合していない鎮咳去痰薬やかぜ薬 鼻炎用内服薬は少ないので 意識して品揃えをしておくように心がける 調べてみよう! このケースに適した鎮咳去痰薬には どのような製品があるだろうか < ケース 9> 1) 顧客の訴え 60 代男性 ここ数ヵ月 咳が続いている 時々 咳止めをのんでいるが あまりよく ならない 2) 対応 階段をちょっと昇ったりしただけで 息が切れることはありませんか お友だち ( 同年代の人 ) と一緒に歩いていて いつの間にか 自分だけが遅れているようなことはありませんか などの質問をしてみて そういえば ということであれば COPD( 慢性閉塞性肺疾患 ) の可能性が高いと思われる 去痰成分だけを配合した去痰薬で一時的に対応し 早めに受診することを勧める 24
Ⅱ. 症状別の対応法 < ケース 10> 1) 顧客の訴え 80 代の女性 かぜをひいたらしく 時々咳をしている 熱はないが 食欲もあまりな いので心配だからと 家族が来店した 2) 対応高齢者では 肺炎などの感染症にかかっていても 熱などの症状がはっきりと現れないことも少なくなく 初期症状に気付かないうちに病気が進行していることもある 特に ふだんから解熱鎮痛薬を服用している人では 熱が不顕性化していることもある 高齢者ではまた 誤嚥や嚥下障害などの可能性も考えられる 誤嚥による死亡は 特に高齢者に多い 食事中や食後に咳が出やすい 夜中に咳き込むことがあるなどは 代表的な誤嚥の症状の一つとされ 最近 食事に時間がかかっていないか 食べ物の好みが変わっていないか ( 飲み込みやすいものを好むようになったなど ) といった質問をしてみると 気がつくこともあるかもしれない このケースは 一般用医薬品で対応するのではなく 早めに医師に相談することを勧めるべきだろう 25
Ⅲ. 添付文書に記載されている理由 Ⅲ. 添付文書に記載されている理由 1. かぜ薬 1) 添付文書の記載してはいけないこと次の人は服用しないこと本剤によるアレルギー症状を起こしたことがある人 2) 記載理由本剤でアレルギー症状を起こしたことがある人が 再び服用すると ショック ( アナフィラキシー ) スティーブンス ジョンソン症候群( 皮膚粘膜眼症候群 ) ライエル症候群 ( 中毒性表皮壊死症 ) などの重篤な副作用が現れるおそれがある また アスピリンやアセトアミノフェン イブプロフェン イソプロピルアンチピリンなどを含有した製剤の服用により 発疹や発赤 かゆみ 咽頭浮腫などの過敏症状がみられたとの報告もあることから 服用しないよう注意喚起されている 2. かぜ薬 解熱鎮痛薬 1) 添付文書の記載してはいけないこと次の人は服用しないこと本剤又は他のかぜ薬 解熱鎮痛薬を服用して喘息を起こしたことがある人 2) 記載理由喘息患者のうち 非ステロイド性消炎鎮痛薬 (NSAIDs) によって喘息発作が引き起こされることが 10% 位あることは 古くから知られており 本剤や他のかぜ薬 解熱鎮痛薬を服用すると 再び喘息発作が誘発されるおそれがある これは 末梢でのプロスタグランジン合成阻害作用により リポキシゲナーゼ系で過剰になったロイコトリエンが気管支収縮を引き起こすためと考えられている 俗に アスピリン喘息 と呼ばれるが アスピリン以外の非ステロイド性抗炎症鎮痛薬 ( 外用薬も含む ) でも引き起こされることが知られているため 注意が必要である アセトアミノフェンは末梢での作用が弱いことなどから 喘息を起こしにくいともいわれるが 絶対に喘息を引き起こさないと断言することはできないため アセトアミノ 26
