第4章 これまでの観光産業振興策の成果

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別紙 町田市観光まちづくり リーディングプロジェクト ( 案 ) 町田市

6光産業振興に向けた現状と課題 ( 東京の魅力の発信と多様な旅行者誘致の展開 ) 東京の旅行地としての魅力を効果の高い手法で海外に発信し その浸透を図ることが重要となっている そのため 国や地域ごとに旅行者の特性に応じた東京の魅力のPRと多様な形での旅行者誘致活動 ( プロモーション ) を進めるこ

が実現することにより 利用希望者は認証連携でひもづけられた無料 Wi-Fi スポットについて複数回の利用登録手続が不要となり 利用者の負担軽減と利便性の向上が図られる 出典 : ICT 懇談会幹事会 ( 第 4 回 )( 平成 27(2015) 年 4 月 24 日 ) 2. 現状 日本政府観光局

観光マーケティング調査

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により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

地方消費者行政強化作戦 への対応どこに住んでいても質の高い相談 救済を受けられる地域体制を整備し 消費者の安全 安心を確保するため 平成 29 年度までに 地方消費者行政強化作戦 の完全達成を目指す < 政策目標 1> 相談体制の空白地域の解消 全ての市町村に消費生活相談窓口が設置されており 目標を

2 おもてなしの推進 本県を訪れた旅行者がやすらぎと感動を覚え 再び訪れたくなる魅力ある地域づくりを進めるため 地域への誇りと愛着に基づくおもてなしを県民総参加により推進します 1 満足度 ( アンケート調査で非常に満足と答えた観光客の割合 ) 45% 以上 2 リピーター率 67% 以上 おもてな

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(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

平成25年度 事 業 計 画

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5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要 棋士のまち加古川 をより幅広く発信するため 市内外の多くの人が 将棋文化にふれる機会や将棋を通じた交流を図ることができる拠点施設を整備するとともに 日本将棋連盟の公式棋戦 加古川青流戦 の開催や将棋を活かした本市独自のソフト事業を展開する 5-2

(5) 老上西学区 1 まちづくりの方向性 1-1. 生活拠点の形成と交通環境の充実 既存の生活拠点を中心とした 50 戸連坦制度の厳守等により市街地の拡散を抑制するこ とで 利便性の高い生活環境を維持していくものとします 老上西学区は 東側から南側にかけての一帯が市街化区域に含まれ ( 主 ) 大


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光を巡る現状< 訪日外国人旅行者数の内訳 (2017 年 )> ( 千人 ) 20,000 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 東アジア : 韓国 台湾 香港 中国 東南アジア + インド : タイ シンガポール

戦略3 魅力を高める観光資源の開発

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目的 川越市は 埼玉県の南西部に位置し 新河岸川の舟運や川越街道を通じた江戸との交流により発展してきました 蔵造りの町並みや時の鐘などの歴史的な観光資源に恵まれ 都心からのアクセスも良いことから 毎年多くの観光客が本市を訪れています このような中 本市では 平成 20(2008) 年に 川越市観光振

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寄附文化の醸成に係る施策の実施状況 ( 平成 26 年度に講じた施策 ) 別紙 1 < 法律 制度改正 > 総務省 ふるさと納税の制度拡充 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 学校法人等への個人寄附に係る税額控除の要件の緩和 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 特例控除の上限の引上げ

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(1) 当該団体が法人格を有しているか 又は法人格のない任意の団体のうち次の1~2の要件を全て満たすもの 1 代表者の定めがあること 2 団体としての意思決定の方法 事務処理及び会計処理の方法 並びに責任者等を明確にした規約その他の規定が定められていること (2) 関係市町村との協議体制を構築してい

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○ 訪日外国人旅行者の受け入れ環境整備事業

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外国人旅行者の受入環境の整備に関する行政評価・監視_参考資料