Ⅲ. 添付文書に記載されている理由 フェン含有製剤にも 同様の注意書きが記載されている 3.15 歳未満は避けるべき成分 1) 添付文書の記載してはいけないこと次の人は服用しないこと 15 歳未満の小児 アスピリン アスピリンナトリウム サザピリン プロメタジンサリチル酸塩 イブプロフェン含有製剤に記載 2) 記載理由 15 歳未満の小児がアスピリンなどのサリチル酸系製剤を服用した場合 ライ症候群がとの関係が示唆されているため 服用しないこととされている また プロメタジンを含む製剤を小児 ( 特に 2 歳以下の乳幼児 ) が服用した場合 乳児突然死症候群や乳児睡眠時無呼吸発作のような致命的な呼吸抑制を生じたとの報告があることから 15 歳未満の小児では服用を避ける必要がある 一般用医薬品においては 15 歳未満に使用できるイブプロフェン製剤はない 4. アスピリン 1) 添付文書の記載してはいけないこと次の人は服用しないこと出産予定日 12 週以内の妊婦 アスピリン アスピリンアルミニウムを含有する製剤に記載 2) 記載理由 妊娠期間の延長 動脈管の早期閉鎖 子宮収縮の抑制 分娩時の出血増加などにつな がるおそれがある 5. かぜ薬と併用してはならない薬効群 1) 添付文書の記載してはいけないこと本剤を使用している間は 次のいずれの医薬品も服用しないこと 27
Ⅲ. 添付文書に記載されている理由 他のかぜ薬 解熱鎮痛薬 鎮静薬 鎮咳去痰薬 抗ヒスタミン剤を含有する内服 薬 ( 鼻炎用内服薬 乗物酔い薬 アレルギー用薬 ) 2) 記載理由かぜ薬の成分と重複する成分が配合されていることが多く 作用が増強したり 副作用が現れやすくなったりするおそれがある 成分や服用量によっては 中毒域に達することもある 6. ジフェンヒドラミン含有製剤 1) 添付文書の記載してはいけないこと授乳中の人は本剤を服用しないか 本剤を服用する場合は授乳を避けること ジフェンヒドラミン塩酸塩 サリチル酸ジフェンヒドラミン タンニン酸ジフェンヒドラミンを含有する製剤に記載すること 2) 記載理由 吸収されたジフェンヒドラミンの一部が母乳中に移行し 乳児に昏睡がみられたとの 報告がある 7. リゾチーム塩酸塩 1) 添付文書の記載してはいけないこと次の人は服用しないこと本剤又は鶏卵によるアレルギー症状を起こしたことがある人 リゾチーム塩酸塩を含有する製剤に記載すること 2) 記載理由 リゾチーム塩酸塩は 卵白から抽出された成分であるため 鶏卵アレルギーの人が服 用すると アナフィラキシーショックなどのアレルギー症状を引き起こすおそれがある 28
Ⅲ. 添付文書に記載されている理由 8. プソイドエフェドリン 1) 添付文書の記載してはいけないこと次の人は服用しないこと次の症状のある人前立腺肥大による排尿困難次の診断を受けた人高血圧 心臓病 甲状腺機能障害 糖尿病 プソイドエフェドリン塩酸塩 プソイドエフェドリン硫酸塩を含有する製剤に記載 2) 記載理由他のアドレナリン作動成分に比べて交感神経系に対する刺激作用が強いとされ これらの症状や疾患を悪化させるおそれがあるため 服用しないこと とされている ( 他のアドレナリン作動成分は 相談すること となっている ) 9. かぜ薬とアルコール 1) 添付文書の記載してはいけないこと服用時は飲酒しないこと 2) 記載理由アルコールは中枢神経抑制作用を有するため 多くのかぜ薬に配合されている抗ヒスタミン成分と作用が重複し 眠気やふらつきが強く現れたり 判断力や注意力が著しく低下したりするおそれがある また 解熱鎮痛成分のプロスタグランジン合成抑制作用による胃粘膜障害とアルコールによる胃粘膜障害が重なり 消化性潰瘍や消化管出血などが現れやすくなることも考えられる 29
Ⅲ. 添付文書に記載されている理由 10. 長期連用 1) 添付文書の記載してはいけないこと長期連用しないこと 2) 記載理由かぜであれば 数回の服用で症状は改善すると思われるが 症状が長引くときは 他の疾患や合併症 かぜ薬の副作用 ( 間質性肺炎など ) の可能性も考えられる この場合 自己治療の域を超えていると思われるため 一般用医薬品の使用を中止して 医療機関の受診を勧める 11. 受診中の人 1) 添付文書の記載相談すること医師又は歯科医師の治療を受けている人 2) 記載理由医師の治療を受けている場合には 本剤の適応となる症状が治療中の疾病による可能性や投与中の薬剤の副作用であるケースも考えられる 一般用医薬品に配合されている成分の中には 治療を受けている疾病に影響を及ぼす可能性のあるものもある また 医師から薬の処方を受けている人は 処方薬との重複や相互作用の可能性があることから 相談すること となっている 12. 妊婦 1) 添付文書の記載相談すること妊婦または妊娠していると思われる人 2) 記載理由 妊婦または妊娠していると思われる人 特に妊娠 3 ヶ月くらいまでと妊娠末期は 胎 児へ影響が出やすい時期であるため 医師 薬剤師に相談することが望まれる 30
Ⅲ. 添付文書に記載されている理由 13. その他の 相談すること 対象となる人薬効群 成分理由 水痘 ( 水疱瘡 ) 若しくサリチルアミドはインフルエンザにかエテンザミドかっている又はその疑いがある乳 幼 小児 (15 歳未満 ) アスピリンとライ症候群との関連性が示されている アスピリン以外のサリチル酸系解熱鎮痛成分との因果関係は明らかにされていないが 服用は避けることが望ましい 乳児 リゾチーム塩酸塩 乳児において リゾチーム塩酸塩を初めて服用したときに ショック ( アナフィラキシー ) が現れたとの報告がある 高齢者 解熱鎮痛薬 薬剤の作用が強く現れるおそれがある 鼻炎用内服薬 メチルエフェドリン塩酸塩 交感神経刺激作用により 循環器系に影 トリメトキノール塩酸塩など響が及び 心悸亢進 血圧上昇などを生 のアドレナリン作動成分 マじることがある オウ グリチルリチン類 カンゾウ * 偽アルドステロン症を生じやすい 妊婦または妊娠していると思われる人 授乳中の人 アスピリン アセトアミノフェン イブプロフェンなどの解熱鎮痛成分が配合されたかぜ薬 解熱鎮痛薬 妊娠末期のラットに投与したところ 胎児に弱い動脈収縮がみられたとの報告がある アスピリンについては ラットで催奇形性がみられたとの報告がある ブロモバレリル尿素が配合さ胎児障害の可能性がある れたかぜ薬 解熱鎮痛薬コデインリン酸塩水和物 ジ吸収された成分の一部が胎盤関門を通過ヒドロコデインリン酸塩が配して胎児へ移行することが知られてい合されたかぜ薬 鎮咳去痰薬る コデインの類似化合物であるモルヒネの動物実験では 催奇形性が報告されている コデインリン酸塩水和物 ジ乳汁中に移行する可能性がある ヒドロコデインリン酸塩 メチルエフェドリン塩酸塩 メチルエフェドリンサッカリン塩 トリプロリジン塩酸塩 ペントキシベリン塩酸塩が配合されたかぜ薬 鎮咳去痰薬 鼻炎用内服薬 カフェイン類 (1 回分量 100 mg を含有する製剤 ) 乳汁中に移行する可能性がある 乳児ではカフェインの代謝に多くの時間を要する 高熱のある人 かぜ薬全般 重篤な疾患の可能性もあるため 受診を 鎮咳去痰薬鼻炎用内服薬 勧める むくみのある人 グリチルリチン類 カンゾウ * 偽アルドステロン症を生じやすい 31
Ⅲ. 添付文書に記載されている理由 排尿困難のある人 胃 十二指腸潰瘍の診断を受けた人 肝臓病の診断を受けた人 甲状腺機能障害の診断を受けた人 高血圧の診断を受けた人 心臓病の診断を受けた人 腎臓病の診断を受けた人 ジフェンヒドラミン塩酸塩 排尿筋の弛緩と括約筋の収縮が起こり クロルフェニラミンマレイン尿の貯留を来すおそれがある 特に 前酸塩等の抗ヒスタミン成分立腺肥大症を伴っている場合には 尿閉ヨウ化イソプロパミドなどのを引き起こすおそれがある 抗コリン成分マオウを含む漢方処方製剤 アスピリン アセトアミノフ胃 十二指腸潰瘍の症状を悪化させるおェン イソプロピルアンチピそれがある