発行 第 4 号まで各 2,000 部発行 NPO 団体 コミュニティとの交流 連携 スタッフ研修 中間支援団体の設立支援などを実施している 25 年度からは とめ市民活動プラザ を市に移管し とめ市民活動フォーラム を NPO 法人化した上で 市が NPO 法人とめ市民活動フォーラム に運営管理を

8 月 : 新大阪駅周辺地域について 都市再生緊急整備地域の候補となる地域として公表 10 月 : 第 3 回大阪港ベイエリアに関する意見交換会 を開催 11 月 : 旧成人病センター跡地等に関するマーケットリサーチ結果の公表 ( 予定 ) グランドデザイン 大阪都市圏 の推進 淀川沿川の広域連携型

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「(仮称)姫路市地域IT基本計画」の概要について

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PRIME 観光都市・東京 東京都観光産業振興実行プラン2018

5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要地域全体が観光で 稼ぐ 仕組みを構築していくため, 県域 DMOに必要な人材の育成 確保 活用 観光地ブランド化や宿泊施設の充実など魅力ある観光地域づくり 県産品の知名度向上や販路拡大による稼げる観光産業の振興 旅行博や訪日旅行商談会におけるPRな

目次 第 1 章計画の基本方針 1 1 策定の趣旨 1 2 東京 2020 大会ビジョンの共有 1 3 基本コンセプト 2 4 基本目標 ( 創出するレガシー ) 2 5 計画の期間 2 第 2 章アクション 3 1 共通の取り組み 3 2 基本目標スポーツ振興 4 3 基本目標観光振興 5 4 基

福知山市中心市街地活性化基本計画

4. 都市づくりの目標と方針 4-1 都市づくりの基本理念 地域の個性が輝く生活快適都市 上田 ~ 魅力あるふるさと活気ある交流風格ただようまち ~ 基本理念の意味あい 上田市は 歴史 文化 自然 産業などに恵まれた特色ある地域から成り立っており 各地域が個性を発揮し 連携し合い 交流を促進しながら

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1. 実現を目指すサービスのイメージ 高齢者や障害者 ベビーカー利用者など 誰もがストレス無く自由に活動できるユニバーサル社会の構築のため あらゆる人々が自由にかつ自立的に移動できる環境の整備が必要 ICT を活用した歩行者移動支援サービスでは 個人の身体状況やニーズに応じて移動を支援する様々な情報

外国人旅行者の受入環境整備方針 本文

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数値目標 平成 29 年 オープンカフェ新規参加店舗数 58 店 6 店 6 店 オリオン市民広場集客数 1,500 人 3,000 人 3,000 人 センターコア歩行者 自転車通行量 ( 平日 ) 1,700 人 1,700 人 1,700 人 5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概

はじめに スノーリゾート地域の活性化は 国内外の旅行者がともに減少する冬期の観光振興を進める上で極めて重要であり 観光庁では平成 27 年から スノーリゾート地域の活性化に向けた検討会 を開催し スノーリゾート地域を取り巻く状況の調査 分析等を通じて 本年 4 月に今後の取組の方向性等について最終報

2. 本市の上期観光入込客数について平成 27 年度上期観光入込客数は 総数 377,300 人で 前年の 351,600 人より 25,700 人 7.3% の増となった その内訳として 道内客が 84,900 人で 前年の 94,200 人より 9,300 人 9.9% の減 道外客が 292,

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地域再生計画 1 地域再生計画の名称 チャリ旅!~ 栃木県北サイクルツーリズム事業 ~ 2 地域再生計画の作成主体の名称大田原市及び矢板市並びに栃木県那須郡那須町 3 地域再生計画の区域大田原市及び矢板市並びに栃木県那須郡那須町の全域 4 地域再生計画の目標 4-1 地方創生の実現における構造的な課

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3. 国 地域別調査結果 (1) 中国国籍 問 2. あなたの性別 年齢を教えてください 性別 中国国籍では 女性 が 56.3% 男性 が 43.7% となっています 年齢 中国国籍で最も多いのは 30 歳代 で 42.2% 次いで 20 歳代 25.6% 40 歳代 17.1% となっています

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24 ごみ減量分野様式 2 ごみゼロをめざすまち 分野目標 1 ごみゼロ都市 なかの を実現するために 区民 事業者 区が連携して3Rの取組みを進め ごみの排出量が減少するまちをめざす 2 循環型社会を実現するために 資源の再使用 再生利用などの資源の有効利用が広がっているまちをめざす 成果指標 区

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

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Index 1. 東北の現状 2. 業界や企業のこれまでの取組み 3. 観光振興への課題と対応策 4. 結びに 1

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Transcription:

第 4 章これまでの観光産業振興策の成果 都では 平成 13(2001) 年 11 月に策定した 東京都観光産業振興プラン を 平成 19 (2007) 年 3 月に改定し 活力と風格ある世界都市 東京の実現を目指し 観光産業の振興を図ってきた その結果 平成 18(2006) 年において約 481 万人であった訪都外国人旅行者数は 平成 22(2010) 年には約 594 万人と過去最高となるなど 大きな成果を挙げてきた 本章では 改定したプランを踏まえ その計画期間であった平成 19(2007) 年度から 23 (2011) 年度の5 年間における施策の成果について 主なものを紹介する 1 東京の魅力を世界に発信 (1) 観光プロモーション等の積極的な展開 トロント ( カナダ ) での商談会 1 民間事業者との連携による観光プロモーション都内の民間事業者と連携し 海外の旅行事業者との商談会や東京の魅力を紹介するセミナー 旅行博覧会への出展 セールスコール ( 訪問営業 ) などを実施することにより 東京に向けた旅行商品の造成を促進した 2 海外の旅行事業者やメディアを招聘し 東京を紹介東京を目的地とする旅行商品の造成を促進するため 5 年間で 31 件 346 人の海外旅行事業者を招聘し 東京の魅力を体験する取組を実施している また 海外のメディアについては 141 件 329 人の招聘を実施し 東京の魅力を紹介する記事や映像の制作を促進する取組を実施した その結果 テレビ 雑誌 新聞などの海外メディアにおいて 150 を超える記事や映像が制作されるなど 広告費用に換算して約 40 億円に相当する効果を生み出した 3 海外旅行事業者による東京への旅行商品の企画開発の促進平成 14(2002) 年度の事業開始以来 欧米豪のうち旅行者数の増加が期待できる国 地域を対象に 9カ国 19 都市で観光プロモーションを展開してきた こうした取組により 5 年 開発された旅行商品件数の推移 4,422 3,453 2,506 999 1,828 576 件 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 18 年度 19 年度 20 年度 21 年度 22 年度 23 年度 年号は平成出典 : 東京都調べ 128