リン エテンザミド アスピリン アセトアミノフェン イブプロフェン イソプロピルアンチピリン エテンザミド セミアルカリプロティナーゼ ブロメライン メチルエフェドリン塩酸塩 トリメトキノール塩酸塩などのアドレナリン作動成分 マオウ メチルエフェドリン塩酸塩 トリメトキノール塩酸塩などのアドレナリン作動成分 マオウ 肝機能障害を悪化させるおそれがある アセトアミノフェンについては 日常的に酒類を大量に摂取している人で肝機能障害を起こしやすい 代謝や排泄の低下により 副作用が現れやすくなる 甲状腺機能亢進症の主症状は交感神経系の緊張等によってもたらされており 交感神経系を刺激させる成分は 症状を悪化させるおそれがある 交感神経刺激作用によって心悸亢進 血管収縮などが起こるため 血圧が上昇し 高血圧が悪化するおそれがある グリチルリチン類 カンゾウ * 偽アルドステロン症を生じやすい メチルエフェドリン塩酸塩 交感神経刺激による心臓刺激作用によトリメトキノール塩酸塩などり 心臓病が悪化するおそれがある のアドレナリン作動成分 マオウ ヨウ化イソプロパミドなどの抗コリン成分 副交感神経遮断作用による心臓刺激作用により 心臓病が悪化するおそれがある アスピリン アセトアミノフ腎臓での水分の再吸収を促して循環血流ェン イブプロフェン エテ量を増加させるため 心臓の仕事量が増ンザミド加し 心臓病が悪化するおそれがある グリチルリチン類 カンゾウ * ナトリウムや水分の貯留 カリウム排泄の促進が起こり むくみ等の症状が現れ 心臓病が悪化するおそれがある アスピリン アセトアミノフェン イブプロフェン エテンザミド 末梢でのプロスタグランジン産生抑制は 腎臓の血流量を低下させることにつながるため 腎機能に障害があると その症状を悪化させるおそれがある グリチルリチン類 カンゾウ * ナトリウムや水分の貯留 カリウム排泄の促進が起こり むくみ等の症状が現れ 腎臓病が悪化するおそれがある 32
Ⅲ. 添付文書に記載されている理由 糖尿病の診断を受けた人 緑内障の診断を受けた人 血液凝固異常の診断を受けた人 メチルエフェドリン塩酸塩 トリメトキノール塩酸塩などのアドレナリン作動成分 マオウ 交感神経刺激によって肝臓でのグリコーゲン分解が促進され 血糖値が上昇するおそれがある 鼻炎用内服薬 鼻炎用点鼻薬抗コリン作用によって房水流出路が狭くヨウ化イソプロパミドなどのなり 眼圧が上昇し 緑内障を悪化させ抗コリン成分るおそれがある ジフェンヒドラミン塩酸塩 クロルフェニラミンマレイン酸塩等の抗ヒスタミン成分 セミアルカリプロティナーゼ ブロメライン 血栓のある人 ( 脳血栓 トラネキサム酸心筋梗塞 血栓静脈炎等 ) 血栓症を起こすおそれのある人全身性エリテマトーデイブプロフェンス 混合性結合組織病の診断を受けた人胃 十二指腸潰瘍 潰イブプロフェン瘍性大腸炎 クローン氏病 モノアミン酸化酵素阻害薬 ( 塩酸セレギリン等 ) で治療を受けている人 インターフェロン製剤で治療を受けている人 フィブリノゲン フィブリンを分解させる作用があり 出血傾向を悪化させるおそれがある 凝固した血液を分解されにくくする作用があるため 生じた血栓が分解されにくくなることが考えられる 無菌性髄膜炎を起こしやすい プロスタグランジン産生抑制作用によって 消化管粘膜の防御機能が低下し これらの疾患が再発するおそれがある プソイドエフェドリン塩酸塩プソイドエフェドリンの分解が抑制され 血圧上昇や頻脈などの副作用が現れやすくなる 小柴胡湯 インターフェロン製剤との相互作用によって 間質性肺炎を起こしやすくなる *1 日最大配合量がグリチルリチン酸として 40mg 以上又は甘草として 1g 以上含有する製剤 33