間で 3,846 件の東京への旅行商品が企画 開発された ( 事業開始からの累計は 4,422 件 ) 4 東京観光レップによる現地でのプロモーション東京観光レップについては 平成 18(2006) 年度末時点において7 都市 1 に設置していたが これにシドニー ( 平成 20 (2008) 年度 ) パリ( 平成 22(2010) 年度 ) トロント ( 平成 23(2011) 年度 ) の3 都市を新たに加え 現在では 10 都市に設置している 現地でのレップによる東京のPRやプロモーション活動を通じて 旅行事業者において東京に向けた旅行商品の造成が図られるなど 具体的な成果が現れている (2) ウェブサイトによる情報発信 総合的な観光情報の発信 ウェブサイト 東京の観光 のアクセス件数 万件都の観光公式ウェブサイト 東京の 4,000 3,500 観光 では 東京の基本情報をはじめ 3,000 主要な観光スポット 東京のトピック 2,500 2,000 ス 四季折々のイベント 外国人旅行 1,500 者向けの観光ガイドサービスなど 1,000 500 様々な東京の観光情報を発信している 0 インターネットによる情報発信を開 始した平成 14(2002) 年度以降 アクセス件数は大きく増加している (3) コンベンション誘致活動の展開 1 開催への支援による国際会議の誘致 平成 21(2009) 年度から 東 14 年度 15 年度 16 年度 17 年度 18 年度 19 年度 20 年度 21 年度 22 年度 23 年度 年号は平成 アクセス件数の算出は Analog 方式による 平成 20(2008) 年度に ウェブサイトをリニューアルし 総ページ数を削減 平成 24(2012) 年度に 東京の観光 は GO TOKYO にリニューアル (P31 コラム参照 ) 都市別国際会議開催件数 順位平成 18(2006) 年 平成 23(2011) 年 ) 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 2006 年 2011 年 京が開催候補地となっている国 598 際会議を対象に その開催経費につ いて助成を行っている 平成 23 318 232 (2011) 年度までの3 年間に申請の 153 146 77 238 あった 16 件の国際会議のうち 14 件の東京開催が決定するなど 開催 東京 ソウル シンガポール 日本 地の決定におけるインセンティブと して着実な成果を上げている 平成 23(2011) 年における我が国全体の国際会議の開催件数は 598 件であり シ 25 位 7 位 9 位 5 位 3 位 1 位 17 位 3 位 ( 国 ) 出典 : 日本政府観光局(JNTO) 国際会議統計 ( 日本政府観光局 (JNTO)) 919 ( 参考 ) 1 ロサンゼルス サンフランシスコ ニューヨーク ロンドン ミュンヘン ミラノ マドリード 129

ンガポール 米国に次ぐ第 3 位となっている 一方 都市別にみると 東京での開催件数は 153 件であり 世界第 7 位まで地位を高めている しかし 同年におけるアジア全体の開催件数は 平成 18(2006) 年の 1,927 件から 3,029 件と大幅に増加しているとともに 東京はシンガポール ソウルの後塵を拝していることから さらなる取組を進める必要がある 2コンベンション人材の育成平成 20(2008) 年度から MICEに関連する業務に携わっている人々を対象としたMICE 人材育成講座を実施し 平成 23(2011) 年度末までに計 164 人が受講した また 受講後 1 年を経過した受講者に対するフォローアップ講座を実施し さらなる能力の向上を図ってきた (4) ビッグイベントと連携した東京の魅力発信 国際的なイベント等を通じて東京をPR 国際的なイベントとして成長した 東京マラソン をはじめ 東京国際アニメフェア 東京国際映画祭 などのビッグイベントや 東京大マラソン祭り などのタイアップしたイベントを通じて 東京の魅力をPRしている 2 観光資源の開発 (1) 美しい景観の形成 1 江戸 東京の情緒あるまちなみ整備の支援地域の観光関連団体が取り組む 歴史的な風情や趣きを感じさせるまちなみ整備を区市町村とともに支援し 旅行者に対する東京の魅力の向上を図っている これまでの取組 神田淡路町 須田町の老舗街 千代田区 ( 平成 20(2008) 年度 ) 北品川の旧東海道と路地 品川区 ( 同上 ) 柴又帝釈天を中心とした地域 葛飾区 ( 同上 ) 日本橋室町周辺地域 中央区 ( 平成 21(2009) 年度 ) 中町の料亭街周辺地域 八王子市 ( 同上 ) 2 歴史的建造物等を活かした観光まちづくりへの支援都選定の歴史的建造物の周辺地域におけるまちなみ整備や 観光案内板の設置などの取組に対する支援を実施した こうした取組により 歴史的建造物周辺におけ 130