Ⅳ. 応用知識 ( 医療用医薬品との相互作用 副作用 ) Ⅳ. 応用知識 ( こんなことも知っておきましょう ) 医療用医薬品を服用中の方に関しての注意は 薬剤師だけでなく 登録販売者も知っておくことが重要である 特に注意しておきたいポイントを以下に示した 1 一般用医薬品購入のために訴えている症状が 服用中の医療用医薬品の副作用ではないか 2 一般用医薬品と医療用医薬品との 作用の重複や相互作用はないか 3 一般用医薬品が 現在治療中の疾病に悪影響を引き起こす可能性はないか 34
Ⅴ. 添付文書の読み方 Ⅴ. 添付文書の読み方 添付文書には様々な医薬品の情報が収録されています 一般用医薬品の添付文書は使用者であるお客様向けに記載されていますが 医薬品販売の専門家は それらの情報をよく整理して さらに専門家ならではの店頭での情報提供や 相談応需に活用できるようにしておくことが大切です ここでは 実際の商品に添付されている添付文書を参考に それぞれの項目ごとに 読み方やポイントを解説していきます なお 文頭の数字は それぞれ添付文書中の数字と対応していますので 実際の添付文書と見比べながら学習してください 使用上の注意してはいけないこと 1.(1) 過去に本剤を服用して 発疹 発赤 かゆみ 浮腫などの過敏症状がみられたことのある人は 本剤を服用しないようにするための注意です また 再度服用することにより 重篤な副作用が現れるおそれもあります 1.(2) 非ステロイド性消炎鎮痛薬 (NSAIDs) では 末梢におけるプロスタグランジンが過剰になり 気管支収縮 ぜんそくが引き起こされるおそれがあります これは一般に アスピリンぜんそく といわれますが アスピリン以外の NSAIDs でも起こることがあります 本剤に配合されているアセトアミノフェンは 末梢での作用がほとんどないこ 35
Ⅴ. 添付文書の読み方 とから ぜんそくを起こす危険性は低いと思われますが 過去にかぜ薬や解熱鎮痛薬でぜんそくを起こしたことがある人は 念のため 本剤の服用も避けて下さい 2. 成分が重複して過量となり 副作用が強く現れたり 中毒が起こったりすることも考えられることから 併用しないこととされています また 本剤に抗ヒスタミン成分は含まれていませんが それを期待して服用している人 ( 排尿困難のある人 眠気を避けたい人など ) が 安易に抗ヒスタミン成分が配合された薬剤を使用しないようにするための注意です 3. 薬を服用するときに飲酒しないこと は基本的な注意事項です また 日常的にアルコールを大量に摂取している人がアセトアミノフェンを服用すると重篤な肝機能障害を起こすことも知られています 4. 一般的に かぜの症状は1 週間程度で治るといわれています 本剤を服用しても症状が改善しない場合には 他の病気にかかっている可能性 間質性肺炎などの副作用が発現している可能性などが考えられます 症状が長引く場合は 自己治療の範囲を超えていると考え 速やかに医療機関の受診を勧めましょう 36
Ⅴ. 添付文書の読み方 相談すること 1.(1) 現在の症状が 治療中の病気による可能性 または服用中の薬剤の副作用による可能性があります 本剤が治療中の病気や服用中の薬剤に影響を与えることも考えられるため 相談することとなっています 1.(2) 妊婦や妊娠していると思われる人では 胎児への影響を考え 専門医の指示を受ける必要があります 1.(3)(4) 本剤の配合成分の中には アレルギーを起こすおそれのあるものが含まれています 本人や家族がアレルギー体質の人 薬によりアレルギーを起こしたことがある人は 特に注意が必要です 過去にどのような薬でアレルギー症状を起こしたかを確認して 対応しましょう ( してはいけないこと1.(1) 参照 ) 1.(5) 高熱は かぜ以外の原因である可能性もあるため 受診が勧められます 1.