る来訪者の回遊性の向上が図られるとともに 歴史的建造物に対する地元の理解が深まるなど 地域の魅力を活かしたまちづくりへの機運が向上した これまでの取組 柴又帝釈天周辺地域 葛飾区 ( 平成 22(2010) 年度 ) 言問橋周辺地域 墨田区 ( 平成 23(2011) 年度 ) 高安寺周辺地域 府中市 ( 同上 ) 3 電線類の地中化 ( 無電柱化 ) の推進美しい景観を形成するため 道路等における電線類の地中化 ( 無電柱化 ) を推進している ( 平成 23(2011) 年度末時点の整備延長 :739 km 地中化率 : 32%) (2) 水辺空間の魅力向上 1 水辺空間を活用した賑わいの創出河川沿いのテラスにおけるオープンカフェの設置を試行的に行うなど 水辺空間を活用した先進的取組を支援することにより 水辺の賑わいを創出し 地域の観光産業の振興につなげた 隅田川カフェ事業 ( 平成 22(2010) 年 ) 2 水辺を活かした観光ルートの開発を促進魅力ある水辺空間だけでなく 周辺地域も含めた広域の観光マップを作成し 観光スポットやイベントの情報を提供するなど 旅行者の回遊を促進した これまでの取組( 広域観光マップの作成 ) 深川 木場周辺 晴海 豊洲 ( 平成 19(2007) 年度 ) 神田川下流 日本橋川地域 勝島運河周辺流域 ( 平成 20(2008) 年度 ) 隅田川上流地域 ( 平成 21(2009) 年度 ) 水辺シンポジウム 3 水辺の魅力を発信水辺を楽しむきっかけづくりや 水辺の活用促進を目的とした 水辺シンポジウム を開催し 先進地域として広島市の取組事例を紹介するなど 地域における賑わい創出に向けた機運を高めた 131

(3) 東京フィルムコミッション 1 地域におけるフィルムコミッションの設立等への支援区市町村や観光協会 ロケーション撮影の受入施設等を対象として 円滑な受入に関する実務や 映像作品を活用した効果的な旅行者誘致策等についての講習会を開催した また ロケーション撮影の受入 活用に 東京ロケ地マップ 積極的な区市町村等に対して アドバイザーを派遣し フィルムコミッションの設立を支援した 2 国内外に向けた東京のロケ地のPR 国内外の旅行者が東京の観光やまち歩きに活用できるよう 東京のロケ地を紹介した 東京ロケ地マップ を 4 言語 5 種類 ( 日本語 英語 中国語 ( 簡体字 繁体字 ) ハングル) で作成した (4) 自然と調和した観光 ( 多摩地域の観光振興 ) 地域主体の広域的取組を支援地域の観光資源を結んだ観光ルートの設定など 市町村の枠を越えた広域的な観光まちづくりの取組を支援し 地域の一体的な取組を促進した これまでの取組 青梅 奥多摩地域 ( 平成 17(2005) 年度から平成 20(2008) 年度 ) あきる野 日の出 檜原地域 ( 平成 20(2008) 年度から平成 22(2010) 年度 ) ( 島しょ地域の観光振興 ) 1 各島による主体的な観光振興の取組に対する支援各島の魅力を活かしたイベントの開催など 地域の主体的な取組に対する支援を行い 観光産業の活性化や旅行者の誘致を図った 2 三宅島の観光復興支援火山災害からの復興を目指す三宅島の観光振興の促進を目的とした 三宅村観光振興プラン ( 計画期間 : 平成 18(2006) 年度から平成 23(2011) 年度まで ) における施策の実現を支援した 3 小笠原諸島における世界自然遺産登録世界自然遺産登録に向けた取組を進める小笠原諸島において 幅広い旅行者が快適に滞在できる観光地を目指すため 受入施設の現状や課題を把握する調査を実施 132

した 平成 23(2011) 年 6 月に世界自然遺産に登録されたことを受けて 今後は 調査で把握された課題に対する具体的な取組を進めるとともに 世界自然遺産を活かした持続的な観光産業振興を推進する必要がある (5) 産業観光の推進 東京の多様な産業を活かした観光ルート整備の支援産業を活かした観光ルートの整備を図るため 観光スポットの開発やPRなどに取り組む区市に対して 5 年間で延べ 29 区 14 市に対する支援を実施し 工場見学ツアーが実施されるなど 国内外の旅行者の誘致を促進した (6) 観光まちづくりの推進 1 観光まちづくりの普及都内の各地域に対して 観光まちづくりの先進的な取組事例を広く周知するとともに その普及を図るため 平成 20(2008) 年度から 観光まちづくり取組事例集 を作成している また 翌平成 21( 2009) 年度より 観光まちづくりシンポジウム を開催し 観光まちづくりに取り組む団体間の交流の場を提供するなど 観光まちづくりの機運を醸成している ( 計 4 回開催 504 人参加 ) 2 観光まちづくりアドバイザーの派遣地域において観光まちづくりに主体的に取り組んでいる団体等に対して その要望を踏まえたアドバイザーを派遣し その実情に応じた観光まちづくりを促進している (5 年間で 31 団体に派遣 ) 3 地域と連携した広域観光まちづくりの支援行政区域を越えて連携し 主体的に観光まちづくりに取り組む地域に対して アドバイザーを派遣し 広域観光まちづくり推進組織の設立等を支援した これまでの取組 浅草 両国地域 ( 平成 17(2005) 年度から平成 19(2007) 年度 ) 青梅 奥多摩地域 ( 平成 17(2005) 年度から平成 20(2008) 年度 ) 再掲 品川 大田地域 ( 平成 20(2008) 年度から平成 22(2010) 年度 ) あきる野 日の出 檜原地域 ( 同上 ) 再掲 墨田 江東地域 ( 平成 23(2011) 年度 ) 133

3 受入体制の整備 (1) 温かく迎える仕組みづくり 1 多言語によるウェルカムカードの作成 提供都内の地図 観光スポット 緊急時における連絡先 東京への歓迎メッセージ等が記載されているウェルカムカード ( 東京ハンディガイド 東京ハンディマップ ) を作成し 都や民間の観光案内所 空港などで配布している 日本語 英語 中国語 ( 簡体字 繁体字 ) ハングル フランス語 ドイツ語 スペイン語に 平成 20(2008) 年度からイタリア語を加えて8 言語 9 種類とし 利便性の高い情報を提供している 2ウェルカムボードの設置外国人旅行者を温かく迎えるメッセージを表現したウェルカムボードを 成田空港 羽田空港 京成上野駅に設置している ウェルカムボード ( 羽田空港 ) 3 飲食店における外国語メニューの普及 外国語メニュー作成支援サイト を立ち上げ 都内の飲食店が ウェブサイト上で気軽に外国語メニューを作成できる環境の整備や 外国人旅行者への接客における基礎知識などを提供している また 旅行者が日本の食を気軽に楽しめるよう 外国語メニューのある飲食店を紹介している (2) 宿泊施設のバリアフリー化の推進 1 宿泊施設のバリアフリー化に向けた支援と セミナー 相談会の実施高齢者や障害者などが宿泊施設を安心してスムーズに利用できるよう 都内のホテルや旅館などの宿泊施設に対して 出入口や客室における段差の解消 だれでもトイレ 2 の設置など 施設整備 改修における助成を実施した (5 年間で延べ 83 件 ) また バリアフリー環境の重要性などを啓発するセミナーや相談会を開催し 宿泊施設におけるバリアフリー化を推進している (3) 案内サイン標準化の推進 1 案内サイン標準化指針の策定旅行者にとって利便性の高い案内標識の整備を促進するため 平成 19(2007) 年度に 国内外旅行者のためのわかりやすい歩行者用案内サイン標準化指針 を策定 2 車いす利用者を含め 全ての人が利用できるトイレ 134