(6) 配合成分の影響で これらの病気の症状の悪化や 受診中の疾患の治療薬との重複や飲み合わせの心配から相談事項となっています 心臓病: プロスタグランジン合成抑制作用により 循環血流量の増加を生じて 心臓に負担をかけ 心臓病を悪化させるおそれがあります 肝臓病: アセトアミノフェンでは 重篤な肝機能障害が報告されています 肝臓病と診断された人のほか 日常的にアルコールを多飲している人も本剤の服用には注意が必要です また 大量服用により 肝機能障害が起こりやすくなるため 用法 用量を守って服用することも重要です 腎臓病: プロスタグランジン合成阻害作用により 腎機能低下 ( 腎血流量の減少 ) が起こることが考えられます 胃 十二指腸潰瘍: アセトアミノフェンは胃腸障害が起こりにくいといわれていますが 胃 十二指腸潰瘍と診断された人は注意が必要です 2.(1) 本剤で起こる可能性のある副作用です 服用中に これらの症状や体調の変化がみられたときは 服用を中止し 医師 薬剤師に相談するように伝えて下さい 2.(2) かぜの症状であれば 5~6 回の服用で症状は改善してくると考えられます 発熱が3 日以上続いたり 熱が反復したりする場合には 他の病気にかかっている可能性もあります 症状が長引く場合には 自己治療の範囲を超えていると考え 医師 薬剤師に相談するように伝えて下さい ( してはいけないこと4 参照 ) 効能 効果本剤には 抗ヒスタミン成分が含まれていないため 鼻水やくしゃみなどの症状には 効果がありません 37
Ⅴ. 添付文書の読み方 用法 用量用法 用量を決められた1 回量 服用回数 服用方法を守ってください たくさん服用しても早くよくなるということはなく むしろ 思わぬ副作用が発現する場合もあります 成分 アセトアミノフェン: 主に中枢性の作用によって解熱 鎮痛をもたらしますが 抗炎症作用はほとんど期待できません 他の解熱鎮痛成分に比べると胃腸障害は少なく ぜんそくなどの副作用も起こりにくいといわれています ただし 重篤な肝機能障害を生じることがあるため 注意が必要です グアヤコールスルホン酸カリウム: 気道粘膜からの分泌を促進し 痰の切れをよくします デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物: 非麻薬性鎮咳成分です 38
Ⅴ. 添付文書の読み方 保管及び取扱い上の注意 (1) 直射日光や高温 多湿は薬の変質の原因となります 窓際や暖房器具のそばなどには置かないように注意しましょう (2) 小児は 好奇心から何にでも手を出し口に入れてしまうことがあります 誤飲などの事故を避けるため 小児の手の届かないところに保管しましょう (3) 他の容器に移し替えてしまうと 何の薬かわからなくなったり 不衛生になったりとさまざまな不具合が起こります もとの箱にいれたまま 添付文書と一緒に保管するように伝えましょう (4) 薬に記載されている使用期限は 未開封の状態でのものです これを過ぎたものは使用しないようにしましょう 本剤の場合 開封したら 6ヵ月以内に服用して下さい 39
Ⅴ. 添付文書の読み方 第 2 類医薬品 使用上の注意してはいけないこと 1.(1) イブプロフェンを含有している製剤の服用により 発疹 発赤 かゆみ 浮腫などの過敏症状が現れた例があることから 過去に本剤を服用して これらの症状を起こしたことがある人は 本剤を服用しないようにするための注意です また 再度服用することにより 重篤な副作用が現れるおそれもあります 1.(2) 本剤に含まれるイブプロフェンは 非ステロイド性消炎鎮痛薬 (NSAIDs) に属しています イブプロフェンは末梢におけるプロスタグランジン合成阻害作用により 消炎鎮痛作用を示しますが この働きによりロイコトリエンが過剰になり 気管支収縮 ぜんそくを引き起こすおそれがあります これは一般に アスピリンぜんそく といわれますが アスピリン以外の NSAIDs でも起こることがあるため 服用を避けるようにして下さい 1.(3)OTCでは イブプロフェン含有製剤は 15 歳未満の小児には使用しないこととされています 40
Ⅴ. 添付文書の読み方 1.(4) 本剤には 交感神経刺激薬の塩酸プソイドエフェドリンが配合されているため 膀胱括約筋や前立腺平滑筋が収縮し 前立腺肥大による排尿困難を悪化させるおそれがあります 1.(5) 本剤には 交感神経刺激薬の塩酸プソイドエフェドリンが配合されているため 次の診断を受けた人は服用しないこととされています 高血圧: 末梢血管を収縮させ 血圧を上昇させることがあります 心臓病: 心拍数が増え 心収縮力が増強するため 頻脈や動悸 血圧の上昇などがみられ 症状を悪化させるおそれがあります 甲状腺機能障害: 甲状腺機能障害では 交感神経系が優位になっているため さらに交感神経刺激薬を服用すると 症状を悪化させるおそれがあります 糖尿病: 肝臓に蓄積されているグリコーゲンの分解が進み 血糖値が上昇するおそれがあります 2. 本剤は総合感冒薬で ここに挙げられた薬剤と成分が重複するおそれがあります 併用により 成分が重複して過量となり 副作用が強く現れたり 中毒が起こったりすることも考えられることから 併用しないこととされています 3. 本剤には 眠気を催す作用のある抗ヒスタミン成分のクロルフェニラミンマレイン酸塩が配合されています 4. 薬を服用するときに飲酒しないこと は基本的な注意事項です 特にクロルフェニラミンマレイン酸塩のような抗ヒスタミン成分には 中枢神経抑制作用があるため アルコールとの併用でその作用が増強され 眠気や注意力の低下などが現れることが考えられます 5. 一般的にかぜの症状は1 週間程度で治るといわれています 本剤を服用しても症状が改善しない場合には 他の病気にかかっている可能性 間質性肺炎などの副作用が発現している可能性などが考えられます 症状が長引く場合は 自己治療の範囲を超えていると考え 速やかに医療機関の受診を勧めましょう なお 通常は短期間の服用でも十分な効果が得られることから イブプロフェン含有製剤の服用期間は5 日間を限度としています 相談すること 1.(1) 現在の症状が 治療中の病気による可能性 または服用中の薬剤の副作用による可能性があります 本剤が 治療中の病気や服用中の薬剤に影響を与えることも考えられるため 相談することとなっています 1.(2) 妊婦や妊娠していると思われる人では 胎児への影響を考え 専門医の指示を受 41
Ⅴ. 添付文書の読み方 ける必要があります イブプロフェンが 妊娠末期のラットに胎児循環持続症を起こしたという実験報告があります 1.(3) 乳汁中に移行することが知られているジヒドロコデインリン酸塩などが含まれているための記載です 乳児の安全を考え 服用する場合は授乳を避ける 授乳をする場合には服用するまで間隔をあけるといった配慮が必要です 1.(4) 高齢者では 生理機能が低下していることが多く 薬の代謝や排泄が遅延して 薬の作用が強く現れる可能性があります また 高血圧や糖尿病などの基礎疾患 ( 持病 ) をもっていることも多いので 相談事項となっています 1.(5)(6) 本剤の配合成分の中には アレルギーを起こすおそれのあるものが含まれています 本人や家族がアレルギー体質の人 薬によりアレルギーを起こしたことがある人は特に注意が必要です ( してはいけないこと1.(1) 参照 ) 1.(7) 高熱は かぜ以外の原因である可能性もあるため 受診が勧められます また 抗ヒスタミン成分 ( クロルフェニラミンマレイン酸塩 ) の抗コリン作用により 排尿困難の症状を悪化させるおそれがあります ( してはいけないこと1.(4) 参照 ) 1.(8) 配合成分の影響で これらの病気の症状の悪化や 受診中の疾患の治療薬との重複や飲み合わせの心配から相談事項となっています 肝臓病: イブプロフェンによる肝機能障害が報告されていることから 肝臓病と診断された人 服用後に全身倦怠感や黄疸が現れた人などは 医師 薬剤師に相談するように伝えましょう 腎臓病: イブプロフェンのプロスタグランジン合成阻害作用により 腎機能低下 ( 腎血流量の減少 ) が起こることが考えられます 緑内障: クロルフェニラミンマレイン酸塩の抗コリン作用により 症状が悪化するおそ 42