した 2 観光案内標識の設置国内外から旅行者が安心して東京の観光を楽しめるよう ピクトグラム ( 絵文字 ) や多言語 ( 日本語 英語 中国語 ハングルの4 言語 ) で表記した観光案内標識を設置するとともに 上記の 標準化指針 に基づき 区市町村や鉄道事業者などに対して協力を求め 分かりやすい案内標識の整備を促進している (4) 観光案内体制の充実 東京観光情報センター羽田空港支所 1 東京観光情報センター の運営による観光情報の提供東京都庁 羽田空港 京成上野駅の3 箇所において 東京観光情報センター を運営し 国内外の旅行者に対して 東京の観光情報を提供している 平成 22(2010) 年 10 月には 羽田空港の国際化に合わせて 同センター羽田空港支所を第 1 旅客ターミナルビルから 新国際線ターミナルビルへ移転した また 増加するアジアからの旅行者に対応するため 中国語 ハングルに対応できるスタッフを配置し 日本語 英語と合わせて4 言語で対応できるようにするなど 案内機能の強化を図っている 全国観光 PRコーナー ( 東京都庁第一本庁舎 2 階 ) 2 全国観光 PRコーナー の開設平成 20(2008) 年度において 日本全国の観光情報の発信拠点として 東京都庁第一本庁舎 2 階に 全国観光 PRコーナー を開設した 同コーナーでは 全国の観光パンフレットを常設するとともに 各自治体による観光 物産のPRイベントを週替わりで実施し 好評を得ている 3 民間事業者等との連携による 観光案内窓口 の運営区市町村や民間事業者等の既存の窓口を活用して 観光情報を提供する 東京観光案内窓口 を設置し 旅行者に対する観光情報を提供している ( 平成 23(2011) 年度末時点 152 か所 ) ( 5) 観光ボランティアの活用 1 イベントや国際会議等における 東京都観光ボランティア の活用 135

海外における駐在経験者など 語学が堪能な人を 東京都観光ボランティア として登録し 都内でのイベントや国際会議へ派遣するなど 外国人旅行者の満足度を高める活動を実施している ( 平成 23(2011) 年 4 月登録時 847 人 ) 27 言語による観光ガイドサービスの実施外国人の個人旅行者を対象に 東京都観光ボランティア による7 言語 ( 英語 中国語 ハングル ドイツ語 フランス語 イタリア語 スペイン語 ) での観光ガイドサービスを実施し 都内主要観光ルート (10 コース ) を案内している 3 都庁案内ツアーの実施東京都庁を訪れた外国人旅行者等を対象として 外国語で庁舎内を案内するサービスを実施している (5 年間の利用者は累計で約 1 万 8,000 人 ) また 平成 23(2011) 年 7 月からは 新たに都庁展望室におけるガイドサービス ( 英語のみ ) も開始し 景観案内や観光案内などを行っている (6) 海外青少年の教育旅行受入を促進する体制の整備 1 海外青少年の教育旅行受入の推進組織を設立若い人々の国際交流を深めるとともに 外国人の東京に対する理解の向上 東京の魅力を発信することなどを目的として 平成 19(2007) 年度から 海外からの教育旅行の受入を行っている 海外からの教育旅行を促進するための 東京都訪日教育旅行促進協議会 を設立し ( 公財 ) 東京観光財団に学校交流の受入 斡旋窓口を設置するなど 海外と東京の学校同士のマッチングや 学校交流活動の支援等を行っている 2 学校交流の積極的な推進海外からの教育旅行の受入は着実に増加しており 事業開始当初は 10 件 375 人であった受入件数 参加者数は 平成 22(2010) 年度に 22 件 789 人となるなど 2 倍以上の実績となっている 3 東京教育観光マップ の配布さらに教育旅行による交流を促進していくため 修学旅行や教育関連旅行に役立つ情報について掲載した 東京教育観光マップ を作成し 海外からの訪問校などに配布している 136