Ⅴ. 添付文書の読み方 れがあります 全身性エリテマトーデス 混合性結合組織病: イブプロフェンでは これらの副作用頻度が高くなることがあります また これらの診断を受けた人では 無菌性髄膜炎を生じやすくなるとの報告があります 1.(9) イブプロフェンは プロスタグランジン合成抑制作用により 消化管粘膜の防御機構を低下させます また 消化管への直接的な刺激もあると考えられ これらの病気にかかったことがある人は それらの疾患の再発を招くおそれがあるといわれています 1.(10) 塩酸プソイドエフェドリンの代謝が阻害されるため 副作用が現れやすくなるおそれがあります 43
Ⅴ. 添付文書の読み方 2.(1) 本剤で起こる可能性のある副作用です 服用中に これらの症状や体調の変化がみられたときは 服用を中止し 医師 薬剤師に相談するように伝えて下さい 2.(2) かぜの症状であれば 5~6 回の服用で症状は改善してくると考えられます 発熱が3 日以上続いたり 熱が反復したりする場合には 他の病気にかかっている可能性もあります 症状が長引く場合には 自己治療の範囲を超えていると考え 医師 薬剤師に相談するように伝えて下さい ( してはいけないこと5 参照 ) 3. ジヒドロコデインリン酸塩による便秘 イブプロフェンによる下痢 クロルフェニラミンマレイン酸塩による口の渇きが副作用として考えられます これらが継続したり 増強したりする場合は 服用を中止して 医師 薬剤師に相談するように伝えて下さい 用法 用量用法 用量を決められた1 回量 服用回数 服用方法を守って下さい たくさん服用しても 早くよくなるということはなく むしろ 思わぬ副作用が発現する場合もあります 成分 分量 44
Ⅴ. 添付文書の読み方 イブプロフェン: アスピリンと同様 酸性非ステロイド性消炎鎮痛薬 (NSAIDs) 分類されます アスピリン等に比べると胃腸への影響が少なく 抗炎症作用も示すことから 頭痛 咽頭通 関節痛 腰痛 生理痛などに有効とされています 塩酸プソイドエフェドリン: 交感神経刺激成分で 鼻粘膜の血管を収縮させることによって 鼻粘膜の充血や腫れをやわらげ 鼻づまりを楽にします クロルフェニラミンマレイン酸塩: ヒスタミンのはたらきを抑え 鼻水やくしゃみを抑えます ジヒドロコデインリン酸塩: 咳中枢に作用して 咳を鎮めます 無水カフェイン: 軽い頭痛や頭重感をやわらげます 眠気も防止します 保管及び取扱い上の注意 (1) 直射日光や高温 多湿は 薬の変質の原因となります 窓際や暖房器具のそばなどには置かないように注意しましょう (2) 小児は 好奇心から何にでも手を出し口に入れてしまうおそれがあります 誤飲などの事故を避けるため 小児の手の届かないところに保管しましょう (3) 他の容器に移し替えてしまうと 何の薬かわからなくなったり 不衛生になったりと さまざまな不具合が起こります もとの箱に入れたまま 添付文書と一緒に保管するように伝えましょう (4) 薬に記載されている使用期限は 未開封の状態でのものです これを過ぎたものは使用しないようにしましょう (5) 箱に開封した日付を記入しておくと 使用期限の目安が分かって便利です 本剤以外でも 開封年月日を記載するように勧めるとよいでしょう (6) 本剤の場合 開封したら 6ヵ月以内に服用して下さい 45